トネリコの約束

Last-modified: 2024-03-16 (土) 22:06:15
トネリコの森.jpg

イベントストーリー

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プロローグ

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占い師:吟遊詩人が竪琴を弾くのは、彼が喜びや憂鬱を感じた時である。
占い師:あれから10年、私はついにこの土地へ戻ってきた。約束を果たすために、そしてかつての友人たちに会うために。
占い師:しかし……ずいぶん変化が大きい。
占い師:狂風、砂塵。遅刻している人たちは、砂嵐の中で道に迷ったのだろうか?


森の演奏会

ハープ追加

占い師:手紙は既に駅へ送ってある。彼らが見てくれればいいが。
占い師:あと7日でトネリコ祭りだ。10年前に私がここを離れた時、ここはまだ鬱蒼とした森だった。
占い師:でも今は……
占い師:まあいい。私はただの孤独な吟遊詩人、ただ1人の待つ者だ。

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リュート追加

バーメイド:そこにいるのは誰?
バーメイド:ああ、また異郷からの客人ね。
バーメイド:こんにちは、私はデミ!ほら、あっちにあるのが私が開いた宿場よ。
バーメイド:ぜひ座っていって。最高の果実酒があるわ!
占い師:私は……
バーメイド:遠慮しないで、1杯奢るから!これは私の兄が残したレシピで、世界に1つしかないのよ。
バーメイド:兄はお酒の調合の達人だったわ。昔、私たちはあちこちを彷徨って、森の果物で飢えをしのぎながら、お酒を作って市場でお金に換えていたの。
バーメイド:生活は苦しかったけれど、私たちは少しずつこの宿場を作り上げていった。兄と一緒に果物を摘む時間はとても楽しかったな……
占い師:ここは私の故郷で、私は帰郷したただの吟遊詩人だ。
バーメイド:故郷?でもこの場所には砂と石しかないわよ。住民なんてとっくにいなくなったわ。
占い師:何があった?10年前はこんな様子ではなかっただろう。
バーメイド:遠くに煙が見えるでしょ?ここ数年、人々は木を切り続け、木材を運搬していた。それらの木は燃料となったり、様々な建物の材料になった。
バーメイド:人々は更なる市場、酒場、城を必要としたわ。新たな繁栄のために、消えてしまうものもある。
バーメイド:私の兄は数年前に行方不明になった。私がここで彼を待っているうちに、森はなくなり、人々は果実酒を必要としなくなった……
バーメイド:だって新しくできた酒場や市場にもっと美味しい美酒があるんだもの。
占い師:すまない。だが、私も友を待つためにここへ来た。
占い師:10年前、私たちはこのトリネコの木の下で会う約束をした。大事なトリネコ祭りを祝うために。
占い師:トリネコ祭りとは歌を歌い、音楽を奏でる祭典だ。自然に対する私たちの感激と賛美の意味もある。
占い師:私の一族はこのトリネコの木のもとに生まれた。愛と音楽を注ぐことで、この木は花を咲かせ続ける……
バーメイド:花?砂漠に生えているこの大樹が花を咲かせるの?
バーメイド:うーん……信じがたい話だけれど、一緒に待ってあげることならできるわ。
バーメイド:緑の葉っぱなんてもうずいぶん見ていない。もしかすると、それを見れば兄のことを思い出せるかも……

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タンバリン追加

泣き虫:ラララ、ララ~
占い師:誰が歌ってるんだ?
泣き虫:ラララ、雨だ~アリさんはお家に帰ろう~
泣き虫:葉っぱを傘に、草を滑り台に、雨の跡を糸に、花を新しい服に~
泣き虫:パパもママも探してる。僕は飴を穴の中に運ぶんだ~
バーメイド:ロビーだわ、私の宿場に住みついてる変わった子よ。
泣き虫:……
泣き虫:君は誰?見たことない!
占い師:私は……
泣き虫:わあ!
泣き虫:君が持ってるものは知ってるよ。綺麗な音を出すんだ!鳴らせてくれる?
占い師:私は……
泣き虫:ロビー聞きたい!聞きたいな!歌は歌える?ロビーも歌える歌は?
泣き虫:ロビーはたくさんお歌を歌えるんだよ。パパとママに教わったんだ。
泣き虫:リスも、カエルも……パパとママは、動物たちもロビーと同じように、大樹の近くに住んでるって言ってた。
泣き虫:ロビーの家はねずの木の麓にあるんだ。ねずの木を目指して歩けば、家の方向が分かるよ。
占い師:……ならどうして家に帰らないんだ?
泣き虫:お兄さん、バカだなあ。
泣き虫:大樹が無くなっちゃったら、動物たちとそのパパやママたちは行き場が無くなっちゃうでしょ?
占い師:……
泣き虫:皆ロビーの歌が好きみたいだから、ロビーがもう1曲歌ってあげるよ!
泣き虫:シャララ~雨だ~
泣き虫:お姉ちゃんと舟を漕ぐ、パパとママは旅行に行く。
泣き虫:大樹は波にユラユラ、河は光にキラキラ……

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ティン・ホイッスル追加

傭兵:おかしいな……
バーメイド:あら、お客さんね!
バーメイド:異郷の旅人さん!さあさあ、宿場でしばらくお休みになって。美味しい果実酒もあるわよ!
傭兵:……妙だな、なぜこの木には葉が生えている?
バーメイド:私たちの音楽に感化されたんじゃないかしら。こちらの詩人によれば、この木に水をやって、音楽を聞かせれば、花を咲かせてくれるらしいわ。
バーメイド:さあ、木を見るのは後にして、今はとりあえず1杯……
傭兵:そんな現象は見たことがない。
傭兵:いや、生きている木を見るのも久しぶりか。
傭兵:まあいい、確かに休憩も必要だ。そのか……
バーメイド:果実酒!はい、注いであげるわね!
占い師:君はどこから来たんだ?
傭兵:ずっと遠い場所から。
傭兵:たくさんの村を通って来たが、なぜかここにいると……落ち着くんだ。この木があるからかもしれない。
占い師:このトリネコの木が?
傭兵:ああ。故郷にあったこの木と同じくらいの木を思い出す。俺はいつもあの木の上に座って笛を吹いていた。
傭兵:それに河や畑、夜に光る虫。木の下で眠ってしまうことも……
傭兵:……ゴホン。
占い師:私もあなたとそっくりな子供時代を過ごした。だが見ての通り、私の家ーーこの場所は、今や完全に変わってしまった。
傭兵:……俺も大して変わらない。よくあることだ。
傭兵:私が家を離れた数年で、畑は燃やされ、木は全て切り倒された。
傭兵:村はもう平和な頃には戻れない。人も同じだ。
傭兵:……何も残らなかった。
占い師:でも、数年経てば……
傭兵:いや、一人旅は慣れている。
傭兵:人々の依頼を受けながら生活してきた。疲れる旅だった。それは故郷を長らく思い出していないほど……
傭兵:この木は好きだ。お前たちに加わってもいいか?実は笛を持っていてな。
傭兵:もしかしたら、この木から花が咲く光景を本当に見られるかもしれない……

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ヴァイオリン追加

ヴァイオリニスト:……ああ、なんと驚嘆すべき場所でしょう!
ヴァイオリニスト:芸術の果てが破滅なら、ここはまるで芸術の最高の境地ですね。
ヴァイオリニスト:この荒原にある店はーーいつ風に吹き倒されるか分かりません。私は絶対に足を踏み入れませんよ!
バーメイド:そこのお方!休んでいかない?果実酒でもいかが?
ヴァイオリニスト:何?果実酒?
ヴァイオリニスト:ふむ、お酒なら……1杯いただきましょう。
ヴァイオリニスト:廃れた荒原で生まれた発酵品の味を試させてもらいましょうか。私の口が耐えられれば良いのですが。
占い師:あなたは……普通の人には見えないな。
ヴァイオリニスト:普通の人?普通とはどのような定義でしょう?
ヴァイオリニスト:わざとらしくうわべだけを取り繕うのが普通なら、確かに私は普通ではありませんよ。
ヴァイオリニスト:粗野で退屈、耐え難い俗っぽさが普通なら、同じく私は普通とやらには含まれません。
ヴァイオリニスト:あなたのことは分かっています、おチビさん。あちこちを渡り歩き、町に伝わる歌を歌い回っているのでしょう?つまり、私と同じく「音楽に携わる者」。
ヴァイオリニスト:まぁ……私は「普通ではない」ヴァイオリニストですが。
占い師:ヴァイオリニストさんか。あなたは何をしにここへ?
ヴァイオリニスト:通りかかっただけですよ。ついでに普通ではないインスピレーションを……記憶を探しに。
ヴァイオリニスト:大自然は私に美酒とインスピレーションを授けてくれました。まだ若かったころ、私は絶妙な音楽を奏でていたのです……
ヴァイオリニスト:あの頃の私はあちこちを旅して、たくさんの草地、花、そして花に負けぬほど美しいレディーを見てきました。
ヴァイオリニスト:簡素なスカートを身につけ、牛乳桶を持っていても、野山や林で踊るその姿は麗しく、私の弦も思わず震えるほど……
ヴァイオリニスト:しかし、妙ですね。なぜこの旅の途中で、景色が急に変わってしまったのでしょう?
バーメイド:はい、お酒をどうぞ……全部あんたたち「上流階級」のせいでしょ。
ヴァイオリニスト:私と王城の連中を一緒にしないでいただきたい!
ヴァイオリニスト:彼らの芸術は我儘で、偽りです。自らを優雅だと思い込み、愚かにも森や草地を再現しようとしていた。彼らは自由な鳥を捕まえて偽物の森に放り込み、その悲しみに満ちた鳴き声には気付きません。
ヴァイオリニスト:あれらの景色は再現などできないのです、クッションに敷かれた椅子に座り、全てをその手で破壊した人間に、「自然の美を理解する」資格などあるはずがないでしょう!
ヴァイオリニスト:偽りの山、偽りの草原、塗りたくられた緑色の塗料……ゲップ……自由なんて……全部嘘ですよ……
バーメイド:ちょっと、酔っぱらってるわよ!
傭兵:彼のことは耳にしたことがある。国王と王女の琴師で、一流のヴァイオリニストだ。
傭兵:彼らは王宮の中で「森」を作ったらしい。彼の芸術に合わせて、インスピレーションを探させるために。
ヴァイオリニスト:私の田野、花が満開の荘園、美しいレディー……どうか……芸術を自然の産物に……
ヴァイオリニスト:レディーたちよ!木の後ろに隠れてはいけません!離れることになっても……
ヴァイオリニスト:私は……自分のために……もう1曲……

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太鼓

ポストマン:賑やかだね?
ポストマン:……木に花が咲いてる?
バーメイド:ポストマン君!久しぶり!あなたのワンちゃんは?また慌てて次の行先に行っちゃったの?
ポストマン:うん。この手紙を送ったら、僕も……
バーメイド:ちょっと待って、そんなに急ぐことないじゃない!ほら、不思議で綺麗な花でしょ。音楽を奏でるだけで、この木は息を吹き返すの!
占い師:今日はトリネコ祭りと言って、トリネコの開花を祝し、生命の美を感じる日だ。ぜひ君にも祭典に参加してほしい。
ポストマン:ぼ、僕は……
泣き虫:お兄ちゃんは太鼓を叩けるよ、ロビーもできる!ドンドンドン!
ポストマン:ありがとう。
ポストマン:じゃ、じゃあ少しだけ……手紙の配達で砂漠を走り回ってばかりいたから、こんなのは本当に久しぶりなんだ。
ポストマン:今まで見てきた中で……ここは一番生き生きとしている場所かもしれない。
占い師:この木にまつわる物語にも感謝しよう。
占い師:裸の岩も、荒れ狂う風砂も、破壊された緑も……この全てを変えることはできないけれど。
占い師:我々が忘れてしまったら、何もかもなくなってしまう。
占い師:暖炉の中で燃える薪を見る時も、それらが木だった頃の姿を想像して欲しい。
占い師:植えられた弱々しい苗は、どれも新しい命を守ることに繋がっている。
傭兵:そういえば、お前が待っていた友人は?
占い師:……もう来てくれたさ!
占い師:次のトリネコ祭りでもまた会える。そうだろう?

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宿場郵便局

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1日目

町の駅へ(送信)

親愛なる管理員さん
これを掲示板に貼っておいてください。
この手紙は私の故郷の友人にトネリコの花が咲く時期だと知らせるものです。
一緒に歌うことを約束しました。
枝の下で物語を語り、曲を演奏し、低木や小鳥、月に関する歌を歌います。

物語を語る友人

2日目

兄さんへ(送信)

兄さん、いつ帰って来るの?
今日の晩餐はお肉の煮込みと、キノコ焼き、野菜サラダ、それから麦酒よ。
料理はたくさん用意したけれど、食卓についているのは私1人だけ。
宿屋に新しいお客さんが来たわ。歌を歌う吟遊詩人。
木に関する物語を聞かせてくれてね、ここが彼の故郷らしいの。
でも彼の昔の仲間はいなくなって、故郷も彼が発つ前の様子とはかけ離れていたんだって。
こういう事を、人々は受け入れていくのよね?
故人が1人ずつ消えていき、彼らと共にあった記憶も徐々に薄れていく。

空が暗くなってきたわ。また大きな砂嵐が吹き始めた。
兄さん、私は変わらずここで待っているから。
寝る前に果実酒を温めたの。相変わらず、兄さんが調合した味よ。
あなたがいる夢へ私を誘ってくれることを祈るわ。

あなたの妹

くしゃくしゃにされた手紙(受信)

こんにちは!
私は商人です。
先日この地を通りかかり、あなたの宿場で足を止めました。
荒れた土地で、周りには生き物すら見当たりませんでしたが、戻ってから良いアイディアが浮かびました。
ーーこんなに大きな荒廃した土地です。
開発して、往来する商人が足を休め、各地に繋がる都市にすることができれば、きっとこの地に新たな生気をもたらすことができるでしょう!
または武器工場、採石場など……金に興味がない人間などいませんよ!
宿場を私に譲ってくれるなら、良い値段で買い取りましょう。
ボロボロなその場所の最後の価値を発揮させてください。
返信お待ちしております!

3日目

町の警備員(送信)

ご返信ありがとうございます。
この子の経歴について調べることはできなかったけれど、もうしばらくここで引き取ることは構いません。
彼は元気で、森や動物に関する歌を歌うのが好きみたいです。
同じ曲を歌うことがないほどですよ!
兄はよく、子供とは草むらの中のキノコや野花、木の穴のリス、昆虫のように旺盛な精力と生命力を持っているものだと言っていました。

彼が早く自分の家族を見つけられますように。
たとえ彼が歌うものがすべて消えてしまっていても……
大丈夫、少なくとも砂漠の宿場には、私が傍にいるものです。

砂漠の宿場

4日目

母へ(送信)

人のために働く生活を、あまり長く過ごすつもりはない。
故郷をなくし、遠くまで行き過ぎると、もと来た道が分からなくなる。
今回の任務を終えたら家に帰ろう。
手紙には10枚の銀貨を添えておきます。
宛先が見つからなかった場合は、砂漠の宿場まで戻してください。

旅客の予約の手紙(受信)

こんにちは!私は付近の町の住民です。
町で教師をしており、子供たちに読み書きを教えています。
医師でもあり、頭痛や動悸など、小さな病を治療しています。
ここ2年ほど、私の恋人が頭痛に悩まされており、ずっと根本的な治療方法が見つかっておりません。
近頃、あなたのところに花が咲く木があると聞きました。
風が木の葉を掠める音は、神経を落ち着かせ、頭痛に効くと本で読んだことがあります。
木がもたらす新鮮な空気も、疲労回復の作用があります。

あなたのところに数日ほど滞在したいと思っているのですが、来週は如何でしょうか?
また、客を迎える準備は一切しないでください。
私たちはこっそり伺います。

5日目

姫様(送信)

姫様にはぜひ、この自由の音をお聞きになられたいです。
大自然の中から生まれた、美しい調べを。
隠そうとするほど露わになる偽装も、豪華な装飾もありません。
姫様の宮殿で飼っているナイチンゲールはこんな美しい曲を歌えないでしょう。
全ての芸術は自然による付属品でしかありません。
風が木々を掠め、私のG弦を掠める。
最も美しい幻想曲は私ではなく、それによって奏でられるのです。
姫様と約束した期日に王宮へ戻ります。
それまでは、どうか私の行方を調べないようお願いします。
姫様の関心は、まるで鳥の足に繋がれた細い紐のように、慌てて私を草原や森から精巧な鳥かごに引き戻そうとしていますから。

あなたの琴師

6日目

(送信)

ワンワン、
ワンウーワンワン、ウーウーウー、ワンワンウー、ワン、
ウー、ワンワンワンワン、ワン、
ワンワンウーワン、ウーウーウー、ワンウーワン、ワン、ワンワンワン、ウー!

※編集補足:ワンを・にウーをーに変換しモールス信号として解くと「I LOVE THE FOREST(私は森を愛している)」となる。

謎の手紙(受信)

また春が来ましたね!うれしいです!
あなたたちの森にも小さな動物がたくさんいますか?
木には新芽が芽吹いていますか?
この春、巨木の森の大樹にはたくさんの綺麗な花が咲きました。
ミスター・エッグシェルは新しい絵本を描いてくれて、私たちはそれを劇にするつもりです。

ミスター・エッグシェルはこの物語を気に入ってくれたら嬉しいと言っていましたよ。

7日目

見知らぬ友人へ(送信)

楽しいトリネコ祭りを!ほら、葉っぱの音、花の香り……
暖炉の薪は人々の暖かい家を照らす。
木の年輪は、無数の生命の移り変わりの印。
1本1本の小さな樹を守ろう。それらはいずれ、大きな森になるだろうから。

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