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盛夏の追憶の旅
ウィラ・ナイエル
ウィラ・ナイエル:彼らは、あなたが特別な人だと言った。あなたは花が咲く音が聞こえ、風が吹く方向を知り、この世界の古の秘密を読み取ることができる。
謝必安:あなたが何かを渇望し、執着的に思い続けた時、この世の万物が感応する。これがこの世界の最も古い感情であり、この宇宙があなたの思いを実現させてくれるのだ。
ウィラ・ナイエル:私は度々悪夢から目を覚まし、上を見上げると窓の外の月が溶け、太陽が繭を破って代わりに姿を表す。世界がこうして新たな光に覆われても、私は変わらず闇の中に取り残されたままだ。この世界は、なぜ太陽と月のように共生できないものばかりなのだろうか?
謝必安:彼らは思い合わんが故に互いに求め合い、足を止めた途端に二度と会えなくなることを恐れる。
ウィラ・ナイエル:森の奥深くまであなたについて行けば、私たちはいずれ会いたい相手に会えるとも言っていた。でも、あなたについていくべきなのか?それとも足を止めるべきなのか?
ナレーション:謝必安と共に森の奥へ行き、未知の旅を始めようか?
カヴィン・アユソ
カヴィン・アユソ:昨日だったか、彼女が私の肩に跨り、木の上の果実を取ろうとしていたのを覚えている。
カヴィン・アユソ:彼女は、ずっと昔、文明が始まる前、男と女が木に登り、彼らが手にしてはならない果実を取ろうとしたことがあると話してくれた。彼らは文明の生活を始めたそうだが、その後女のほうは姿を消したそうだ。そして文明が訪れると、アンジェリーナも消えてしまった。
カヴィン・アユソ:私はただの、背の小さな男だ。私たちだけの草原で、一時の喜びを楽しむことしかできない。しかしここは、ここの木は高すぎる。私がアンジェリーナに与えられない高さだ。
謝必安:今度は、彼女は木の上からあなたに手招きする。
カヴィン・アユソ:つまり私たちは、もう互いに触れ合うことはできない。そうなのか?
エマ・ウッズ
エマ・ウッズ:ここへ連れてきてくれてありがとう。この森が、透き通った小川がとても好き。風は少し冷たくて、流水が岩に当たった時の「パシャパシャ」という音もうるさいけれど。
エマ・ウッズ:(謝必安を一目見た後)でもそれは、この景色を見ているとお父さんを思い出して悲しくなってしまうからかもしれない。
エマ・ウッズ:彼は昔、いつも川辺でカカシを作ってくれて、私はその隣で工具箱を整理していたの。懐かしいなあ。
エマ・ウッズ:(エマが後ろを向く)
エマ・ウッズ:ごめんなさい、あなたの目の前で泣き出すのは嫌だから…。
エマ・ウッズ:その後に入った孤児院にいる子供たちは果てしない大海が好きだと言ったけれど、私はそうは思えなかった。
エマ・ウッズ:そう、私は小川の方が好き。あなたも分かったと思うけれど、お父さんの隣に座っていた頃が懐かしいの。でもそれが、私たちみたいな人がここへ来た理由かもしれない。感謝しているわ。
エマ・ウッズ:でもどうしても、川の向こう側を見る勇気がないの!
謝必安:どうして顔を上げられないのですか?
エマ・ウッズ:だって、お父さんが向こうにいないって分かっているもの。
エマ・ウッズ:(思いにふける)
エマ・ウッズ:そしてその後、エマも孤児院に…はあ、思い出すだけで苦しくなるわ。
トレイシー・レズニック
トレイシー・レズニック:父は時計が好きで、私もそうだった。共通の趣味のおかげで、私たちは生活を共にしなかったが、心は常にともにあった。
トレイシー・レズニック:お父さんは時計に生涯を捧げていた。だから、私が時計における才能を見せた時はとても喜んでくれたの。客人たちの絶賛に対し、彼は自身と亡くなった妻の間に小さな天才が生まれたことを誇りに思った。私の母はずっと前に亡くなったから。彼女に対して特に思うところはないけれど。
トレイシー・レズニック:残念ながら、私の誕生によって彼は父親と母親の両方をこなさなければならなくなった。部品を加工する時は余裕が感じられた手は、調理器具を握ると危なっかしくなっていた。彼の心が時計にあったことは見ていれば分かるわ。
トレイシー・レズニック:だから、彼がどのようなご飯を作っても、それが一番おいしいと思ったの。でも本当は、全ての時間を作業室に当てて欲しかった。お互い、自分が好きなことをすべきだと思っていたんだ。
トレイシー・レズニック:命がいずれ消えゆくものなら、有限な時間を全て自分の好きな物に当てれば心残りがないだろう?どうだろう?
謝必安:自分が誇りに思う子供を育てる時間は、父親にとって決して無駄ではないですよ。
トレイシー・レズニック:そうだといいな。本当に、彼が懐かしい。
謝必安・笵無咎
謝必安:ずっとわかっていたんだ、あなたはそう遠くないところで私を見ていると。でも残念ながら、私には先見の明なんてなくて、目の先のことしか見えない。
謝必安:理解が遅くなってしまったことをどうか許して欲しい。あなたはこの世界でたった一人の存在だけれど、今回私はあなたを手放すことにするよ。
范無咎:私たちが、互いの世界で再び笑顔を取り戻せることを祈って。
范無咎:さようなら。