永夜に詠う詩/花畑散策

Last-modified: 2025-11-23 (日) 22:27:00
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花畑散策

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1日目

この死の世界では、時間さえ音もなく固まり、息が詰まるような恐怖が地を這う。
隣の男はお喋りに見えるが、黙り込むあなたに話しかけることもなく、手元に広げたノートに集中していた。

光塵:ねぇ、何か話そう……そのノートには何が書いてあるの?良かったら教えてよ。
光塵:僕が忘れたくないことさ。でも今は、嬉しかったことを記録している。
私:嬉しかったこと?こんな場所で?
光塵:こんな場所だからこそ、変わらない日々の中で小さな幸せを見つけるべきだろう?じゃないと、肉体より先に魂が枯れてしまう。
私:君になら見せてもいいよ!無関係じゃないしね。

ふと、彼はペンを動かす手を止め、あなたをじっと観察すると、ササッと半歩ほど後ろに下がった。
いきなりの行動にあなたは警戒したが、彼は顔を上げ、視線を斜め上に上げ、にやつく口元を抑えようとしている。

光塵:いいなぞなぞを思いついたーー昼は4本足で目が4つ、夜は5本足で目が3つある動物って、何だと思う?

あなたは顔を覆う包帯と、自分の手元にある粗末な杖を見やった。これなら武器になるだろうかと、思わず考えを巡らせてみる。

私:……分かりやすすぎるよ。それに、大した怪我じゃない。この3本目の足も、すぐに別の機能を発揮するからね。
光塵:だから、これは今だけのなぞなぞだーーそう思うと、なんだか貴重に感じるだろう?

2日目

まるで葉脈から色素が一瞬で滲み出たように、一輪の赤い花が目の前で藍色に変わった。

私:どうしてここの花は色が変わるんだろう?

ふとその時、「誰か」が軽やかに飛んできた。彼女の訪れとともに、周りの花々が藍色に変わっていく。

私:ああ、なるほど……朧夜さんが何かしたんですね?
朧夜(?):何もしていないわ。この花は本物の植物ではなく、現存する私の力が形となったものよ。
朧夜(?):ある「人」の潜在意識が、この荒涼とした世界に彩りを欲した……だからその力は、永遠に咲き続ける花と化したもの。
朧夜(?):でも所詮本物の花ではないから、私が来たのを感知すると色が変わるのよ。
私:じゃあ、赤い花は……?朧夜さんもこのことを知ってるんですか?
朧夜(?):もちろん。今、話したでしょう?
私:いえ、そうじゃなくて……やっぱり何でもありません。

3日目

目の前の景色は変わらず、まるで時間に忘れ去られた古い絵のように見える。
赤い花は枯れることも成長することもない。ゴツゴツした枯木がいくつか歪んだ形で空に枝を伸ばしている。
この木々の骨格もまた、見えない侵蝕によって少しずつ朽ちているのかもしれないが、普通の人間がその光景を目の当たりにすることはできないだろう。

私:この木々は、ここに生息していた植物なんですか?
暮影:サウィンの領域で眷属以外の生命が生まれることはない。植物もそうだ。
暮影:これらは全て、魔境と外界が繋がった時に捕らえられた命。最初は確かに植物だった。
暮影:だが、君が見つけなければならないのは、「植物ではなかった」木だ。
私:植物じゃない……なら、何だったんですか?
暮影:ある程度予想はついていると思うが?

風が枝の間を吹き抜け、すすり泣くような音を鳴らした。

4日目

朧夜:ごめんなさい、またいつの間にか変なところに来てしまったみたい。
私:「また」?
朧夜:ええ、私には夢遊病があるみたいで……目を覚ますと知らない場所にいることが多いの。
私:でも、不安になったり、怖がっているようには見えませんね。
朧夜:そうね……危険な目に遭ったことがないからかしら。むしろ、いい景色が見られることもあるのよ。
朧夜:それに、昼想夜夢って言うでしょう?ーー内に眠る潜在意識からの贈り物かもしれないわ!
朧夜:これが光塵さんの言っていた、毎日新しい驚きを見つける生き方なのね。
私:潜在意識や夢って、普通は制御できないんですけどね……

5日目

光塵:「光り輝く旗印が長い夜を照らす。さあ、杯を掲げ、この素晴らしき日を歌にしよう……」
私:光塵さん、何してるの?
光塵:僕だって独り言くらい言うよ?
私:言葉遣いが普段と違うから。
光塵:君はこの詩を覚えてないんだね。
光塵:これはサウィンが封印された後、各種族が自分たちの領地に帰る前に、共に過ごした最後の夜に生まれた詩なんだ。
光塵:元は人間の吟遊詩人が即興で作った作品で、彼女は焚火の傍でハーブの弦を弾き……
光塵:詩人は収めた勝利とじきに訪れる別れのために歌い、その旋律は全ての種族のテントまで届いた。
光塵:その時、精霊族のテントから金色の鳥が飛び立ち、詩人の肩に止まったそうだ。鳥は小さなくちばしを開け、彼女と共に歌を歌った。
光塵:徐々に他の種族もそれに加わり、最後は大合唱になって、夜は温かい歌声に灯された。
光塵:血族は秘蔵の酒を分かち合い、燃え上がる炎が全員の顔を赤く染めた。
光塵:楽し気な歌声の中、人狼たちが率先して古くから伝わる祝福の舞を踊り始めてさ……
光塵:その情熱が移ったのか、人間は笑いながら魔術師の手を引き……全ての種族がテントを出て、焚火を囲んだんだ。
光塵:焚火の炎は激しく燃え上がり、「人々」はその周りで笑い、歌い、踊り続けたーー
光塵:夜明けの光が炎に取って代わり、再び大地を照らすまで。

6日目

私:お腹は全く空いてないけど、そろそろ何か食べないといけない気がする……
暮影:本当にここを離れることができたら、一度新月の原に行ってみるといい。
暮影:そこには料理好きな魔女がいて、店を出している。特に菓子作りが得意だそうだ。
暮影:まあ、彼女の菓子は時々変わった効果を発揮するが……
私:変わった効果?
暮影:ささやかな魔法がかかっていて、実際に食べるまで何が起こるか分からない。彼女は客へのサプライズだと言っている。
暮影:例えば彼女が得意な動物の形をしたクッキーは、食べた者を対応する生物に変え、効果はクッキーが消化されるまで続く。
暮影:外見を変えてみたい種族がその噂を聞きつけて集まっているから、彼女の店の近くで小動物を見かけたら、なるべく近付かない方がいい。
暮影:他にも、彼女のキャンディーを食べると韻を踏んだ言葉しか話せなくなったり、短い間だけ太陽の下で髪が虹色に輝いたり……
暮影:魔女自身も、菓子作りの過程で自分の魔力がそのように変化するのかは分からないそうだ。
暮影:まあ……効果に法則性はなく、持続時間も短いが、平凡な一日のささやかなスパイスにはなるだろう。
暮影:冒険心と空っぽの胃袋を持って、試しに行くといい。
普通の人間ももてなしてくれるんですか?
暮影:もちろん。彼女は客を断ったりしない。

7日目

私:船が完成しました。川の上ですけど、これも「出航」だと言えるんでしょうか?
暮影:もちろんだ。この川の危険性は、外界の海とさして変わらないからな。
私:何だか機嫌が良さそうですね。新しいデータが取れたんですか?
私:ああ、この地に留まることができる時間を計算できた。今後の計画に役立つだろう。楽しかった、ありがとう。
楽しすぎて……互いの立場を忘れそうなほどでしたね。
暮影:まさか、光の盟約のことを言っているのか?あれはもう数百年も前の話だ。今更本気にする者などいない。
私:私は……当時のかけ声が気に入っているんです。
私:ですが、同じ選択を友人に強いるつもりはありません。お互い、選んだ道を順調に進めることを祈っています。
暮影:ふん、いいだろう。君にも光の導きがあらんことを。せいぜい黎明が訪れる前に死なないことだな。

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