ミラーニューロン・間主観性

Last-modified: 2015-05-19 (火) 05:14:51
 

研究領域

  • wikipedia ミラーニューロン
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%B3

    ミラーニューロン(英: Mirror neuron)は霊長類などの高等動物の脳内で、自ら行動するときと、他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活動電位を発生させる神経細胞である。

    他の個体の行動を見て、まるで自身が同じ行動をとっているかのように"鏡"のような反応をすることから名付けられた。

  • 「ミラーニューロンと<心の理論>」第1章 自己身体はどのように脳内で表現されているのか? P49

    デカルト的な自己は自己以外の存在を直接信じることができず、すべての物体的存在は自己の理性から演繹されるものでしかなかった。

    このような自己を独我論的自己という。

    ここで問題となるのは、そのような独我論的自己からいかにして他者が演繹されるのかということである。

    他者が私の「同類」として現れるためには、他者も独我論的に存在していなければならない。

    しかしながら私は自己以外の存在を直接信じることはできず、かといって他者の意識に立ち会うこともできない。

    こうして独我論的自己が他者を構成することに失敗してしまう。

    (中略)

    フッサールはその現象学の中で「自己はいかにして他者を了解できるのか」という問いの重要さを認識し、間主観性の問題として大きく取り上げた。

    (中略)

    先にメルロ=ポンティの身体性の哲学について触れたが、その真骨頂はむしろ身体性を基盤としてそこから間主観性へと展開していく部分にあり、そこでは「間身体性」という概念を中心に議論が繰り広げられている(メルロ=ポンティ, 1959)。

    (中略)

    ミラーニューロンは、まさにこの考え方が正しいことを示す証拠である。

    ミラーニューロンの定義は、①自己が運動をしたときに活動し、②かつ他者が同じ運動をするのを見たときにも活動する、ということである。

    (中略)

    他者身体の視覚入力は自己の内的感覚を呼び起こすことができるのであり、われわれの身体は、視覚を媒介として他者へと開かれているのである。

ミラーニューロンは霊長類などの高等動物の脳内で、自ら行動するときと、他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活動電位を発生させる神経細胞である。
これは哲学において、フッサールやメルロ=ポンティが論じた、デカルト的「自己以外の存在を直接信じることができない」独我論的自己を排して、「自己はいかにして他者を了解できるのか」という間主観性を説明することができるものでもある。
すなわち、ミラーニューロンによって、独我論的説明よりも不自然さのない、自己の他者に対する身体感覚的な了解=間主観性が可能になる。

前提となる学問・研究領域

ミラーニューロンは脳細胞である。

表情・ジェスチャー・音声

  • ジャコモ・リゾラッティ&コラド・シニガリア「ミラーニューロン」 P180

    じつは、F5野とブローカ野の解剖学的・機能的構造はともに、口-顔面部や口-喉頭部の運動表象だけではなく、腕-手部の運動表象をも特徴とするという、まさにその事実から、次のことがうかがわれる。

    つまり、個体間のコミュニケーションは、ひとつの運動様相(モダリティ)からではなく、顔面と腕-手部による動作や、これまた重要な「発声動作」の漸進的統合から進化したのであり、あとで見るとおり、こうした動作には、それぞれに関連したミラーニューロン系の出現が伴っていた。

ミラーニューロンは表情・ジェスチャー・音声に対応する形で出現した。

学習学・学習

  • 「ミラーニューロンと<心の理論>」第6章 脳の中の2枚の鏡 P207

    前節での機能についての議論と関連するが、ここではミラーニューロンの発生や由来について考えてみたい。

    (中略)

    もうひとつの考え方としては、主としてヘイズ(Heyes, 2010)により提唱されているミラーニューロンは連合学習(associative learning)により形成されたというものである(連合学習説)。

    連合学習は心理学の根本原理のひとつであり、生体によって、ある2つの事象が経験されるとき、それらの時間的接近性や確率的な随伴性によって、その2つの事象を結びつけるような学習が行われる、ということである。

ヘイズ説では、ミラーニューロンは連合学習により形成されたものである。

過去に位置する学問・研究領域

他者認識

ミラーニューロン以前の動物も社会的相互作用やコミュニケーションを行なっており、その際に同種他個体に対してのみ特定の行動をとっているため、他者認識が存在していると考えられる。

原因となる学問・研究領域

解決すべき問題となる学問・研究領域

目的となる学問・研究領域

属する全体である学問・研究領域

本質的な部分である学問・研究領域

非本質的な部分である学問・研究領域

前提となる学問・研究領域(疑いあり)