クリスタル・パレス「幽霊」事件調査/第二章

Last-modified: 2022-11-12 (土) 09:21:57

クリスタル・パレス「幽霊」事件調査ーー同じドームの下で

クリスタル・パレス.jpg

イベントストーリー

※ガチャの方はこちら

第二章

これは2つ目の調査報告だ。別バージョンの調査過程が記録されている。
この報告が違った角度から1つ目の「幽霊」事件調査を補完してくれるだろう。

心の鍵:調査員さん、どの幽霊目撃事件から調査しますか?

◆【2回目の幽霊目撃事件】

  • 1.「幽霊」の発光の謎(1)/左廊下
    心の鍵:じゃあ、2回目の幽霊目撃事件から始めよっか?
    調査員:ずいぶんと楽しそうだな、心の鍵さん。
    心の鍵:幽霊事件だよ!私、こういう噂話大好きなの!
    調査員:まず目撃者である退役軍人の看守に、2回目の幽霊目撃事件について聞きに行こう。
    退役軍人の看守:2回目の幽霊目撃事件について調べるのか?
    退役軍人の看守:前にも言った通り、あれは私の人生で最高の瞬間だった。
    私の放った銃は、一撃で【ドーム】を貫通し「幽霊」に命中したんだ。

    ◆【銃?】
    退役軍人の看守:(得意気)クリスタル・パレスで銃が支給されているのは私だけだ。
    私は戦場で戦ったこともある。公爵から信頼されて当然だ!
    退役軍人の看守:昨晩のパトロールの時、銃を持って行けと公爵に言われたのさ。
    調査員:その銃を見せてもらえるか?
    退役軍人の看守:ダメに決まってる。我々の銃は普段しまわれていて鍵もかかっているんだ。
    ここはクリスタル・パレスだ、戦場ではない!
    退役軍人の看守:ざっくり教えるくらいなら問題ないさ。
    私の銃はリー・エンフィールドのカービンで、弾丸は.577口径の円錐弾。
    これは騎兵専用の銃だ。
    調査員:騎兵専用?君は昔、騎兵だったのか?
    退役軍人の看守:私は元々海軍の炊事係だったんだがーー
    退役軍人の看守:(両手を腰に当てて)海兵が騎兵に憧れてはいけないのか?
    騎兵になることは私の小さい時の夢だったんだ!

    ◆【ドーム?】
    調査員:ドーム?この建物の屋根のことか?
    心の鍵:(上を指さしながら)ああ、クリスタル・パレスの屋根はかの有名な【クリスタル・ドーム】だーー
    クリスタル・パレスの屋根は全てガラス張りになっていて、ドームを見上げれば空が見える。
    調査員:……ドームが透明だからこそ、外にいた幽霊も、銃が命中した時の様子も確認できたってわけさ。
    調査員:「幽霊」が撃たれた時の状況をもう一度詳しく話してくれないか?
    退役軍人の看守:弾丸が命中した時、幽霊の体から光が弾けたんだ。
    それと、「ボン」という爆発音以外にも、弾丸が何か固い物に当たったような音がした。
    退役軍人の看守:そして幽霊はドームの東側に倒れて行き、消えてしまったんだ。
    調査員:一緒に現場を確認しに行ってくれないか?
    退役軍人の看守:ああ、いいとも。
  • 2.「幽霊」の発光の謎(2)/右廊下
    退役軍人の看守:上を見ろ。ドームの右側のあそこ、ほら、あの穴だ。
    調査員:どうして右廊下のドームは穴だらけなんだ?
    退役軍人の看守:クリスタル・パレスの人気が衰えてから、
    ドームの鉄筋とガラスの修繕費用がずっと足りてなかったんだよ。
    それで気がついた時にはこうなってしまっていたのさ。
    調査員:でも左廊下のドームはきれいだったような?
    退役軍人の看守:左廊下で展覧会があるからだよ。
    それで最近、特別に修理を行ったんだ。
    退役軍人の看守:もし修理しないまま展覧会を開いて、訪問者が盛り上がった拍子にガラスが落ちて来たら、危ないだろ?
    退役軍人の看守:でも、ドームを丸ごと修理するのは時間も労力もかかるし、危険もある。
    左廊下側の修理が終わった頃には、もうここのドームを修理する時間がなかったんだ。
    退役軍人の看守:それに右廊下は前にあった事故で酷く破損したからな。
    修理するにしても、数日で終わらせられるほどの作業量じゃない。
    調査員:あの穴がそうなのか?
    あそこは普通に立ってるだけでも難しいように見えるが?
    退役軍人の看守:(頷きながら)ガラスに立つなんて、少しでも足元の重心を間違えたら、ガラスが割れて落っこちる可能性もある。
    退役軍人の看守:(考え込む)なのに幽霊はあの上で……あんな軽やかで素早く動けていたなんて。
    調査員:幽霊はどうやってドームまで登ったんだ?
    ドームに繋がる通路なんかがあるのか?
    退役軍人の看守:いや。クリスタル・パレスのドームは一番高い部分だと30メートル以上あるうえ、弧を描いたような形をしている。
    特別なハシゴを使わない限り、上に行くのは不可能だ。
    退役軍人の看守:そしてハシゴは5日前に左廊下の修理が終わった後、工事チームに回収されてしまったんだ。
    退役軍人の看守:公爵はハシゴを戻すよう工事チームに連絡を入れたが、早くても夜まで待つ必要がある。
    退役軍人の看守:幽霊撃退後、誰もまたドーム上の状況を確認できていないんだ。
    退役軍人の看守:もし今すぐ上に行きたいのなら、自分でなんとかしてもらうしかない。
    私は左廊下に戻って、展示ブースの設置をしないといけないんだ。(慌ただしく去って行く)
    調査員:ハシゴ以外に、すばやくクリスタル・ドームに登る方法はないだろうか?
    調査員:(辺りを見回す)高さ的に、両側の店舗の上にある足場、中央の噴水、植物園の樹など、どれもドームの縁に届きそうだ。
    心の鍵:(ドームを見上げている)
    調査員:心の鍵さん?
    心の鍵:(うっとり)クリスタル・ドームーーかつてはクリスタル・パレスの設計者の誇りだったんだ。
    室内全てに太陽の光と月の明かりを注ぐなんて、なんてロマンチックな設計なんだろうね。
    心の鍵:(苦笑)でも今ではただの重荷と迷惑でしかない。
    雨や風、冷たい雪が降る度に、壊れたドームのせいでクリスタル・パレスはもっとボロボロになっていったの。
    調査員:……このままでは、いずれクリスタル・パレスは完全に朽ちてしまう。
    心の鍵:そんなのおかしいよ。
    このクリスタル・パレスはーーみんなの憧れだったのに。
    調査員:あそこに噴水があるな。
    今は作動していないが、底に溜まった水はとても澄んでいる。
    調査員:噴水のてっぺんまで簡単に登れるが、ドームの縁には到底届かない。
    調査員:バランス訓練を積んだ超人的な跳躍力を持った人間が、数メートルジャンプすれば、辛うじてドームの縁に届くだろう。
    調査員:廊下の両側にある店舗に、鉄筋の足場がたくさん置かれている。
    だが体重をかけにくく、登るのに向いていない。
    心の鍵:何を考えているの?幽霊が鉄筋を使って上まで登ったんじゃないかって?
    心の鍵:ありえないでしょ。
    こんなサビだらけで曲がってる足場なんて、店を支えるのだけで精一杯だよ。
    心の鍵:(小さく笑う)こんな状態の鉄筋に登ったら、途中で折れて真っ逆さまじゃん。
    調査員:もう少し観察させてくれ……左側にある店舗の上、ドームの縁が欠けているな。
    調査員:位置は植物園の大木の近くだ……
    調査員:木の上からなら、あのドームの縁に飛び移れるかもしれない。
    そしたら、欠けたところから中心部分まで登れそうだ。
    調査員:心の鍵さん、あの植物園は……
    心の鍵:クリスタル・パレスは元々、植物園にあった花の温室からインスピレーションを受けて造られたんだ。
    心の鍵:クリスタル・パレスの設計初期の段階からすでに、
    建築士のジョセフ・パクストンはロンドンのハイド・パークの植生を建物内で再現すると決めてたんだよ。
    心の鍵:だから完成したクリスタル・パレスは、自然と室内植物園のような独特な雰囲気になったんだ。
    その特徴は場所を移した今でも変わってない。
    心の鍵:そしていつしかこの植物園の植物は、右廊下の扉まで生い茂ってしまった。
    だから、あの扉はもう鍵をかけて使えなくしてあるの。
    心の鍵:そしていつしかこの植物園の植物は、右廊下の扉まで生い茂ってしまった。
    だから、あの扉はもう鍵をかけてつかえなくしてあるの。
    調査員:近くで見てみよう。
    調査員:(木の茂みに近づく)何の音だ?

    怪しい人影が大木のうろから現れた。

    樹洞の捨て子:(三男)お腹空いたよ。看守?
    もう、やっと来てくれたの?今日のご飯はなに?
    樹洞の捨て子:(次男)三男、ちゃんと見ろ!そいつは看守じゃない!
    そいつらには看守のようなきれいなヒゲが生えてないじゃないか!
    心の鍵:(大木のうろを指さしながら)樹洞だ!木に樹洞がある!
    そしてその中に人がーー!
    樹洞の捨て子:(三男)ヒヒヒ、ここは僕達の家だよ。
    ……まさか、イタズラしに来たんじゃないよね!
    調査員:……ここに住んでるのか?
    樹洞の捨て子:(三男)ここに隠れて誰とも話すなと看守から言われてるんだ。
    だから君とは話さない。
    調査員:看守と友達なのか?
    樹洞の捨て子:(次男)当たり前だろ、看守は僕達に食べ物を持って来てくれるんだ。
    樹洞の捨て子:(三男)看守が2日も来てないんじゃなかったら、姿を見せたりしなかったさ!
    心の鍵:(小さく笑う)変な人たちね。ちょっと幽霊に似てると思わない?
    調査員:いや。毎回人目を避けて出現する幽霊が、こんなおかしな行動をするはずないだろう?
    心の鍵:あいつらがあの木を占領しちゃってるけど、ここからどうするの?
    調査員:あの3人は看守と親しいみたいだから、左廊下に戻って看守に話を聞いてみよう。
  • 3.「幽霊」の発光の謎/左廊下
    看守は蝋人形館の前で何やら忙しく動き回っていた。
    看守のそばにいた瘦せ細った人物は、調査員の行く手を遮るようにしてこちらに近づいてきた。

    蝋人形館長:初めまして。君が今回の幽霊事件の調査員だね?
    調査員:(相手の肩にくっ付いている蝋人形を見つめながら)
    初めまして、君が【蝋人形博物館】の蝋人形師さんだな。
    蝋人形師:その通り。君に用があって探していたんだ。
    蝋人形師:(細くて小さな円錐型の金属を差し出す)実は、こんなものを見つけてね。
    調査員:これは……?
    蝋人形館長:恐らく、弾丸だろう。

    ◆【弾丸ならば、なぜ公爵に渡さないんだ?】
    調査員:弾丸?なぜ公爵ではなく私に渡すんだ?
    かなり重要な証拠品だというのに……
    蝋人形館長:調査員は公爵ではなく、君だからだよ。
    調査員:それはつまり……
    蝋人形館長:(皮肉に微笑む)君が探しているのは真相だ。
    だが公爵は、自身の望む結果のためにしか行動していない。
    蝋人形館長:私をがっかりさせないでおくれ。

    ◆【どこで弾丸を見つけたんだ?】
    調査員:(弾丸を観察しながら)シルバーの円錐型の弾頭はすでに潰れていて、しかも焦げた黒い跡がある。
    血は付着していないようだが……
    調査員:どこでこれを見つけたんだ?
    蝋人形館長:今日の午後、蝋人形館で。
    調査員:なぜーー蝋人形館に弾丸が?
    蝋人形館長:(肩をすくめる)悪いけど、私はまだ用があるんだ。それでは。
    調査員:まさかこの弾丸……昨夜の幽霊と関係しているのか?
    調査員:看守に確認してみよう。
    看守はちょうど、あそこで展覧会の準備をしている。
    調査員:看守、手伝ってほしいことがあるんだが。
    退役軍人の看守:もう進展があったのか?
    調査員:(まずは弾丸について聞いた方がいいだろう)
    退役軍人の看守:これはーー私の弾丸じゃないか。
    調査員:本当か?昨晩、幽霊に命中した弾丸で間違いないか?
    退役軍人の看守:.577口径の円錐弾、間違いない。
    調査員:これは蝋人形館の中で見つかったんだ……
    もし本当にこれが幽霊に命中した弾丸だとしたら、それはーー
    調査員:弾丸はきっと幽霊の体に食い込んでいたに違いない。
    今日の左廊下での3回目の出現で、幽霊が蝋人形館に駆けこんだ際に弾丸が落ちたんだ。
    調査員:弾丸の先端が変形している。
    恐らく非常に固い何かに当たったんだろう。つまり……
    退役軍人の看守:幽霊には実体がある。
    それが何であろうと、幽霊の体は非常に硬い物で出来てるはずだ。
    調査員:本当か?
    退役軍人の看守:私は戦争も経験している。
    筋肉やレザー、鎧など……弾丸が異なる物に当たった時の変化はよく分かっているつもりだ。
    退役軍人の看守:この弾丸はきっと硬い物に食い込んでいた。それも相当深いところまで。
    じゃなければ、もうとっくに落っこちていたはずさ。
    心の鍵:樹洞にいた妙な3人組について聞くのを忘れないでよね。
    調査員:そうだ、看守。
    植物園にいる君の友人について、話を聞いてもいいか?
    退役軍人の看守:植物園の友人?
    調査員:(手で1メートルほどの高さを測りながら)大体これくらいの身長の3人組だ。
    退役軍人の看守:ああ……声を落としてくれ。あいつらのことを他人に聞かれちゃ困るんだ。

    ◆【奇妙な三兄弟の来歴】
    退役軍人の看守:彼らは樹洞の三兄弟。
    先天的な奇形のせいで、幼い頃にクリスタル・パレスの樹洞に捨てられたんだ。
    退役軍人の看守:……この事はどうか内密にしてくれ。あの3人は私の友人なんだ。
    彼らがずっと植物園で暮らしていることは誰も知らない。
    退役軍人の看守:もし公爵に気付かれたら、きっと3人は追い出されてしまう。
    心の鍵:(小さく笑う)それよりも悲惨なことになるかも。
    カゴに閉じ込められて、見世物にされるとか。

    ◆【どうすれば三兄弟と会話できるか】
    退役軍人の看守:あの3人が何かやらかしたのか?
    調査員:植物園で調査をしたいのだが、彼らが大木を占領している上、私達の話も聞いてくれないんだ。
    調査員:だから、君なら何か方法があるんじゃないかと思ってーー
    退役軍人の看守:(木の枝に刺さったリンゴを差し出す)ほら、これを使え。
    退役軍人の看守:このリンゴは友情の印だ。
    私は展覧会の準備があるから、悪いけど一緒には行けない。
    調査員:(リンゴの刺さった枝を受け取る)リンゴ?ありがとう。
  • 4.「幽霊」の発光の謎/右廊下
    樹洞の捨て子:(三男)また来たのか?
    調査員:看守からこれを預かって来た。
    調査員:(看守のリンゴを取り出す)
    樹洞の捨て子:(三男)リンゴ!リンゴだ!友達、新しい友達!
    心の鍵:(不機嫌そうに)こいつら、食べ物しか見えていないの?
    単純すぎるよ。
    樹洞の捨て子:(三男)新しい友達、なんの用か、話してみなよ。

    ◆【どうやって退役軍人の看守と知り合ったのか】
    樹洞の捨て子:(三男)前に看守が植物園にイノシシを隠してた時に出会ったんだよ。
    心の鍵:あの看守、イノシシを飼ってたの?
    イノシシを植物園に放して、どうするつもりだったわけ?
    樹洞の捨て子:(二男)さあ?
    樹洞の捨て子:(三男)僕達はここでイノシシのお世話を手伝ってあげてたんだ。
    しばらくしたら、看守はイノシシをクリスタル・パレスから連れ去った。
    樹洞の捨て子:(三男)それから看守はよく僕達に食べ物を持って来てくれるようになったんだよ。
    それと繰り返し、誰かに見られないよう、ちゃんと隠れるようにと言い聞かせてくれた。
    樹洞の捨て子:(二男)もうずっと長い間、植物園の周りで暮らしているんだ。
    もう今さら出られないし、出たくもないよ。
    樹洞の捨て子:(長男)出られない!出られない!

    ◆【木からドームの縁に飛び移ろうとした事はないか?】
    調査員:実はさっき、あの木の上から、左側の店の上にあるドーム縁の壊れた部分に飛び移れないか試したかったんだ。
    樹洞の捨て子:(三男)木登りならよくするよ!
    でも木のてっぺんの枝はすごく細いんだ。そこからジャンプするのは危険だよ。
    樹洞の捨て子:(二男)3人で一緒に登った事もあるけど、あと少しで枝が折れるところだったよ。
    樹洞の捨て子:(三男)折れる!折れる!
    調査員:(この者達は恐らく、成人男性の3分の1の体重しかないだろう)
    樹洞の捨て子:(三男)そういえば、もう一人登ろうとしてたヤツがいたんだった!
    調査員:君達以外に?いつのことだ?
    樹洞の捨て子:(三男)一昨日の夜かな。
    僕達は寝てたんだけど、枝が揺れる音と何かが落ちた音に起こされたんだよ。
    樹洞の捨て子:(二男)「バン」って音がしたんだ!
    落ちたのが僕だったら、きっと今頃バラバラさ。
    樹洞の捨て子:(三男)でもアイツは落ちたのに、全然へっちゃらだった。
    僕達が確認しに行った時にはもう、いなくなってたけどさ。

    ◆【昨晩の3兄弟の行方】
    調査員:昨日の夜、何をしていたんだ?
    樹洞の捨て子:(三男)寝てたに決まってるだろうーーでも起こされたんだ。
    樹洞の捨て子:(三男)本当は外に出て確認したかったんだけど。
    看守とあのクチバシ男が「幽霊」って騒ぎながら、辺りをウロウロしてたからさ。
    樹洞の捨て子:(三男)看守が先に僕達に気付いて、隠れるようにサインを送ってくれた。
    それで僕達は一晩中植物園にうずくまって、なんとか見つからずに済んだんだよ。
    調査員:(看守は公爵が3人の存在に気付くのを恐れたのだろう)
    樹洞の捨て子:(三男)ソイツらがいなくなった後、僕達はあのドームの穴から外に出て、
    幽霊が出た場所を見に行ったんだ。
    調査員:本当にドームに登ったのか?何か見つかったか!?
    樹洞の捨て子:(三男)僕はただドームの縁からのぞいてみただけだよ。
    ドームは穴だらけだからね。その上を歩きたくなんかないさ。
    樹洞の捨て子:(三男)それにドームは山の形になってるんだ。
    左側は全部死角になってる。でもーー
    樹洞の捨て子:(三男)へへーー僕はこれを発見したよーー折れた花火!

    折れた花火.png
    ーー真ん中から折れており、包装紙は弾け飛んでいる
    ーー真ん中の折れた部分に、黒い焦げ跡がある

    調査員:この花火についている跡に見覚えがあるぞ。
    あの弾丸の形と似ている気がする。
    調査員:弾丸、花火、光……
    心の鍵:何か分かったの?調査員さん?
    調査員:たぶんだが、幽霊が光った理由が分かった気がする!
    調査員:この弾丸は幽霊に命中した。
    調査員:黒い焦げ跡がついている。
    調査員:花火には弾丸と同じ焼け跡がある。
    調査員:ならば、幽霊が光った謎は明らかだ。
    調査員:退役軍人の看守が幽霊に向かって撃った銃弾は花火に命中し、中の火薬を引火させたせいで、光が弾けた。
    調査員:これが幽霊が光った本当の理由だ。
    看守の撃った弾丸はちょうど幽霊のそばにあった花火に命中したんだ!
    心の鍵:(真面目な顔で調査員を見つめる)……!
    調査員:あの時、弾丸が当たったことで花火が着火し、光が弾けたんだ。
    そして花火が弾けた音は、弾丸が幽霊に命中した音ーーつまり硬い物に命中した音を覆い隠した……
    心の鍵:(調査員の周りをグルグルしながら)うーん……うーん……

    ◆【心の鍵は何を見ているのか】
    調査員:……心の鍵さん?どうやって私を見つめているんだ?
    心の鍵:(タツノオトシゴに触れようと手を伸ばす)肩についてるこのタツノオトシゴはなんなの?
    調査員:これは【ディケンズ先生】ーー私の代弁者だ。
    心の鍵:代弁者?ただのラッパでしょ。もう分かってるから。
    手袋に付いてるマイクに向かって小声で話すと、このタツノオトシゴ型のラッパから声が流れるんだよね。
    心の鍵:なんでコソコソしてるのーー直接話せばいいのに、変な人。
    調査員:……ディケンズ先生はただのラッパではない。録音もできるんだぞ!
    調査員:(ディケンズ先生の復唱)変な人!
    心の鍵:おもしろーい、オウムみたい!
    調査員:音波だけでなく、電波も真似できるんだ。

    ◆【次の調査の方向性について討論する】
    調査員:幽霊は花火を持ってドームの上で何をしようとしてたんだ?
    調査員:そういえば、蝋人形館で発見した手稿に書かれていた「クリスタル・パレスに現れる花火」は、
    まさかこの花火と関連性があるのか?
    そして、花火はどこから持ち出されたのだ?
    心の鍵:花火ならいっぱいあるじゃない。
    ほら、そこーー花火ショップ【ファイヤーガイ】。
    調査員:あの花火ショップに行ってみよう。
  • 5.花火の痕跡を辿る・一(1)/花火ショップ
    花火ショップ.jpg
    花火のガイ:(奇妙な義足を引きずりながら近づいてくる)
    花火のガイ:いらっしゃいませ、ようこそ僕の花火ショップ【ファイアーガイ】へ!
    花火のガイ:僕はここのオーナーだ。
    花火のガイって呼んでね!色んな花火が置いてあるよ!
    調査員:初めまして、私は幽霊事件の調査を担当している調査員だ。
    花火のガイ:そうかそうか、久し振りのお客様だ!
    早く僕の花火ショップを見てくれ。

    花火のガイの観察
    ◆不思議な形の義足を片足に付けている(右脚が義足だ)
    ◆腰に奇妙な仮面を付けている

    調査員:(彼の小躍りと情熱はやけに影響力があるな)

    ◆【ガイの義足?】
    調査員:ガイオーナー、その足について聞いてもいいか?
    花火のガイ:昔のちょっとした事故で、体に少し傷が残ってしまったんだ。
    大した事ないよ、
    調査員:(ちょっとした事故に少しの傷?楽観的な人なのだろうか?)
    花火のガイ:それに、玩具店のオーナーがこの面白い義足をデザインしてくれたから、
    これが店の名物になるのを期待しているんだ!

    ◆【予告書の手稿に記された花火の宣言】
    調査員:(この花火ショップは、予告書の手稿に書かれていた花火を彷彿させる)
    調査員:(蝋人形館長で見つけた予告書を取り出す)少し聞きたいのだが、この予告書に見覚えはあるか?
    この中にクリスタル・パレスで「花火」を打ち上げると書かれているんだ。
    花火のガイ:(チラリと見る)いやいや、これは僕が書いたものじゃないよ。
    花火のガイ:公爵は随分前にクリスタル・パレスで花火を放つのを禁止していたんだ。
    小さな爆竹ですらダメでさ。僕が公爵の言い付けを破るはずないだろう?

    ◆【昨晩の事について聞く】
    調査員:ガイさん、昨晩はどこにいたんだ?
    花火のガイ:義足が壊れてしまったから、遅くまでずっと店で修理していたんだ。
    調査員:昨夜現れた「幽霊」について、何か気付いた事は?
    花火のガイ:ああ、あの時、騒がしい声が聞こえたと思ったら、銃声が響いたんだ。
    花火のガイ:でも、義足が壊れていたせいであまり動けなくて、辛うじて玄関まで行って、
    公爵たちがウロウロしてたのを見ただけだよ。
    調査員:それを証言してくれる人はいるのか?
    花火のガイ:し、証言?……あ!あ!玩具職人さんだ!
    昨夜、彼女は僕の義足を修理しようとしたんだけど、パーツが足りなかったせいでできなかったんだ。
    花火のガイ:(慌てて)……まさか、僕がドームに登った幽霊だと疑ってるの?
    この足でドームまで登れるわけないじゃないか。
    調査員:(確かに、片足の男性がドームの上で動き回るのは不可能だ。
    それに、もし彼がドームで撃たれたのなら、なぜ今もピンピンしている?)
    花火のガイ:ほら、眉間に皴ばかり寄せていないで!
    せっかくのお客さんなんだから、花火ショップを案内してあげるよ!
    ポスター.png
    調査員:このポスター……どこかで見たような。
    花火のガイ:知ってるの?
    これはクリスタル・パレスで開かれた初回万国博覧会開幕式の花火パーティーのポスターさ。
    調査員:そうだ、確か昔の【ポンチ】雑誌に合ったクリスタル・パレスのコラムで見たんだった。
    花火のガイ:出来る事なら、過去に戻ってこの日の花火ショーの盛況を自分の目で見てみたいよ!
    この後悔が僕の励ましとなって、今日まで歩いてこれたんだ。
    花火のガイ:そして今、僕はようやくクリスタル・パレスのドームの下で自分の花火ショップを持った。
    花火のガイ:まあ、結局は……
    調査員:あれ、ポスターの下に数字の羅列が小さく書かれているな。
    215321532ーーこの手書きの数字は一体?
    花火のガイ:あ、僕が書いたんだ……ちょっとした警告だよ。気にしないで。
    調査員:【ファイヤーガイ】ーー実に興味深い店だ。
    「ガイ」とは「ガイ・フォークス」のことか?
    花火のガイ:そう、ソイツだよ。ロンドンの火薬陰謀事件を起こしたガイ・フォークス。
    花火のガイ:毎年の11月5日の「ガイ・フォークス・ナイト」は、たくさんの人が花火で祝う記念日なんだ!
    花火のガイ:ほら!(腰にあるオモチャの仮面を指さす)
    花火のガイ:僕はガイの仮面も持ってるんだ、すごいでしょ!
    調査員:(興奮気味に)なんて豊富な品揃えなんだ!
    心の鍵:(小声で)まさか、こんなに花火好きだったなんて。
    調査員:花火は人類の発明品で最も精巧で最も危険なものだ。
    その美しさは絶妙なバランスの上で成り立っているーー
    花火のガイ:(舞い上がる)君はまるで僕の同志だよ!
    完璧な花火は少しのミスも許されない。
    花火のガイ:この店にはフルセットの花火制作装置も置いてあるんだ。
    花火のガイ:ほら、これが花火の構造図だよーーもちろん配合は秘密だけどね。
    こっちは筒の内部で導火線を遅らせるための計算式で、こっちは花火の星の制作キットで……
    調査員:この花火はみんな型のようだが、中に火薬は入っているのか?
    花火のガイ:(肩をすくめる)ここはなんでも揃ってるけど、火薬の原材料だけないんだ。
    花火のガイ:(怒りながら)全部白鴉公爵の【クリスタル・パレス花火管理条例】のせいさ!
    花火のガイ:公爵は花火には火災を引き起こす危険があるとか言って、サンプル品しか置かせてくれない。
    調査員:つまり、ここの商品はただの包装された空っぽの殻ってことか?
    調査員:(それに【折れた花火】と同じ包装の商品もない)
    調査員:この部屋は?
    花火のガイ:公爵の倉庫だ。鍵がかかっている。
    調査員:公爵は自分の物を君の店にしまっているのか?何が置いてあるんだ?
    花火のガイ:……ただのゴミだよ。大したものじゃない。
    調査員:特に手掛かりはないようだな。
    心の鍵:(不機嫌そうに)並んでるのは全部空っぽの花火。つまんないの。
    調査員:待って、ガイさん。もう1つ聞きたいことがある。
    花火のガイ:はいはい、どうぞ。
    調査員:(やっぱり折れた花火についてガイに聞いてみよう)
    調査員:(折れた花火を取り出す)
    調査員:この折れた花火は、この店の商品なのか?
    花火のガイ:これは……確かに僕の店の商品だよ!
    花火の中にまだ、燃えた後の火薬が残っている。
    どこで見つけたの?
    調査員:ドームの上だ。
    花火のガイ:ドーム?型番を見る限り、これは僕が展覧会のために制作した特別ロットのものだーー
    でも、全部白鴉公爵に倉庫にしまい込まれたはずだよ。
    調査員:この店の倉庫に同じ種類の花火があるということか?
    花火のガイ:うん、あの鍵のかかった倉庫の中にね。
    花火のガイ:前回仕入れた花火は安全を口実に、全部公爵によって倉庫にしまわれたんだ。
    さっきの折れた花火がその商品の1つだよ。
    調査員:君以外に……この花火を倉庫へ入れる前に触った人物はいるか?
    花火のガイ:(うつむいて考えこむ)ジュエリーショップのバロネス・ダイヤかな。
    前に彼女と展覧会で花火ショーを行うことについて相談をしたことがあってね。
    たしかその時、花火を見てもらうために店に招いたよ。
    花火のガイ:それと公爵も。僕の店をチェックした後、花火を全部没収したから。
    花火のガイ:あとは……玩具職人さんも。
    新しいオモチャの開発のために、同じ種類の花火をあげたことがある。
    調査員:それだけか?君自身が……この花火を隠し持っていたりとかは?
    あるいは、こっそり倉庫の鍵を開けたとか?
    花火のガイ:シーッーー変な事言わないで!ない!絶対にない!
    花火のガイ:疑り深い公爵にもし、僕が勝手に花火を隠し持ってると思われたら、
    本当のことじゃなくても僕の店は終わりだよ!
    調査員:(まずはこの3人に花火について聞いてみよう)
  • 6.花火の痕跡を辿る・一(2)/右廊下
    心の鍵:花火のガイは幽霊だと思う?
    調査員:花火のガイは足が不自由だ。身軽な幽霊である可能性は低いな。
    心の鍵:あの人、能天気に見えてすごく頑固だよ。
    クリスタル・パレスはもうとっくに落ちぶれているのに、いまさら誰が花火ショーなんか見に来るわけ?
    心の鍵:ここで花火ショップを開いたのは、あの人が執着に囚われているからだけ。
    心の鍵:(バカにするような冷笑)それに、白鴉公爵のクリスタル・パレスへの支配欲も尋常じゃない。
    お金も権力もないのに、公爵からの賛同を得て、クリスタル・パレスに楽しさをプラスする?
    できるわけないでしょう。
    心の鍵:物珍しい商品、専門的な工芸、最先端の発明。
    これは全部、かつてのクリスタル・パレスの最も魅力的な部分だった。
    心の鍵:でも公爵の支配と重圧の下で、無数のチャンスと才能が、
    クリスタル・パレスの中で埋もれて行ったの。
    心の鍵:永久機関が書かれた手稿を見た時のあの人達、
    まるで天敵でも見たかのような慌てっぷりだったでしょう。
    調査員:確かにな。手稿に書かれている事は、明らかに幼稚な子供の妄想なのに。
    心の鍵:(疑いの顔)そう?どうしてそう言い切るの?
    調査員:(うっかり口を滑らせたことに気付き)あ、えーと、そろそろ調査に戻ろうか。
    玩具職人が花火と接触したことがあるとガイが言っていたな。早速行ってみよう。
    調査員:ここが花火のガイが言っていた玩具店か?
    斬新な玩具:(微笑む)いらっしゃいませ、私は【ハッピーボックス】のオーナー、玩具職人よ。
    調査員:初めまして、玩具職人さん。
    私は幽霊事件の調査を担当している調査員だ。
    斬新な玩具:見ての通り、今は店の閉店作業で忙しいの。
    おもてなしに不手際があったら、ごめんなさい。

    ◆【なぜ店を閉めるんだ】
    斬新な玩具:私のオモチャが不人気だからよ。
    お客さんはみんな、私のオモチャを……危険だと思ってるみたいで。
    斬新な玩具:かつて時代と流行りの最先端を行っていたクリスタル・パレスなら、
    もっと柔軟で幅広い需要があると思って、ここで店を開いたんだけど。
    斬新な玩具:でも……まさかクリスタル・パレスがこんなに寂れた場所になるなんて思わなかったわ。
    たまに来るお客さんもオモチャには興味ないし。
    斬新な玩具:ほとんどの人にとって、オモチャはおままごとに使うような人形や暇をつぶすための物でしかないのよ。
    斬新な玩具:でも私にとって、オモチャは人に初めて知識を与えてくれる道具であり、
    一生のパートナーでもあるの。
    斬新な玩具:面白い発想や興味深い発明の多くは、遊びの中から生まれたのよ!
    ーーあら、ごめんなさい。つい熱くなってしまったわ。
    調査員:(興奮気味に)その通りだ!
    私が心霊事件の調査に使っている道具だって、趣味で作ったものだ。
    心の鍵:(小さく笑う)確かにあなたの発明はただの「趣味」ね。
    自分にしか使いこなせないしーー
    心の鍵:(突然思い出す)そう言えば、あの手稿にあった永久機関の下書きとあなたの発明品って、結構似てるよね。
    調査員:笑えばいいさ。
    あの永久機関の設計図は、レオナルド・ダ・ヴィンチが最初に提唱したモデルだぞ!
    心の鍵:へぇ!まさかダ・ヴィンチ先生から来ていたなんてーーでも、なんで知ってるの?
    調査員:(また口を滑らせてしまった)ただの趣味さ。前に見た覚えがあったからな。

    ◆【昨晩の行動】
    調査員:いきなりで申し訳ないんだが、昨晩、花火のガイから義足修理の依頼があったのか?
    斬新な玩具:ええ、そうよ。簡単な処置だけをして、家に帰ったの。
    調査員:つまり、君は「幽霊」がドームに現れた事件に遭遇していないと?
    斬新な玩具:そうね、朝来てからやっと知ったの。でも、なかなか面白い出来事よね。
    クリスタル・パレスはもうずっと重苦しい雰囲気だったから……
    調査員:ガイの義足は……なぜ壊れたんだ?
    斬新な玩具:義足の骨組が少しゆるくなってたの。
    ガイが休まずに働き続けたせいで、義足のパーツが金属疲労を起こして損傷してしまったみたいで。
    調査員:どれくらい深刻なんだ?
    斬新な玩具:バランスが取れなくなるわ。
    あの時彼は、義足を引きずってゆっくり動くことしかできなかったと思う。

    ◆【折れた花火について尋ねる】
    調査員:このような花火を見た事があるか?
    斬新な玩具:これはガイの花火じゃない?
    ちょっと見せて……前に同じものを2本もらったわ。新しいオモチャの開発のためにね。
    調査員:それはまだ残ってるか?
    斬新な玩具:もう使っちゃったわよ。
    花火を使って、空に打ち上げられるミニロケットのようなオモチャを作ろうと思ってたの。
    でも原型の試作品は全部失敗に終わったわ。
    斬新な玩具:それに……私のお客さんたちは、火薬のような物が使われているオモチャは好きじゃないの。
    調査員:もったいない。そのオモチャの原型を見せてくれないか?
    斬新な玩具:ほとんどの物はもう荷造りしてしまったから、
    残った試作品のサンプルは外に置いてある物だけよ。
    調査員:この板車と翼のことか?
    斬新な玩具:翼はハンドグライダーで、空を滑るようにして飛べるの。
    板車の方は打ち上げ装置で、人を空中に飛ばせるのよ。
    調査員:グライダーと打ち上げ装置?すごく興味深い発明だ。
    斬新な玩具:発想自体はありきたりだけど、使いやすくするために、実用的な改造を施してあるの。
    本当はどっちも大衆向けのオモチャを想定して作ったものなのだけど……
    斬新な玩具:お客さんのオモチャへの固定概念は昔のままみたいね。
    試した人はみんな、もう二度と空を冒険したくないと言っていたわ。
    斬新な玩具:あれ、グライダーが壊れちゃってる?
    ……この数日間、あっちこっちに移動させたせいかしら。
    斬新な玩具:でも、弾射板車はまだ使えるみたい。
    調査員:(弾射板車はまだ使える?もう少し詳しく聞いてみよう)
    調査員:この板車は人をどれくらいの高さまで打ち上げられるんだ?
    斬新な玩具:成人なら、正しい操縦方法で真上に打ち上げれば、
    10から15メートルくらいの高さにはなるかしら。
    斬新な玩具:もちろん、打ち上げられる高さは角度や体重にも関係するわ。
    体重が軽ければ軽いほど、高く打ちあがる。角度が低ければ、もちろん高度も下がるのよ。
    調査員:体重が軽ければ、高く打ちあがる……なるほど。
    心の鍵:(玩具店の外に置いてあるオモチャをぼうっと見つめている)
    調査員:心の鍵さん?何を考えているの?
    心の鍵:このオモチャを見ていたら、お父さんを思い出したのーー
    お父さんは優秀な職人だったんだ。小さい時、お父さんはよく私に色んなオモチャを作ってくれた。

    ◆【父親のエピソードを聞く】
    心の鍵:お父さんはすごく頑固で、自分が設計した作品のために、
    いつも浸食を忘れて仕事に没頭していたの。
    調査員:お父様は今は……
    心の鍵:もう亡くなったよ、自分の夢も叶えられなかった。
    未完成の遺作だけ残して。
    調査員:そうか……それは残念だったな。
    心の鍵:どうして?お父さんは最後まで自分の夢をあきらめずに、作品を信じていたんだよ。
    心の鍵:それに、まだ私がいるから!
    私はお父さんの遺作を完成させる、絶対に!
    調査員:君と君のお父様の作品を見るのが楽しみだ。
    心の鍵:(小さく笑う)へへっ、いつかきっと見せてあげるね!

    ◆【花火と関係性のある公爵とバロネス】
    調査員:玩具職人以外にも、ガイはバロネス・ダイヤと白鴉公爵も花火に触れたことがあると言っていたな。
    調査員:しかし、このバロネス・ダイヤとは……?
    心の鍵:午後の展覧会の主催者よ。
    彼女のジュエリーショップは左廊下の4階にあるの。
    調査員:それに白鴉公爵……自分でクリスタル・パレスに花火禁止令を出しておいて、自分でそれを破るなんてあり得るか?
    心の鍵:フン、アイツならーーやりかねないよ。
    調査員:公爵の執務室はどこだ?
    心の鍵:あそこ、右側の3階ね。
  • 6.花火の痕跡を辿る・二(1)/右廊下
    調査員:ここが公爵の執務室か?
    心の鍵:びっくりしたでしょ?こんなにも狭苦しい普通の部屋で。
    あの冷酷公爵は貴族だけど、自分に対してもすごくケチなんだよ。
    調査員:冷酷?ケチ?
    心の鍵:うん。だってあの人はクリスタル・パレスの維持費用を削減して、テナント料金を引き上げたんだもん。
    それに、高価なチケットのせいで、平民の観光客は門前払いも同然。
    心の鍵:そうして、クリスタル・パレスは徐々に活気を失い、貴族さえも来なくなったの。
    調査員:道理でクリスタル・パレスが年々寂れていったわけだ。
    調査員:(執務室をのぞき込む)誰もいないようだな。
    先に左廊下のジュエリーショップに行こう。
  • 7.花火の痕跡を辿る・二(2)/左廊下
    調査員:ここがジュエリーショップ【プリンセス・セレクト】か?
    心の鍵:そう、半年前にクリスタル・パレスでオープンした店なの。
    ここのオーナーであるバロネス・ダイヤは、海外から戻って来た宝石商なんだ。
    心の鍵:店には今、誰もいないみたい。
    でもさっき、バロネス様の馬車がクリスタル・パレスの外に止まってるのを見た気がする。
    退役軍人の看守:大変だ、大変だ!
    退役軍人の看守:さっき公爵がバロネス・ダイヤを執務室に連れて行った。
    そこでどうやら大事件について話し合ってるみたいなんだ。
    調査員:何かあったのか?
    退役軍人の看守:コ・イ・ヌールーーイギリス皇室の貴重なダイヤが!盗まれたんだ!
    調査員:コ・イ・ヌール?それがバロネス・ダイヤと何か関係が?
    退役軍人の看守:聞いた話によれば、バロネス・ダイヤが開催するジュエリー展のテーマが【名ダイヤ・コ・イ・ヌール】だったらしい!
    退役軍人の看守:ほら!左廊下中央にある展示ブースも、もう少しで設置が完了する。
    調査員:あれはバロネス・ダイヤが手配している展示ブースか?
    蝋人形館長:ああ。これが今日のメインイベントだからね。
    調査員:こんにちは、蝋人形師さん。
    君もバロネス・ダイヤのジュエリー展を手伝っているのか?
    蝋人形館長:このジュエリー展のために、バロネス様はずっと手配をしておられた。
    バロネス様は、1851年にクリスタル・パレスで行われた万国博覧会に展示されたコ・イ・ヌールの盛況を再現しようとしているんだ。
    蝋人形館長:それに、バロネス様は展覧会の細部まで深く考えておられる。
    当時の貴族観光客を再現するために、私に蝋人形のオーダーメイドを依頼したのだ。
    蝋人形館長:そして当時のジュエリー展の雰囲気をより引き立たせるために、
    花火のガイに花火ショーの相談もしていた。
    まあ、その計画は取り消しになったけどね。
    バロネス・ダイヤ:黙りなさい、蝋人形師。
    バロネス・ダイヤ:あなたがーー例の調査員?
    背後で淑女についてコソコソ討論するのは、褒められた行為じゃないわよ。
    調査員:初めまして、バロネス閣下。私は……
    バロネス・ダイヤ:調査員でしょう。今は幽霊事件について調べている。
    全て知っているわ。。でも、今の私は機嫌が悪いの。
    調査員:やはり、さっき話していた「コ・イ・ヌール」盗難のせいですか?
    バロネス・ダイヤ:(イライラ)答える義理はないわ。
    調査員:実は、花火のガイについて閣下に聞きたいことがあるんです。
    バロネス・ダイヤ:あら?……話してごらんなさい。

    ◆【昨晩、幽霊がドームに現れた】
    バロネス・ダイヤ:その話は聞いたわ。
    右廊下のドームはボロボロだったのに、よく落ちなかったわね。
    調査員:……対して左廊下のドームは新品同様ですが。
    バロネス・ダイヤ:当たり前よ。ジュエリー展のために私が特別に出資して修理させたんだもの。
    ボロボロのドームを透かして入って来る光では、ジュエリー展示品の完璧な視覚効果に大きな影響を与えるわ。
    調査員:まさかバロネス閣下の出資だったとは。
    公爵自身は修理をしようと思っていなかったのですか?
    バロネス・ダイヤ:我らが公爵様が、クリスタル・パレスの修理のためにお金を出してくれるはずないじゃない?
    バロネス・ダイヤ:あの人はクリスタル・パレスの価値を最後の一滴まで搾り尽くし、捨てるだけ。
    そして次の価値あるターゲットを探すのよ。

    ◆【折れた花火について尋ねる】
    調査員:(折れた花火を差し出す)これを見てほしいのですが……
    バロネス・ダイヤ:(嫌そうに距離を取る)何なの?妙な物を近づかないでちょうだい。
    何かあれば直接言いなさい。そんな汚い物、視界にも入れたくないわ。
    調査員:前に花火のガイと花火ショーについて相談したことがあり、
    ガイから花火ももらったと聞いております。
    バロネス・ダイヤ:ええ。花火の実演を見るために、彼のショップに招待されたの。
    彼の発想は確かにおもしろかったわ。
    バロネス・ダイヤ:でも、結局花火ショーの話は断ったのよ。花火もすべて公爵に渡したわ。
    バロネス・ダイヤ:ガイの足がどうしてなくなったか、知ってる?
    調査員:ちょっとした事故だと聞いています。
    皆さんはこの事について、何か隠しているようではありましたが。
    バロネス・ダイヤ:あれは私がここに越して来たばかりの頃だった。
    バロネス・ダイヤ:当時、ガイは右廊下で花火実験をしていて、大きな爆発事故を起こしたの。
    バロネス・ダイヤ:あまりの衝撃に【クリスタル・ドーム】も割れたほどだったわ。
    彼の足の怪我もその時のものよ。
    バロネス・ダイヤ:公爵はこの事故について緘口令を出したの。
    クリスタル・パレスの名誉のために、この件は二度と口にすることも、ましてや外に広めてもしてはならないと。
    バロネス・ダイヤ:だから、後になって公爵からジュエリー展の花火ショーを中止にするよう言われた時も、
    特に反論しなかったわ。
    バロネス・ダイヤ:その時、公爵は私の目の前で、花火を全て回収していったの。
    でもその後、公爵は花火をまたガイの店に持って行って、そこにしまったのよ。
    バロネス・ダイヤ:私はまだ展覧会の処理が残っているわ。
    用がなければ邪魔しに来ないでちょうだい。
    バロネス・ダイヤ:何か知りたいことがあれば、公爵に直接聞きに行きなさい。
    調査員:(公爵とバロネスは一緒に戻って来た。公爵は今、右廊下の執務室にいるはずだ)
  • 8.花火の痕跡を辿る・二(2)/右廊下
    白鴉公爵:(行ったり来たりしている。非常にイラついているようだ)
    調査員:公爵様?
    白鴉公爵:ウィンザー城のコ・イ・ヌールが盗まれた。
    皇室の者共の慌てっぷりはパニックになった鶏のようだ!
    あのダニ共が、手のひらより小さい物すらきちんと管理できないとは。
    白鴉公爵:(調査員に向かって)だが、これは貴様とは関係のない事だ。
    それよりも幽霊について……何か進展はあったのか?

    ◆【花火のガイが足を失った事故について聞く】
    調査員:公爵様、ガイの足の怪我は花火実験の事故によるものだと聞きました。
    白鴉公爵:お喋りなのはどいつだ?緘口令を敷いていたはずだぞ!
    もしや、ガイが自分で言ったのか?
    調査員:いえ、これはバロネス・ダイヤから。
    白鴉公爵:フン、あの身勝手な奴め。今回のジュエリー展の儲け話がなければーー
    白鴉公爵:あの事故は最初から最後まで馬鹿げていた。
    ガイはずっと【室内で安全に打ち上げられる花火】の実験をしていたんだ。
    あの時も、奴は絶対に安全だと誓っていた。
    白鴉公爵:フン、結局その口出まかせのせいで、奴自身が怪我しただけでなく、
    私のクリスタル・パレスまでめちゃくちゃになったではないか。

    ◆【ジュエリー展の花火ショー計画について】
    白鴉公爵:ああ、あの花火ショーか?全く下らない笑い話だよ。
    花火のガイの奴、あんな三流品で、クリスタル・パレスに店を構え商売をしているなんて!
    白鴉公爵:バロネス・ダイヤのジュエリー展の話に乗っかろうとしたのか、
    奴は厚かましくも私に【新商品】を使っての花火ショーを申し出た。
    白鴉公爵:花火を見せられた瞬間に、全部取り上げてやると決めたさ!
    火薬もひとつ残らず全て没収した。
    調査員:それが、花火ショップの倉庫にしまってあるものなのですね?
    白鴉公爵:(面倒くさそうに頷く)

    ◆【折れた花火について尋ねる】
    白鴉公爵:うん?これは花火ショップにしまってあったはずの花火じゃないか。
    どうして貴様が持っている?
    調査員:幽霊が現れたドームで見つけました。
    白鴉公爵:まさか、まだ隠し持っていたのか?
    しかもあの鬱陶しい幽霊と繋がっていた?
    調査員:公爵様、花火ショップの倉庫の中を見せてほしいのですが……
    白鴉公爵:つまり倉庫を開けろと?ならん!絶対にならん!
    調査員:ですが、この花火は倉庫に保管されていたはずです。
    倉庫の中には「幽霊」の手掛かりが残っているかもしれないのですよ。
    白鴉公爵:この花火はガイが隠し持っていた物だ!絶対にそうだ!
    白鴉公爵:コ・イ・ヌールが盗まれ、更にクリスタル・パレスは幽霊の噂が広まっている今、
    私はバロネス・ダイヤの展覧会に影響が出ないようにする必要がある。
    忌々しい花火ショップの面倒を見る暇などない!
    白鴉公爵:あの倉庫の鍵そのものが禁止令なのだ!
    少しでもガイの奴に、妙な考えを持たせるようなことはしたくないのでねーー
    白鴉公爵:ーーそうだ。
    あの手稿にあった「花火」、あれも奴が私を挑発するために書いたものに違いない!
    調査員:(しかし、あの倉庫が怪しいのは変わらない……)
    心の鍵:ぐるりと1周したら、結構いろんな秘密が手に入ったみたいね。
    調査員:クリスタル・パレスは衝突だらけの家みたいな場所だな。
    心の鍵:衝突だらけの家?

    ◆【衝突だらけの家】
    調査員:クリスタル・パレスのドーム下では多くの衝突が発生しているが、
    皆それぞれの場所に囚われており、抜け出せない。
    調査員:ほら、まるで逃げ出すことのできない家のようだろ?
    心の鍵:家と言えば、調査員さん、あなたのプライベートについて教えてよ。
    調査員:私?私は幼い頃、孤児院で育ち、その後は生きるために工場で少年工を数年していた。
    調査員:その経歴のおかげで、私は工業技術に強い感心を抱くようになり、
    クリスタル・パレスの物語を知るきっかけにも繋がった。
    調査員:その後、私はとある師に弟子入りをし、自分の発明成果を得ることができたんだ。
    そして子供染みた夢を抱き、王立科学アカデミーに申請したこともあった……
    心の鍵:王立科学アカデミーに申請したのーー?
    調査員:失敗に終わったけどな。
    私の考えは現実的ではないと一蹴されてしまったのさ。
    心の鍵:だから幽霊社に入ったの?
    調査員:(肩をすくめる)幽霊社の先輩は私にたくさんのアドバイスをしてくれていたからね。
    それに、団体自体にも興味があったんだ。

    ◆【公爵とガイのギクシャク】
    調査員:公爵とガイの関係はすごく奇妙だと思わないか?
    心の鍵:奇妙?
    調査員:公爵は花火を禁止し、花火事故にも緘口令を敷いた。
    それなのに、クリスタル・パレスでガイが花火ショップを経営することは許している。
    調査員:それに、公爵はガイがジュエリー展のために用意した花火を没収した後、
    また火薬を抜き取った廃棄品を花火ショップにしまい込んだ。
    心の鍵:それを言うなら、花火のガイの行動もおかしいよ。
    心の鍵:ガイの花火ショップはサンプル用の見本品もないんだよ。
    何も見せられるものがないのに、どうやって商売をするの?
    何のために店の営業を続けてるのさ?
    調査員:全ての問題は、結局カギのかかっている倉庫に戻って来る。
  • 9.【ファイヤーガイ】の謎(1)/花火ショップ
    調査員:花火のガイはいないようだ。
    調査員:この隙にカギのかけられた倉庫を見てみよう。
    調査員:この倉庫にはカギがかけられている。
    調査員:(よく観察する)これは……またダイヤル錠か?
    調査員:錠前は蝋人形館の扉にあった物と一緒だな。
    調査員:開けるには専用のカギと数字4桁のパスワードが必要だ。
    調査員:またダイヤル錠だ。つまり、カギの在処とパスワードは公爵にしか知らない。
    心の鍵:ふむふむ、公爵はどんなパスワードを設定するのかな?
    花火のガイ:(店の外から戻って来る)あれっ、何してるんだい?
    調査員:こんにちは、ガイ。

    ◆【倉庫の花火】
    調査員:ガイ、君はこの倉庫を開けようとしたことがあるか?
    花火のガイ:いや。公爵から触るのを禁じられているんだ。
    花火のガイ:それに、中の火薬は全て抜き取ったと公爵が言っていた。
    取り出せたとしても、ただの空っぽの殻さ。
    調査員:それはおかしいな?
    公爵は君を警戒して花火禁止令を出したのに、君を追い出そうとしなかったところか、店の営業も許している。
    その上、わざわざこの場所に廃棄になった花火をしまうなんて……
    花火のガイ:……確かにすごく矛盾しているね。
    でも公爵が花火を店の中に置くのはーーきっと僕への当て付けなのだろう。
    花火のガイ:公爵は意地の悪い性格をしているから、よく皮肉めいた方法で他人に復讐をするんだ。
    僕に対しては特に酷くて。

    ◆【足を負傷した花火事故】
    調査員:君の義足は花火実験の事故によるものなのか?
    花火のガイ:(能天気だった顔に苦笑を浮かべる)……その事については、あまり口にしたくないんだけどね。
    花火のガイ:あの時、僕は室内でも安全に打ち上げられる小型花火の開発をしていた。
    花火のガイ:花火の飛行高度を下げるために、僕は花火を打ち上げるための黒色火薬の量と成分比率を調節したんだ。
    花火のガイ:でも、僕は内部の花火玉を起爆させるための遅延信管を忘れていた。
    そのせいで、筒の花火玉は想定外のタイミングで爆発してしまってね。
    花火のガイ:一部の花火玉の星が早く爆発してしまい、僕の足に落ちて燃え上がった。
    遅れて爆発した一部の花火玉は、ドームに舞い散ってから弾けた。
    花火のガイ:この事のために、僕はあの【クリスタル・パレス花火ポスター】に何度も黒色火薬の標準の比率成分を書き写したんだーー
    花火のガイ:硝酸カリウム74.6%、硫黄11.85%、木炭13.51%、つまり15:2:3さ。
    調査員:花火のガイはカギを開けられないようだな。
    だが、公爵がカギとパスワードを我々に渡すことはあり得ない……
    心の鍵:(調査員を引っ張る)だったら、あいつの執務室をこじ開けて調べてみようよ!
    あの公爵がどんなパスワードを設定するのか、すごく知りたいな!
    調査員:えっ、こじ開けるって……どうやって……
    心の鍵:(手をさすりながら)そんなの、試して見なきゃ分かんないじゃない!
  • 10.【ファイヤーガイ】の謎(2)/右廊下
    心の鍵:(辺りを見回しながら)公爵は丁度留守にしてるようだね。
    調査員:(心の鍵の動きがすごく手慣れているように感じるな)
    退役軍人の看守:おい!君達2人、そこで何をしているんだ!
    心の鍵:(小声で)しまった……
    調査員:実は……調査の進展について報告するために、公爵を探しているんだ。
    退役軍人の看守:公爵なら左廊下にいる。展覧会がもうすぐ始まるからな。
    公爵は自らバロネスのジュエリーショップを調べるとも言っていた。
    調査員:なぜジュエリーショップを調べるんだ?君は手伝わなくていいのか?
    退役軍人の看守:実は……公爵が忙しくしている隙に、樹洞の三兄弟に聞きたいことがあったんだ。
    調査員:(そうだ。あの花火は看守が幽霊を撃った時に折った物。
    彼とこの件について話してみよう)
    調査員:幽霊が光った理由について分かったんだ。
    退役軍人の看守:本当か!早く教えてくれ!
    調査員:(折れた花火を取り出す)君の弾丸が幽霊に命中したと同時に、
    この花火も撃ちぬいたせいで、中の火薬が爆発したんだ。
    退役軍人の看守:なるほど。し、しかし、偶然にして出来過ぎじゃないか?
    心の鍵:流石は「トラブル発見者」ね、アハハハ……
    調査員:(花火を差し出す)この花火をよく見てほしい。
    前に同じ物を見かけたことはないか?
    退役軍人の看守:これは花火のガイの商品じゃないか。
    退役軍人の看守:この花火は前に公爵が全部、花火ショップの倉庫にしまったはずだ。
    私も運ぶのに駆り出されたよ。

    ◆【なぜイノシシの友達がいるんだ?】
    調査員:そう言えば、樹洞の三兄弟から聞いたが、君にはイノシシの友達がいるらしいな?
    退役軍人の看守:私は元々海軍の炊事係だったんだ。
    退役後も、軍人として栄誉を追い求めることを諦めなかった。
    退役軍人の看守:私はクリスタル・パレスを守るナイトになるのだ!
    装備も全部揃えた。後は乗馬の訓練だけさ。
    退役軍人の看守:だから……
    調査員:まさか、イノシシを騎乗に使ったのか?
    退役軍人の看守:軍馬が見つからなかったから、仕方ないだろ。
    あの日、タイミングよく食堂にイノシシが入ったんだ。
    だから飼い馴らそうと思った。
    退役軍人の看守:あのガッシリした足と広い背中はーー食べ物にするのは、あまりにもったいない。
    退役軍人の看守:だが予想外な事に、公爵は当日の夜にパーティー用のイノシシがいなくなった事に気付き、大激怒したんだ。
    それでイノシシを隠すしかなかったのさ。
    調査員:そのイノシシは今、どこにいるんだ?
    退役軍人の看守:クリスタル・パレスの外の茂みに隠している。
    いつも会いに行ってるよ。

    ◆【花火ショップの倉庫】
    調査員:この花火を運んでいたのか?
    退役軍人の看守:ああ。しかもーー
    退役軍人の看守:(小声)ーー私は倉庫の予備のカギも持っているんだ。
    でも公爵のパスワードを知らないから……
    調査員:待て!なぜ君が予備用のカギを持っている?
    退役軍人の看守:公爵がカギを失くした時に備えて予備のカギを作り、
    タイミングを見てガイに保管させるようにと言われていたんだよ。
    退役軍人の看守:だがこの件の進行は、まだ公爵の指示待ち中だから、カギは今も私のところにあるーー
    もしかしたら、公爵はガイと和解したいのかもしれないな。
    心の鍵:フン、あの尊大な公爵に、そんな良心があるのかな?
    調査員:私達がガイに渡しておくから、カギを預けてくれないか?
    退役軍人の看守:(警戒)それはダメだ。
    調査員:公爵は忙しすぎて、この件を忘れてしまったのかもしれない。
    調査員:もし公爵がそのつもりなら、早めにガイにカギを渡した方がいいんじゃないか?
    じゃなければ、公爵が思い出した時に、リマインドしなかった君を責めるかもしれないぞ!
    退役軍人の看守:(頭を搔きながら)それもそうだな。
    今までも公爵から責任を擦り付けられたことがあったし……
    調査員:(カギを取り出す)ほら、これが倉庫のカギだ。
    だがパスワードが無ければ開かないぞ。

    ◆【遠回しに倉庫のパスワードについて尋ねる】
    調査員:そうだ、公爵だが。
    彼は何か……特別に好きな事はないのか?それか特別に好きな数字とか?
    退役軍人の看守:数字?公爵は数字が大嫌いだ。自分の財産額なら別だが。
    退役軍人の看守:だが、公爵は他人のバカにする事が大好きでな。
    いつもクリスタル・パレスでの権力を使って、気に食わない人に嫌がらせをしている。
    退役軍人の看守:いつだったか、公爵は花火のガイになんかの火薬の比率を書き写すように命じた。
    ガイが壊した右廊下ドームの当て付けのためにね。
    退役軍人の看守:確かガイが一番気に入っていたポスターに書くように言われたのを覚えているよ。
    しかも、公爵はそのポスターを一番目立つ場所に飾るように命じたんだ。
    調査員:カギを手に入れたぞ!
    心の鍵:だから?結局パスワードは手に入らなかったじゃん。
    調査員:(考え込む)パスワードーーそれについても、少し思い当たる節がある。
    調査員:公爵は陰湿な性格で、他人を嘲笑ったり皮肉るのを非常に好む。
    調査員:そして公爵とガイは特にギクシャクしている。なぜなら……
    調査員:この一件の後、公爵はどのような手でガイを皮肉っていた?
    調査員:恐らくこの数字がパスワードを解く鍵となるだろう。
    調査員:公爵は1523を倉庫のパスワードに設定したーー
    ガイが最も熟知している数字で彼の商品を閉じ込め、彼の意気地なさを嘲笑い続けるのだ。
    調査員:白鴉公爵のパスワードは恐らく1523だ。
  • 11.【ファイヤーガイ】の謎(3)/花火ショップ
    心の鍵:ガイはいないようだ。
    きっと、もうすぐ始まるジュエリー展に行っているのだろう。
    調査員:急いで倉庫を開けよう。
    倉庫が開いた花火ショップ.jpg
    倉庫の花火.png
    調査員:確かに花火がたくさん置いてあるな。
    調査員:だが、部屋にいっぱいに置いているわけではない。
    ドアのすぐそばでは比較的に高く積まれているが、中の方がほぼ空だ。
    調査員:(花火を1つ手に取る)これはドームで見つかった折れた花火と同じ包装タイプのものだ。
    全てガイがクリスタル・パレスのジュエリー展用にオーダーした特別な印が描かれている。
    調査員:花火の中にはかなりの火薬が残っている。
    公爵が言っていたように、全て抜き取られてはいないようだ。
    調査員:(花火を1つ開ける)中の構造は……
    筒の中の痕跡は全て、空に打ち上げるための黒色火薬のものだ。
    調査員:花火玉も、星も、遅延用の導火線もない。
    調査員:どうやら、筒に入っていた花火の中身を抜き取った後、黒色火薬を満タンまで詰め込んだようだな。
    そして今、その火薬もほとんど取り出されている。
    調査員:このような装填構造では、空中で美しい花火を作り出すのは不可能だ。
    花火というよりも、軽量型の爆薬と言った方がいいだろう。
    調査員:(ブツブツ)倉庫にある花火の火薬を全て抜き取ったと公爵は言っていた。
    それなら、残っているこの火薬は一体?
    心の鍵:あの、調査員さんーー
    調査員:(思考を続ける)……花火の構造では美しい光を作り出すことはできない。
    ドームで爆発した花火とは異なる物だ。
    心の鍵:(手をかざす)ねえ、左廊下の展覧会がもうすぐ始まるよーー
    調査員:(思考を続ける)これは一体どういうことだ?
    公爵は本当に火薬を全て抜き取ったのか?花火の内部構造を改造したのは公爵だろうか?
    心の鍵:(怒ってその場を去る)もう勝手にしなよ!私は先に展覧会を見に行ってるから!
    調査員:(全く気付かない)心の鍵さんーー公爵はなぜ……えっ、あれ?心の鍵さん?
  • 12.花火ショーの波乱(1)/左廊下
    ジュエリー展は既に始まっていた。
    展示ブースに被せてあった幕が上がり、生きているかのような蝋人形と目を奪う眩いジュエリーが現れた。

    調査員:心の鍵さん?心の鍵さん?おかしいな、ほんの一瞬で消えてしまうなんて。
    人混みに巻き込まれたのか?
    調査員:かなりの人の数だな。今回のジュエリー展は大成功のようだ。

    コ・イ・ヌール.png
    来場した観客達は全員、展示ブースの光り輝く宝石に驚きの声を上げた。
    特に展示ブースの中心にある一番大きなダイヤは、全員の視線を奪った。
    人混みの中から時折、議論の声が聞こえてくる。
    「コ・イ・ヌールだ!」「あれはまさかコ・イ・ヌールなのか?」

    調査員:コ・イ・ヌール?真ん中のあれがコ・イ・ヌール?ーーの偽物?

    蝋人形.png
    展示ブースの幕が再び高く上がり、展示ブース全体を今にも沈もうとしている夕焼けが照らした。
    光るコ・イ・ヌール.jpg
    輝くコ・イ・ヌール.png
    同時に、太陽の光が複数枚の大きな鏡に反射され、展示ブースの中央に置かれている巨大なダイヤに光が注がれる。
    その瞬間、ダイヤは感動的なまでに眩い虹を放った。

    調査員:きれいだ!虹だ。
    まさか虹が本当にクリスタル・パレスに現れるなんて!
    あの手稿に書かれていた「虹」が実現された!
    調査員:あれ、どうして人々が突然騒ぎ始めたんだ?

    ダイヤが放った虹色の光を見た公爵はひどく興奮し、何やら指示を出していた。
    この時、突然1体の蝋人形が動き出した。
    展示ブースの中央のダイヤを奪い去ったのだ。

    人形:蝋人形の表面から蝋が剥げ落ち、痩せた奇妙なブリキ人形が現れた。
    人形:人形は手際よく自身が着ていた蝋人形の衣服を落とす。
    そしてギシギシと四肢を伸ばし、人々の驚愕の眼差しの中、関節の蝋を綺麗に振り落とした。
    調査員:これはーー人形?ブリキの人形か?
    人形:ビビボボーー

    人形の観察
    ◆人形の背中に弾丸の穴がある
    ◆人形の体に火薬が爆発した後の焼け跡がある
    ◆さらに体には蝋の粉が付いている

    調査員:この人形には弾丸の穴と、折れた花火と同じ黒い焼け跡がある。
    まさか……これが幽霊の正体なのか?
    人形:ビーービ(人形が突然跳び上がり、一同の驚きの中、
    公爵が持っていたコ・イ・ヌール模造品を奪い去り、素早い動きで右廊下へと走り去った)
    白鴉公爵:(怒りの絶叫)奴がコ・イ・ヌールを盗んだぞ!どけ!追いかけろ!

    人形.png
    公爵は何人か引き連れ、人形の後を急いで追いかけた。

    調査員:全てが突拍子過ぎる。
    私も追いかけて、何が起きるのか見に行かねば。

    一同が人形を追いかけ右廊下にやって来た時、夕日は沈み、空は暗くなっていた。
    捜索を続けるために、公爵は部下に明かりを点けるよう指示せざるを得なかった。
    夜の右廊下.jpg
    白鴉公爵:この役立たず共が、明かりを点けるだけでこんなにモタモタするとは。
    退役軍人の看守:(ブツブツ)公爵様が松明の使用を厳しく規制したせいじゃないですか。
    じゃなければ、こんなに時間をかけて明かりを灯す必要も……
    白鴉公爵:黙れ!あの奇妙な人形はどこへ行った。早く探すのだ!
    調査員:(あのすばしっこい人形は、明かりを点けている間に隠れてしまった)
    調査員:あれ、おかしいな、心の鍵さんはどこに行ってしまったんだ?
    こういうハプニングは彼女の大好物であるはずなのに。
    調査員:少し回りを見てみよう。
  • 13.花火ショーの混乱(2)/花火ショップ
    花火のガイ:こんにちは、調査員さん。
    調査員:やあ、心の鍵さんを見なかったか?
    花火のガイ:見てないよ。僕もさっき戻って来たばかりだから。
    でもさっき、2つの人影が2階の店に見つかって行ったのを見たんだ。
    多分、玩具職人さんか心の鍵さんじゃないかな。
    花火のガイ:(突然慌てて)待って、倉庫が!どうして倉庫の扉が開いてるんだ!
    調査員:実はそれは私がーー
    花火のガイ:(無視して慌てふためく)どうしよう?どうしよう?
    公爵に見られたらおしまいだ!
    調査員:別の場所を探してみよう。
  • 14.花火ショーの混乱(3)/右廊下
    斬新な玩具:調査員さん、あなたもあの奇妙な人形を追いかけてるの?
    調査員:やあ、どうも。心の鍵さんを見なかった?
    斬新な玩具:いいえ、さっきまで公爵の捜索隊とやり取りしてたから。
    斬新な玩具:(辺りを見回す)あれ、私の弾射板車が無くなってる?
    調査員:あの試作品の弾射板車か?
    斬新な玩具:(つま先立ちで眺める)おや?あそこにあるようだわ!
    調査員:見つけたぞ。なぜ弾射板車がこんな所にあるんだ?
    調査員:ちょうどドームのあの欠けた部分の真下だ。まさか……

    誰かが叫んだ。
    「あそこを見ろ!」「あそこだ!ドームの縁ーー」
    人影が1つ、ドーム左側の欠けた部分から滑り落ち、
    植物園の大木の枝にぶつかり、うっそうと茂った木々の中に落ちた。

    白鴉公爵:急げ!あいつは中にいる。探せ。それとコ・イ・ヌールもだ!
    樹洞の捨て子:(三男)もう、また僕達の安眠を邪魔してる!
    樹洞の捨て子:(三男)どうして鳥頭のブサイクがここにいるんだ?
    白鴉公爵:(驚く)貴様達は何者だ?看守!看守!
    愚図めが、貴様の銃はお飾りか?早くあいつらを撃ち落とせ!
    退役軍人の看守:公爵様……あの子達は、ここに住んで……
    白鴉公爵:無駄口を叩くな。さっさと奴らを始末しろ!
    あの人形がまだ中にいるんだぞ!
    退役軍人の看守:……できません。
    白鴉公爵:今なんと言った?
    退役軍人の看守:できないと言ったんです!あの三兄弟は私の友人だ!
    白鴉公爵:貴様!貴様!もういい!私が自分でやる!(公爵は看守から銃を奪った)

    突如、ブリキ人形が木の茂みから姿を現した。

    白鴉公爵:出て来たぞ。ハハハハ、今度は逃げられまい!
    白鴉公爵:!?なんの音だ?ドームの上か?

    ドームの外からパチパチという音が複数響いて来た。
    よく耳を傾けると、導火線が何本も点火されている音に聞こえる。
    突如、まるで全ての音が一瞬停止したかと思えば、空に無数の美しい花火が咲き誇った!

    調査員:花火?方向からして、クリスタル・パレスのドーム両側から打ち上げられているようだ。

    全員の注意が花火に惹きつけられている間、人形は再び茂みの中に潜り込んだ。
    人形:(鋭い枝を素早く押しのけ、植物園の奥深くに入り込む)ピーピーピージージージー
    白鴉公爵:クソ……こんな時に限って……
    白鴉公爵:(震える声で)は、花火?どうして?花火が?
    クリスタル・パレスの花火は……全て私が……

    花火ショップの中から、パチパチという音が聞こえて来た。
    白鴉公爵:今度は何の音だ?花火ショップ?
    花火の右廊下.jpg
    花火のガイ:(花火ショップから聞こえて来た声)ハハハ、花火!
    ようやくクリスタル・パレスで花火が咲いたんだ!
    これでようやく僕の夢と、彼女の夢が実現された。
    調査員:ーー手稿にあった「花火」が現れるクリスタル・パレスも、実現されるとは!

    花火ショップから、いくつものパチパチ音が聞こえてくる。

    白鴉公爵:しまった、あそこの花火ショップ……あの植物園ーー

    植物園の茂みでチラチラと光が輝き始めた。

    白鴉公爵:まさか火が移ったのか!危険すぎる!
    白鴉公爵:言っとくが、私は警告したからな。逃げないのなら、ここで死ぬのを待つがよい!
    白鴉公爵:クソ、コ・イ・ヌール、あの厄介な人形め……
    白鴉公爵:(取り乱した様子で全ての人を置き去りにし、自分だけ左廊下へ走っていく)
    退役軍人の看守:公爵様ーーどこへ行くのです?(公爵を追いかけて左廊下へ走って行く)
    調査員:(なぜ公爵は花火を見た瞬間から、あんなにうろたえていたんだ……
    あの人形はまだ植物園にいるのに)
    樹洞の捨て子:(明るくなったり暗くなったりする灯油ランプを持って茂みから出て来た)
    調査員:さっきの火の光はこのランプのものだったのかーー
    樹洞の捨て子:(三男)ランプ!ブリキ人形、ランプを落としたよーーあれ、ブリキ人形は?
    樹洞の捨て子:(振り返ると戻って来た看守を見つけた)看守!看守!また戻って来たんだね。
    退役軍人の看守:(植物園に戻って来た)公爵は狂ったように叫びながら、左廊下の門から出て行ってしまったよ。
    退役軍人の看守:人形は?まだ植物園にいるのか?(植物園に入って追いかけようとする)
    樹洞の捨て子:(3人一斉に看守の行く手を遮る)看守、看守、食べ物はある?
    退役軍人の看守:待て!あの人形。あれはーーはあ、逃げられたか。
    調査員:植物園の後ろの閉ざされていた右廊下の扉がーー開いている。
    調査員:人形はこの扉から逃げたんだな。
    調査員:心の鍵さんが、この扉にはカギがかかっていると言っていたはずだが……
    調査員:なぜ公爵は突然逃げ出したんだ?
    しかも花火ショップを見て「危険」と言っていたな。
    まずは花火ショップに行ってみよう。
  • 15.花火ショーの混乱(4)/花火ショップ
    花火のガイ:(火を点けた小さな花火を2つ持っている)
    花火のガイ:ハハハ、僕の願いがついに叶ったぞ!めでたいめでたい!
    調査員:ガイ、待ってくれ!その花火はどこから持ち出されたのだ?
    花火のガイ:(返事することなく、楽しそうに花火ショップから駆け出す)
    クリスタル・ドームの下で咲く花火と、色とりどりの夜空を、しっかり見ておかなきゃ!
    調査員:(倉庫を見る)うん?……倉庫が開いたままだ。ガイが開けたのか?
    調査員:型が散らかっていて、まだ片付けられていない。
    ガイはこの型だけで、倉庫に残っていた廃棄品を小型の花火に改造できるのか?
    調査員:幽霊、花火、ドーム。
    このパフォーマンスは一体誰が計画したものなのだろうか?
    クリスタル・パレスで起きた2回目の目撃事件と、このパフォーマンスにはどれだけの関連性があるのか?
    調査員:弾射板車は先程、右廊下の2階に現れた。
    調査員:幽霊がドーム上で軽やかに行動できていたことを思えば、体重は重くなかったに違いない。
    2階から正しい角度で板車を使えば、簡単にドームの穴まで飛べたはずだ。
    調査員:前日の夜、幽霊は花火を持ってドームに上がった。
    今夜の花火の準備のために。
    調査員:しかし、ドームの花火はどこから持ち出されたのだ?
    花火ショップとどんな関係があるのだろうか?
    調査員:折れた花火は、倉庫の花火の包装とそっくりだった。
    全て花火のガイがジュエリー展のためにオーダーメイドしたものだ。
    調査員:もはや疑いようもない。
    ドーム上の花火と夜の花火ショーは、どちらも倉庫にあった花火が使われている。
    調査員:しかし、倉庫の花火の筒には火薬が残っており、
    花火内部の装填構造もドームで使用されていた花火とまったく異なる。
    もはや廃棄品だ。
    調査員:誰がいつこんな事をしたのだろうか?
    調査員:カギとパスワードを持ち、倉庫の花火を大規模に整理したり改造するチャンスがあった人物は一人しかいない。
    調査員:公爵は倉庫を開けることを禁じていた。
    これは彼が花火を改造したことを他人に知られたくない証である。
    調査員:しかし、結局誰が一部の花火を持ちだし、今夜の花火に改造した。
    調査員:この人物とは……
    調査員:公爵は改造された不良品の花火を倉庫に保管していた。
    調査員:しかし花火のガイは、とある倉庫の中にある不良品の花火を入手した。
    幾夜も花火ショップで作業を続け、それを今晩の華麗な花火に改造したのだ。
    そのせいで彼の義足は壊れ、玩具職人を探しに行く羽目になったのだが。
    調査員:そして彼が修理した花火は、幽霊、つまりはあの奇妙な人形によってドームに設置され、先程点火されたのだ。
    調査員:なぜこの花火は公爵を追い払えたのか?
    ガイはどうやって不良品の花火を手に入れたのだ?
  • 15.花火ショーの混乱(5)/右廊下
    調査員:ガイ……
    花火のガイ:ほら!この花火ショーはきれいだろう?
    特に【クリスタル・ドーム】を通して見ればーー
    室内から夜空を丸ごと眺められるんだ!
    花火のガイ:ガラスが異なる角度から夜空に輝く花火を反射させ、
    光が入れ替わり立ち替わりに輝いている……
    花火のガイ:数十年前の万国博覧会の観客が見た花火ショーも、これと同じ絶景だったんだろうな!
    調査員:ガイ、聞きたいことがある。
    今夜の花火は、君が用意したのか?
    花火のガイ:……
    花火のガイ:…………
    花火のガイ:……そうだよ。
    花火のガイ:(自信たっぷりに)僕しかいないじゃないか。
    調査員:じゃあ、さっきの人形はーー
    花火のガイ:僕はあの人形とは会った事がないが、この花火ショーは確かに不思議な友人の力を借りているよ。
    花火のガイ:公爵は逃げてしまったが、クリスタル・パレスの花火禁止令はまだ続いている。
    君は僕を告発するかい?

    ◆【花火のガイを告発する】
    ※この選択肢を選択すると花火ショップの倉庫の手掛かりを入手できなくなる
    花火のガイ:あの花火は確かに僕が用意したものだ。
    花火のガイ:僕は花火のせいで起きた混乱と危険性について責任を取るよ。
    花火のガイ:でもどうか今夜は、このまま花火ショーを楽しませてくれないか。

    ◆【花火のガイの秘密を守る】
    花火のガイ:ありがとう。
    この花火ショーは、クリスタル・パレスが最も花火パフォーマンスに適した舞台であったことを証明した。
    花火のガイ:もう一度クリスタル・パレスで花火ショーを開催させてもらえるよう、
    僕は今後も皇室と交渉を続けるよ。
    花火のガイ:そうだ、さっき倉庫で1本の導火線を見つけたんだ。
    花火のガイ:その導火線に違和感を感じたんだけど、今は1秒たりともこの花火ショーを見逃したくない。
    僕の代わりに調べてくれるかい?
  • 16.花火ショーの混乱(6)/花火ショップ
    調査員:倉庫の隅っこに、確かに導火線が隠されているな。
    調査員:前回は外側に積んであった花火にばかり注目して、
    暗い部屋の隅をきちんと見ていなかったせいで、この導火線を見落としてしまったようだ。
    調査員:導火線は積み上げられた花火に繋がっている。
    しかし、もう切られているようだ。
    もう片方の端は……誰にも見つからないように外に伸びているな。
    調査員:つまり……この導火線があれば、外から倉庫の花火を点火させられるわけか。
    調査員:花火に残っている火薬からして、燃えたとしてもせいぜいボヤ騒ぎくらいで、すぐに消化するだろう。
    調査員:ーー導火線に沿って外を見に行ってみよう。
  • 16.花火ショーの混乱(7)/右廊下
    調査員:次々と打ち上げられる花火のおかげで、右廊下全体が明るく照らされている。
    調査員:フィルターグラスで花火の光を軽減させないと、導火線を探せないな。
    フィルター中3.jpg
    調査員:導火線は花火ショップの倉庫から伸びていた。
    そしてここはーー花火ショップの隣にある廃屋か。
    調査員:この部屋から床に沿って3方向に別れている……
    調査員:そして3本の導火線は最後、同じ場所に集まっているーー植物園だ。
    調査員:この導火線を設置した人は随分と計算高いな。
    3本あれば臨機応変に異なる場所から導火線を点火できる。
    調査員:点火された導火線は両側を沿って燃え、片方は花火ショップの倉庫へ。
    もう片方は……植物園へ。
    調査員:導火線は……植物の掘り起こされた土の中に繋がっている。
    調査員:(土を拾い上げ匂いを嗅ぐ)
    調査員:確かに火薬の匂いがするな。
    だが、火薬が土の中にばらまかれているのなら、導火線から燃え移ることはないはずだ。
    しかし、ここは植物が生い茂っているーー
    調査員:誰が設置した導火線かは分からないが、犯人は必ず花火ショップと植物園に火を点け、
    クリスタル・パレス全体に火災を起こすチャンスを伺っていたはずだ!
    調査員:まさか、これこそがあの怪しい手稿が暗示していた「花火」の本当の意味なのか?
    なぜ?なぜ私の手記がこんなことを?
    調査員:複雑に入り組んだ物事の中に、一体どれだけの秘密が隠されていたのだろう?
    そして、どれだけの危険な陰謀があったのだろう?


その夜、あの「幽霊」人形が再び姿を現すことはなかった。
意外な事に、心の鍵さんも忽然と姿を消したのだ。
謎はますます深まるばかりであった。


前の章次の章

地図

地図.jpg

キャラ情報

キャラ情報.jpg
※2章での追加分→青字、3章での追加分→赤字

  • 「幽霊」
    幽霊.jpg
    ーー看守によれば、空を飛んだり、分身するらしい。
    ーー身体が固く、弾丸を受け止めるほど。
    ーー正体はブリキの人形だ。
    側面に弾痕があり、身体には燃えた痕のような黒い痕跡がある。
    ーー幽霊はずっと蝋人形館におり、蝋人形に偽装することで捜査を逃れていた。
    ーー花火ショップのロッカーを開け、中の花火を全て取り出す。
  • 調査員
    霊犀調査員.png
    ーー近頃「クリスタル・パレスに永久機関が出現する」という情報を耳にした。
    ーー肩にいるタツノオトシゴ【ディケンズ先生】は、調査員の推理の助手だ。
    ーータツノオトシゴ【ディケンズ先生】は音波を記録できるだけでなく、電波も記録できる。
    ーー孤児院で育った後、工場で児童労働している間クリスタル・パレスの影響を受け、科学技術を学ぶ道へと足を踏み入れた。
    ーー皇家科学院への申請が失敗した後、幽霊社に加入した。
    ーーMr.ミステリーとは幼馴染で、一緒に孤児院で育った。

※Mr.ミステリーはMr.リーズニングの旧衣装名(おそらくミス)

  • 心の鍵
    心の鍵.png
    ーー幽霊が蝋人形館に入った時、彼女は蝋人形館を見学していた。
    ーー優秀な鍵職人である。
    (楽々クリスタル・パレスの特製錠を開けることができる)
    ーー【本音をごまかす】というアイディアを気に入っている。
    ーー彼女の父親に憧れており、クリスタル・パレスの設計者に見立てている。
    ーー父が亡くなる前、1つの遺作を遺していた。
    ーー心の鍵の父はダイヤル錠の発明者だ。
    彼は蝋人形師と「人形芸術」について話し合ったことがある。
  • 蝋人形館長
    蝋人形館長.png
    ーー【蝋人形博物館】の館長。
    ーー長い間新しい蝋人形を作っていない。
    ーーダイヤル錠を発明した職人。蝋人形師の友人。
    ーー人形の蝋人形は蝋人形師の友人の遺作であり、蝋人形には【展覧会に参加したい】というメモがあった。
  • 樹洞の捨て子
    樹洞の捨て子.png
    ーー樹洞の中に住んでいる三兄弟。旗を繋いで作ったボロボロのマントを着ている。
    ーー体中にコケが生えており、少し動いただけでコケと葉っぱが落ちて来る。
    ーー奇形の身体によって、幼い頃にクリスタル・パレスの樹洞の中に捨てられた。
  • 退役軍人の看守
    退役軍人の看守.png
    ーークリスタル・パレスの看守。「クリスタル・パレスの幽霊」の主な目撃者。
    ーー看守と樹洞の三兄弟の合言葉は、1つのリンゴだ。
    ーーかつては海軍だったが、騎兵のカーヴィン銃を扱う練習をしていた。
    ーー看守はナイトになりたがり、且つイノシシの友人がいる。
  • 斬新な玩具
    斬新な玩具.png
    ーー【ハッピーボックス】の玩具職人
    ーー玩具職人はチャレンジ精神のある危ない玩具を試すのが好きだが、それ故に中々のクライアントから認可されない。
    ーー玩具職人は、心の鍵が彼女に玩具開発用のプレゼントをくれるメッセージを残したと言っている。
    ーー玩具職人はグライダーと弾射板車のテストデータ報告を受け取った。
  • 花火のガイ
    花火のガイ.png
    ーー【ファイヤーガイ】花火商人。
    ーー義足はとある事故によるもの。
    (義足は右廊下の花火実験爆発事故の時に負った傷)
    ーー義足の破損は数日にわたる強度な作業によって起きた金属疲労によるもの。
    ーー花火のガイが抱くクリスタル花火ショーの夢は、とある「彼女」に関係しているらしい。
    (花火のガイが抱くクリスタル花火ショーの夢は、とある劇団のスターのため)
  • 白鴉公爵
    白鴉公爵.png
    ーークリスタル・パレスの管理者、皇室貴族。
    髪は長く白く、身体全体が服に包まれており、決して本来の姿を見せない。
    ーー自分の外見をとやかく言われることが嫌い。
    ーークリスタル・パレスの再興をあまり良く思っていない。
    ーー花火商人の花火から火薬を抜いた後、それを全て倉庫の中に保管し、開けてはいけないと指示した
    ーー皮肉を言ったり、人を嘲笑うことが好き。花火商人に対しては特に冷酷。
    ーー花火を見た後、突然逃げ出した。
    (花火を見た後、突然逃げ出した。それは公爵が自ら導火線を設置したからだ)
    (公爵はクリスタル・パレスを燃やし、その罪をガイに着せて巨額の保険金を騙し取るつもりだった)
    ーー公爵はアルビノを患っていたためクリスタル・パレスに押しやられ、彼はずっとそれを不満に思っていた。
    ーー公爵は皇室の復讐として、コ・イ・ヌールを盗む計画を立てた。
    (公爵はコ・イ・ヌールを盗んでD・Mに売ることで、皇室に復讐しようと計画した)
  • バロネス・ダイヤ
    バロネス・ダイヤ.png
    ーー【プリンセス・セレクト】の店主、コ・イ・ヌールが何よりも好き。
    ーーコ・イ・ヌールが盗まれたダンスパーティーに出席した。
  • 黒鴉公爵
    黒鴉公爵.png
    ーー皇室代表を自称する謎の男性。
    その目的は一体?

コメント