COAⅧイベント/遺跡の回廊

Last-modified: 2025-04-14 (月) 21:52:25
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遺跡の回廊

チーム紀行

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 私たち一行が荒野を進み続けるにつれ、道は少しずつ険しくなっていった。不規則な地割れが巨大な高低差を生み、ロープを利用しなければ通れない場所もあった。
 このエリアの大型構造は更に密集し、無秩序になっていた。幾何学的な建物の残骸が何らかの力によって捻じ曲げられたように見える。私たちはその間で比較的緩やかな回廊を見つけ、ようやく先へ進むことができた。回廊の外側では、物言わぬ巨大な像や、奇怪な並びで密集する石柱群を見かけたーーそれらはまるで身を寄せ合うように集まっており、信じられないほど大きな墓や、風力によってゆっくりと移動する角ばった巨大な巣穴のように見えた。

It might be worth sticking around here a bit longer…(もう少しここに留まる価値があるかもしれない…)

 人類の常識では、その機能や製造目的、技術を推し量ることはできない。怪奇で神秘的な、説明がつかない創造物たちは、私たちに震撼や困惑など、様々な感覚を与えた。
 今も探索や警戒、基本的な生命維持のための任務が、私たちの時間の大半を占めていた。故に全体的な効率を上げるべく、私たちは別行動を取らざるを得なかった。今回「センチネル」が確認した「採集者」の信号弾は、危険を示す赤ーーしかも、予想以上に酷い結果となった。私たちが「採集者」を発見した時、彼女の半身は鋭い岩に貫かれ、大きな傷口が2か所も開いていたが……それでも意識ははっきりしていた。
 こんな事故が起こるのは初めてだった。それは私たちの体力や精神力が消耗されていることを表すと同時に、これらの大型構造の脅威も増しているということだ。私たちの知る限り、これから起こる事態を予測できる知識体系はない。逆に、「荒野」は私たちを十分に理解している。もしかしたらこれが、私たちにその悪意を示す方法なのかもしれない。

That my arm!(私の腕!)
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 危険に遭遇しても、「採集者」は探索で集めた素材を確保することを優先した。本能的な選択だろうか?ーー彼女は私たちの中で唯一、個人的な目的を持たない仲間だった。
 普段の「採集者」なら、迷いなく侵食された部位を犠牲にする――取り替えやすいそれらを、彼女はとうに消耗可能な資源の一つとして見なしていた。彼女は無垢な残酷さを持っており、その行為が侵食の進行を速めることなど全く気にしていない。しかし今回の重傷を前に、「義肢装具士」は今までにないほど大がかりな手術が必要だと判断した。彼女の肉体と木製構造の接続部分を完全に切り離す必要があるそうだ。
 この「手術」の過程を言葉で言い表すのは難しいーーそれはかなり手荒で、彼女が年相応の、耐えがたいほど苦しそうな表情を見せたのはそれが初めてだった。だがその苦しみが終わると、彼女は驚くべき速度で元の子供のような元気を取り戻していた。大量の痛みから自身を守るための、自発的な自己防衛の結果なのかもしれない。

 「義肢装具士」の補足メモ(転写):
 指の関節は完全に壊れ、腕の支持構造は粉砕されている。生身との接続部分から腕全体を外し、取り替える必要がある。
 正式な取り替えの前に、軟体変異物を新しい義肢に移植し、培養を行った。私たちが荒野の奥へ近付くにつれて、こいつらはどんどん活発になっている……
 だが、私たちに選択肢はない。彼女の侵食が進むとしても、その腕の機能を確保しなければならない。
No, no, no...I can't do that...(いや、いや、それは無理…)
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「秘宝」についてのメモ:
 変異によって、様々な奇妙な特性を持つようになった実体。ある程度は外見を通した識別が可能で、自身の記憶と結びつけることができるが、秘宝に備わる特性は、その見た目とは無関係である場合が多い。
 「秘宝」は常識を超える効果を発揮することがある――その中に含まれる計り知れない潜在能力があれば、今まで手が届かなかった目標に近付くことができるかもしれないと楽観的に考える人もいれば、「秘宝」そのものが常識では計り知れない特性を持つため、危険と隣り合わせだと考える者もいた。
 「秘宝」は荒野で変異し、本質が歪められた生物から生まれる。侵食を受けた全ての生物の成れの果てだ。

「運搬者」についてのメモ:
 この生物は、様々な変異生物の残骸を自分の身体に貼り付けることで、カモフラージュや擬態の効果を実現している。それによって、多様な生物の外見を形成し、その生物の特性を真似ることができる。その本体は粘着性のある軟体生物で、荒野の「運搬者」にあたる。一部の「運搬者」は荒野にある様々な「秘宝」を集めて、自分の身を中に隠している。
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 遠い場所を探索する「採集者」にとって、「運搬者」は扱いやすいレーダーだった。それらはいつも荒野に点在する変異物や「秘宝」を敏感に感知するため、その後をついて行けば、価値のある品を見つける確率も高くなるのだ。
 ほとんどの「運搬者」はすぐに対応する生物の習性や特徴を学習するのだが、この一行にいる個体は少し特殊だった。こいつは同時に複数の生物の特徴を併せ持っていたため、犬にも蛇にも馴染めなかった。能力的な不足のせいか、単にこいつがうっかり者だからかは分からないが――よく身体に付けているパーツが剥がれ落ち、触手を伸ばしてくっつけ直す姿が目撃されている。
 とにかく、私たちの探索の効率を上げてくれている存在だ。

個人紀行

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 「採集者」についてだが、チーム内での彼女の振る舞いは、まるで天真爛漫な物拾いのようだった。彼女がいると、雰囲気が少し明るくなる。彼女も私と同じように荒野で「拾われた」らしいのだが――その時の身体はボロボロだったそうだ。猛獣などに食われたわけではなく、人為的に、意図的に破壊されたように見えたらしい。
 「義肢装具士」の活性化した管と木材によって彼女は命を取り留めたが、その精神は一定の影響を受けていた。子供のような状態まで退行していたのだ。常に明るく、憂いのないメンタルを保ち、潜在的な脅威にも基本的な危機感を持たない(本能的に苦痛を遮断しようとしているからかもしれない)。それ故、彼女は侵食による身体機能の改造を喜んで受け入れ、後先考えずに果敢で躊躇のない行動を取っている。
 「採集者」が着ている服は傷だらけだが、材質はかなり良いものだった。かつては裕福な暮らしをしていたのかもしれない。だが、彼女にとって幸せなのは今の生活だろうと直感的に感じた。彼女はよく草原の野花を持ち帰っていた。荒野の奥へ進むにつれ、それは枯れて硬くなった植物などに変化していったが、荒野には、確かに美しいものが多く存在する。

 今回の「手術」で、「義肢装具士」は終始冷静さと自制心を保っていた。まるで自分とは全く関係のないことを淡々とこなしているようだった。しかし意外なことに、彼は手術の後に初めて侵食効果を利用した時のことを話してくれた。その経験は、強い動揺が伴うものだったのかもしれない。身体が引き裂かれ、息も絶え絶えになった動物を前に、秘蔵の軟膏は意味を成さず、噛み砕いて細かくした食べ物を与えてももちろん無駄……失われていく命は羽根よりも軽い。そんな時、他の者たちが避けるばかりの「悪病」が、まるで奇跡のように再構築された身体に命を留めたのだ。
 うねる管に覆われても、柔らかい毛皮が朽ちた木材に変化していっても、その生物の本質までは変わらなかった。
 結果――発見されたその動物は最後、徹底的な「処理」が行われた。だが、仮に同じことが今再び起こっても、外見上はすでに内から外まで変わり果ててしまったこの同行者の心に響くことはないだろう。残された時間の中で、できる限りこの巨大な未知の源に近付くことだけが、彼の唯一の願いだった。
 実際のところ、この旅の途中で、私はいくつかの異常に気付いた。だが、これらの思考の記録を公開するつもりはない。1つ目の理由は、この内容がチームの「メンバー」に深く関係していること。公開されている記録は頻繁に読み返されている。不要なトラブルを引き起こし、彼らに迷惑をかけたくない。2つ目の理由は、それがあくまで私の推測でしかないこと。「巨体」の動きはかなり鈍い。

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 これまで私は、その「知能」が原始的なレベルに留まっているものだと思っていた――しかし実際のところ、私はこの旅の間で何度もその「意図」の存在を明確に感じ取った。その変化が侵食によるものか、それとも「巨体」の自我によるものかは分からない。
 例えば夜の間、私たちは時々「巨体」の狭い体内に集まって休むことがある――だがある時、私たちは小型の獣に襲われ、いくらかの損失を生んでしまった。間違いなく閉め切られていたはずの扉が開いていたのだ。休む前、確かに扉が閉まっていたことを私は確認している。
 それ以外にも何回か――例えば、肝心な時に休眠したり、物資をなくすことがあった。もちろん、ただの事故だと解釈することもできる。どれも命取りになる問題ではなかったが、それは確実に私たちの体力や精神力を削っていった。「採集者」の事故とも関係しているかもしれない。引き続き観察を続けることにする。
 それから最近、昔の記憶が夢の中で少しずつ回復している。しかし、まだ何が起こったのか確かなことは分からず、いくつかの記憶の断片が蘇っただけだった――机に置かれたいくつかの図面と、時代を感じさせる部屋の内装。図面には、私たちが荒野で拾った品々の絵が描かれていた。以前私が感じた既視感は間違っていなかったのだ。

 記憶の中にあるもう一つの部屋の見た目は、私が最初から持っていた記憶に似ていた。恐らくこの光景が、私の「出身」に基づくものなのだろう。高い本棚に書籍がずらりと並んでいる。その多くがSF物の安物小説や研究ファイルだったが、1冊だけ神話集があった――記憶の中でめくられたページには、大岩を山に押し上げる人物が描かれていた。きっとシーシュポスの物語だ。
 トロイの木馬、高い城の男、ウィトルウィウス……物語は他にもたくさんあった。日の目を浴びない暗い過去の日々で、寝る前に聞くこれらの物語だけがあの子の慰めだった。「ガイド」は私と同じくらいこれらの概念に馴染みがあるようだ。そしてこれらの標識がこの荒野に現れたということは――きっと……
 もう一つの記憶に話を戻そう。本棚の裏には、扉がついた気味の悪い機械が1台置いてあった。まるで床の中央に巨大な何かが――例えば、卵巣のようなものが置かれている感覚だ。だが、私はその中から漏れ出る白い光を拒否できなかった。「光」が生きているとは言えないが、それは鎖のような枝を伸ばし、私の意識をその中心へと引き付けているようだった。

メンバーコードネーム

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