イベント/静止点/小ネタ

Last-modified: 2023-06-14 (水) 12:19:52

今回のステージ名は主に多次元空間(特に四次元の研究)に関わるものが使われている。
もしもこの小ネタを読んで興味が湧いた人は「メビウスの輪」を作ってみたり、ボールに直接三角形を書いて内角の和を求めたりするとドハマリするかもしれない。

長いのでまとめ

・特異点
基本的な意味としては、「通常のルール、基準等が適用されない点」。
この先数学用語がたくさん出てくることから、ここでは恐らく特異性(定義することが出来ない)を示す点のことを意味している。

・射影平面
指揮官たちが恐らく学校で見てきたであろう座標平面に無限遠点(2つの平行な線が交わる点)という存在を付け加えてできる平面のこと。四次元空間においてのみ展開可能な物質などを扱うために用いられる。

詳細、イメージが浮かばない人向け

イメージがつかないという人は具体的に思い浮かべてみよう。2つのとても長い棒、もしくは線を平行に並べたとき、遠くを見るとどこか一点で交わるように見えるだろう。そのような平面を射影平面と言う。数学的に言えば任意の2つの直線が平行であっても必ず交わるのが射影平面である。無限遠点というものは平行な2直線が交わる点のことである。

・リーマン曲面
リーマン曲面という言葉は厳密には存在せず、恐らくリーマン面のことを示している。リーマン面とは2つの連結した(ここでは重なったと考えてもらえれば良い)複素数平面のことである。

詳細、イメージが浮かばない人向け

複素数平面において、w=z^2はzの関数である(zの値が一つに定まったとき、z^2の値も唯一つに定まる)ことは、座標平面のように考えるとわかるだろう。このような関数のことを一価関数という。では、y=√z(=z^(1/2))のグラフを考えたとき、y=√zはzの関数と言えるだろうか?zが実数ならば、解を正の範囲で取るように定めれば、例えばz=4のとき、√z=2と定められる。しかしzが虚数では単純に正か負かで定めることが出来ず、解が2つ出てきてしまう。(このような関数を2価関数、一般に解がn個ある関数をn価関数といい、解が一つでない関数を多価関数という)。そのようなことが起きないようにするのがリーマン面である。

・タイヒミュラー空間
リーマン面に存在する自由度を多様体とみなした概念のこと。

詳細、イメージが浮かばない人向け

先程話したリーマン面に原点から2つの一次独立したベクトル(わからない人は適当に原点から完全に逆を向いていない2つの矢印を想像してもらえれば良い)を伸ばしたとき、その2つを辺とする平行四辺形を作ることができる。その平行四辺形の辺の長さ、角の大きさを変えても位相構造的には同じ(俗に言うドーナツとコーヒーカップは同じ図形である、というアレである。詳しくは同相映像を参照)だが、リーマン面として見ると構造が変わってしまう(ざっくり言えば矢印の示す場所が本来いるべき座標を表しているので、位置が変わるとそれらは変わってしまう)。そのような平行四辺形すべてを同じものとみなす考え方をタイヒミュラー空間という。

・同相映像
恐らく同相写像のこと。2つの位相空間の写像が連続かつ全単射で、その逆写像も連続であること。

詳細、イメージが浮かばない人向け

同相とは2つの位相空間が位相空間として等しいことを意味する。わかりやすく言えば、粘土でできたボールをちぎったり穴を開けずに変形させるとき、立方体にすることは可能であり、これが同相と呼ばれる。逆にドーナツを作るには穴を開けなければならないのでルールに反するため同相とは呼べない。詳しく調べない限りはこのような認識で良い。写像は平たく言えば要素を結びつける集合規則である。こらそこ、ひろゆきに写像について聞かせるんじゃない例えば{1,2,3,4,}という4つの要素を持った集合Aと{A,B,C,D}という4つの要素を持った集合Bがあるとする。このとき、各要素を他方の集合に照らし合わせることである。例えば、1とA、2とC、3とD、4とDというように対応させる。全単射とは、それぞれの要素が一つずつもう片方の集合の要素に対応している(単射)、かつAの要素とBの要素の数が等しい(全射)であることである。要は、2つの位相空間が持つ要素が共通であることを、同相写像という。

・多様体
ユークリッド空間を基準とした位相空間のこと。とてもややこしい概念なので簡潔に別々に話すと、
一次元多様体は直線、半直線、円周、線分の4つであり(それ以外の線でできたものは一次元多様体と呼べない)
三次元多様体は局所的に見ると平面と捉えられる(例えば自分の立ってる場所は平面に見えるが実際に地球は球体である。このような感覚をもてる)ものである。もっと厳密な定義が気になる場合は調べてみてもいいかもしれない。

・円環体
円周を回転させてできる物体。すごくわかりやすく言うとドーナツ。
ステージ名の二次元円環体とは、ドーナツを二次元にかいたもの...だろうか?

・演繹
一般的、普遍的な命題から特殊な命題を導き出すこと。メジャーなもので言えば三段論法がある。(A=B,B=Cのとき、C=Aとなるアレ。)