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研究領域
- 山極寿一『家族進化論』第4章 生活史の進化 10 脳の大きさと生活史の変化 P200
現代人の女の子は一〇歳ぐらいから、男の子は一二歳ぐらいから数年間にわたって身長や体重が急速に増加する時期がある。
これを思春期スパートとよぶ。
この項目では、思春期スパートが存在する期間である、青年期について扱う。
前提となる学問・研究領域
成長・胚発生
青年期は成体になる前に存在する時期である。
社会的認知・役割
- 山極寿一「家族進化論」第4章 生活史の進化 10 脳の大きさと生活史の変化 P202
オランウータンは、前にも述べたようにずっと成熟した外見を示さずに若くみえるオスがいる。
近くに成熟したオスがいると、外形的な発達が抑えられるのだ。
人間の男の外形的な成熟にも社会的な抑圧が働いているかもしれない。
少なくとも、外形的な成熟を示す時期について過去に社会的な淘汰圧が働いたと考えられる。
- wikipedia 社会的認知
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%84%E8%AA%8D%E7%9F%A5社会に関するスキーマは社会的スキーマと呼ばれ、テイラーとクロッカーによって人格特性などについて規定する人スキーマ、自己の特性について規定する自己スキーマ、年齢や人種、職業などに基づく役割を規定する役割スキーマ、ある事態に対する人間の行動を規定する事象スキーマの四つに分類された。
青年期は社会的認知における社会的スキーマ(特に年齢・性などの役割スキーマ)の影響を受ける。
過去に位置する学問・研究領域
原因となる学問・研究領域
解決すべき問題となる学問・研究領域
目的となる学問・研究領域
属する全体である学問・研究領域
本質的な部分である学問・研究領域
非本質的な部分である学問・研究領域
人類学・人類・人間性
- 山極寿一『家族進化論』第4章 生活史の進化 10 脳の大きさと生活史の変化 P201
これは、それまで脳の成長に回されていたエネルギーが、脳の成長が止まるとともに体に回されるようになるために起こる。
十分なエネルギーを得て、体の成長が加速するのである。
- 山極寿一『家族進化論』第4章 生活史の進化 11 老年期の進化 P201-202
思春期スパートは、類人猿でもみられ、とくにオスでははっきりしている。
時期は人間より早く、メスには思春期不妊といって数年間妊娠しにくい時期がある。
しかし、人間よりも早く出産を始める。
オスは人間と同じように、生殖能力がついても体はなかなかおとなにならない。
ゴリラのオスは一三歳が過ぎると筋肉がついて、成熟したオスにみられるような背中の毛が白銀色に変化する。
しかし、前腕の毛が長くなり、後頭部が突出して完全に成熟するのは二〇歳を超えてからである。
- 山極寿一『家族進化論』第4章 生活史の進化 11 老年期の進化 P205
現在わかっている化石証拠からは、子ども期は約二二〇万年前、青年期は約八〇万年前には始まっていたと推測される。
つまり、脳の増大が始まったホモ・ハビリスのころにはすでに早期の離乳と身体の成長遅滞が起こっている。
そして、現代人並みの脳の大きさが達成されたホモ・ハイデルベルゲンシスでは、思春期スパートが起こっている。
青年期は人類のみならず類人猿にもみられる。
人類の場合、思春期スパートは子ども期の脳の成長が終わった結果生じる。また、時代的にも子ども期が発現した時代の後で青年期が発現した時代があった。
だが、類人猿の場合はそのような前提はない。
よって、青年期は、類人猿と人類とで、独立の進化の過程でそれぞれ獲得したものであると推測される。
子ども期
一見、人類の場合は、発生的・時代的ともに子ども期の後に青年期があるように見えるが、これは類人猿の場合に存在しない傾向であり、人類に早期の離乳と身体の成長遅滞=子ども期が発現した後の特徴にすぎない。類人猿の場合は子ども期がそもそも存在しないため、子ども期と青年期の関係は人類のみにみられる。
すなわち、青年期において子ども期の存在は非本質的なものである。