Kampfpanzer 70

Last-modified: 2024-04-27 (土) 10:17:53


Tier 9 ドイツ 重戦車 Kampf Panzer 70 (カンプフパンツァー ズィープツィヒ) / 略称:Kpz 70

Kpz70.jpg
 
伝説迷彩「鋼鉄の騎兵」
鋼鉄の騎兵
Cavalry.jpg
Cavalry_.jpg
KpfPz70_Camoflage.jpg
価格は2,100 gda.png
適用中は車両名が「KpfPz 70 Cavalry」となる。
その他の画像

Kpz70_.jpg

バージョン4.2での「ミサイル演習」イベントで実装されたプレミアム車両。
1960年代にアメリカと西ドイツが開発した、第2世代MBTを更新する予定だった次世代戦車。アメリカ側での名称「MBT-70」としても知られる。
本車両自体が日の目を見ることはなかったが、取り入れられた技術はM1エイブラムスやレオパルト2といった第3世代MBTの基礎となった。

本ゲームでは、152mmガンランチャーによる優れた単発火力と強固な砲塔装甲を備えるTier9重戦車として参戦。
反面、脆い車体装甲や長い装填時間といったデメリットもあり、扱いこなすには慣れのいる上級者向けの車両となっている。

ver10.7でコレクター車両となった。

 

直近90日の平均勝率:53.55% (2023年8月30日現在、ver10.1.5)
※平均勝率は参考数値であり、その車両の絶対的な強さを示すものではありません。

この車両の購入を検討している初心者の方への注意喚起

まだ豚飯、ハルダウン、マップ、味方や敵の構成、などの把握ができていない方はそもそもTier9車両(戦場)はオススメしない。自分も勝てずにイライラする上に、味方にも迷惑をかけてしまう。まずは低Tierで腕を磨き、基本的なプレイができるようになってから高Tier車両に乗れば、より楽しい戦車ライフがあなたを待っているだろう。

 

基本性能(v10.6.0)

車体Tier国籍タイプ耐久値
(HP)
車体装甲厚
前面/側面/背面
(mm)
最高速度
前進/後退
(km/h)
初期
重量
(t)
本体価格
(ゴールド)
KpfPz 70IXドイツ重戦車2050120/90/6040/1550.475,000 gda.png
 
実用出力重量比(hp/t)14.86
 

武装

Tier名称発射
速度
(rpm)
弾種平均
貫徹力
(mm)
平均
攻撃力
DPM
(HP/分)
精度
(m)
照準
時間
(s)
総弾数弾薬費
(Cr/G)
重量
(kg)


IX152 mm Kanone XM150E5 Kombinationswaffe3.61APCR
HEAT
HE
245
310
90
560
490
640
2019
1767
2307
0.3642.40501070 cra.png
4000 cra.png 10 gda.png
1260 cra.png
2,500+20°
-7°
 

砲塔

Tier名称装甲厚(mm)
前面/側面/背面
旋回速度(°/s)視界範囲(m)重量(kg)
IXKpfPz 70 turm200/90/6018.025011,228
 
射界全周
 

エンジン

Tier名称馬力(hp)引火確率(%)重量(kg)
XAVCR 1100 175015750
 

履帯

Tier名称積載量(t)旋回速度(°/s)重量(kg)
IXKpfPz 70 ketten96.0027.010,200
 

乗員

  1. Commander
  2. Driver
  3. Gunner
  4. Radio Operator
  5. Loader
     

解説

v4.1で追加されたドイツのTier9プレミアム重戦車。
史実的には第二世代MBT(Tier10相当)をはるかに上回るスペックが計画されていたが、ゲーム内では大幅に性能調整されてTier9車両の性能に留められている。
そのまま実装したらゲームバランスが壊れるから仕方ないね*1

装甲

砲塔装甲の防楯部は防楯194mm+空間装甲+本装甲210mmで砲弾調整の拡張をしたHo-Ri Type IIIの課金弾くらいしか貫通が不可能なほど堅牢。(空間装甲が存在するため貫通400mm台のHEAT弾ですら弾き返す)
しかし防楯脇の砲塔装甲は320mm程度であり、格下相手には十分な防御力を持つものの同格重戦車には課金弾を使われると貫通されてしまう。そのためハルダウン時でも細かく動き、狙いを絞らせないようにしよう。
大きな弱点としては、向かって右の四角い光学照準器(50mmの空間装甲)の裏に90mmの巨大なキューポラがあり、空間装甲の特性上HEやHEATだと抜かれることはほぼないが、APやAPCRで180mm程度の貫通力(M26 Pershingの通常弾が大体180mm)があると抜かれてしまう。
この弱点を知っているプレイヤーは意外と少なく、積極的に狙われることは少ないものの、格下の通常弾ですら貫通されてしまう程装甲が薄いので敵を向いたまま砲塔をフリフリしてこの部分を狙われないようにしたいところ。
他にも砲塔上部にキューポラが2つ存在しており、こちらは150mm程度の貫通で抜くことが可能。ただしかなりサイズが小さく砲塔や車体振り、中距離戦を意識して抜かれないように補えば狙って抜くのは至難の業である。ちなみに向かって左側にも空間装甲扱いの小さい光学照準器があるが、こちらは裏装甲が250mm存在しており、実質300mm程度と弱点とは言えない。

車体正面は実質220mm程度と一部格下MTにも抜かれる可能性ある為、重戦車としては心許ない。俯角は6°と狭めだがアップデートによって7°まで強化され、そこそこの数値となった。固めの砲塔を生かす為にもハルダウンを徹底しよう。
車体は後部がせりあがっており、砲塔を斜めに向けると40mmの車体天板がさらされる。面積は狭いものの停止していると狙われて容易に貫通される可能性があるので気を付けること。
車体側面は上部こそ90mmの装甲が確保されているものの、履帯裏部分が62mmと脆弱であり、前述した車体後部の天板の弱点も存在するので豚飯は避けた方が良いだろう。
車体裏面は62mmのほぼ垂直装甲で、15榴はほぼ確実に貫通する上に口径120mmクラスの榴弾も貫通する可能性が高い、安易に背面を晒さないように。

参考:Armor Inspectorで見た際の正面装甲

Armor Inspectorより、両画像とも相対距離80m(砂漠の砂の町側で、建物に隠れつつ遭遇戦陣地を挟んで向かい合ったぐらいの距離)
kpfpz70_leoPTA105.jpg
Leopard 1通常弾:貫通力255mm
kpfpz70_FV218.jpg
FV215b (183)通常弾:貫通力310mm

 

主砲

  • 152mm Kanone XM150E5 Kombinationswaffe
    本車両の目玉。152mm砲をそこそこ強固な砲塔持ちで運べる点は大きな長所と言える。しかしその点を考慮してか、通常の152mm砲よりも単発火力が560と若干落とされている。
    マッチングする相手でいえばT92E1SheridanT49らと同じ値だが、HEのダメージが640とあちら以上に抑えられているため、非貫通ダメージで相手戦車のHPを削るといった芸当はDPMの低さも相まって現実的ではない。
    とはいえモジュール・搭乗員ダメージは非常に大きく、爆風範囲も5.3mと特に広いので、ミリ残りの敵にトドメを刺すときや占領の妨害には役に立つ。貫通力も90mmとそれなりに高いため、貫通可能な相手であればHEを使用する価値は十分ある。ラッシュ中に側背面を取れた際などに狙ってみよう。

    ガンランチャーという設定ではあるが、意外にも精度は0.364と同格HTの中でもかなり良い方で、絞らなくても比較的真っ直ぐ飛ぶ。
    ただし、APCRの貫徹力は245mm同格重戦車中最低クラスな上、弾速も920m/sとやや遅いので遠距離の相手に砲撃を試みる場合は注意。
    課金弾のHEATの貫徹力は310mmとティア9重戦車として最低限の値は確保されているので、格上相手にはしっかりと課金弾を使おう。ちなみに通常弾と課金弾は弾速が一切変わらない。

    装填時間は大口径砲らしくかなり長めで、DPMはTier9の全車両中でも下から数えたほうが早いレベルである。基本的にはハルダウン、それが出来ない場合は単発交換をしながら前線を張るのが主な運用となるだろう。
    俯角は7°だが、後方60°程は砲身が車体と干渉し、俯角が取れなくなり強制的に仰角1°となる。後ろに回り込まれるとほとんど射撃不可能になる為、機動力のあるLT・MTと交戦になった時には気を付けよう。

    後ろを向いたときの参考画像

    Screenshot_20171217-082508~2.png
    Ru 251STA-1のようにエンジン部分が干渉する。

 

機動性

出力重量比14.86(hp/t)。重戦車にしてはかなり高い加速を誇るものの、最高速度が40km/hと史実から大きくデチューンされている。*2
ただし、重戦車として見れば非常に優秀な値であることに変わりはなく、戦況を見てからの陣地転換も特に困ることは無い。

また、車体旋回速度も重戦車としては良好。ただし、砲塔旋回速度は重戦車の中では並みであり、中戦車と比べるとかなり遅い。手練れの軽・中戦車相手だとNDKされる可能性がある。
機動力が高いからと中戦車ルートに行っても、低いDPM、俯角制限、遅い車体及び砲塔旋回速度が足を引っ張り必ずしも活躍出来るとは限らないので注意。
中戦車ルートへのラッシュは素早く確実に敵中軽戦車を殲滅することが絶対条件であり、DPMの低い本車両でそれを行える自信がないのであれば大人しく重戦車ルートに行くべきである。

 

総論

単発火力は同格重戦車で最高の560であるものの、152mmという口径にしてはやや物足りなく(特にHE)と貫通力も重戦車にしては低め。装甲も砲塔はそこそこ硬いものの、車体装甲がやや薄くハルダウンが出来る地形でなければ基本的に頼れるものとは言えない。
また、射撃後の装填時間がかなり長く次発装填までに食料x2装填棒でも14.64秒は掛かってしまうので、遮蔽物の無い場所でのノーガードの殴り合いは余程の事が無い限り御法度である。前線である程度距離を取ってハルダウンをし、単発の大きさが活きるターン制に無理矢理持ち込もう。
重戦車同士の戦い、特に車体を隠しづらい市街戦では車体装甲を抜かれがちであるので軽・中戦車ルートに向かって味方軽・中戦車と協働するのも手であるが、低いDPMと40km/h止まりの最高速度が足を引っ張ることもあるので味方と相手の編成をよく吟味してどちらのルートに進むか決定しよう。
いずれのルートに進んだにせよ孤立すると低いDPM故にあっさりと撃破されてしまいがちである、高い単発火力を活かすことが出来るように味方をしっかりと援護しながら戦う事がとにかく重要である。

 

特徴

長所

  • 同格HTトップの単発火力
  • 152mm砲とは思えないほど優秀な精度・照準速度・照準拡散
  • 優秀な砲塔装甲
  • 砲塔の弱点がわかりづらい
  • 重戦車にしては非常に優れた機動力
  • 優れたクレジット収益(係数140%)
  • 近代的でスマートな外見及びかっこいい伝説迷彩(個人差あり)

短所

  • 低すぎるDPM
  • 伸びの悪い榴弾ダメージ(80しか増えない)
  • 知る人ぞ知る光学照準器裏の大きな弱点
  • 同格HT中で最低クラスの通常弾貫徹力
  • 正面、側面ともに全く頼りにならない車体装甲
  • 俯角制限あり(後方60°からは俯角に制限がかかり、真後ろだと強制仰角+1°となる)
    ガンランチャー主砲なのにミサイルがない

どうしても乗りたい諸君へ

長いので折りたたみ

この現代的なルックスに心惹かれて購入を決意した戦車長はかなり多くいるだろう。
しかし、このKpfPz 70はあまりにも平凡な戦車であるため戦車長の腕がないと活躍しにくい。
問題点を挙げると

  • 貧弱な車体装甲
  • 加速力は良好な割に、最高速度が40km/hしか出せない
  • 口径が152mmの砲であるが、重戦車にしてはやや貫通力が低い上に、次発まで装填時間が長くDPMも低い。

見ての通り重戦車でありながら最前線を張るには少し厳しいスペックとなっていて、地形選びのセンスが問われる。ステージによっては車体装甲を隠しづらい場所で戦闘しがちとなるため、マップと相手の編成次第(特にボトムマッチの場合)では軽・中戦車ルートに進むことも視野に入れるべきだろう。
ただ、軽・中戦車ルートに行ったとしても砲塔旋回は重戦車らしく鈍く、DPMも低いため快速戦車に絡まれるor突っ込まれた時には手痛いダメージを喰らってしまうので気を付けること。幸い、主砲はドイツらしく素直な性格で真っ直ぐ飛ぶことが多い上に、152mmの大口径砲らしくモジュールダメージが非常に高い。DPMの低さはモジュールの破壊や火災発生等の副次的なダメージで補っていこう。

 

本題に入るが、先述した方法(モジュール破壊・火災発生)をより確実に起こすためにはどうすればいいか話していこう。基本的な知識は初心者指南所砲撃・ダメージのページで確認してくれ。
諸君は搭乗員スキルをご存知だろうか?ガレージ左下あたりに搭乗員と書かれたアイコンがあるはずだ。そこには隠蔽を上げたり貫通を上振れさせたり等、戦闘で非常に有利になるスキルが習得できるようになっている。このKpfPz 70はそれらの搭乗員スキルで不足している性能を補って戦う形になる。もちろんたくさんスキルがあってどれを優先して取ればいいか分からないだろうと思うから必要なものを羅列していこう。

 

まずは軽戦車のスキルから
大口径砲らしく単発火力の高さをなるべく活かしたいので、ダメージの上振れを狙うために「精密射撃」を習得しよう。
確率だがこのスキルにより通常弾で最大700ダメージを出すことができる。

 

次に中戦車スキルについて
装填が長い本車両は「猛威」と呼ばれるスキルをおすすめする。スキルの内容は敵車両を撃破した際、次弾装填の速度を最大7%短縮するという内容だ。
装填時間の長いKpfPz 70にとって7%は非常に大きく、16.64秒(ラマー食料無し)の装填が15.48秒と1秒も短縮される。たかが1秒であるが、その1秒の差によって先に相手を仕留められることもある。

 

続いて重戦車スキルについて
「接近戦マスター」と「アドレナリンラッシュ」をおすすめする。「接近戦マスター」は自車両の30m以内に敵が来た際に砲塔旋回速度が向上するスキルになる。MT、LTのNDKに少しでも対処できるようになるためおすすめする。そして、「アドレナリンラッシュ」はHPが15%未満の際に最大7%装填を短縮するというスキルである。本車両での15%は改良型アセンブリ(俗称HPアップ)なしで307、ありの場合325になる。なんだよ、120mmクラスはおろか105mmを耐えるかも怪しいじゃないかと思っただろう。しかし、少しでも勝率を上げるためにはHPが乏しい状態での粘りが重要になる。少しでも敵にダメージを与えることによって味方が活路を切り開いてくれる可能性が上がるからだ。「アドレナリンラッシュ」が発動中の装填速度は15.48秒となり、先述した「猛威」と合わせれば14.40秒となり、ラマーと食料を搭載した状態であれば13.21秒になる。コンマ何秒の世界だが、この差で勝利を掴むか逃すかが決まってくる。

 

最後に駆逐スキルについて
「スナイパー」と呼ばれるスキルは必須である。このスキルはモジュールに命中した際、7%の確率でモジュールにダメージを与える。
スキル発動中は確実に相手のモジュールにダメージを与える。弾薬庫に当たれば・・・言うまでもない、ワンパンだ。

 
  • 総論
    これまで言ってきたことを纏めると、搭乗員スキルを高めることで大口径砲というアドバンテージを更に高めることが出来るということである。
    相手戦車のモジュールを破壊することは相手の戦闘能力を大いに削ることに繋がってくる、特に多目的レストアパックしか積んでいない相手なら、クールダウン中にモジュールを破壊さえしてしまえば殆ど戦闘能力は失われる。(特に弾薬庫損傷時)
    たかが数%確率が上がるだけだと言って搭乗員スキルを軽視していないだろうか?戦闘ではその数%が試合を左右することもある。勝ちに繋げられる要素は少しでも上げておくことが勝率アップへの秘訣である。
    あと最後に一言。運営よ…なんでもいいからもう少しバフをください
    ver10.6.0にて俯角が6°から7°になるという絶妙なbuffをプレゼントされた。

歴史背景

格納

開発の経緯

1960年代初頭、アメリカではM60パットンに代わる次世代主力戦車の開発に着手し始めた。当時のアメリカ軍の主力戦車であるM60は、第二次世界大戦時に開発されたM26パーシングを基本として改良を重ねてきたものであり、能力的には特に問題のあるものではなかったが、基本設計の古さは否めないものであった。

対抗目標であるソビエト連邦の戦後型戦車は、常にアメリカの戦車を性能的に凌駕しており、これらに対抗するために今までにない最新の技術を盛り込んだ次世代戦車開発の必要性が叫ばれるようになった。当時国防長官だったロバート・マクナマラは、開発費を削減するためにNATO諸国との共同開発を指示し、イギリス、もしくは西ドイツとの共同開発が模索された。

一方、西ドイツは国産の主力戦車としてレオパルト1の開発を進めていたが、本格的に生産を開始した時にはソ連のT-62や自動装填装置を装備するという新型戦車(後のT-64)の性能を必ずしも上回る物ではなくなっていた。これを受けて、西ドイツ軍ではレオパルト1の改良プログラムを進める一方、早くも次世代戦車開発に着手し始めたが、レオパルト1の量産・配備と改良型の開発を進めながらの新戦車開発には予算上の困難が大きく、反対意見も多く出された。

このような状況を踏まえて、次世代戦車開発の必要性で米独両国は一致し、1963年8月1日、正式な開発協定が結ばれた。

開発

1964年9月から本格的な開発計画が開始され、現行のソ連戦車に対して優位であるだけではなく、今後登場するであろう新型戦車に対しても優位を確保できることを第一に、最新の技術を十二分に盛り込んだ車両となることが目標とされた。この計画にはアメリカではMBT-70、西ドイツではKPz.70の名称が与えられ、それぞれ7両ずつ、計14両の試作車両が造られる事となった。

しかし、開発計画は当初から難航し、最初の設計段階において両国がそれぞれの設計デザインを強く主張し対立した。設計案には突撃砲スタイルの無砲塔型から、乗員を全て車体内に配置し、砲と自動装填装置だけを突出させたオーバーヘッド砲塔、砲塔を持つが半ば車体と一体化した、ドイツの駆逐戦車の戦闘室部分が左右に旋回するような埋没型の砲塔を持つものまで、多種多様の設計案が提示された。これはいずれも「極力前面投影面積を少なくすること」という基本方針に沿いつつも、アメリカはある程度の汎用性のある設計を求めたが、西ドイツは北部ヨーロッパの環境に最も適合した設計を主張したためである。結果としては全ての乗員を砲塔内に収容し車体と砲塔の全高を極力抑えたデザインが決定案とされたが、全高が低い代わりに砲塔が異様に大きいデザインとなり、当初の設計目的からやや外れた結果となった。

その後も設計に用いる単位にアメリカのヤード・ポンド法を使うか西ドイツのメートル法を使うか、主砲のシステムをアメリカ側のガンランチャー方式にするか西ドイツが開発した滑腔砲方式にするか、その他にもエンジン、サスペンション、装甲素材など事あるごとに両国は対立し、その都度意見を調整して両方の案をそれぞれ盛り込む妥協策が採られたため、開発期間は果てしなく順延されて行き、日を追うごとに開発費は高騰していった。

試作車の製作は1965年に開始され、1966年には車体部のみの最初の試作車が、1968年には完全な試作車が完成し、テストの結果はM60およびレオパルト1と比較して加速度、巡航度、回避能力などほとんどの面で優れていたが、難産の結果エンジンおよびトランスミッション、サスペンション、そして、火器管制装置はMBT-70とKPz.70では異なるものを搭載しており、共同開発の意味が半ば失われた車両となっていた。

共同開発により大幅に削減できるはずであった開発費用も、1969年に1両あたりのコストが100万ドルを超えるという概算が出たため、西ドイツはこのプロジェクトから離脱し、以降独自に次世代戦車の開発計画をスタートさせた。アメリカ議会においても延び続ける開発期間と5度にもおよぶ開発費の高騰に非難が集中し、1971年11月、ついに開発計画は中止された。
アメリカのある上院議員は「MBT-70を運転するには、技術研究所の修士号が必要だ」と評している。

特徴

mbt70b.jpg.jpeg

MBT-70/Kpz.70は開発当初から従来の戦車とは異なり、各部に革新的な技術が盛り込まれていたのが大きな特徴であった。
まず1,500hpの高出力ディーゼル・エンジン、自動変速機、油気圧式サスペンションの採用に加えて自動装填装置の採用による乗員3名化や中空装甲の導入、砲塔内操縦手席、高精度の射撃統制装置と夜間暗視装置、軽合金の多用など確かにそれまでの戦車とは一線を画する内容の新世代主力戦車であった。

車体・砲塔

mbt70c.jpg.jpeg

車体高を極力低く抑え、また、車体の前後長を詰めてコンパクトにするために乗員は操縦士を含め全員砲塔内に収まっている。操縦席は独立したカプセル状で、砲塔の旋回位置にかかわらず操縦席正面は常に車体の進行方向を向くように指向されている。この自動指向装置は操縦席を回転させた上で任意の方向に固定し続けることも可能で、操縦士が直接後方を視認して後退することも可能であった。しかし、この機構は操縦者が方向感覚を喪失する見当識障害を起こしやすく、砲塔の旋回位置によっては車体前方方向の視界がほとんど確保できない、という問題があった。操縦士の前方視界を補うため、車体前面左側には装甲カバー付きのTVカメラが装備された。冷戦下の戦闘車両として対NBC兵器防護能力も重視されており、シュノーケルによる水中走行能力も有している。特に乗員を狭い砲塔内に集中配置させたことは、放射線防護の観点から見れば合理的な設計であったと言える。

MBT-70とKPz.70ではエンジンおよびトランスミッション、サスペンション、火器管制装置が異なっている他、前照灯などの細部が異なっている。

武装

mbt70ax.jpg.jpeg

主砲は、当初はアメリカが開発したMGM-51 シレイラ対戦車ミサイルも発射可能なXM150E 152mm ガンランチャーとXM150自動装填装置を搭載する予定だったが、西ドイツ側は独自に開発したラインメタル社製120mm滑腔砲と独自の自動装填システムの搭載を主張。XM150システムはテスト段階で問題を多発させたが、アメリカ側はガンランチャーシステムの搭載に拘り、結局西ドイツ側が折れる形でアメリカ側の要求どおり152mmガンランチャーを装備することになった。

砲にはレーザー距離計測装置が装備されており、暗視装置を備えた照準装置は車長用・砲手用共に独立したものが装備されている。主砲は火器管制装置に制御されるサーボモーターによって高度に安定化されており、走行間射撃を可能としていた。

防御

装甲にはHEAT弾や対戦車ミサイルにある程度対抗できる中空装甲を採用した。HESH弾に対抗するためにスポールライナーを装着している他、装甲材にチタニウムを使用していたという考察もあるが、装甲に関しては資料が完全には公開されていないため、現在でも詳細は不明である。

機関

mbt70dx.jpg.jpeg

エンジンにはコンチネンタル AVCR-1100 4ストロークV型12気筒空冷ディーゼルエンジンを搭載し、これは、50トンの重量に対して1,475馬力という、当時としては破格の高出力を発揮することができた。対重量比馬力も29.5hp/tと、今日の戦車でも充分通用する値を記録、最高速度も65km/hと申し分無く、後退時も前進時と代わらない速度で移動できたという。しかし、ピストンヘッドを油圧で可動させることにより圧縮比を可変できる"可変圧縮比エンジン"という新機構を採用したためにトラブルが多発し、大馬力の空冷ディーゼルエンジンは騒音が異様に大きい上に冷却効率が悪く、トランスミッション共々エンジンの故障が多発し、ドイツ仕様のKPz.70ではダイムラー・ベンツ社の開発した液冷ディーゼルエンジン(機関出力1,500馬力)と変速機を搭載した。ドイツ側はアメリカにも自国仕様のエンジンと変速機の装備を提案したが、アメリカはこれを退け、トラブルと高コストに悩まされながらも自国製のエンジンを使用した。

走行装置

mbt70e.jpg.jpeg

油圧式可変サスペンションは、「車高が低ければ低いほど敵弾の命中率が下がる」という思想のもとに導入された。これは、1.8mまで車高を下げる事が可能であり、後部だけを上げれば車体を隠した稜線射撃が可能で、反対に下げれば大角度での射撃も可能となった*3

更に、走行中の車体の動揺に応じて自動的にサスペンションを可動させて車体の安定を保つアクティブサスペンション機構が備えられていた。これにより、主砲の安定装置と併せて高速で走行しながらの射撃やミサイルの誘導も可能であるとしていた。しかし、これもサスペンション部のトラブルが多発し、KPz.70に関しては西ドイツが独自で開発した簡略型の油圧可変サスペンションを導入する事となった。

その後

こうして、米独共同の新型戦車開発計画は、当初の目的とは逆に莫大な予算と年月の無駄となって終わったが、アメリカ、西ドイツ共に新型戦車を必要としていることには変わりなく、アメリカではMBT-70の設計を見直し、各部を簡略化したXM803が開発・試作されたが採用されず、アメリカ陸軍の次世代戦車計画はXM815として再スタートし、後にXM1、M1エイブラムス戦車の開発へと発展した。

西ドイツではレオパルト2の開発と並行する形で、KPz.3開発計画の一環として、KPz.70の車体を流用し2門の主砲を備えた突撃砲スタイルのDRKや、マルダー歩兵戦闘車の車体にオーバーヘッド砲塔を搭載したVTS-1が試作されたが、これらも試作のみに終わった。


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  • コメント1 -- 2018-09-28 (土) 6:00:00
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    • コメント1に関連したコメント3 -- 2018-09-28 (土) 8:00:00
      • コメント3に関連したコメント4 -- 2018-09-28 (土) 9:00:00

上のように、関連するコメントを子要素にすることを「ツリー化」「枝化」などと言います。
この「ツリー化」を行わないと、どのコメントに対する意見なのか分かりにくくなることがあり、混乱を招くため、必ず関連するコメントをするときは「ツリー化」を行ってください。

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ログインするメリットとなりすまし防止

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zawazawaによるコメント欄は、もちろんログインせず、誰でも書き込むことが可能ですが、ログインすることにより以下のようなメリットがあります。

  • 「なりすまし」が行われない
    「なりすまし防止」欄で解説していますが、エイリアスがログインすることにより固定されるため、他人からなりすましをされる可能性が極めて低くなります。
  • コメントごとに「通報」を行うことが可能
    ログインすることでコメントごとに通報をすることが可能になります。
    詳しくは「コメントを通報するには」へ。
  • ログインしても匿名性を保てる
    通常、ログインするとハンドルネームが表示されてしまいますが、「アカウントと関連付けない」を選択してから投稿すると、ログインしてないコメントと同様に表示されます。

Diffanaと異なり、メールアドレス、Twitterから登録可能で、本Wikiの運営会社(wikiwiki.jp)が運営しているので、比較的信頼度の高いサービスとなっています。

また、zawazawaによるコメント欄では、どのコメントとどのコメントが同一人物なのか、ある程度特定することが可能です。

  1. 同一かどうか確認するには、まず各コメント欄上部にある「すべて表示」をクリック(タップ)します。
  2. 各コメントの投稿日時の後ろに、英数字が記載されていますが、これは「エイリアス」といい、ブラウザ、回線等を総合的に判断して乱数によって自動的に設定されます。
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    このエイリアスを確認することにより、投稿されたコメントがどのコメントと同一人物なのかを判断することができます。
    また基本的にブラウザ、回線を変更してもこのエイリアスは変更されないため、なりすまし防止にも役立ちます。
コメントを通報するには

コメントを通報するには

ページと関係ないコメント、他人の誹謗中傷、晒しコメントなど、不適切なコメントはコメントごとに通報することができます。

  1. 通報を行うには、まず通報したいコメントの末端に表示される、「zawazawaで見る」をクリック(タップ)します。
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  2. 当該のコメントがzawazawaで表示されるので、「通報...」をクリック(タップ)します。
    なお通報する際はzawazawaアカウントでのログインが必要ですが、通報自体は匿名で行われます
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  3. 通報の理由を記入し(任意)、送信をします。
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また通報用フォームや運営掲示板から通報をすることも可能です。

過去のコメントはアーカイブから参照してください(表示されている場合のみ)。

アーカイブ

投稿をする前にツリー化の確認をしてください!


*1 本車の装甲、Sheridan Missileの主砲(ガンランチャーなのでミサイルも発射可能)、Leopard 1に迫る機動力、さらに74式戦車のように油圧可変サスペンション(WOTBではまだ未実装であるが)を併せ持つといえばお分かりだろうか。
*2 ちなみに史実でのスペックはエンジン1475馬力、最高速65km/hというトンデモ仕様。出力比は流石に敵わないものの、最高速度はあのLeopard 1と同じである
*3 当時、スウェーデンのStrv.103が同様の油圧式サスペンションを採用していた。