Tier5 ソ連 重戦車(読み方 カーヴェーアジン/ケイヴィーワン)
↑ KV-1 LKZ mod. 1940 + 76 mm ZiS-5
溶接で組み上げた無骨な砲塔が特徴。
↑ KV-1 ChTZ mod. 1942 + 122 mm U-11
HD化に伴い砲身が細長くなった。
↑ KV-1 ChTZ mod. 1942 + 85 mm F-30
HD化に伴い防盾の形状が変更され、ややのっぺりした印象を与える。
スペック(v1.10.0)
車体
耐久値 | 800⇒840 |
---|---|
車体装甲厚(mm) | 75/75/70 |
最高速度(前/後)(km/h) | 34/10 |
重量(初期/最終)(t) | 47.41/49.14 |
実用出力重量比(hp/t) | 10.18 |
本体価格(Cr) | 390,000 |
修理費(Cr) | |
超信地旋回 | 不可 |
武装
名称 | 発射速度(rpm) | 弾種 | 平均貫通力(mm) | 平均攻撃力 | AP弾DPM | 精度(m) | 照準時間(s) | 弾速(m/s) | 総弾数 | 弾薬費(Cr) | 重量(kg) | 俯仰角 |
76 mm ZiS-5 | 15 | AP APCR HE | 86 102 38 | 110 110 156 | 1,650 | 0.46 | 2.3 | 680 850 680 | 135 | 56 2,400 56 | 1,155 | -7°/+25° |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
57 mm project 413 | 26.09 | AP APCR HE | 112 189 29 | 85 85 95 | 2,217 | 0.34 | 2.3 | 990 1,238 990 | 210 | 56 2,800 28 | 740 | |
122 mm U-11 | 5.26 | HE HEAT | 61 140 | 450 370 | 1,947 (HEAT) | 0.57 | 2.9 | 515 412 | 60 | 257 4,800 | 1,600 | |
85 mm F-30 | 12 | AP APCR HE | 120 161 43 | 160 160 280 | 1,920 | 0.42 | 2.9 | 792 990 792 | 90 | 109 2,800 98 | 1,550 | -7°/+24° |
砲塔
名称 | 装甲厚(mm) | 旋回速度(°/s) | 視界範囲(m) | 重量(kg) |
KV-1 LKZ mod. 1941 | 95/75/75 | 24 | 310 | 7,020 |
---|---|---|---|---|
KV-1 ChTZ mod. 1942 | 110/110/110 | 24 | 310 | 8,220 |
エンジン
名称 | 馬力(hp) | 引火確率(%) | 重量(kg) |
M-17L 1,400 r/min | 450 | 20 | 610 |
---|---|---|---|
M-17T | 500 | 20 | 610 |
V-2K | 500 | 15 | 750 |
履帯
名称 | 積載量(t) | 旋回速度(°/s) | 重量(kg) |
KV-1 Mod. 1940 | 47.8 | 18 | 10,600 |
---|---|---|---|
KV-1 Mod. 1941 | 55.8 | 20 | 10,600 |
無線機
名称 | 通信範囲(m) | 重量(kg) |
10R | 360 | 100 |
---|---|---|
10RK | 440 | 100 |
乗員
1 | Commander | 2 | Gunner | 3 | Driver | 4 | Radio Operator | 5 | Loader |
---|
拡張パーツ
Class2 | Class2 | × | Class2 | Class2 | Class2 | ||||||
× | × | Class2 | Class2 | Medium |
隠蔽性
非発砲 | 発砲時 | |
---|---|---|
静止時 | 7.3% | 1.82% |
移動時 | 3.65% | 0.91% |
派生車両
開発ツリー
76 mm ZiS-5 (初期/33,400) | ┳ ┃ | 57 mm project 413 (2,300/38,000) | ||||
┃ ┗ | 122 mm U-11 (3,750/59,920) | ━ | KV-2 (26,700/920,000) | |||
KV-1 LKZ mod. 1941 (初期/9,380) | ━ | KV-1 ChTZ mod. 1942 (2,600/9,900) | ━ | 85 mm F-30 (4,250/41,000) | ||
10R (初期/3,660) | ━ | 10RK (3,100/18,600) | ||||
M-17L 1,400 r/min (初期/10,770) | ━ | M-17T (850/13,460) | ━ | V-2K (5,100/23,050) | ━ | KV-1S (25,650/910,000) |
KV-1 Mod. 1940 (初期/4,020) | ━ | KV-1 Mod. 1941 (2,325/9,550) | ━ | T-150 (24,500/880,000) |
車両に関する変更履歴
v0.9.12 | HDモデル化 |
v1.9.0 | 57 mm project 413の総弾数を174発から210発に変更 76 mm ZiS-5の総弾数を114発から135発に変更 122 mm U-11の総弾数を50発から60発に変更 85 mm F-30の総弾数を76発から90発に変更 修理費用を24%ダウン 収益性を7%ダウン KV-1Sの研究に必要なEXPを10,650から25,650に変更 KV-1 LKZ mod. 1941砲塔時のHPを590から800に変更 KV-1 LKZ mod. 1942砲塔時のHPを640から840に変更 |
解説
- 火力
初期砲はAPCRでさえ、貫通力が決定的に不足しており、この状態では同格HTとも、まともに戦えない。優先的に上位砲を開発することをお勧めする。
候補には精度と手数で攻める57 mm project 413、1発のダメージに特化した122 mm U-11、バランス型の85 mm F-30がある。3つのうち、どれが絶対的に強いという訳ではないため、自分に合ったものを選ぼう。
なお、85 mm F-30は砲塔とサスペンションを改良しなければ搭載できない。
俯角は-7度と、他国と比べれば平均的ではあるが、ソ連車輛としては良い。- 57 mm project 413
1発のダメージは低いが弾速に優れ、貫通力、精度、発射速度、照準時間、DPMに優れる。
同郷の同格中戦車T-34の57mm ZiS-4と同一の性能を持ち、偏差射撃がし易く、通常弾でもAT 2以外の同格はほとんど貫通できる。優れた発射速度を生かし、装甲にものを言わせた強行突破や、移動中や飛び出し撃ちを行う敵に対して履帯を切ってから連続で叩き込むといった小技も有効。
ただし普通にラマーを装備すると照準が装填に間に合わない。連射重視と命中重視を臨機応変に切り替えるか、ラマーを搭載しないか、ガンレイも併せて搭載するかは各人の判断次第。
難点は単発ダメージの低さで、障害物を挟んだターン制の攻防では自慢のDPMを活かしにくい。
どちらかといえば重戦車同士の戦闘よりも同格以下の中戦車に襲い掛かって装甲とDPMで轢き潰すような戦い方に適性がある。
格上相手は苦手だが、それでも丁寧に弱点を狙ったり貫通力の高いAPCRを使用する事である程度対抗可能。精度は非常に高いため、落ち着いて狙える状況なら弱点狙撃はやりやすい。
この先Tierが上がれば同格相手にも弱点狙撃が必要になってくるため、ここで慣れておくに越したことはないだろう。
立ち止まって狙いをつけるための装甲の使い方、距離の使い方、HPの使い方などを工夫してみよう。
重量が軽いため初期履帯でも搭載でき、開発に必要な経験値も2300と少ないため、最初の砲開発で迷ったらこれを選ぶのが無難であろう。 - 122 mm U-11
大口径の榴弾砲。精度が劣悪な上、弾速も遅いため、遠距離や移動目標を狙うのは非常に苦手。慣れていないと、少し離れた相手にさえ当てるのに苦労する。
いわばソ連版の10榴であり、発射速度、照準速度、精度、貫通力が劣悪な代わりに、この砲から撃ち出される砲弾が命中・貫通した場合は軽装甲車輌であれば一撃で倒せることすらある。
KV-2に乗るつもりなら、これで榴弾砲の特性に慣れるのもいいかもしれない。15榴に比べれば比較的素直な砲でもあるため、良い練習になるだろう。
ただし15榴とは異なりHE非貫通時の単発ダメージは致命傷には遠く、こちらを貫通可能な重戦車などとHEで真っ向正面から撃ち合えばダメージ負けは避けられない。
最前線が主戦場となるKV-1の場合、細かいダメージや履帯切りの積み重ねといった大口径榴弾砲の印象とは真逆の地味な戦い方も重要となる。
またHEは、分厚い部分に当たると、スズメの涙のようなダメージしか出ないことが多く、どこを狙うかは吟味しなければならない。
ただしHEよりもさらに弾速が遅いため、弱点を狙い撃つ必要のある格上重装甲車両相手には使いにくい。 - 85 mm F-30
初期砲の強化版といった趣で、そこそこの発射速度と貫通力に優秀な攻撃力を両立した汎用性重視の主砲。
このTier帯の重戦車が装備する戦車砲としては比較的単発火力が高く、障害物を挟んだ攻防にも対応しやすい。
照準時間は遅めだが、拡散はそれほど酷いものではないため、距離があまり離れていなければさほど当てるのに苦労することはないだろう。
122 mm U-11のように長い装填と照準の隙をつかれる事もないため、複数の敵と相対しても突破されにくい。逆に装填が遅い相手はこちらから味方を率いて突撃してやるのも良いだろう。
ただしAPCRの貫通力は57mm砲より低く、精度と照準時間の性能も高いとは言えないため、格上の重装甲車両の相手は他の最終砲候補よりも難しい。
なお本砲はKV-1以外ではT-150ルートのKV-3初期砲としてしか使用しないので、KV-1SルートやKV-2ルートの戦車に早く行きたい場合などは研究しないのも手ではある。
- 57 mm project 413
- 装甲
初期状態でも車体、砲塔ともに装甲厚が70mm以上あり、重戦車らしい重厚な装甲を持つ。
単純な正面防御力ではO-I Experimentalには劣るが、こちらは側面装甲と投影面積の小ささで勝る。同じく比較されやすい、KV-220-2と比べると、車体が劣る代わりに砲塔は勝る。
マッチングするTierで蔓延する105mm榴弾による致命傷を受けにくいのも嬉しい。
しかし、同格の通常弾や格下の課金弾でも貫通力が100mmを越えているものが多いため、油断すると簡単に抜かれてしまう。
貫通130mmオーバーの相手となるとどうあがいでも正面装甲では防げないため、側面や車体の先端をあえて斜めに晒して無駄撃ち跳弾を誘う等の工夫が必要となる。
装甲が活きるのは、あくまで豚飯・ハルダウン・側面を隠した上で非常に深い角度の昼飯のいずれかを行っている時のみであり、中途半端な防御姿勢ではただの動きの遅い的にしかならない。
後述の視界の狭さ、後退の遅さもあり、不用意に前に出てしまうと、容易に撃破されてしまうだろう。まずはここで装甲による防御方法と、装甲に頼らずHPでゴリ押す攻撃タイミングとをしっかり覚えよう。
↑正面・側面・背面の各部位の防御力。
砲塔は全周110mmあり、同格中戦車の通常弾でで安定して貫通させるのは難しい。
車体は背面に至るまでほぼ満遍なく70mm以上ある。
↑
上段は障害物を利用した車体正面を隠す昼飯(豚式昼飯)。同格以下には強力に作用する。
中段は障害物がない際の昼飯。均一な防御力が欲しい場合は画像のように大きめに角度を取るが、貫通力の高い車輌相手の場合はもう少し角度を緩め、正面は諦めて側面で弾く形にした方が良い。
下段は障害物を利用した車体背面を隠す逆豚。前向きの豚飯よりも厚い装甲が得られるが、接近されたときにエンジンのある背面を撃たれるリスクがある。色はPz. IV Hの7,5cm砲通常弾で撃たれた際の抜かれやすさ。数値はAP弾の標準化を加味した実質の防御力。
装甲モデルはtanks.ggより- 車体
正面装甲の中段上部(75mm)は緩い傾斜があり、真正面では約80mm強、昼飯45度では106mm程度。同格通常弾ならそこそこ弾く可能性があるが、過信はできない。
中段下部(40mm)は傾斜が強いものの素の装甲厚が薄いため、こちらも真正面では約80mm弱。ただし昼飯45度あたりからは強制跳角度となるため、側面を隠した飛び出し撃ちなどの際に相手のミスショットを誘発できる。
側面装甲はスペック通りの75mm装甲。Tier5としては十分信頼に足りる値であり、豚飯が極めて有効に働く。具体的には豚飯60度で150mm、67度で192mm、70度で219mm程度にもなり、同格課金弾や格上の通常弾を弾くこともある。
HD化によって明確な弱点は全て塞がれたが、比較的薄い部分はある。
前述した通り、車体正面上部は真正面からでは貫通力90mm程度から貫通させることが可能になる。多くの車両で弱点となる車体下部はこの車両に限っては弱点ではないが、極力真正面で受けないようにしたい。車体側面も角度がなければ所詮は垂直な75mmであり、真横を取られでもすれば簡単に貫通されてしまう。
一番薄い箇所は車体後ろの丸く飛び出している部分で、ここは貫通力60mm程度で貫通可能となっている。
- 砲塔
砲塔は車体よりもかなり硬く、特に改良砲塔は全周110mmという驚異的な厚さを持つ。さらに初期砲塔に比べて若干丸みを帯びているため真正面の実装甲厚も若干水増しされ、APに対して実質120mm前後の重装甲となる。地形や障害物を利用して車体を隠せば、高い防御力を発揮できるだろう。
初期砲塔から重装甲化しているが旋回速度は低下しないのでなるべく早く換装したい。
キューポラ等の露骨な弱点はないが、正面の防楯横の丸っこい部分は90mm程度の弱点となっている。格下相手でも油断すると抜かれる事があるので、ハルダウン中に連続で貫通された場合は首を振ったり斜めに前後したりといった防御行動を取ろう。
- 車体
- 機動性
エンジン出力は前身から進歩がなく、その重装甲ゆえに出力重量比は3分の1に低下。
スペック上では最高34km/hであるが、実際は平地で30km/hを出すのが精一杯である。坂道に弱く出足が鈍いこともあり、体感はそれ以上に遅く感じるだろう。BT-5、T-28と快速車両が続いたため、それに慣れてしまうと、乗り換えたばかりの頃は戸惑うかもしれない。また、後退速度も重戦車らしく10km/hと遅い。前に出すぎると、遮蔽に戻ることができず、そのまま撃破されてしまう危険が高い。
基本的に、側面への回り込みは他の味方に任せて、自分は正面戦闘に徹しよう。
敵味方の動きを考え、無駄のないルートどりを心がけたい。
一応、5%の火災のリスク低下による生存性の増加と0.3%の機動性の改善では前者のほうが有益だが、KV-1の場合エンジンへの被弾よりも燃料タンクの大破による火災の方が頻度は目立つ。
T-150を開発すると連動して自動的にV-2Kエンジンも開発扱いとなるので、KV-1のエリート化を優先するなら別にスルーしても良いだろう。
開発途中で軽い状態(改良エンジン+57mm砲+初期砲塔)なら何とか体感できる程度に加速が増して平地で30km/hに達しやすくなるが、必需消耗品を優先した方が良いだろう。
- 視界
視界が310mしかなく、同格では軽・中・重戦車のうち最も狭い。
市街地など入り組んだ場所で近距離戦をする分には特に問題は無いのだが、広い場所や樹木の多い場所での突出・孤立は他の重戦車以上に自殺行為である。
さほど隠蔽の高くない敵であっても、発見できないまま一方的に攻撃されて、逃げることもできずガレージ送りにされてしまう危険性が高い。
対策として、この車両に乗る前に車長の第六感スキルを取ったり、視界が長い味方と一緒に行動するといい。
効果は薄いが、拡張パーツ(レンズ被膜もしくは双眼鏡)、乗員スキル(状況判断力・戦友・偵察)で視界を補強するという選択肢もある。
- 開発
この車両が強みを発揮するには砲塔や主砲を交換して、装填棒などの拡張パーツを搭載したいが、積載量に余裕がないため、まずは履帯から開発しなければいけない。エンジンは火災確率以外に影響は少なく、無線機も80mしか性能が上がらないため、後回しにされやすい。
- 総論
Tier5という乗りやすいTierで手に入る本格的な重戦車の中でも強固な防御力と大火力を併せ持つ強力な車両である。
重戦車である以上、Tierトップ(BattleTier5戦場)のときは戦場の最前線で撃ちあうのが基本の戦い方となる。……が、視力が最悪と言っても過言ではないレベルで酷く、開けた場所で孤立するのは大変危険である。また、遮蔽物の無い場所を通って前線を押し上げる役目はほぼ不可能である。
軽・中戦車あるいは同格以上の視界の良い重戦車(Tier5ではイギリス・日本が該当する)などの弱点を補ってくれる味方がやや前方にいると心強く、万一側背面に回られた際にも火力支援が期待できる。
自分の装甲で味方を守りつつ、味方の視界で敵を見つけ、大火力と重装甲を生かして戦うプレイスタイルに早く慣れよう。
特に平原の戦闘の場合、必要以上に味方と距離を開けすぎないように気をつけよう。この辺りも重戦車の基本の動きとなるため早めに覚えたい。
格上戦場でも、Tier6戦場なら弱点を隠したハルダウンや豚飯を徹底する事で並の重戦車以上の堅牢さを発揮する。
さすがにTier7戦場では昼飯豚飯を駆使しても抜かれることが増えるので、格上の味方を少し後ろから支援しよう。
ゲーム内で重戦車の基礎を覚えるのに特に適した車両でもあるため、後続車両を開発し終わっても乗員共々ガレージに置いておくのもいいだろう。
史実
(写真は76mm ZiS-5を搭載した1942年型だが、フィンランド軍に鹵獲されたため塗装がフィンランド軍のものとなっている。車体前面に装甲が追加されているのがわかる。)
1930年代前半に開発されたT-28やT-35といった多砲塔戦車は、武装こそ豊富だったものの装甲が最大30mm程度と(当時としては厚い方ではあったが)薄かった。
1936年に勃発したスペイン内戦において、ソ連軍(共和派で介入)が投入したT-26やBT-2がフランコ軍(国粋派)の対戦車砲や野砲によって容易に撃破されるとの情報が入ると、それらの軽戦車をやや上回る程度の装甲しか持たない多砲塔戦車の防御力不足が懸念された。そのため軍首脳部は各種単砲塔戦車の改良・開発を進める一方、多砲塔戦車についても1937年に防御力を強化した新型戦車の開発を決定し、2つの工場に対して試作車の開発を指示した。開発コードネームは「SMK」と「T-100」であった。
当初はT-35と同様に計5つの銃砲塔が搭載される予定だったが、技術者の主張により銃塔を廃した3砲塔へと改められた。しかしそれでも最大60mmの装甲を提供しつつ機動力を確保するのは困難だったため、1938年にはともに2砲塔式に改められた。なおこの前後にスターリンは「君たちは戦車の上に百貨店を作るつもりなのかね」という有名な発言をしている。
2つの多砲塔重戦車はサスペンションに新技術のトーションバーを採用し、45mm20kを搭載する砲塔が前に、76mm L-11を搭載する砲塔が後方上部に配置されて、装甲は最大60mmを確保していた。エンジンは航空機用エンジンをベースに出力850馬力を有していたが、SMKは重量55t、T-100は58tに達した。
一方SMKを開発していたコーチン技師は45mm砲塔も廃した単砲塔式が最適であると考え、SMKを小型化した単砲塔重戦車を別に開発しており、義父でもある国防相のクリメント・ヴォロシーロフ元帥にちなみ「KV」と名付けられた。1938年には模型が完成して他の多砲塔戦車とともにスターリンに提示され、開発許可を得た。
1939年秋からの試験で、SMKとT-100は大重量による機動性の低さと多砲塔間の指揮連携の難しさを露呈し、さらに同年末に勃発した冬戦争に投入されたが、試験により予想された通り大重量によって運用が著しく制限され、さらに撃破されたSMKはその重量のため戦争継続中に回収することは不可能で、後送手段もなかったため戦後戦場後方で解体されてしまった。
このようなフィンランド戦の状況は次期重戦車選定に決着をつけ、KVの量産が決定された。
後にKV-2が登場したことにより、76.2mm砲を搭載する車両はKV-1と呼ばれた。KV-1の武装は1939年型が76mm L-11、その後1940年型には76mm F-32、1941年以降はより強力な76mm ZiS-5が搭載された。装甲は多砲塔戦車より強化された前面75mmの装甲厚を誇り、当時としてはトップクラスの防御力を有していたが、V-2Kディーゼルエンジンの500から600馬力という出力で、かなり軽量化されたとはいえ45t前後あるKV-1を満足に機動させるのは困難が伴った。
さらに1940年初夏のドイツ軍によるフランス侵攻で赤軍は恐慌状態に陥り、火力と装甲を強化したKV-3などの試作戦車の開発が計画された。これらは結局量産されなかったものの、フィードバックとしてKV-1の武装が76mm ZiS-5に強化され、装甲は100mm以上に増強された。これによってKV-1は比類なき防御力を手に入れたが、一方で機動性はますます絶望的なものとなり、変速装置は頻繁に故障した。
「ソ連戦車はギアをハンマーで叩いて入れる」という有名な揶揄はKV戦車が原因であったという説が強い。
そのため戦闘要員5名の他に故障時の修理とギア入れのために整備士兼補助操縦手が乗員として配置されるほどであった。その整備士兼補助操縦手は1つしかない砲塔ハッチの下に配置され、車長が車外を確認するためには彼の頭に乗るか、一部の方向しか確認できない不十分な固定式ペリスコープ(潜望鏡)を使わなければならず、指揮・観測の都合上問題があった。
KV-1は冬戦争ののち、独ソ戦に投入された。当時のソ連軍は大粛清後の混乱から立ち直りつつあったものの、兵器は整備されずに放置され、戦術は十分に研究されていなかった。そのため性能で劣る3号戦車や4号戦車に撃破されたり、故障により放棄される車両も多かったが、その重装甲と火力はドイツ軍にとって悩みの種であった。
一方ソ連軍内部では、故障の多さやKV-1の攻撃力が中戦車であるT-34と変わらないことが問題視された。そのため機動力を強化したKV-1Sが開発される。
参考資料
『ソビエト・ロシア戦闘車両大系(上)』古是三春 グランドパワー2003年10月号別冊
『KV1&KV-2重戦車 1939-1945』スティーヴン・ザロガ、ジム・キニア 大日本絵画
http://ja.wikipedia.org/wiki/KV-1
http://combat1.sakura.ne.jp/KV-1.htm
情報提供
愚痴や日記など生産性のない話題は外部総合掲示板をご利用ください。
マスター(M)バッジ報告は専用スレができましたのでそちらへお願いします
使用感や装備など、アーカイブ、スペック、解説に表記されています。
アーカイブ1,アーカイブ2,アーカイブ3,アーカイブ4
※実装または車両性能変更アップデートから3か月以上経過した車両であるため、管理人の提案に基づき新規コメント欄を非表示にします。本車両について語りたい方は外部掲示板を利用してください。