美学・美

Last-modified: 2015-08-29 (土) 08:30:21
 

研究領域

  • wikipedia 美
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8E

    言語表現について述べれば、例えば、見事に開いた薔薇の花を「美しい」と人は表現し、あるいはレオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ(ジョコンダの微笑)』を美しいとも評する。

    古代エジプトの女王であったクレオパトラ7世は「美女」として著名であり、数学者は、抽象数学であるリー群やイデアル理論に出てくる定理を美しいと述べる。

    モーツァルトやフォーレの音楽は、繊細な美しさを持つと言われ、ヘルマン・ヘッセは、作品に『青春は美し』という題をつけた。

    また、日本語では、「姿ではなく、美しい心の持ち主」というような表現もする。

    これらの言葉の使われ方から窺えることは、「美しいこと・美」とは、何か良いこと・快いことであるが、またそれは「優れたこと」であり、また「感動」を人に与える何かであるということである。

  • wikipedia 芸術
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B8%E8%A1%93

    芸術(げいじゅつ、希: η τεχνη、 techne、羅: ars、英: art)とは、表現者あるいは表現物と、鑑賞者とが相互に作用し合うことなどで、精神的・感覚的な変動を得ようとする活動。

  • wikipedia 趣味
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%A3%E5%91%B3

    趣味(しゅみ)は、以下の二つの意味を持つ。

    人間が自由時間(生理的必要時間と労働時間を除いた時間、余暇)に、好んで習慣的に繰り返しおこなう事柄やその対象のこと。道楽ないしホビー(英:hobby)。

    物の持つ味わい・おもむき(情趣)を指し、それを観賞しうる能力(美しいものや面白いものについての好みや嗜好)のこと。英:taste、独:Geschmack

美学は、美・芸術・趣味を研究する。(芸術には疑いあり)
美とは、良いこと・快いことであり、同時に優れたものであり、感動を人に与える何かである。
芸術とは、表現者あるいは表現物と、鑑賞者との相互作用により、何らかの感動を得ようとする活動である。
趣味とは、自由時間に好んで行う事柄や対象であり、またはものの感動する要素やそれに感動する能力である。
これら三つに共通する要素を抜き出すと、美学は感動を研究する学問であると言える。

 

また、カント『判断力批判』や小田部胤久『西洋美学史』によると、美は連想や要約を働かせることで、感覚から感覚以上のものを得る快楽である。

前提となる学問・研究領域

評価・価値観・感性・直感

  • wikipedia 美学:歴史:バウムガルテンの「美学」
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8E%E5%AD%A6#.E3.83.90.E3.82.A6.E3.83.A0.E3.82.AC.E3.83.AB.E3.83.86.E3.83.B3.E3.81.AE.E3.80.8C.E7.BE.8E.E5.AD.A6.E3.80.8D

    引用

    美学(自由学芸の理論、下級認識論、美しく思いをなす技術、理性類似物の技術)は、感性的認識学の学である。(第1節)

    美学の目的は、感性的認識そのものの完全性にある。然るに、この完全性とは美である。そして、感性的認識そのものの不完全性は避けられねばならず、この不完全性は醜である。(第14節)

    美学の出発点は、知性的認識の学としての論理学を感性的認識の学で補完することにあった。

美は感性に基づく。

認知・認識

  • wikipedia 美:認識論的把握
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8E#.E8.AA.8D.E8.AD.98.E8.AB.96.E7.9A.84.E6.8A.8A.E6.8F.A1

    認識論的把握

    近世に入ると、美を存在の賓辞ではなく、人間の認識の構造から説明しようとする論者が登場する。

    これには心理学的把握と狭義の認識論的把握を挙げることができる。

    これはイギリス経験論と大陸合理主義哲学の影響下に発達した学説であるが、のちには実証的心理学の影響も受けて、現代における美の把握の一潮流をなしている。

近世以降の美学は人間の認識から説明可能なものである。

感情

美は感動であり、感動とは感情の大きな動きである。
よって、美は感情を前提とする、と言えるのではないだろうか。

過去に位置する学問・研究領域

原因となる学問・研究領域

解決すべき問題となる学問・研究領域

目的となる学問・研究領域

属する全体である学問・研究領域

本質的な部分である学問・研究領域

セクシュアリティ・エロス・環境学・環境・自然・アフォーダンス・生態学・生態・生態系

  • 西田利貞『人間性はどこから来たか』京都大学学術出版会 256-257P

    3 社会仮説と美意識の発生

    美意識の起源には、二つあるようだ。一つは性衝動に求められ、異性にとっての魅力が美となったと考えられる。

    (中略)

    4 生態仮説と美意識の発生

    美意識の第二の起源は環境の分類であり、生態仮説で説明する方が容易である。

美意識は進化論的には性衝動・環境の分類によって生じたという仮説がある。

非本質的な部分である学問・研究領域

文化人類学・文化・模倣・学習学・学習・創造性

  • フランス・ドゥ・ヴァール『サルとすし職人』4 アニマル・アート コンゴの絵を壁に飾りますか? P146

    しかし生物学者は、動物といえども美的表現に不案内ではないと思っている。

    ニューギニアに生息するニワシドリが作る巣がその良い例だ。

    (中略)

    近所におとなのオスが製作した巣があれば、見学しに行ってレイアウトを学んできたりする。

    学習する機会はいくらでもあるのだ。

    巣の色や飾りの配置には地域差があって、どうやら特定のスタイルが文化さながらに伝播しているらしい。

  • フランス・ドゥ・ヴァール『サルとすし職人』4 アニマル・アート コンゴの絵を壁に飾りますか? P149

    たとえばミヤマシトドは、ひなのときに同じ種のおとなの鳴き声を聞いていないと、正常にさえずることができない。

    また鳴き鳥の鳴きかたには「方言」があって、地域によって歌の組みたてが異なる。

    オスのさえずりで地元出身かどうか判断できれば、メスには好都合だろう。

    遺伝的にその地域に適した相手を選べるからだ。

    場所によって歌いかたが変わる事実を踏まえると、鳥の歌は一般的な意味での本能とは言いにくい。

    創造性を発揮して、修正を加える余地があるからだ。

ニワシドリのオスは他のおとなのオスの作ったあずまやからレイアウトを模倣・学習する。
ミヤマシトドのオスは他のおとなの鳴き声からさえずりかたを模倣・学習し、創造する。
これら他者から学習する情報には地方差があり、文化と呼びうる。
美的感覚そのものは先天的にあるにせよ、内容は文化に基づく。

前提となる学問・研究領域(疑いあり)

人類学・人類・人間性(疑いあり)

ニワシドリやミヤマシトドの例から、美は人類にのみ見られるとは限らないといえる。

哲学・思想(疑いあり)

西洋ではバウムガルデンにより美を哲学的に体系化する動きがあったが、近代以前の日本には美意識や芸術はあっても美の哲学はない。
思索的体系を欠くからと言って、近代以前の日本の美意識や芸術を美学の対象に含めないのは不自然である。
よって、美学が哲学を前提とするとは言えないのではないだろうか。

芸術(疑いあり)

  • 小田部胤久『西洋美学史』東京大学出版会 1-2P

    すなわち、美学は、感性・芸術・美を対象とする哲学として誕生した。

    (中略)

    だがそうした了解は、一九世紀末に「芸術学(Kunstwissenschaft)」が「美学(Asthetik)」から独立することによって、次第に疑問視されるようになった。

    二〇世紀に入ると、「芸術」の目的は「美」ではない、という考えが次第に広まり(一九六〇年代には「もはや美しくない芸術」という術語も生まれる)、また、「コンセプチュアル・アート」のように「感性」と直接かかわらない芸術も登場するに従って、「感性=美=芸術」という三位一体の解体が現在進みつつある。

感性・美・芸術の三位一体は(少なくとも感性・美と芸術は)解体されうる。