オーケアノスの航路/第一章

Last-modified: 2024-04-29 (月) 07:24:56
オーケアノスの航路.jpg
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第一章・過去の航路

新しい身分

トゥルースは私が危険な賭けに出ることにとうに慣れている。
この「新しい身分」によって、私は乗船資格を手に入れた。


  • 1.事務所資料室
    事務資料室.jpg
    事は半月前に届いた1通の依頼書から始まる……
    イベントの厳しい審査を通過するには身分を偽造するしかない。
    主催者は状況を完璧に再現するために、当時の乗客に近い身分の申請者を選抜するはずだ。
    確実に選ばれるよう、他よりも目立つ身分が必要だろう。
    だがもちろん、それにはリスクも付きまとう。

    Mr.リーズニング:隠密性を取るか成功率を取るか……選ぶのが難しいな。
    Mr.リーズニング:(トゥルースが手紙を整理しながら、一回り大きい封筒を私のデスクに置いた)
    Missトゥルース:さっき、ポストマンさんが持ってきてくれたの。この箱と一緒に至急届けてほしいって頼まれたんだって。

    Mr.リーズニングへ:
     今頃、新しい身分でお悩みではありませんか?私が力になれるかもしれません。残念ながら、私の名前を明かすことはできません。どうかお許しください。ですが、この件において我々の利害は一致しています。そして私が提供する身分によって、あなたの調査の成功率は格段に上がることでしょうーー公の場に滅多に顔を出さず、世界中を渡り歩くコレクター。彼は特に海洋生物に情熱を注いでいます。この身分は当時の重要な乗客の1人とほぼ一致しており、科学チームの提携パートナーでもありました。3月に始まる航海の間、このコレクター本人が公の場に姿を現す心配もありません。
     突然の手紙に不信感を覚えるのも当然でしょう。あなたとその事務所について、事前に調べさせてもらったのは事実です。しかし時間があまり残されていない今、無礼を承知で手紙を出させてもらいました。
     それから、もしこの提案に乗っていただけるなら、前もって新しい身分に慣れておくことをおすすめします。船での言動に違和感があれば、本来の身分がバレてしまうかもしれません。イベントの参加者はそれぞれ異なる目的を抱えており、主催者もそれを承知しています。くれぐれも行動は慎重にお願いします。最後に、乗船前の身体検査を受ける必要はありません。こちらで何とかしましょう。
     偽装に必要な服と道具、そして身分情報を手紙と共に送らせていただきます。
    セオドア・バンクス
    博学で多才、優れた家柄のコレクター。29歳。
    グリーンウッドパブリックスクールに通っていた彼は自然研究とコレクションに対して強い興味を示し、在学中もそれらを嗜むために多くの時間を割いた。中でも特に精を入れていたのが海洋生態で、24歳の頃にはスポンサーを得て海技資格を入手し、船乗りとして新たな発見を求める旅に繰り出すようになっていた。裕福な暮らしを放棄した上、自分の土地の経営を他人に任せてからは滅多に公衆の面前に顔を出さなくなったため、学友からは変わり者と言われている。
    バンクス氏はすでに動植物の標本を数千件集めており、その内300種ほどが科学界に新種として認められている。今回の航行と最も関連性があるのは、手紙と共にそちらに送った貝類の標本で、バンクス氏が海の生態環境が生物にどのような影響を与えるのか関心を持っている証となる。
    ……

    Mr.リーズニング:どうやら私たちの計画は何者かに筒抜けらしい……手紙の主が可能な限り配慮してくれているのは分かるが。
    Missトゥルース:それで……この提案に乗るの?
    Mr.リーズニング:向こうはこちらの状況を全て把握しているのだ。これ以上の選択肢はないだろうーー乗船の機会を逃すか、保障も何もない提案を呑むか。
    Mr.リーズニング:研究者の偽装が難しい前提を考えても、研究の提携パートナーという身分は調査対象に接近するための最高の足がかりとなる。
    Mr.リーズニング:つまり、これは事件の中心まで一気に足を進めることのできる近道……断る理由はない。
    Mr.リーズニング:それに、依頼人が提供した情報によるとーー「ウミサイ」というコードネームの乗客は、多くの秘宝を自分のコレクションに加えていたようだ。船での私の「役どころ」にちょうどいい。
    Mr.リーズニング:(トゥルースは頷いた。私は危険な賭けに出ることはとうに慣れているようで、手紙と一緒に送られてきた箱を開けた)
    Missトゥルース:いい作りの服が一式、きれいなコレクションが1つ、それからこの2台は……携帯型の通信機かな?
    Mr.リーズニング:(箱には私が普段着ないような服と、真っ白な貝類の標本1つが入っていた。トゥルースは標本を事務所の本棚に並べた)
    Missトゥルース:あなたが理解できないファッションとやらは、このコレクターにも好まれているみたいね?
    Mr.リーズニング:まあいい。この偽装身分にとって必要なら、この存在を受け入れるしかないだろう。

    貝殻の標本.jpg貝殻の標本
    珍しい貝類の標本。学術価値が高く、私の身分の証明になる。

    Mr.リーズニング:(手紙の説明によると、この貝殻はとんでもない代物らしいーー学術価値が高い無二のコレクションで、今回の航海で向かう海域の近くで発見されたものだ)
    Mr.リーズニング:(今回名前を借りるコレクターは、この品種についてこのような仮説を発表している。「特殊な環境は、品種の特徴に特別な影響を及ぼす」ーーこの標本は私の身分を裏付ける有力な証拠となるでしょう)

    携帯型電信機.jpg携帯型電信機
    2台の携帯型電信機。限られた範囲内で通信を行えるようだ。

    Mr.リーズニング:(特殊な改造を施されているようだが……これもコレクションの一部かもしれない。船旅で役に立つことを祈ろう)
    Mr.リーズニング:(申請表の他にも、補助材料としてこのコレクターの海洋生態に関する論文を整理する必要がある)
    とにかく、生物学や分類学に精通してる人を演じるわけだから、当日までに大量の知識を叩きこんでおかないとね。


コレクターとして主催者が提供した住所に申請を出すと、一週間後に審査通過の連絡が届いた。
読み通り、25年前に研究チームと提携していたコレクター役として乗船してほしいとのことだ。

同行者

彼らは様々な目的を持ってここに集まった。
過去の噂を信じるかどうか、それが乗客を2つに分ける境界となった。


  • 1.甲板
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    3月、私は荷物をまとめ、作り直された新しい「イセムバード号」に乗り込んだーー
    出航日は快晴。私はコレクターとして客船の甲板に立ち、今回のイベントのルールを説明するラジオに耳を傾けていた。

    1.イベントの参加者には、25年前の乗客にそれぞれ当てはまる、本人に相応しい身分を振り分けております。
    2.参加者の行動に厳しい制限はありませんが、それぞれの「担当」を演じると同時に相応の責務を担い、共に船での役割を全うしていただきます。
    3.それぞれの目的を、胸に乗船した皆さまが、今回の航海で望むものを得られることを心から祈っております。

    Mr.リーズニング:(ラジオの声はその内容だけ伝えるとピタリと止まった。ガラリとした甲板を、太陽がジリジリと照りつけている。私が最初の乗客のようだ)

  • 2.甲板/調査
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    Mr.リーズニング:(1冊の航海日誌。当直記録を始め、乗組員たちの作業スケジュールが詳しく記録されている。普通の船員から操舵手、接待係まで、いずれも詳しく行動が決められてある)
    Mr.リーズニング:(外付けの湿度計。海の気候に関するデータを記録できる。現在の天気は晴れ、湿度は低めだ)
    Mr.リーズニング:(水中の生物を引き上げるための網。今回の航海で研究設備に含まれており、25年前に使用されたものと同じらしい)
    Mr.リーズニング:(太陽に照らされた海面は穏やかでほとんど波がなく、まるでシルクの絨毯のように滑らかに見える)
    Mr.リーズニング:(1艘の救命ボート。緊急時に多くの乗客の命を救うことができる)

  • 3.甲板/標本士
    Mr.リーズニング:(背後から足音が聞こえ、振り返ってみると、全く異なる雰囲気の2人の女性が甲板にやって来た)

    標本士.jpg
    1.落ち着いた雰囲気の女性だ。親しみは感じず、距離感がある。
    2.標本士が持ち歩いている工具バッグ。ハサミは細かい作業に、薬剤は生物サンプルの腐敗防止に使用される。
    3.古生物の一種、ウミユリをモデルにした装飾品。囚人の趣味を反映している。
    4.心地よい生地の服装。かっちりとした白手袋は彼女の真面目な性格を体現している。

    Mr.リーズニング:(甲板にいた私に気づいた標本士さんは、一定の距離を保ったまましばらくこちらの身なりを観察した後、交流を図ることにしたようだ)
    標本士:はじめまして。私は研究チームの標本士で、この船の船医も兼任しているわ。もしかしてあなたは……
    Mr.リーズニング:(彼女は私が誰か分かったようだ。この船における私の身分は……)

    証言:コレクターの身分
    私は船上でコレクターを演じることになった。

    Mr.リーズニング:はじめまして。私はコレクターで、今回の研究プロジェクトの提携パートナーだ。
    Mr.リーズニング:我らの科学チームが貴重な生物サンプルを採集できることを祈っている。君の成果にも期待しているよ。どうぞよろしく。
    Mr.リーズニング:(標本士さんは軽く会釈しただけで、それ以上の反応は示さなかった。このような社交辞令はあまり好きではないのかもしれない)
    標本士:お噂はかねがね。この「オーケアノス」へ向かう旅は、必ずあなたの期待に応えるでしょう。
    Mr.リーズニング:世界に広がる海……オーケアノス。あの海域について詳しいのか?
    標本士:いいえ。それにまつわる噂ならともかく、本当の意味で詳しい人なんていないんじゃないかしら。
    標本士:科学的な観点から言えば、あそこは今でも未発見の生物が多く存在する未開の地であり、独特な生態環境を持つ場所よ。
    Mr.リーズニング:確かにそうだな。では、「噂」に関する部分は?
    標本士:熱狂的なファンが好んで使う陳腐な言い回しのこと?それの忠実な支持者なら、この船にもいるわ。
    Mr.リーズニング:(彼女は奇妙な噂に対してあからさまに否定的な態度を取っているが、多くは語らないつもりらしい)
    Mr.リーズニング:(ブラウンリー教授の記録にあるコードネームの中で、標本士さんに当てはまるのは……理性を最後まで貫いた「ウミヘビ」か、それとも頼れる「プリスター」か?いや、他の可能性もある……今はまだ断定できないな)

  • 4.甲板/製図士
    Mr.リーズニング:(もう1人の女性がこちらに歩いてくるのが見えると、標本士は私に別れを告げ、甲板の反対側へと行ってしまった。彼女を避けているのだろうか?)
    Mr.リーズニング:(もう1人の女性こそ、私が調査したかった相手ーーブラウンリーさんだ)

    製図士.jpg
    1.神秘的な気配を持つ深い紫の礼帽。後ろに見える黒髪はビーズと金属の輪で三つ編みに束ねられている。
    2.こっちは完成した海図だ。帆船や珍獣の模様が描かれており、歴史上の古い伝説と伝統を参考にしているのが分かる。
    3.黄銅のコンパスと定規。様々な製図作業に使用できる。
    4.未完成の海図を数枚持っており、その上に複数の航路がマークされている。

    Mr.リーズニング:(事前調査通り、この製図士は謎に満ちた奇談に夢中なようだ。だからこそ彼女が描く海図は、一種の芸術品として人気を博すようになったのだが)
    Mr.リーズニング:(事件の中心人物の関係者として、彼女は重要な情報を多く握っているはず。イベントのルールに則り、彼女は自分の父親ーーこの船で唯一コードネームがない乗客を演じている)
    Mr.リーズニング:(初対面であるにも関わらず、彼女は期待を込めた笑みでこちらをじっと見つめてきた……度が過ぎた熱意に、思わず居心地が悪くなる)
    製図士:あらっ、こんにちは……!コレクターさん、お会いできて嬉しいですわ!
    製図士:先ほど私の……作品を見ていませんでしたか?ひょっとして、あなたも海の不思議な伝説に興味をお持ちで?

    ◆ああ
    Mr.リーズニング:航海にまつわる伝説を読むのは好きだ。海の珍獣や神秘的で刺激の強い冒険物語などは、特に。
    Mr.リーズニング:コレクターの観点から言わせてもらうと、伝説は多くのコレクションに芸術性を与える。魅力的な物語があってこそ、伝説のコレクションが生まれるのだ。
    Mr.リーズニング:(製図士はやや大げさな笑顔を浮かべた。私の回答に満足しているのか、その異常なほど熱い眼差しからは愉悦が覗える)
    ◆いや
    Mr.リーズニング:いや、私は現実世界の発展に目を置きたい主義だ。
    Mr.リーズニング:(私の発言に気を悪くした様子はない。彼女は理解されないことに慣れているのかもしれない。だが予想に反して、彼女はすぐさま異常なほどの激情を見せてきた)
    製図士:ですが、その謎の伝説が……科学的に説明できないような現象が、「現実世界」のものではないと誰が証明できるのでしょうか?父が戻ってきてから語った体験談だってーー

    製図士:とにかく、私がここへ来たのは、父の当時の言葉が事実であったと証明するためです。
    製図士:私は父を尊敬し、敬愛していました。彼は嘘を吐くような人間ではありません……これから、そう、あなたたち全員がそれを見届けることでしょう。
    製図士:楽しみにしていてください。嵐は必ず25年前と同じようにやって来ます。例の黒い影も、我々を発狂の渦に誘う叫び声も……ただ、恐らく全員が理性を保ったままその時を迎えることはできないでしょう。非常に残念です。
    製図士:船の至るところに、それらは突然姿を現すかもしれません。どうかお見逃しのないよう、隅々までご確認くださいませ……
    Mr.リーズニング:(製図士は再びこちらに一歩踏み込んだ。自分の言葉に嘘偽りがないことを必死に証明しようと、先ほどよりも更に感情を昂らせている。私は何とか話題を変えることにした)
    Mr.リーズニング:あちらの標本士さんとはすでに挨拶されたのか?
    製図士:……ええ、まあ。彼女は少し頑ななところがあるようで、自分の想像力を膨らませようとしないんです。今までも、ああいった方はたくさん見てきました。
    製図士:普通は信じられないような考えだって、真相への扉に繋がっているかもしれないでしょう?最初から可能性すら否定するべきではないと思うんです。
    Mr.リーズニング:それは同感だ。
    製図士:まあ、うれしい……!また一人、私の観点を認めてくれる方に出会うことができるなんて。
    製図士:それに私、野蛮な道具を扱う医師はあまり好きではないのです……あんなの、身体に対する冒涜ではありませんか。

  • 5.甲板/主催者
    Mr.リーズニング:(製図士はそう言ってこの話題を終わらせると、視線を甲板にいる最後の1人に向けた。いつからそこにいたのだ?まったく気配がしなかったが……)

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    1.様々な精度の実験観察に対応できる、片目の可動式レンズを着用している。彼も研究チームの1人のようだ。
    2.高級な生地の装い。色白の優雅な貴族の青年という印象だ。
    3.汚れを気にしない性分なのか、服には実験用薬剤が散った跡がある。何の薬剤かは分からない。
    4.研究道具を持ち歩いている。見たところ、改造を施された携帯型深度計のようだ。

    Mr.リーズニング:(主催者本人も研究チームの一員として参加するようだが、その身なりを見る限り、多少は研究作業に携わっていることが窺える)
    主催者:こんにちは、コレクターさん。お噂はかねがね。
    Mr.リーズニング:(相手は友好的な挨拶をしながら、観察するような眼差しを向けてきたーーその視線に思わず緊張が走る)
    主催者:まさか、あなたのようなお方を迎え入れられるとは。申請書を拝読した時は、海の生物に関する深みのある内容に驚かされたものだ。
    主催者:私の予想が正しければ……今回は例の貝類に関する仮説を検証するために来たのでは?実のところ、私も環境が生物に与える影響に興味を引かれていてね。
    Mr.リーズニング:(主催者は穏やかな口調で話しかけているが、言葉の節々から真の意図が伝わってくるーー私の本当の身分について探りを入れているのだ)
    Mr.リーズニング:(自分の身分を証明できるものを持っている。それは……)
    Mr.リーズニング:(今の私はコレクターだ。私の標本コレクションを見せるべきだろうか)

    貝殻の標本.jpg証拠品:貝殻の標本
    珍しい貝類の標本。学術価値が高く、私の身分の証明になる。

    Mr.リーズニング:かたじけない。確かに私には、自分の仮説を検証したいという考えがある。今回の目的地は正しくこの品種が生息する海域だ。
    Mr.リーズニング:(貴族の青年は私の言い分に納得してくれたようだ。私は心の中でほっと息をつき、食事と休憩を取ろうと提案した)
    Mr.リーズニング:(結局、主催者に該当する乗客のコードネームも分からずじまいか……まだ情報が少なすぎるな)

研究再始動

全ては過去の計画通りに進んでいる。
この未探索の海域が、事件の真相にまつわる情報を私に提供してくれることを祈ろう。


  • 1.宴会ホール
    宴会ホール.jpg
    Mr.リーズニング:(宴会ホールを通って客室に戻る道中、地面に妙な痕跡があることに気づいた)
    Mr.リーズニング:(これは……煤が付いた靴跡だ。宴会ホールから客室方面の廊下に向かって続いている。それは製図士さんの部屋の入口で止まっており、扉の前を行ったり来たりした形跡がある)
    Mr.リーズニング:(靴跡のサイズはかなり大きい。明らかに製図士さん本人のものではなく、私が会ったどの人物とも一致しない。怪しいと直感が告げているが、果たして……)

  • 2.セオドア・バンクスの部屋
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    Mr.リーズニング:(私は疲れ切った状態で自分の客室に戻った。客室の環境は快適とは言えないが、今は少し休息が必要だ)
    客室2.jpg
    Mr.リーズニング:(コレクションに関する古い書籍。以前この部屋に住んでいたコレクターの身分に合わせているのか、全て25年前に出版されたものだ)
    Mr.リーズニング:(海の怪物がモデルになっている奇妙な形の時計。イベントの主催者は海の超自然伝説に興味があるのだろうか?
    Mr.リーズニング:(統一された形のトランク。乗船前に主催者が配ったものだ。イベントの参加者たちはこの専用のトランクを使用して私物を持ち込むことを許可されている)
    Mr.リーズニング:(精巧な写真立て。中の写真には何らかの品種のホラ貝が写っている。どうやらそれぞれの部屋も25年前に住んでいた乗客と関連付けられているようだ)
    Mr.リーズニング:(その時、入口からノックの音が響いたーー来訪者はカメラを持った女性だ)

  • 3.セオドア・バンクスの部屋/報道記者
    報道記者.jpg
    1.カメラを持ち歩いている。職業は記者のようだ。その職業ゆえの習慣か、船での「重要な瞬間」を記録している。
    2.オウムガイの形をしたネックレス。海の生物に興味があるのかもしれない。

    報道記者:ごきげんよう、コレクターさん。お名前は前々から耳にしていたわ。本人に会えて光栄よ。
    報道記者:甲板にいる研究者たちは手が離せないようだったから、私が代わりに伝えに来たの。研究設備のテストが終わったから、いつでも研究プロジェクトを開始できるそうよ。
    Mr.リーズニング:(記者さんは私の部屋の内装に興味があるようで、私の許可を得た後、部屋の風景にシャッターを押した。彼女にとっては、部屋の配置1つでも気になるところがたくさんあるようだ。)
    Mr.リーズニング:あなたはその職業にピッタリな好奇心と観察力を持っているのだな。すでに乗客のほとんどと顔を合わせたのか?
    報道記者:ありがとう。でも、25年前の事件に関する手掛かりを追っているのは、あくまで個人的な趣味に過ぎない……
    Mr.リーズニング:あなたが乗船した理由もそれか?
    報道記者:記者は、特別な物語を追い求めるものよ。あなたがコレクションを増やすために乗船したのと一緒。
    Mr.リーズニング:(彼女は私の質問をうまく躱した。彼女が私を警戒しているという意思表示なのかもしれない)
    報道記者:私の仕事は、研究プロジェクトの進捗を記録すること。だからもちろん、乗客との挨拶は全部済ませているわ。一応、いつもの癖で研究者以外の「乗組員」とも軽く接触してみたのだけど……
    報道記者:彼らの会話を聞く限り、何でも「乗組員」は航海日誌のスケジュール通りに動かなければならないみたいで。それと……乗組員のほとんどは乗船前から互いに面識があったから、新入りは大柄な船員1人だけだそうよ。
    Mr.リーズニング:(続きを聞こうとした時、記者さんの様子が変わったーー困惑した顔で、私の背後の窓に視線を向けている)
    報道記者:(窓の方向を指さす)今、あそこに誰かがいたような……
    Mr.リーズニング:(振り向くと、数羽の海鳥が窓を横切った)
    Mr.リーズニング:見間違いだろう。この部屋には私たちしかいないはずだ。
    Mr.リーズニング:(記者さんは自分でも確信が持てないようで、疲れたように首を振った)
    報道記者:分からない……疲れてるのかしら。
    報道記者:私は部屋に戻って少し休むわ。あなたは甲板に行って、研究チームの人たちと合流してね。
    Mr.リーズニング:(記者さんの特徴は……ブラウンリー教授のコードネームの1つと一致している……)
    Mr.リーズニング:「シーユニコーン」:目についたものをことごとく記録したがり、船の様々な業務に強い好奇心を抱いていた聡明な「シーユニコーン」は、異常気象の最初の犠牲者だ。恐怖に吞まれることはなかったが、心を失った。
    Mr.リーズニング:(そうだ。記録を好む、好奇心な「シーユニコーン」……これが彼女にぴったりだろう)

  • 4.甲板/気象学者・音声学者
    Mr.リーズニング:(甲板に来ると、私は少し不安を覚えた。海上に囚われた時、恐怖の種は予想よりも早く芽吹くようだ)
    Mr.リーズニング:(ふと、私はブランウリー教授の声明で読んだ言葉を思い出した……「文明社会から隔たれた空間の中、警戒しなければならないのは理解不能な現象だけではなく、絶望に心を蝕まれた同乗者もだ……」)
    Mr.リーズニング:(脳内に渦巻く情報を処理する余裕はない。幸い、外は今も晴れやかで、甲板からは網を張る設備の稼働音が聞こえてくるーー音がする方へ歩いていくと、主催者を始めとする研究者たちが集まっていた)
    主催者:やっと来られたか。今のところ、全て順調だ。
    Mr.リーズニング:(主催者に会釈をすると、丁度作業を始めようとしていた2人の学者が、海水が入った設備の方へと私を案内した)

    気象学者.jpg
    1.灰がかった青色の服。海にかかる霧を連想させる。気象学に関する資料を手に持っており、厳格な雰囲気を漂わせている。
    2.やや派手なペンダント。羅針盤をモデルとしたデザインのようだ。

    音声学者.jpg
    1つのペンダント。一種のイルカーー音の反響を利用して海の中で「会話」をする生物の尾部に見える。
    ローブに身を包んでいるため、体型はよくわからないが、布地には音波のような波状模様がある。彼の研究に関係しているのかもしれない。

    音声学者:お越しいただきありがとうございます。私が音波を、こちらの女性が気象の研究を担当しております。ここにある研究設備は25年前の研究チームが使用していたものと同じで、当時の研究も主に2人の学者が主導していました。
    音声学者:そのうちの1人が製図士さんの父ーーブラウンリー教授でした。著名コレクターと提携して十分な資金を手に入れた彼は、航行が終わった後に成果発表を公に行うと約束したそうです。
    音声学者:そしてもう1人はシェリン教授。あのお方はプロジェクトの進捗により注目していました。当時の光景を再現した今、改めて才能あふれる2人の学者を惜しく思います。
    気象学者:私も同じ気持ちです。シェリン教授は伝統を重んじていて、出航する前はいつも青色のクラゲのペンダントを身につけていました……一族に伝わる大事な記念の品だったようです。
    気象学者:しかし、シェリン教授の学術成果は受け継がれることなく、彼の数少ない教え子もあの海難事故で命を落としました。彼自身の子もまだ幼かったというのに……
    音声学者:この救命ボートには他の用途もあります。研究で海面に近づく必要がある時は、特に便利です。
    Mr.リーズニング:今回の提携が上手くいくことを心から祈っている。
    気象学者:此度の航海の安全は十分保障されていますーー人騒がせな噂を無視すれば、ですが。
    Mr.リーズニング:(「噂」とは、製図士さんの予言めいた発言のことだろう……学者たちが敵視するような態度を取るのも予想の範囲内だ)
    Mr.リーズニング:(先ほど甲板で、製図士さんが不安を誘う可能性を口にしていた。こちらの女性が海洋気象の研究に従事しているなら……彼女から専門的な意見が聞けるかもしれない)

    証言:嵐の到来
    製図士は25年前と同じように嵐がやって来ると言い張った。

    Mr.リーズニング:時間を取らせてすまない。実は……25年前の「イセムバード号」の境遇をもとに、船では「再び嵐が訪れる」という噂が流れていて……
    Mr.リーズニング:(気象学者は手元の資料に視線を戻した。この話題に興味を失ったようだ)
    気象学者:嵐なんて来ませんよ、コレクターさん。あなた自身も「噂」だと言ったでしょう?
    気象学者:この船の乗客は、大きく分けて2種類あります。一部は「噂」と混乱を求める者、そして一部は真理と規律を求める者。話す価値があるのは後者だと思いますが。
    Mr.リーズニング:(気象学者と音声学者、ブラウンリー教授のコードネームで彼らに当てはまるのは……)
    Mr.リーズニング:(まずは気象学者。見るからに厳しそうな女性で、船では気象の観測と研究を担っている。彼女は恐らく……)
    Mr.リーズニング:「ウミヘビ」:研究規則の絶対的な守護者。「ウミヘビ」は決して自分の原則を破らない。しかし残念ながら、その科学的な「推測」はすぐに嵐によって覆され、最後まで貫こうとしていた理性も巨大な恐怖によって打ち砕かれた。
    Mr.リーズニング:(そうだ。天気を予測する専門的な知識を持ち、そして自身の理性を貫く……「ウミヘビ」は気象学者しかありえない)
    Mr.リーズニング:(もう1人は音波を専門とする学者……彼のコードネームは、この中のどれかだ)
    Mr.リーズニング:「ロッカス」:「ロッカス」は軽やかで掴みどころのないものを好んでいた。嵐が訪れた時、「ロッカス」は己が追い求める「形のない物」に近づくために最も危険な場所に行くと言って聞かなかった。
    Mr.リーズニング:(そうだ。掴みどころのない「形のないもの」が音波だとすれば、「ロッカス」が該当する人物は音声学者で間違いない)

  • 5.甲板
    Mr.リーズニング:(主催者が慎重に砂を処理しながら、生物を大まかな部類に振り分けている。そこで、彼がクラゲを特製の水槽に入れていることに気づいた。触手を丁寧に避ける動きから、クラゲの処理に慣れていることが窺える)
    Mr.リーズニング:(こういった自然な動きは、演技で取り繕えるものではない。主催者はクラゲを処理する経験があるのか)
    主催者:なんて美しい生き物だ。まるで海の中の幽霊だ……あなたもそう思わないか?
    Mr.リーズニング:ああ、あなたが今集めているクラゲは、人間にあまり脅威を成さない品種のようだ。私は個人的に、傘にある花びらのような性腺が気に入っている。
    Mr.リーズニング:どうやら、この類の生物にかなり興味があるようだな。
    主催者:専門家の前でひけらかすつもりはなかったのだが……そうだ。これは私が今回の航海の目的としている品種の1つ……もちろん、あなたが注目している貝類など、他にもたくさんあるが。
    Mr.リーズニング:(主催者は近くの地面を指さした。そこには大小さまざまな貝類が積まれており、保管箱の中にも数多の生物が分類されている)
    主催者:お気に召したコレクションはあるか?
    Mr.リーズニング:ほとんどがごく一般的な品種だが、丁寧に処理を行えば、どれもなかなかのコレクションになるだろう。
    主催者:問題ない。我々の設備は機動力に長けている。今日は近くの海岸線まで実地調査を進められるだろう。
    Mr.リーズニング:それは楽しみだ。
    気象学者:引き上げ準備が整いました。いつでも始められます。
    Mr.リーズニング:(25年前の真相に関わる全ての要素が、再びこの海面に集まったーーそれぞれの目的を抱える「参加者」たちは同僚となり、共にこの研究プロジェクトを推進している。しかし、乗客たちとブラウンリー教授が残したコードネームの関係性は未だ不明なままだ)
    Mr.リーズニング:(現段階ではまだ断定できない乗客の身分だけでなく、25年前に隠蔽された研究成果も、この研究プロジェクトで改めて明らかになるかもしれない)
    Mr.リーズニング:(数多の手掛かりが波に呑まれ、長い年月にすり減らされてしまった今……海とその特殊な生態環境が最も忠実な証人だ)
    Mr.リーズニング:(再始動した研究プロジェクト、そしてこの未探索の海域が、真相にまつわる情報を私に提供してくれることを祈ろう……)

    地図

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    キャラ紹介

    • 主催者
      幽霊船の帆.png
      • 1. 25年前の遭難船を作り直した謎の主催者。
      • 2. 貴族らしき青年。今回の航海イベントの責任者で、これまで公の場に姿を現したことはない。
      • 3. 主催者は25年前の航海プロジェクトをこの船で再現しようと、25年前の乗客の身分に近い参加者を選出していた。
      • 4. 熟練した実験技術を持っているようで、船では科学者の役割を担っている。
      • 5. 主催者はクラゲのサンプルの処理にかなり慣れている。
      • 6. 主催者は徐々に疲労感や無気力を見せるようになった。
      • 7. 製図士さんに手を出した犯人。25年前に研究チームが向かった終着点の精確な座標を手に入れようとしていた。

    • 標本士
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      • 1. 標本士さんは今回の航海の船医も兼任している。
      • 2. 標本士さんは超自然的な噂に否定的な態度を取っている。
      • 3. 標本士さんは徐々に愉悦と、この雰囲気を楽しむような素振りを見せた。他のメンバーとは全く異なる反応だ。

    • 製図士【被害者】
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      • 1. 神秘主義者の製図士は、海の超自然伝説に興味を抱いている。
      • 2. 乗船した目的は、自分の父親が体験した異常現象が本当の出来事だったと証明するため。
      • 3. 製図士と標本士は性格も意見も真逆なため、相性がとてつもなく悪い。
      • 4. 製図士は医師を嫌っており、人体に医療器具を使うことが野蛮な冒涜行為だと思っている。
      • 5. 製図士は父親から海図の半分しか受け取っていない。
      • 6. 製図士は船上で異様な興奮、活動量の増加、睡眠障害などの反応を見せている。

    • 操舵手
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      • 1. 大柄な操舵手。上位の役職で、乗組員たちの管理権限を持っている。

    • 接待係
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      • 1. 鮮やかに着飾ったウェイトレス。船での飲食物は全て彼女が手配している。

    • 気象学者
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      • 1. 船上科学者の1人。厳格な印象を人に与える。海の気候関連の研究テーマに注目しているようだ。
      • 2. 航行中に嵐が訪れる可能性を否定し、超自然的な伝説など話題にする価値すらないと考えている。
      • 3. 気象学者は乗船後、25年前と今を混同するようになった。

    • 機関士
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      • 1. 口数が少なく、大柄な体格を持つ。長期的な肉体労働に慣れている。
      • 2. 日常的な見回りと同時に、機関室の点検も担当している。
      • 3. 機関士は機械設計の知識がある程度備わっている。
      • 4. 25年前の海難事故で遭難した友人の死の真相を知るために乗船した。

    • 音声学者
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      • 1. 船上科学者の1人。音波に関する研究テーマに注目しているようだ。

    • 報道記者
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      • 1. 記者として乗船し、海洋生物にも少し興味を持っているらしい。
      • 2. 25年前の心霊事件に強い興味を示している。
      • 3. 唐突に窓の外の海鳥を人影に見間違えた。
      • 4. 記者は徐々に感覚に鈍り、意識障害の症状を見せた。

    • ブラウンリー教授
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      • 1. 25年前の沈没事故から生還した海洋生物学者。
      • 2. 沈没事故が心霊現象によるものだと他の生還者たちと共に断言していた。
      • 3. ブラウンリー教授は12年前に行方不明になった。
      • 4. ブラウンリー教授はその手帳の中で、25年前の乗客に異なるコードネームを付けていた。
      • 5. 研究プロジェクトの秘密保持契約書を締結し、何らかの発見を隠蔽しようとしていたようだ。
      • 6. 研究チームの責任者として、著名コレクターと提携した。

    • 事件の依頼人
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      • 1. 25年前の沈没事故の生還者。沈没船の呪いを恐れて依頼を出した。
      • 2. ブラウンリー教授が公開した超自然体験が、自身の記憶と異なっていると主張している。
      • 3. 当時の研究プロジェクトの中心人物ではない。

    • コレクター
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      • 1. 私と歳が近い、コレクションと自然研究に夢中なコレクター。乗船するまでの偽りの身分として何者かに提供された。
      • 2. バンクス氏は生物学と分類学の知識を豊富に持っている。

    • シェリン教授
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      • 1. 研究チームのもう1人の中心人物。研究プロジェクトの進捗により注目している。
      • 2. シェリン教授は青いクラゲのペンダントを持っていた。自分の一族を記念するものらしい。

コメント

  • マクロシスチスの画像が違うものになってる気がします。 -- 写真家さん推し? 2024-04-29 (月) 02:12:18
    • ありがとうございます、修正しました! -- 管理人? 2024-04-29 (月) 07:24:39
  • 気象学者の台詞(酒を渡す前)に「天候も人も変化するものです。ですが、自身の憶測や欲求に応じて事実 を捻じ曲げる人間と比べれば、空のほうが断然素直ですね。」というものを確認しましたのでお伝えします。 -- 自賠責逃げ切りぽぽち? 2024-04-29 (月) 00:35:33
    • ありがとうございます、追加しました! -- 管理人? 2024-04-29 (月) 07:24:56