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研究領域
この項目では、主に人類の多産について扱う。
前提となる学問・研究領域
生物学・生命・増殖
多産とは増殖に関する事柄である。
捕食圧
- 山極寿一『家族進化論』第2章 進化の背景 18 平等な社会 P123
直立二足歩行は長距離歩行を可能にし、カロリーの高い食物の探索力を高め、捕食圧は多産性を強め女の負担を重くし、食物の採集活動における男女の分業を生みだし、消化器の縮小によって脳を大きくする道を開いた。
捕食圧は多産性を強める。
過去に位置する学問・研究領域
原因となる学問・研究領域
解決すべき問題となる学問・研究領域
目的となる学問・研究領域
属する全体である学問・研究領域
本質的な部分である学問・研究領域
非本質的な部分である学問・研究領域
人類学・人類・人間性
捕食圧による多産は動物に広範に見られる。一般に捕食されやすい動物ほど多産である。
採集・肉食・子育て
- 三井誠「人類進化の700万年」第1章 人類のあけぼの 食料提供仮設 P37-38
時がたつにつれ、安定した直立二足歩行をするオスが現れ始めた。
これらのオスは、自由になった手で多くの食糧をメスに運べるようになった(図1-5)。
持ち帰った食糧は、木の実や植物の根、ときには肉食獣が食べ残した動物の死骸だったと考えられている。
それが繁栄の足がかりを築く。
メスが一人で育てるよりも、オスが食糧を届けてくれるおかげで子育ての効率は上がり、この習慣と骨格を身につけた集団は少しずつ繁栄していくようになった。
それが人類なのだ。
「見てきたようなウソ」と感じられるかもしれないが、それなりの根拠もあるようだ。
一つは、初期人類は子育ての効率が上がっていた可能性があることだ。
チンパンジーの出産間隔は五~六年といわれている。
一方の人類は、現代人のことだが、自然に任せると二~四年といわれている。
少子化に悩む先進国が多いが、潜在能力としての人類の出産能力は高いらしい。
チンパンジーと人類の出産間隔の違いは、生きた環境から説明される。
チンパンジーが住むのは豊かな森。
オスが食糧を運ばなくても子どもは育つ。
安定した環境では子どもの死亡率が低いので、少ない子どもを大事に育てれば、子孫は繁栄できる。
チンパンジーは極端な”安定主義者”といえる。
しかし、森林の減少が進む現代では、この性質があだとなり、チンパンジーは絶滅の危機にさらされている。
初期の人類はどうなのだろう。
サヘラントロプスが見つかった森や草原、湖が混在するような所では、食糧を集めて回らなければならない。
豊かな森で豊富な果実を食べて生きるチンパンジーに比べれば、飢餓の危険も高い。
その危機を乗り越えられた理由が、オスの協力かもしれない。
この説を提唱した米オハイオ州にあるケント州立大のオーエン・ラブジョイ博士は、一九八一年の論文の中で「オスの協力により手に入れられる栄養が増したメスは、出産間隔が短くなるとともに、生存率も上がり、新たな環境で生き抜くことが可能になった」と強調している。
ラブジョイの説によると、初期人類の場合、直立二足歩行が肉食含む採集を容易にし、これが子育てを容易にしたことで、多産がもたらされたと説明される。