永夜に詠う詩/4日目

Last-modified: 2025-11-23 (日) 22:27:00
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4日目

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風に耳を澄ませよ。それは光を放つ金の鳥にまつわる、古の章を語っている。
俗世の願いがその翼の下で目覚める。ああ、絢爛に煌めく自由の魂よーー
森の領主はその輝きを貪り、山奥の巨人はその力を渇望し、幽谷の魔術師は不朽の夢を囁く。

廃屋が荒野に佇んでいる。見た目は綺麗だが、よく見ると細かいヒビが壁の角や窓枠を伝い始めている。

私:こんな場所にも家があるなんて……ここで何かあったのかな?
光塵:かもね。まあ、誰も覚えてないから、何の意味もないんだけど。
光塵:君をここに連れてきたのは、これを見せたかったからなんだ。

光塵は家には入らず、外の地面にある仕切り板を開けた。
ここは地下室のようだ。入口からそう遠くないところに、文字の刻まれていない石碑が1つ傾いた状態で立っている。
星の光やランプの明かりだけでは下まで照らせないが、うっすらと、列をなすたくさんのランプの輪郭が辛うじて見えた。

私:これは……?
光塵:もちろん、ランプだよ。君が持ってるやつと同じ。
光塵:すでに消えてしまったランプだ。
私:…………
光塵:見たかったら降りてもいいよ。ランプの前には、僕が覚えている限りの名前も書いてある。
光塵:そろそろ君の名前も聞いておくべきかもしれないね。
私:……覚えてない。
光塵:完全に忘れ去られてしまうのは、とても辛いことだと思う。
光塵:でも大丈夫。名前が分からなくても、君のランプが消えたら、僕は君を忘れないよう努力するよ。

◆ありがとう
私:まだ生きている間にこう言うのも変かもしれないけど……ありがとう。
光塵:どういたしまして。感謝の代わりに、金色の鳥を見つけるのを手伝ってくれる?
私:「見つける」だけでいいの?
光塵:うん、捕まえなくてもいいーー僕はただ、伝説上の金色の鳥が存在しているのか、確かめてみたいだけなんだ。
私:金色の鳥って、何か特別な意味でもあるの?

彼はフッと笑った。

光塵:さあね。僕は伝説を耳にしただけだ。
光塵:金色の鳥に出会った人間は、どんな願いも叶えられるチャンスを手にするらしい。
私:でも、ただの伝説なんだよね?それに、見つけたけど、鳥はどこかに飛んで行ってしまったって嘘をつかれたらどうするの?
光塵:君は僕を騙すのかい?
私:……いや、それはないけど。
光塵:なら問題ない。
◆「努力する」だけ?
私:「努力する」って……頼りないなぁ。
光塵:ははっ、厳しいね。
私:変な言い回しするからだよ。
光塵:本当に申し訳ないけど、僕にも絶対忘れない保証はないんだ。だから、このノートに助けてもらってる。
光塵:君のことも、ちゃんとここに記しておこう。

光塵:それで、これらのランプを目にした今、君はどんな選択をするの?

◆方法を学びたい
光塵:信じてくれるんだね。ありがとう。

彼は笑みを深めた。その目はあなたが持つランプの光を映し、キラキラと輝いている。

光塵:魔法は法則性を見出せないものなんだ。同じ呪文でも、唱える人によってまったく違う結果をもたらすことがある。
光塵:魔法に連なる種族はこれを「才能」と呼び、「感覚が掴めれば」魔法が使えるようになると言う。
光塵:でも、具体的にいつその感覚を掴めるのかかんて分からない。明日かもしれないし、来週か、はたまた数十年後か……
光塵:あるいは一生、その時は訪れないかもしれない。
光塵:僕は思うんだ。もっと別の方法で……より安定した「交換」を実現するべきなんじゃないかと。
光塵:本来、サウィンの領域に光は存在しない。なのに星が見えるということは、ここに別の性質の魔力が関与している可能性が高い。
光塵:もちろんそれだって魔境にあるサウィンの力に影響されるけど、少なくとも死の概念にはまだ浸透されていないはず。
光塵:この「魔法」を使えば、それらと繋がりを築くことができる。その後は……
私:その後は?
光塵:……僕にも分からない。実際に試したことがないからね。今分かっているのは、それが強い力であることだけさ。
◆やめておく
光塵:そうか。君自身が選んだことだ。それでいい。
光塵:色々と知っておいて損はないよ。いつかこの知識が君の役に立つかもしれない。

荒野は静かだが、時折穏やかな風が花を揺らすおかげで、世界が完全に静止しているような錯覚に陥ることはなかった。
あなたが持つランプのことは良く思っていない様子だが、光塵は船の木材探しに協力すると約束してくれた。
彼も木材を探さなければならないらしい。ただ、彼の方法ではもっと時間がかかるそうだ。あなたもどうせならと、一緒に大きな船を1艘造らないかと彼を誘ったーー
あなたに船の造り方は分からない。恐らく、記憶を失う前からこういった知識とは無縁だったのだろう。
彼はこの場所に詳しく、船の造り方も知っている。2人で取り組めば助け合えるはずだ。
真っ赤な花畑が広がる川岸まで歩いていくと、その真ん中で見覚えのある人物を見かけた。

朧夜(?):……
私:朧夜さん?よかった、ちょうど聞きたいことが……え、ちょっ、待ってください!
朧夜:あら、私を呼んでいたの?ここで花を見ていただけだから、別にどこへも行かないわよ。
私:……朧夜さん?
朧夜:ええ、何か?
私:朧夜さん……先ほどまで、自分が何をしていたか覚えていますか?
朧夜:何って……花見でしょう?この花に囲まれていると安心できるの。いつの間にか眠ってしまったみたいだけど……
朧夜:確かにお昼寝するような場所ではないわね。起こしてくれてありがとう。
私:……この川にはサウィンの魔力が流れています。花見をするなら、気を付けた方がいいですよ。

あなたはこの川の特異性を簡単に朧夜さんに伝えた。彼女は驚いたように目を見開いた。

朧夜:全く気付かなかったわ。さっきもこの川の水で花に水をやっていて……まさかそんなに危険だったなんて。これからは近づかないようにしないと。
私:あの花に……それから朧夜さん自身にも、何か不調が現れたりしていませんか?
朧夜:いいえ。私にも花にも、特に問題は……それはそうと、あなたたちはどうしてここに?

あなたはこの世界を脱出する計画と船の造り方について話し、その流れで彼女も誘うことにした。

私:朧夜さんも記憶を失ったんですよね?ここを出たいなら、3人で協力しませんか?
朧夜:もちろん構わないけれど……そちらのあなたも、外に出たいと思っているの?
光塵:えっ?僕は出ちゃダメなのかい?
朧夜:ただ……何となく?長らくこの地にいるようだったから、出ていくところが想像できない気がして。
光塵:ちょっと傷つくなぁ。僕だって仕方なくここにいるだけさ。チャンスがあれば、脱出したいのは当然だろう?
私:でも、あなたが言っていた金色の鳥は、ここにしかいないんじゃない?
朧夜:金色の鳥……?
私:確か、人の願いを叶える力があるって言ってたよね。もしかして……
光塵:あれは精霊族に属する鳥でね。精霊族というのは特定の種族ではなくて、動物の身でありながら強大な力を持つ種族全般を指すんだ。
光塵:だからいろんな種族があるし、彼らの結びつきはそれほど強くない。
光塵:あの鳥たちが各種族から追われた時、手を差し伸べる者がほとんどいなかったのもそれが原因だった……
私:そんな……盟約はあったはずなのに。……朧夜さん、どうかしましたか?
朧夜:……大丈夫、少し眩暈がしただけ。続けてちょうだい。
朧夜:私も……その鳥たちがどうなったのかは気になるわ。
光塵:そうだね……残念ながら、人間側には詳しい記録がほとんどないんだ。伝説には、彼らが各種族の野心家たちに追われていたとしか……
光塵:願いを叶える能力に限界があるのか、彼らが捕まえた者の願いを叶えることを拒んだのか……
光塵:いずれにせよ、その数は急速に減り、叶えられた願いはわずかしかなかった。
光塵:金色の鳥はついに最後の1羽となり、欲深き追跡者たちから逃げ回った末、自ら魔境に身を堕とし、この争いを終わらせようとした。
光塵:朧夜さん、泣いてるの?
朧夜:ごめんなさい、断片的な記憶が甦ってきて……暗い夜、大勢に追いかけられていた記憶が……
朧夜:でも、悲しいことは思い出さないほうがいいのかしら?

◆はい
私:これは新しいスタートを切るチャンスです。
私:過去はもう葬られたんですから、もっと素敵な思い出をたくさん作りましょう。
◆いいえ
私:忘れることで一時の安らぎを得られるかもしれません。けれど、いつか思い出す日が来るなら……それは早い方がいい。
私:私だったら、記憶が戻った後の自分を怒らせるようなことは、絶対にしたくありませんから。

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