真髄1
真髄2
背景
静かな小さな町は珍しい祝い事を迎えた。
伯爵の2人の召使いは様々な困難を経て、ついに結婚の殿堂に足を踏み入れる。
町の住民や他の召使いたちは心からの祝福を贈り、誰もが心の奥底にある輝かしい事への純粋な憧れを抱いている。
当然、伯爵も例外なく。
婚礼当日、半月間続いた長雨は最も簡単な幸せの前に手を止め、太陽は逃げることができた。
教会の鐘が鳴る時、教会の色とりどりなガラス越しに陽光が差し込み、全ての人の純真な笑顔に降り注いだ。
最も神聖な瞬間が訪れた。
新婦は1歩ずつ皆の心に足を踏み入れていく。
「ダ~ダ~ダ~」
これほど幸せな瞬間はなかっただろう!
もし、永遠にこの瞬間に留まることができたら…
(原文)
テーマ
スペインの婚礼が主題となっていると明言されており、衣装のデザインはスペインの民族衣装風になっている。
2人の召使い・伯爵が登場することや結婚が主題であることなどから、おそらく戯曲「フィガロの結婚」を基にモーツァルトが作曲したオペラがモチーフになっている。
「フィガロの結婚」はアルマヴィーヴァ伯爵の2人の召使いが結婚するまでの物語であり、伯爵が新婦に懸想したりといった様々な人間関係が2人の邪魔をする。
衣装
- 真髄販売期間:2021年10月14日~2021年12月2日
衣装名 | 怒りの炎 | |
Fury(英語)、怒火(繁體中文) | ||
キャラクター | 蝋人形師 | |
登場 | S18・真髄2 | |
テキスト | 彼は巨大なロッカーを持っていた。 中に陳列するのは、炎に焼かれて時が止められた美しさ。 | |
3Dモデル | ||
展示画面 | loading... | |
告知文 | 幸せが育まれる理想像を伯爵の彼は具現化する。 罪を背負い続け、燃え盛る心をその手に抱き、容赦のない永遠を望む。 | |
補足 | モチーフになっているのはおそらく「フィガロの結婚」で新婦であるスザンナを狙っていたアルマヴィーヴァ伯爵。 戯曲の前作である「セビリアの理髪師」では後に伯爵夫人となるロジーナに惚れ込み結婚した。 妹の頭の装飾はバレンシアの民族衣装に酷似している。 |
【デザイン過程】
- プロット
このデザインのイメージはスペインの伝統衣装からインスピレーションを受けており、溢れんばかりの熱情・婚礼が主題だ。
同時に「心は常に熱情に満ちているが、残念なことに次の瞬間には氷のように冷たくなってしまう」という彼の感情にも合っている。
新キャラクター蝋人形師について、私たちは宝箱のストーリーの中で彼自身の性格を表現したいと思っている。
伯爵は幼い頃から極度に厳しい家にいた。
それは彼の性格を内向的で陰気にし、彼は外界の悲喜を一切気にかけないようになった。
彼の妹は唯一彼の心の中に入っていくことができる人物で、彼に暖かさをもたらそうとしていた。
しかし偶然が重なり、最終的に彼の手で亡くなり灰燼となった。
彼は彼女の姿を教会の窓に描き、毎日懺悔しに行った。
しかし徐々に彼は、全てやり直すことができようとも、彼は最も残忍な方法を選択するだろうと理解する。
なぜなら素晴らしいものは本来一瞬で過ぎ去ってしまうもので、最高点で突然停止してこそ初めて永遠のものとなるのだから。
- 美術
プロットの文に応じて、このシリーズの衣装の主題はスペインの婚礼のイメージだ。
初期のスケッチは服装の仕立てと装飾が、少し細かくしすぎるため物語全体のイメージを壊してしまっている。
また、兄と妹の衣服や装飾、髪型などの造型は初期衣装からあまり変わっていない。
兄の人生における厳しい家庭環境下が招いた心の変化とスペインの伯爵のような物語性に満ちた描写、兄が教会で見た聖潔な蝋人形の幻影として兄の傍に禁錮された妹のストーリーのイメージが表現できていない。
次のスケッチの兄の皮膚は病的な青白さだ。
笑っていない笑顔を帯び、長期に渡る懺悔が作り出した傷跡がある。
服装はスペインの伯爵に合った大きな黒いローブで、蝋でできた妹の服装は19-20世紀の欧州のショースタイルの花ドレスだ。
身体の金属の装飾は蝋の中に埋め込まれており、頭の装飾のデザインはスペインの伝統衣装の頭飾りで、より年代に合った史実の物に近くなっている。
しかし、今の時点でも教会の蝋人形としての妹のイメージと主題である「怒りの炎」とキャラクターの組み合わせが不足している。
最終的に妹の顔は蝋の部分を増やし、涙を流しているかのように融けることで、妹の「教会の蝋人形の聖潔な像として兄に永遠に禁錮される」という悲劇の結末のイメージを富ませた。
蝋でできた花ドレスの内部は燃えており、兄に血の繋がった親戚でこの上なく愛する人への愛を呼び覚まし、最終的に灰燼と化すことこそが「怒りの炎」という主題となった。
- 原画の細部展示
兄の病的な青白い顔は笑っているようで笑っていない奇妙な表情を帯びている。
額には目障りな傷跡がある。
妹の頭にはスペインの伝統衣装の頭飾りを身に着けており、人物の年代設定と符合している。
顔の蝋は融けており、両目から流れ出る涙を思わせる。
蝋でできた花ドレスは内側から外側に向かってぼうぼうと燃え、最後には灰燼と化す。
- 展示画面
白い花びらがゆっくりと空から舞い落ちてくる。
あの素晴らしい祝福、あの賑やかな賓客、あの美しい新婦は永遠にその瞬間を留め、突然時間は停止した。
婚礼の素晴らしさは伯爵の心をずきずきと痛ませる。
かつて亡くした素晴らしい記憶は丸々怒りの炎へと変わり、彼の身体の傍で燃えている。
婚礼の素晴らしいものは彼のショーケースの中で静止させられている。
伯爵にとって素晴らしいものは一瞬で過ぎ去ってしまうもので、最高点で突然停止してこそ初めて永遠のものとなる。
- 特殊エフェクト
兄はスペインの伯爵のような大きな黒いローブを着ており、肌は病的な青白さで、表情は笑っているようで笑っていない。
妹は教会の蝋人形としての聖なるイメージとして兄によって閉じ込められている。
蝋でできた花ドレスは内部から燃えており、ぼうぼうと燃え盛る火炎は「怒りの炎」という主題に合っている。
(原文)
衣装名 | ソプラノ | |
Soprano(英語)、女高音(繁體中文) | ||
キャラクター | バーメイド | |
登場 | S18・真髄2 | |
テキスト | 彼女はここに置かれるはずではなかった。 あの完璧な結婚式が、 純粋に素晴らしいものへの俗世の憧れを呼び起こしたのだ。 彼女の魂はこれ以上純粋な一時を得ることはできない。 故に、彼女はこの瞬間に留められた。 | |
3Dモデル | ||
展示画面 | loading... | |
告知文 | 決意するまでの苦難ゆえに、行き着いた答えは美しい。 彼女はその完璧な結婚式に憧れを抱く使用人であった。 迷いなき魂に映り込む優しさは、芸術と称しても良いだろう。 | |
補足 | ソプラノはオペラにおいて女性役の声で最も高い音域となる。 衣装のデザインはスペインの闘牛士の服装がモチーフになっている。 |
【デザイン過程】
- プロット
バーメイド-ソプラノも(「スザンナ」と)同様に伯爵の召使という身分だが、スザンナの単純さとは異なり彼女は複雑で用心深い考えを持っている。
しかし婚礼の光景の幸福感は、彼女の素晴らしいものへの最も単純な憧れを呼び起こした。
後にそれは心からの祝福となり、彼女の人生におけるもっとも純粋な瞬間でもあった。
彼女たちの熱烈さと純粋さは伯爵にとってこの世で素晴らしいものの1つだが、このような単純な感情は一時のものでしかない。
故に彼は彼女たちを永遠にこの瞬間で留めることを決意した。
- 美術
紅色、スペインの闘牛士服、情熱的でセクシーな女性を主な中心とした。
今回の服装はより現実に近い必要があり、方向性が明確だ。
そのため第一版のスケッチは全体的なデザインに大きな問題はなかった。
最終的に以下のような結果を得ることができた。
皆さんが気に入ってくださると嬉しいです。
- 原画の細部展示
ソプラノはクールな化粧で、耳にはスペイン風の耳飾りを付けている。
婚礼の来賓として、彼女は頭に柘榴の花を付けている。
紅色のスペインの闘牛士の服を纏い、腰には緑色のベルトが巻かれている。
バーメイド-ソプラノはスペインの酒瓶を持っている。
彼女の力強い外見の下には1つの脆弱な心が隠されている。
- 展示画面
バーメイド-ソプラノは婚礼の来賓として頭に鮮やかな紅色の柘榴の花を戴いている。
彼女は新婦に真摯で情熱的な祝福を捧げた。
バーメイド-ソプラノはきちんとした紅と金のスーツを着ており、腰には緑色のベルトが巻きついている。
これらは全体的に颯爽とした気質の彼女の英姿を示している。
この予想外の新しいコレクションは、結婚式の宴に出席した際、その光景のロマンスと熱烈さに感動し、素晴らしいものへの憧れへ目覚めた。
彼女の熱烈さと純粋さは、永遠にこの瞬間に留めおかれた。
- 特殊エフェクト
バーメイド-ソプラノはスペイン風の紅い上下が繋がった洋服を纏っている。
頭には鮮やかな紅色の柘榴の花を戴き、腰には緑色のベルトを巻いている。
全体の装いは洗練されている。
婚礼の場で、この召使は紳士で純粋な祝福をもたらし、永遠に素晴らしい瞬間で固定された。
(原文)
衣装名 | 「スザンナ」 | |
'Susanna'(英語)、"蘇珊娜"(繁體中文) | ||
キャラクター | 空軍 | |
登場 | S18・真髄2 | |
テキスト | 彼女はあの結婚式の後に中心に置かれた一級品だ。 彼女の愛情は熱く、一途であり、炎によって永遠の聖潔を得た。 | |
3Dモデル | ||
展示画面 | loading... | |
補足 | 「フィガロの結婚」のヒロインで主人公と結婚する予定だったスザンナがモチーフになっていると思われる。 自身を狙う伯爵に対し、主人公と伯爵夫人と協力して彼をどうにか思い留まらせようと尽力する。 衣装のデザインはおそらくサマランカ地方のチャルと呼ばれるお祭りの時に着る民族衣装。 | |
告知文 | 戸惑いのない、永遠に続く大いなる愛。 伯爵の使用人である彼女は、何も混じり気のない純粋な心で 完璧だった結婚式を情熱的に表す。 |
【デザイン過程】
- プロット
空軍-「スザンナ」の身分は伯爵の召使いであり、彼女は活発で気前が良く、善良で純粋だ。
愛の未来への憧憬に満ちており、これは彼女の人生で最も熱烈な瞬間でもある。
- 美術
空軍-スザンナのデザインの主題はスペイン風で、イメージは伯爵夫人のメイドであり結婚に対して憧憬に満ちた新婦だ。
この主題に対し、私たちが最初に参考にしたのはサラマンカ地方の伝統衣装だ。
同時に新婦とメイドという両方の身分の特徴を満たす必要があるため、両方向のスケッチを出した。
案1は全体的な配色と形式はどちらかと言えば成熟した女主人に偏っており、少女の気質に欠けていた。
人物のお洒落で可愛いという部分を満足に際立たせることができていない。
案2は衣服の仕立ては婚礼という主題に符合しており、明るい配色の彩りは人物の気質に合っているため、案2を選択して調整を続けた。
私たちはスケッチに基づいて、髪型が空軍のシルエットに合わないという問題や、頭の白い薄布付ける方法などの調整を続けた。
後者は新婦という身分に符合すると同時に華麗さが誇張されすぎない。
服装のややこしいパターンのデザインを最適化し、特殊効果のデザインの中心は全身に散らばらせる方式から頭に着けた柘榴の花に移行した。
それは少女の腕白で可愛い気質を強調する装飾を増やすだけでなく、視覚の中心も増やして目の前を明るくする。
- 原画の細部展示
空軍-「スザンナ」は精緻な化粧をしており、髪には一輪の鮮やかな柘榴の花をあしらっている。
真っ白なヴェールがきちんと余すところなく頭の上に巻かれている。
衣服のデザインはスペイン風が濃く、首飾りはお洒落で可愛く見える。
スカートのメインカラーは紅色で、刺繍の模様が装飾として添えられている。
結婚に対して憧れに満ちた新婦が、今まさに結婚の殿堂に足を踏み入れようとしている。
- 展示画面
美しい新婦は生花を持っており、スペイン風のウエディングドレスを纏い、頭には白いヴェールを付けている。
様々な困難を経験し、今日、彼女は遂に愛する人と結婚の殿堂に足を踏み入れた。
空軍-「スザンナ」は地に膝をつき、敬虔に祈りを捧げた。
彼女は素晴らしいものに対して最も純粋な憧れがあり、愛と未来への憧憬に満ちている。
しかし婚礼の素晴らしい光景は一瞬にして戻らぬ存在となり、美しい新婦は戸棚の中央に飾られた珍品となってしまった。
- 特殊エフェクト
空軍-「スザンナ」はスペイン風のウエディングドレスを纏っている。
独特の紅と緑のコントラストと大きな花びらの紋様が彼女を結婚式の宴で最も美しい真珠にする。
頭の紅い花は彼女を鮮やかで絢爛に花咲かせる。
今日の彼女は最も美しい新婦だ。
(原文)
衣装名 | 宿願 | |
キャラクター | 血の女王 | |
登場 | S18・真髄2 | |
テキスト | 彼女にはずっと素敵な願いがあった。 その目で見届けるまで、 彼女は喜んでこの瞬間に永遠に留まり続けるのだ。 | |
3Dモデル |
衣装名 | 祝う者 | |
キャラクター | 狂眼 | |
登場 | S18・真髄2 | |
テキスト | 彼はあの結婚式で最も楽しそうな参加者だった。 人ごみの中で最も目立つ位置に置かれている。 | |
3Dモデル |
衣装名 | ゲスト | |
キャラクター | 納棺師 | |
登場 | S18・真髄2 | |
テキスト | 彼の静かで集中している眼差しは、結婚式に神聖さを加えた。 彼は得難いコレクションの1人である。 | |
3Dモデル |
衣装名 | 歌 | |
キャラクター | 探鉱者 | |
登場 | S18・真髄2 | |
テキスト | あの「結婚式」と呼ばれるショーケースが開かれる度、 美しい歌が響き渡り、あの永遠に完璧な瞬間に戻される。 | |
3Dモデル |
衣装名 | 第四幕 | |
キャラクター | 機械技師 | |
登場 | S18・真髄2 | |
テキスト | 終わりであり、新しい始まりでもある。 第四幕は永遠の一幕だ。 | |
3Dモデル | ||
補足 | 「フィガロの結婚」は全四幕から成るオペラであり、第四幕は物語の結末となっている。 |
衣装名 | 愛は朽ちず | |
キャラクター | 蝋人形師 | |
登場 | ショップ(恒常) | |
テキスト | 烈火に焼かれた後に残されたのは、朽ちぬ愛だった。 | |
3Dモデル |
参考文献
真髄3「虚妄の宴(上)・異なる帰路」
テーマ
再会の時アップデートと同時に販売された真髄。
真髄衣装は19世紀イギリス(ヴィクトリア朝)の貴族服のデザインをモチーフと明言されており、SSR以上の衣装は加えて(獣化しているという設定で)動物の要素がある。
シダ植物を模した装飾や模様が多く見られ、悪の源を除いた全ての衣装にメインストーリーで登場した3種の薬のマークがついている。
衣装名は(例外はあるが)SSR以上の衣装は中国語由来の1文字、SR衣装は精神医学用語・心理学用語に関連する名前となっている。
- 睡眠薬(オルフェウス)
- 幻覚薬(セイレーン)
背景
全ての始まりの地は、エデンのような絶海の孤島だ。
彼女は島の一族が代々ミューズの女神を信奉していたことを覚えている。
島には特殊な効果のある固有の種類の黒いシダ植物があったこと、そして皆がそれを「女神の恩寵」と呼んでいたことも。
やがて紅の悪夢が海と天の合流点から燃え始め、それは彼女と記憶の中のあの人への憧れと約束を呑み込んだ。
再び彼女が目覚めた時、エデンの園の殻は粉々に砕けて崩壊しているのを見た。
素晴らしいものは全て消え失せ、炎の風に漂うぼろ布と崩れた壁は、まるで1つ、また1つ、島の嘆きに伴って墓碑が生まれているかのようだった。
何年か経った今、彼女は再び記憶の中の水路に足を踏み入れた。
それは数えきれないほどの恐怖の噂の出処が、すでに滅びて誰もいない故郷を指していたからだ。
しかし彼女はまだ、あの悪夢からのもう1人の生存者がいるかもしれないという一縷の期待を持っていた。
しかし島に上陸した後に彼女が見たのは、終わりのない黒夜、贅沢で混沌とした馬鹿げた夜宴、辛うじて「人間」と呼べる狂った化け物……
彼らはなぜここにいるのだろう?当時の真相は一体何だったのか?虚妄の宴の背後で全てを支配するのは一体誰なのか?
炎の尽きた後のあの影はとても馴染みがある……それは彼?
いいや、彼女の記憶の中のあの人は、これほど狂ってはいないはずだし、自身を傷つけることなどなかった。
(原文)
衣装
- 真髄販売期間:2021年11月11日~2021年12月2日
衣装名 | 「淵」 | |
キャラクター | 「悪夢」 | |
登場 | 2021・再会の時イベント | |
テキスト | 極善と極悪は紙一重である。 目を開いた時、あなたが見たのが「私」であったら、 この極悪の深淵へ歓迎しよう。 | |
3Dモデル | ||
展示画面 | loading... | |
告知文 | 鎧のように堅くて鋭い仮面は、一体何を隠しているのだろうか? 紫に光る瞳に捉えられた時、誰もこの「悪夢」からは逃げられない。 |
【デザイン過程】
- プロット
「悪夢」のUR衣装「淵」は物語の結果だ。
再会の時、それは悲劇に幕を下ろす時でもある。
そして終わりは新たな始まりを意味する。
彼が幼い頃の島に戻った時、景色は変わらずとも住む人々は全く異なっていた。
触れることのできない過去は、今はただ、あまりにも美しい悪夢だ。
パンドラの魔の箱は既に開かれた。
彼は貪欲な心を浄化することができなかったために、絶望と憎しみの深淵の中で自身の「エデンの島」を再建することしかできない。
この時の彼はもはや世間を知らない少年ではなく、全ての人の欲望の化身、悪の淵の化身だ。
そのため衣装のデザインは「悪夢」が人間でなくなっていることを強調したいと思い、色は黒を中心に希望した。
同時にキャラクター自身に対して、彼が善と悪の狭間で悪の絶望を選択したことも強調したかった。
シーズン20(19)・真髄1のストーリーは「空」の視点から述べられているが、当時の彼は既に他人の目には「淵」となっている。
彼は自身が初心から変わらず無罪と信じ、自身を神と称え、自分を見つめる時も高潔で神聖な姿だった。
彼は遂に、彼の島と彼がかつて愛した全てを守護する方法を見つけたのだ。
虚妄の宴、新たな記憶の起点。
- 美術
この衣装の主題は淵で、衣装のデザインはヴィクトリア朝の貴族と邪悪な変異の効果の集まりだ。
私たちは邪悪な気質の黒と赤の組み合わせをメインカラーに選んだ。
第一版のスケッチは既に全体的な気質に合っている。
しかし服のスタイルが少し優雅さに欠けており、架空に偏っているため、私たちは写実的な服装のデザインに傾かせた。
キャラクターの変異の表現として髪の材質をコールタールに置き換え、顔の黄金の仮面は鳥の頭蓋骨のデザインにすることで服の華麗さとマッチした。
ストールの端と髪の端には焼けた効果があり、優雅で邪悪な気質がある。
- 原画の細部展示
「悪夢」-「淵」は顔に黄金でできたペストマスクを被っており、燃えるような髪は煮え滾る溶岩のようだ。
邪悪な変異は彼を侵蝕しており、それが執念の代償なのかもしれない。
精緻で華麗な貴族の装いはかつて彼が豊かで心配のない素晴らしい生活だったことを示している。
神を自称する彼はその過去から抜け出すことを望まず、偏執的に体面の優雅なイメージを維持している。
手の溶岩とコールタールが混ざり合って流れ、煮え滾るような熱気と鋭利な虐殺の気勢は阻むことができない。
- 展示画面
「悪夢」-「淵」は強く頭を押さえ、苦しみの中でもがき足掻いている。
彼は思いの中で悪の絶望の選択を余儀なくされたことに耐えられなかった。
鋭利な刃がヒュンと風を切り、緋色の光の痕を残す。
当たった場所のガラスが粉々になり、邪悪な魂が空中へ飛び出した。
「悪夢」-「淵」は1人の高貴な紳士として頭を下げて敬礼する。
神に感謝する彼は高潔で神聖な姿を維持している。
彼が手を開くとシダ植物が狂ったように育ち始めた。
それは深淵の邪念から来たものであり、元に戻ることのできない邪悪な変異だ。
(原文)
衣装名 | 悪の源 | |
Source of Evil(英語)、惡之源(繁體中文) | ||
キャラクター | 「少女」 | |
登場 | S18・真髄3 | |
テキスト | 純粋な羊というのは見せかけなのかもしれない。 その源にあるのは罪の始まり、悪念の源である。 | |
3Dモデル | ||
展示画面 | loading... | |
告知文 | 皆が黒いオーラを纏って狂ったように笑っている。 悪しき暗闇の塊が浮かぶ中、一人だけ光り輝く存在がいた。 彼女は本当に…何者なのだろうか…? (補足:UR・SSR3人まとめての告知) | |
補足 | 衣装のモチーフである純粋な子羊と邪悪な山羊の対比はマタイ書における羊と山羊の例えからという説がある。 羊は「神の子羊」、山羊は「スケープゴート」という言葉がある通り、どちらも聖書では動物の生贄の1つとして捧げられていた。 |
【デザイン過程】
- プロット
「少女」のUR衣装「悪の源」は素晴らしい物語の変性の始まりであり、これこそが悪夢の始まりだ。
この時の彼らの「エデンの島」は彼らの純真さと無知によって危機に晒されていた。
彼らは彼らの「純潔」と「軽信」を使って外の人間の欲望の箱を開けた。
それ以来、物事は元の道筋から外れ、人々は思いのままに略奪し、虐殺し、全ての素晴らしいものはごうごうと燃え盛る烈火の中で焼き尽くされた。
「悪の源」は虚妄の宴の中で唯一「純潔な目的」を持った来客であり、この宝箱の中で唯一の白色でもある。
彼女は単身で危険の中へ飛び込んだが、この世に本当に罪のない人などいるのだろうか?
純白な外見の下に埋まっているのは無垢な善心ではなく、全ての罪の根源なのかもしれない。
この設定に基づいて、私たちが選んだのは羊と山羊の2つのイメージだ。
少女の本体は純潔を象徴する子羊であり、少女の懐の山羊の人形は邪悪と罪を象徴している。
本体と山羊の人形と接触した部分は黒いシダ模様が広がり、罪の侵食と拡散を象徴している。
- 美術
「少女」-悪の源の主題は表向きは無垢だが罪悪の始まりを引き起こした「少女」で、人物は華麗な服装にしたかった。
また、純真と聖潔の象徴である子羊と罪悪の象徴である山羊の特徴が欲しい。
一見純粋で美しいが罪悪のイメージが隠されていることを望んだ。
一枚目のスケッチの2つのイメージは華やかさがまだ十分でなく、聖潔で罪悪の源というテーマには装飾が不十分だ。
また、全体的なデザインが少し平均的で、黒い人形はあまりにも突出しすぎていて全体のイメージと合っていない。
人物に羊の形がほとんど反映されておらず、無垢で神聖なイメージというより時代的な貴族のイメージだ。
外の輪郭は初期衣装と差を付けるのが難しい。
二枚目の図の2つは華やかさが少し良くなり、神聖さと邪悪さの対比感がさらに強くなっている。
しかしデザイン上のつぎはぎ感が強すぎて、顔の化粧と頭の毛玉、ヘアピンなどが頭を小刻みにしてしまっている。
大きな羊のような装飾は人物を「切断」するだけでなく、人物のデザインを非常に分散させ、高コストな材質が多いがゲーム内での効果がいまいちだ。
一部の「羊」という主題に符合した服は、純粋な装飾性を表現しすぎて時代感がなく。
ヴィクトリア朝の服をベースに強引に装飾を加えたように感じ、人物全体が少しファンタジーに見える。
三枚目は最終稿に近く、衣装全体から不透明な材質の大部分が削除された。
材質>色>レイヤー>面積と言う形式で整理し、人物の高級感を保ちつつも更に統合性を持たせた。
人物の頭部は羊耳からヘアバンドの形に、羊角から花のカチューシャの形に代わり、蝶々結びと特殊エフェクトと合わせることで純真で神聖な面を表現した。
目の宝石は斜めの十字型の宝石に変えることで、既存のボタン目に高貴で神聖な特徴を持たせた。
純粋な装飾の要素は削除され、金と白のシダ植物のアップリケを加えた。
これは神聖で、「少女」の物語に符合している。
髪型は金色の巻き毛に変更して高貴さを優先してこじゃれたイメージを減らし、内心と「少女」と言う表面が異なっていることを暗喩している。
服の継ぎ目には羊毛の代わりに中間羊毛(?)を敷いて後ろには子羊の尻尾を繋げた。
ヴィクトリア朝の貴婦人のロングスカートは短いスカートに変えることで服装の成熟感を弱め、人物の性格そのものを強めた。
また、山羊の邪悪な属性は人形に表現しており、人形は適度に古く、ぼろぼろで少し気が狂っているように見える。
ボタン目は山羊の目の構造を模倣するために一本の糸に変更され、邪悪な特徴を強化した。
- 原画の細部展示
「少女」-悪の源は甘く純粋な笑顔を浮かべている。
精緻なヘアバンドとカチューシャは羊の耳と角に似ている。
彼女は虚妄の宴に迷い込んだ罪なき羊であり、罪悪の淵の中では方向を識別することができない。
彼女の腕の中の人形は色褪せており、狂気を表現し、邪悪と罪を象徴する。
黒いシダの模様が「少女」の腕に巻きついている。
それは罪の侵蝕と拡散によってところどころに残された火傷のようだ。
- 展示画面
奇妙な宴会、豪華な食べ物、狂気と貪欲の出席者……
虚妄の宴に迷い込んだ「少女」は場違いのように見える。
白と金色の招待状は黒いシダ植物の封印と絡み合い、属する場所の深さと闇を象徴している。
蔓に巻き付かれた人形は貪欲な夢と邪悪な祭品に捧げられ、金色の点々とした輝きはより深い暗闇に包まれている。
(原文)
衣装名 | 猙(ソウ) | |
Horrendous(英語)、狰(繁體中文) | ||
キャラクター | 魔トカゲ | |
登場 | S18・真髄3 | |
テキスト | 真理が存在する世界が狂気に溢れ、無情であると言うなら、 私は残されたわずかな理性も捨て去るだろう。 | |
3Dモデル | ||
展示画面 | loading... | |
補足 | 衣装のモチーフである猙(ソウ)は中国の地理書である「山海経」を由来とする伝説上の獣で、豹のような1本の角と5本の尾を持つ。 漢字自体も荒々しい・凶悪なという意味合いがある。 |
【デザイン過程】
- プロット
2つの宝箱の他のキャラクターは宴に招待され、各々の目的を持った客人だ。
デザインでは、客人たちが影響を受けて内心が変化し始めたことを示す細部が追加されている。
例えば病的な派手なメイク、同じシダの模様、客人一人ひとりに同じ或いは違う記号があるが、これらの記号の出現には法則がある。
彼らの心中の欲望と邪念をより具象化した方法で表現した。
例えば「猙」のイメージは狂気と残忍さを象徴する狼だ。
複雑で精緻なシャツのベストはかつての紳士さと理智を象徴し、きつく束縛する仮面と皮ベルトは自我の抑制が既に限界に達したことを象徴している。
本来ポジティブな意味を持っていた黒曜石は、今は壊れて汚れている。
- 美術
この衣装の主題は「猙」だ。
今回の衣装のデザインの位置は狼をデザインの核心にしており、主な色調として黒を選択した。
具体的なデザインは貴族の服と狼の主題を結合した。
第一版の案では装飾のデザインが密集しており細かすぎるため、デザインのハイライトが十分に目立たない。
そのためデザインの継ぎ接ぎ感が強くなってしまった。
第二版のデザインでは、衣装の全体的な色調が黒系とより一致している。
袖とベストの引き裂かれている効果はキャラクターの力と狂気を表現している。
狼の仮面は衣装の主題である狼化の象徴で、これは衣装の核心のデザインでもある。
しかし第一版のデザインの仮面は写実的でないため、私たちは最終版の調整を行った。
仮面はいくつかの案を作り、最後にレザーマスクに犬のマズルのデザインを加え、狩猟のイメージを表現した。
- 原画の細部展示
レザーマスクの下で暗く輝く緋色の目は、冷酷で殺伐としている。
仮面と皮ベルトは狂気で残忍な魂を束縛し、自我の抑制が限界に達したようだ。
美しいルビー、華やかなシャツのベスト。
精緻で複雑な服装はかつての紳士と理性を象徴している。
手中の黒曜石は石突が砕け、薬剤-セイレーンの記号が刻まれている。
- 展示画面
鋭い爪が虚空を切り裂き、緋色の殺伐とした引っかき傷を残した。
魔トカゲは地面に激しくぶつかり、その本性である狂気、残忍、そして止めることのできない破壊衝動を思うままに解放した。
暗い赤色の光の中で、狂った自己は思う存分に燃えている。
彼は解放され、本心に従って深淵と欲望に沈んでいく。
魔トカゲは黒曜石の鋭い刃を腕から引き抜いた。
狂った殺戮の魂を解放され、彼は飛び上がって前を刺し、緋色の双眸は狩猟と興奮と暗い光を帯びている。
(原文)
衣装名 | 藏 | |
Hidden(英語)、藏(繁體中文) | ||
キャラクター | 玩具職人 | |
登場 | S18・真髄3 | |
テキスト | 自分が好きな人や物を隠して何が悪いのか。 美しいアオアズマヤドリだって、愛しの「玩具」を独占したがる。 | |
3Dモデル | ||
展示画面 | loading... | |
補足 | 衣装のモチーフであるアオアズマヤドリはオーストラリアに生息している鳥。 青い体色なのは雄のみであり、繁殖期になると雌へのアピールのために小枝などで東屋を作って体色と同じ青い物を運んできては装飾するという習性がある。 衣装名である藏という漢字は隠す・しまう・収蔵するという意味。 |
【デザイン過程】
- プロット
「藏」のイメージはアオアズマヤドリで、貪欲と歪んだ収集欲を象徴している。
華美な貴族の装いは彼女の内心の渇望の現れであり、各部位の鳥の羽は獣化の症状が進んでいる証明だ。
玩具箱には鳥が人を束縛する図案があり、人は心臓が欠けている。
鳥が啄んでいるのはこの心臓であり、ここでの表現は一種の暗喩でもある。
- 美術
この衣装の全体的なスタイルは幻覚剤の影響を受けて人間性の悪の本質が刺激され、互いの目には薬物の作用で歪んだイメージの幻がある。
衣装のデザインは贅沢三昧な特徴と華麗なヴィクトリア朝の服を結合した。
第一版の2つの案のうち、1つ目の効果はあまり理想的ではない。
贅沢感はあるもののキャラクターの気質と合っておらず、玩具職人のおさげの特徴が不明瞭だ。
2つ目の気質は比較的合っているが、ヴェールのデザインは比較を繰り返し、いくつかの細部(スカート、腕、宝石、ショルダーバッグ、メイク等)はもう少し洗練することができる。
そこで私たちは第二版のスケッチを基礎にいくつかの改善を行った。
スカートの形式を贅沢さを失わずにより軽く改修し、ゾンビのように見えないようにスキンにある程度血色を持たせた。
顔の紋様はアイメイクに変更し、特殊エフェクトを簡素化し、豪奢感を上げるためにいくつか宝石を追加することで改善した。
最後に細部を洗練して充実させた後、玩具職人-藏のデザインが完成した。
- 原画の細部展示
玩具職人-藏の頭にはアオアズマヤドリの羽毛を装飾した礼帽がある。
病的で豪華な化粧と目の周りに広がるかすかな紫色の痕跡は獣化が進んでいる証明だ。
貪欲と度の過ぎた収集欲は彼女の魂をゆがめている。
玩具職人-藏の黒いドレスにはところどころに輝く紫色の宝石があしらわれている。
彼女は贅沢三昧に奔走し、贅沢で華麗な宴に赴く。
揺れるスカートは軽やかで豪奢だ。
繊細で複雑な模様があり、華美な貴族の装いは彼女の内心の渇望を現わしている。
- 展示画面
巨大な箪笥には奇妙な模様ーー翼を持つ鳥が人を束縛し、その心臓である欠けた紫色の宝石を啄んでいる。
玩具職人は慎重に箪笥の扉をノックしたが、その瞬間戸棚全体が狂ったように震え始めた。
凶悪に笑う影が箪笥を破って出てきて邪悪と貪欲の魂が四方に逃げて行った。
玩具職人が急いで箪笥の扉を閉めると、全ては最終的に静かになった。
玩具職人は驚きのあまり、しばらく迷いと恐怖に陥った。
「罪悪の饕餮の宴」の前で、玩具職人は内心に潜む尽きぬ欲望への探求を解放した。
彼女はコップを持ち上げて、遠慮なく欲望と貪欲を尊重し、内なる渇望の成長を尊重した。
- 特殊エフェクト
玩具職人-藏の頭には鮮やかなアオアズマヤドリの羽の礼帽をつけており、ところどころに銀の光と微かな紫色の羽がきらきらと散っている。
歩くと羽毛は細かい光の帯を描き、優雅で美しく、贅を極めている。
(原文)
衣装名 | 解離性障害 | |
キャラクター | 野人 | |
登場 | S18・真髄3 | |
テキスト | 他人の目に映る「解離性障害」は、 一番良い逃げ道なのかもしれない。 | |
3Dモデル | ||
補足 | 解離性障害は強いストレスが引き金となって自己同一性を失う精神障害。 具体的な症状としては、解離性健忘*1・解離性同一性障害(多重人格)・離人症性障害*2・解離性遁走*3などがある。 |
衣装名 | うわ言 | |
呓语症(簡体中文) | ||
キャラクター | 泣き虫 | |
登場 | S18・真髄3 | |
テキスト | うわ言の内容はあの灰を被った夢と、鍵のかかった過去。 | |
3Dモデル | ||
補足 | うわ言は高熱などで正気でない人が無意識に口走る言葉のことを指す。 本来は病名に関係する言葉ではないが、中国版では「呓语症(呓语=うわ言+症)」というように病名のような形式の衣装名になっている。 |
衣装名 | スポットライト効果 | |
キャラクター | 踊り子 | |
登場 | S18・真髄3 | |
テキスト | もう見せかけの華やかさに固執する必要はない。 | |
3Dモデル | ||
補足 | スポットライト効果は人間が実際よりも注目されていると思い込む現象を指す心理学用語。 自分は「自分の世界の中心」だが「他人の世界の中心」ではないことを忘れてしまう傾向のこと。 |
衣装名 | 観念奔逸 | |
キャラクター | 彫刻師 | |
登場 | S18・真髄3 | |
テキスト | 言葉が思想の膨張に追いつかなくなった時、 黙って創作することが何よりの表現となった。 | |
3Dモデル | ||
補足 | 観念奔逸は躁病など思考速度が異常に早まり、アイデアが次々と思い浮かぶが、落ち着いてものを考えられず思考のまとまりを欠いている状態を指す精神学用語。 |
衣装名 | 作話 | |
虚构症(簡体中文) | ||
キャラクター | 調香師 | |
登場 | S18・真髄3 | |
テキスト | 忘れ去った真実は、虚構の偽りで埋めてしまいたい。 | |
3Dモデル | ||
補足 | 作話は認知症などによる記憶障害が起こった際、自分が覚えていない部分の記憶を無意識に補完し、あたかも本当にあったかのように話す症状を指す。 うわ言同様、中国版では「虚构症(虚构=作話+症)」というように病名のような形式の衣装名になっている。 |
衣装名 | 邪念 | |
キャラクター | 小説家 | |
登場 | 2021・再会の時イベント | |
テキスト | パンドラの箱から解放された邪念は、 世に対して失望した後の冷淡と暴力である。 | |
3Dモデル |
衣装名 | パンドラ | |
キャラクター | 「少女」 | |
登場 | ショップ(恒常) | |
テキスト | 無知な人間、滑稽な妄想。 彼は人間性に挑むべきではなかったのだ。 | |
3Dモデル |
参考文献
- Julywoods氏の真髄PVの原画(1、2)
- Liu Yaocen氏の真髄PVの原画
- 「淵」 三面図
- 悪の源・狰・藏 三面図
- 主題はゲーム内告知バナーより
S19・真髄1「虚妄の宴(下)・旧塁が碑に」
背景
エデンの園のような孤島は、記憶の始まりの場所だ。
記憶の中で、彼と幼馴染みの少女は大海と未知に憧れ、島からこっそり出たこともあった。
しかし目新しさや興奮は彼らが守る島の秘密を忘れさせることはなかった。
あの事故を除いて。
それによって島の秘密が外部に知られなければ、今も記憶のままだっただろう……
彼が再び島に戻った時、「女神の恩寵」は既に略奪者によって奪われており、昔日の美しい故郷に残されたのは壊れて荒れ果てた光景だった。
碧の海と青い空は永遠に昨日のものとなり、まるであの大火の夜に強引に連れて行かれた彼女の泣き声のように、紅色の波が慟哭のように岩石に打ち付ける。
全てが彼のせいで終わってしまったのなら、全ては再び彼によって始まるべきだ。
虚妄の宴、新たな記憶の出発点。
(原文)
テーマ
再会の時アップデートに際して販売された真髄。
テーマやデザイン等はS18・真髄3とほとんど同じ。
- オルフェウス
- セイレーン
- その他
※空のマークはセイレーンの薬のマークに酷似しているが、逆巻きになっている。
衣装
- 真髄販売期間:2021年12月2日~2022年2月17日
衣装名 | 空 | |
Hollow(英語)、空(繁體中文) | ||
キャラクター | 小説家 | |
登場 | S19・真髄1 | |
テキスト | おとぎ話のように純白な魂は弱き優しさであり、 闇夜が訪れる前に倒されてしまう。 | |
3Dモデル | ||
展示画面 | loading... | |
告知文 | 目の前にすると跪いてしまうほどの神聖な空気を纏う小説家。 その白き正義と相反する、黒き謎に包まれた占い師と曲芸師。 ―― 目に映るものが真実なのだろうか? (補足:UR・SSR3人まとめての告知) | |
補足 | 衣装名である空は他衣装の由来から、おそらく天ではなく中国語での「虚無」のような意味合いと思われる。 |
【デザイン過程】
- ストーリー
小説家、「少女」、「悪夢」はメインストーリーにおける重要人物である。
そのため、3つの金衣装とそれに対応する宝箱の背景が互いに関係し呼応し合い、完成したストーリーを作ることを望んだ。
何度も議論した後、私たちは最終的に「罪悪の饕餮の宴」という主題で物語全体を繋ぐことにした。
この宴会は最初からあらゆる点が奇異に見える。
食べ物、酒、薬剤、香り、シダ植物、宴会の規則…ゲストがどの影響を受けるのかは分からない。
しかし宴会に参加すればするほど、内心の醜さが晒され、欲望は無限に拡大されていく。
意識の深層に隠された人間性の悪が徹底的に刺激されるまで。
- プロット
小説家のUR衣装「空」は物語の出発点だ。
あの頃の島は、鳥が囀り花が咲き、常春のような気候で、素朴な雰囲気で、皆で島の秘密を守っていたーー独特の効果を持つシダ植物を。
少年と幼馴染の友は「エデンの島」でのんびりと育ち、外の世界に対しての好奇心に満ちていた。
しかし年若い彼は、あまりにも純白な魂は長い夜を耐えることができないことを理解していなかった。
彼は彼の方法で、島も彼の愛する全ても守ることができると思っていた。
衣装のデザインでは、このUR衣装が3つの衣装の中で最も純粋かつ脆弱で、悲劇的な色を持っていることを望んだ。
- 美術
この衣装の全体的な雰囲気はシダ植物の影響を受けており、内心の邪念と欲望が無限に拡大されている。
衣装のデザインは贅沢三昧な特徴と豪華絢爛なヴィクトリア朝の服装を組み合わせており、獣性と欲望を具象化し、病的な唯美感がある。
第一版のスケッチの案は服装にレトロ感がある。
しかし全体の気質はあまりにもファンタジーであり、配色と材質の最適化では現実の貴族のような方向に近づける必要があった。
そのため重要なデザイン点として、侵蝕されていくイメージを体現した氷の概念のレイヤーを追加した。
私たちは2番目のスケッチを基礎にいくつかの改善することでスタイルをさらにレトロにし、造型と装飾の配色の最適化を行った。
最後に細部を洗練して豪華にした後、小説家-空のデザインが完成した。
そして下の服と配色を最適化することで冷たいイメージを増し、ファンタジー感を弱めて鹿の角を王冠に変え、いくつかの特殊エフェクトを加えた。
- 原画の細部展示
小説家-空は頭に精巧な王冠を戴き、顔の化粧は脆弱で壊れやすそうな美しさを帯びている。
霜と割れ目が顔に広がっており、これは彼が異化に侵されていることを象徴している。
白と金色の貴族の服は精緻かつ華美で、水色の宝石の衣装は人々に冷たく厳かなイメージを感じさせる。
小説家-空は精緻な刺繍が華美な白と金のマントを纏っている。
真っ白な配色は彼の脆弱な善良さを象徴し、かつての美しさは深淵の侵蝕の中で揺れ動き今にも崩壊しそうだ。
- 展示画面
小説家-空は両手で胸を抱き、巨大なガラスの薬剤瓶の中に立つ。
瓶の中の液体が流れだし、冷たい水面の光の中から氷に封じられた国王が徐々に覚醒する。
彼はガラスの薬剤瓶から歩き出できた。
透明な容器の壁は脆弱な薄氷のように突然砕け、周囲へ濃い色のシダ植物が思いのままに茂り出した。
微かに揺れる蔓は神秘的な呼びかけをしているようだ。
小説家-空はシダ植物に覆われた地面から精緻な薬剤瓶を拾い上げた。
彼は瓶の中の液体を見つめ、すぐにそれを蔓へと注いだ。
蔓は氷のような青い光の中で、徐々に消えていった。
(原文)
衣装名 | 狡 | |
Cunning(英語)、狡(繁體中文) | ||
キャラクター | 曲芸師 | |
登場 | S19・真髄1 | |
テキスト | この世界には英雄が足りないと、彼は思った。 だが手段を選ばない復讐は、所詮ただの自己満足の正義だ。 | |
3Dモデル | ||
展示画面 | loading... | |
補足 | 狡は中国の「山海経」を由来とする、犬のように見えるが豹の伝説上の獣。 衣装名は若い犬・ずるい・狡猾という意味を持つ漢字。 |
【デザイン過程】
- プロット
「狡」のイメージは狐であり、狡猾さと機敏さを象徴している。
彼は剣を持った騎士であり、知らないうちにゲームをしていた。
彼は自身を、正義の光であり何をしても正しいと自負している。
かつて起こった全てに正義を尽くすことを誓ったが、彼は鏡の中の自身の既に血に飢えた顔が見えなかった。
- 美術
曲芸師-狡は自身が騎士であると自負しており、己こそが正義の光だと思っている。
何をしても正しく、彼は自身の仇をどのような手段を使っても捕まえようと誓っている。
衣装は「狐」のイメージのデザインで、黒を主色に人物の狡猾さと機敏さを反映した。
第一版の案は全体的に明るい色に偏っており、要望である黒の色調とは一致していないように感じる。
したがって、このスケッチの色調を調整する必要がある。
案2に基づいて、全体的な色をより統一するために仮面も黒色に調整された。
最後に仮面と装飾に特殊効果を追加することで高級感を高め、最終稿が完成した。
- 原画の細部展示
曲芸師-狡は精緻な狐面を被り、鮮やかな赤の紋様が顔に広がっている。
彼は手慣れたように短刀を投げ、顔には余裕のある微笑みを浮かべている。
彼は精緻で複雑な礼服を身に着けている。
真っ直ぐで悠然とした立ち振る舞いで、自身が全てを睥睨する正義の光と自惚れている。
曲芸師-狡の腰の短刀は危険な寒気を感じさせる。
凶悪な危険すらもゲームに変えるーーこれは彼の特技だ。
- 展示画面
曲芸師-狡の手にいくつかの鋭いナイフが現れ、彼は手慣れた様子でこれらの危険な道具を巧みに投げた。
気楽で余裕のある姿はまるで軽い遊びでもしてるかのようだ。
滾る炎が曲芸師-狡の身体でごうごうと燃え盛り、彼は地面に縮こまって苦痛にもがいている。
凶悪な顔をしたピエロが背後にうっすらと浮かび上がり、目には危険な紅い光が煌めいた。
迷える人を赤い記憶に戻すのはわめき声のようだ。
(原文)
衣装名 | 鴆 | |
Poisonfeather(英語)、鴆(繁體中文) | ||
キャラクター | 占い師 | |
登場 | S19・真髄1 | |
テキスト | 徹底的な解剖に耐えられる動機はない。 無害に見える羽毛でも、鴆の致命的な毒を持っている可能性がある。 | |
3Dモデル | ||
展示画面 | loading... | |
補足 | 鴆(チン)は全身に毒を持ち、黒い身体と赤い目を持った中国の伝説上の鳥。 「漢書」などの幾つかの歴史書では羽毛を漬けた酒で毒殺したという記録があり、そこから漢字も毒物を意味するようになった。 架空の動物だと思われていたが、1992年にニューギニア島で羽に毒を持つピトフーイという鳥が発見されたことから実在していたのではないかという説も出ている。 衣装のモチーフであるカンムリモリモズはピトフーイの一種である。 |
【デザイン過程】
- プロット
「鴆」のイメージはカンムリモリモズだ。
一見小さくて可愛らしいが、実は猛毒を持っている。
虚妄の宴によって彼は本来の純粋さを失ってしまった。
未来を探求して運命をコントロールしたいという願望は、たとえ慎重で無害に振舞おうとも他人と自身に害を及ぼす結果を避けられない。
- 美術
今回の衣装の全イメージは権力の追求と上流階級に認められたいという渇望だ。
衣装のデザインでは贅沢三昧な特徴と華麗なヴィクトリア朝の服を結合している。
第一版のスケッチは衣装の要求と符合しているスタイルだが、全体的な色調は違う。
配色と材質を最適化して贅沢で豪華に近付け、デザインの中心にレイヤーを増やす必要がある。
占い師のフードの輪郭を認識されず、フードか似た傾向の構造を維持する必要がある。
そこで2番目のスケッチを基礎にいくつかの改善を行った。
スタイルをより豪華に、仮面のスタイルを改修し、鳥は貴族の梟に置き換えた。
最後に細部を洗練して充実させた後、占い師-鴆のデザインが完成した。
後に服は最適化された。
仮面に物語性が追加され、いくつかの羽毛と黒い腐蝕物質は彼が欲望に侵蝕されたことを示している。
- 原画の細部展示
白金色の仮面は優雅で豪華だ。
目の位置は黒い羽根が重なり、空洞の双眸からは腐蝕物質が流れ落ちている。
権力への渇望が彼の本来の純粋な魂を常に変異させている。
黒と金が織りなす服は一種の控えめな華麗さを表している。
これは彼の運命をコントロールしたいという彼の渇望の象徴だ。
腰には精緻な短刀がつけられており、刃は鞘の中に鋭さを隠している。
- 展示画面
占い師-鴆は思いのままに手中の金貨を放り出した。
梟は翼を広げ飛んで、正確に金貨を咥えてすぐに主人の腕の上に降り立った。
占い師-鴆はまるで宥め褒めるかのように、梟の頭をそっと優しく叩いた。
新しい光を放つ金貨が突然現れ、占い師-鴆は狂ったように全力で捕まえようとした。
何度か追いかけた後、彼はついに金貨を手にした。
望みを叶えた喜悦に浸って抜け出すことができないようだ。
(原文)
衣装名 | 戦争後遺症 | |
キャラクター | 傭兵 | |
登場 | S19・真髄1 | |
テキスト | 孤独、恐怖、緊張感、信念の落差は、影のように後をつける。 | |
3Dモデル |
衣装名 | 暗所嗜好 | |
キャラクター | リッパー | |
登場 | S19・真髄1 | |
テキスト | 闇夜を楽しもう。それは昼間よりも安心させてくれる。 | |
3Dモデル | ||
補足 | 暗所嗜好(Nyctophilia)は夜間を好み活動的になる傾向を指す言葉。 |
衣装名 | 水辺の幻影 | |
キャラクター | 夢の魔女 | |
登場 | S19・真髄1 | |
テキスト | それは虚妄の影であり、 主観的な意識の産物でしかないと誰かが言った。 | |
3Dモデル | ||
3Dモデル (信徒) |
衣装名 | ドラマツルギー | |
キャラクター | 血の女王 | |
登場 | S19・真髄1 | |
テキスト | あの夜の楽曲が1回、2回、3回と、何度も頭の中で再生される。 | |
3Dモデル | ||
補足 | ドラマツルギーは人間の行動がその場の環境に合った「役割」を演じているという考えの社会学用語。 シェイクスピアの名言*4「この世界は全て1つの舞台、男も女も皆主役に過ぎない(All the world’s a stage, And all the men and women merely players;)」のように、学校という「舞台」であれば「生徒」もしくは「先生」という役割を演じる、このようなコミュニケーションで社会が成り立っているという考え。 |
衣装名 | 双極性感情障害 | |
キャラクター | 納棺師 | |
登場 | S19・真髄1 | |
テキスト | 彼は生活にいつまでも希望を抱きたかった。 しかし、まるで喜びのスイッチが切られてしまったかのように、 彼が日頃感じているのは果てしない失望ばかりだ。 | |
3Dモデル | ||
補足 | 双極性感情障害とは躁うつ病とも呼ばれ、躁状態*5とうつ状態*6の両極端な症状を繰り返す精神障害。 |
参考文献
- 空・狡・鴆 三面図
- 星星翔氏のポスター原画
- 任军氏の真髄PV原画
- 主題はゲーム内告知バナーより
その他
衣装
携帯品名 | 果てしない森林 | |
キャラクター | 泣き虫 | |
登場 | S18・ランク秘宝 | |
テキスト | 彼はずっと走り続けたが、この森からいつまでも逃れられない。 | |
エフェクト | 魂の形が黄金比(画家)のエフェクトに似たデザインになる・ スキルエフェクトが青くなる・風船モーションが引きずりになる |
衣装名 | 『カルメン』 | |
キャラクター | 祭司 | |
登場 | S18・推理の怪 | |
テキスト | 『カルメン』の音楽が鳴り始めた時、 彼女の舞い姿は氷面に炎のような激情を綻ばす。 | |
3Dモデル | ||
展示画面 | loading... | |
携帯品名 | フィギュアスケートの像 | |
キャラクター | 祭司 | |
登場 | S18・推理の怪 | |
テキスト | とあるフィギュアスケート選手の軽やかな姿を記録した形。 | |
告知文 | 駆り立てられるような音楽の中で舞う彼女は、まるで氷上に咲く炎のよう。 | |
赤と黒を基調とした衣装に、スケート靴。お背中のデザインもとってもキュート! 全身に散りばめられたスパンコールがキラキラして見惚れちゃうの…! |
携帯品名 | 匣の中の風雲 | |
キャラクター | 曲芸師 | |
登場 | S18・ランク秘宝 | |
テキスト | 晴れの日も雨の日も、ショーさえあれば良い一日だ。 | |
エフェクト | 爆弾の効果エフェクトが天気を表現したものになる(左から冷却・粘土・燃焼) |
携帯品名 | 地層の石卵 | |
キャラクター | 探鉱者 | |
登場 | S18・ランク秘宝 | |
テキスト | 地層の深部から掘り出された熱い石卵。 近寄りがたい灼熱の気配を放っている。 | |
エフェクト | 磁石のエフェクトが地割れになり、N極が赤色・S極が黄色を帯びる |
携帯品名 | 生け花の酒瓶 | |
キャラクター | バーメイド | |
登場 | S18・ランク秘宝 | |
テキスト | 誰が作った生け花なんだ? デミじゃないのは確かだ。 |
携帯品名 | 草編みバッタ | |
キャラクター | 野人 | |
登場 | S18・ランク秘宝 | |
テキスト | 野性の相棒が食べなかったものを使って 暇な時間に作った小さなおもちゃ。 |
携帯品名 | 印を持つ鱗 | |
キャラクター | 夢の魔女 | |
登場 | S18・ランク秘宝 | |
テキスト | 大昔の地層から発掘された巨大な鱗。 その印が刻まれた頃、人類には言葉が生まれていなかったかずだ。 |
携帯品名 | シルクの手袋 | |
キャラクター | 写真家 | |
登場 | S18・ランク秘宝 | |
テキスト | 主な用途は指の保護ではなく、決闘前に相手の顔に投げつけること。 |
参考文献
コメント
- 参考文献内の悪の源三面図、リンク先が蝋人形師UR三面図になっていましたので、差し替えました。 -- 2022-01-11 (火) 00:31:20
- ありがとうございます! -- 管理人? 2022-01-11 (火) 20:55:01