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研究領域
- アントニオ・R・ダマシオ「デカルトの誤り」第8章 ソマティック・マーカー仮説 P271
<ソマティック・マーカー>は何をするのだろうか?
ソマティック・マーカーは、ある特定の行動がもたらすかもしれないネガティブな結果にわれわれの注意を向け、いわばつぎのように言って、自動化された危険信号として機能する。
「もしこういう結果をもたらすそのオプションを選択するなら、その先の危険に注意せよ」。
この信号はあなたにネガティブな行動の筋道を即刻拒絶させ、他のオプションの中から選択するよう仕向ける。
この自動化された信号は将来の損失からあなたをまもり、面倒なことはこれぐらいにして、あなたが<より少数のオプションから選択>できるようにする。
(中略)
要するに、<ソマティック・マーカーは二次の情動から生み出された特別な感情の例>である。
それらの情動と感情は<学習により、いくつかのシナリオの予測される将来結果と結びついてきたもの>だ。
ネガティブなソマティック・マーカーが特定の予測結果と並置されると、その組み合わせが警報として機能する。
反対にポジティブなソマティック・マーカーが並置されると、それは誘因の合図になる。
(中略)
ソマティックマーカーはわれわれのために何かを熟考するわけではない。
それは、いくつかのオプション(危険なもの、または好ましいもの)を際立たせ、その後の考察からそれらをすばやく除去または選択することで熟考の手助けをしている。
それを予測の自動選抜システムと考えてもよく、それは、あなたが好んでも好まなくても、あなたの前にある予期される将来のきわめて多様なシナリオを評価するために作用する。
それを一種のバイアス装置と考えることもできる。
ダマシオ説でいうところのソマティック・マーカーとは、学習と予測によって生じた感情の一種である。
ソマティック・マーカーは、選択肢のうちネガティブなものを選ばせないようにして、ポジティブなものを選びやすくすることで、選択肢そのものを絞り、選択の時間を短縮する機能を持つ。
前提となる学問・研究領域
情動・学習学・学習・予測・感情
ソマティック・マーカーとは、情動と学習と予測によって生じた感情である。
集中力・注意の焦点・注意制御・イメージ・短期記憶・作業記憶・ワーキングメモリ
- アントニオ・R・ダマシオ「デカルトの誤り」第8章 ソマティック・マーカー仮説 P305
知識の提示のプロセスは、つぎの二つの条件が満たされたときのみ可能である。
第一に、あなたは<基本的な注意>のメカニズムを利用できなければならない。
このメカニズムによって、他のイメージを相対的に排除しながら、一つのイメージを意識の中に維持できるようになる。
(中略)
第二に、あなたは<基本的なワーキングメモリ>のメカニズムを有していなければならない。
このメカニズムによって、個々のイメージが数百ミリ秒から数千ミリ秒という比較的長い時間、保持される。
このことは、それらの個々のイメージを支えている地形図的に構成されている表象を、そのあいだ脳が繰り返し提示していることを意味している。
(中略)
基本的な注意とワーキングメモリがなければ一貫性のある心的活動を望むことはできないし、ソマティック・マーカーが仕事をする安定した場がないので、ソマティック・マーカーが作用することもできない。
ソマティック・マーカーには、注意(このwikiでは集中・注意の焦点・注意制御)とイメージとワーキングメモリが必要である。
解決すべき問題となる学問・研究領域
目的となる学問・研究領域
時間的に前提となる学問・研究領域
一般的な学問・研究領域
認知バイアス
ソマティック・マーカーは一種のバイアス装置と考えることもできる。