ASh-12.7

• 重武装のテロリストや外国の空挺部隊等の危険度の高い対象を相手にする法執行活動専用の「市街戦」兵器であり、
  無実の傍観者や人質への巻き添え被害を回避するために高いボディアーマーは貫通するが建築物などは破壊せず射程も不必要に長くない特殊弾薬を運用するために開発された。
• 動作方式はショートリコイル、ローティティングボルトで、プレス加工されたスチール製レシーバーとポリマー製のハウジングを備えたブルパップレイアウトを持ち射撃時に前後する銃身はほぼハウジング内にある。
• セイフティはピストルグリップの上にあり左右どちらからでも操作できるが、セミ・フルの切り替えは機関部すなわちストック右側面にある独立したスイッチで行う他、
  排莢口は右側面のみ、コッキングハンドルもボルトキャリア右側に固定されて発砲に連動して前後動するため、右利き専用である。
  固定式のキャリングハンドルに折り畳み式のアイアンサイトを備え、独自規格の光学照準器を装備することができる。
• 弾倉は10発ないし20発のポリマー製ボックスマガジンで、12.7×55mm*3という大口径の弾薬を使用する。
  マガジンリリースはパドル式でホールドオープン機能は無く、使用弾の関係で非常に大きく重いため戦闘中の速やかな交換は難しい。
  弾薬はスチール製で16mmまでの鉄板やボディアーマーを貫通する通常弾やサプレッサーと組み合わせて使用される軽量の亜音速弾、爆発反応装甲を備えた軽装甲車両に対抗できる2重弾頭弾などが存在する。使用弾薬や命数に応じてフラッシュハイダーやサプレッサーは容易に交換可能となっている。
• 2017年頃には改良されShAK-12に名称が改められている。キャリングハンドルが脱着式でピカティニーレイルを備えるようになったほか、バレルが短縮化され重量は5.2kgまで削減されている。また排莢口にダストカバーが追加された。
• 同じ12.7×55mm弾を使用する銃にVKS,RSh-12がある。
  • VKSはブルパップ式のボルトアクション狙撃銃で、高い消音性と貫通力を有したVSSの後継のような立ち位置の銃である。登場は2005年とASh-12.7より数年早い。
  • RSh-12はなんと5発装填のリボルバーである。ただし、RSh-12は2014年に銃器展示会でお披露目された後の詳細が分からず採用されたかどうかも不明。

• 他に大口径の短小弾というコンセプトの弾薬は、アメリカで1990年代に作られた.510ウィスパー弾や、2001年に登場した.50ベオウルフ弾がある。*4
• 口径の大きさに注目されがちだが、弾頭が非常に大きくて重い割にそれを撃ち出す炸薬量はそれほどでもなく、弾丸の運動エネルギーは亜音速の重量弾の場合で7.62×51mm NATO弾をやや上回る程度となる。
  • 弾丸の運動エネルギーは重量よりも弾速の影響する割合が大きいため、速度の遅い弾だとあまり伸びない。*5
  • 消音性を高めるために亜音速弾にしたい、でもボディーアーマーは抜きたいというのはAS Valなどで使用される9×39mm弾に通じるものがある。
    ボディーアーマーの高性能化に比例して、さらに強力な弾が必要になったと考えられる。
  • 弾頭が重いために射程距離も100～300mほどと、射程よりも消音性と殺傷力を重視したライフルであることがうかがえる。

【過去ログ】