同情

Last-modified: 2016-03-16 (水) 05:05:19
 

研究領域

  • 「ミラーニューロンと<心の理論>」序章 自己と他者 P6

    間主観性は、他者の外的行動との同期的調整である模倣(imitation)、他者の内的心理との同期的調整である共感(sympathy/empathy)ともつながっていることは、容易に理解できよう。

  • 「ミラーニューロンと<心の理論>」第三章 「向社会的」共感の心理・生物学的メカニズム P103

    とりわけ向社会的行動を動機づけ、他者への攻撃的行動を抑制するといった心理社会的機能の基盤である共感(empathy)(Batson et al., 1995; Eisenberg & Lennon, 1980; Eisenberg et al., 2005)は、非言語的な手がかりから言語的記述に至る外部情報から他者の「心」を実感させ、刻々と変化する他者との関係の認知、これへの働きかけをうながす点において、自他の架橋たる心的機能であるといえよう。

    (中略)

    従来、共感性に関する多くの定義が提唱されており、その個々の立場は以下の3種に大別することができよう。

    ひとつは「他者の感情を体験する」という視点に重きを置くアプローチであり、たとえば「他者の感情状態と同様の反応がその観察者に生じること」とするメーラビアンとイプスタイン(Mehrabian & Epstein, 1972)の定義などがこれに該当する。

    その一方は、認知的側面を強調する立場、すなわち「他者の感情の中に自分を置き、その視点から他者を理解する」(Goldman, 1993; Hogan, 1969)という視点取得(perspective taking)の概念に相当する定義である。

    その両者の概念はしばしば混同されることもあるが、近年は共感性を多次元的に捉える方法論、すなわち共感性を、感情と認知の両要素を含み、複数の因子によって構成されるとする次元的アプローチが主流となっている。

  • 「ミラーニューロンと<心の理論>」第五章 ミラーとメンタライジング P165

    共感とは、他人の感情(あるいは感覚や痛みなど)を共有・理解することを指す。

  • マイケル・S・ガザニガ「人間らしさとはなにか?」5章 他人の情動を感じる P245

    共感の定義に関して長々と述べるのは控えるが、少なくとも、共感を覚えるとは、他者から伝わる情動的な情報を正確に捉え、意識し、気遣うことができるという意味である点は衆目の一致するところだと思う。

    他者の状態を気にかけるのは利他的な行動だが、正確な情報なしには起きえない。

感覚的な共感と区別される、感情的な意味での同情とは、他者の感情・感覚・痛みなどの情動的な情報を正確に捉え、意識・体験・共有・理解し、利他的に気遣うことである。

前提となる学問・研究領域

感情・感覚・快・苦・情動・中核意識・経験・メタ認知・理解・悟性・利他主義・利他的行動

同情とは、他者の感情・感覚・痛みなどの情動的な情報を正確に捉え、意識・体験・共有・理解し、利他的に気遣うことである。

過去に位置する学問・研究領域

血縁・血縁認識

  • ヒース『ルールに従う』第7章 超越論的必然性 7.1 懐疑論的解決 P295

    たとえば、しばしば注目されてきたのは、自然な共感はその範囲が極端に限られており、困っている人が何らかの仕方でわれわれと似ていたり、幼生的な(neotenous)特徴を示したりしているときに、より容易に助長される傾向があることである。

    このことは、明らかに血縁選択の遺産であるように思われる。

同情は血縁、さらには血縁認識の産物である。

原因となる学問・研究領域

寛大さ

  • クリストファー・ボーム『モラルの起源』第10章 更新世の「良い時期」と「悪い時期」と「危機」 言い争う分配 P330-331

    ひとつには寛大な動機による分配があり、これは、単に社会的な結びつきのある他者の必要とするものを察知し、同情して理解したという理由からおこなわれる。

同情は寛大さによって引き起こされることがある。

解決すべき問題となる学問・研究領域

暴力・攻撃・危害

同情は他者への攻撃的行動を抑制する。

目的となる学問・研究領域

互恵的利他主義・互酬

互恵的利他主義の手段=統制システムとして同情などがある。

属する全体である学問・研究領域

本質的な部分である学問・研究領域

視点取得

同情の認知的側面が視点取得に相当するという説がある。

心の理論・メンタライジング・マインドリーディング

  • wikipedia Empathy 3 Types of empathy 3.1 Affective and cognitive empathy
    http://en.wikipedia.org/wiki/Empathy#Affective_and_cognitive_empathy

    Empathy can be divided into two major components:[14]

    Affective empathy, also called emotional empathy[15]: the capacity to respond with an appropriate emotion to another's mental states.[14]

    Our ability to empathize emotionally is supposed to be based on emotional contagion:[15] being affected by another's emotional or arousal state.[16]

    Cognitive empathy: the capacity to understand another's perspective or mental state.[14][17]

    The terms cognitive empathy and theory of mind are often used synonymously, but due to a lack of studies comparing theory of mind with types of empathy, it is unclear whether these are equivalent.[18]

    (webmaster訳)共感は二つの主要な構成要素に分けることができる:

    感情的共感、あるいは情動的共感:他人の精神状態に対して適切な情動を返すことができる能力。

    われわれが情動的に共感できる能力は、他人の情動状態や覚醒状態に影響される、という情動的な感染に基づいているとされる。

    認知的共感:他人の視点や精神状態を理解する能力。

    認知的共感と心の理論はしばしば同義的に使われるが、心の理論と共感の種類を比較する研究が不足しているため、これらが等価であるかは不明瞭である。

同情の要素である認知的共感が心の理論に相当するという説がある。

非本質的な部分である学問・研究領域

前提となる学問・研究領域(疑いあり)