悪名高い荘園

Last-modified: 2024-10-03 (木) 20:34:06

悪名高い荘園

第一幕「新たな主人」

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  • 01:依頼書
    ある日、貧しい生活を送っていた私立探偵オルフェウスのもとに、謎の依頼書が届いた。
    手紙と共に、指の関節の半分はある厚みの依頼料も届いていた。
    オルフェウスがこの量の紙幣を手にしたのは数か月ぶりだった。
    あの医師が「奇妙な解離性障害」と称した病にかかって以来、オルフェウスはここまで豊富な報酬を受け取ることはなくなっていた。
    あの忌まわしい記憶喪失によって、彼は今の状態に落ちこぼれてしまったのだ。
    かつて彼は名の知れた小説家であり、誰もが羨む裕福な生活をしていた。
    しかし今はもうまともな作品は書けず、やむを得ず探偵事務所を開くことにした。
    過去の生活はまるで彼ではない誰かの人生のように感じられたが、それは気が狂った者の幻想というわけでもない。
    この予想外の依頼書もそれを証明している。

    依頼書の差出人はジェームズ・ライヘンバッハ*1
    オルフェウスの読者だったらしく、すでに筆を執っていない今でも、オルフェウスが創作時のような優秀な犯罪推理力を探偵としても発揮すると、彼は忠実な信者のように信じていた。
    ライヘンバッハ夫婦には、ずっと胸につかえがあった。
    特に彼の妻は不気味で恐ろしい絶望的なあの一件によって重病を患い、自ら訪問するはずだったライヘンバッハ氏は、妻の面倒を見るために手紙を通してオルフェウスに助けを求めざるを得なかった。
    彼の娘は行方不明になった。
    金銭目的の強盗や、計画的な誘拐だったら話は簡単だったのだが、奇妙なことに娘の失踪は全く予兆がなく、更にはあの「悪名高い荘園」に関わるものだった。

    かなり昔に荒れ果てた荘園には十年間誰も近寄っておらず、ライヘンバッハさんの娘の捜索を行っていた警察ですら、得体の知れない何かに阻まれてしまった。
    エウリュディケ荘園。オルフェウスはその名前に聞き覚えがあった。
    10年前、そこは大火事に遭った。
    火は消えたが、炎がもたらした黒煙は、この荘園を口にするのも憚れる呪われた禁忌として人々に認識させた。
    オルフェウスが手紙を読み終わった後、その視線は手紙の内容に長く留まることはなく、逆に封筒にある署名に気を引かれた。
    そこには彼が表向きによく使うペンネーム「オルフェウス」ではなく、オルフェウス自身以外ほとんど知らない、彼自身ですら忘れかけていた偽名が記されていた。
    旧ストーリー

    旧ストーリー

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    私の名前はオルフェウス。
    昔は小説家だった。
    だが、数年前、記憶障害になって、小説が書けなくなった。
    そうして気づけば、閑古鳥が鳴きやまない、私立探偵になっていた。
    まあ、それもあの奇妙な手紙が届くまでのことだったのだが……。
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    ある日、私のもとに届いたその手紙には、悪名高い荘園の調査と、失踪した娘の捜索依頼…
    私の目を引いたのは、同封された巨額の小切手だけではなかった。
    宛名の欄に「オルフェウス」ではなく、この名前が書かれていたのだーー
    悪名高い荘園5.jpg 悪名高い荘園6.jpg
    ……このペンネームがわたしのものだと知っている人間は、誰もいないはずだ。

    親愛なる(プレイヤー名)様
    突然このような形でご連絡を差し上げることをお許しください。
    私のことはご存知ないかと思いますが、私は今でも貴方様の忠実なファンです。
    貴方様の著書はすべて読ませていただきました。
    常軌を逸した数々のお話に心を打たれました。
    貴方様を襲った不幸は残念ですが、探偵になられた貴方様の犯罪推理力は
    他の誰でも及ばないでしょう。
    この手紙を書いたのも、探偵としての貴方様のお力が必要だと判断したからです。


    本来ならば直接お伺いするのが常識ですが、家内が重病を抱えており、
    手紙でご依頼させて頂くことをお許しください。
    依頼の内容は、妻の病の原因でもある三日前の娘の失踪。
    ただの誘拐事件なら貴方様に依頼する必要はなかったのですが、
    娘は行き先のおばの家から突然失踪した当日、数十キロ離れた場所で目撃されたのです。
    不可解すぎて悪ふざけかと思いましたが、どうしても気になるのが、目撃された場所が例の「荘園」でした。
    近くの林から娘が当時来ていた服の切れ端も発見されています。
    あそこは悪い噂ばかりで、現地の警察の反応からしても不安で仕方ありません。
    家内はあの人たちも共犯だと言い出す始末で、このショックを受け止めきれず寝たきり状態です。
    娘が彼女の生きる唯一の希望です。
    彼女にはもう時間がありません。
    ですので、貴方様の力で、私たち夫婦の天使を救っていただけませんでしょうか。
    そのためならどんな代償でも支払います。
    娘が戻ってくるのであれば、どんな代償でも支払います。
    娘が戻ってくるのであれば、私の全財産を捧げても構いません。
    もし(神よ)…もし既に事件に巻き込まれてしまっていたとしても、
    一体誰がこんなことをしたのか徹底的に調べ上げてほしいのです。
    もし貴方様が私の願いを引き受けてくれるのであれば、なるべく早く手紙か電報でお返事をください。
    手紙と一緒に娘の写真と服の切れ端を同封します。
    小切手はほんの気持ちですので、宿泊や交通費にお使いください。


    娘.png
    ※現在では顔の輪郭しかわからない写真になっている


  • 02:調査に向かう
    豊富な報酬のために、オルフェウスは最終的に依頼を受けることにした。
    彼からすれば、荘園に対する人々の非難は恐怖の投影でしかなく、荘園にまつわる噂も見掛け倒しだったり、大昔の古い話ばかりだった。
    夜、オルフェウスは彼の古いT型フォードに乗ってエウリュディケ荘園へ向かった。
    嵐の中で険しい山道を通り、深い森を抜け、ライトをつけてもよく見えない真っ暗な道の果てにたどり着く間、オルフェウスはじきに自身が忘れた過去と再会するとは思ってもみなかった。

    オルフェウスが車で荘園に到着した時、広大な荘園は雨の影に覆われていた。
    そのボロボロな全貌を見ることができたのは、雷が光る瞬間だけだった。
    雨水が荘園の欠けた窓ガラスを打ち付け、耳障りな音を発している。
    照明などはとうに機能しておらず、オルフェウスは慎重に探りながらようやく荘園の本館にたどり着いた。
    この長年廃棄された館の湿った空気の中で、強烈な腐敗臭が鼻をついた。
    消えかけのオイルランプですらオルフェウスに「長居は無用だ」と告げているような気がした。
    ランプのオイルが尽きる直前、彼はついにリビングらしき部屋を見つけ、そこから調査を開始することにした。

    他の部屋に比べ、このリビングはあまり荒れていない。
    オルフェウスがピアノの上や壁にある蝋燭に火をつけると、蝋燭の光が部屋全体を灯した。
    彼はこの部屋をじっくり観察した:燃えていない暖炉が1つ、壁際には埃をかぶった全身鏡が1つ、壁には油絵が1枚。
    彼はその絵のことを知っていた ーー『ヴィーナスの鏡』記憶の女神とその9人の娘が記憶の泉を共有している絵だ。
    それ以外に有用な情報はない。
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    車で悪事を半日近くかけて
    私はついに手紙に書かれていた荘園に到着した。
    突然降ってきた大雨を避けるため
    広大な敷地で比較的きれいな母屋にまず足を踏み入れる。
    しかし足を踏み入れた途端
    ほとんどの部屋が歳月のために荒れ果て、著しく損傷している事が分かった。
    雨と冷たい風がここから離れるよう催促する。
    それは私が居室のドアを開けるまで続いた…
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    探偵:10年も放置されていた廃墟の割には、状態が良い状態だな。ここで一晩過ごすことになるかもしれない。
    探偵:しかしここは暗すぎる。ランプの燃料が切れる前に、代わりの明かりを探さなくては。
    探偵:あの奇怪な手紙を読んだ限りでは、ここがこんなにもゾッとするところだとは思わなかった。
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    探偵:心理的な効果でしかないのは分かっているが、明かりのおかげでだいぶ気持ちが落ち着いた。


  • 03:紙飛行機
    外では雷が轟いているが、リビングは異常なほど静まりかえっていた。
    まるで自分たちこそがこの部屋の主人だと主張するように、ネズミの鋭い鳴き声が耳につく。
    突然、オルフェウスは頭上で何かが横切り、風を起こした気配を感じたーー紙飛行機?
    オルフェウスが紙飛行機を拾ってみると、それは日記から破られたページで折られたものだった。
    日付が記されており、どうやら数日前の日付のようだ。
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    探偵:(奇妙な鳴き声)
    探偵:…?
    探偵:紙飛行機?ーー普通なら子供が飛ばすものだが。
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    探偵:どうやら日記の1ページのようだ。しかも数日前の。
    探偵:もしかしたら、持ち主は私たちが探している人物と関係があるのかもしれない。
    探偵:もう小説は書けないが、私は他の人よりも文字に込められた想いを容易に読み取ることができる。
    探偵:この能力を生かして、当時の状況を再現してみようと思う。もしかしたら、書き手について分かるかもしれない。
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    ここに来て6日目、ついに始まった。
    すべてを捨(塗り消した跡)捨ててここに来たことは正解だったと思いたい!
    さっき誰かが追放された。
    大※※馬※鹿※(多くの修正と書き間違い)、彼らはきっと記(塗り消した跡)規則という言葉を知らないんだな。
    私がそう考えた一人目じゃなくてよかった。
    神様に感謝(字が小さい)。
    いや、いや、いや、違う!今何が起こったんだ!?ヤツは何で私の方に向かってきた!?
    私はただ追放された奴を見に行こうとしただけじゃないか。
    ヤツが私の方に向かって来る理由は何なんだ!
    ちょっと待てよ、これじゃあまったく話が違うじゃないか…やつはつみのない人をおそった。私だけじゃない…
    あっ!私たちは騙されたんだ!
    しかし…それでも私は行かないと…遠い…誰も…安全…あん号…救えない…すべては

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第二幕「手掛かり」

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  • 01:暖炉
    日記のページに記録された内容のほか、ページそのものもオルフェウスの注意を引いた:
    ページの切り口は整っており、紙には大量の黒い粉末がついている。
    指で擦るとザラザラした感触で、炭に似ている。そして、部屋には丁度暖炉が1つあった。
    だがオルフェウスは暖炉の中から日記の他の部分を見つけることはできなかった。
    しかし同時に、暖炉の中には灰がたくさん積もっているのが分かった。どうやら頻繁に使われているようだ。
    一方で傍らに置かれている薪は新しく、使われた痕跡はない。暖炉の煙突も塞がれていた。
    明らかに、「この暖炉が使用されている」という痕跡を何者かが意図的に残したのだろう。
    その後、オルフェウスは暖炉の傍で少し違和感のある燭台を見つけた。
    この燭台は固く暖炉に固定されていた。
    意図的に置かれた灰と同じく、実際に使われた道具ではなく、何かを隠すために置かれた背景のように見えた。

    オルフェウスが優れた直感を頼りに燭台を回してみると、奇妙なことが起こった。
    暖炉が回転し、日記がずらりと並んだ本棚が現れたのだ。
    オルフェウスはこれこそが彼の探し物ーー他の日記たちであると分かった。
    しかし、本棚に並ぶ数百冊の日記を見ながら、オルフェウスは自問自答した。
    自分は本当にこの全てに対峙する準備ができているのだろうか?
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    探偵:…日記はここで突然終わっている…しかしこれはいったい何を意味するのだ?「カーニバル」?
    探偵:まるで狂人が書いたような…ライシンバッハ氏のお嬢さんがこの事件に巻き込まれていないといいのだが。
    探偵:とにかく、今は日記の他の部分を探し出して事件の真相を明らかにする方が先だ。この紙の他に手がかりはないだろうか。

    • 字が汚く、書き直しがある
    • 縁はきれいにに断裁されている
    • 大量の黒い粉末が付着している

    探偵:灰、意図的な断裁ーーもしかしたら答えは近くにあるのかもしれない。ここにちょうど暖炉がある。
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    探偵:暖炉の中は灰でいっぱいだ…だがそこには私が期待していた日記はなかった。
    探偵:一方で別の物に興味を引かれたーーこの燃えていない薪だ。
    探偵:煙道も詰まっているーーどうやら家主は本来の使い方を隠すために、他人に使っていると見せかけたかったようだ。
    探偵:きっとここにも何か秘密が隠されているに違いない。
    探偵:屋敷の主人がどんな人だったかは分からないが、少なくともセンスは良かったようだ。
    探偵:【ミューズ-9人の女神】…この絵なら知っている。
    探偵:この燭台…なぜこんなところに置いてあるのだろう。
    探偵:まるで暖炉の一部であるかのように、しっかりと固定されている……
    探偵:謎のカギの一部だろうか。
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    探偵:壁がゆっくり動くと、そこに私の探していたものが現れた。
    探偵:動きが止まった時、私は自問した。心の準備はできているか、と…


  • 02:日記
    この膨大な量の日記からページが欠けた1冊を探すのは重要ではなくなった。
    大事なのは日記の全てだ。
    そこに記載されている内容は全て狂宴ゲームを指し示している。

    これらの日記を読むことで、オルフェウスはこのゲームに関するより多くの情報を集めることができた:
    参加者たちは皆約束された「秘宝」に惹かれ、自主的に足を運んだ。
    参加者は荘園を出てはいけない。ルールを破った参加者は脱落となる。
    日記は異なる人間が記録している。日記を記録することもゲームルールの1つだ。
    これらの情報はオルフェウスの認識に衝撃を与えた。
    彼は「彼らが狂っているのか、私が狂っているのか……」と思わざるを得なかった。
    これらの日記は情報だけでなく、更なる謎をもたらした。
    だがこれだけの人数の日記に記録されている以上、自分の理解を超える何かがこの荘園で確かに起こっていたのだと、オルフェウスも信じなければならなかった。
    オルフェウスは日記の内容を通して、数名の記録者に対してプロファイリングを行った。
    すると、彼らの記録同士には関連性が存在することが分かった。
    つまりこの記録者たちは同じゲームに参加したはずだ。
    その内、エミリー・ダイアーという医師の記述は細部まで詳しく記されていた。
    荘園の主人は豊富な賞金を餌に、彼女をこの場所へ招待した。
    荘園の主人は一度も顔を出していない。
    彼女と共にゲームに参加したのはエマ・ウッズという庭師、フレディ・ライリーという弁護士、そして特殊な身分を持つ「慈善家」だ。
    荘園を訪れる前から彼らの間には互いに知っている、あるいは互いに隠している繋がりがあった。
    恨み、嫉妬、そして良心の僅かな光がこのゲームでぶつかり合ったが、最終的に「ハンター」がもたらす恐怖の影に全て覆われた。
    旧ストーリー

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    壁が動きを停めた時、目に入ってきたのは100冊近くの同じような本だった。
    直観がこれらの本と私の手の中にある紙が同一のものであることを告げる。
    しかしこの単純な事実により、かえって私の理性は大きな衝撃を受けるのだったーー

    探偵:私はきっと寝る前の読み聞かせが嫌いな子だったに違いない。
    探偵:こんなにたくさん…この中から1ページが抜けた日記を探し出すのは大変だな。
    探偵:…だがその必要はもうなくなった。重要なのはこれらすべてだからだ。
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    7.16
    ここに閉じ込められて3日。
    私はだんだんとこの状況を受け入れ始めた。
    私たちは自ら進んでここにやって来たのだから。
    私は他の人と接触してみようと決めた。
    しかし1人しか私と話をしてくれる人はいなかったーーそれは一番最初に荘園にやって来た人だった。
    彼女は私の知らないことをいくつか知っていた。
    でも有益な情報は多くはなかった。
    大体が、「みんな『秘宝』に釣られてやって来たのよ。
    でも自分が知らされた『秘宝』が何かは絶対に言ってくれない」といった話だった。
    そして彼女もあの奇妙な「規則」が何を意味するのかは知らないようだった。
    しかし、彼女が話題にしたカップルはどうも一緒に来たのではないようだ。
    私も彼らには注意しておくべきかもしれない。
    7.17
    今日の午前中は蒸し暑くて窒息しそうだった。
    だけどお昼を過ぎると予想外に雷が鳴り始め、大雨になり、今もまだずっと降り続いている。
    他の場所を探索しようと考えていたがこれでは行けない。
    荘園から出られないだけじゃなくて、今はこの屋敷から出ることも大変だ。
    だが午後に2階の窓から外を眺めていると、外に出て行く人が見えた。
    雨がっぱを着た後ろ姿だったから、誰かは分からなかった。
    あまり色々考えたくない。
    あと3日。私は無事に最後の1日を迎えて、私の欲しいものが手
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    7.18
    大雨は一晩続いた。
    明け方になってようやく上がり、めずらしく虹が見えた。
    でも愉快な気持ちは長くは続かなかった。
    1枚のメッセージによって私たちは朝食前に食堂へ集められた。
    そして不愉快な方法で、ある人の「追放」が知らされた。
    追放されたのはまさにカップルの男性の方だった。
    追放の理由は「規則違反」とだけ簡単に記載されていた(昨日の午後外出した人と何か関係があるのかもしれない)。
    女性の方は泣き崩れていた。
    こんな状況だから絶望感もさらに増すのだろう。
    他の人たちもその空気に影響されて、みんないっそう沈黙していた。
    でもこんな沈黙の中で、ほくそ笑んでいる人がいるのだろう。
    7.19
    「カーニバル」前の最後の1日だ。
    ほとんど誰も進んでしゃべらなくなった。眼光も針のように鋭い。
    こんな空気は吐き気がする。だけどどんなに辛くても、これまでの日々と比べたら気楽だ。
    最後のメッセージは夕食後だった。
    私の机の上に現れたのは:「深夜、鐘の音が鳴り響いたら、あの廃墟に集合だ。日記を忘れるな」
    どれだけ狂気に満ちて、偏屈な人だったら、ここまで執着できるんだろうか。
    こうすることに何の意味があるんだろうか。
    私は決して危険を犯したくないが、最後の最後であきらめたくはない。
    これで

    • 参加者は志願してやってきた
    • 全員が「秘宝」の虜となっている
    • 参加者は荘園から離れることができない
    • ルール違反すると「追放」される
    • 日記には特別な意味がある

    探偵:こんな奇怪な事件、見たことがないぞ…
    探偵:筆跡も言葉遣いもバラバラ…つまり、彼らが正気を失ってしまったか、
    私には理解できないことが起こったということだ。
    探偵:ふむ、読めば読むほど疑問が湧いてくるな…情報をもっと集めるためには、いつもの方法を使う必要がありそうだな。
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    探偵:日記の作者のプロファイルもほぼできあがった。
    探偵:人物プロファイルから精密な実演推理を行うことが可能だ。
    探偵:推理スタントだけでは更なる詳細は再現できない。もっと具体的にキャラを作るのが必要だ。
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    探偵:内容が互いに関連している日記が何篇かある。どうやら同じゲームについて書かれているようだ。
    探偵:筆跡と内容から考えると、このゲームについて書いたのは医師のようだ。
    探偵:この医師の記述は詳細で明確だ。きっと良い手掛かりになるだろう。
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    探偵:日記の作者は医師ーエミリー・ダイアー。
    探偵:医師エミリー・ダイアー、彼女はなぜこの荒唐無稽な「ゲーム」に参加したのか…
    探偵:しかしこの「ゲーム」における「ハンター」が演じた役割とはいったい…捜査の手掛かりになりそうだが。
    探偵:一度…ハンターの立場になって考える必要があるかもしれない。


  • 03:ハンター
    日記の記録からは、あの「ハンター」の身分が何なのか判断することはできなかった。
    彼は文字の間からプロファイリングを行って推理することしかできず、日記のハンター視点になって考えることにした。
    今回ハンターである「彼」が追うべき相手は、あのエミリーダイアー医師と同じゲームに参加したフレディ・ライリー弁護士だ。
    このゲームはひどい火事に遭って廃棄された「軍需工場」で行われることになった。
    フレディはハンターの追撃を躱しながら暗号機を解読し、パスワードを獲得することで軍需工場のゲートを開いて脱出することができる。
    最初のうちは上手く隠れていたが、最後の暗号機を解読している時に操作を誤り、暗号機がショートした。
    大きな電光と耳障りな電流の音が彼の位置をハンターに知らせ、ハンターはその音を頼りに彼を発見した。

    ハンターはフレディ・ライリーを倒し、有刺鉄線だらけの椅子に拘束した。
    有刺鉄線によってフレディは身動きが取れず、その刺はまるでいつでも彼を呑み込む牙のようにも見えたーー
    そして、彼は死が歩み寄る音を耳にした。
    ハンターに対するプロファイリングを通して、ゲームルールとやらはゲーム秩序を守るという名目で派遣されたハンターには適用されないことが分かった。
    ハンターは最初から、彼らが何をしていても誰彼構わず全ての者たちを妨害していた。
    そして、それを阻止する者はいなかった。
    ハンターが強すぎたから?それとも……全員がそれを黙認していたからか?

    それぞれの「秘宝」のために訪れた人々は、利益によって互いに敵対することもあったが、ハンターの存在によって一度敵意を置いて手を組まなければならないこともあった。
    皮肉なことに、それがゲームを滞りなく続行させた要因の1つだったようだ。
    しかしそんなルールの下にあるゲームに一体何の存在意義があったのだろう?
    主催者はこのゲームを通して運命を操る快感でも楽しんでいたのか?
    それとも、恐怖によって暴かれる醜悪な人間性や必死に足掻く姿を見るのが好きなのか?
    旧ストーリー

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    探偵:ハンターにルールは適用されていなかったらしい。
    探偵:それどころか相手の脱出を阻止していた。相手が何をしていても。
    探偵:誰もそれを阻止しないのは、彼が強すぎるから?それとも…皆このことを黙認していた?
    探偵:彼はこの過程を楽しんでいるのだろうか?もしくは、それこそが「ゲーム」の目的?
    探偵:だが彼の出現によって元々互いに敵対していた者が協力し合っていたのだとしたら…まさに皮肉だな。
    探偵:より当時の状況を知る必要がありそうだ。
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    探偵:ハンターの情報こそがカギだ。ヤツらが次に何をするかを知る必要があるーー方法、ルール、性格、特徴…すべてが重要だ。


  • 04:傷痕
    ハンターについてより深く知るために、オルフェウスはハンターの犯行手口、ルール、性格、特質から、更なる情報のプロファイリングを試みた。
    その内、ハンターの犯行手口の細部がオルフェウスの注意を引いたーー
    有刺鉄線。拘束に極めて有効な道具だーー
    鉄線は人を拘束でき、他の者たちが拘束した人物に触れるのも防ぐことができる。
    無理やり触ろうとすれば痛みで声が出てしまい、自分の位置もばらしてしまう。
    刺はかなり鋭いため、ハンターは自分の手が傷つかないよう、鉄の手袋を着けているはずだとオルフェウスは推理した。

    「刺の刺し傷……」
    オルフェウスは思わず自分の左手に目を向けたーーそこにはぞっとする傷跡がある。
    それはまるで有刺鉄線に作られた傷のようではないか。
    一瞬、恐ろしい記憶がオルフェウスの脳裏に湧き出てきた。
    歪んだ顔、絶望的な叫び声、そして息が詰まりそうな恐怖。
    彼は立っていられなくなり、転びそうになった。
    幸い傍にあった全身鏡に手をついてバランスを保ったが、その鏡に目を向けた時、鏡の向こうにいた自分は、まるでハンターのように歪んだ顔をしていた。
    彼は怒りが湧き上がり、その馴染み深くも見覚えのない鏡像を砕こうとした。
    そんな時、埃をかぶった割れた鏡に、彼がよく知る字体で「Trust yourself」と書かれていることに気付いた。
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    探偵:(考え:イバラ、イバラ…)
    探偵:…イバラとは、他人に触れられたくないものを封鎖する時、
    もしくは相手の動きを封じるために使うものだ。
    探偵:だが無理やり試そうとしても、痛みで声を上げてしまえば、
    自分の位置を知らせてしまうことになるだろう。
    探偵:単純だが、とても有効だ。
    探偵:おそらくハンターは自分自身を傷つけないよう、鉄のグローブをはめていたに違いない…
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    探偵:
    探偵:!!!
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第三幕「記憶」

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  • 01:過去
    オルフェウスが鏡に書かれた文字をじっと見つめると、今まで体験したことがないほどの倦怠感が彼を襲った。
    忘れていた記憶の欠片がついに呼び起され、何年も前の過去が今この時と繋がった。
    エウリュディケ荘園の火事、それが彼の全てを奪ったのだ。
    10年前、オルフェウスは火災現場で発見された。
    運よく生き残ったものの、運命は彼に趣味の悪いいたずらをしていったーー
    怪我は大したことなかったが、目が覚めたオルフェウスは過去の記憶を完全に失っていた。

    他人の口から、自分が多少名を馳せた推理小説家であることを知った。
    彼は自分の本を読んでみたが、自分が綴ったはずの文字がまるで別人の手によるもののように思えた。

    その後、オルフェウスは最後の貯蓄をはたいて探偵事務所を開いた。
    しかし、社会は無能な弱者を受け入れない。
    創作能力を失った彼はすぐに社会に捨てられることになり、探偵としてもまともな事件は舞い込んでこない。
    オルフェウスは焦りと絶望に苛まれ、長年の不眠によって更に苦痛は増した。
    こうして、かつての天才は貧しい飲んだくれとなり、朦朧とする意識の中、アルコールだけが彼の頼りとなった。
    旧ストーリー

    旧ストーリー

    思い出と感情が大量に噴き出す。

    探偵:この傷は…いや…
    探偵:(息切れ)…
    探偵:少し休もう…体力を消耗しすぎた。
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    探偵:(徐々に回想に陥る…)

    《思い出》
    10年ほど前、私は火災現場で意識を失っている状態で発見された。
    ケガはしていなかったが、意識が回復した時、それまでのすべての記憶を失っていた。
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    自分が以前まあまあ有名な推理小説家だったことは他人から教わったが、自分が書いたという文字にまったく見覚えはなかった。
    体調は日に日に良くなったが、記憶は戻らない。
    だがそれ以上記憶を失うことはなかったため、新たな人生を送ることにした。
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    しかし私はすぐさま世間に見捨てられ、探偵事務所を開いたものの、案件が舞い込まない日々。
    私は酒に溺れるようになった。
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  • 02:「彼」
    オルフェウスは「彼」の存在を疑い始めた。
    何度か酒をあおった翌日の朝、泥酔したオルフェウスは前日に自分が何をしたのか全く思い出せなかったが、身体になぜか十数か所も傷ができていたり、傍に普段は決して触らない物が置かれていたことがあったのだ。

    最初は酒のせいだと思っていたが、酒を止めてもそれは収まらず、記憶の空白はむしろ増えていった。
    そんな現状にオルフェウスは困惑した。その後、彼は近所の人々の反応に気付いた。

    オルフェウスがいつも通りに挨拶しようとすると、近所たちは徐々に恐れるような眼差しを向けるようになっていた。
    まるで恐ろしい疫病神でも見たような反応だ。

    ひそひそと自分について噂されたり、言葉を濁されたりし、それらは不気味な答えを示していたーー
    一過性の記憶喪失ではなく、「彼」がーーオルフェウスの中にいる、別の自我が目を覚ましているのだ。
    旧ストーリー

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    そんなある日、落ち目が覚めると自分の体に無数の傷が付いていた。
    時には普段触ったりもしない物が側に現れることもあった。
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    酒に酔って記憶が飛んだのだと思ったが、酒をやめたあともその状態が続いた。
    飛んだ記憶の時間は長くなる一方だ。
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    そしてついに、隣人の様子から私は事の真相を知ることとなったーー
    私の中のもう一つの魂が、目覚めていたのだ。
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    探偵:私はそいつを信じることができない。自分が眠っている時、ヤツが何をしているのかいまだに分からないのだ!
    探偵:それなのに今突然出て来て「自分を信じろ」だと!?もちろん信じているさ。だが信じているのはお前じゃない、私自身だ!
    探偵:最悪な事態を想定する必要がある。もし【ヤツ】がこの事件に関係しているなら…私は私自身の潔白を証明しなければ!
    探偵:だが、1人の体に2つの魂が入っているなんて誰が信じてくれるだろう?迷信が信じられていた時代じゃあるまいし!


第四幕「異常な状態」

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  • 01:予測
    途切れた記憶、近所たちの怖がる眼差し、体の傷跡、左手の恐ろしい切り傷。
    その全てが「彼」と日記で読んだハンターを結び付けさせた。
    そして割れた鏡の文字:「自分を信じろ」は、まるで「彼」からの予言か、あるいは挑発に思えた。
    「自分のことはもちろん信じている!だが、彼のことは信じていない!」
    オルフェウスは怒りを覚えた。自分の意識がない時に何をしたのか全く分からないのだ。
    もし「彼」が本当にゲームに関わっているなら、少なくともオルフェウスは自身の潔白を証明する必要がある。

    しかし、1人の中に2つの魂があるなんて誰が信じるだろうか?
    魔術が存在する時代ではないのだ。黒幕の存在を証明できれば話は違うが…。
    そしてこの黒幕は、あのゲームの中に隠れているはずだ。
    あれらの日記が鍵となるだろう。
    旧ストーリー

    旧ストーリー

    異常な身の上、異常な体、異常な魂
    ーー異常な自分。
    すべてがただの偶然なのだろうか。
    偶然であれば、必ずどこかに矛盾があるはずだ。
    矛盾が自分自身にないのであれば、きっと他人にあるのだろう。
    私は必ず黒幕を捕まえなければならない。

    探偵:黒幕はゲームのサバイバー或いはハンターの中に隠れているはずだ。
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    探偵:黒幕の人格特徴を少しずつ解明していけば、成果が得られるに違いない。
    探偵:それにーー複雑な人格なんて、特別真新しいものでもないだろう?
    探偵:私にとって友達という定義は、他人とは随分懸け離れている。
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    探偵:独り言は狂人の専売特許じゃないはずだ。
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    探偵:…とにかく、自分の力でこの事件のすべてを解明しなければ。
    探偵:この日記こそがカギだ。
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    探偵:真相を推理することは、時として、薄暗いデコボコ道を手探りで探すようなものだ。
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    探偵:真実が明らかになる前、奇怪な「秘蔵品」に触れることになるとは誰も思わなかった。*2
    探偵:この絵、逆さになっているようだ…
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    探偵:絵の裏面に何かあるようだぞ。
    探偵:このマーク…

    • ランク戦解放
      探偵:この再現から推理するゲームはますます「面白く」なるな。
      探偵:ひとりで楽しむのは、もったいない。
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    (時間経過+ドアを調べる)
    探偵:!…なぜ鍵がかかっている!
    探偵:開かない!反対側から塞がれているようだ。いったい誰が!?
    探偵:私以外にも、やはりここに誰かいるんだな!
    探偵:女の子か?それとも真の黒幕か?
    探偵:…座して死を待つことも、怖いからって逃げたりもしない。来るなら来い!
    探偵:どんな小さな手がかりでも、必ず掴んでみせる!

    探偵:だが、1人の体に2つの魂が入っているなんて誰が信じてくれるだろう?迷信が信じられていた時代じゃあるまいし!


旧復帰イベント「失われた記憶」

探偵:…また記憶喪失か…どのくらいの時間が過ぎたのだろう?
探偵:椅子の上に何か増えている気がする。幻覚がひどくなったのだろうか?
探偵:頭の中に何度も浮かんでくるこの女性…記憶の奥底で私を見守ってくれているのだろうか?
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探偵:椅子の上に…紙切れだ。いろんなことが書かれている。記憶を失っている間に誰かが来たのだろうか?
探偵:これは毎日のボーナスだろうか。誰かが私の残留を願っているようだ。(累計ログイン)
探偵:これは?誰かが残したメモか。誰かが残したメモか。使える手掛かりがたくさん残されていそうだ。見てみよう。(最新推論)
探偵:この不思議な誰かのメモに基づいて推理してみよう。驚くべき結論が得られるかもしれない。(推理検証)
探偵:私が離れている間にも記憶の真髄が絶えず湧いてきていたようだ。真新しいものはないか見てみよう。(ショップ新品)

コメント


*1 旧表記ではライシンバッハだったが、これは中国語の「莱『辛』巴赫」をそのまま訳したからだと思われる(本来はシャーロック・ホームズのライヘンバッハの滝に由来する単語なのでライヘンバッハの方が訳としては適している)
*2 ボイスでは「秘蔵品?秘蔵品とはなんだ?」となっている