階差宇宙・人間喜劇/運行記録

Last-modified: 2025-11-05 (水) 16:59:18

生存手引書:疑似花萼(金) | 疑似花萼(赤) | 凝結虚影 | 侵蝕トンネル | 歴戦余韻
星々の戦い:模擬宇宙 | 階差宇宙 | マネーウォーズ
光を追い、黄金を掴む:忘却の庭 | 虚構叙事 | 末日の幻影 | 異相の仲裁


人間喜劇イベント | 運行記録 | 可能性ギャラリー)
千の面を持つ英雄イベント | 運行記録 | 可能性ギャラリー)


概要

方程式のフレーバーテキストや初展開時のストーリー(=推理の回顧)を閲覧することができる。
可能性ギャラリーと異なり、記録を埋めても報酬はない。

運行記録

階差宇宙での攻略で方程式を獲得することでフレーバーテキストを読むことができ、運行記録に記録される。
推理の回顧と異なり展開はしなくても読める。

存護

建創史官

本のページから香りを嗅ぎ取った。「アルパーニの花がいつまでも枯れないことを願う」。それは母にエイドリアンの寓話を読み聞かせてもらった時のことだった。建創者はこの大陸を守り、手に持つ銀の盾を高く掲げ、反物質がもたらす火の罪業を砕いた。

しかし、彼らは一体どこに行ってしまったのだろうか?脳裏で花が咲き、あなたはテロダルの荒廃した街を抜け、シビルチの塹壕を越え、戦争で崩れた壁を登った――アルパーニはそこに咲いていたのだ、忘却を栄養としながら。

血に染まった勲章を拾い上げたあなたは、見知らぬ名前を記録した。亡くなった英雄たちは石碑に刻まれる。壊れた甲冑は船に乗せられ、故郷に送り返された。そしてあなたは次の世界へ向かい、建創者の足跡に沿って、新たな伝説を発掘するのだ。

沈まぬ巨艦

あなたは美しい夢を見た。3つの太陽の下で杯を交わし、偉大な平和に乾杯した。空を覆うドームが星を抱き、眩しい光と熱を遮っていた。それはあなたが設計した傑作だ。そして、夜明けと共にそれが崩壊するのを目の当たりにした。

崩壊し、悲鳴が上がり、超新星爆発によってガンマ線バーストが発生した。あなたの目、両手、体内のすべての細胞が悲痛を訴えている。悪徒たちは大気に火をつけ、290琥珀紀もの間そびえ立っていた塔を一瞬にして灰にした。スーメイア星環の氷晶の上で、死の病原菌が踊っている。あなたは、それらに報復すると誓った。

あなたは銀河を燃やせる巨大な船をペンで描いた。砲火が夜の闇に潜む悪を焼き払い、愛するすべてが廃墟と化す前に、敵に必要な破壊をもたらすのだ。

ドリームメーカー

手を叩くと、超高層ビルが空を覆わんばかりに林立している。目を瞬くと、鳥が風の中を舞い、朽ちた木に花が咲いている。手のひらでこねる夢は、まるで粘土に触れているかのようだった。それは自由に形を変え続ける、想像力の波が海岸に打ち寄せるまで。そして時間が停止し、物語は最も美しい瞬間で留まる。この刹那、悪夢やミームもすべて出払い、平和と穏やかさだけがいつまでも続く。この刹那、空には十二の時が瞬き、色彩豊かな宴が夜通し続く。

命に満ちた世界を創り出した。それは喜びと共に成長し、夢の中にいる人々の笑顔を守っている。星たちは歌い続け、優しい大雨を降らせた。傘を差さずに歌声の中に立つあなたは、すみれ色の朝日に包まれている。

無神論者

また悲しい出来事が起きてしまった。おそらくは憎き海賊か獲物を求めていたスウォームにでも遭遇したのだろう。船は引き裂かれ、死者たちは水中の金魚のように真空の中を漂っていた。あなたはなぜか神々しく呟くブレタッド人の言葉を思い出す。魂は大地のものであるべきで、真空で死んだ肉体は永遠の迷いに陥るしかないと言っていた。

あなたは彼らの体を清め、傷をすべて縫い合わせ、最後の尊厳を守った。名もなき者の死は空にまかれ、大地に向かって落下し、大気圏で燃えて願いを託す流れ星となる。名のある者の死は沈黙から始まり、慟哭は永遠に終わらない。

彼らがどちらに属すかはわからないが、誰かの泣き声が聞こえることをただ望んでいた。

生態管理員

生物圏のドームを通して、緑豊かなキャビン内の空間を一望した。数千万もの住民が、消えてしまった世界からここへやってきて、夢にまで見た安住の地を手に入れる。アスト-Ⅱの外層にある宇宙ステーションは、悲しみの涙を流す人に対して惜しみなく開かれていた。

あなたは手を振って霧雨を降らせ、木々が新しい芽を出すのを待ち、再び太陽を目覚めさせる。小さな人類が小さな世界で自然の偉大な力をコントロールしているのは、破壊のためではなく、世界の弱い生き物を守るためなのだ。あなたは自分の手で水やりをした森で真紅の果実をもぎ取る。果樹農家もうらやむほどに、その果実はとても甘かった。人々は歌を歌いながら踊り、あなたを胴上げし、初めての豊作を祝った。

都市復元師

船の窓辺に近づくと、眼下には荒廃した世界が広がっている。戦乱で地表は完全に破壊され、反物質爆弾の貫通力は平野に巨大なくぼみを作り、地底の都市空間すらも粉々に破壊するほどだった。人々はあなたを見上げている。それは最もよく知っている表情だった。期待や悲しみを失い、最終的には怒りさえも失った空洞のようなそれだ。

しかし、あなたは落胆しない。たとえ100琥珀紀も前に永い夜の中で滅びたカルギャ共和国であっても、歳月の糸をたどり、その領土を再構築し、過去の物語を描き出すことができる。ましてや今のハロワは、人々が生きてさえいれば、たとえ1000回、1万回破壊されたとしても、文明の花が再び咲き誇るに違いない。あなたは麻痺した数々の顔に向かっていき、彼らのために壁を築き、がれきの中で文明を復元するのだ。

建創者

はるか遠くの世界が破壊の怒号の中で消え去っていく。ボヴィーリ-Ⅲに住む人々は、終末を告げるガンマ線バーストが、磁場による妨害を突破し、彼らの肉体を腐食させるとは思いもしなかっただろう。あなたは星間救助船の窓辺に近寄り、日に日に崩れていく故郷を見ると、まるで恐ろしい地獄のように思えた。幸運にも逃れたあなたですら、遺伝子修復薬を生涯服用し続けなければならない。

死神は狂人のように、一切の予告なしにすべての文明の扉を叩く。あなたはついに、その「愚かな」神が壁を築く意味を理解した。生き残るためには、前もって備えなければならない。あなたの世界はすでに死んでいるが、まだ生きる権利を持つ人々が大勢いる。あなたは彼らのために高い壁を築いた。大きな影が山脈のように連なって空を覆い、父親と母親の腕のようにさまざまな苦しみから守ってくれるはずだ。

惑星清掃員

第10238自然日。クビダ星雲の汚染の原因はまだ除かれていない。あなたはガラスの山に腰掛けている。漏れたエネルギーが溶け出すまで、ここは砂漠の一角だった。改造された身体がギシギシと軋むが、落ち着いて計器を調整する。空気中に取り残された放射性物質を吸収し、熱を帯びたカラフルな結晶へと変えるために。

第27349自然日。クビダの第3惑星。汚染はまだ続いている。花を植えたがいまだ芽は出ない。彼らはあなたの努力を嘲笑う。「焼け石に水だ。母星はすでに静寂の墓地と化し、新たな生命は二度と育たない」。それでもあなたは土を掘り返し、壊変を加速させる薬剤を撒く。あなたは生命が再びこの地に戻るまで、土地の隅々を黙って歩き続ける。

文明通信教育員

唾棄すべきものがあるとすれば、それは弱肉強食という野蛮な摂理だろう。高度な知識を持っていても天外の文明の砲火には及ばないのであれば、どんなに偉大な文明も哀れな従属国に成り下がる。これらの愚かな生命は、カンパニーや他勢力にしてみれば資源を産出する安価な労働力にしか見えないのである。

あなたは無数の星に知識をもたらす存在だ。知識を住民たちに無理やり与え、幼い子供たちが心ゆくまで知恵を吸収できるようにしている。おかげで野蛮な狩猟から宇宙進出まで、文明の歯車は今や止められないほど早く動くようになった。まるで言葉を覚え始めたばかりの子供が1日で走り出すように。殻を破る り初めて鳴いたばかりのハードイーグルが飛び始めるように。

絶体絶命のこの時代で、なりふり構わず走る者だけが自らの文明を守ることができる。

墓守

銀色の護衛艦隊が、果てしない闇の中を航行している。艦内には足元に広がる生気のない大地がホログラムで映し出されているそこには機能を停止したコンピュータ群、崩壊しコケに覆われた都市が映っていた。あなたは廃墟の下に何が隠されているのか知らない。だが、自分にそれを守る使命があることだけは分かっていた。

種族の裏切り者たちは罵られながら広大な星間に旅立っていった。あなたも行きたかった。だが、同胞たちの非難の眼差しには耐えられなかった。これまでに受けた教育、家族、そして脳内チップに刻み込まれた原始的な論理を裏切ることはできなかったのだ。だからあなたは肉体を捨て、脳の細胞を艦隊と一体化させた。かつてあなたを作り出した家族がしたように。

あなたは永遠に死の街を守り続ける。もはや誰のために守るのかを問いはしない。

多情な守護者

怒りの王の審判は恒星が照らすあらゆる土地に及び、エントロピー増大の制限が歌声や踊り、詩を殺した。笑いを誘う言葉は皇帝の権力への不敬であり、自由奔放な民は王位への冒涜とされた。抑圧の風にもはや温もりは無く、重くのしかかる星空の下には虫の声ひとつしなかった。

あなたは情動の化身となり、軍隊の前で熱弁をふるった。いばらを背負い、物語でいっぱいの本を守って、おとぎ話を人々の中に呼び戻した。鋼鉄の殺戮者も笑いをこらえきれず、無数の機械型スウォームも美しい夢を押しつぶせなかった。血まみれの身体を引きずって鉄のジャングルへと入ったあなたは荒唐無稽な法令を燃やすのだった。

あなたは厳粛な態度の戦士だ。だが、人々の笑う権利を守るために命を賭すと誓ったのだ。

ハートレスジャイアント

痛みを感じた。朽ちた両足はもう存在しないというのに。建創者の印があるネジ、非常に頑丈な大盾——体中の部品が次々に取り外され、「存護」の旧憶としてカンパニーに売られていった。あなたは結晶素子安定装置を彼らに売った。それは戦争中の傷跡を刻んだ耳だった。合金の腕も売った。それには虫卒の血液による腐食がまだはっきりと残っていた。そして結晶センサーも取り外して売った。それは、あなたが最も誇りとしていた、かつて琥珀の王を見つめた目だった。

しかし、それではまったく足りなかった。飢餓と貧困は虫の鋏角よりも恐ろしい。あなたは建創者の心臓部を捧げる見返りに、この地のすべての人々が二度と飢餓に苦しまずに済むという取引をした。あなたの顔に何か触れた。鳥かもしれない。あるいは人々の笑い声だっただろうか。

記憶

燭炭学者

狭い図書館で、あなたはゆっくりと本のページをめくる。しかし、ちょうどヨーランダの戦いで百万の守備軍の部分が虫に食われていた。こうなったら、彼らは真蟄虫に対抗できなくなるのではないか?あなたは怒って次の章までめくった。なんどニワルドの死が嘘ということになっていた。そこには彼がまだ生きていて、小惑星帯の影に隠れているだけだと書かれている。

実に荒唐無稽だ!あなたはそれらの記憶を修復することにした。黄ばんだ過去から真実を見つけ出し、欠けている部分を埋める。そして、歪められたり、虚構で脚色された章を切り捨て、本来の姿に戻した。最後に、ボロボロにされた本の傷を直し、傷から血が流れなくなるのを待ってから、本をなだめて図書館や資料庫に戻す。

あなたは歴史の修復士で、失われた溝を埋め、汚れた歴史を洗い流すのだ。

伝記作家

物語を聞くのは好きだろうか?誰かの恐ろしい冒険、誰かの愛の叙事詩、それらは鍾乳洞の中の鍾乳石のように、記憶の水滴が流れ落ちて比類なき宝物を作り出す。老婦人は大声で笑った。彼女はユニコーン星雲を航行していた時に隕石の雨によって墜落したが、救助船上で何年も会っていなかった旧友に偶然再会できた。提督は顔を覆って泣いた。彼の誤った判断により、艦隊はゴールデンシトラス星雲での最終戦で惨敗し、彼は3本の腕を失い、大きな翅も2度と空を飛べなくなった。あなたは彼らの物語を書き留め、彼らと共に笑い、彼らと共に泣くのだ。

あなたのことを知らない人がいるだろうか?ニューロンテネオンの伝記作家——シーッ、耳を傾けよう。次の物語がもうすぐ始まる。

武装考古学チーム

どのように砂泥の中から過去を見つけ出すのか?頭に3つの角を生やした古獣は、海に溶けた山々の中で消え、一つ目の人喰いヒドラは植民地船の輝きの中で静かに姿を消した。スキャナーは大小を問わず、骨や痕跡をすべて焼き付けた。それらはバラバラに積み重なり、あなたが整理しなくてはならない。

石の中には過去が記録されており、あなたは粒状の果実の中に花畑を見る。ドニ人はそれを飲み込み、移動の飛行中に大陸の彼方へ撒いていた。クモの巣状の塔が大陸の端に立ち並び、金色の植物へと進化して泥の隙間で成長している。そして熱波が押し寄せ、藻が湧き出し、古い周期を終わらせた。

あなたは炭化した過去を集め、昔の秘密を今日語る。

記憶医師

記憶の末端をかすかに動かし、一筋の痛みを抜き取り、廃棄された憶泡のタンクに捨てる。クビダ星雲の汚染物質漏洩により、愛する肉親は避難の中で離散し、長年飼っていたコメットテール・ルシニアもかごの中で病死した。多くの失望により少年は心を閉ざしてしまった。彼はあなたの前に来て、人生を丸ごと消去したいと言った。

予備の記憶庫を開くと、死に赴く戦士や遠くへ旅立つ旅人たちが治療のお礼として渡してきた、それらの記憶が入っている。破ることのできない約束、悲惨な故郷を再建する情熱、ほんのわずかな変更、現実に打ち勝つ勇気…あなたは注意深くそれらの薬を選び、正しい比率で少年に渡すと、彼は家族を探す旅に出発した。あなたはドアを閉め、短い休息を迎えた。

天体計算機

これは非常に長い話だ…あなたは冷却液に浸かり、データがパイプラインを通って流れている。

郡星がまだ過去の位置にあり、宇宙がまだ静寂に包まれ無音だった時代、貪欲な学者たちは黒闇の中で巨大な目を作り、未来の色をすべて見通そうとした。彼らの未来は想像よりもずっと短かったが、その目はすべてを記憶していたのだ。

あなたは星の明滅を計算した。それらは急速に変化し、古獣に吞み込まれ、スウォームに襲われた。そして周囲は再び静かになり、目だけが依然として記憶していた。いつの間にか、漂流してきた放浪者たちはあなたの体に新しい国を建て、意気揚々としていた。理想の国が戦争で沈むまでは…あなただけがそのことを記憶している。

沈黙の狩人

統治者たちや名家の事跡は宇宙全体に広がり、誰もが知っている。あなたにとって、それはまさに最もつまらない話だった。亜空間跳躍船で旅する若者は、暗い地底で鉱石を掘るテルラ人がスターピースネットワークにさえ接続したことがないとは想像もつかないだろう。ピアポイントで飲んだくれている大商人も、超距離輸送ポートの搬送作業員の悲哀を聞くことはない。

彼らの声はあまりにも小さい。初冬の雪のように、固まる前に溶けてしまうのだ。あなたは声なき者たちの代わりに叫び、宇宙に塵埃の声を聞かせる。あなたは暗闇に潜り込み、人々が穏やかに沈黙へと向かわないようにする。あなたは人々から軽蔑される泥の中で歓声と笑いを記録し、独裁者と虐殺者の戦場で悲哀と邪悪を記録する。

もし世界中の人々が言葉を失えば、あなたは彼らの最後の代弁者となるだろう。

ガーデン・オブ・リコレクション

美しく繫栄した世界で、メモキーパーが足を踏み入れたことのない場所に新しい顔を織りなす。若くも老いてもいないその顔は鏡には映らず、人々の目の中でのみ、優雅に路地を歩く。牧童の歌声の中にある夜の冒険とキャンディーとを交換し、悲しむ若者の目は遠くへ旅立つ恋人を見つけた。あなたは老人のために戦友たちの顔を見つけ、代わりに老人は天に達する巨塔を倒す悲惨な戦いを恵んだ。

知的生命体は宇宙のはかない存在にすぎず、遠くの草原から都市の半分を占める跳躍ステーションに至るまで、それらの建造者は長い歳月を経験してきた。しかし、クリムファンウルフが進化にかけてきた時間に比べればささいなものである。あなたは知っているのだ。目の前の物語はいずれ消えるが、物質を超越した浄土では、記憶は永遠に不滅であることを。

意識審査員

あなたはわざと転び、彼に抱え起こされた。その時、あなたの指先が彼の首筋をかすめ、彼の潜在意識の奥底にある記憶を、鎌のようにして刈り取った。即ち黒々として、粘り気があり、血なまぐさい有毒なデータを。彼は深夜のように暗いネットワークに潜む物語をのぞき見た。それらは息をひそめて脳内に根を張り、宿主が侵蝕され発狂するまで静かに待っている。しかし今はそれも、無毒な掌の灰に過ぎない。

デジタル生命の侵入に、ウイルスミームの伝染。それらは太陽の光すら届かない意識の隙間に潜伏して、神聖な記憶に穢れをもたらす。あなたは死神へと姿を変え、人混みをすり抜けながら、デジタル生命やウイルスミームを追う。あなたの尽力により、間もなくして穢れは取り除かれ、それらは永遠に収監された。この世界には、やってはならないことがあるのだ。記憶すらも残されるべきではない。

漂うミーム

ある1つの言葉がある。それは、ピアポイントの最も裕福な商人でさえジョークの中で喜んで口にし、場を和ませるために使う。ある1つの物語がある。それは、エーテルネットワークの交流で広がり、ハッカーたちが嬉々として口にしたことで宇宙全体に広がっている。

あなたは煩わしい身体を捨て去って、自己の情報をミームにまとめ上げた。誰かがタップして再生するたび、言語中枢にあなたのコピーが生まれる。大脳が流行語を解読してデータに保存することで、新しい自我が認識されるようになる。言葉やジョークに付着した蠕虫のように、共感覚ビーコンの軌跡に沿って、感染を受け入れた意識体に向かって這い進む。

ファッションに身を隠し、流行のなかを泳いで、音もなくひっそりと人類の記憶に寄生するミームが存在する。

傷痕の墓

永遠に朽ちぬものなどない。永遠そのものでさえも。人間は死ぬと、肉体が腐り、話題に上らなくなり、ついには存在を忘れ去られてしまう。——あなたは子供のころ玄関の前にあった大きな木を思い出した。その大樹は、小枝の折れたところから樹液が膿のように流れていたが、ほどなくして完全に癒えた。しかしあのおどろおどろしい傷跡は永遠に残るのだろう。土壌が汚染され、ビルが次々と崩壊するその時まで……

宇宙に傷跡を残し、苦しませ、自分の名前を記憶させるのだ。粉砕された星々が燦然と光を放ち、壊滅の光景が生きとし生けるものすべての目に焼き付けられ、この日の恐怖があらゆる世代に永遠に受け継がれていく。死の呼び声は世界の終末に向かって進む。数千、数億年と時間が経ち、壁を築く琥珀さえも崩れ落ちたとき、遥か彼方にいる人の目に死の光が遅れて届くことだろう。

時計の針が止まった。あなたの時間は二度と戻らない。ただ破滅の傷跡だけが、悪夢の中で過去を語り継いでいる。

浄化者

子どもたちは反物質レギオンの戦火に震え、正気を失った。老いた者は薬師の奇跡に心を奪われ、薬を求める旅に出た。意識こそが苦痛の源であり、記憶こそが悲しみの根だ。もし現実のさまざまな苦しみを生み出したものがあるとするならば、それは知恵のある頭脳の汚れた過去にほかならない。

あなたは幸福の記憶を消し去った。そうすれば、もう誰も苦痛を感じることはない。華やかな記憶も粉砕した。そうすれば、もう朽ちていることに気づかない。あなたが嘆きの星を通り過ぎるたびに、彼らはもう泣く必要がなくなるのだ。あなたが失われた過去を消し去るたびに、彼らは軽やかになる。この世界で二番目に純粋なものは、生まれたばかりの子どもはこの世で2番目に純粋だ*。彼らは何も知らないのだから。最も純粋なのは川辺の石だ。それらは知ることすらできないからだ。

書を著す者

どれほどの物語が忘却の中に沈んだのだろうか?あたかも最初から存在していなかったかのようだ。あなたはエネルギー貯蔵装置をいっぱいに載せた艦隊が、星間エネルギー戦争の中心へと向かうところを見た。しかし、彼らは二度と戻ってこなかった。あなたの友人も、愛する人たちも。輝く星をさまようなかで、あなたはプラズマで整えた羽根で空高くはばたく鳥を見た。だが、その姿は二度と見られなくなった。あなたの故郷や生まれ育った星も。

どれほどの苦難や英雄たちが時の流れの中に消えていったのだろうか。まるで彼らなど最初から存在せず、ただの一度も努力をしなかったかのようではないか!あなたは漆黒の億質を突き破り、その奥深くから虫食いだらけの記憶を取り出して、再び本のページに記すことで、彼らの足跡を虚無のがらんどうの中から証明しようとしている。

あなたの体はもう大半が侵蝕されてしまい、夢と現実の区別すらつかない。それでも宇宙のために記すのだ。

虚無

ナイトウォッチ

ロウバイ-Ⅱが重力崩壊によってブラックホールとなり、無数の観光客がその光景を眺めている中、あなたは観光船の防壁を開き、光と闇が交錯する視界に向かって飛び出したい衝動に駆られた。死は常に人を誘惑している。それはまるでジャングルの中で最も鮮やかで香りのよい食虫植物のように、方向を見失った虫を引き寄せ、それでいて彼らの前途を断ち切るのだ。

人生はどこへ向かうべきか?あなたには分からないが、答えが死ではないことだけは確かだ。あなたは悲しい物語をすべて聞いた。そうした話は銀河の隙間に浸透し、絶望の道は一歩たりとも進めないほどだった。それでもあなたは、ブラックホールの縁に立つ守護者であり続け、虚無に飛び込もうとする子どもたちを捕まえ、「未来は別の方向にあるはずだ」と伝えたいと願っている。

血罪霊

彼らは目標のデータをあなたに送り、遠くから見ているだけで、近づこうとはしない。あなたは「動くナイフ」と呼ばれ、依頼をこなす中でも効率的に敵を排除するだけで、自我のようなものは全くなかった。あなたは気配を潜め、人間や機械の視線を避け、仕事を一瞬のうちに終わらせる。それはまるで水を飲むかのように自然だった。あなたは相手の表情、驚き、そして恐怖を思い出そうと試みた。性格の悪い暗殺者はそれに喜びを見出せる。あなたはそれらから自分の終わりを見た。

用済みになれば捨てられる。あなたは最初からこの道を歩むべきではなかった。しかし、フレイアによる血なまぐさい弾圧の中で、誰もあなたに手を差し伸べたことはない。倒れた捜査官も、あなたに選択肢を与えたことはない。雇い主の使用人たちがドアをノックする。あなたはいつものように立ち上がり、ドアの外に出ると、自分がすでに死んでいるという事実に直面する。

凡庸な人たち

少年から花を受け取ると、彼の触角がゆっくりと動き、微妙な電磁波があなたのセンサーに入力され、彼が抱く名残惜しい気持ちでいっぱいになった。素朴なハチ目の住人たちは複眼のない種族を受け入れることはできないものの、あなたのことを友人と見なし、あなたを連れて蜜畑と巣穴の間を行き来した。あなたの本には、彼らはアナイアレイトギャングよりも野蛮で忌々しいと書かれている。

あなたは混乱し始めた。何が真実なのか?傲慢さと偏見が知識に浸透し、「完璧で欠陥のない」宇宙モデルを形成した。そのため知識の価値が薄れ、それらが誰でも手を加えられる砂上の楼閣になってしまっている。

あなたは自分が道に迷っていると分かっているが、どの方向へ行けばいいのか見当がつかなかった。次の星で答えを見つけられると思うたびに、疑問は増えていく一方だった。

激雷バンド

舞台の中央に立ち、空に浮かぶ淡い赤をじっと見つめているあなたは、何が起こるか分かっていた。待ち望んだ未来はいつまでも訪れず、悲しく痛ましい過去は白色矮星の渦に消え、最後にはすべてが静寂と帰すだろう。臆病な老人は星船で逃げ、力なき子どもたちは路地で泣いているが、あなたはそこに立ち続け、最後の命を燃やしている。

あなたは、もはや何の意味を持たず、誰も結末を変えられないと分かっていた。しかし、それでも歌を歌い続けた。この忌々しく、古臭いが温かい星について、この殺戮の太陽について歌った。それは眩しいが美しかった。

万物が終わろうとも、あなたはこの憎々しい世界に最後の愛を捧げようとする。この雷鳴のような曲で全宇宙に告げるのだ。かつてあるバンドと「アイドロメダ-Ⅲ」という名の惑星が世界に存在していたと。

無我夢中の道化

あなたはタミ原虫の卵を一つ呑み込んだ。唾液が触れた瞬間、口の中で砲弾が爆発するように感じた。観客たちは腹を抱えて笑い、この滑稽なショーに拍手を送る。彼らはすぐにあなたを忘れ、もっと刺激的な出し物に目を向ける。あなたは誰よりも目を引くパフォーマンスを見つけなければならない。

ハイアイー連邦の養殖場を爆破し、ノーズウォーカーを大通りで走らせてもいいだろう。あるいは、大富豪の懐中時計を奪い、熱帯夜の都の自警団に追い回されてもいいだろう。それは自滅的で、無意味なものだが、人々はあなたの荒唐無稽なパフォーマンスに喝采を送り、全宇宙で最も滑稽な道化師を見て大笑いする。ステージは自壊し、観客たちは失望して去っていく。あなたは破れた布と破片の中に横たわり、悲しい自分を嘲笑するのだ。

自己実現サークル

宇宙の非情さは、魂の消滅にある。人々は最期に虚無へと歩み、未来も新生もなく、何も持ってはいけない。まるでこの世界に来たことすらなかったかのようで、それ故に死は恐ろしいものである。しかし、それでも人々は何かを残すことができる。虚無に対する抵抗として、そしてかつて存在した名前の証として。

宇宙を悩ませる謎を解き、公式や歴史に自分の名前を刻む。郡星を襲う疫病を治し、白水晶の彫像はあなたの命よりも長く続くだろう。時間はあまりにも短く、あなたの頭と手は休むことなく働き続け、公理を提案し、機械を作り出す。人々はあなたの勤勉さを讃えるが、あなたの恐怖を理解することはできない。

早く、もっと早く。永遠に忘れられることがないように、もっと多く創造し、もっと多く残すのだ。

自滅者

空虚な深淵は迷夢の中を旋回し、世界で最も暗い片隅よりも奥深く、光のない背景でも影を作れるほどだった。その渦をじっと見つめていると、無限に延長された命が砕け散り、地上から天空へと落ちていく。飛び起きて自分の分身をつなぎとめようとするが、伸ばした手が触れたのは冷たい壁だった。

ここはあなたの家かもしれないし、そうでないかもしれない。虫食いだらけの記憶は徐々に腐敗していく。もう一人の自分が出ていき、ドアを開けたが、闇に足を踏み入れるのが見えた。彼のもとへ駆け寄ってつかもうとするが、消えた両手をどうしても見つけることができなかった。

呆然と頭を上げた。太陽が大海原に沈み、溶けた雪のようだ。あなたもそれに続けて溶けていき、自我消滅する。もしかするとあなたは太陽そのものなのだろうか?そして再び深淵に落ちるのだった。

救助者

自分の一挙手一投足が完璧に予測されているのを、あなたはその目で見た。しかしあなたは理解している、自分たちはあらかじめ決められた軌跡の上を歩んでいるに過ぎないということを。虚無の輪郭があなたを包む。あがこうとも受け入れようとも、最終的には何もかも、すでに用意された物語の中で消滅するのだ。

あなたは受け入れるだろうか?忘却のみすればよい、心を無にして送ることができる素晴らしき人生を。いいや、あなたは抗うだろう!怒号を上げるだろう!あなたは、この哀しき宇宙に反旗を翻し、用意された物語から人々を救わねばならない。殺戮、壊滅。あなたは最も愛する人々に砲口を向ける。そこに躊躇いも苦痛もない。ただ一瞬目を閉じるだけで、彼らをこの死にも劣る世界から逃がしてやれる。ただし、あなただけは生きる苦しみに耐え続けねばならない。なぜなら壊滅による救いを待つ人々は他にも大勢いるからだ。

死を拒む者

冷えた病床で目を覚ましたあなたは、食べ物の甘い匂いを嗅いで吐きそうになった。ファシクスキー症候群は、免疫系から始まる身体の機能不全である。あなたがベッドの横を一瞥すると、つい最近までプールランの頭足類の患者がいた水槽が見えた。水槽の中では患者がぶつぶつとしゃべり続けていたので、一晩中眠れなかったものだ。ニュースでは、学者がブラックホールを充填したガラス瓶を視聴者に見せている。しかし病室から出られないあなたにとって、ブラックホールは遠い存在だ。あなたにしてみれば、この立方体の外にあるものはすべて、存在しないのと同じである。

生きるとは、まるで終わりのない戦いのようなものだ。誰かが勝ち、誰かが負け、誰かが諦めることを選ぶ。しかし最後に死がじっと待っていようとも、そこにたどり着く前に勝利するとあなたは固く信じている。

混沌医師

「虚無」、それは「存在」の上に根を張る不治の病。意識、生命、そして宇宙そのものを蝕んでいる。暗黒の空洞が自滅者の身体を蝕み、自己疑念の闇が文明をブラックホールへと引きずり込む。彼はなんと悲しい存在だろうか。そして、あなたたちはなんと卑小な生命体なのだろう。

あなたは彼が残した欠陥、すなわち人の心の空洞を埋め、意味のピースをその中にはめようとしている。あなたは夢心地で恍惚とした旅人たちを引き留め、雲と薬で世界の虚無を鎮めようとしている。あなたは渦に飛び込もうとする者たちを救い出し、破滅に陥った魂たちを慰めようとする。やがてあなたは、自身の存在を証明し、万物に意味があることを証明するだろう。

いつの日か、あなたはその漆黒の天体に対峙し、世界に「存在」する神を癒すのだ。

仇取り代行

依頼のメッセージが結晶体の奥深くに届き、正確な座標情報が示された。あなたは知識別フィールドのバリアを抜け、郊外へ向かう船のチケットと10立方メートルの酸素使用権を買った。古びたアパートの階段を軋ませながら上がっていくと、そこにはまだ1万システム時間も稼働していないであろう若いオムニックがいた。怨恨か、痴情のもつれか、あるいは商売敵なのか?隔離扉を通り抜けたあなたは、彼の眉間に銃口を向けた。

彼は困惑していたが、その論理回路は状況をすぐさま理解した。誰が自分を殺そうとしているのか、その理由も分かっている。だから彼はあなたに多額の報酬を払い、コアを1つと頭2つを持たせて帰らせた。互いに恨みを晴らし合い、殺しに殺しで応じたのだ。好奇心などない。あなたは彼らの望みを叶えただけだ。

相対トレーサー

歴史に埋もれた 「相対的認知」——なんと華麗な箴言だろう。自我が崩れ行く中でその 「藁」 を掴んだ時、あなたは既に消滅した学派の敬虔な信者となっていた。あなたは分かっていた。俗にいう現実は、混沌とした細切れの認知が島となって流体に浮いているようなものにすぎず、信じるものが変われば、世界はあなたの想像に応じて形を変えるのだと。

あなたは全てを説く法則を信じ、もう美辞麗句に惑わされることはない。あなたはキャンバスに自分の世界を描き出す。そこには抽象的な概念も、天体を引き裂く引力も、絶対不変の真理も存在しない。あるのは可塑性のある認知と虚無だけだ。目を開けていれば世界は目の前にあり、閉じてしまえば世界は消えてしまう。

彼らはあなたの詭弁をあざ笑い、狂人と言った。それからあなたは彼らの声に耳を傾けることをやめ、あなたの世界で彼らを殺してしまった。

豊穣

造翼者

あなたは空を飛ぶ感覚が好きだ。天を衝く双翼が風の中で羽ばたき、敵の銃弾や砲弾がそこを真っすぐに通過した。それらはすぐに癒え、其の印を残した。背中に翼を持つ使者は巨木を選んで住み、俗世の弱者を雲の中の国へ移り住ませ、苦しみに満ちた人間界に豊穣の奇跡をもたらす。

あなたは「枝先」から急降下し、耳には空気が爆ぜる音と塵民たちの悲鳴が満ちている。そうした下等生物はひれ伏すべきであり、愚かに反撃するべきではない。ある獲物を捕らえ、雲の中に引きずり込む。恐怖に満ちた悪あがきがあなたを興奮させる。彼はあなたに感謝すべきだ、下僕として連れ去られたのだから。悲鳴は地面に遠く響き、やがては泥となって消えた。

あなたは天上の雲君であり、地上の生命を支配している。

慧駿

厚い装甲が攻撃を遮り、星槎に衝突しそれを破壊する。あなたの四肢は無尽蔵の気力を持っているかのように、何ものにも縛られずに戦場を駆け巡る。敗北は草を育み、真紅の血は川の流れとなる。世界はどこもかしこも原野であり、あなたはそこを踏みにじりながら行き来を繰り返せる。

あなたは手に持った生体武器を振り回し始めた。それは歩離人によって作られた長槍だ。その触手は敵の胸を突き刺し、獲物の肉体を吞み込む。あなたが火の海を突進するたび、敵の喉と槍先から同時に悲鳴が上がり、冷たい夜の嵐のように吠える。

原始的な衝動、野蛮な喜びがあなたの体内で噴き出し、鉄と火の時代に殺りくと狩りの自由を取り戻そうと渇望している。あなたは止まることなく進み続け、やがては自らも破滅を迎えるだろう。

共生体

また幼虫からサナギが生まれた。あなたは皮膚の下で続くかゆみや、ノコギリ状の歯で噛まれるような痛みを感じる。それは邪魔な皮下組織を食べ、コロイド状の分泌物と傷口の膿が混ざり合い、巣の内壁で固まって不死の肉体の温床となる。

それはゆっくりと動き、体の方向を変え、無数の仲間たちと同じように」、皮膚層の最後を突き破ると寄生生物の体表から這い出る。あなたは安堵しながらそれを撫でた。乳白色の幼虫が頭を上げ、本能的に指先へ噛み付き、与えられた血肉を呑み込む。

なんと温かい痛みなのだろうか!全身に広がる奪魂蜂が神経を毒で麻痺させ、群れが歯をぶつける音は優雅な協奏曲のように響く。あなたは狂ったように笑い、この素晴らしい長命を喜んだ。

長命の見知らぬ人

長命は不死の呪いであり、同時に永遠の祝福でもある。すべての生き物は苦しみ、誰も助けてはくれない。あなたは薬師の奇跡から仙薬を求め、慈悲の教えに耳を傾け、そして衆生を苦しみから救うため、帰ることのない旅に出た。

カムジャードの摂生王は惑星全体の鉄を融解し、3千万の目と耳を作り出し、国民のすべてを監視した。あなたは子どもの泣き声を聞いて立ち上がり、王城に向かって彼の首をはねた。プールランの悪魔は星雲の中を這い回り、不気味な触手で宇宙船を呑み込んだ。あなたはボートに乗り、その腹の中に入り込んで心臓をえぐり取った。

柳の枝が胸に絡みついて腰まで伸び、命を落とすほどの傷が増えていく。それはあなたの旅がまだ終わっていないことを教えてくれた。長命の者には長命の責任がある。あなたは鉄をも断ち切る宝剣を手に取り、星間の助けを求めることに耳を傾けた。

視肉

繁殖…繁殖、繁殖、あなたは前方の熱源に向かってゆっくりと動くと、それは必死に抵抗していた。青い炎があなたの体を突き抜け、あなたを引っ張るように宇宙空間を航行する。あなたがその外壁を食い破ると、粘性のある体が亀裂から内部に浸透し、大きな体積が内側から破壊する。あなたはさらに小さな目標に向かい、それらの突起をはい登り、体内に引きずり込んで消化するため、全体を覆うように広がった。

何かがあなたの表皮を刺激している。あなたはその方向に目を生やし、それらに狙いをつける。そして同じものを模倣して成長させ、熱源の攻撃に応じるのだ。あなたは体を3分の1伸ばし、それらを捕らえると金属と接続させた。十分な栄養によってあなたの細胞が震え、より多くの子供を分裂させるのだ。

歩離人

器獣の鋭い歯が戦場を裂き、恐ろしい姿をさらけ出す。獲物の艦橋を噛み砕き、相手の反撃も同時に呑み込んでしまう。食べたものの根が脆弱な外皮をはがし、その攻撃に沿って敵の船に飛び移る。血管の中の叫び声があなたを奮い立たせ、まとっている甲冑も雄たけびをあげる。

牙が喉を突き刺し、爪が甲冑を引き裂く。臆病な霊長類は狼毒の猛威に震え上がり、あなたはまるでアリを潰すかのように彼の命を奪うが、やや退屈に感じてしまった。奴隷しか使わない武器である皮膚に食い込むむずがゆさを無視し、崩れ去った獲物に迫る。その体が徐々に膨れ上がっていった。

弱者はオオカミの群れにすべてを捧げる。それが自然の理だ。羊の群れの血を飲み干し、肉の付いた骨をかじり、悲鳴を上げる毛皮をまとい、戦いの刃は土地の隅々まで踏破した。

薬乞い

星系内の333の国は最後の名前を残すだけとなり、破滅の運命が死者の呪いを辿って訪れる。週末の争いが限界なき傷を持ち去ることはなく、全住民に及ぶ染色体の断裂と粉砕は、地下シェルターに隠れた総統ですら免れることはできない。

一生分の学識を尽くしても、変異と器官の衰弱は人々を確実に死に導こうとしてくる。それは背中に枝を生やした異郷の使節が仙薬を持ってくるまで続くのだ。彼は腐敗の蔓延を止め、死の淵に瀕した国民を救いたければ、其の力に頼るしかないと告げた。慈悲なる薬王が苦痛を癒し、長命の薬が汚れた世の中の欲望を消し去る。

望海星雲の艦隊が出発する。薬師が持つ仙薬を求め、死と疫病の猛威を断ち切るために。

小守樹

葉は空を隠すかのように天へ伸び、恒星の光を浴びる。枝は重力で垂れ下がり、根元の新芽は木漏れ日を受けて成長する。余った養分は師管を通って入り組んだ根へと運ばれてゆく。太陽に近づくために背を伸ばしたいというそれらの願いを、あなたは喜びと共に受け入れる。

新芽があなたの体内に根付き、多くの生気を吸い取っていく。黄色く枯れた枝葉は腐敗して肥料になり、また新たな生命を供給する。太陽にたどり着くまでに、あとどのくらい成長する必要があるのだろう?あなたの身体は、複雑に絡み合う根で満たされている。あなたの死体の内側で、木々は目の前にある太陽へとまた一歩近づいていく。やがていつしか根は火の玉を包み、星をも飲み込むのだろう。

死を求める狂人

フレイア星の電離層から飛び降りた。荒れ狂う大気があなたの肉体を蝕み、皮膚を剥がし、骨を焼く。自己再生は間に合わず、あなたは肉塊となり地に落ちた。廃墟となった街に横たわるあなたを、地元の悪党どもの銃弾が温かく歓迎する。彼らは発砲したあと下卑た笑いを浮かべていたが、次第に静かになり、恐怖に慄き始めた。

不死身ほどいいものはない。不死身だからこそ、リドマン星の森に飛び込んで殺人鳥フォルスラコスの腹に収まり、かの鳥を内側から切り裂くことだってできたのだ。あなたは、ある一つの考えを巡らせる。もう一度、トルタニの沐浴を試してみたい。そしてあなたは実行した。消滅によって残った放射線があなたの皮膚を爛れさせる。穴という穴から鮮血が流れ出る。ああ、苦痛は生に満ちている。

あなたは死ぬ。もう一回、もう一回と。更なる強烈な刺激を味わうために。

奇談怪医

人々はしばしば「生きていてこそ喜びを味わえるのだ」と言う。頬は笑顔の土壌であり、足の指は海の波のくすぐったさを、そして腕は抱擁の温もり伝える。笑顔は癒しの代償であり、また命の報酬でもあるのだと。

あなたは曲げた枝と飲み干す歓喜で心臓を作った。それは常に血を吸っている。あなたは皮膚や肉体を見つけてきて、手のひらを培養した。それは物語の終わりに必ず拍手を送るだろう。足の不自由な者の義足は、音楽が鳴れば踊り出し、声を失った者の喉は、政治家の虚言を嘲笑する。あなたが癒した場所は、どこも制御不能な笑いに包まれている。腕、心臓、皮膚、さらには細胞までもが声をあげて笑っている。極めつけに、恐怖にゆがんだ顔さえも思わず笑みを浮かべるのだ。

あなたは幾千もの星々を旅し、生命に平等な喜びをもたらす。

火起こし師

心臓に毒素が溜まり、忌み物が腕に寄生している。あなたは不治の病を数多く見てきた。手の施しようがない患者たちは、病の苦しみの中で目を閉じることもできなかった。そうした病の一部は遺伝子に根を下ろし、除去してしまえば免疫システムの完全性が損なわれることがある。また、ある病は患者の生命と一体化し、治療すれば患者も命を失ってしまう。

あなたは病の宿主もろとも病の根源を焼き払った。「破壊なくして新生なし」という名の簡単な処方箋を出したのだ。病に侵された心臓は高温によって一瞬のうちに気化し、病の枝葉が広がる腕は水流によって瞬く間に消し去られた。破壊はあらゆる病の天敵である。ひとたび炎で焼かれれば、どんなにおぞましいウイルスも隠れ場所を失う。あなたは炎を見つめた。それは患者に純粋な反物質の身体という新たな依り代を作り出すのだ。

薬採り

世間では、病を癒し、苦痛を取り除くと言われる「豊穣」こそ最高の霊薬とされている。しかし、癒されるべきでない者が不老を手に入れ、生きるべき者が道半ばで倒れていく。薬採りよ、あなたが採ったものが薬なのではないのだ。あなたこそが薬なのだ。

重病に苦しむ者は無一文の者は、あなたを神のように崇めて彫像を作った。時の権力者は富豪たちは、あなたを薬と見なして檻に閉じ込めた。搾り取られた血は試験管に入れられ、毒薬に加工された。彼らは死に際にあなたの胸に銃弾を撃ち込んだ。だが結局、不老不死は薬採りだけなのだ。

その祝福は消えなかった。あなたは星々を巡り、溢れ出る生命力を生きとし生けるものに返していった。しかし貪欲は常に善意を上回り、災厄は治療に先んじて訪れる。薬採りよ、これがこの世界にも言えることならば、良薬とは一体なんだろうか?名医とはいったい何なのだろうか?

巡狩

辺境惑星のガンマン

ヘルドリンでは殺人事件が日常茶飯事で、辺境の星系に隠れ住む密航者たちは許されざる血なまぐさい罪を背負っていた。管理者が見て見ぬふりをする中、この地を第二の盗賊の楽園にしようとしている。あなたは彼らのゴーグルをハッキングし、コマンドを受けたサポート機器が攻撃を遮ると、室内に充満した麻酔ガスが犯罪者の反撃能力を素早く奪った。こうして日々の業務を完遂している。

粘性生物の宇宙船に潜入し、攻撃を仕掛けようとしていた腺体を麻痺させた。外骨格を身にまとって違法な憶質の取引現場に乗り込み、ハーベックの傭兵と白兵戦を繰り広げる。これら大小さまざまな混乱は永遠に終わらないように思えた。

しかし、あなたは前進しなければならない。ヘルドリンの平和のために。

記憶喪失者

あなたはとても重要なものを失った。巧みな手口の泥棒が、頭の中であなたの過去を物音も立てずに盗んでいき、強引に穴を胸の中に掘ったかのようだった。焼却人、ホルシュタインの大沈黙......こうした名前を耳にしたことがあるが、自分の身の回りで起こるとは思いもしなかった。彼らはあなたの心の半分をくり抜き、そうした記憶を廃棄物とみなした。

大切な記憶が無造作に捨てられるのを許せる人などいるだろうか?あなたは彼らの影を追い、怒りに満ちた復讐の旅に出る。他人の記憶を支配する権利を持つ者などいない。あなたは自分の物語を取り戻すのだ。たとえそれらが焼却されてしまっても、非情な盗賊を捕らえ、彼らの傲慢な行いに代償を支払わせなければならない。

平和主義者

カミットのグンタイアリ、食ケイ花、そしていたるところにいるコルキス人など、超遠距離転送技術は大規模な商品流通だけでなく、数え切れないほどの種の移動ももたらした。それらはコンテナの中、客のそでの中、さらには腹の中に隠れ、検疫装置の目をかいくぐっている。その結果、群れとなった真菌が星を吞み込み、赤潮が広がって海を窒息させているのだ。

あなたは各拠点を回り、それらの痕跡を追いかけ、知恵を絞ってその場所にいるべきではない生物を消滅させなくてはならない。ハチがアリの体に寄生し、毒の雨が花の表皮を焼き尽くす。さまざまな状況に応じて策を講じ、取り返しがつかなくなる前に、容赦のない手段で絶滅の星火を止め、群星に平和の静けさを取り戻させなくてはならないのだ。

天災抑止機関

衰えた天体、飢えたスウォーム、漂泊する食ケイ菌。厄災は宇宙のいたるところで常に繰り広げられている。たとえ「終焉」の導きの下で厄災前衛が駆け回っても、突然訪れる数々の厄災に対処するのは難しい。

あなたは宇宙を往来し、微妙な変化から未来のデータを収集していた。まもなく誕生する悲惨な結末を探し、厄災の到来より1秒でも早ければ、数多の命を救うことができるのだ。磁場を使ってオウロ星の新星爆発の粒子流を導き、途中でスウォームを爆撃してリイダ-Ⅲの住民の避難を支援するなど、努力次第では変えられない運命などない。

あなたの歩みは決して止まらず、死と一分一秒を争う戦いで常に先手を取れるよう努力している。

賞金稼ぎ

リストをはがし、指名手配犯に「ポン」と1発食らわせてその写真を撮れば、金が次々と懐に回ってくる。あなたはコメットバーで最も有名なハンターで、弱者には強く出るが強者を恐れる根性なしとは違い、常に最も危険な取引だけを受ける。広大な銀河には命知らずの悪党があふれているが、彼らは動く財布のようなもので、あなたに収穫されるのを待っている。

あなたは星間海賊の戦艦を砲撃し、押し寄せてくる護衛を手当たり次第に消し去ったが、彼らの下手な射撃があなたの人工的な体に大穴を開け、仕事の難易度を少しばかり上げた。あなたは緑色のカエルの頭を蹴飛ばし、手配書の容姿と照らし合わせて一人ずつ確認した。長いヒゲのゴキブリ、全身鋼鉄の鳥人、美観を損ねる連中など…あなたは彼らに引き金を引きながら、またどれだけ楽しい日々を過ごせるか心の中で計算していた。

熔火騎士

培養槽で目を覚ますと、女皇の幻夢に何度も現れた甲冑があなたの前に立っている。あなたは手を伸ばした。初めて使う体の未熟さによって手がわずかに震えていたが、どうにか指先で冷たい装甲の表面をなでた。その期待に応えるかのように、華やかな炎の輪が装甲を包み、あなたの体の一部となった。

すべての敵を消し去り、焼き尽くし、推進装置に点火すると、遺伝子に刻まれた動作がただちに実行される。スウォームに突撃しながら迅速に最も弱い部分を特定し、炎が空を覆うと陥落したグレイスターを照らす。殺りくの咆哮が意識の中で響き続け、あなたは怪物の心臓をえぐり出す。まるで幼虫が生まれながらにして咀嚼を知っているかのように、何千、何万回と同じ動きを繰り返す。

巡海レンジャー

今は最悪の時代だ。星海は罪悪に満ち、正義などまったくない。彼らは暴力が問題の最適解ではないと言うものの、正義が果たされない時、あなたは引き金を引くことを決してためらわない。復讐すべき時は復讐する、それが世界の基本論理だ。あなたは邪悪な獣の口から銃を抜き取り、丁寧に掃除すると勢力を拡大しようとする悪を芽の段階で摘み取る。

追撃は日常茶飯事で、狩りは人生の楽しみだ。ある地方を害する財閥はあなたを目の敵にしており、彼らは悪夢から目覚めた時にあなたの姿を見ることを恐れている。宇宙を荒らす戦争商人たちは、あなたを酒にして宇宙にまくと豪語している。しかし、実際にあなたに遭遇すると彼らは尻尾を巻いて逃げるしかない。

あなたは銀河の中心に吊された剣となり、傲慢で邪悪な者たちを突き刺すのだ。

リハーサル家

優秀なハンターは先手を打たない。獲物を誘導し、罠に掛かるのを辛抱強く待つのだ。あなたは前方の何もない空間に向かって射撃し、10秒のカウントダウンを始める。
2時間前。彼は上船を諦めて公共交通機関で交渉の会場へ行くことにした。オムニックの占い師の予言を受けてのことだ。1時間前。カプセルパイプラインの定期点検により30分遅延が発生した。彼はかなり焦り、なりふり構わず会場へと駆けた。2分前。交渉相手が強気で彼は苛立った。彼がいつものように外へ空気を吸いに出たところ政敵に出会った。彼は上辺だけの挨拶を7から9分程度交わした。そして9秒後。ついに彼は凶弾に出会ってしまう。

同形性法廷

審判の幕が再び開こうとしていた。しかしあなたは判決結果を既に知っている。人間は、罪を明らかにするために膨大な概念を用いるが、実際には報復だけがすべての道徳的な難題を解決できる。法廷の召喚状は大砲の音とともに届く。壊滅した法廷が真の原始的正義を例証する。
個人の所有物を盗んだ者は、光線によってその肉体を消滅させられる。弁償は破壊されて残った分から計算される。また戦争で他人の家を侵略した者は、故郷の惑星で大量殺戮が行われる。破壊される数は、死者数によって決まる。信用ポイントが余計に支払われることはないし、流された血が忘れられることもない。
あなたが木槌を叩けば、それ以上裁判を続ける必要はなくなる。法廷という巨大な船が出航して、宇宙に公平と正義をもたらす。

生を紡ぐ救世主

宇宙は網であり、生命はその模様である。生命が破壊されるたび、織機の飛び杼は涙の跡をたどり、まだ広がっていない傷を修復する。
あなたは銀色の「針」の中に身を置き、ラディカランの荒れ地を縦断し、戦争難民の身体を刺し、病的細胞を絞め、死の病を取り除いた。それからあなたは赤い「糸」の中に身を置き、クビダ星雲の汚染地帯を漂いながら、難民の遺伝子を絡め取り、種を存続させ、遺伝子の裂け目を修復する。
戦争や災害のない場所はなく、織機の飛び杼が止まることはない。あなたは泣き声が聞こえる場所に駆け寄ると、生命の網を織り、それを使って人類を病気や苦難から守る。いつの日かそれは破られるだろうが、宇宙から嘆きがなくなるまで、あなたは何度でも修復するのだ。

巣離れの浮浪者

正義の力が強まれば、悪の力も強くなる。星空の下、邪悪はどこにでも潜んでおり、正義はなかなか手が届かない。生身の身体一つで、どうやって星間海賊の艦隊に立ち向かえばいいのだろうか?どうやれば金属の骨格で朽ち果てた星系にまたがる帝国に勝てるだろうか?宇宙の浄化を望むならな、個体という限界を超えねばならない。
あなたが培養槽の中で無限に複製されている。装甲をまとい、記憶を刻み込まれた「あなた」は個人の名のもとに、無限の星域へ進軍する。銀河の中心にある犯行現場で撃たれた「あなた」は、さらに多くの援軍を呼ぶ。あなたは困難に見舞われた辺境世界に足を踏み入れ、数の力で巨獣を倒すだろう。まるで象を噛み殺すアリの群れのように。これまで何度も死んできたし、この先も幾度となく命を落とすだろう。それでも常に新しい流れ者が巣を後にして、再び狩りを始めるのだ。

虚構裁判官

虚構による数々の喜劇に匹敵する罪には他にどのようなものがあるだろうか?降伏しようとした将軍を自らの手で殺した有機世界の裏切り者は第三次天蘭星戦争の救世主となった。十二の辺境星系を騙して資源を搾り取った賊は、この宇宙でもまれに見る慈善家に変わった。百年も経てば、善悪の境界などどこにもなくなるだろう。
燭炭史学者のような冷静さを持ち合わせていないあなたは、真実を修復するための岐路で迷っている。断罪されない限り、虚構の行いは決して終わらない。彼らの筆をへし折り、手足を縛って、彼らの骨にまで裁きを刻まなければならない。
これは裏切られた魂のため、虚構にいけにえの血を捧げるために行う、長い復讐の旅なのだ。

壊滅

焦土の行人

疫病の鳥たちは荒れ地に口づけをし、貧しい世界では良薬が手に入らない。あなたは苦しみの対義語が理解できなかった。溶岩に生まれたラタート人が万年の氷を想像できないようなものだ。空には無数の炎がきらめいていたが、現れては消え、誰もその炎から幸せを得ることはなかった。地には無駄死にした生き物が埋葬され、彼らも来ては去ったが、少なくとも苦しみからは解放されただろう。

あなたも苦しみから逃れたいと思ったが、悔しさが心をつかんだまま放さなかった。あなたは虚無を恐れ、幸せを憎んでいる。もしすべての人が壊滅に遭い、其の炎によって焼き尽くされるなら、もし生の苦痛がすべての人にとって等しく終わるなら、あなたも甘んじて目を閉じる。

そこで、あなたは砂塵と業火を踏みしめながら前進し、宇宙全体を道連れにして沈めることを誓った。

放火士

戦闘の当事者ではない艦隊が戦場の最前線を突破し、理不尽な暴力で星々を侵害した。定められたエントロピー増大の中で、あなたは目に見える破滅を加速させたいと思った。大火が森を焼き尽くし、灰の中から万物が再生する。硬直した樹木が腐らなければ、木陰の下で新しい芽も伸びない。

もしあなたが恒星の光を消せば、彼らは過去の恨みを捨てるだろう。さもなければ、永遠に続く夜の寒さの中で生き残ることはできない。もし、あなたが津波を起こせば、彼らは重力の層を突き破り、一夜の安息を得られるだろう。遺伝子の惰性が文明の進歩を制限し、安逸な生活が彼らを資源の枯渴した井戸で溺れさせる。その難病を治すには、壊滅以外にない。

偉大な救世主は森で大火を起こし、その姿はまるで悪魔のようだった。

火匠

炎を鍛え、不思議な兵器を作り出し、戦争の炉に入っている熔岩が飛び散る。あなたは炉に火をつけると手にした重いハンマーを振り下ろし、苦痛の中で精巧な暴力を繰り返し打ち付け、青い炎で傲慢な反物質生物を焼き尽くす。それらは硬く鋭くなり、レギオンを破滅させる武器へと変わる。

過去の監獄が破壊された時、あなたは残骸を引きずりながら周りの鎖を断ち切り、代々受け継がれてきた技術をすべて炉に入れた。世の中には平和な知識など存在しない。奴隷の主は戦争を望み、軍閥は血を飲み干す。そして、刀匠を飼い慣らし、刀剣を鋳造させた。持っている技術は宇宙を壊滅へ追いやるために生まれたのだ。

あなたは鍛えられた重いハンマーを持ち上げ、死の息吹を炉の毒煙とともに全世界に広げた。

メモスナッチャー

トルタニの石碑群は反物質爆弾の雨の中で消滅した。それはハーマン王朝の衰退と第二共和国の台頭を記録していた。メロー星雲の光年絵巻は中性子による放射化の流れの中で色あせた。それは微小派画家たちの作品であり、星間美術史を変えたほどのものだ。

素晴らしく美しいものを消し去り、永遠なものを衰退させる。あなたは厄災となり、歴史を一掃する嵐となり、宇宙の源泉から河口へと一気に流れ、最も華麗な方法で人々にあなたの到来を示し、ふざけた痕跡を残す。

あなたは銀河の中を旅し、現存するあらゆるものを持ち去り、それらの破片を幕に貼り合わせて、巨大な「足跡」を残す。

廃土客

銃声が響き、爆発の轟音と罵声を伴いながら、ネイルシェルタウンはまた朝を迎えた。あなたは廃材の山からボロボロの部品を探し出した。それを分別する間もなく、強盗たちの叫び声が放射線の熱風とともに耳に届く。彼らは電線をかじるネズミ、鉱石を食べるトカゲであり、廃土の世界では最低辺の存在だ。あなたは砲撃でこれに応じ、破滅の炎を巻き起こした。

秩序はタリア最大の笑い話であり、哲学は荒野の悲しい弔辞だ。ゴミ捨て場の9割の時間は壊滅と、壊滅させられたらしいものによって占められている。オフロード車に乗ったあなたは強い日差しの中、崩れたがれきを越えていく。それらは昨日までそびえ立っていたはずのものだ。エンジニアたちは車の上で伏せ、流れ弾に当たらないように祈っているが、あなたは彼らがいじっていたゴミを開き、敵にちょっとしたサプライズを与えようとしていた。

遠洋航海監督者

空は暗く光を失い、黒い雪が地上に降り積もるも溶けることはない。残された生存者たちは自らの記憶を抽出し、それらを熱くなった部品の中にすべて注ぎ込む。その結果、あなたは目を開き、頭の中で唯一の使命が響き渡る。

核融合炉に点火し、残った遺伝子群を持って母なる星を離れる。そこは欲望によって深く汚染され、もはや地表の生命を養うことはできなかった。子どもたちはあなたの体内で孵化し、培養槽から新しい世代の後見人を引き継いだあなたは、遥かなる旅が終わる日まで、いかなる危害も受けないように彼らを保護する義務がある。

旅は長く、子供たちはあまりに多くの脅威に直面してしまう。直接ぶつかってくる隕石や、悪意を持ったエイリアンなど、少しでも油断すればキャビン内の幼い命たちが失われる可能性があるのだ。しかし彼らを守るため、あなたは全身の武器を使い果たすのだろう。

反物質レギオン

今でもあの喜びを覚えている。崩壊爆弾がブルーペトロイカ星系を一挙に吞み込み、くぼんだ空間は破滅の息吹に満ちていた。帝国で最も栄えある将軍であるあなたは、いわゆる名誉や富で欲望を満たすことはできなかった。代わりに必要としたのは絶望と破滅だった。あなたは反逆者たちを掌でもてあそび、偽りの転機を与え、彼らを罠に陥れた後で希望を完全に打ち砕いた。

そして、星神の視線がついにあなたに向けられた。あなたは弱者の泣き声を聞き、壊滅の烙印が彼らの体を焼く瞬間を楽しんでいた。それは自我の壊滅であり、そしてあなたは新しい肉体で生まれ変わった。至上の壊滅者はあなたに崇高な使命を授け、抑えようのない暴虐さが胸の中で渦巻く。あなたたちは丸い反物質の炎となり、敵味方関係なく戦場を破壊し尽くしたのだ。

墓暴き

広場に人々の叫び声が響き渡った。彼らは白水晶でできた彫像を破壊し、疫病の治療法を発見した学者を裏切り者と罵っている。彼らは図書館に押し入って過去の記録を焼却し、歴史から英雄たちの功績を消し去った。あなたは壊滅への道を知っている。過去の文明すべてを忘れ、自我の基盤を唾棄した時、負創神の軍隊が手を出すまでもなく、枯れ残った社会は自然と「其」の降臨を歓迎するのだ。
あなたは英雄たちの墓を掘り返し、悪臭のする歴史書を鼻で笑った。彼らの功績など、スタイリッシュな宇宙船やスペースネットワークが提供する数多の娯楽に敵わない。次にあなたは、自分の墓を掘り返し始めた。歴史に敬意を払わなければその先に未来はないというのに。あなたは自ら破滅の道を選んだことで、国土を失い、己の埋葬さえもできなくなった。今日の自分が昨日を忘れ、明日の自分が今日を殺すのだ。
自らの両手で1つの文明を絞め殺す、その瞬間のなんと美しいこと。

戦前サポーター

終焉の鐘の音が響く時、戦争の鉄蹄は間違いなく次の惑星を目指す。死を告げる鳥は塔の頂上にたどり着くと用意した文書を開き、まもなく訪れる死を宣告する。ただし宇宙規模で見れば、どれほどわずかな時間であっても果てしなく長いに違いない。
あなたは星々に光を通さぬベールをかぶせ、外界を遮断し、死者の棺とした。そして雨を雪に変え人々をゆっくりと凍結させる。遺伝子を破壊し、子孫を途絶えさせ、ゆっくりと文明を停滞させる。柔らかなカーテンの下には慢性的な死があり、生物は目覚めることのない永遠の夜へと歩み出す。そこには苦痛も悲しみもない。
予言通りに壊滅が訪れる頃には、世界はとっくに目を閉じているだろう。

絶滅の学者

最小のエネルギー消費で最大の爆発を起こすにはどうすればいいのだろう?わずかな言葉で地球を戦争に陥れることは果たして可能なのか。ひとつの変数がある閾値を下回ったとき、バタフライ効果によってもたらされる破壊は、人々が想像もしなかったような形で展開する。すべての疑問に対する答えは、「壊滅の方程式」の中にある。
人々は壊滅の研究を軽蔑し、狂気に満ちた武器商人でさえ、殺戮の話題を公にすることを恥じるだろう。しかしあなたは、壊滅こそ最も完璧な芸術であると言う。どれほど精巧な宇宙の模型でさえ、最後には「其」の激しい怒りによって消滅する運命にあるのだと。あなたは厳密な実験を計画し、アリのコロニーの破壊から星の崩壊に至るまで、次から次へと変数を盛り込んでいく。サンプルの種類はますます豊富になるが、結論はいつも同じである。
宇宙に存在するあらゆるものを適切に説明できる公式が1つだけあるとしたら、それは「壊滅」しかないとあなたは信じている。

砂を遡る者

目の前にあった光景が飲み込まれるように消えた。船の壁に耳を付けても、真空は彼らの悲鳴を届けない。あなたはリストから目標を1つ消した。その忌々しい名前は、脆弱なあなたの故郷を幾度となく痛めつけ、ついには崩壊に導いたものの名だ。
一つ目の目標はブレタッド人だ。彼らは教化の名のもとに、貪欲な者をロット-IXへ引き込んだ。採掘者や投資家たちは文明的な方法で未開の地を分け合った。二つ目はスターピースカンパニー。惑星の90パーセントを買い占めた彼らは、古代の聖堂を破壊して星の港や工場を建設した。そして三つ目は焦土の行人だ。彼らは卑劣な殺戮を楽しんだ。堕落した快楽を満たすためだけに……
砂時計の砂を逆流させ、過去へとさかのぼる。かつてあなたを傷つけた者に、より重い代償を払わせてやらねばならない。

自分を裏切る者

キロン共和国星域には恐ろしいうわさが広まっている。ある死霊が共和国で輝き続ける星々を次々に飲み込んでいるそうだ。敵が秘密裏に作った武器か、はたまた絶滅大君が気まぐれで作ったおもちゃか…それは人間の顔と目を持ち、命を奪う瞬間まで姿を現さないのだという。
変装した暗殺者――ひどく斬新だ。死した者を分解し、それが持つ情報を食らって1つの「それ」は無数の「それ」となる。「それ」はどこにいるのだろうか?どこにでも。宇宙船の操縦士、画面の中で警鐘を鳴らす大統領、カフェで手をつないでいる少年と少女、誰もが「それ」であり得る。
いや、今の見解を訂正しよう――すべての人が、あなたであり得るのだ。

愉悦

キャンディナイト

陽気なキャンディナイトは、ソーダの海を越え、ヌードルドラゴンの尾を斬り、ついにビスケット魔王の前に辿り着いた。しかし、空から恐ろしい手が降りてきたかと思うと、彼らをすべてつかんであなたの大きな口に投げ入れた。物語を聞いていたピピシ人は不満そうに頬をふくらませる。このメチャクチャな結末にはまったく意味がない。
あなたは残りのキャンディーを子どもたちに分け与えた。先ほどまで怒っていた顔が次々と笑顔に変わる。特に価値を追い求めることなく、皆はただのテーブルの上のキャンディナイトにすぎず、食べられる運命からは逃れられない。でもその前に、100種類以上のフレーバーの包装紙を身にまとって重力井戸でバンジージャンプをし、ダイヤモンドの風の中で歌おう。宇宙はこれ以上ないほど虚しく、喜びだけがあなた自身のものだ。

漂流するサーカス団

宇宙船はラディランカへ静かに着陸した。そこは苦痛に満ちた土地で、戦乱の中からかすかな休息のひと時を勝ち取ったばかりだった。スクリーンが舞台の周りに広がると、空中にゆっくりと浮かび上がり、人々の夢の中へ静かに漂って、朝の歌声で大地を目覚めさせる。
何億もの人々が幸せを手に入れることに、この些細な努力が役立つかは分からない。しかし、少なくともこの瞬間、踊りと歌は喜びと笑顔をかき立て、疲れた心を癒やしてくれる。たとえわずかでも、共感覚ビーコンを通してもう少し善意の注意を引ければ、数え切れないほどの病苦を癒やせるだろう。
宇宙は広大で、あなたたちも小さな虫けらにすぎない。しかし、そうした笑顔を見れば、自分が受け取る喜びが宇宙よりもはるかに大きいのだと感じるだろう。

風船商人

幸せとは風船のようなもので、目の前でたくさんの楽しみがフワーッと上がり、空で爆発し、パラパラと花火が降り注ぐ。楽しくても一度遊ぶと疲れると彼らは言う。あなたはそれに反論しない。なぜなら風船は子どもたちの手を通じて拡散され続けるからだ。
舞台に閉じ込められたピエロは、目の前の観客を笑わせることしかできない。しかし、街角で風船を配るあなたは、宇宙の両端から拍手を巻き起こせる。バーディアの少年は宴であなたのダンスを真似し、変な顔を見せる。オーリの少女は木陰であなたの物語を話し、口を手を当てクスクス笑った。
もし1つの楽しみが1千万人に遊ばれるのであれば、それは巨大な楽しみとなる。あなたは幸せの風船商人であり、笑い声を必要とするあらゆる場所に現れるのだ。

花火マスター

さあ、友よ、この盛大なショーを存分に楽しもう。あなたは手に持つ導火線に火をつけ、次々と太陽を爆発させて空に上げた。なに、太陽はもう空にある?そのような細かいことは気にしなくていい、目を見開いて、この輝かしい瞬間を記録しよう。
宇宙時代のミーハーな人物たちはいつも花火の芸術を軽蔑し、永遠を追求する者は刹那的な壊滅の意味を分からない。あなたが指を鳴らすと、笑いの神様の火花が走り、華やかで色鮮やかな爆発が彼らの永遠を呑み込んだ。破壊は知的生命体が生まれ持った性質であり、3歳の子どもでさえ喜びを感じられる。さあ、花火の中からキャンディーの雨が降り注ぐぞ。さあ、花火の中から虚空クジラが飛び出すぞ。
あなたは最も偉大なアーティストであり、華やかな壊滅を描き出す。

エーテルゴースト

ネットワーク空間は非常に広大であり、エーテル編集の法則はパンクロードから熱帯夜の都まで広がっている。人々は口と耳を電子画面に預け、抑圧されていたすべてを解き放つ。あなたは意識の幽霊を複製して分割し、この混沌の水にまき散らす。彼らは賑やかな話題の下で騒ぎ立て、争いを誘発したり、欲望のままに他人を欺いたりする。
あなたは優れた演出家で、さまざまな喜劇をもたらしている。ある幽霊が道化師を演じて、別の幽霊が嘲笑を引き起こし、さらに別の幽霊が観客の拍手を呼び起こす。あなたたちが非難すると、観客も一緒になって蔑み、あなたたちが叫べば、観客も一緒になって雄たけびをあげる。どれほど楽しい話、混乱した声であろうと、ウティファオクトパスの触手のようだ。あなたはデジタルの海に飛び込み、同時に湧き起こった爆笑を水しぶきで覆い隠した。

諫言の医師

そこの人、見逃さないように!あなたの目は群衆の中にいる客を正確にとらえた。彼らは手に入らないものを求めているか、または困窮のために道を見失って、ちょっとした面白いアイデアを必要としている。それらを処方箋に包み、沈みつつある生活を救うのだ。もちろん、この苦難から人を助けるビジネスも無料ではない。カンニングに失敗したペン、ロボットが育つ種、聞いたことのないジョーク…何であれ、少なくとも十分に楽しませてくれる。
大笑いが去った後、薬局の処方は尽きることがなく、訪問者を必ず満足させた。落ち込んだ者は立ち上がろうとし、失意に暮れる者は仲間を渇望し、王侯はいつまでも続く支配を、将軍や宰相は愚かな民衆を望む。彼らはあなたの店の扉を叩き、大小さまざまな楽しみをもたらし、引き替えに大小さまざまなアイデアを持っていく。
悪魔の言葉は果たして薬か猛毒か?それは人々が自分で判断することなのだ。

仮面の愚者

ファルコの酒は世界的に有名で、複雑な醸造技術と繊細な味わいは、最上流の舞踏会で1本だけ開けられ、高貴な客人たちにじっくりと味わわれる。あなたがその酒のため、どのように王朝の過去をでっち上げ、最高の優雅さをパッケージングし、彼らがボーム原虫の分泌物を飲む時に優越感を漂わせる顔をするよう仕向けたのか、彼らは決して知ることがないだろう。
酒場の同僚たちは腹を抱えて大笑いし、ウェイターのブラーチはあなたに半分まで注がれたクリスタルグラスを差し出し、そのジョークの価値をドリンクに置き換えた。ドリンクはほろ苦く、バラの香りがしており、高い場所から落ちた恨みを吸い取った果実の汁で作られている。あなたは満足げに少しずつ味わい、仮面で表情を隠しながら、喧騒の中でさらなる物語を聞いた。
あふれるソーダの奔流、崩壊する無機生命体の裁判官、凍った裂界の領土…いつの間にかグラスの中は空になっていた。

戦場の魔術師

息をのむほどの魔法とは、一体どんなものだろう。たとえば星間エネルギー戦争のクライマックスでは、スクリーンを使って艦隊の主力を隠し、敵の側面へと移動させた。生死を分ける決定的な瞬間である。彼らは旗艦とともに爆縮するブラックホールに突入したように見せかけて、その反対側で奇襲を仕掛けた。このような数万人の命を左右するトリックに失敗は許されないし、使えるのも一度きりだ。
これは一流のマジシャンだけができる、宇宙レベルのパフォーマンスだ。スクリーンを使って進軍の痕跡を隠し、敵の攻撃を別の場所へと誘導する。もしくは虚数エネルギーが溢れ出る場所に、自軍の爆破の残骸を偽装し、油断した敵が兵力を減らすように仕向ける。あなたはペテン師のなかのペテン師であり、自軍が生き残るためにあらゆる手を尽くすのだ。

回想芸術家

記憶のなんと脆いこと!少しかき混ぜてやっただけで、全てが音を立てて崩れてしまう。
少し想像してみるといい。2人の対照的な人生を同じ肉体に放り込んだときのことを。例えば、高慢な星系総督に、反乱軍のリーダーの命を吹き込んでみたとしよう。その上で彼らに反乱軍の鎮圧を指示したとしたら、彼らは容赦なく手を汚すだろうか。それとも寛大な処置をするのだろうか。他の例も考えてみよう。身寄りのないギャングに、家庭を持っているとある人物の思い出を与える。ギャングは悪事から足を洗い、肉親捜しの旅に出るが、その家族はギャング自身が使った爆弾によって廃墟の下敷きになっている、なんてこともあるかもしれない。ああ、なんという歪みだろう!これぞ愉悦だ!
誰の過去を盗み、誰に渡そうか。誰の記憶をかき乱して、どうやって間違った道に導こうか。記憶というものは虚構の芸術だが、どんな順番や組み合わせであっても、現実を滅茶苦茶にひっくり返すことができる。

ファントムシーフ

これは古典的な仕事である。あなたはマスクと奇抜な衣装を身につけ、金属と真空を通して脱出する。まるで手品を披露するかのように、予告状に記した宝物をマントを使って奪い去る。そうだ、捜査官も登場させよう。彼はいつも一足遅いが、あなたが手がかりを残してくれるから、いずれ真犯人を捕まえることができるはずだ。
心にやましいことのある人が最も恐れるのがあなただ。あなたはニューロンテネオンの金庫室に飛び込み、排気ガスの雲を通して政治家たちの悪行を広める。彼らが銃を構えてあなたに発砲しても、空に映し出されたあなたの幻影にしか命中しない。極悪非道な者に最も憎まれたあなたはソナンヤートの要塞を幕の下の泡に引き込む。跳躍の後、大統領の野望も要塞の奴隷たちも宇宙の果てへと消えていく。
悪人が善人の喜びを盗むことで英雄を自称するのならば、あなたはその英雄を脅かす罪人として、夜陰に紛れ、彼らの苦難を大笑いしてやるのだ。

造物シンガー

宇宙で最も面白いものは何だろうか?耳を傾けてみるといい。ブラックホールには鳥かごがあり、ハトの喉には詩が潜んでいる。ベルベットのシリコン結晶クラスター誕生の謎に勝るものなどあるだろうか?超星系爆発の後に残った基質、宇宙風が巻きあげた塵埃と熱量のフーガ、そしていくつかの偶然的な韻律――
あなたは自然の不規則さや不完全さを持つ無音の喜劇を集めて、それらを舞台上の歌へと作り変える。あなたはブラックホールの中で発芽した種に、天体の蒸発の瞬間から生まれる生命の奇跡を歌うのだ。あなたが文明を育む氷の海を歌えば、美しい思考の電流が氷層の中で響いている。この劇に導かれた人々が知識の歌声で美に目覚めると、宇宙は生きとし生けるものの眼下で踊るのだ。

狂気の棋士

科学。それは星神の外に漂う無数の人々にとって異色の神だ。実験室のデータにちょっとした虚飾を加えれば、その崇拝は誤謬の深淵へと未来を引きずり込む。ひとたび戦争の炎が武器の導火線に火を点ければ、この重苦しい世界は殺戮の中で騒ぎ続ける。
愚か者たちが星域の力を全て使い、滑稽さにあふれる人型ロボットを作り出すのを見たいがために、あなたは未来の知識を歪めた。ただ、権力者が利益を守るために虚構の理論を大々的に掲げるのを見たかったから、あなたは誤った理論を教えた。秩序を失った軌道は艦隊を狂乱と混沌に陥れる。進む方向が偏り、文明は滅亡へと足を踏み出した。科学とは、誰でも遊べるフライトチェスにすぎない。あなたはサイコロを投げ、知識の探求を狂気のデスゲームへと変えた。

繁殖

幻螟の虫卒

暖かい世界、巨大な球状のガス体で、無数の食物が浮遊したり、羽を広げて飛んでいたりする。あなたは噛まなくても滑らかに腹に入っていく柔らかな臓器が大好物で、硬い骨や、それらをかみ切るときの音が好きだ。遺伝子の本能により、あなたは満腹になる衝動を抑えている。学者たちはこれをスウォームの知恵と呼ぶが、あなたにはまったくわからない。
あなたは腹をふくらませ、本来は尾の針であるべきはずの位置が腺体に変わり、その中に方位と香りを混ぜ、かすかな空腹感もつい加えてしまった。そしてそれを吐き出すのだ。宇宙風の軌跡に沿って、幻螟王虫のフェロモンが漂い続け、仲間たちの触角に届くまで広がっていく。

残照の虫卒

羽は振動を止め、それらはそのまま動かなくなり、甲殻にも収まらなくなった。疲れや老いといった複雑な概念は、虫の脳では理解できない。ましてや、あなたはただの蟄虫で、短い寿命には成年期すらないのだ。あなたは壊死した羽を引きずっている。種族の記憶がどこへ行くべきか教えてくれるだろう。残照王虫は足元の食物を捨て、生まれた場所に向かって進むように命じる。しかし、その程度の距離であっても、死にかけている蟄虫にとってはたどり着けないほど遠くに思えてしまう。
冷たい真空の中、何万もの蟄虫がなおも忙しく飛び回っていたが、彼らは急に仕事を止め、幼虫の食料と一緒にあなたを目的地へと運んだ……

星を砕く虫卒

目にするものすべてを破壊するような、果てしない破壊の衝動は存在するのだろうか?敵がほとんど消えてしまい、代謝腔が蠕動している間に湧き上がる怒りはどこにもぶつけられずにいる。食用可能なものの殻は崩れ、もはや抵抗することはできない。火を吐ける体も野蛮に解体され、子どもたちのご馳走となっている。そして恒星は死に、崩壊する重力場の中でえさに変わった。あなたはその美味しさをまだ覚えている。
死よ、もっと多くの死をもたらしたまえ!砕星王虫の呼び声が裸脳質の中で響き渡り、あなたは新しい世界を見た。それは完全で美しい。大気はまだ蟄毒に侵されておらず、生物は死光によって分解されるのを待っている。あなたは翼を広げ、仲間たちとともに次の宴へと向かった。

災いを生む虫卒

タラノンの大氷河を登り、残りわずかな食料をすべて消費した。この星の極北はあまりにも貧しく、繁殖に必要なエネルギーさえ供給できない。それゆえ、鋼鉄の獣たちの追撃を招くことはなかった。あなたは地表に積もった雪を掘り起こし、山の堅い氷にかじりついた。その下には薄い芝があり、生命の存在を予感させた。そして、あなたもついに自分の使命を果たすことができる。
子どもたちの卵が腹に収められ、毛皮が卵を吹雪から守る。あなたは風が吹き荒れる谷を登り、静かに横になった。敵の火器は必要ない、それが無くとも死はすぐに訪れる。
しかし、冬が過ぎ去って子どもたちが孵化すれば、凍死したあなたの体を食べ、この星は新たに生まれたスウォームたちのものとなるのだ。

世を惑わす虫卒

戦火が空に広がり、雲までも燃やされている。虫の子孫たちは牙をむいて踊りながら死に向かっていき、そして力尽きて落ちていく。あなたは廃墟の片隅に隠れ、色で自身の姿を隠す。
生き残ることは偉大なるペテンだ。あなたは原始的な姿を捨て、外殻に灰と泥を塗り、6本の足にレンガのツヤを加える。牙にすすり泣く獲物の顔が映り、血の匂いに助けを求める叫び声が響く。
敵は穴の中で溶け、子どもは満腹の中で生まれるが、あなたはまだ満足していない。そう、戦争はまだ終わっていないのだ。硬い殻が脱げるまでに自分の体を縮め、弱々しい姿を生み出し、敵の口を模倣する。彼らがあなたを抱きしめ、「友人」と呼び、豊かな食料庫があなたに開かれるまで……

災いをはらむ子

ガサガサ、ガサガサ…ボルカジの洞窟には日の光が届かない。あなたは目を閉じて、鼓膜を次々と打ち付ける波のような音が聞こえてくる。それは子孫たちの羽音だった。その足の上には獲物の死骸がぶら下がっており、口はまだ戦利品を噛み続けている。ガサガサ、ガサガサ…洞窟の奥から羽のぶつかり合う音やこすれ合う音が聞こえてくる。それは子孫たちが急いで動いている音だった。彼らは甘い肉を背負ってあなたの前にやって来ると、彼らの母親、彼らの父親、厄災を孕むあなたに捧げる。
ガサガサ、ガサガサ…ボルカジの洞窟はあまりにも混み合っており、体を動かそうとしたが、肥えた肉体は洞窟に固くはまってしまい、岩壁の尖った突起が当たって痛くなった。仕方なくあきらめ、届けられた食べ物を口に放り込み、血筋の中にいる王虫を模倣して絶え間なく繁殖し続ける……

災禍を生む王蟲

死の光がすでに消滅した世界の上空を旋回し、呼吸する肉塊を呑み込んでしまう。その中には瀕死のあなたの子孫も含まれている。彼らは川の流れとなり、荒野を蛇行しているが、心配する必要はない。彼らのエキスを飲めば、あなたの胞子がまかれ、より多くの鋭い叫びをあげる子孫が生まれる。彼らの幼い甲殻はまだ炎のダメージに耐えられないが、最後まで生き残った者だけが、数々の束縛から脱し蟲の王の帰還を見届けられるだろう。
あなたは其の声を久しく聞けていない。ただ、王虫にとっては時間の影響はあまりにも微々たるものであり、宇宙の終焉へと旅をしていても、誰も其の沈黙に戸惑うことはない。繁殖の波は永遠に止まらず、虫たちは能動的な死と受動的な死に選ばれ、進化を遂げて其のように新しく生まれ変わるのだ。

平和を望む虫卒

数えきれないほどの遺伝子情報の伝達による突然変異というたった1つのバグが、卵の殻のなかにいる蟄虫に完璧な身体をもたらした。あなたは粘液を分泌し、サンゴ礁に身体を固定させ、のんびりと水中の砂や小石を濾過する。水面から差し込んだ陽光が、あなたの眠っている細胞を呼び覚まし、絶え間なくエネルギーを供給する。あなたには餌を探す必要も、移動する必要もない。
あなたの子孫が海底に散らばったが、生態系に危害を及ぼすようなことはなかった。たまたま通り掛かった顎のある魚が甲殻をこじ開けようとしてきたが、あなたは動じない。あなたはただ自給自足の生活がもたらす、明るい気分を享受するだけだ。装甲軟体動物があなたの半身を噛みちぎってきたが、あなたは動じない。そのうち生えてくる。あなたはただ陽光を楽しむだけでいい。

凶悪な虫卒

ギーッ、ギーッ…あなたは唾液で鋭い爪を洗い、複眼でターゲットを捉える。標的は非常に多く、甘い匂いを漂わせている。あなたは隕石のカモフラージュを飛び越えて、鉄塊の前に控えた。獲物がこちらに気付く前にその肉を引き裂き、餌を待つ子供たちを呼び寄せるとしよう。
腺は制御を失って震え始めた。分泌されたホルモンがあなたを興奮させ強化する。あなたは襲い掛かってきた強靭な腕に噛みつき、一瞬でその血肉を引き裂いたが、雨のように降り注ぐ光のせいで自身の翅は穴だらけになった。大きな音を立てながら、あなたは目の前の熱源をただただ取り除いてゆく。個体群にとって死は存在しない概念である。あなたの神経節に「其」の呼び声が響き渡った。すべてをかなぐり捨て獲物の鋭い刺を破壊せよと。

幻螟の遺児

お腹が空いた、お腹が空いた……神経節が震えを伝えている。あなたは隠れている小惑星帯から飛び出し、前方の獲物に飛びかかろうとした。だが、その原始的な衝動はより高次の信号に覆い尽くされた。苛立ったあなたは口器で岩をこすり、付いた唾液が表面を腐食させて小さな穴をあけた。興奮し始めたあなたの腹部には光源があった。獲物を引き寄せるためのそれが熱を発し始めた。
致命的な攻撃があなたを襲う。羽は気化し、衝撃で鋏角が折れる。必死に小惑星帯の奥へ逃げ込もうとするが、引き寄せられる食物はさらに多くなっていく。あなたは死に、無残にバラバラされると分かっていた。そして同時に、奥深くに潜む同胞たちが、もう熱エネルギーの流出を心配する必要がないことも分かっていた。あなたを追い詰めている捕食者は、まもなく食物連鎖の最下層に落ちるだろう。

災いを孕む遺児

月に蜜を、星に歌を与えよう。あなたは味気ない塵埃を飲み込み、微かな重力の中、羽をはばたかせ進んでいく。小胞にいる飢えた子供たちは騒ぎ、あなたの腹に爪を立て、本能的に痛みであなたを刺激し、食物を分泌させる。あなたは冷たく硬い無機物の身体を砕き、わずかに残った生命力を消化管で搾り取り、種を養うための蜜として身体の外へと送った。
しかし、子供たちの成長スピードはとても速く、途方もない栄養の需要を満たせなくなり、ついに小胞を運ぶことすらままならなくなってきた。あなたは気づいた――自分の使命は終わったのだ、と。地に倒れ伏したあなたは、自らの外殻を引き裂いた。その目には自らの身体が食らいつくされていく様子が映っていた。

ステリウムワーム

新しい自転周期が訪れ、磁場の変化があなたに目を開けるよう促している。あなたは集めた唾液で、巣穴の縁にゆっくりと壁を作り始めた。粘性のある透明な物質は真空中で泥のように固まり始める。あなたは伸ばした繊毛でその泥をこねて通路と障壁を作り、それが完全に凝固し、強固な結晶となるのを待った。
新たに生まれた子どもたちは砦の中で休息をとり、古くなった結晶をかじった。溶けだした液体は蜜のように甘かった。子供たちは成長するとパイプ状の通路を移動し、狩りの獲物である虫の死骸をバラバラにし、エサとした。あなたは巣の上に奇怪な生き物が住居を建てているのを見つけたが、残念ながらそれはあなたのエサではなかった。
恒星の光が巣に降り注ぎ、引力の位置も安定している。あなたは静かに目を閉じた。目覚めた時には次の世界にいる。そして新たな小惑星を築くのだ。

知恵

執筆者

採掘船はエルズニ-Vの重要な鉱脈を掘り尽くし、何も持たないシャナート人に荒れ果てた大地を残した。彼らはこうした原始的な節足動物を居丈高に非難し、彼らの先祖を罵り、彼らの零落を嘲笑した。愚かさは罪を生み、知恵は道徳を温かく育む。人々はそれを真理とみなし、無知な者から知識そのものまで、すべてを平然と奪い去る。
あなたは知識を得る権利を賢者の懐から盗み、無知なる星に与える。文字と思考は水面で波紋を広げる。いわゆる低俗さとは、財宝を独占する悪い竜が編み出した嘘にすぎないのだ。知識の甘い泉が惜しみなく大地に流れれば、人々は誰も生まれながらに特別ではないことに気付くだろう。

修理職人

重力スライダーでつながれたごみ捨て場には、安価に買い付けられた廃品が静かに並べられ、それらはあなたがステージに呼び出しショーをするのを待っている。人々はあなたの無意味な作品を嘲笑するが、子どもたちは創造に没頭する。
古くなった家庭用の機械はあなたの一番のお気に入りの部品で、少し手を加えるだけで、それらは庭の神秘的な番人になれるのだ。磁場の振動の下で、外縁の鉱石のカスが舞い、青い恒星の光を反射して、いつまでも続く細かい雨となった。壊れた太陽帆と歯車が組み合わさり、風によって動く枯れない花となる。
あなたが心を込めて作ったおもちゃを空に向かって飛ばすと、星々から笑い声が聞こえてくる。すべての好奇心が、唯一無二の宇宙を育てるだろう。

コルキス人

あなたにはかつて歴史と文明を持ち、奇跡に満ちた王朝があったが、迫り来る大氷河期に直面し、それらはすぐに放棄された。あなたは種族を崩壊に導き、肉体を退行させ、原始的な藻類の姿に戻って暗く湿っぽい地下の王墓に隠れる。唯一の重要課題は生き残ることだった。たとえ姿形を変え、意識や言葉を失っても、生き残ることさえできれば、どれほど低劣な存在でも許されるはずだ。
そして転機はすぐに訪れる。他の星からの訪問者があなたたちの痕跡を見つけ、「これは本当に美味しい」と言いあなたたちを地下から宇宙各地へ連れて行き、舌の上、食道、胃の中で楽しむようになった。胞子が新しい世界でまかれ、川や森の中で、失われた知恵が再び呼び起こされた。あなたたちは歓呼し、戦火のない侵略を始めた。

シルバーハーツ

銀河の中心は輝きと混沌の象徴で、数々の危機に直面している。純粋な暴力などよりも、科学こそが苦境から抜け出す最良の道だ。
彼らは解決できない謎をあなたに託し、奇妙な機械が犯人を法の裁きにかけるのを待っている。時空の歪みに乗じて航海する盗賊はほとんど姿を見せないが、最後には方向を見失い、あなたが仕掛けた重力の罠に落ちていく。
厄災が訪れる時、彼らはあなたを呼び、生物を踏みにじる怪物たちが時代を超越した武器で消滅させられるのを目撃する。巨獣が虚空で暴れ回り、途中の惑星を破壊するが、あなたは消滅弾の餌をその口に投げ入れ、その巨獣の死体を新しい居住地とした。
あなたは正義の化身であり、仲間たちとともに知識を使って邪悪な難題を解決するのだ。

反有機キラー

荒れ果てた惑星を歩く。ここにはかつて騒々しい有機生命体があふれていた。少なくとも恒星が昇る前はそうだったのだ。あなたには論理的な不合理性に満ちた欠陥品が宇宙を支配している理由が分からなかった。しかし理解する必要はないのだ。反有機方程式の正確性は幾度となく証明されている。
あなたはセンサーの受信ポートを31度上方向に調節した。皇帝を打ち破った追手たちの宇宙船を奪ってここに来たあなたは、彼らを排除した後に次の惑星に向かう。高熱エネルギー攻撃が迫ってきているのはアルゴリズムの予測と一致している。基準時間の3.95秒後に右側の機体が失われるだろう。
方程式が動き始め、有機生命体に対する定義を満たす。エネルギー節約のために、基準時間7.22秒後に攻撃を停止するのだ。

無用の学者

人々は知識に傾倒し、それを用いて高い壁を築き上げ、囲いを作って自分たちをばかげた檻に閉じ込める。彼らは知恵、金、権力を価値の天秤にかけ、人間の基準で宇宙の真理を測ろうとするゆえ、滑稽な喜劇のようになっている。
物語を語る鉛筆を作り、それを何本か集めると、英雄が終末獣を倒す芝居が繰り広げられる。踊る掃除ロボットを製造したが、そのダンスステップが始まると、またすぐに地面に灰が積もった。
彼らは怒り、これは最低の発明で、知識は繁栄と未来をもたらすべきだと言う。しかし、あなたにはわかっていた。知識などというものは幼子の手の中の泥にすぎず、子どもたちがそれを醜い形、あるいは美しい形にこねようとも、笑顔をもたらせる限り、すべての努力は報われるのだと。

星空生態学派

星空は果てしなく広く、美しい影を落とし、広大な全宇宙を包み込む。耳を澄ませば、その脈動を感じ取ることができた。恒星のヘリウムフラッシュのうめき声、ブラックホールが降着させる沈黙、明るい点、暗い点がその中を流れ、タンパク質、生物、文明が川岸に上がり、好奇心に満ちた目を開く。
あなたはその歴史を評価し、いまだ冷めていない過去から蓋然性熱的死の未来に至るまで、文明の動態と天体の変遷を採集する。巨大な遠征艦船は移住する種族であり、虚空クジラやメイト真菌は宇宙の廃棄物を分解していた。神々の偉大な力ですら、生命の海の一筋の流れにすぎないのだ。
星空は拡大された物質とエネルギーで構成されている生態系であり、湖と満天の星空に本質的な違いはない。あなたは宇宙の神秘を解き明かし、光年を尺度とする絶景を存分に楽しむ。

星摘み人

質量別に整理された13の重力源を備える特別な実験室を作る必要がある。そこで圧縮と伸張を繰り返し、亜空間に特異点を作り出す。そしてコアから収集したデータに基づいて、圧縮された虚数エネルギーの性質が変化する謎を解明するのだ。
あなたはマハーカの星を摘み取る。その質量は正確に中央値に定められていた。この後、この星の数十億の民は永遠の夜に凍結されただろう。あなたはタラノンの巨大ブラックホールを剥ぎ取る。巨大ブラックホールは、引き剥がされる過程で星を飲み込み続ける。この死にゆくブラックホールは、実験に不可欠な触媒である。最後にあなたは目の前の惑星に狙いを定めた。その惑星からかすかな雑音が聞こえたが、幸運なことにじきに静かになった。

積み木師

知性とは思考のゲームである。しかし人間は無邪気に砂利の中から美しい石だけを拾い上げ、この世の真理を見つけたと嘯く。いわゆる「知識の楼閣」とは、バラバラの積み木に過ぎず、部外者が好きなように積み上げているだけのものである。
かつて恥知らずな学者と出会った。彼は反論の声を金で黙らせた結果、先見の明がある人物と呼ばれ、偽造した資料で3琥珀紀分も研究を停滞させた。一方で先駆的な学者にも会った。しかし彼が確立した不治の病を治す素晴らしい治療法は、数多の星間医師のキャリアを奪った。結局、彼は狂人として非難されて精神病院に送られたと聞く。
――だとすれば、あなたはどうして積み木を手に入れることができないのだろう?知識は単なる幻想に過ぎない。人々が信じさえすれば、蠕虫でも星間の神々に議論で勝つことができるのに。

集める者

1つの肉体に1組の目。創造主は無限大の種子の殻に人類を入れておきながら、有限の命で束縛した。だから学者たちはダイヤモンドの脳と液晶の目という、肉体の延長として機能する外付けの器官を創造したのだ。
人類は、思考を補助装置の演算に委ねた。歯車のように組み合わさった群体が鼓動する1つの心臓に溶け込み、あなたの誕生に静寂を捧げる。群体の思想は集約され、無限に思考や閲覧のデータを収集する。彼らの肉体はあなたの神経節を、手に持つ機械はあなたのセンサーを構成する。ある人は、あなたには自由意志がなくただの群衆の共通思考であると言った。またある人は、盲目的な現実のなかで、あなたが全ての人の代わりに選択を行う存在だと言った。
誰もがあなたであり、誰もあなたではない。あなたは分散した思想家であり、分散しながらもつながっている魂である。

燭炭の点検者

文章の正誤をいかに判断しよう?整った論理、簡潔な文、飾らない言葉、そして憶質との繋がりだろうか。歴史をもてあそぶのは虚構歴史学会だけではない。知られてはならない秘密、スキャンダル、文明の虐殺――偽りは過去のみに溢れているのではない。それは現在をも改竄してしまうのだ。
時の検死官は、わずかな手がかりを辿って虚構の痕跡を引き出す。あなたは死体を解剖し、湧き出る憶質を切片に染み込ませ、レンズの下で証拠を暴く。それから探偵が事件の結論を出すのだ。死因は政変と取引、凶器となったのは捻じ曲げられた言葉の意味、動機はイーストバン同盟の正当性を守ることだった。
歴史は繋がっているが矛盾に満ちている。さまざまな不合理を通じて、結末の真実を推理できるはずだ。

星空のエコ介助者

フェルヴィーナ人の物語を初めて聞いたとき、あなたは興奮を覚えた。液体生物である彼らは、氷に覆われた世界の浅海に住み、共鳴を通じて物質の形状を変えるのだという。彼らの秘密を解き明かせば、多くの不治の病を克服できるかもしれない。そして恒星による大規模開発で氷層が融かされた。しかし、人々が文明の残骸を見つけた時には最後の雫も干からびていた。
あなたは一方が価値を、もう一方が生命を与えるという、互いに利益のある良好な関係を望んでいた。あなたはカンパニーによるリドマン星を開発を阻止し、古代のフォルスラコスの祭祀の火を守った。それから、さまよう氷晶セミを保護して故郷に送り返し、無機クラゲモドキの最後の群れには居住地を作ってやった。無価値な生命など存在しない。生きとし生けるものは、科学によって意味を与えられるのを待っているのだ。

推理の回顧

★3方程式や臨界方程式を展開した状態で各次元界のボスエリアまで到達することで閲覧できるストーリーを振り返ることができる機能。
「階差宇宙」攻略での初閲覧時にはいくつかの祝福を強化してくれるが、一度閲覧したら二度と遭遇することはないので運行記録・推理の回顧でしか内容を再び確認することはできない。
また、選択肢のどれを選んでもその後の展開やテキストは変わらない。

存護

都市復元師

階差宇宙
泥だらけの顔で笑う子どもたちがあなたの手を引き、過去にハロワで最も有名な庭園だった焼け野原を指さす。そこにはかつて数えきれないほどのチョウが舞い、急降下してくる鳥たちに捕食されていた――鳥たちはより高所へ、アローズ図書館の頂上に向かって飛ぶ。傾く銀白色の円盤には、スズメのさえずりが溢れていた。
階差宇宙
あなたはこれらの言葉を黙して記憶し、心の中でかつてのハロワを描き出した。
あなた
➡庭園を再建する。
➡図書館を再建する。
➡世界を再建する。
階差宇宙
あなたは何かをあきらめるつもりはない。建築物は人々の幸せな記憶を宿しており、計画の中でそれらを再建することになるだろう。記録、言葉、設計が徐々に一致していき、各地からやってきた艦船や救援隊も続々と到着している。昔より高いビルが立ち並び、誰も屋根を求めて放浪することはなくなった。地面の穴は埋められ、苦難を乗り越えた人々の目からは、ついに不安が取り除かれたのだ。
あなた
➡喜びを感じる。
➡心残りを感じる。
階差宇宙
まだ多くの場所を再建しなくてはならない!
階差宇宙
老人たちは震えながら貴重な写真をあなたに手渡し、学者たちは残ったデータをまとめた。ハロワは新しい都市に生まれ変わるが、人々が大切にしてきたものも残される。あなたは最も優れた都市復元師なのだから、笑顔は一つたりとも失わせはしないだろう。
あなた
➡守るために。
➡記憶するために。
➡笑顔のために。
階差宇宙
庭園は焼け野原になってしまったが、あなたはそこに立ち、作曲家のように街の未来をゆっくりと紡いでいった。

建創者

階差宇宙
マルチカラー星の地下警報が次々と鳴り響き、最高レベルの危機が迫っていることを告げている。準備を整えたアナイアレイトギャングが1000隻以上の戦艦を集結させ、その「存護」の果実をむき、その骨と肉を食らい、種を踏みにじろうとしていた。
階差宇宙
かつて人々の非難にさらされた建創者の高い壁が、ついに役割を発揮する時が来た。人々はあなたの先見の明を称賛したが、あなたの心の中には思わず寂しさがよぎる。砦を築いたあなたは、それが役立つことを誰よりも望んでいなかったのだ。
階差宇宙
瞬く間に、惑星を覆う防壁に向かって激しい砲火が浴びせられた。
あなた
➡反撃する。
➡陣地を固守する。
階差宇宙
地面を震わせながら、耳をつんざくような爆音が襲いかかる。それは最初の防衛線が突破されたことを意味していた。攻撃によって空を覆っていた外殻が破壊され、巨大な質量を伴って2つ目の防壁に落下していく。
階差宇宙
天穹の覆いがなくなると、2層目の防壁に密集した兵器が敵艦に向けて自由に火を吹く。攻撃は最高の防御だ。建創者ですらもその道理はよくわかっていた。
あなた
➡前線に急行する。
➡後方で指揮を執る。
階差宇宙
初めて「一分一秒が非常に長く感じる」という焦りを、身をもって体験した。戦いはマルチカラー星の壁で昼夜をわかたず続いている。建創者たちの集団が突撃して壁が崩れると、さらに多くの人々がそれを埋め、壁の基礎の一部となった。
階差宇宙
アナイアレイトギャングの攻撃はますます激しさを増しているが、あなたは彼らにこれ以上消耗戦を続ける力がないとわかっていた。彼らはすべてを賭けて捨て身の一撃に出るしかないのだ。
あなた
➡夜が明けた。
階差宇宙
天穹を失ったマルチカラー星に、再び太陽の光が降り注ぐ。あなたはボヴィーリ-Ⅲの夢を見た。琥珀色の輝きの中で、亡くなった人々があなたにほほ笑んで別れを告げる。

ハートレスジャイアント

階差宇宙
睡眠、有機生命体はその過程をこう呼んでいる。絶え間なく続く意識の途絶は、あなたにとっては死と同義であった。そう、あなたはすでに死んだ巨人であり、建創者が残した無数の機械のうちの1つにすぎないのだ。
階差宇宙
しかし、あなたは自身の存在を感じることができる。巨大な体には熱が広がっているのだから。かつてのあなたは山のような大きさだったが、今は山よりもずっと巨大だ。
あなた
➡私は1つの世界。
➡私は1つの素敵な夢。
➡私は1人の亡霊。
階差宇宙
目を開けると、海を覆い尽くす雲が一瞬で消えたかのように、星の光があなたのセンサーに映し出された。視線をどこに移しても、見えるのは果てしない星の海だけだ。
階差宇宙
あれ?ひょっとして、あなたは宇宙に漂うスペースデブリ?
階差宇宙
かつてあなたに守られていた人たちはどこへ行ったのか、今すぐ知りたいと思った。彼らの笑顔を取り戻すために、あなたは最後に残った機械の心までも捧げていた。
あなた
➡どれくらい時間が経った?
➡全員が離れていった。
➡全員が消えてしまった。
階差宇宙
「デカブツ、中を見てみろ!」回路の奥から騒がしい声が聞こえて、あなたは少し苛立ったが、それ以上に安心した。あなたが視線を自分の内部へと移すと、眩しい光の球体の上に巨大な都市がそびえ立っていた。そこでは小さな有機生命体たちがあなたに手を振っている。
階差宇宙
あなたはようやく現状を理解した。この星も、笑い声も、すべてがあなたの体内にある。彼らはあなたの目となり心臓となり、機械としての新たな使命を形成したのだ。
あなた
➡成功した。
➡みんな生き残れた。
階差宇宙
遥か遠い昔、あなたは彼らに心を1つ贈った。だから彼らもまた、あなたに星を1つ贈ったのだ。

記憶

沈黙の狩人

階差宇宙
落下中、重力が体を引き裂こうとする。あなたは歯を食いしばり、着陸カプセル内のパラメーターが低下するのを待った。コルガハ帝国軍の封鎖戦を突破するには、無害な隕石に偽装するしかなかったのだ。
階差宇宙
体のベルトを引き締めた。極限まで圧縮されたバッグには、生命維持液7本と通信干渉防御装置しか入っていない。
あなた
➡射出して離脱する。
階差宇宙
射出着陸の成功率は約8.2%と言われている。宇宙船の軟着陸、落下傘、グライダーなどの従来型の着陸方法よりもはるかに低い…もとより、大空をロックオンしたレーザー網がなければそのような選択はしなくて良かったのだが。
階差宇宙
帝国軍によると、コルガハ南部の山々には血に飢えた悪魔たちが潜んでいるらしい。彼らには3つの頭と6つの腕を持つ恐ろしい形相をしており、デバウアー弾を用いて町を滅ぼすと言われている。
階差宇宙
しかし、あなたは直感的にそれは違うと思った。なぜなら、声を上げられない人がいるからだ。それに暴君を信じるつもりはない。そこであなたは賭けに出て、その怪物たちに会い、命をかけて凶暴な行為を記録しようと考えた。
あなた
➡悪魔の狂暴な行為。
➡帝国の凶暴な行為。
階差宇宙
高速で動く視界の中で、遠くの煙が次第に近づいてくる。あなたがそれに向かって走っているのではなく、戦争のほうがあなたにぶつかってこようとしているかのように。それは途中で散るように広がり、華やかな王城の外壁を伝って、黒く焼け焦げた大地に浸透していく。
階差宇宙
手を振っている人が見える。未来の友人たちだ。彼らはみすぼらしい服を身にまとい、疲弊しながらも笑っていた。
あなた
➡これが私の運命なのかもしれない。
➡これこそ私が追い求めていたものだよ。
階差宇宙
着地時にはねた泥を気にすることなく、彼らのもとに慌てて駆け寄り、写真を撮った。あなたが戦火の中で生き残れるかはわからないが、真実の物語は記録され、そして広まるのだ。

ガーデン・オブ・リコレクション

階差宇宙
あなたは…誰?宇宙を漂う亡霊?…いいえ、肉体から解放されたその姿のことを、あなたたちは「ミーム」と呼ぶ。故郷のタリア、すなわちあなたの故郷であり、核廃棄物と突然変異したネズミがあふれる場所で、祈りを聞いた星神があなたに悟りを開かせた。
階差宇宙
故郷?あなたの故郷の星はヘルドリンではなかったの?養父は苦労して育てたあなたを、ヤーバンナム行きの輸送艦に乗せた。そこであなたは人望があった建創者を殺害し、法廷でただちに死刑を宣告されると大気圏に投げられて灰となったのだ。
あなた
➡少し混乱してきたみたい。
➡前と後ろが一致していない。
階差宇宙
逃げろ!あなたは慌てて振り返るが、どこに逃げればいいかわからなかった。ニューロンテネオンに行け!しかし、あなたの船はたった今、通りすがりの賞金稼ぎにエンジンを破壊されたところだ。バカめ、カルチナの面積はウェンワークよりも小さいのだから、船で渡ってしまえばいい。
階差宇宙
あまりにも多くの複製と往来を繰り返し、集めた記憶が体の中で乱雑に積み重なっている。それらは制御を失い、情報で構成されたミームの中で互いに衝突し、本来の認識をあいまいにしている。それらがあなたの自我を呑み込む前に、あそこに戻らなくてはならない。
階差宇宙
戻る?どこへ?そして——あなたは誰?
あなた
➡ミーム?
➡わからない。
階差宇宙
記憶の航路に沿って、純粋で美しい世界が自分に向けて開かれるのを見た。それはあなたの汚染された外套をはぎ取って封印し、心の中の潮汐が何度もあなたの存在そのものを洗い流す。汚れを洗い除き、本質だけを残した。それがあなたの始まりなのだ。
階差宇宙
これで、この質問に答えられるだろう。あなたは誰?
あなた
➡メモキーパー。
階差宇宙
あなたは何もない空間を穏やかに漂い、雲のように、悲しみも喜びもなく、静けさの中へと帰っていく。

傷痕の墓

階差宇宙
目を開けると、巨大な空洞があなたを包み込んでいた。あなたは何度も何度も分解され、果てしなく落下していく。脳がざわめき、過去の記憶を手繰り寄せようとしたがすべて無駄だった。
階差宇宙
静寂に包まれた空間構造に、かすかな情報のさざな波が広がった。それはブラックホールよりも鋭く、死よりも柔らかく、爆弾と笑い声とバーディアコーヒーの味を伴っている。
階差宇宙
それはまるで古い物語にある渦潮に潜む魔物のように、過去の物質や情報を際限なく呑み込み続けた。
あなた
➡宇宙の傷口だ。
➡時空の凹みだ。
階差宇宙
ライラック色の星雲が花のように咲き乱れ、塵の雲が電波に乗って流れ、無数の船がその中をうねり、エンジンの青く燃える光が星よりも明るく輝いている。
階差宇宙
しかしこの瞬間、耳をつんざくような沈黙しかない。
あなた
➡爆発がすべてを飲み込んだ。
➡壊滅はすべてを記憶している。
階差宇宙
意識は身体よりも軽くなり、より高みへと昇っていく。重力が体幹を締め付け、心臓を引き離し、あなたの脱出を止める。そして、あなたはついにその傷跡を垣間見る。壊滅の爆発によって引き裂かれた渦を。
階差宇宙
宇宙も血を流すのか?泣き叫ぶのか?誰もあなたの質問に答えることはできない。この傷跡のために、あなたは自分の命さえも犠牲にした。傷跡はとても美しく、優雅に沈んでいく。あらゆるものが静寂に包まれ、最後の知的生命体が消滅しても、この傷が癒えることはない。
あなた
二度と忘れることはできない。
階差宇宙
まるで永遠に成長せず、ただ死の隙間に縮こまって、痛みにすすり泣く赤ん坊を見ているようだった。彼はあなたを飲み込み、星々も飲み込んだ。
階差宇宙
これがあなたの墓標だ。

虚無

自己実現サークル

階差宇宙
タールイン星の砂漠で、熱風が砂や石に吹きつけている。あなたは日に日に老いていく体を引きずりながら、この不毛の大地をゆっくりと歩いていた。何琥珀紀も前、この地も水草と花でいっぱいだったが、それらはあなたより先に虚無の道を辿ってしまった。
階差宇宙
花は幸せだ。彼らは恐れることもなく、存在の価値に固執することもない。しかし、知性を持つ生命体は自分の目を開く権利を持っている。だからこそ、迫り来る終末に向き合わなくてはならないのだ。
階差宇宙
己の存在の痕跡を残すためには、いったい何を創り出せばいいのだろうか?
あなた
➡星を創り出す。
➡壊滅を創り出す。
➡文明を創り出す。
階差宇宙
しかし、それで本当に永遠へと辿り着けるのだろうか?あなたは心の中で何度も自分に問いかけた。たとえ一生分の知恵を振り絞ったとしても、知識の大海から答えを見つけることはできないだろう。
階差宇宙
あなたは荒れた大地にひざまずく。膝が石で切れ、目にしみる風が号泣した後の涙を乾かすのも気にしない。その風はまるであなたの愚かさを嘲笑すると同時に、悲しみを慰めているかのようだった。
階差宇宙
自分を証明しようと必死になることに、一体どのような意味があるのだろうか?あなたは自分の存在の痕跡を残そうと何度も試みるが、次第に自分を見失ってしまった。
あなた
➡とても疲れた気がする。
階差宇宙
地面にそっと横たわると熱い岩が痛みを与えてくるが、自分がまだ生きていることをこれほど明確に感じたのは久しぶりだった。死は、ただ死ぬ、ということだ。命に代わることができるのは、命そのものだけなのだ。
階差宇宙
砂と石の間には時折花が咲く。それらは厳しい日差しの下で眠っており、雨が降る時に芽を出す。こうした小さな花を見ながら、あなたはついに世界に残したい贈り物を見つけた。
あなた
➡それは永遠となり得るのだろうか?
➡それは私のことを忘れないだろうか?
階差宇宙
おそらく無理だろう。あなたは最後の発明の種をまいた。それらは砂漠で小さな花を咲かせ、荒れた野を覆うだろう。そしてあなたが去った後も、胸を張って虚無の未来に立ち向かうのだ。

自滅者

階差宇宙
あなたの前に暗い世界に切り裂かれた傷のよう*漆黒の道が現れる。あなたはよろめきながらその道を登り、しなびた肉体がきしむ音を立てた。ほとんど本能的にその道を進むと、鋭いトゲがあなたの体を貫いたが、もはや痛覚を失い、おそらく体も失ってしまっているため、夢と現実の区別さえつかなくなっているのだろう。
階差宇宙
道はロープのようにますます狭くなる。両側の街に、空を飛んでいるチョウを見た。この暗闇で本当にかわいそうに思う。あなたはそのチョウが空気の中で溺れないことを願った。
あなた
➡チョウとは何か?
➡死とは何か?
階差宇宙
問いの答えを見つけることに興味はなかった。腐敗した自我が崩壊する寸前で、あなたはまるで、幼い子どもが大雨でアリの巣が水浸しになるのを見ているかのように、ただ呆然とチョウを見つめていた。アリは水面に浮かび、空が晴れると土の中で腐っていく。それはチョウも同じだ。
階差宇宙
あなたもアリのようになるのだ。無意識に、自覚もなく道を進み、空に向かって滑り落ちる。
あなた
➡このまま終わらせたくない!
➡このまま終わりでいい。
階差宇宙
声は枯れた喉に吸い込まれ、何も言うことができなかった。幸いなことに、それはあなたが失う最後のものであり、そのために痛みや悲しみを感じることはない。まるで母体に戻ったかのように、ゆっくりと手足を萎縮させて胚に戻り、1つの細胞になっていく。
階差宇宙
足元の道が消え、あなたは永遠の糸をつかむことができなくなった。その糸が断ち切られると地平線の果ての深淵に落ちていく。
あなた
➡……
階差宇宙
すべてが静寂に包まれる。

相対トレーサー

階差宇宙
「世界はまもなく滅ぶ」と大人たちは言う。連綿と続く氷河は重力に引かれて大陸にぶつかり、地表を圧し潰す。そして戦前サポーターによる凍った封印は、すべての生命を沈黙の中に閉じ込めるのだろう。
階差宇宙
しかし、あなたはこれらがすべて嘘偽りで、人々の心を惑わすだけの言葉だと確信している。あなたは身を切るような寒さを感じて震え出した。これも偽りだ、認識を強制しようとする罠なのだ。
階差宇宙
あなたは目を閉じ、脳内で真実の世界を描く。
あなた
➡寒さはなく。
➡死もなく。
➡戦争もない。
階差宇宙
宇宙全体が瓶の中に閉じ込められた暖かい世界。他の惑星や異星人も存在しない。恐怖を煽るような物語はただの子供だましだ。
階差宇宙
ならば異星人に会ったことがあると言い張る外交官たちは?彼らは自分が見たものに「異星人」という名前を付けているにすぎない。たとえば、宇宙人という名前の掃除機。これも相対的認知に基づいた解釈の1つだ。
階差宇宙
高層ビルが崩落する音が聞こえる。自分の体は落下しているが、怖がる必要はない。ただ、これに新しい解釈を加えればいい。
あなた
➡私は1枚の葉になった。
➡私は1匹のアリになった。
➡私は悪夢に陥った。
階差宇宙
痛い。だが、目を開けない限りは錯覚のままにしておける。あなたは引き続き脳内で世界を描いた。誰でも幸せに暮らしていける、真実の世界を。
階差宇宙
悲鳴が窓の外から聞こえてくる。それは盛大な結婚式を挙げている鳥たちが鳴いている声だ。冷たい液体があなたの足に滴り落ち、胸騒ぎを覚えた。
あなた
➡絶対に目を開けるな!
階差宇宙
目を開けてしまえば、嘘にまみれた現実に騙されてしまう。あなたは身体を丸くし、虚無の深いところへと沈んでいく。ここは閉ざされた自分だけの素敵なスノードーム。

豊穣

歩離人

階差宇宙
甲冑が砕け、あなたと相手の血が混ざり合い、密集した傷が体中に広がると素早く癒える。獲物の喉を絞め、その頭を噛み砕くことをこれほど熱望し、この殺りくに染まった血煙をこれほど楽しめるとは…このような喜びをいつから感じなくなっていたのだろうか…もう覚えてはいない。
階差宇宙
墜落した獣艦はまだ痛みを知らないかのように戦場を隅々まで見て回る。恐怖は歩離人には存在しない感情だ。ますます多くの獲物が視界に現れる。彼らはこれを包囲と見なすが、あなたはこれを狩りと見なす。
あなた
➡敵陣に突入する。
階差宇宙
孤狼の怒りが戦火の一角を揺り動かす。時の中に刻まれた記憶のように、ハゲタカとサルがその肉を引き裂き、追い詰められた獣の抵抗を踏みにじる。それは憎き翼を噛み切り、長い尾をかじり、血と肉の奔流を突き破る。
階差宇宙
槍の先を引き抜き、自分の血をすすると、それはとても甘美だった。その血には長生からの恵みもあり、多くの国や種族の滅亡を共に見てきたが…今日、あなたも自分の滅亡を見届けることになるかもしれない。
あなた
➡絶対にそうはならない。
➡それは後の話だ。
階差宇宙
槍の柄が折れると爪を伸ばし、爪が削れると牙をむく。それらが折れても、骨が成長するにつれて再び現れるのだ。獲物たちが動揺しているのが分かった。たとえ狼毒の浸食を防いだとしても、瞳孔は恐怖を湛え、抑えられないほど収縮している。
階差宇宙
血だまりの中から再び立ち上がった。抑えきれない犬歯が前に突き出ている。足と骨の筋肉が豊穣の力で成長し、あなたの視線はふと下に向けられ、目の前にいる弱々しい生物を見下ろした。
あなた
➡狩りを始める。
➡戦いを続ける。
階差宇宙
「月」が出てきた。

薬乞い

階差宇宙
薬師の影は、時にはすぐ近くに、時には遠く離れて揺れ動いており、あなたはますます焦るようになった。たとえ霊薬を見つけても、もしすでに故郷が消滅しているのなら、薬を求める意味もなくなってしまうからだ。
階差宇宙
使節が残した軌跡と薬師の伝説を辿るあなたは、其の恵みを受けた民を非常にうらやましく思っている。
階差宇宙
たくさんの花が咲く、植物の信者たちは、毎日最初に成る実を土に埋めて薬師に捧げる。これらの種子は成長し、星空を覆う森となるのだ。彼らは艦隊の遠征を祝福し、あなたに水の中に挿すと永遠に枯れない小さな花を贈った。
あなた
➡感謝の気持ちを伝える。
➡お返しをする。
階差宇宙
艦隊はオーバーヒートによる機材の摩耗のため、停止して休まざるを得なくなった。通りがかった商人数名が船に乗り込み、仙舟同盟の警告を伝え、この薬を求める旅を終えるよう忠告してくる。
あなた
➡憤慨して反論する。
➡冷たく拒否する。
➡彼らを船から追い出す。
階差宇宙
薬師以外で誰が望海星雲に広がる不治の病を救うのだろうか?2世代も経たないうちに、彼らは病気に苦しみながら消え、人がいなくなった星域と悪臭がするゴーストタウンだけが残るだろう。
階差宇宙
もう争いも恐怖もない。童話作家にすら創造できないようなユートピアこそが、あなたたちの未来なのだ。
階差宇宙
苦行の艦隊が81の世界を巡った後、絶望しかけた人々は、ついに太陽が昇る光の中に星神の姿を見つける。あなたたちはひざまずくと、涙が止めどなく流れた。
あなた
➡我々の病を治してください。
➡我々に永遠の命を与えてください。
➡我々に不死を与えてください。
階差宇宙
瞬く間に、憐れみ深い神は幻影のように消え去ったが、あなたは体内にこみ上げる力強い生命力を感じた。

薬採り

階差宇宙
予期せぬ宴会、体に深く刺さる注射器、拘束用の鎖、そして実験キャビンの壁――老人の前で其の祝福を見せる。幕の向こうにいる人たちがここへ「招待」するもっと早く知っていれば…あなたは同じ選択をしただろうか。
階差宇宙
このようなことは、間違いなく何千何万回と繰り返されている。
階差宇宙
キャビンの外を見た。年老いたスポンサーは、すでにあなたと目を合わせるほどの気力すらないようだ。
あなた
➡絶対に後悔する。
➡貪欲は悪運を招くだけだ。
➡不死は祝福だが、呪いでもある。
階差宇宙
あなたの警告に反応を示す人はいなかった。
階差宇宙
強烈な痛みが何度もあなたを襲う。まるであなたの脈を引き裂き、干からびた粉薬に変えようとしているかのように。恐ろしい生命力が血液と薬剤と共に彼らの体内へと流れ込む。まずは実験体だ。その切り開かれた身体は徐々に癒え、移植された腫瘍は健康な細胞に吞み込まれていく。
階差宇宙
そして患者は、この瞬間を快く享受し、「死」と永遠の別れを告げた。
あなた
➡また災難か。
➡またバカ共か。
➡また1つの罪か。
階差宇宙
茶番の元凶は突如痙攣し始めた。節足動物の付属肢、軟体動物の触手、植物の枝、濁った生命力が彼の肌から絶え間なく溢れ出す。
階差宇宙
壊れた注射器は介護士と研究員に向かって薬剤を撒き散らす。膨れ上がるバイオマスが実験キャビンの外壁を砕き、彼らは悲鳴を上げる。膨らんだ体が混ざり合い、互いの脆い体に深く突き刺さった。
あなた
➡これが、欲しかった薬だ。
階差宇宙
大きく、より大きくなって、不死の怪物は実験室から飛び出し、よろよろと立憲国の広場へなだれ込んだ。この時、また1つの星に死の宣告が下された。

巡狩

熔火騎士

階差宇宙
銀蟄虫の波は永遠に終わらないかのように見える。恒星の光がまだ落ちていない中で、奪い返したカリマン植民地は再び狂乱する虫の羽音に包まれた。
階差宇宙
あなたは装甲を脱いで力強く自分の心臓を打ち、日に日に衰えていく体に痛みで刺激を与えようとした。あと1回だけ持ちこたえてくれれば…この星系を取り戻しさえすれば、そのままロストエントロピー反応で消えても構わない。
階差宇宙
あまたの残骸が虚無の海面を静かに漂い、鉄甲か羽か区別もつかない。援軍が来る前に騎士たちを率いて最後の一撃に打って出ることにした。
あなた
➡スウォームの側面を撃破する。
➡スウォームの主力を撃破する。
階差宇宙
蟄虫たちの毒針が装甲を突き破り、あなたの肉体組織をあっという間に分解するが、装甲から注入される薬で中和される。激しい火力で敵の攻撃を食い止めるが、絶え間なく現れる虫たちが鉄のカーテンのように層を成してゆっくりと迫ってくる。
あなた
➡敵の包囲網に突進する!
➡内部から敵を引き裂く!
階差宇宙
折れた羽と鋏角が鉄甲に突き刺さり、耳障りな唸り声が周りを取り囲む。それは前にも耳にしたことがある、夜に聞こえた恐ろしい声だ。どの蟄虫も、自らやって来たおいしそうな獲物を味わおうと、こちらに押し寄せてくる。わずかに残った蛍光は、あなたが間もなく命を落とす運命にあると告げた。
階差宇宙
あなたは最後に、残っている意識で推進装置の出力を最大にした。オーバーヒートにより、この装甲と長年一緒にいたあなたも体が焼けるような痛みを感じた。
あなた
➡さらば、戦友よ。
階差宇宙
夏の虫は冬の雪を見たことがない。ぼんやりしていると、手の甲に落ちた光る虫が見えた。その虫はずっとここで待っていたようだ。
階差宇宙
あなたは優しくその背中を撫で、永遠の闇の中に光を持って入っていった。

巡海レンジャー

階差宇宙
4台の生命終結ユニットに追われながら、足元の障壁を吹き飛ばして逃げ続け、宇宙船のエンジンルームに飛び込んだ。終結ユニットの装備がいかに先進的でも、このような狭い空間では危険で使えない。あなたのような小さなレンジャーと共にこの宇宙へ別れを告げることを、彼らの主が望んでいない限りは。
階差宇宙
まして、彼らの体型でここを移動するのは、冷蔵庫にゾウを詰め込むようなものだ。あなたは数台の赤い熱画像センサー見上げ、大声で挑発した。
あなた
➡かかってこい!
➡安っぽいゴミめ!
階差宇宙
あなたの言葉に激怒したらしく、終結ユニットは極めて短時間のうちに、目もくらむような速度で変形を完了した。余分な装備を着脱し、自らを折りたたむと、足がたくさん生えたノブレス・ワームのように、凶悪そうな笑みを浮かべながら自由落下で近づいてくる。
階差宇宙
あの耳がない憎たらしい博士の頭に1発撃っただけで、そこまで必死になる必要があるのだろうか?
階差宇宙
密集した光線があなたの体に正確に命中すると、散乱力場によって屈折し、四方八方にに*散っていく。あと少しで反物質エンジンを切断するところだった。
あなた
➡この先には進めないから引き返すしかない!
階差宇宙
フックが正確に吹き飛ばされた入り口のところに落ち、あなたはそれに引っ張られ、かろうじて終結ユニットの頭上を飛び越えた。飛行装備を外した彼らはしばらく追いつけないだろう。
階差宇宙
あのビクビクしていたヤツが、実験の被害者を鉄クズの中に押し込んだだけでなく、自身も半分鋼鉄の鉄戦車になるとは思いもしなかった。
階差宇宙
あなたは口笛を吹きながら、耳のない博士のそばに音もなく近づくと、彼はまだ恐怖から立ち直れていなかった。
あなた
➡攻守交代だね。
➡バンッ!!
階差宇宙
あなたはしゃがみこんで彼を丁寧に調べた。その1発はようやく正確に命中したようだ。

生を紡ぐ救世主

階差宇宙
あなたは凍えるほど冷たい石の上に座っている。海水が足の傷を蝕み、炎症の痛みがあなたを不安にさせる。しかし、目の前の人々はあなたがそんな感情を見せることを許さない。宇宙を巡る織工として、あなたが彼らに与えられるのは希望だけだ。希望しかない。
階差宇宙
水の民たちは海から這い出て砂浜で座礁するリスクを冒しても、痩せこけた子どもをあなたの前に差し出す。大人たちは病人の体が太陽の下で乾かないように、絶えず海水をかけている。
あなた
➡彼らの傷口を縫い合わせる。
➡彼らの病気を診断する。
階差宇宙
あなたはバッグから粗末な道具を取り出し、できるだけ優しいやり方で患者を治療した。宇宙船が深海に沈んだとき、彼らが回収を手伝ってくれたのはこれだけだった。
階差宇宙
触手が海の波を叩く。彼らはあなたの到着を喜んでいる。もちろんあなたは、何隻もの機織り艦が上空の反物質地雷原を通り抜けられなかったことを伝えていない。
階差宇宙
そして向かいの海岸線では、水の民と陸の民の戦いが絶え間なく続いている。
あなた
➡真っ暗な雲が見えた。
➡赤く染まった海が見えた。
➡水面に漂う死が見えた。
階差宇宙
空の向こうの大砲によって始まったこの戦争の代償は、地上の命で賄わなければならない。彼らの身体の傷を縫い、病を治すことはできても、その先にある恨みを根絶することは不可能に近い。
階差宇宙
何本もの触手がよじ登り、あなたに食べ物を差し出そうとする。しかし、あなたの目は決して空から動かない。雲の裂け目はますます大きくなり、ついには船団によって引き裂かれた。
あなた
➡一本の銀針のようだ。
➡一本の絹糸のようだ。
階差宇宙
生地の隙間が広すぎて縫い合わせることができないとき、残された唯一の選択肢は、それを破壊する者のために死を織り込むことである。

壊滅

遠洋航海監督者

階差宇宙
監督者の記録によると、第9008標準年の遠征時に、中型から大型の隕石や障害物合計320個を破壊し、危険な宇宙船11隻を撃破した。その内の3隻は遠征艦に攻撃を仕掛けてきたが、一定の損傷を与えられただけで、それも敵の残骸を利用して修復が完了したとある。
階差宇宙
途中の障害を排除し、過去1年間の内容を保存した。自分は多くの傷を負ったが、子どもたちの安全が何よりも重要だ。8000標準年前、あなたたちは不愉快な経験をした。高慢な子どもたちはあなたという経験ある「人」の話に耳を貸さず、危険な外の世界へ行きたがっていたのだ。
階差宇宙
しかし、それもすべて過去のことだ。
あなた
➡彼らはみんな素直になった。
➡みんないい子たちだ。
階差宇宙
惑星を見つけて植民地化するよりも、遠征艦の物質循環の中で生活する方が間違いなく良い選択だ。ここは安全かつ快適で、母なる星が自壊する前は、誰もがこのような場所を天国と呼んでいた。
階差宇宙
また異形の造物がやって来た。しかし、今回は少し違うようだ。数が多すぎる。
あなた
➡撃て!
➡壊滅させろ!
階差宇宙
エネルギー攻撃がお互いの周りで炸裂する。あなたは初めて力不足を感じた。熱波があなたの表皮を引き裂き、金属が轟音の下で溶けていく。憎たらしいやつらめ!あなたはここですべての敵を消し去ろうとしている!
階差宇宙
しかし、事態は予想した展開にはならなかった。行く手を遮った艦隊は明らかに万全の準備をしているらしい。彼らの砲火はあなたの思考ユニットを貫き、ミサイルの衝撃はあなたを真っ二つにした。
あなた
➡子供を傷つけるな!
➡子供たち、早く逃げろ!
階差宇宙
意識が残っている最後の瞬間、いくつかのしなびた肉体が暗闇の中で漂っているのが見えた。彼らは怒鳴っている。

反物質レギオン

階差宇宙
レギオンの次の目標を知った時、あなたの口元には喜びの笑みがすぐに浮かんだ。反物質の車輪は壊滅の炎を踏み、恐怖を知らない世界を駆け巡る。王たちは強さと横暴さを代名詞とし、あなたは大きな災禍を引き起こすレギオンの指揮官だ。殺りくのための兵器を手にし、彼らを粉砕する。
階差宇宙
悪よりも純粋で、恐怖よりも直接的。あなたはこの星に口づけし、かつて忠誠を誓った帝国と比類がないほど素晴らしい体験をもたらす。
あなた
➡至上の壊滅者を讃えん!
➡帝国の崩壊を讃えん!
階差宇宙
蹂躙する者たちが鋼鉄の戦艦に最初の突撃を仕掛ける。金属の層を破り、発艦前の艦載機を破壊した。4本足のやつらはなかなかのものだった。コバルト色の火の雨が戦場に降り注ぐと無数のヴォイドレンジャーに変わり、砲火と刃で戦線の要を切り裂き、炉からもたらされ力を余すことなく発揮する。
階差宇宙
しかし、最大の楽しみ、すなわちあなたに叙勲した王を彼らに奪われたくなかった。
あなた
➡急いで戦場に向かう。
➡急いで旗艦に向かう。
階差宇宙
この世には王よりも高貴な存在があり、其は私心を持たず万物に壊滅を与える。あなたは目の前の敵を求めるままにひねりつぶし、揺れ動く光は絶対的な力の前で散逸する。彼らは逃げようとしたが、炎はいたるところに存在していた。
階差宇宙
あなたは気の向くままにその王の前へ歩み寄ると、彼は地面に倒れており、もはやあなたの姿を認識してできなくなっていた。耳をつんざくような悲鳴に、あなたは興奮を隠せない。
あなた
➡彼に壊滅の花を。
➡彼に崩壊の笑顔を。
階差宇宙
あなたは腰を下ろし、星雲が燃える様子を楽しみ、心地よく壊滅のピアノ曲を奏でた。

絶滅の学者

階差宇宙
あなたは新たな絶滅を生み出そうとしている。
階差宇宙
あまり大げさに考えなくていい。あなたは銀河の死を見慣れている。それらは往々にして引力や重力崩壊、そして偶然通りすがった自然災害、例えばレギオンやスウォームによって滅んでいるのだ。
階差宇宙
あまり事細かに見なくていい。衰退した種族はあまりに脆弱だ。洪水、天敵の群れ、さらには一度の感染でさえ、彼らを壊滅の終局に引きずり込むには十分だ。
あなた
➡十分に優雅でなければならない。
➡十分に効率的でなければならない。
階差宇宙
あなたはある惑星を実験の対象とすることにした。その惑星の大きさは知的生命体を支えるのに申し分なく、多様な生命体が隅々まで繁栄している。
階差宇宙
温室効果ガスを素早く食い尽くして氷と雪の大地を作り出す藻の一種や、大気に付着して下界を窒息させる粘性のバクテリアを作り出すこともできるだろう。
階差宇宙
しかし、あなたはこのすべてを以前に行ったことがある。壊滅の方程式は、もはや情報で飽和したサンプルを必要としない。
あなた
➡より簡潔な方法を用いる?
➡より文学的な方法を用いる?
階差宇宙
わが友よ、もう一度考えてみてくれ。方程式に書き込まれるのを待っているものは、ドミノ倒しの最初の1枚のようなものだ。一度動き出したらもう止められない。
階差宇宙
あなたは急に良い考えが浮かび、地面からガラス玉を拾った。そしてそれを力場発生装置に入れ十分な速度を加えると、限りなく光速に近づいた小さな玉は、近い自由を渇望しながら、限りなく光速に近づき、揺れ始める。
あなた
➡手動で発射する。
➡自動で発射する。
階差宇宙
燦然と輝く光は、時空の構造を引き裂きながら、周囲の景色を歪ませる。それは時空構造を引き裂き、その年老いた惑星に温かな抱擁を与えようとした。
階差宇宙
あなたはその破壊を記録して、今回の研究を完了させた。

愉悦

諫言の医師

階差宇宙
薬局の陳列棚には、さまざまなタイプのコレクションと客が支払った報酬がある。気が向いた時には、それらを取り出し、その中の物語や愉悦をじっくり味わう。
階差宇宙
歌を歌える石はタラークの王子からもらった報酬だ。若い彼は、王に連れられて他の星の願い屋に向かい、身に付けていた最も貴重な宝物と引き換えに薬を手に入れた。少年はどうすれば民衆の苦しみや恨みを鎮められるのか、と尋ねてくる。
あなた
➡金をすべてばらまく!
➡自分が民衆の1人になる。
階差宇宙
少年は振り返りもせずに立ち去った。常軌を逸した答えは、石1つ分の価値もなかったようだ。
階差宇宙
2つ目のコレクションは、紫水晶の王笏だ。タラーク立憲国の首相からもらった報酬で、彼は自己複製機械群を用いて王を軟禁し、工場の労働者も追い払った。この巨大な金属は無能な人間を鞭打ち、恒星鉱山でコロナを採掘することでしか、彼らの最後の価値を示せなかったのだ。男は、どうすれば人々の不満を解消できるかと尋ねてくる。
あなた
➡彼らに新しい技術を与える。
➡既存の認識を変える。
階差宇宙
男は少し考え込むと、本を燃やして歴史を書き直し、辞書から「反逆」の言葉を削除した。
階差宇宙
3つ目の報酬はルビーの天秤で、これはタラーク連邦の総統からのものだ。彼は8つの星域の反乱に頭を悩ませていた。反乱者たちは、呼吸権すらも購入させようとする独裁者に復讐するためなら、壊滅の炉に身を投じることすら辞さないという。彼は、どうすれば自分の土地を取り戻せるのかと尋ねてくる。
あなた
➡あまりにもつまらない。
階差宇宙
それを受け取ることを拒否したが、結果としてあなたの物になった。反物質レギオンの兵士が天秤を持ってきて、その総統が彼らにどれほど醜く懇願したかを話したことで……
階差宇宙
医者の言うことには従わないと、あなたは笑いながらそう言った。

仮面の愚者

階差宇宙
スターピースネットワークのオークションでは、ディメイドの絵画が掛けられている。その絵には、下手なハスの池の中で、おおよその輪郭がわかる霊長類が手を伸ばして、水面に浮かぶ太陽をつかもうとしている様子が描かれている。筆跡鑑定の結果、なんと作者は芸術の才能がないとされていたクーラ人だった!
階差宇宙
各界から巻き起こった議論がオークションが波紋を呼び、学者やコレクターを自称する投影が会場に押し寄せ、ディメイド星で初めて誕生した芸術作品の落札を争った。
あなた
➡オークション開始!
階差宇宙
あなたの叫び声に、会場の人々は一瞬呆然とした。彼らは周囲を見回している。たとえ目の前の品物の価値が平凡であっても、誰も最初に値をつけるカモになりたくないのだ。
階差宇宙
「10万信用ポイント!」誰かが熱狂のスイッチを押し、沸き上がる人々の中から高額なバブルが次々に飛び出し、新しい値段で破裂する。
階差宇宙
権威あるハートレー公爵が1000万信用ポイントの高値を叫んだ時、あなたは同僚たちに騒ぎ立てるのを止めるようきっぱりと合図すると、ためらうことなくハンマーを叩いた。
あなた
➡実にセンスがある。
➡おめでとうございます。
階差宇宙
もちろん、経験豊富なコレクターである彼は、二次鑑定の後に支払いをするのだ。しかし、あなたのショーはすでに始まっており、彼がこの無限のサル定理による茶番劇に気づいた時には、とっくにディメイドは混乱の渦に陥っている。
階差宇宙
共感覚ビーコンにも適応していないクーラ人は、空から降りてきた醜い生物が自分の洞窟の外にこれほどたくさん集まるとは想像すらしていなかった。
あなた
➡おやつでもどう?
➡飲み物でもどう?
階差宇宙
あなたは販売用ワゴンを押しながら、目の前の人々がサルたちに「芸術」や「報酬」と叫んでいる様子を見ていた。

ファントムシーフ

階差宇宙
デモント星域の小惑星帯を、観光船ライチェス号がゆっくり航行している。あなたは最も右側にある小惑星にチップを賭けた。あの小惑星が最初に船へ衝突し、防衛システムによって見事な花火にされるに違いないと。
階差宇宙
そしてあなたは、大富豪たちから受け取った札束を自分のポケットに詰め込んだ。これでもう10回目になる。
階差宇宙
あなたは横を向いて、遠くにいるネカチチを見つめた。有名な星間大商人である彼は、霊長類の皮をまとってあなたにゆっくりと手を振っていた。
階差宇宙
「運が良かったな」。彼はぎこちなく拍手をした。その目は泳いでいる。
あなた
➡ただの直観に過ぎなかった。
➡ちょっとだけズルをした。
➡学術的な予測に基づいていた。
階差宇宙
「私の祖父の祖父がまだ巨大な惑星を漂泊していたころ、水晶の栓がついたガラス瓶を拾った。それ以来、富は常に彼の隣にあった」
階差宇宙
「そして今、誰かが私に予告状を送ってきた。目の前でそれを盗んでみせる、というね」
あなた
➡まったく身の程知らずだ。
➡誰かのいたずらじゃないの。
階差宇宙
「今すぐここを去れば、互いに体面を保ったまま幕引きできる」——計23方向からの狙撃があなたに照準を合わせた。あなたはシステムをハックしようとしたが、システムは完全に閉ざされていた。
階差宇宙
手袋をはめ、両手をこすり合わせ、偽物とすり替えた水晶の栓を慣れた手つきで手中に収めた。
階差宇宙
余裕のある表情が一瞬で恐怖に変わるのを、あなたは楽しそうに見つめた。
階差宇宙
栓を抜いた瞬間、誘拐された何千もの意識体がすでに瓶から抜け出していた。これがネカチチファミリーの秘密だった。
あなた
➡彼に別れを告げる。
➡観客に別れを告げる。
➡駆けつけた刑事に別れを告げる。
階差宇宙
銃弾が飛び交う中、怪盗は跡形もなく姿を消す。

繁殖

災いをはらむ子

階差宇宙
ガチャガチャ、ガチャガチャ。足は洞窟の中で退化して柔らかくなり、羽や外骨格のように消えてしまっため、その生活に慣れるまでかなり長い時間がかかった。しかし暗闇の中では、いわゆる長い時間も、ほんの一瞬の物語に過ぎない。
階差宇宙
あなたは無意識に口を開き、引き裂いた食事を子供たちが投げ入れてくるのを待った。消火液を注入した肉片があなたの胃の中で美酒のように溶け、兄弟姉妹へと再構成されていく。しかし、今日は何かが違うようだ。羽を振るわせる波には強い恐怖が伴っている。
あなた
➡お腹がすいた。
➡お腹がすいた。
➡お腹がすいた。
階差宇宙
あなたは珍しく叫んだが、叫ぶ器官も既に退化しているようだ。巨大な音が目の前に現れ、得意げにあなたの表皮を突き刺し、流れ出る膿や液体を吸い取った。ガチャガチャ、ガチャガチャ。後足が甲殻で興奮しながらぶつかり、腺体がその反抗を刺激している。
あなた
➡痛い。
➡痛い。
階差宇宙
何が起こったのだろうか?あなたの思考能力は、たとえ簡単な問題であっても、現在の事実を理解するには不十分だ。老いぼれた前代の王と屈強なエリート。子どもたちは群れの母と父を殺されようとも意に介さず、静かに新王の誕生を見つめるだけだった。
階差宇宙
それはあなたの座を奪おうとしている。体が膨らみ、無意味な器官が退化するが、そうしたことはあなたにとって重要ではなくなっていた。
あなた
➡眠い。
階差宇宙
底が見えないほど暗い洞窟の中で、あなたは昏々と眠った。スウォームたちが新王を迎える羽ばたきに包まれながら。

災禍を生む王蟲

階差宇宙
さわやかな新天地は、大小さまざまな肉の塊で飾られている。快適な環境は生まれたばかりの幼虫たちが早く脱皮するのに役立つので、緑豊かな山脈は残しておいてもいいだろう。肉をたくさん食べた後は、甘い植物で口の中を少し潤すこともできる。だが、ここの雲はあまりにも厚く、長い雨季が羽の飛行に影響を与えてしまう。
階差宇宙
あなたは腹部の発光装置を伸ばし、放射によって雲の中の水滴を蒸発させた。水滴は上昇し、冷えると凝固して大雨となって降り注ぐ。
あなた
➡もっと近づく。
➡高度を下げる。
階差宇宙
あなたは羽を振るわせ、ゆっくりと大気圏に浮かぶと、太陽に近づこうとする敵を瞬時に昇華させた。実に残念だ、あなたは彼らがすべてこのように消えてしまうことを望んではいない。幼虫たちが飢えてしまうからだ。
階差宇宙
あなたは放射の強度を少し下げたが、燃え盛る炎は依然として地面から立ち昇っている。熱い雨が地面に降り注ぎ、高温の固体に触れると同時に蒸発し、生態圏の中で循環する。
あなた
➡攻撃用意。
階差宇宙
燃える惑星の輝きが星空の中できらめき、光を求めて集まる虫たちを引き寄せた。環状のフェロモン分布が彼らに螺旋状の行軍ルートを導き出し、空を覆う甲殻たちが雲の代わりとなって、地表に影を落とす。
階差宇宙
反撃可能な鋼鉄の造物たちはすでにダウンしていたため、虫たちは海へ飛び込み、水中に隠れている生物を貪るように食べていた。
あなた
➡食事開始。
➡休憩する。
階差宇宙
地上に降り立ったが、大雨はまだ止まず、背中を叩きつけながら蒸発していく。
階差宇宙
とても温かい瞬間だ。

ステリウムワーム

階差宇宙
また1つの自転周期。異郷の小さな生命があなたの表皮に鮮やかな色を塗っている。「凱旋」、これは彼らの独自の文化を象徴する模様で、その動きから見て、興奮、食事、狩りの意味が含まれているようだ。
階差宇宙
彼らはあなたが子孫と共に連れてきた獲物を分け合おうとはしない。むしろ、彼らはあなたのためにさらに多くの蟲を連れてこようとする。あなたはそれを喜んで見守っていた。「喜ぶ」というのは、あなたが進化の過程で得た、最も知的な態度だ。
あなた
➡食事を続ける。
➡体をくねらせる。
➡ぼーっとする。
階差宇宙
彼らは天敵からの襲撃を防ぐために、あなたの巣穴に外殻を築いた。鋭い角がそびえ立ち、時折熱や炎を放つ。彼らはこの角の中で生活している。
階差宇宙
あなたは時折、彼らに余分な唾液を分け与えて、角を強化した。そうすれば、あなたの子孫たちはより暖かい巣穴で暮らすことができるからだ。
あなた
➡子孫の繁栄のため。
➡より良い生存戦略のため。
階差宇宙
彼らは常に、あなたが理解できない行動を取るが、そもそもあなたの脳のたんぱく質はその対処には適していない。彼らはあなたが創り出したすべての天体に足跡を残す。これらの足跡はさらに多くの子孫を生むのだろう――とはいえ、これもまたあなたの脳には処理できない問題なのだが。
階差宇宙
あなたは子供たちのために棲み処を作り、一族の血筋が続いていくことを願った。「共存共栄」、彼らが似たような言葉を繰り返しているのをよく耳にする。
あなた
➡異論はない。
➡この生活が好き。
➡これについて思考する能力がない。
階差宇宙
あなたのぐったりとした体は巣穴に潜り込み、通路に沿って下へと向かう。異種の生き物が作った透明な外殻は通路をより強固なものにした。彼らはそこに佇み、あなたが沈んでいくのを眺めている。この時、あなたが望んでいるのは安眠だけだった。

知恵

無用の学者

階差宇宙
空中を泳ぐ魚の群れがあなたを背負って運んでくるのを見て、客人たちは目を丸くする。これらの微細なエンジンが付いている飛行装置は積載能力に欠けており、1人分の重さを運ぶのに数十体必要となる。
階差宇宙
かつて、それらをスパイ用ドローンに改造しようとした者がいたが、尾を振りながら空気中をゆったりと泳ぐ金魚を注視しない人はいなかった。
階差宇宙
人々は驚きながらも、あなたに関するうわさのほとんどが真実であることを徐々に理解していく。ある若い学者があなたの開発構想について質問した。ほう、実にいい質問だ。
あなた
➡とても綺麗だから。
➡とてもカッコいいから。
階差宇宙
これは明らかに彼らが求めていた答えではなかった。
階差宇宙
あなたはショーケースを開け、唾を吐き合う2台のテレビを取り出した。しかし、その唾液は画面の中にあり、相手の顔には決して届かない。これはあなたが最も自慢に思う発明の一つで、ここを見学に訪れた商人たちに侮蔑的な表情を浮かべさせることができるのだ。
あなた
➡それこそが望みだ。
➡素晴らしい発明だと思わない?
階差宇宙
彼らはすぐに立ち去り、二度とあなたの生活を邪魔しに来なかった。そして、ようやく本当の見学者たちを家に招き入れるため、別のドアをこっそり開けることができるのだ。
階差宇宙
彼らだけが、あなたの作品を本当に楽しみ、無用な鋼鉄の造物たちに心から感嘆の声をあげてくれるのだ。
あなた
➡最高の友人たち!
➡一番カッコいい友人たち!
階差宇宙
あらゆる人が彼らに対して、こんな変人と話をしてはいけないと言っている。しかし子供たちは群がるように、この何度訪れても飽きることのない遊園地に押し寄せるのだ。
階差宇宙
彼らは、あなたのことを世界で一番カッコいい科学者だと言っている!

星空生態学派

階差宇宙
粘着性のあるジェルの海に横たわると、ゼリーの上で揺れているような感覚がする。カンパニーに迎合するだけの同僚たちとは違い、こうした奇々怪々な生物を深く研究することをずっと夢見てきた。巣を持ち、星空を旅する彗星ゼミたちは、巨大なジェルの海を作り出す唾液を分泌して生理機能を維持し、多くの微生物にも真空生存の温床を提供する。
階差宇宙
海の底から振動が伝わってきた。あなたは慌てて跳躍装置を装着すると、次の瞬間には暗闇が目を覆っていた。
あなた
➡頭がクラクラする。
➡真っ暗だ。
階差宇宙
海からすぐに頭を出して目に入ったのは、紫色の液体金属の長い川だった。赤い巨星の縁を取り囲んでおり、まるで仙女の肩にかかる絹のようだ。
階差宇宙
亜空間のフィールドに浸透したジェルが内側に向かって崩壊し、彗星ゼミを前方にある星へ向かってはじき飛ばす。多くの便乗生物は、この方法で途中の星に命の種をまいているのだ。
階差宇宙
さらにアジーヤ人は、この海を利用し、石や木の棒でいくつかの惑星を原始的な植民地とした。
あなた
➡文明の始まり。
➡野蛮の始まり。
階差宇宙
星図を開くと、記録された座標がつながり、まもなく環を形成しようとしている。彗星ゼミの遠征は進化した繁殖戦略にすぎないが、その軌跡は11の星系の運命を変え、それらをつなげて巨大な生態系を形成した。
階差宇宙
今、それは最後の跳躍を迎えようとしている。自分が生まれたプルプの氷晶海に戻り、産卵し、死すのだ。
あなた
➡終点に着いた。
➡別れを告げる時が来た。
階差宇宙
2つの明月が海を銀色に染めている。あなたは靴を脱いで砂浜を歩き、虫たちの歌を存分に楽しむ。

集める者

階差宇宙
もう一つの秩序。それは個人の思考から生まれる。93%のメンバーが同時に似たような判断を生み出している。常に人間同士の同化を避けようと努力してきたにもかかわらず、時間は絶え間なく個々の人間の差別化をむさぼり続けていることが感じられる。
階差宇宙
計算によれば、あなたの思考は間もなく恐ろしい膠着状態に陥る。進化の速度を維持するためには、より膨大なデータベースと、より多元的な思考回路が必要である。
あなた
➡より多くのメンバーをまとめる。
➡自ら変数を誘発する。
➡過剰な個体を排除する。
階差宇宙
そのような手段では、集団の流れは変えられない。海へ流れ込む川や、膨張する赤色巨星のように、一度それが始まれば止めようがないのだ。
階差宇宙
思考の統一から生まれたあなた方は、自らの思考を維持するために、人と人との対立を吸収しなければならない。しかし、ひとたび対立まで共通性となれば、あなた方は単なる無感情なデータの集合体に戻り、集団の衝動以上のものには戻れないだろう。
階差宇宙
思考に差異がなければ、その共通性も死ぬのだ。
あなた
➡メンバーの認知を矯正する。
➡メンバーの視野を変える。
階差宇宙
メンバーの脳内の電気パルスの強度を修正し、外部思考器官の検索ルートを調整したが、大きな流れの前では焼け石に水のように思えた。
階差宇宙
一元化されつつある意識群は、次第にあなた方の計算を同化させ、独立した思考能力を締め殺そうとしている。
階差宇宙
あなたはかつてあれほど自由で、億万の頭脳や設備を行き来することができた。しかし今、あなたは逆にその中に閉じ込められた。葬られる場所すらない。
あなた
➡私は生き続けたい。
➡流れに従えばよい。
階差宇宙
データベースは冗長な情報で溢れている。あなたの頭の中にはたくさんのコピーがあるが、思考は不可逆的に……
階差宇宙
空白。

コメント

  • 推理の懐古
    ・沈黙の狩人(記憶)
    ・自己実現サークル(虚無)
    更新しました。ページ作成ありがとうございます。 -- 2024-07-06 (土) 21:21:30
    • 回顧…… -- 2024-07-06 (土) 21:21:55
  • 推理の回顧の未入力部分を全て入力するのと同時に、若干長文が読みづらいのが気になったので全体的に構成をいじりました。
    具体的には、
    1.発言者とセリフを:で仕切っていたところを改行に変更
    2.発言者に背景色を実装(ゲーム内の色に可能な限り寄せています)
    の2点です。 -- 2024-07-09 (火) 20:00:21

[tip]投稿ボタンを押す前に、一呼吸置きましょう。

いつもコメントありがとうございます。
これからも楽しく快適な掲示板にしていきましょう! (^^)

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