クリスマスの誘い
クリスマスの招待
バーメイド
親愛なるバーボンさん、
忙しい一年を終えた今、寂れたクリスマスの夜は感傷的になってしまうものです。
そんな時に、人々に囲まれながらともに酒を飲みたいと思われるのなら、私のクリスマスパーティーが良い選択になるでしょう。
ぜひいらしてください。
デミ:お酒を持参してよかったわ。
ここは良いお酒があるようには見えないもの!
デミ:(招待状を取り出す)
デミ:今日は賑やかになりそうね。
皆私のお酒が美味しいと思ってくれたら、今夜は大儲けできるかしら?
ううん、デミ・バーボン。
今夜はクリスマスよ、皆にパーッと「ドーフリン」をご馳走しないと!
デミ:(楽しそうに酒瓶を空中で振り回した)
- カウボーイとの会話
デミ:どうも、盛装で出席しているのは私たちだけみたいね。
私はお酒を売るためだけれど、あなたは何のためかしら?
カヴィン:何のためでもない。好きな服を着ているだけさ。
デミ:お兄さんはどこから来たの?
カヴィン:大草原だよ。そこは見渡す限り、果てが見えない。
デミ:素敵ね。草原の男なら、お酒は好きでしょう?
カヴィン:それは酒によるな。
デミ:この「ドーフリン」なんていかが? - ガードNo.26との会話
デミ:ねえ、そこのあなた。
まさか、本当にロボットなの?
ボンボン:Bon?
デミ:ロボットを見るのは生まれて初めてよ。
ねえ、そのツルツルの頭を触ってもいいかしら?
ボンボン:BONBONBON,BOOOOBONNN!!!
デミ:あははは、そう怒らないで。まだ触ってないんだから。
ねえ、ロボットはお酒は飲まないはずよね?
ボンボン:BONBOOOOON!
デミ:はいはい、分かったわ。
売り上げマイナス1ね。
デミ:(仕方なさそうに手を振った) - 「心理学者」・患者との会話
デミ:あら、あれはカップルかしら?
エダ:エミール、相手しちゃだめよ。
後できっと彼女が持ってるお酒を勧められるわ。
飲酒はあなたの体に悪いもの!
エミール:分かったエダ、言う通りにする。
エミール:(エミールはデミに目もくれず、振り返ってエダの方へ大人しく歩いていった)
デミ:つまんないの!
カウボーイ
親愛なるアユソさん、
クリスマスは私たちの伝統文化の中で最も重要な祝日です。
この日はどれほど遠くにいても、多忙でも、皆家に帰って集まるものなのです。
あなたが故郷と文化から遠のいていることは存じておりますが、もしよろしければ、ぜひ私のクリスマスパーティーで細やかな温もりを感じていってください。
お待ちしております。
カヴィン:盛装出席なんてふざけたことを。
なぜこんな格好をしなければならないんだ。
カヴィン:(招待状を取り出す)
カヴィン:ここにいる全員が本来あるべき衣服を纏い、生活のありのままの姿を見せている。
自信の表れだな。
- バーメイドとの会話
カヴィン:やあ、どうも。
ここで赤と緑を身に着けているのは俺たちだけみたいだな。
デミ:私はお酒を売るためよ。あなたは?何のために?
カヴィン:今日はこの色を着ると楽しい気分になる。だから着たまでだ!
デミ:はあ?何言ってるのよ。ねえ、それより「ドーフリン」はいかが?
カヴィン:これは君らが好きな酒なのかい?
デミ:これは今大流行している「ドーフリン」よ。
ねえお兄さん、絶対に飲んでみるべきだわ!
カヴィン:ではその酒の質をこの草原の漢に試させてもらおう。 - 空軍との会話
カヴィン:やあ、君は先ほどから真剣に周りを観察しているようだな。
マーサ:ああ、そうだ。
周りの環境を見ながら、サインに注意する癖があってね。
カヴィン:サイン?
マーサ:そうだ。
カヴィン:なあおい、もうちょっと肩の力を抜いたらどうだ!
マーサ:済まない、馬の蹄の音が聞こえた気がしたんだ。
何があったのか調べに行ってくる。 - 機械技師との会話
カヴィン:特別な服装だな。
トレイシー:こんにちは。これは作業服なの。
注文がたくさんありすぎて、ここへ来るのも忘れかけてしまったほどだったから。
幸い、私の人形が思い出させてくれたんだ。
カヴィン:君は何の仕事をしているんだ?
トレイシー:私は機械技師だよ。
カヴィン:具体的に言うと?
トレイシー:普段は部品とかを作ってるよ。時計は分かるよね?
カヴィン:(カウボーイが頷いた)
トレイシー:時計の中にはたくさんの機械パーツがあって、私はそれを作ってるんだ。
カヴィン:大草原の生気が、小さな草花によって構成されているのと同じだな。
トレイシー:(機械技師がお茶目な笑顔を浮かべた)
カヴィン:ありがとう。
今後、草原で馬を走らせる時に君のことを思い出すよ。
- ガードNo.26との会話
カヴィン:このブリキの塊、大草原では見たことがない!
やあ、お前は何者なんだい?
ボンボン:BON BON!
ボンボン:(ボンボンはバルクが準備したプレゼントを掲げた)
カヴィン:これは……トラバサミ?
付近に野獣がいないか心配して、俺たちの安全を守るためなのか?
ボンボン:BOOOONBONBONBON!
カヴィン:お前の正義に感謝する。
ならば俺はお前と一緒に、勇敢に皆を守ろうではないか!
ボンボン:(ボンボンが怒ってその場を離れた) - 「心理学者」・患者との会話
カヴィン:お似合いのカップルだな!
エミール:お似合いのカップル……褒められてる!?
エダ:(エダは頷いて感謝を示した)
カヴィン:君たちはとても自由に見える。素晴らしいぞ。
エダ:自由?
カヴィン:こう、何にも囚われない感じが。
エダ:囚われない?
エダ:(エダが手を上げてエミールを呼んだ)
エダ:行きましょう、彼は何かを暗示しているのかもしれない!
カヴィン:彼女を不快にさせるようなことを言ったのだろうか?
彼女は自由な生活に憧れていないのか?
空軍
親愛なるべハムフィールさん、
今年もまだ勇気を出せていないようでしたら、1人でいるより私のクリスマスパーティーへ足を運ぶのはどうでしょう。
少なくとも、ここは暖かいはずです。
ぜひいらしてください。
マーサ:(少しずれた頭上の帽子を被り直した)
なぜこんな格好をしなければならないんだ。
マーサ:白い雪が降り積もる小屋、太陽が沈み切る前の黄昏、丁度良い大きさのクリスマスツリー、そして入り口に立っているブリキ。
あれは何だ?何かのサインや指令を待っているのか?
マーサ:(招待状を取り出す)
マーサ:皆がまだ外で待っている。早く着きすぎたみたいだ。
クリスマスパーティーとやらはもっと早く始められないのか?
- バーメイドとの会話
マーサ:どうも。少し酔っているようだが、困ったことはあるか?
デミ:酔う?ああ、それはあり得ないわ。
せいぜいほろ酔い程度よ。
マーサ:レディー、助けが必要な時はいつでも喜んで手を貸すよ。
デミ:あははは、ゲップ、ほら、万歳! - カウボーイとの会話
マーサ:どうも、私はべハムフィールだ。
カヴィン:やあ、俺はカヴィンだ。
さっきから気付いていたが、お前はとても凛々しい装いをしているな。
マーサ:ありがとう!これは空軍の制服なんだ。
カヴィン:空軍?まあいいんじゃないか。
地上の愚かな政治家たちの鎖がお前を繋ぎきれないことを祈る。
マーサ:あなたはきっと軍人の意味を分かっていないな。
カヴィン:ほう、まあいいさ。
そんなことより、気持ちよく「ドーフリン」を飲みに行った方がましだ。 - 機械技師との会話
マーサ:どうも、私はべハムフィールだ。
特別な服装に見えるな。
トレイシー:こんにちは。私はトレイシー。
これは私の作業服なの。機械技師をやっているんだ。
マーサ:少年らしい服だ。
私もおてんば娘と呼ばれていたけれど。
トレイシー:ああ、私もそう呼ばれてる。
でも父さんは私がおてんばでも気にしなかったよ。
マーサ:それは幸運だったね。
私の家族はもっと淑女であってほしかったみたいだ。
トレイシー:淑女じゃ地べたに座って機械パーツを研究できないよ。
私の父さんは、機械の天才である私を誇りに思ってくれていたと思う。
マーサ:それは喜ばしい。
あなたが別の何かになりたいと思った時、最も親しい人に認められるのは何よりも勝る幸運だよ。 - ガードNo.26との会話
マーサ:どうも、べハムフィールだ。
ボンボン:Bon?
マーサ:ああ、これがあなたのサインなのかな。 - 「心理学者」・患者との会話
マーサ:私はべハムフィール。
マーサ:(マーサがエダに挨拶をした)
エダ:エダよ。隣にいるのはエミール。
マーサ:(マーサが横のエミールに目を向けた)
マーサ:ああ、初めまして。
マーサ:(マーサが再びエダに目を向けた)
マーサ:こちらはあなたの婚約者かな?
エミール:(エミールは彼女たちの唇の動きがずっと見えていたが、世界は静まり返り、まるで彼女たちが無言劇を演じているように感じた)
エミール:エダ。婚約者って、何?
エミール:(去り際、エミールは内心の疑問を口にした)
エダ:永遠に離れない、そんな関係よ。
マーサ:死が2人を分かつまで……。
マーサ:(背後のマーサはそれを聞き、心の中で感慨に浸った)
機械技師
親愛なるレズニックさん、
古い友人のところから偶然、あなたがまた新たな機械パーツを作り出したと聞きました。
知識が足りなくて申し訳ありません。
恐らく正しい言葉を使っているはずなのですが。
実は、私は長年森に住んでいる者でして……あなたなら、きっと我が家の機械設備に興味を持っていただけると思います。
我がクリスマスパーティーへあなたを招待いたします。
一夜団らんのクリスマスは長らく過ごされていないのでしょう?
では、お会いできることを楽しみにしていますね。
トレイシー:16時17分、予測より5分も遅れちゃった。
トレイシー:(じっくり周囲を見回す)
トレイシー:この屋敷、手紙に書かれていた内容とはちょっと違うな。
機械設備があるようには見えない。
トレイシー:(招待状を取り出す)
トレイシー:まさか、この案内ロボットのこと?
トレイシー:とりあえずあの子に挨拶しに行かないと!
- バーメイドとの会話
トレイシー:こんにちは。私はトレイシー、カッコいい瓶ね。
デミ:こんにちは。ああ、デミでいいわよ!
これには「ドーフリン」が入っているの。
デミ:(デミはそう言って自分の胸元をトントンと叩いた)
デミ:一口どう?
トレイシー:中身はジュースなの?
デミ:いいえ、お酒よ。
トレイシー:そうなんだ、てっきりジュースかと。
じゃあ、やめておくよ。ありがとう。 - カウボーイとの会話
トレイシー:こんにちは。私はトレイシー、カッコいい帽子だね。
今夜のためにあつらえたものに見えるけど。
カヴィン:やあ、どうもどうも。
これは大草原スタイルのクリスマスハットだ。
唯一無二の1点ものさ!
トレイシー:カッコいい!
昔父さんがいた頃も、毎年のクリスマスにカッコいい服を用意してくれたわ。
カヴィン:今着ているのも彼が?
トレイシー:ううん、これは私の作業服だよ。
ここへ来る前に突然新しい発明のインスピレーションが降りてきたから、服を着替える暇がなくて慌てて来たの。
カヴィン:(カヴィンはじっとトレイシーを見た)
カヴィン:君の父親は……なあ君、思い悩むことはない。
鳥は巣を離れて初めて飛ぶことを覚えるものだ。
トレイシー:そうだね。それに今は人形が傍にいるし。
ほら、本当の人間に見えない?
カヴィン:中々なものだな。
君にとってのこいつは、私にとっての草原の馬と同じだろう。
ああ、あの頃を思い出すと、未だにあいつがもっと速く走れたらと願ってしまうよ。
トレイシー:もっと速い馬?
実は私の人形にもまだまだ改良の余地があるの。
例えば…あのロボットはどうなっているのかな? - 空軍との会話
トレイシー:こんにちは。私はトレイシー。
マーサ:こんにちは、べハムフィールだ!
マーサ:(マーサは挨拶してきたトレイシーの少年チックな服装を見て、つい敬礼をしてからかってしまった)
トレイシー:特別な動作ね。
えっと、私が言いたいのは、とてもカッコいいってこと!
マーサ:ああ、これは軍人の敬礼だ。
マーサ:(マーサはトレイシーの表情は見ておらず、注意力は肩に落ちた雪に引き寄せられていた)
トレイシー:女性の軍人?今まで見たことない!
マーサ:大したことじゃない。実際、私の家族も最初は反対だった。
あなたにも分かると思うけれど、常識的な考えだよ。
彼らは私に良い相手に嫁いでほしいと思っていた。
トレイシー:ああ、分かるわ。
町の商人が父さんに特許を売って欲しいと頼んできた時みたいに。
彼らもきっと同じような目で、「子ども」である私を見ていたんだと思う。
マーサ:人はそんなものだ。
最初はやりたいことを応援してくれるけれど、最終的には他人と同じようになれと強制する。
トレイシー:でも、父さんはそうじゃなかった。
父さんはずっと私のことを応援してくれていたし、今もまだ生きていたら、きっと私のことを誇りに思ってくれるわ。
トレイシー:(トレイシーは自分のリモコンにそっと触れた)
トレイシー:彼がいなくても、私は自分が何をすべきなのか、どうすれば自分の誇りになれるのかをちゃんと分かってる。 - ガードNo.26との会話
トレイシー:こんにちは、私はトレイシー。あなたは話せる?
ボンボン:Bon bon?
トレイシー:擬音語が話せるなんて!
失礼だけど、あなたのリモコンを見せてくれるかな?
トレイシー:(人形のリモコンを取り出す)
トレイシー:ああ、こういうものなんだけど。誰があなたを操ってるの?
ボンボン:Bon?
ボンボン:(ボンボンが首を傾げる)
トレイシー:あの似たような服を着た男女かしら?
そうは見えないけど。 - 「心理学者」・患者との会話
トレイシー:こんにちは。私はトレイシー。
エダ:(エダが微笑んで頷き返した)
トレイシー:早く到着したみたいだね。
トレイシー:(トレイシーはエミールに目を向け、3人は一時沈黙に陥った。
しばらくして、エミールはトレイシーが自分に話しかけているのかもしれないことに気付いた。)
エミール:うん、そう。2番目。俺たちは遠くない……。
エダ:シーッ、エミール!
エダ:(エダが割って入った)
エダ:私たちは車で来たのよ。
トレイシー:(トレイシーは彼らがどうやって来たのかには興味がなかったが、途中で切り上げられたエミールの言葉の続きが気になった)
ガードNo.26
親愛なる古き友人、
あれらの仕掛けに忙しくしていることは分かっている。
あの2人の子供がいなくなった後、荘園はどんどん寂れていった。
先日、買い出しに外出した時に突然、クリスマスがやって来ることに気づいたんだ。
クリスマスを心待ちにしている人々の姿が目に入ってきたからね。
このような感情を、私たちは久しく感じていなかったじゃないか。
今年は大人しい子を何人か呼んで、クリスマスパーティーを開催することにした。
君に会えることを楽しみにしている。古き友人よ。
ボンボン:Bonbon,bon bon bon?bonbon!
ボンボン:(招待状を取り出す)
ボンボン:BON!BON!BON!
「心理学者」・患者
親愛なるエダ、そしてエダの可愛いエミール、
逃走の末、あなたたちは疲れを感じているはずでしょう。
時間が経つのは速いですね。
2人が発ってからどれくらいになるのでしょうか。
ですが、まもなく12月がやって来ます。
1年の中で最も幸せで楽しいひと時は、皆で集まって談笑するべきですよ。
私とささやかな団らんの一時を共に過ごしましょう。
お待ちしております。
エダ:エミール、起きて。着いたわよ。
エミール:着いた……いいね、エダ。
エダ:でも油断してはいけないわ。
危険が完全に去ったわけじゃないもの。
エミール:分かった……。
エダ:でもこれはあなたが心配すべきことではないわ。
素敵なクリスマスを楽しみましょう。
エダ:(言い終え、エダは招待状を開封し、ぎゅっと拳を握りしめながら何か手掛かりがないか探した)
- バーメイドとの会話
エダ:あの女の人が見える?近寄っちゃだめよ。
恐らくお酒に関する職業だわ。
アルコールはあなたの病状に良くない影響を与えるから。
エミール:うん、アルコールは良くないもの?
エダ:いいえ、医学的にはとても重要だけど……まあそれは別の話よ。
エミール:分かった。使う方法と人を選ぶんだ。エダとか。
エダ:賢いわね。 - カウボーイとの会話
エダ:情熱的な男ね。
……情熱的な人は苦手だわ。
エミール:(じっとカウボーイを見る)でも、綺麗な服だ。
エダ:(エダそう聞いて微笑んだ)
エダ:そうだった、あなたは鮮やかな色が好きだったわね。
エミールもこういう鮮やかな色の服を着てもいいのよ。
エミール:いや。エダが買ったものなら、全部いい。 - 空軍との会話
エダ:格好を見るに、彼女は軍人のようね。
空軍かしら?
エダ:エミール、空軍は見たことある?
彼らは飛行機に乗って空を飛んで、どこにでも行けるのよ……。
エミール:……どこにでも?
エダ:ええ、誰も行ったこともないような場所も、遠く静かな場所も……。 - ガードNo.26との会話
エミール:エダ、あれ……何?
エダ:ペンギン……いえ、ロボットだわ。
何か持ってるみたいね……。
エミール:エダ……近寄っちゃダメ。
エダ:(エダが1歩前へ進む)
ボンボン:BON!
ボンボン:(ボンボンがバルクが準備したクリスマスプレゼントを掲げた)
エミール:エダ!
エダ:大丈夫よ、落ち着いて。
こんにちは、ペンギンさん。
私たちはクリスマスパーティーに招かれたのだけど。
ボンボン:Bonnn,BOOON!
エダ:会場への行き方を知ってるかしら?
ボンボン:Bonbon?
エダ:……。
エダ:ここから入るんだと思うわ。
エミール、行きましょう。
もっと面白いものが見れるはずよ。 - 写真家との会話
エミール:エダ、どうして彼は体に付いた雪をずっとはたいているんだ?
エダ:ふふ、面倒くさいフランス人のようね。
エミール:……フランス。
エダ:行ってみたい?あなたの病状が回復したら、思う存分外の素晴らしい世界を見に行くことができるわ。
エミール:……いや、エダと一緒にいればいい。
写真家
尊敬なる伯爵様、
あなた様のお名前はかねがね伺っております。
失礼ながら、あなた様のご身分を思えば、このような重要な祝日はその身分に相応しい招待を受けていることでしょう。
ですが、承知の上でお誘い申し上げます。
田舎の素朴なクリスマスを体験したことはないのではありませんか?
暖かく、忘れがたい夜が、あなたの芸術創作にインスピレーションを与えられたらと思います。
この招待状は細かく確認しましたが、不適切な文法や言葉などございましたら、どうかお許しください。
ジョゼフ:(優雅に馬車から降りた)
ジョゼフ:すでたくさん人が集まっているようですね。まあ、仕方ない……。
ジョゼフ:(肩に舞い落ちた雪を叩いた)
ジョゼフ:フランス語には「le meilleur pour la fin(一番いいものは一番遅れてくる)」という言葉があります。
ジョゼフ:(周囲を見回した)
ジョゼフ:この短く、単語も乏しい招待状が具体的にどう書かれているのか見てみましょう。
ジョゼフ:(招待状を取り出す)
ジョゼフ:ほう、私もサルーンに乗ってくれば一番最初に到着していたのかもしれませんね。
ですが、ああいうのは好きではありません。
ジョゼフ:分かると思いますが、あの「ウ~ウ~ウ~」という騒音が苦手なのです。
ジョゼフ:馬車に座って、僅かな揺れを感じながら蹄が土を蹴るリズミカルな音楽を聞くのが、生活における楽しみだとお分かりいただけるはずです。
- バーメイドとの会話
ジョゼフ:おや、こんにちは。お会いできてうれしいです。
ジョゼフ:(ポケットからハンカチを取り出して手を拭き、握手の準備をした)
デミ:(デミは大きな酒瓶を直接ジョゼフの手の上に置いた)
デミ:さあ、この「ドーフリン」を飲み干してちょうだい。
ジョゼフ:(ジョゼフは難色を示した)
ジョゼフ:おや……その好意は預かります、私はブランデーを嗜む方が好きでして……。
ジョゼフ:(ジョゼフは酒をデミに返そうとしたが、彼女はすでにそこを去っていた) - 空軍との会話
ジョゼフ:おや、こんにちは。お会いできてうれしいです。
ジョゼフ:(ポケットからハンカチを取り出して手を拭き、握手の準備をした)
マーサ:(マーサがポケットから手を出した時、信号銃が地面に落ちてしまい、彼女は腰をかがめてそれを拾った)
ジョゼフ:危なっかしいですね、レディー。
マーサ:危ない?それは何のことだ?
ジョゼフ:(ジョゼフはマーサの信号銃を指さした)
ジョゼフ:もちろん、あなたの気質とはとても合っています。
あなたはただの淑女には見えないですし、私はただ紳士として良かれと思ってアドバイスをしたまでですから。
お気に障りましたか?
マーサ:分かっている。
だが、女性全員に完璧なドレスが必要なわけではない。 - 機械技師との会話
ジョゼフ:おや、こんにちは。お会いできてうれしいです。
ジョゼフ:(ポケットからハンカチを取り出して手を拭き、握手の準備をした)
トレイシー:(トレイシーはゆっくりと少しガソリンの付いた手を差し出した。
ジョゼフはちらりと目を向け、指先でそっと機械技師の指先を握った後、手で雪を受け止めた)
ジョゼフ:ああ、今日の雪は格別に美しいですね。
道中も雪が降っていました。真っ白なクリスマスは好きです。
ほら、この雪の結晶はまったく欠けていません。
これをあなたに差し上げましょう、可愛らしいお嬢さん。 - ガードNo.26との会話
ジョゼフ:おや、こんにちは。お会いできてうれしいです。
ジョゼフ:(ポケットからハンカチを取り出して手を拭き、握手の準備をした)
ボンボン:bon,bon,bonbonbon,bon
ジョゼフ:歓迎の曲を演奏してくれるのですか?
ああ、ありがとう。とても気に入りました。
カントリーチックで、特別に聞こえます。
忘れがたいクリスマスになりそうですね。 - 「心理学者」・患者との会話
ジョゼフ:おや、こんにちは。お会いできてうれしいです。
ジョゼフ:(ポケットからハンカチを取り出して手を拭き、握手の準備をした)
エミール:(エミールは首をかしげながら疑わし気にジョゼフの動きを見て、前へ出て躊躇いながらジョゼフの手を握った)
エミール:(ジョゼフの手を握ったエミールの力はとても強く、彼本人は空虚な眼差しでどこか遠くを見ており、自分の無礼に気付いている気配はない。
ジョゼフは少し驚きつつ、手を引っ込めた)
ジョゼフ:勝手な推測ですが、あなたたちは恋人同士でしょうか。
見ればすぐ分かることですが。
つまりその、若さは、愛はいいですね。
あなた方が流れゆく時間の中で幸せになれるよう、祝福していますよ。
エダ:ありがとう。
エミール:(エミールがエダを見た)
不思議な事件
デイリー
- 1日目
デミ:おかしいわね、どうして主人はまだ現れないのかしら。
ああ、分かった。あなたたちの中に紛れ込んでいるのね?
デミ:(デミはそう言って酒樽を掲げた)
カヴィン:大方、外に隠れて数秒多く自由に空気を吸っているんだろう。
大勢の流浪者が流れ込んで来たからな。
マーサ:なぜ「あなたたち」なんだ?
デミ:私はあなたたちを招待なんてしないもの。
デミ:(室内から返事はない)
デミ:ほら、だから言ったじゃない、きっと眠っているのよ。
部屋の中を探してくるわ!
ジョゼフ:おやおや、このまま入ったのですか?
マーサ:でも何にせよ、ほろ酔い状態の女性をこのまま放っておくわけにはいかない。
カヴィン:ああ、彼女も俺たちの仲間だ。彼女と一緒に見に行こう。
ジョゼフ:それではどうぞ、皆さん!私は外でしばらく雪を鑑賞してから入ります。
エミール:(エミールが最後に中へ入り、そのまま扉を閉めようとした)
エダ:エミール、少し隙間を残しておきなさい。
エミール:分かった、エダ。
ナレーション:(室内からデミの叫び声が聞こえ、一同は声の方向へ向かった)
デミ:わあ、すごいごちそう。主人が寝ちゃうのも無理ないわね。
早く味見させて!
カヴィン:良くないんじゃないか?まだ主人は姿を見せていないのに。
デミ:関係ないわよ。彼が今どこにいるかも分からないし、このままお腹を空かせている訳にもいかないでしょ。
今夜はクリスマスなんだから!
トレイシー:そう言えば、この部屋は変だね。
エダ:どういう意味?
トレイシー:この中の機械設備はどれもかなり古いわ。
誰かが住んでいるようには見えない。
デミ:はあ、何言ってるの?家は住むものよ。他に何に使えるって言うの。
ナレーション:(一同は沈黙に陥った)
- 2日目
デミ:分からないことはお腹を膨らませてから考えましょう!
デミ:うそ、これお肉じゃないわ。大きなチキンに見えたのに!
デミ:これも本当の豚肉じゃない。ケチな主人ね。こんなに豪華な食事なのに、お肉が1つしかないなんて。
エダ:こうする目的は何かしら?
エダ:(エミールはテーブルに目を向けた。エダはエミールの反応に気づき、彼らが道中ずっと食事を取っていないことに気付いた)
エダ:エミール、私の許可なくテーブルのものを触ってはだめよ!
エミール:分かった、エダ。
マーサ:命令好きな女性だ。
カヴィン:皆気付いたか?暖炉から時々奇妙な音が聞こえる。その音はまるで大草原の……。
デミ:音?へえ、聞かせて。誰がここに隠れているのかしら!
デミ:もう、うっとうしいわね。何も聞こえないわ。誰か窓の外のバイオリン弾きを静かにさせて!
エダ:最悪ね。パーティーはまだなのに、もう酔っている人が出てきたわ。
エダ:ここにはまだ、確証のない危険があるかもしれない。
エダ:(エダが心配そうにエミールに目を向けた)
マーサ:あのクリスマスツリーには気付いたか?奇妙な飾り方だ。
遠くから見ると、まるで誰かがそこに立っているみたいだ。
エミール:……立ち上がった鹿に見える。
エミール:(一同はその場に立ち尽くしたが、マーサが一番前に歩み出て確認を行った)
マーサ:ただの服だ。私たちの考えすぎかもしれない。
カヴィン:このまま事を悪い方向に考えるわけにはいかない。
主人がここまでたくさん準備をしてくれたんだ。俺たちへのクリスマス招待は善意によるもののはず。
エダ:私は、逆にもっと慎重になるべきだと思うけど。
エダ:エミールと私がここへ着いた時、ロボットがここで待ち構えていたわ。
皆さんも覚えていると思うけれど、あれなら何かを知っているかもしれない。
カヴィン:あいつは木の下だ!
カヴィン:(カヴィンは鞭を振るってクリスマスツリーの下のトラバサミの機械を指し、一同がそれを取り囲んだ)
デミ:嘘、何これ。まさか……トラバサミ?私たちが獲物ってこと?
エダ:誰もあいつがどこに行ったか気付かなかったの?
トレイシー:ついさっき、こちらのほろ酔いの女性が暖炉の前で悲鳴を上げて、皆が「奇妙な声」に注意を引かれていた間にあれは消えた。
正確にはあの時に離れたんだと思う。
ナレーション:(デミは再び暖炉の前に伏し、一同は彼女が何かしでかすのではないかと少し心配になったが、この時はもう彼女に構う気力すらなかった)
- 3日目
ジョゼフ:ああ、慌てることはないですよ皆さん。
入った時に丁度こちらのロボットさんに会いましてね。
ちょっと外で息抜きをしたかっただけなのかもしれません。ねえ、ロボットさん?
ボンボン:BON,bonbonbonnnbonnn.
ボンボン:(ボンボンはハンマーを振るい、テーブルのトラバサミの機械を指しながら慌てて説明した)
デミ:どこの国の言葉をしゃべってるの?
マーサ:ロボットだから、機械語?
機械に精通する天才さんに翻訳してもらいたいな。
ナレーション:(一同が機械技師に目を向ける)
トレイシー:実は、これを見た時からとても興味深かったの。
私の人形は喋れないから……だから、その、良ければ解体して研究してもいいかな?
ボンボン:BONBONBOOOOOOOOMBOOOOOOM!
ナレーション:(「ドン~ドン~ドン~」一同の目線は再び暖炉から伝わってきた音に引き寄せられた)
ジョゼフ:私はフランスで数百年の歴史がある荘園をいくつか持っていますが、暖炉がこのような音を発したことはありませんね。
トレイシー:私もこんな音は聞いたことない。
多分単純なメンテナンス不足ではないと思う。
カヴィン:それで、俺たちは一体なぜ招待されたんだ?
エダ:主人、と言えば、あなたたちは彼に会ったことがあるの?
マーサ:いいや、招待状を1通受け取っただけだ。
デミ:招待状?ああ、ここにあるよ!
デミ:(デミは高々と招待状を掲げた。一同はその自分のポケットに入ったものと全く同じ招待状を見ながら、沈黙に陥った)
カヴィン:また招待状か。
エダ:いい?あなたたちがここに残ってこのクリスマスパーティーを続けたいなら構わない。
でもエミールと私は、もうお暇させてもらうわ。
エミール:エダ……逃亡、また始まるの、俺たち?
マーサ:現れない主人、奇妙で裏のある客人たち。
ジョゼフ:皆さんと一緒に楽しいクリスマスを過ごすことができないのは残念ですが、私もここを離れた方が良いと思います。
皆さんと知り合えたことを心から嬉しく思いますよ。何はともあれ、メリークリスマス。
ナレーション:(一同は上着を持って入口に歩き始めたが、デミはまだ暖炉の前に伏せていた。
アルコールによって、彼女は反応が少し遅れていたようだ)
デミ:あれ、皆なんて言ってたっけ。
もう行くって?ダメよ、先にこの「ドーフリン」を飲み干さないと!
調査記録
- デミの調査
酒瓶がもう空になったわ。きっと誰かがこっそり私のお酒を飲んだのよ。- デミ:ああ、あの時?ええ、あの時は少し酔って、いや、ほろ酔いだったもので。
でも記憶が飛ぶほどじゃないのよ。
日頃からこういうほろ酔い状態にはよくなるから。
デミ:ええ?酔っ払いじゃないわ、そんな風に言わないでよ。
デミ:そう、あの夜具体的に何が起こったか。
私の印象に残っているのは、自分がずっと暖炉の傍にいて、中から変な音を出しているものが何なのか見たくて中を覗いていたこと。
デミ:その中は真っ暗で、私は少し変に思ってたの。
こんなに暗いはずがないって。
でも具体的にどこが変だったのかは……よく分からないわ。
デミ:ああそう、その通り。その時私は空が見えるはずだった。
太陽は沈んでいたけれど、暖炉の下から上を見上げれば僅かな光が見えるはず。
デミ:この時期の星は一番輝いているもの。空の上でクルクルと円を描いているはずだわ。
でもその時は何も見えなかった。まるで何かに暖炉が塞がれてしまったかのように。
デミ:皆にも知らせようと思ったら、部屋の中すら真っ暗になってて。
あははは、あそこで見すぎて眩暈がしたのかと思った。
デミ:その後、廊下から悲鳴が聞こえたの。
何が起こったのかは分からなかった。
デミ:とにかく大混乱。
ビールを開ける前に子どもがいたずらで瓶を思いっ切り振った時みたいに、雰囲気は爆ぜてしまったわ。
デミ:ああそう、あと覚えているのは、その後扉の外から怖い物音が近付いてきたこと。
少しずつ近寄ってきていたと思う。
その後は何が起こったかって?
はあ、その時はもう、飲み過ぎて記憶が途切れたわ。
- デミ:ああ、あの時?ええ、あの時は少し酔って、いや、ほろ酔いだったもので。
- カヴィンの調査
暖炉から怪しげな声が聞こえる。- カヴィン:あの時、世界中が戸惑いの中にあった。
闇の中で唯一頼りになる光は、皆の瞳だ。
静かなその場所で、それぞれの眼はまるで空の星のように光り輝いていた。
カヴィン:そこは辺鄙で、環境は劣悪だ。でも、それが俺の故郷だ。
俺はずっと帰ることを望んでいた。
草むらに寝そべって風が吹き抜ける音を聞くと、女の優しい囁きのように内心の苛立ちを宥めてくれる。
カヴィン:あの時、俺は突然気が付いた。
困惑する両目はどこにあっても同じなのだと。
カヴィン:それから俺が何を見たかって?
俺はそれぞれの心にある船が見えた。
嵐の中を進み、岸に止まりたくても漂泊する定めの船を。
- カヴィン:あの時、世界中が戸惑いの中にあった。
- マーサの調査
仲間の焦りは危険のサイン- マーサ:閣下、ごきげんよう。
マーサ:以下が、あの夜に起こった出来事の経緯の報告だ。
マーサ:まずは午後7時。
私たちはずっと扉の外で待っていたが、いつまでも主人の応答がないため、中に入って見てみようという提案が上がった。
そう、あのほろ酔いだったレディーだ。
マーサ:室内の環境は外に比べると少し暖かく、薄暗い灯の中、室内の施設は古びて見えた。
マーサ:当時、一同は室内で主人を見つけることはできなかった。
テーブルの上には準備された食べ物があった。
一同は私たちのための食事と推測したが、この情報は確証がない。
マーサ:起因は、サンタクロースの格好をした男性の提案だ。
彼は部屋に入った時、暖炉から奇妙な音が聞こえると言っていたが、それだけではない。
マーサ:当時の環境によって、全員の緊張が膨張していた。
そこで様々なマイナス的な感情に駆使され、一同はそこを離れることにした。
この時の時刻は午後9時前後。
マーサ:補足するものはない。
マーサ:わざわざ彼女のために隠し事をする必要もないだろう。
なぜなら実際、その後の彼女の行動は事前に起こった出来事と関係がないと判断したからだ。
マーサ:もちろん、もし彼女が具体的に何をしたかが知りたければ、私が全てを1つずつ説明しよう。
- マーサ:閣下、ごきげんよう。
- トレイシーの調査
あの人形、おかしな行動をしてる。主人は誰なんだろう?- トレイシー:あの時、皆が本当にそこを去ると決めたことが分かったわ。
どうやら用事を済ませていなかったのは私1人だけだったみたい。
トレイシー:でも皆が離れたら、私が残る理由もないでしょ。
トレイシー:そこで私は、ちょっとした仕掛けを残したの。
悪気があったわけじゃないのよ、ただ好奇心に駆られただけ。
その後、部屋はすぐに暗闇に陥り、奥から叫び声が聞こえてきた。
トレイシー:皆は慌てて扉を開けて出て行こうとした。
でも扉を開けた瞬間、軽い電流が体を走り、恐れと恐怖によって皆は自分が部屋に閉じ込められたのだと思ってしまったんだよ。
トレイシー:その後の皆の話の内容はあまり聞いていなかったわ。
実際、こんな古びた屋敷に皆を閉じ込められるほどの仕掛けが施されているとは思えなかったもの。
トレイシー:だから、実質的な危険性はないと思ったの。
トレイシー:そう、私がそれ以上に興味があったのは、やっぱりこれだわ。
素晴らしいクリスマスプレゼントね。
私の人形に何か改善点はないのか、さっそく見てみないと。
- トレイシー:あの時、皆が本当にそこを去ると決めたことが分かったわ。
- エダ&エミールの調査
あのクリスマスツリーの飾り……。- エミール:うるさい、うるさい……彼らは何を笑っている?何を叫んでいる?
エミール:エダ、エダ……俺たちはいつ帰れる?
エミール:俺たちの家に……。
エミール:……。
エダ:「エミール?どうしたの?」
エミール:笛の音がしてる……?またあの安心する匂いだ。
エダ:「シーッ、もうすぐクリスマスよ。」エダが俺に笑いかけてくる。
「メリークリスマス、エミール。」
エミール:メリークリスマス、エダ。
ナレーション:世界が静まった。
- エミール:うるさい、うるさい……彼らは何を笑っている?何を叫んでいる?
- ジョゼフの調査
窓の外のお方はずっと同じ曲を繰り返しています。
彼は永遠に変わらぬ旋律で何を暗示しているのでしょうか?- ジョゼフ:ええ、そうです。
私の人生において、これまで様々な場面に出くわしましたが、ここまで混乱した場面は中々ありません。
ジョゼフ:何よりもあの叫び声、分かると思いますが、私には真似できません。
ジョゼフ:ああ、本当に素晴らしい。
いえ、このコーヒーのことです。
あの夜について、私からはただ忘れがたい夜だったとしか言えません。
ジョゼフ:彼が現れた時、私は彼がしっかりと準備を行ってきたことが分かりました。
特別な服装、特に頭上のあれは生き生きとしていましたから。
ジョゼフ:機会があれば、彼を私のモデルとして招待したいくらいです。
きっとパリのセレブを震撼させる芸術の傑作となるでしょう。
- ジョゼフ:ええ、そうです。
来ない主人
カヴィン:これは、何の音だ?
マーサ:何かが近付いてきているみたいだ。
エミール:エダ……。
エダ:シッ、怖がらないで。ちゃんとここから出られるから。
エダ:目を閉じて、道中見かけたあの滝のことを思い出して。
そこにかかっていた虹も。
あの時、あなたはどうして昼間に色鮮やかな月が出ているのか聞いて来たけれど、
そんな素晴らしい風景を、私たちはこれからもっとたくさん見ることになるわ。
一緒にここを出ましょう。
エミール:エダと一緒に出ていく。
ジョゼフ:恐れる必要なんてありません。
こんなに大勢いますし、君たちのような逞しい若者もいるのですから。
マーサ:皆私の後ろに下がって、私の合図を聞いて。
ナレーション:(巨大な足音が徐々に迫り寄り、「ドゴン」という音と共に、一同は目を閉じた。
感覚的に感じたのは寒気だった。
冬特有の湿気、温度のない風、それが人類の内心の奥深くにある恐怖を呼び起こした。
大きな人影が入り口に立ち、暗闇の中でその顔をはっきり見ることはできなかった)
エダ:それで、どんな合図を出すつもりなのかしら?
ナレーション:(冷たい風が闇夜の中、まるで呪いの言葉のような音を響かせているが、実質的な物語の内容はない。
この時、窓の外のバイオリンの音色が一段と気味悪くなり、この小さな悲劇に生き生きとしたシーンを提供した)
マーサ:止まれ、これ以上皆に近寄るな。
ナレーション:(軍人として、マーサは彼女の声が震えていることを誰にも気付かれてはいけなかった)
マーサ:(あの人影は明らかにマーサの警告を理解したようにその場で足を止めた。
一同がほっと息をついた時、彼は闇の中で何かをやり始め、その後1枚のメモを掲げた)
マーサ:白旗を上げているのか?
カヴィン:でも戦争は始まってすらいない。
ジョゼフ:彼が美しい詩でも書いてくれたのでしょうか。
マーサ:あなたは……あなたは、この屋敷の主人か?
ナレーション:(窓の外のバイオリン以外、その問いに応える音はなく、人影は向きを変えて小さな部屋の中に入っていった)
マーサ:あなたが私たちを招待したのか?
エダ:なぜ今まで不在だったの?
ナレーション:(「ザ~、トン」)
(引き出しが開いたような音がし、程なくして蝋燭の光が見えた。
一同がほっとした時、彼は振り返った)
ナレーション:(「あああああ」)
(誰が悲鳴を上げたのかは誰にも分からなかったが、全員がショックを受けたことは確かだ)
ベイン:怖がるな、子供たち。君たちを招待したのは私だ。
今夜、この忘れがたいクリスマスを共に過ごしてくれることに感謝する。
ベイン:(ベインが白いメモに続きを書き記した)
ベイン:今までずっと暖炉の中に引っかかっていたんだ。
あのバカな友人が、サンタクロースはあそこから登場するものだと教えてくれたせいでね。
ベイン:とにかく、メリークリスマス、良い子の皆!
ナレーション:メリークリスマス、これは君のために準備したプレゼントだ。
ベインは幸せそうに新しい衣装に着替えた
ベイン:(その後暖炉を指さし、一同に彼が元々準備してあったサプライズを見せようとした)
あれ、どうして1人倒れているんだ?
ベイン:(ベインはジェスチャーを続けた)
カヴィン:すまない、彼女は酔ってしまったようだ。
トレイシー:あなたは……天気が寒くて風邪をひいているから喋れないの?
ベイン:(ベインは少し迷った様子を見せたが、それでも口を開けて自分の舌を指さした)
ジョゼフ:慰めているわけではありませんが、偉大な芸術の傑作において、欠けた美というものは必要不可欠です。
マーサ:失礼ながら、その頭の鹿は?
ベイン:これは悲しい話だ。
ああ、少なくとも今日のような日には話したくない。
カヴィン:(カヴィンはベインの文字からその悲しみを感じ取れたようだった。
失ったものを取り戻せなくなった時の悲しみを)
カヴィン:楽しくないことは放っておいて、もっと楽しもう、皆!
ジョゼフ:私からすれば、あなたの見た目のほうが特別に見えます。
ジョゼフ:(外見においてジョゼフの肯定を得ることには、高い説得力が伴う。
彼は微笑みながら、優雅に窓際に歩いて行った)
ジョゼフ:どうやら、奇妙な音はあなたの仕業だったようですね。
奇妙なリズムと窓の外の怪しげなバイオリンの音楽が混ざり合い、一風変わった芸術を醸し出している。
ベイン:窓の外?
ベイン:(断罪狩人は窓際まで歩いて行き、窓を開いた)
ベイン:彼はもうあそこでずいぶん長い間演奏しているよ。
カヴィン:ほら見ろ、向かいの家もクリスマスを祝っているようだ。
彼らもこちらを見ているぞ。ほう、あちらにも酔った女性がいるようだな。
ジョゼフ:ジョゼフが手中の写真を撫でた)
デミ:(そう遠くない場所から、ガラスが割れる音が響いた。
そして暖炉の傍で寝ていたデミがブツブツと「これが本当の『ドーフリン』よ、兄さん……」と呟いていた)