Serov

Last-modified: 2025-09-24 (水) 19:31:35

セローフ(71号計画航空母艦)

SovCV6.JPG

他画像

no link
後期船体。85mm砲が100mm両用砲となり、長距離対空砲を獲得する。

no link
ロケット弾をラングレーに掃射した画像。縦に小さく横に長い散布が見て取れる。

性能諸元

性能諸元の数値は、アップグレード・艦長スキル・信号旗・迷彩の補正がかかっていない素の状態の数値を入力してください。プレミアム艦艇の場合も迷彩を外した値を記入してください(ツリー艦との性能比較に必要です)。

編集時 ver.0.10.7.2

・基本性能

Tier6種別ツリー艦艇
艦種空母派生元Komsomolets
国家ソ連派生先Pobeda
生存性継戦能力(A) 38,600
(B) 39,500
装甲全体10-120mm
艦首甲板19mm
甲板21mm
艦尾甲板19mm
砲郭75-120mm
底部30mm
対水雷防御ダメージ低減7%
機動性機関出力124,600馬力[hp]
最大速力35.5ノット[kt]
旋回半径880m
転舵所要時間(A) 13.3秒
(B) 9.5秒


隠蔽性 通常火災煙幕
海面発見距離12.3km14.3km-
航空発見距離8.2km10.2km-



・艦載機

種別機体兵装生存性速度(最速)小/中隊機数最大ダメージ(火災)貫通ペイロード発見距離
攻撃機Polikarpov I-153RS-132M830139(180)6/62800(13%)37mm210.0km
Polikarpov I-180153(194)4
種別機体兵装生存性速度(最速)小/中隊機数最大ダメージ(雷速)射程/信管ペイロード発見距離
雷撃機Polikarpov R-5TTAN-121280101(137)5/53833(41kt)6.0km/661m110.0km
Grokhovsky G-371340111(147)
種別機体兵装生存性速度(最速)小/中隊機数最大ダメージ(火災)貫通ペイロード発見距離
反跳爆撃機Polikarpov R-5FAB-1001140101(137)6/66100 (40%)32mm110.0km
Kochyerigin BSh-11190115(151)



・兵装

副兵装船体口径,搭載基数×門数最大ダメージ(火災率)発射速度射程(手動)
A85mm/52 Model 1939,8基×2門HE弾 1200(4.0%)4.0秒4.0km(7.5km)
B100mm/56,8基×2門HE弾 1400(6.0%)3.8秒4.0km(7.5km)


対空砲船体距離口径基数×門数爆発数秒間ダメージ命中精度有効ゾーン
爆発半径内継続的
A12.7mm DShK20基×1門-18995.0%0.1-1.5km
37.0mm V-114基×2門148100.0%1.5-3.5km
85mm/52 Model 19398基×2門
B12.7mm DShK20基×2門-23195.0%0.1-1.5km
37.0mm 46-K4基×4門91100.0%1.5-3.5km
100mm/568基×2門41120100100.0%3.5-5.8km



・アップグレード

スロットAスロットBスロットCスロットDスロットEスロットF
搭載可能アップグレード

搭載可能アップグレード

1Airplanes1.png飛行機隊改良1航空母艦へ帰還中の航空機の速力 +20%
SecondaryWeapon1.png副兵装改良1副砲の抗堪性 +100%
対空砲座の抗堪性 +100%
2DamageControl1.pngダメージコントロールシステム改良1浸水発生率 -3%
対水雷防御ダメージ軽減率 -3%
火災発生率 -5%
Aircraft Engines Modification 1.png航空機エンジン改良1エンジンブースト時間 +10%
3SecondaryGun2.png副砲改良1副砲最大射程 +20%
副砲弾の最大散布界 -20%
AirDefense2.png対空砲改良2対空砲座の最大射程 +20%
Torpedo Bombers Modification 1.png雷撃機改良1雷撃機の攻撃時間 +5秒
Attack Aircraft Modification 1.png攻撃機改良1攻撃機の攻撃時間 +2秒
4DamageControl2.pngダメージコントロールシステム改良2浸水復旧時間 -15%
消火時間 -15%
Attack Aircraft Modification 2.png攻撃機改良2攻撃機のHP +7.5%
Torpedo Bombers Modification 2.png雷撃機改良2雷撃機のHP +7.5%
Bombers Modification 2.png爆撃機改良2爆撃機のHP +7.5%



・消耗品

搭載可能 消耗品

ゲーム内説明

セローフはプロイェークト 68 巡洋艦の船体をベースとした軽艦隊航空母艦の設計案であり、ソ連で 1930 年代の後半に開発されました (プロイェークト 71)。

プロイェークト68巡洋艦の船体とメカニズムに基づいた軽空母計画であるプロイェークト71 の予備設計は、1939年に開発されました。これを具現化したのがこのセーロフです。しかし格納庫の容積が小さく、搭載機数が不十分であることが批判を集めました。格納庫の寸法を大きくし、搭載機数を40~45機に増やすことが計画されましたが、その全てが戦闘機である必要がありました。また、両用砲の数を12門に増やし、それらを130mm連装砲座8基に置き換える可能性を調査するという要件も求められました。そして開発作業は、コードネーム71B の大型空母計画の形で継続されました。

解説

  • 母艦
    T6空母としては標準的。母艦隠蔽は良くも悪くもないと言ったところ。
    19mm,21mmの船体装甲は127mm以上の口径の駆逐HEに貫通され、マッチする全ての戦艦砲に強制貫通される。バイタルもやや高いため母艦の位置には十分気をつけよう。
    母艦対空は「T6艦艇」としては優秀であるものの艦載機の攻撃を防ぐには不足。母艦対空は反復防止の戦闘機が主体である。
    回転数を上げるため母艦は出せるだけ前に出したいが、砲撃を受けることはないようにしたい。
  • 航空機
    ソ空全体の特徴として「一斉攻撃」「非常に高い一撃の火力」「遅い艦載機速度」「低い耐久」がある。対空砲を長い間食らうとあっという間に落とされてしまう一方で攻撃が全体的に遠投を得意とし、また攻撃後即機体を帰還させるため対空砲に暴露される時間が短いことから艦載機損傷を最小限にできる。よって対空権侵入と同時に高速で敵に接近し、サクッと攻撃を行い即帰投するという独自の攻撃サイクルが求められる。反復攻撃が出来ないことから敵艦の姿勢固定が出来ず回避されるとダメージが出難いこと、中隊全体の火力は他空母と比較し劣ることも多く、中隊火力は他空母と比較し分が悪い。が、対空が一定以上あり他空母が十分反復できない状況では本艦の火力は他のT6空母を凌駕し、連続で攻撃を行う中距離戦では最早T8空母に匹敵するような火力を発揮可能である。
  • 攻撃機
    対大型艦兵器かつ本艦のメインウェポン。全攻撃機への機銃掃射追加で対駆逐能力を失った攻撃機も本ツリーでは対大型艦に特化した性能であり使いこなせれば凶悪な性能を有する。
    当ロケットは「機銃掃射時間が長く(6秒)」「散布界が広い」事から高機動巡洋艦、特に駆逐艦に有効打を与える事は困難。また絞りきった際にロケットが横に細長く着弾することから、艦を立てられるとダメージが出ない一方で敵艦の側面から侵入すれば全弾命中も起こり得る。ダメージ、投射量、貫通力、火災発生率はT6空母のそれと思えないほど優秀であり、散布も艦の真横から侵入すれば大型艦がすっぽり収まるため対大型艦では無類の強さを誇る。また最高速で接近すればほとんど対空砲を浴びない状態で的に攻撃が可能であり、T8の防空艦相手にも最小限の損害で大ダメージを狙っていける。特に本艦は反跳爆弾が微妙な性能であり、かつ雷撃機も同格の対空砲の性能向上から使い所が難しいことを考えると主兵装と言って差し支えない。独特な偏差と運用に慣れ、是非使いこなせるようになってほしい。
    攻撃機の諸性能

    6機編成中隊の各機4発一斉攻撃により合計24発のロケット弾をお見舞いする。一発当たりのダメージ2800と非常に高く、火災発生率も12%と優秀。装甲貫通力は37mmと非常に優秀であり、マッチし得るT8戦艦以下の船体装甲32mmを貫通させられる。Rangerを始めとするT6空母のHEロケットは貫通力が高々27mmであり全身が32mmであるT8戦艦には大したダメージを与えられない一方で、本艦載機は32mmをしっかり撃ち抜き大きいダメージを与えられる。
    これらが意味する事は、偏差さえ合えば格上の敵大型艦相手でも高ダメージに複数火災にモジュール破壊を引き起こす事が可能という事である。高対空なT8戦艦を自力で削ることができるのも本艦載機の強みと言えよう。そしてバイタル剥き出しの同格空母レンジャー及び龍驤のバイタルを抜ける。詳しくはリンク先の生存生の項を参照の事。

    本艦載機の対空母での有効性

    本攻撃機が有効であるのは、デカくて動きの鈍い、回避動作を怠る大型艦である。‥‥そう、空母(及び戦艦)である。
    本艦載機の強力なロケット弾は対空母(同格)で非常に高い効果を発揮する。
    そもそも艦載機で空母を攻撃する場合、中隊数が少なく修理もないT6艦載機では反復攻撃をする前に対空や相手空母の直庵機によって艦載機が叩き落とされてしまうので、反復攻撃までを通すことは難しい。つまり対空母火力は1小隊の火力に大きく依存し、一斉攻撃により高い小隊火力を誇るソ空は大きなアドバンテージを持っていると言える。
    強力なロケットを一撃で叩き込めるため、空母同士の殴り合いであれば外さなければまず火力負けは起こり得ない。またロケット弾は側面から攻撃をするという基本に則れば全弾貫通で約2万ダメージ、レンジャー、龍驤の様なバイタルを貫徹可能な相手なら2万5千オーバーという最早攻撃機離れしたダメージを与えられる。2wave目以降は区画耐久が減ってダメージが大きく減るため雷撃機が望ましく、かつ雷撃機は足が遅いため一人で落とし切るには時間が掛かるが、スポットをすれば最初の獲物に飢えた戦艦が狙撃をしてくれる公算も大きい。とくに狭いマップに当たりやすい事から、相性の良いレンジャーや龍驤相手なら開幕2waveで落とし切ることも理論上可能。相手がきちんと艦載機の飛来を見て艦隊防空権に避難したり回避行動をする空母乗りなら費用対効果が合わないため母艦刈りは控えるべきだが、もしも迂闊に母艦を孤立させているようなら初手から沈めに逝くのも有りである。
    またT8空母はインプラカバルとインドミタブルを除き全身が25mm以下のため、格上空母でも攻撃機で殴れば2万近く出る。格上空母と母艦刈りをしようとすると流石にこちらのほうが負けてしまうだろうが、的空母母艦を殴るときは遠投性能も加味すれば本艦載機が最も効率的と言えるだろう。
    艦載機の足が遅いことから積極的に敵陣後方まで艦載機を飛ばす事はロスが大きく、かつ敵空母を殴る間は敵水上艦を殴れないため空母狩りはいかに敵を効率的に落とすかが鍵となる。通常プレイに飽きた艦長はぜひ検討してみて欲しい。

  • 雷撃機
    5機編成中隊の各機1発の一斉投下をおこなう。
    魚雷5本で計1万9千ダメージであり、当てる事さえ出来れば水雷防衛を考慮しても万越えのダメージを量産できる。
    射程6kmと非常に超射程であり、信管作動距離いっぱいまで接近することは勿論、水上艦の雷撃のように最大射程付近から遠投を行うことも、敵が進みそうな海域にばらまくことも可能。
    しかし本雷撃機は「安全距離が異常に長く」「その割に雷速が遅い」という明確な弱点があり、高機動を徹底されると命中は難しくなる。また信管作動距離が長い事を知っていて意図して踏んで来るプレイヤーが居るので注意。やや遠投した方が命中させ易い。
    また当魚雷はカタログにこそ記載はないが魚雷の収束度が異常な程高いという長所がある。収束は遅いが絞り切る事自体容易、完全に絞りきれば駆逐艦がやっとすり抜けられるような密集度合い。艦を立てられたら艦首に狙って流してみよう。
    艦を立てられていても比較的ダメージを取り易いため、中近距離で艦首を向けている艦には当雷撃が有効な場合が多い。距離によっては15秒間隔で魚雷5本を流す様な事すら可能誰が言ったか無限雷撃編
  • 反跳爆撃機
    6機編成中隊の各機1発一斉投下による反跳爆撃を行う。
    スキップ数2と控えめなため防空外からの遠投はできない。反跳爆弾だからと格上の防空艦を殴ることは避けたい。
    一方で一発当たりのダメージ6100、装甲貫通力は32mmで数値上の火力は十分ではある。積極的に使うような性能でもないが、火力自体は悪くない。
    また面制圧力があり、偏差も取りやすいことから雷撃機や攻撃機と比べ敵に当てやすい。特に当てにくい攻撃機に慣れるまでは、反跳爆弾でダメージを稼ぐのも有効。
    ただし爆撃精度自体は大型艦への攻撃では困らないが駆逐艦のような小型艦相手では散布に嫌われ1発も当たらない事もザラである。対駆逐では側面に回り込み、できるだけ最大反跳をさせて狙いたい。そこまですれば3発程度の命中は現実的に期待できるようになる。
    一般的に対空圏外から消耗無しで攻撃を出来る事が最大の強みな反跳爆弾であるが、反跳回数が少なく損傷が出やすい事、そもそもT6のマッチ帯に高対空艦が少なく反跳爆弾の優位性が下がる事、扱いを熟知すれば反跳爆弾以上ににダメージを稼ぎやすい雷撃機と攻撃機の存在から使い所が少ないのが実情である。
    それでも駆逐艦に有効打を出せる唯一の兵装であるため使い分けて行きたい。
  • 総評
    大型艦を殴るべく誕生した脳筋空母である。
    しかし艦載機の運用に慣れればどの兵装も高いポテンシャルがあり、特に破格のダメージ量を誇る攻撃機と雷撃機の破壊力は時には格上をも凌駕する。またT6空母は修理を持たず、またT8に多数の高対空な鑑がいることでボトムマッチでは偵察程度しか仕事をさせてもらえないことすらある中で、本艦は例え相手がT8の高対空でも攻撃機を使えば最低限の消耗で(消耗は必ず発生するが)破格の火力を出していくことが可能で、ボトムマッチで相対的に輝くこの特性は本艦の明確な長所と言える。
    攻撃機は大型艦にとって脅威であり、相手に回避を強要させるか大ダメージを受けるかの二択を迫らせることができる。また敵空母も母艦狩りを警戒しながら動く必要に迫られ、活動に制約が生じる。敵大型艦にプレッシャーを掛け続け、甘えた敵から大ダメージをかっさらうことができることは本艦の強みといえる。同格程度の戦艦には雷撃機が非常に効果的であり、波状攻撃で中距離の戦艦を即死させることも可能。反跳爆弾も見えていて側面を見せた駆逐には刺さるので最低限の対駆逐性能も持っている。
    と一見OP気味な攻撃性能の代償として当て難く避けやすいソ空全体に共通する弱点があり、またいくら遠投で艦載機の消耗が減らせると言ってもあまり対空を受ければちゃんと枯渇する。艦載機耐久も低く速度も遅いことから、無駄のない攻撃を行わない限り額面通りのスペックは発揮できない。攻撃後即帰投の性質上スポット能力が低く、対駆逐艦能力が低いか事からダメージの割には味方に貢献できないことが多い。また火災のスリップダメージを稼いでいくことも仕事の本艦は、ダメージの大きさの割に仕事をしていないことが多い。
    しかしそれを上回り余りある火力をもって敵大型艦を粉砕すれば、勝利はそう難しく無い。とにかくダメージを出してなんぼのツリーであるため、駆逐のスポットもこなしながら敵を殴り倒していこう。


史実

1920年代中盤、ソビエト海軍では「小艦隊」思想*1の嵐が吹き荒れていた。
未成巡洋戦艦の空母改装案や練習艦の空母改装案を吹き飛ばしつつ吹き荒れた嵐が過ぎ去り始めたのは1930年代中盤のこと。とうとう「小艦隊」の主導者たちが地位を追われ始めたのである。なぜそういうことが起こり始めたのかは、『1930年代中盤』という時期から察して欲しい。例のアレだよ、アレ
状況が変化したことで空母保有の機運は再び高まりつつあった。早くも1936年には海軍中央造船研究所で17750t級航空母艦設計案の開発作業が開始されている。
そして、1938年2月にとうとう次期大規模艦隊整備計画である「大艦隊」計画に航空母艦を組み込むことが本決まりとなり、新型航空母艦に対する戦術的・技術的要求が海軍参謀総長のレフ・ハラーによって承認された。

新型航空母艦に対する戦術的・技術的要求の内容
  • 艦の主要任務:公海および敵地沖合における艦載機を使った攻撃。それに加えて、偵察や防空
  • 基準排水量:10000tから11000t
  • 速度:30ノット
  • 航続距離:4000マイル以上
  • 航空機搭載量:45機(単発爆撃機30機/戦闘機15機)
  • 搭載機が格納庫に収納されている状態から45分以内に、全機甲板上に準備されている状態であれば20分以内に全機発艦可能であること
  • 6~8門の130mm砲と、解放式の100mm連装両用砲を4~6基搭載。130mm砲を搭載しない場合は100mm両用砲を12基に増やすこと
  • 8丁の37mm機関砲に加えて、12.7mm機銃を数丁搭載すること
  • 艦の重要区画には新型軽巡洋艦と同等の装甲保護を持たせること

さらに、38年6月には

  • 基準排水量を13000tに増やす
  • 速度は34ノットに引き上げる
  • ディーゼル機関の搭載を検討する
  • 130mm連装砲を3基6門、解放式100mm両用砲を16門、37mm機関砲を16丁、12.7mm機銃を20丁搭載すること

といった内容の改定が行われた。
また、ここで煙突をどこにどう立てて排煙するかという問題が検討された。
この時点では両舷に煙突を配置するか、もしくは右舷に煙突一体型のアイランド型艦橋を建てるかする予定だったようだ。

71号のナンバーを割り振られた航空母艦の設計作業は海軍中央造船研究所改め第45設計局に委託された。36年からコツコツと航空母艦設計案を作成していた経験と成果が大いに役立ったことは言うまでもない。
39年5月には小型空母の予備設計が完了し、併せて200分の1サイズの風洞実験用スケールモデルも作成された。
コムソモリスク・ナ・アムーレの第199造船所にて1番艦が1942年に起工されることも決定された。ソ連は航空母艦保有に向けた階段を着々と登りつつあった。

 

起工時期の決まった71号計画艦であるが、この艦は同時期に設計作業の進んでいた68型軽巡洋艦の船体をベースに設計されている。
とはいえ68型と違い艦橋構造物が右舷側に偏っているため、重量バランス調整のため右舷側の装甲を100mmから75mmに削減し、ボイラーをいくつか左へオフセットするという設計変更がなされている。
また、航空母艦は船体が主砲発射の衝撃にさらされることもなければ、砲撃戦に参加して敵艦に砲弾をぽこじゃかと撃たれることもまずないであろうとの考えから、特殊鋼ではなく通常の造船用鋼材が建材に用いられることになっていた。経費節減のためである。
クリーブランド級インディペンデンス級のように巡洋艦船体をそのまま空母改装したものではないが、青葉龍驤のように巡洋艦船体をほぼ別の艦と言ったほうがいいほど大幅に改設計したものでもない、両者の中間のような設計手法と言っていいだろう。

 

武装はキーロフ級で運用実績のある100mmB-34単装砲が8基に12.7mmDShK単装機銃が20基、それから開発途上の37mm46-K四連装機関砲が4基。かつて提示された要件と比べて大幅に軽武装なものとなっていた。
航空機の搭載機数も30機(単座戦闘機20機、複座偵察/爆撃機10機)と要件から大幅に減少している。全長146m/全幅18m/高さ6mの1段式格納庫ではそれが限度だろうとの算段であった。
また、搭載機の比率が戦闘機寄りになったことは艦の運用が攻撃任務重点から(二義的な任務だったはずの)防空任務重点になったことを意味していた。艦本体が軽武装なのも同様の理由に基づいている。

 

1939年8月、71号計画艦2隻を含む艦隊整備計画の草案が海軍人民委員から正式に提出された。
提出された71号計画艦は海軍科学技術委員会によって検討され、概ね肯定的な評価を得ることに成功した。
しかし、格納庫容積の小ささとそれに伴う搭載機数の少なさが問題視された。格納庫の容積を拡大し、さらに爆撃機の搭載を完全に放棄して40~45機の戦闘機を搭載することが科学技術委員会から提案された。
海軍科学技術委員会の勧告には他にも「100mm単装砲を8基から12基に増やすか、もしくは130mm連装両用砲8基に換装する」といった内容も含まれており、こうした諸々の提案を受け入れる場合改設計と大型化は避けられなかった。

一応海軍科学技術委員会の勧告に沿って「71b」として知られる大型航空母艦設計案の作成作業も開始されたが、結局大型空母を作るのか小型空母を作るのかを決断する時間がソ連海軍には残されていなかった。
第二次大戦が勃発した結果、1940年1月に起工済みの艦艇の竣工を最優先とする決定が下され、多くの艦艇の新規起工作業が延期されてしまったのである。当然71号計画艦も作業延期組に含まれていた。
この作業延期が71号計画艦の事実上の終焉となった。延期している間に1941年6月22日が来てしまったし、海軍のことを考える余裕が生まれる程度に戦局が好転した頃にはソビエト海軍の興味が「大戦の戦訓を反映させて設計した新たな航空母艦設計案」へと移ってしまっていたためである。

小ネタ

:艦名の元ネタ
本艦の艦名である「セローフ」はおそらくソ連邦英雄であるアナトリー・セローフにちなんだものであろうと思われる。
戦闘機パイロットとしてスペイン内戦に派遣され、撃墜8・共同撃墜7を記録した。さらに、戦隊指揮官として戦闘機のみでの飛行場襲撃作戦を行いフランコ軍の航空機12~80機を地上で撃破する大戦果も挙げている。
指揮官として共和派を悩ませていたフランコ軍の夜間爆撃に対する迎撃戦術を確立したり、前線飛行場の防空監視網システムを構築したりといったアイディアマンな一面もあったようだ。
これらの働きによって赤旗勲章2個とソ連邦英雄の称号を得たが、1939年5月にUTI-4練習機(I-16の複座型)を操縦して曲芸飛行の訓練中に墜落事故を起こし死亡した。なお事故機には著名な女性パイロットで女性初のソ連邦英雄であったポリーナ・オシペンコが同乗しておりセロ―フとともに死亡したことからこの一件はソ連国内に大きな衝撃をもたらすこととなった。

なお、ロシアのスヴェルドロフスク州には彼を顕彰するために「セロフ」と改名された都市が現在もそのままの名前で存在している。

ゲームの「セローフ」が搭載してる愉快な飛行機たち
  • I-153
    説明不要と思われるので省略

  • I-180
    I-16の更なる発展型としてポリカルポフ設計局で1938年夏から開発が始まった、空冷14気筒エンジン搭載の戦闘機。
    同年12月、ソ連邦英雄であるヴァレリー・チカロフによって最初のテスト飛行が行われたが、着陸体勢に入ったところでエンジンストールを起こしてチカロフが死亡するという最悪の結果に終わった。
    国民的英雄であるチカロフの死亡事故という大惨事のインパクトは大きく、本機の主任設計技師であるドミトリー・トマシェヴィッチを筆頭にポリカルポフ設計局から複数名の逮捕者を出す大事件に発展してしまった。
    なおトマシェヴィッチは放り込まれたブタ箱で普通に航空技術者として仕事を続けた。ソビエトではよくあること
    ともあれ開発作業はその後も継続されたが、53回目の試験飛行で再度テストパイロットの死亡事故を起こすわ、本機の生産を担当する第21工場がI-180製造用の人員を自分たちの計画であるI-21戦闘機の開発作業に回してI-180の製造を遅延させるわ、搭載エンジンであるM-88に欠陥が発覚して飛行禁止命令を食らうわと踏んだり蹴ったりな有様となり、結果量産は中止されてしまった。
    その後I-180の代わりに第21工場が量産することになったのは「保障付き塗装済み棺桶」との誉れ高きLaGG-3である。I-180のほうがよっぽど高性能だったのに……
    性能諸元
    全幅10.09m
    全長6.88m
    自重2020kg
    全備重量2638kg
    発動機M-88R 空冷星型14気筒(1100hp)
    乗員1名
    最大速度585km/h
    実用上限高度11000m
    航続距離900km
    武装7.62mm ShKAS機関銃 2丁
    12.7mm BS機関銃 2丁
    爆弾 200kg

  • R-5/R-5T
    1930年代前半に大量生産された多用途機。軽爆撃機、偵察機、攻撃機、さらには郵便機や旅客機に救急や測量に地質調査と手広くこなして1940年代末まで使い倒された。
    R-5Tは極東で使うことを目的に作られた雷撃機型。魚雷を積むために着陸装置を改修している。
    どうも露語圏ではShON(コムソモレツが積んでるソ連初の艦載機)とR-5Tが混同されてる様子で、ShONのほうを「R-5を改良して作られた」「着陸装置を改修して魚雷を搭載できるようにした」なとど紹介してる文献も散見される。
    性能諸元
    全幅15.30m
    全長10.56m
    自重1965kg
    全備重量3347kg
    発動機M-17F 液冷12気筒(680hp)
    乗員2名
    最大速度244km/h
    実用上限高度6100m
    航続距離800km
    武装7.62mm DP機関銃 2丁
    7.62mm PV-1機関銃 1丁(後部)
    爆弾 500kg

  • G-37
    1932年ごろからパーヴェル・グロホフスキーによって開発作業が始まった双胴双発の多目的輸送機。
    用途に応じて様々なタイプのキャビンを胴体下に吊り下げて運用する設計になっていた。WoWsでは魚雷を吊り下げている部分に半円状のキャビンが収まると思って欲しい。
    キャビンの種類は10~12人の落下傘兵を運ぶものであったり、10人ほどの旅客を乗せるものであったり、5~10人の負傷兵を収容するものであったり、担架に乗せられた4人の患者を移送するものであったり、総重量1tまでの貨物を収納するものであったり、宣伝ビラを満載して上空からバラ撒くものであったりしたようだ。
    事故や損傷が発生した場合、または任務の内容がそれを必要とする場合はキャビンそのものをパラシュート投下することも可能な設計になっていた。何ならキャビンの代わりに爆弾を積んで投下することだって可能だった。なのでまぁ、魚雷を積んで投下してもおかしくないといえばないだろう。たぶん。
    1934年に初飛行をして1936年末まで試験飛行を続けたようだが、結局正式採用されることはなかった。
     
    なお、WoWsに登場している「G-37」は実機と少々形状が異なる。おそらくG-37の開発計画末期に提案されていた、主翼を再設計しM-34Nエンジンに換装して時速400km/h発揮可能にする『G-37A』案を具現化させたものであると思われる。
    性能諸元
    全幅23.70m
    全長15.20m
    自重4000kg
    全備重量6250kg
    発動機M-17 液冷12気筒(680hp)2基
    乗員3名
    最大速度285km/h
    実用上限高度8050m
    航続距離1700km

  • BSh-1
    1936年に輸入したアメリカのヴァルティーV-11をライセンス生産した単発攻撃機。
    元々のV-11が工業製品としては大変優れていたものの、軍用機としては国産攻撃機とどっこいどっこいかやや劣るという程度のものだった上、兵装やエンジンを国産品に置き換えていく過程で重量が増加し、国産エンジンは原型機が積む米製エンジンより馬力も信頼性も劣る代物だったので、試作段階から性能面でのじんわりとした不満がついて回る代物となってしまった。
    さらに全金属性航空機の製造経験がない第1工場が生産担当になったことや、V-11がソ連のものより遥かに進んだ電子機器を多用する設計であったことは完成品の製造を深刻に妨げる要因となり、またどうにか出来上がった完成品に多くの欠陥を発生させる原因ともなった。
    繰り返しになるが、軍用機としての性能はともかく工業製品としては当時のソ連製品より遥かに優れた技術の塊だったのである。やはりアメリカの壁は高かった。まぁそうした先進技術を吸収することもライセンス生産の目的ではあったのだが。あったのだが……つらい……
    とりわけ米ソのプレキシガラスの品質差は深刻であったようで、原型機のV-11では操縦手の視界良好だったのに国産プレキシガラスを使うBSh-1では相当に視界が悪化していたそうである。ほんとつらい……
    そうこうしているうちに時間だけがどんどんと経過して1939年となり、1936~37年時点では「国産機よりほんのり劣る」という程度だった国産機との性能差が一層悪化して軍用機として完全に陳腐化してしまったため、量産計画は中止されてしまった。
    既に完成していた機体はしばらく放置された後に「まだ動く」機体だけが非武装化された上で民間へと払い下げられたそうである。そうした機体たちも大祖国戦争で人員輸送や偵察任務に投入されて消耗していき、どうにか戦争を生き残った少数の機体も全て処分されてしまったようだ。
    性能諸元
    全幅15.25m
    全長11.40m
    自重2911kg
    全備重量4056kg
    発動機M-62IR 空冷星型9気筒(840hp)
    乗員2名
    最大速度339km/h
    実用上限高度7200m
    航続距離1700km
    武装7.62mm ShKAS機関銃 4丁
    7.62mm ShKAS機関銃 1丁(後部)
    爆弾 400kg
  • ゲーム内表記について
    本艦の名前「Serov」をロシア語で発音した場合、"o"の位置にアクセントが来るため「セローフ」のようになる。しかし、実装時のニュース記事では、「セーロフ」表記のもの「セローフ」表記のものがあるなど表記がまちまちとなっており、プレイヤーを混乱させているかもしれない。留意されたし。なお本ページの名前は、港画面でカーソルを当てた際に出てくる「セローフ」を採用している。

編集用コメント

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  • 艦名表記について小ネタ記入。コメ欄の情報をまとめただけなので、不正確だった場合修正をお願いします。あと同時に諸元記入してくれた方がいたようです -- 2021-10-21 (木) 05:40:32
  • 無駄に長くなっていた解説を要約。個人的にエモいと思うスクショを撮れたのとトップの写真初期船体なので最終船体時の写真として追加。 -- 2023-10-08 (日) 00:57:50
  • ゲーム内説明追記 -- 2024-12-07 (土) 15:25:57

コメント欄

  • 爆撃刺さると楽しい子 -- 2022-09-13 (火) 22:44:37
  • アメリカ空母で全然稼げなくてソ連駆逐ツリーなんか進めてたからソ連空母に乗ったけどまじで強い…個人的に1番強い空母と思ってる。ロケット弾搭載機が最高すぎる( ´Д`) -- Avokads🥑from Mexico? 2022-09-27 (火) 16:01:09
    • 独空母もおためしを! -- 2023-12-04 (月) 13:56:53
  • tier6とは思えない見た目(いい意味で) -- 2022-12-04 (日) 18:51:02
  • 平均10万出だしてクラーケン量産できて草すら生えない。駆逐が苦手かと思えば拡散と収束でボコスカ当たる。 -- 2023-03-01 (水) 19:54:36
  • こいつのことセーロフって思ってたわ -- 2023-03-27 (月) 15:27:46
    • 表記が揺れてるからそう書かれてたりもする。 -- 2023-03-27 (月) 16:04:45
  • 初陣で11万&大口径、雷撃機以外更新してないのにこれはOPですな -- 2023-08-04 (金) 02:07:51
    • 攻撃機更新して敵龍驤に真横からypaaaaaしな。飛ぶぞ(2万ダメ+火災多数) -- 2023-08-04 (金) 09:46:21
      • まじ!?今度やってみるわ -- 木主 2023-08-10 (木) 22:24:40
      • それかなあ?たった今戦闘が始まって2分くらいでこいつに一方的に沈められて意味が分からなかった。どうやって対策すればいいんですか? -- 2023-09-27 (水) 21:15:27
      • どうしようもない。出来るだけ味方の対空圏を敵空母と母艦の間に挟んだり、ルート上に戦闘機を置いたりして時間を稼ぐしか無い。どんなにやってもガチで来られれば沈められるけど、空母狩りって片道時間がかかるから迅速に落とさないと空母本来の仕事が出来なくて負けるっていう諸刃の剣な訳。だから出来るだけ時間稼ぎして、沈められるまでに稼げるだけ稼げばある程度の戦績は出るだろうし勝ちやすいと思うよ(あとやる気のない空母狩りなら初撃当てて区間HP減ったら放置も多いからその場合は無視でいい) -- 2023-09-27 (水) 21:53:41
  • T6でダメージ出る空母ってSerov>りゅーじょー>ウェーザー>レンジャーなんだけどみんなはどう? -- 2023-08-11 (金) 18:34:32
    • furious君も忘れないで… -- 2023-08-29 (火) 10:14:45
      • おっそうだな -- 2023-09-28 (木) 00:19:43
      • 草 -- 2024-03-15 (金) 22:37:44
  • レンジャーに乗っていて空母狩りされてムカついたから作ったけどまぁ強いわな、ロケットヒューリアスにぶっかけたら一撃で1万8戦、レンジャーも絞りきれてない状態で投げたらVP抜いて1万4千。ぶっ壊れって言われるのもわかるなぁ。 -- 2023-10-05 (木) 13:46:41
  • 攻撃機ナーフ前龍驤に800戦乗って達成できなかった20万ダメ8隻撃沈を50戦行く前に達成。ダメ出すだけならマジで強い。まぁ敵も味方もbotかそれみたいなのしかいないから再現性低いけど -- 2023-10-11 (水) 21:15:30
  • ついついエンジンブーストを焚いてしまう悪い癖がある自分にとって、1回目からwキー飛ばしても速力が切れないのは好き -- 2024-01-01 (月) 00:12:36
  • こいつの爆撃どうなってるの!?空母のバイタル抜けたんだけど…(それも3枚)因みに相手はIndependensだった -- 2024-04-14 (日) 09:09:57
    • T6米空のバイタルなんて駆逐で抜けるほどペラッペラ…ってIndependenceのバイタルは沈み込んでる&水雷防御で覆われてる&127mmあるのか…反跳が刺さる16mmはめっちゃ下、何があった…やわらかRanger -- 2024-04-14 (日) 12:22:05
  • せーロフ君普通にティア6最強空母だけど戦艦とかが居ないとダメージがしょぼくなる -- 2024-05-07 (火) 16:50:50
    • わかる -- 2024-07-13 (土) 13:41:12
  • ティアVで当たったら一方的にやられたんだけどこいつやたら強くない? 使いづらくても駆逐じゃないと避けようないじゃん… -- 2024-08-06 (火) 17:06:01
    • T5の何に乗ってたかは知らんけど、T5レベルだと長距離対空ナシ、あるいは長距離あるけど弱すぎて短距離からじゃないと落とせない、みたいな感じで遠投離脱がメインになるソ空相手に無力な奴が多いからねぇ。T6T7と上がってくにつれてまともな中長距離対空持てるようになるからそれまで我慢かな。 -- 2024-08-06 (火) 20:25:50
  • ロケット気持ち良すぎやろ。戦艦に初動で16000は楽しすぎるw -- 2024-10-08 (火) 12:48:15
  • ロケットの機銃掃射が長すぎて全部当たらん…!空母と甘えた戦艦以外は狙われると分かった瞬間に角度つけられてHIT数が大幅減になる、上手い狙い方はないだろうか。あと一撃離脱するせいで駆逐に対するプレッシャーやスポットなどが甘くなってレンジャーよりも全体への貢献度低くなりがち。これはその分ダメージで交換するから腕磨くしかないのかね。 -- 2025-08-11 (月) 08:56:49
    • そもそも空母の艦載機毎に適したターゲット艦種が異なるので使い分けですね。殆どの艦載機は適切でない艦種に対しては運頼みになり、相手に回避の主導権があります。艦載機のラインナップはその空母の特性が最も出る部分です。ソ連空母は基本的に対大型艦が得意なツリーなので仰るとおり大火力で敵を沈めて有利を作る必要があり、索敵などの支援は苦手な傾向にあります。対駆逐としては反跳爆撃の一段目が比較的当てやすいですね。 -- 2025-08-11 (月) 10:02:18

[添付]


*1 潜水艦・魚雷艇・駆逐艦&嚮導駆逐艦・軽巡洋艦に陸上攻撃機で海軍を編成するというもの。『大型艦無用論』と言い換えてもいい