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研究領域
- ヒース『ルールに従う』第6章 自然主義的パースペクティブ 6.5 規範同調性 P326
たとえば、人間が行動を模倣する仕方には重要な同調バイアスが存在している。
複数の選択肢に直面するとき、個々人は人口の中でもっとも広く見られる行動的変異を選択するだろう。
このバイアスが言語習得において作用していることは、きわめてはっきりと見ることができる。
子供たちは当初、両親が使用している方言や発音を採用するが、ある年齢においてほとんど常に自分の仲間集団が好むものにスイッチするだろう78)。
さらに仲間集団の中から1人の個人を選択して自分のモデルとするのではない。
彼らが採用するのは、集団の大多数の行動を表現しているものである。
この領域や他の多くの領域において、人間の学習は「郷に入っては郷に従え」バイアスを持っている。
このことがどのようにして適応的でありうるのかを理解することは難しくない79)。
人間は仲間集団の好みに合わせる同調性を持つ。
前提となる学問・研究領域
学習学・学習・認知バイアス
同調性は学習におけるバイアスである。
過去に位置する学問・研究領域
原因となる学問・研究領域
解決すべき問題となる学問・研究領域
目的となる学問・研究領域
反抗・弱者同盟・社会統制
- クリストファー・ボーム『モラルの起源』第5章 太古の祖先をいくつか再現する 祖先の「社会統制」 P138
追いかけっこの舞台は敷地じゅうで、ソッコは金切り声を上げて恐怖で脱糞し、ジモーは血まなこで捕まえようとしていた。
ジモーが自分の目的を果たす前に、近くにいた何頭かの雌が「ウォアオゥ」と吠えだした。
この起こった声は、攻撃者や侵入者に抗議する際に使われる。
当初、声を上げる雌たちあ、周囲を見まわしてほかのメンバーがどう反応するか確かめていた。
だが、ほかの者――とくに最高位の雌――が加わると、声はたちまち大きくなって、ついにはまさにだれの声も、耳を聾せんばかりの合唱の一部となった。
初めばらばらに声が上がるさまは、まるでグループで評決しているかのようだった。
抗議の声が増えて大合唱になると、ジモーは神経質に歯をむき出す笑みを浮かべて追跡をやめた。
メッセージを受け取ったのだ。
ここで彼がやめなかったら、騒ぎを終わらせるために雌が一斉に行動を起こしていたにちがいない。(45)
同調性は服従者が弱者同盟によって支配者に反抗し社会統制する際に役立つ機能である。
属する全体である学問・研究領域
本質的な部分である学問・研究領域
非本質的な部分である学問・研究領域
群衆・群集・無名の群れ
- 山極寿一『家族進化論』第5章 家族の進化 2 道徳の同調と共感能力 P215
もちろん動物の社会のつくり方や知能も関係している。
単独で暮らしている動物より群れで暮らしている動物のほうが同調は起こりやすいし、サルより類人猿のほうが巧妙な模倣をする。
単独で暮らしている動物より群れで暮らしている動物のほうが同調は起こりやすい。
前提となる学問・研究領域(疑いあり)
人類学・人類・人間性
- 山極寿一『家族進化論』第5章 家族の進化 2 道徳の同調と共感能力 P215-216
かつて私は(財)日本モンキーセンターでチンパンジーの飼育を手伝っていたとき、チンパンジーにからかわれたことがある。
(中略)
このメスは私の行為ばかりではなく、私の意図や気分も見抜いてまねていたにちがいない。
動物園で類人猿を飼育したことがある人は、だれでもこのようにからかわれた経験をもっている。
チンパンジー、ゴリラ、オランウータンは自分とはちがう種の相手でも、その体に同化し、相手の意図までそっくり模倣する能力をもっているのである。
もちろん人間はこの能力にもっとも秀でている。
山極の説によると、動物特に類人猿にも模倣・同調性がある。