アーカイブ/キャラクター/モーディス

Last-modified: 2025-05-31 (土) 14:59:52

霧に包まれた混乱と戦争の都市国家、クレムノス!その王家には親殺しの血が流れており、その神は災厄の名を冠する。
不死なるメデイモス、孤高の獅子、「紛争」の火種を追う黄金裔。数多の死を耐え、血を浴びて帰郷し、そして狂気の宿命を1人で背負う者である。
——王を殺め王となり、神を殺め神となる。荒野を駆け巡った征戦の鉄蹄は、やがて故郷の血で染めなければならないのだ。

  • ストーリー詳細1

「沿海部の都市国家に古くから伝わる話によれば、ステュクスはかつて神にも匹敵する存在を生んだとされている。漁船で往来する船乗りたちは、その存在を『海王』と呼んだ。それは生気こそ感じられないが、狂暴さを滲ませた子供の姿で荒波の中に現われ、骨をも蝕むステュクスで水を浴び、凶悪な野獣と素手で戦い、その肉を食らうと血まで啜ったという。

一説によると、その海王は海底へ沈んだとしても、ほどなくしてステュクスから蘇ると言われている。約9年の間に、海王は少なくとも1万回は自らの体を作り直し、ついに巨大な怪物を引き裂いて大海原を血で赤く染めることに成功したが、そこには肉を貪る海獣ですら近づくことはなかったそうだ。

あの海王が尾をひと振りしただけで、海洋生物はいとも簡単に砂浜に打ち上げられてしまう。かつて、遭難した漁師が天に助けを乞うと、水兵を率いた海王に助けられたという噂があったが、時が経つにつれどんどん尾ひれがついて広まっていき、しまいには漁の安全を願って海王の肖像を船に貼る漁師たちが現れるようになった。

しかし最近、また新たな噂が生まれた。その海王の正体は実はクレムノスの王子メデイモスの怨霊である、というものだ。預言を恐れた先王が、生まれて間もない王子をステュクスに投げ落としたものの、夭折した子が死にきれず、ステュクスで獲物を狩り尽くそうとしているのではないかと——しかし筆者は、これは狡猾なクレムノス人が自分たちを美化するために作った与太話にすぎないと考えている。その理由は以下の3つだ。

1つ、クレムノス人には王位を巡り親子同士で争う伝統があるにせよ、いくらなんでも生まれたばかりの王位継承者を海に投げ入れるとは考えられない。
2つ、たとえクレムノス王のオーリパンが年齢により判断力を失って預言を信じ込み、子供を海に投げ入れたとしても、ただの赤子に神や怪物に匹敵するような力があるはずもない。
3つ、仮にそのような赤子が存在したとしても、それは断じてクレムノス人ではない。クレムノス人は誰一人の例外なく利己主義で粗暴だ。遭難した漁師を助けたりするわけがない。
そこで私は読者の諸氏に真相を明かそう。海王の正体とは
——海の化身そのものなのだ!」

——ゴルゴ―大図書館蔵
「偉力の海王伝説考証」より抜粋

「……」
——とある男の筆跡


  • ストーリー詳細2

「あの孤軍は血に塗れた長槍のような、強烈な血腥ささを放っていた。軍を率いる戦士はまさに槍の穂先そのもので、底知れない怒りと憎しみを纏い、敵に向かって突き進む。

ラードーンからエイジリアを経由し、エネウーヌスに至るまで、彼は何度も死から蘇り、行く先々に戦火をもたらした。中でも熾烈を極めたのはエネアヌスでの戦いだ——無敗を誇るクルティオスが巨大な斧を振り上げると、その背後から無数の矢が一斉に放たれ空を覆ったが、辺り一面の煙が晴れると、燃え盛る炎の中から血を浴びた戦士が現れた。そしてその戦士の拳が纏った風は鋭い刃のようにクルティオスの喉を切り裂いたのだ。

叙事詩に記されるほどの壮絶な戦いの後、その戦士の正体はますます謎めいたものとなった。その軍には明らかにクレムノス軍の訓練を受けた痕跡があったが、クレムノスの旗を掲げたことは一度たりともなかった。彼らは戦場を彷徨うクレムノスの亡霊なのか、それとも故郷を失った流浪の民なのか——真相は誰にもわからない。

吟遊詩人は、その孤軍の旅を悲歌にした。錆びた鉄の臭いが混ざる野風が吹く中、孤高の獅子は老兵や負傷兵を引き連れ、今はもう存在しない故郷を探し、彷徨った。

どんなに繕おうとも現実は残酷なままである。彼に追随したクレムノスの民は忠実ではあったが、ただの凡人なのだ。たとえ、かつての精鋭だったとしても、彼とは異なり、神のような不死の肉体は持ち合わせていない。時が流れ、クレムノスの神までもが狂気に陥ってしまった今、凡人はどこへ向かえば救われるというのだろうか?

あの孤高の男は民の運命を背負い、自らに王という枷を嵌めるのだろうか?それとも、すべて徒労のまま終わるのか……」

——ゴルゴ―大図書館蔵
「オンパロス戦争史」より抜粋

「ヘファイスティオン、ペルディッカス、レオンナトス、プトレマイオス、ペウケスタス…お前たちの名は永遠に歴史に刻まれるだろう」
——とある男の筆跡


  • ストーリー詳細3

「メデイモスよ!この恩知らずの裏切り者!クレムノスの尊き精神を断った臆病者め!

先王を殺して復讐を果たしたというのに、王朝を再興する責任から逃れようとは…その誇りはステュクスで魚や獣に食われたのか?
火追いの集団に入り、妖女の戯言に騙され、卑しい出自の兵士たちとつるんでいるとは!己の拳を信じるよりも、空虚な神託に望みを託すほうを選んだのか!?
クレムノスの民は紛争の故郷へ帰ることを渇望しているのに、お前は私たちを宿敵オクヘイマへ移住させようとしている…オクヘイマの贅沢な暮らしに溺れたか、黄金のピュエロスの湯気に頭をやられたとしか思えない。

メデイモスよ!高貴な不死の肉体を持っているあなたが、あのオクヘイマの女に支配されることなどあってはならない。あなたは狩りをする獅子であり、紛争の使者なのだ。捕食者と獲物の違いがわからなくなったとは言わせないぞ。

聞けば先日、あなたは黄金裔と称する連中と共にニカドリーの眷属から異邦の民を救ったそうだな。終わりのない長夜の中、あなたは体が砕け、血に塗れることも厭わなかったと聞く。
メデイモスよ!あなたの血はあんな役立たずどものために流すべきではない。軍を率いて資源を奪えば、クレムノスにもエスカトンで生き残る望みが生まれるだろう!

その火追いの道とやらはあなたを完全に変えてしまった。我らの王よ、戻ってくるのだ!王には同格の仲間などいらない。疑いも、救いもいらない——まだ最後の正気が残っている内に、我らに命令を下すのだ!
そうすればクレムノスの栄光はすべての都市国家を凌駕することになるだろう!」

——ゴルゴ―大図書館蔵
「クレムノス元老院議事録集」より抜粋

「移住は続行する」
——とある男の指示


  • ストーリー詳細4

「黎明の聖都オクヘイマは、今もなお暗黒の潮に侵蝕されていない最後の楽園だが、その周辺は次々と陥落し、包囲されるのも時間の問題であった。

千年の歴史の中、暗黒の潮に侵蝕された地では、生物は異化して人ならざる怪物となり、都市国家は無人の廃墟となってきた。たとえクレムノスのように武を誇る都市国家であっても、その神は暗黒の潮に汚染され、すべてが廃墟と化してしまった。

これまでの火追いにより、ほとんどの火種は返還されたが、暗黒の潮が降臨するまでわずかな時間しか残されていない。もし再創紀が訪れる前にオクヘイマが陥落すれば、すべてが水の泡となってしまう。

筆者はここで大胆な推測をする。近い将来、火追いの英雄たちは暗黒の潮と一戦交えるだろう。これまでの記録を見るに、最も勇猛な戦士でさえ暗黒の潮の中で長くは持ち堪えられない。だからこそ黄金裔の英雄のうち、この戦いで希望になれるのが勇敢なファイノンでないのなら…メデイモスになるのだろう。

当然、それはメデイモスがこの世の勇者の頂点に立ち、生まれながらにして死を拒む運命を背負っているからでも、クレムノスの旧市街が暗黒の潮に対する戦略的要所に位置しているからでもない。クレムノスの獅子と同じく、各地を転々とし、最終的に生まれ故郷から遠く離れた地に留まったとしても、孤高の王は決して他の都市国家に臣従することなどない。民を宥めることさえできれば、使命を果たすことが己が人生だと思っているであろうメデイモスは必ず帰郷する。しかし今回はクレムノス人の希望だけではなく——この世界の未来も背負っての帰郷となるのかもしれない。

タレンタムの司祭は千年にわたる紛争の歴史はクレムノスに始まり、クレムノスに終わると預言した。いつの日か、その不死の肉体で暗黒の潮の中へ飛び込み、生と死の狭間を彷徨い続けることになるのかもしれない。ああ、なんと痛ましい……」

——ゴルゴ―大図書館蔵
「火追い観察:暗黒の潮特集」より抜粋

「ステュクスと同じだ、これまでと変わらん」
——とある男が最近書き入れた注釈