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研究領域
- 「ミラーニューロンと<心の理論>」第2章 私のような他者/私とは異なる他者 間主観性の認知神経科学 P68
ウォルパートらの計算機モデルでは、中枢神経系は、運動制御ならびに運動学習を最適化するために、自身の身体ならびに身体と外部世界との相互関係を表象する内部モデルを持っていると考えられている(Wolpert, 1997; Wolpert et al., 1995)。
内部モデルには2種類あり、逆モデルは、望ましい結果やゴールを達成するのに必要な運動指令を提供する。
他方、順モデルは運動指令の遠心性コピーに基づいて運動系の次の状態やその感覚結果を予測する。
ある行為を実行する場合、まず、逆モデルによって、望まれる結果を達成するのに必要な運動指令が推定される。
運動指令は、実際に四肢の筋肉を収縮させると同時に、その遠心性コピーが順モデルに送られ、運動系の次の状態が予測される。
その予測結果は望まれる状態を比較され、この段階で不一致が検出されたら、再度、逆モデルによる運動指令の微調整が行われる。
運動指令を出してからその感覚結果を知覚するまでには不可避的に信号伝達に伴う時間的遅延が伴う。
したがって、仮に望まれる結果と知覚された結果との比較によってのみ遂行のエラーが検出されるのだとしたら、すべては後の祭りといったことになりかねない。
(中略)
しかし、実際は順モデルによる予測がなされるため、感覚フィードバックを得る前に速やかにエラーを検出し、動作を修正することができる。
- 「ミラーニューロンと<心の理論>」第1章 自己身体はどのように脳内で表現されているのか? P46
運動野由来の運動情報(遠心性コピーと呼ばれる)
このwikiでは、運動制御・運動指令を、望まれる(意図する)結果を達成するのに必要な運動のための運動野由来の運動情報としてとらえる。
前提となる学問・研究領域
運動野
運動制御・運動指令は運動野由来の運動情報に基づく。
過去に位置する学問・研究領域
原因となる学問・研究領域
解決すべき問題となる学問・研究領域
目的となる学問・研究領域
意図
運動制御・運動指令は望まれる(意図する)結果を達成するのに必要な運動のためのものである。
属する全体である学問・研究領域
本質的な部分である学問・研究領域
非本質的な部分である学問・研究領域
忘却
忘却がもたらす驚くべき効果|UTokyo Research
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/research-news/the-surprising-power-of-forgetting/
忘却というと、記憶を阻害するものとして悪いイメージを持つ人が多いかもしれません。
しかし、今回、東京大学大学院教育学研究科の平島雅也助教と野崎大地教授は、運動を学習する場合、その記憶を「少しずつ忘れる」ことは、むしろ、運動制御の指令を最適化する効果があることを初めて理論的に証明しました。
また、個々の記憶素子において軽微な忘却が起こることを仮定してニューラルネットワークモデルを構築すると、霊長類の一次運動野神経細胞で観察されるのとほぼ同じ神経活動パターンを再現できることを明らかにしました。
これらの結果は、脳の運動学習プロセスにおける軽微な忘却が、運動指令の最適化に貢献している可能性を示唆しています。
軽微な忘却は運動指令の最適化に貢献する。