オーケアノスの航路/序章

Last-modified: 2024-05-02 (木) 10:09:04
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序章・潮の中の噂

潮の中の噂

海に沈んだあの船は多くの噂を生み、それらが時間と共に波に吞まれることはなかった。


  • 1.事務資料室
    事務所資料室.jpg
    事は半月前に届いた1通の依頼書から始まる……
    依頼人であるワーシントン氏は、25年前に起こった海難事故の生還者だった。
    しかし悲劇は留まることを知らず、生還者が相次いで謎の死亡・行方不明を遂げたことを受け、事件にまつわる超自然的な噂は瞬く間に広まり、ワーシントン氏も恐怖を覚えていた。
    そこで、事務所に事の真相を調査してほしいと依頼してきた。

    私とトゥルースは地方資料館に赴き、この事故について調べた。
    「イセムバード号」遠洋客船ーー25年前、海に沈んだ鋼鉄の巨人。
    その最後の航行は海洋学研究が主な目的であり、生還したのはごくわずかな乗客のみ。
    著名海洋生物学者、ブラウンリー教授を筆頭とする生き残った科学者たちは、今までの公的イメージを覆し、かの事故は怪奇的な心霊現象によるものであると断言した。
    そして12年前にブラウンリー教授が失踪した後、その一人娘が続々と声明を発表し、当時父親が論じた海上の噂が全て紛れもない事実であることを出張している。

    「Mr.リーズニング」へ:
     25年前に「イセムバード号」が波に呑まれて以来、私はずっとこの事故のトラウマに囚われていた……そう、私はあの沈没事故の最後の「生き残り」だーーあなたも聞いたことはあるだろう。事故が起きてからの25年間、生還者はほぼ全員事故で亡くなったか、行方不明になっている。
     私は同乗していたもう一人の友人と事故の後も手紙のやり取りをしていたのだが、半年前、彼も消息を絶った。その知らせを聞いて、私はどうしようもなく怖くなった。もしかしたら……私は呪われた「最後の1人」なのかもしれない。
     私はこれが決して偶然ではないと確信している。過去の真相が私を救ってくれることを願い、こうしてあなたに依頼を出させてもらった。1つ伝えておきたいのは……当時船で起こった恐ろしい心霊現象というのは事実だ。だが、私が記憶している内容はブラウンリー教授の供述と少し異なっている。25年前のブラウンリー教授の声明と、より詳細な航行記録を手紙に同封する。
     敬具
                                リチャード・ワーシントン
    ……船旅は穏やかだった。3日目の夜、船が嵐に巻き込まれるまでは。
     当時、船室で当日の研究データを整理していた私は、奇妙な人影が部屋の外を徘徊していることに気づいた。最初は見回りの船室かと思ったのだがーー次の瞬間、私はその場に凍り付いた。廊下は静まり返っている……足音がまったく聞こえないのだ。その後の数日間で、数人の同僚も同じ幽霊を目撃した。
     その後に起こった異常現象ーー設備の故障によって、船は暗く恐ろしい雰囲気に包まれた。私たちは嵐の中で方向を見失い、陸地からーー文明社会から隔たれた空間に囚われた。
     視界は嵐に遮られ、水底は巨大な扉と化していた。不気味で、吐き気を催す光を発し続けるその扉から、黒い影が凄まじい勢いで一斉に放たれていく。あまりの数に海面はマグマのように蠢き、空も闇の帳に覆われたーーその中のいくつかが空虚で気を狂わせるほど耳障りな絶叫を上げた時、その声が邪悪の極みに属するものであり、おぞましい存在であることを私たちはやっと理解した。
     私たちは別の世界に迷い込んだのではないかーー混乱と動悸の中で、私は密かにそう疑った。しかし警戒しなければならないのは理解不能な現象だけではなく、絶望に心を蝕まれた同乗者もだった……
     ……海面の光は、私たちを誘っているように見えた。あるいは、まだ辛うじて理性を保てている乗客を愚弄しているのだろうか。「イセムバード号」沈没の最終日、私は他の数人と甲板に立っていた。船体は波とは異なる巨大な力に動かされ、私はまだうっすらと水底に巨大な影を見た。

    注釈:私の記憶では、船の設備は故障しておらず、船体が沈没した最後まで、ブラウンリー教授の言う「波とは異なる巨大な力」も感じていない。 

    Mr.リーズニング:手紙には他にも「より詳細な航行記録」とやらが同封されていた。依頼人によれば、ブラウンリー教授は乗客をコードネームで自分の手記に記す習慣があったらしい。そしてそのコードネームは、どれも様々な海の伝説に由来する。
    Mr.リーズニング:私はコードネームが付けられた乗客と、記録に記された対応する特徴を1枚のリストにまとめた。

    「シマクジラ」
    「シマクジラ」は大柄な身体の持ち主で、いつも正確な指示を出してくれる。嵐の中の船にとって、彼は最も強固な最終防衛線だった。「シマクジラ」は最後まで船室に籠り、巨大な鋼鉄の棺桶と共に海底に沈んだ。
    「ウミサイ」
    「ウミサイ」は何度も航海を経験しており、数多の海の秘宝をコレクションしている。船に異変が起こらなければ、今回の船旅は「ウミサイ」の最も輝かしい経歴となっていただろう。
    「ウミヘビ」
    研究規則の絶対的な守護者。「ウミヘビ」は決して自分の原則を破らない。しかし残念ながら、その科学的な「推測」はすぐに嵐によって覆され、最後まで貫こうとしていた理性も巨大な恐怖によって打ち砕かれた。
    「セイレーン」
    妖艶な容姿を持ち、美しいものを追い求めている。船のとある業務の「中核」を担っていた。ただ、恐ろしい嵐が訪れてからは、娯楽を楽しむ余裕など誰にもなかった。
    「クラーケン」
    船に沈んだ船上ガイド。「クラーケン」は命よりも高貴なものがあると信じていたが、乗客のほとんどはそれに気づけなかった。
    「プリスター」
    「プリスター」は頼れる存在であり、この船にとって替えの利かない価値がある役回りをその豊富な経験で担っていた。
    「シーユニコーン」
    目についたものをことごとく記録したがり、船の様々な業務に強い好奇心を抱いていた聡明な「シーユニコーン」は、異常気象の最初の犠牲者だ。恐怖に吞まれることはなかったが、心を失った。
    「ロッカス」
    「ロッカス」は軽やかで掴みどころのないものを好んでいた。嵐が訪れた時、「ロッカス」は己が追い求める「形のない物」に近づくために最も危険な場所に行くと言って聞かなかった。
    「渦」
    日記をつける習慣があり、熟練した技術を持っている。何も知らない「渦」は生きる意志を捨て、自分から歪な黒い影が渦巻く深海へと身を投げた。

    Mr.リーズニング:(これが半月前に事務所に送られてきた依頼書の内容で、依頼人リチャード・ワーシントンは当時の生還者の1人だ)
    Mr.リーズニング:(少し興味がある。依頼人はわざと自分の住所を明かしていないようだが、やはり直接会ってみたい)
    Mr.リーズニング:(かなり手間をかけて、私たちはようやく恐怖に苛まれていた依頼人を見つけた。辺鄙で小さなアパートに閉じこもっていた彼は、私たちが来た理由を聞くと問いに答えてくれた)
    Mr.リーズニング:私の判断は間違っていなかった。私とトゥルースが詳細を尋ねてみたところ、ワーシントン氏は有力な情報をもう一つ提供してくれたのだ。それは、ブラウンリー教授の提案で締結された秘密保持契約書だった。

    本契約書は、今回の科学考察における一連のプロジェクトとその成果に対する秘密保持と保護を目的とするものである。
    今回の航行で、署名者はオーケアノス海域の気象、地質学に関する報告、生物サンプルの供述、採集情報、及びその他の派生研究成果に対して守秘義務を持つものとする。
    ……
    署名者は本契約書が言及する研究内容や成果を一切の形式で公開しないことを約束し、研究プロジェクトに関するサンプルや情報を無断で保存または複製してはいけないものとする。
    双方は本契約書に含まれる全ての規定を明確に理解し、同意するものとし、署名を通して同意を表明する。

    Mr.リーズニング:残念ながらワーシントン氏は当時の研究プロジェクトの中心人物ではなく、契約書にも研究成果の具体的な内容については一切書かれていない。少なくとも、ブラウンリー教授は当時の研究での発見を隠蔽しようとしていた。
    Mr.リーズニング:(依頼人以外の生還者は全員行方不明になっているか、すでに死亡している。当時の事件に対する議論も徐々に収束し、今でも執拗に言及しているのはブラウンリー教授の娘くらいだ)
    Mr.リーズニング:(彼女の動向を掴むことができれば、事件の新たな突破口に繋がるかもしれないがーーブラウンリー教授が失踪して以来、彼女の消息はほとんど分かっておらず、あるのは彼女が公開した父親を庇う声明のみ……)
    Mr.リーズニング:(つい先ほど、トゥルースから新い手掛かりを見つけたとの連絡が入った。良い転機になるかもしれない)
    Missトゥルース:「イセムバード号」が出航した港まで行ってみたら、大当たりだったよ。当時の海運会社はもう潰れちゃってたんだけど、そこですごいことを知ったんだ。
    Missトゥルース:一言でまとめるならーー謎の主催者が巨額の資金をはたいて、「イセムバード号」をもう一艘作った、だね。今年の3月13日に出航するんだって。
    Mr.リーズニング:「イセムバード号」を?
    Missトゥルース:そう。これを見て!
    Mr.リーズニング:(トゥルースは持っていた新聞紙から1枚のチラシを抜き取り、こちらに手渡した)
    Mr.リーズニング:(ごく普通の、縦書きのチラシだ。正面には「イセムバード号」の写真が印刷されている。その裏には貴族の青年の写真があり、どうやらイベントのためにスタッフを募集しているらしい)

    作り直された新たな「イセムバード号」が今年度3月13日に再出航を果たし、25年前の研究航路を目指します。乗組員や常客構成をできる限り当時のまま再現した上で、今回は更に特別顧問としてブラウンリーお嬢さんを招待しております。共に未知の霧をかき分け、先駆者が到達した境界に触れ、我らの友人を偲びましょう。
    当時の研究の旅に興味をお持ちのあなた!相応の資質や身分さえあれば、すぐにご応募いただけます。海での生活に不慣れな方もいらっしゃるため、必要な健康データを事前に提供していただく必要があります。
    今回の航行で、あなたが望むものを得られることを心から祈っております。

    Missトゥルース:ほら、ここ……「今回は更に特別顧問としてブラウンリーお嬢さんを招待しております」って書いてあるでしょ。このイベントに参加すれば、調査対象に接触できるはずだよ。
    Missトゥルース:この作り直された研究船っていうのも確かに実在していて、捏造やデマ情報ではないの。
    Missトゥルース:、このチラシの青年主催者がどこの誰なのかは結局分からなかったんだよね……公共の場所で姿を現したことはないみたいだから。
    Mr.リーズニング:今ある情報を見る限り、彼はとてつもない財力と時間をつぎ込んで当時の航海プロジェクトを完璧に再現しようとしているようだな……ただの道楽か?ずいぶん変わったやつに聞こえるが。
    Mr.リーズニング:何はともあれ、彼は宣伝を通してこのプロジェクトに興味を持った人間から参加者を選抜しーー船から人まで、可能な限り当時のものに近づけようとしているのだろう。あの事故を調査したい身としては助かる話だ。
    Missトゥルース:だとしたら……必要なのは船員、ウェイター、それから優秀な研究チームってところかな?
    Missトゥルース:身分を取り替えて、再び呪われた航路に戻る……確かにいろんな目的を持つ人が惹かれそうではあるね。
    Missトゥルース:まあ、そこまでとはいかなくてもーーオカルト好きとか、取材目的の作家はいっぱい集まりそう。
    Mr.リーズニング:恐らくこの主催者も同じことを思って、この文章を「望むものを得られることを心から祈っております」という言葉で締めくくったのだろう。
    Mr.リーズニング:25年前の事件の手掛かりのほとんどは、船の残骸と共に海に沈んでしまった。そして生き残りと共に陸に上がったわずかな情報も、関係者の死や失踪によって絶たれてしまっている。
    Mr.リーズニング:目に見えない手掛かりを拾い上げるためには、この航行に参加しなくてはならない……恐らくこれは、真相に近づける唯一のチャンスだ。
    Missトゥルース:なら、さっそく準備を始めないとね!
    Mr.リーズニング:目下の問題は……過去の兵役はもちろん、今の探偵としての身分をもってしても、あの主催者に選ばれることはないだろう。
    Mr.リーズニング:新しい身分が必要かもしれない……

    地図

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    キャラ紹介

    • 主催者
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      • 1. 25年前の遭難船を作り直した謎の主催者。
      • 2. 貴族らしき青年。今回の航海イベントの責任者で、これまで公の場に姿を現したことはない。
      • 3. 主催者は25年前の航海プロジェクトをこの船で再現しようと、25年前の乗客の身分に近い参加者を選出していた。
      • 4. 熟練した実験技術を持っているようで、船では科学者の役割を担っている。
      • 5. 主催者はクラゲのサンプルの処理にかなり慣れている。
      • 6. 主催者は徐々に疲労感や無気力を見せるようになった。
      • 7. 製図士さんに手を出した犯人。25年前に研究チームが向かった終着点の精確な座標を手に入れようとしていた。

    • 標本士
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      • 1. 標本士さんは今回の航海の船医も兼任している。
      • 2. 標本士さんは超自然的な噂に否定的な態度を取っている。
      • 3. 標本士さんは徐々に愉悦と、この雰囲気を楽しむような素振りを見せた。他のメンバーとは全く異なる反応だ。

    • 製図士【被害者】
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      • 1. 神秘主義者の製図士は、海の超自然伝説に興味を抱いている。
      • 2. 乗船した目的は、自分の父親が体験した異常現象が本当の出来事だったと証明するため。
      • 3. 製図士と標本士は性格も意見も真逆なため、相性がとてつもなく悪い。
      • 4. 製図士は医師を嫌っており、人体に医療器具を使うことが野蛮な冒涜行為だと思っている。
      • 5. 製図士は父親から海図の半分しか受け取っていない。
      • 6. 製図士は船上で異様な興奮、活動量の増加、睡眠障害などの反応を見せている。

    • 操舵手
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      • 1. 大柄な操舵手。上位の役職で、乗組員たちの管理権限を持っている。

    • 接待係
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      • 1. 鮮やかに着飾ったウェイトレス。船での飲食物は全て彼女が手配している。

    • 気象学者
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      • 1. 船上科学者の1人。厳格な印象を人に与える。海の気候関連の研究テーマに注目しているようだ。
      • 2. 航行中に嵐が訪れる可能性を否定し、超自然的な伝説など話題にする価値すらないと考えている。
      • 3. 気象学者は乗船後、25年前と今を混同するようになった。

    • 機関士
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      • 1. 口数が少なく、大柄な体格を持つ。長期的な肉体労働に慣れている。
      • 2. 日常的な見回りと同時に、機関室の点検も担当している。
      • 3. 機関士は機械設計の知識がある程度備わっている。
      • 4. 25年前の海難事故で遭難した友人の死の真相を知るために乗船した。

    • 音声学者
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      • 1. 船上科学者の1人。音波に関する研究テーマに注目しているようだ。

    • 報道記者
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      • 1. 記者として乗船し、海洋生物にも少し興味を持っているらしい。
      • 2. 25年前の心霊事件に強い興味を示している。
      • 3. 唐突に窓の外の海鳥を人影に見間違えた。
      • 4. 記者は徐々に感覚に鈍り、意識障害の症状を見せた。

    • ブラウンリー教授
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      • 1. 25年前の沈没事故から生還した海洋生物学者。
      • 2. 沈没事故が心霊現象によるものだと他の生還者たちと共に断言していた。
      • 3. ブラウンリー教授は12年前に行方不明になった。
      • 4. ブラウンリー教授はその手帳の中で、25年前の乗客に異なるコードネームを付けていた。
      • 5. 研究プロジェクトの秘密保持契約書を締結し、何らかの発見を隠蔽しようとしていたようだ。
      • 6. 研究チームの責任者として、著名コレクターと提携した。

    • 事件の依頼人
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      • 1. 25年前の沈没事故の生還者。沈没船の呪いを恐れて依頼を出した。
      • 2. ブラウンリー教授が公開した超自然体験が、自身の記憶と異なっていると主張している。
      • 3. 当時の研究プロジェクトの中心人物ではない。

    • コレクター
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      • 1. 私と歳が近い、コレクションと自然研究に夢中なコレクター。乗船するまでの偽りの身分として何者かに提供された。
      • 2. バンクス氏は生物学と分類学の知識を豊富に持っている。

    • シェリン教授
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      • 1. 研究チームのもう1人の中心人物。研究プロジェクトの進捗により注目している。
      • 2. シェリン教授は青いクラゲのペンダントを持っていた。自分の一族を記念するものらしい。

コメント

  • マクロシスチスの画像が違うものになってる気がします。 -- 写真家さん推し? 2024-04-29 (月) 02:12:18
    • ありがとうございます、修正しました! -- 管理人? 2024-04-29 (月) 07:24:39
  • 気象学者の台詞(酒を渡す前)に「天候も人も変化するものです。ですが、自身の憶測や欲求に応じて事実 を捻じ曲げる人間と比べれば、空のほうが断然素直ですね。」というものを確認しましたのでお伝えします。 -- 自賠責逃げ切りぽぽち? 2024-04-29 (月) 00:35:33
    • ありがとうございます、追加しました! -- 管理人? 2024-04-29 (月) 07:24:56