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研究領域
- wikipedia 罰
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BD%B0罰(ばつ)とは、法令や特定集団における決まりごと、道徳などに違反したものに対する公もしくは集団が行う、多くは当人に不利益または不快になることである。
罰とは、規範等に違反したものに対して行われる、当人に不利益・不快になることである。
規範のない動物の世界では、利他的行動や同調性や社会統制に反するものに対して行われるが、突き詰めると元々は強者の弱者に対する要求・命令・禁止に強制力を持たせるため行われている(後述)。
前提となる学問・研究領域
利害・快・苦
罰は、当人に不利益・不快になることである。
権力・権威
- クリストファー・ボーム『モラルの起源』第5章 太古の祖先をいくつか再現する ルールに従う――さもないと P131
どんなに控えめに見ても、アフリカで発祥したヒトとほかの類人猿三種は、「ルール」の何たるかについても直感的に理解している。
それはふつう、より強い者がある種の行動を要求したり、望ましくない行動をなくすように強要したりすることであり、これが見込めるのは、権威者から危害を加えられるおそれがあるからである。
罰は、より強い者がある種の行動を要求したり、望ましくない行動をなくすように強要したりして、権威者から危害を加えられることによってこの要求を強行する、という形でなされる。
支配・服従・威嚇・暴力・攻撃・危害
- クリストファー・ボーム『モラルの起源』第5章 太古の祖先をいくつか再現する ルールに従う――さもないと P133
チンパンジーとボノボとゴリラのあいだでは、ある種の基本的な事実が非常によく似ているように見える。
圧政的な者が下位の者に対し、簡単に「ルール」を押しつけるのだ。
たとえば狩猟採集をする一団が小さな良い餌場にありついても、服従者には「最初に行ってはならない。さもないと、わが物顔の圧制者にけんか腰で脅されたり、暴力をふるわれたりする」というルールがある。
罰は、支配者が服従者に対して、威嚇や暴力によってふるう形でなされる。
過去に位置する学問・研究領域
原因となる学問・研究領域
解決すべき問題となる学問・研究領域
目的となる学問・研究領域
要求・命令・禁止
罰は、要求や命令や禁止を守らせるために存在する。
属する全体である学問・研究領域
サンクション
罰はサンクションの一種である。
本質的な部分である学問・研究領域
非本質的な部分である学問・研究領域
利他的行動・利他主義
- wikipedia 互恵的利他主義 3 統制システム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%92%E6%81%B5%E7%9A%84%E5%88%A9%E4%BB%96%E4%B8%BB%E7%BE%A9#.E7.B5.B1.E5.88.B6.E3.82.B7.E3.82.B9.E3.83.86.E3.83.A0・道徳的攻撃性:「いかさま師」は互恵主義者のこのようなポジティブな感情を利用するため、いかさま師を見つけ排除するシステムは自然選択によって対抗適応として選択されやすい。
利他主義者は違反者に献身的な行為を続けるのではなくて、違反者の態度を変えさせようとする。
このメカニズムは非互恵的個体を教育したり、極端なケースでは隔離したり、傷付けたり、追放する。
人間の世界では、罰は具体的には利他的行動に反するものに対する攻撃等によって行われる。
だが、チンパンジー・ボノボ・ゴリラの世界では、罰は利他的行動とは関係なく、より強い者がある種の行動を要求・命令・禁止する際に、要求・命令・禁止が飲まれなかった場合に採られる措置としてある。
抵抗・弱者同盟・社会統制
- クリストファー・ボーム『モラルの起源』第6章 自然界のエデンの園 集団攻撃にかんする自然史 P182-183
霊長類学者は、確かに死に至らしめたようにみえる服従者の反逆の事例をいくつか実際に記述している――だが専門的に言えば、科学的に控えめな味方をする動物行動学者は、集団攻撃によって「失踪」に至ったものとしか見なしていない。
タンザニアにあるマハレの野外調査地点では、攻撃的なアルファ雄だったチンパンジーのントロギが、みずからのコミュニティのメンバーから集団攻撃を受け、そこで野外調査をしていた日本人研究者たちの前に二度と姿を現さなくなった(48)。
チンパンジーの雄は、敵対的な近隣の群れへ安全に移ることはできないので、ントロギはおそらく死んだのだろう。
私がゴンベにいたときに、そこのチンパンジーのアルファ雄だったゴブリンは、あまりにも激しい集団攻撃を受けたので逃げて放浪し、何ヶ月も周辺地域で生き長らえていた。
そこで敵の見回りに捕まっていたら、その場で殺されてしまっていただろう(49)。
実際にはゴブリンは、自分を拒絶した群れに社会的に受け入れられて長い年月を生き延びたが、ントロギは二度と姿を現さなかった。
彼は負傷がもとで死んだか、敵に捕らわれた可能性がある。
あるいは放浪中に自然な原因で死んだのかもしれないが、いずれにせよ、ゴブリンのように、追放によって死に至る危険にさらされたのは間違いない。
同様にザイールの野性ボノボのケースでは、雌のかなり大きな集団が乱暴者の雄を攻撃して、指に激しく噛みついた。
その雄は、ひどい傷をたくさん負って逃げ、二度と姿を見せなかった(50)。
チンパンジーにおいては、罰が反逆者の連合主体の社会統制によるものであることがありうる。
互恵的利他主義・互酬・興味・関心・期待・探索行動・好奇心・規則・同調性・信頼
- ジョセフ・ヒース『ルールに従う』第3章 義務的制約 3.1 社会規範 P115
まず第1に、主体たちは他者が報いると信じないならば規範に同調することを拒否するかもしれない。
また、そうすることがお返しの確率を改善するだろうと感じるならば、同調する可能性がより高くなるかもしれない。
- ジョセフ・ヒース『ルールに従う』第3章 義務的制約 3.1 社会規範 P116
ルールに従っているときですら、主体の動機は期待の構造と明らかに結びついている。
さらに、多くの規範同調的行為が成功するのは、まさにこうした期待のおかげである。
- ヒース「ルールに従う」第3章 義務的制約 3.6 社会的統合 P157
信頼は簡単に、全員が広く規範遵守的な性向を持っている(すなわち、彼らの規範的制約が彼らの欲求を上回るのに十分なだけ高いγの値を割り当てている)と全員が信じているような状態として定義することができる58)。
- ジョセフ・ヒース『ルールに従う』第3章 義務的制約 3.6 社会的統合 P159
このことはさらに、外的コントロール――サンクション――が協力的インタラクションを安定化する際に果たす役割に関する説明をも提供してくれる。
信頼がない状況においては、人々は裏切った場合に罰を受けることに合意することによって、自分たちは支配的な規範の集合を遵守するだろうという確信を生み出すことができるのである。
(中略)
しかし、信頼は懲罰メカニズムの完全性を維持するためにも必要とされているのである。
互恵性への期待による規範同調性が信頼をもたらし、これが機能すべきときに機能しない場合、罰が必要とされるケースがある。
この場合、規範の集合のサンクション以前の状態を考えて、規範同調性を「規則の集合を遵守する」程度の意味とみなす。
前提となる学問・研究領域(疑いあり)
追放
人間の世界では、罰は具体的には利他的行動に反するものに対する絶縁や追放によっても行われる。
チンパンジーにも追放は見られるが、これは明確に社会統制の要素を含む罰として行われているので、罰の手段の一つであると見た方がよい。
絶縁
人間の世界では、罰は具体的には利他的行動に反するものに対する絶縁や追放によっても行われる。
チンパンジーの追放を伴わない絶縁に関しては知見が少ないため、疑いありとして扱う。
人類学・人類・人間性
利他的行動に反するものに対する攻撃や追放をも含む罰は人間にのみみられる。
しかし、権力に基づく要求に伴う罰は、チンパンジー・ボノボ・ゴリラにもみられる。