シーズン29

【デザイン過程】

• プランナーの構想
  IDシステムのキャラクターである「フールズ・ゴールド」のビジュアル上の特徴といえば、胴体部分のほとんどは粗い岩石に余すところなく侵食され、その胸部には傷を思わせる猛な空洞があります。
  今回の真髄の背景ストーリーにもこれらの特徴を折り込みながら、ミステリアス、窮地、圧迫された恐怖と熱狂といったものが全て火山の溶岩に没し、薄い空気の中、やがて日光が遮られた臭気漂う大地の底から噴出してきています。
  黒と赤を今回の衣装のイメージカラーにしました。
  お馴染みかつドラマチックなステージで、探鉱者と「フールズ・ゴールド」が演じる今回の真髄ストーリーからも、ノートン・キャンベルの運命が持つ両面性を反映させてみました。
  前者は記憶表失の貴族の養子、ノートンの無口で憂鬱な表の人格であり、今回の真髄ストーリーでは彼は一度過去を振り切り、「祝福される者」にまでなりました。
  ですが後者は溶岩に眠っていた神であり、フクロウの頭と蛇の尾を持ち、憎悪、欲望、悪意を明火する象徴なのです。
  とある勧誘者の導きで、一行は火山の奥の無人の地にたどり着きました。
  狂気じみた荒くれ者が廃墟の瓦をこじ開け、謎めいた旅人が物語の始まりと終わりを目撃しました。
  しごく当然のこととして、このストーリーでは後者が前者を飲み込み、ノートン・キャンベル自身と同じように、厭世的で周囲からは「無口で勤勉」な鉱夫と思われていますが、搾取された少ない給与ではその身分も、体の痛みも、閉所恐怖症も改善できないままでした。
  冷静に見える彼の身の奥に怒りが溶岩のように噴き出し、そのすべてが自身の結末と同じであることを暗示しています。

• デザイナーの構想
  
  529の真髄1の背景ストーリーに基づき、最初の原稿で2つの案を作りましたが、衣装が重たく、古代の服装への徹底性に欠けており、火山の地底の魔神としてもインパクトが弱いものでした。
  
  そのため第2案の原稿では、ガウンコートをよりふわりとした乱雑なイメージに仕上げ、胴体の鉱石の部分に火山の溶岩の特徴を取り入れ、マスクも黒にして、衣装全体の組み合わせにバランスを感じさせながら、背中に骨の尻尾をつけて魔神というイメージを強調しました。
  
  さらに背部に翼をつけることで、キャラクターの逆三角形の輪郭を強調し、背景には左目だけが見えることから、左目だけに燃える目のエフェクトを加えました。
  最後に溶岩が落ちる、魔眼のエフェクトを加え、ビジュアルを豊かにブラッシュアップしました。
  

• ディテール
  
  宝石をたくさんちりばめた黄金の王冠。
  妖異なる火焔が髪の毛先から伸びてきて、顔の大部分がマスクに覆われ、口元だけに不可解な微笑みが見えます。
  
  黄金に飾られた華美なガウンには不滅の炎が燃えていて、複雑な模様の暗い色の袖からは痩せこけた腕が見えています。
  腰回りに目立つ傷からは薄い赤の光がのぞいています。
  
  赤と金の鴉の形のつるはしが、美しい翼は刃に、黒い長い柄は赤い暗紋をくねらせ、砕かれた溶岩は貪欲の火の手を連想させます。

• プレビュー
  
  溶岩の炎は彼の体をつなぎ合わせながら、華麗な衣装を蝕んでいます。
  余燼の下で彼はどん底から「蘇生」し、炎が踊る中で魔眼が周りをギロリと見渡します。
  長い眠りから目覚めた魔神は枷を振り切り、重要な何かを果たそうとしているかのようです。
  
  溶岩を介して同じ起源を持つ若者を身近に招集し、魔神は憂鬱な抑圧感の仮面が引き裂かれていくのを眺めています。
  最終的には目の前の者は彼に対し、敬虔に両手を上げると、乱れる岩石の中の罪悪の熔火に忠誠を誓います。

• 対戦時プレビュー
  
  岩石の隙間から炎が緩やかに燃え続け、腹の傷と痩せこけた前腕が赤く光って、魔眼が周りの動きを観察しています。
  つるはしが投げ出された時、割れた手のひらには紫の光が集まっています。

(参考1、参考2)

【デザイン過程】

• デザイナーの構想
  背景設定にあわせて、最初の原稿を制作しました。
  頭部のアクセサリはベールと羽のティアラにセパレートタイプのドレスの組み合わせで、ピッタリしたスタイルと軽やかな素材感を引き出しました。
  赤をベースに黒が点在する生地、穏やかに光を反射し、火塩と花の飾りをプラスしています。
  衣装の裾も焼けたランダムな形にしました。
  最初の原稿は全体的にデザインが複雑になりすぎてしまい、火焔と花の要素が十分に目立っていません。
  
  
  そのため、第2案の原稿ではベールの長さを調整し、輪郭部分でキャラクターの判別度を高めました。
  
  最終稿ではスカートの裾の炎上感を強調し、ボタンの目も調整してよりミステリアスに、かつやや邪悪なオーラをアップしました。
  

• ディテール
  
  赤のベールが垂れ下がり、こめかみを飾る故郷の花は黄金と宝石で作られ、黒い羽に守られながら静かに咲いています。
  
  繊細なバラが胸の部分を囲み、黄金色のアクセサリーが動きにあわせて澄んだ音色をたてています。
  スカートは火焔に侵蝕され、裾は枯れたように黒焦げになってしまいました。
  
  彫金で飾られたオルゴールははたして、希望の音楽を奏でるのでしょうか？または終わりのない悪夢と災難を予告するのでしょうか？

• プレビュー
  
  魔力が羽に付着すると、詭焔がそこから生まれました。
  彼女は頭上にある炎の手を真摯に見つめると、魔神からの招集を受け入れました。
  
  詭焔は言葉で獲物を帰らぬ道に誘導し、さらに罪悪の熔火からの指示にも従っています。
  羽が落ちてくる時のアクションは、沈黙の合図、または警告でしょうか？

• 対戦時のプレビュー
  
  こめかみにある黒い羽が微かに光っていて、動きに合わせて落ちる羽は火に飲み込まれて灰になり、彼女の火焔に侵触されたスカートを思わせます。

(参考1、参考2)

【デザイン過程】

• デザイナーの構想
  今回のストーリー背景は17世紀の祓魔師として、同時にヨーロッパの修道者のデザインを融合させました。
  焼け跡のあるフードとタッセルも取り入れました。
  
  3つの原稿はともに修道者と祈る者のイメージと合致していますが、3つ目は重厚感がありすぎて、色合いと裁縫もキャラ設定とかけ離れています。
  
  そのため、原稿1と2をベースにブラッシュアップしていきました。
  髪の毛を見せることで漁師だと判別しやすくし、スカートの裾の輪郭も調整しました。
  
  最後にティアラ、顔、模様を改善し、デザインの完成です。

• ディテール
  
  精巧に飾られたティアラが彼女の柔らかい髪に被せられ、額にある宝石は静寂の湖のようで、妖異の火焔を駆除せんとする意思を感じさせます。
  
  金の糸と珠玉で飾られた赤いフードが威厳と神聖さを感じさせ、白のローブに花の模様が薄くみえて、衣装には焼け跡も見えています。
  
  手にした銀色の長槍は、刃の先端が金メッキで宝石も飾られ、灼熱の火山の地底でも凛と光っています。

• プレビュー
  
  巨大な岩で身を守りつつ慎重に周りを見渡した彼女は、手に持つナイフを操作して魔法陣を作り、周りの魔力を浄化していきます。
  
  ごつごつした岩が乱立する地底で、羽根から変化した魔女がいたずらするように彼女を押し、一瞬の混乱から落ち着きを取り戻した彼女は長槍をふるうと、周囲の魔障を祓ってつきまとう紫の炎を浄化しています。

• 対戦時のプレビュー
  
  破魔の長槍の先を飾る宝石が微かに光り、点々と散る火花が純白のロープに落ちて焼け跡を残します。彼女の動きにあわせて、燃え滓が残されていきます。

(参考1、参考2)

【デザイン過程】

• プランナーの構想
  クリスマスとクリスマス・イブの言い伝えでは面白い妖精と出会って、数多くの不思議な出来事が起こるのだそうです。
  今回のポストマンのテーマ衣装はクリスマス・イブにプレゼントと祝福と届ける妖精です。
  画家はクリスマス・イブに祝福を受け、祭日を迎える人々の中のひとりです。
  さらに神秘的な黄衣の主はクリスマスの悪魔ークランプスとして登場します。
  クリスマスの祝福を届けるというテーマをもとに、彼は夜中にプレゼントを送る「サンタ」になりますが、そのプレゼントが人々に幸運をもたらすとは限りません。

• デザイナーの構想
  S29・真髄3のストーリー背景に基づき、妖精の姿のポストマンをデザインしようと決めました。
  この衣装は主にクリスマスの妖精の姿を参考にしてデザインしました。
  
  第1案の原稿では、2つ目のデザインを選びましたが、配色にもっとレトロな感じが必要だと思われました。
  
  第2案では配色と封筒を調整し、よりはっきりと区別できるようにしましたが、ポストマンの髪の毛をさらにストレートにする必要がありました。
  
  細部をブラッシュアップし、デザインの完成です。

• ディテール
  
  揺れるベルとともに便りを届け、星々が髪の毛の間に落ちています。
  雪がゴールドのメガネの縁を通り抜け、冬の景色を目に届けます。
  頭上にかぶる高いクリスマス帽にはカラフルなリボンが飾られ、より一層祝日ムードを感じさせます。
  
  やんちゃな妖精たちに聖誕祭の使いは取り囲まれ、腰にかけたクリスマスの小屋の形のカバンには遠来の手紙が詰まっており、そのすべては人々からの気持ちと祝福の内容になっています。

• プレビュー
  
  神秘的なギフトボックスは果てしない雪原で主人を待っています。
  それを感じとったように北極のオーロラとともに聖誕祭の使いが現れ、ウィックが箱から飛び出して嬉しそうに飛び回り、主人の手の平のぬくもりを感じています。
  
  聖誕祭の使いは腰にあるカバンを軽く叩き、何かありそうな表情でウィックと遊ぶ妖精たちを見つめます。
  再びしゃがみこんで妖精たちを封筒に収めてから、ウィックを優しくなでなでします。

• 対戦時プレビュー
  
  頭上の髪飾りが微かな光を放ち、周りを妖精に囲まれ、美しいオーロラが羽の間を流れています。
  聖誕祭の使いの歩みに伴うように、空中に跡が残っていきます。

(参考1、参考2)

【デザイン過程】

• デザイナーの構想
  
  ストーリー背景に基づき、衣装のメインカラーは赤にしてグリーンとゴールドも取り入れ、全体的にはレトロを感じさせる暖かい色調にしました。
  画家は普段の衣装を着て髪をポニーテールに結び、クリスマスの飾りを身に着けています。
  設定にあわせて第1案を制作しました。
  
  2つ目の原稿を選びブラッシュアップしていきました。
  衣装と帽子のデザインを調整し、ケープにはもこもことした質感を取り入れました。
  衣装全体をクリスマスのテーマにマッチさせています。
  
  細部の調整も施し、聖夜の温もりの完成です。

• ディテール
  
  頭には暖かいふわふわのクリスマス帽を被り、彼の思いは点々の星光になり周りに漂っています。
  
  クリスマスにピッタリのケープは冬の寒さから守り、体型にあった白金のシャツに濃い赤のベスト、ポケットには受け取ったばかりのプレゼントが見えています。
  
  濃緑色のヒイラギはリポンと金色のベル、ウィンターベリーで飾られ、白の画板に置かれます。
  彼が握っている筆にはすでにたくさんの色が付いています。

• プレビュー
  
  吹雪の夜、彼は数かな温もりの光を目にしました。
  目の前の光景は幸せそのもの。
  筆を落とす瞬間、彼はこの夜に最も心を込めて祝福を残します。
  
  インスピレーションが続々と湧き、彼は暖かい夜の景色を筆先の色彩を通して表現し、クリスマスツリーやリボンをまるで実物のように描いて優雅にお辞儀をすると、今回の創作を終わらせました。

• 対戦時プレビュー
  
  暖かいケープとクリスマス帽は冬の夜の寒さを払い、その思いは星々のように瞬き、彼の動きとともに後ろに落ちていきます。

(参考1、参考2)

【デザイン過程】

• デザイナーの構想
  背景の設定により、第1案を制作しました。
  
  全体的にはクリスマスの雰囲気に合わせましたが、それぞれの要素を寄せ集めた感じになって、一体感を欠いています。
  要素の強弱の調整とアピールポイントがまだ必要でした。
  
  後続の制作ではフード付きのガウンコート、ヤドリギ、ベル等を加え、さらに宝物が入ったポーチとキーチェーンもつけて、花の輪は雪の形の特殊効果にしました。
  さらに両方に人形の飾りもつけました。
  
  そして黄衣の主ークランプスのSSR衣装の完成です。

• ディテール
  
  謎の深淵が選ばれた子をずっと見つめています。
  角がフードから突き出し、背後の雪は刃物のように高く、両側からは枝がこれでもかと生い茂り、「人形」を閉じ込めています。
  
  道中の雪が彼の肩を覆っています。
  擦り傷があるガウンコートで身を包み、黄銅のキーチェーンとブラウンの革のポーチを腰にかけた彼にベルの音が聞こえ、ルビーが嵌まった古い鍵は自らの出番を待っています。
  
  青灰色の半分の腕には太い鎖が巻きつき、もう片方の腕は枯れ木のように垂れ下がっています。
  ガウンの下に足が見えず、交差する木の根は地中まで伸びて、土から抜けだすその時を待っているのです。

• プレビュー
  
  手中にエネルギーが集まると、瞬く間に腕が太い木になって、どこかを攻撃しています。
  クランプスはヒイラギの棘に縛られた「人形」を奪うと満足げに弄び、人々に「戦利品」を見せているかのようです。
  
  周りの「人形」は何もわかっていないような表情で、子どもたちのためのプレゼントが粉々になるのを見ています。
  クランプスはその光景の中で大笑いし、その声が刃物のようにこの暖かい夜を突き抜けていきます。

• 対戦時プレビュー
  
  金色の雪が宙に溶けて消え、棘の中で「人形」はもがいています。
  雪に覆われた木の根はクランプスの命令に従って土から抜け出し、巻き付いたクリスマスの飾りは彼の危険を隠しているのです。

(参考1、参考2)