No28 レンジャー/元ネタ解説

• 米海軍の航空母艦(CV)、CV-4 Ranger。アメリカにおいて、一から空母として設計され完成した最初の1隻。
• なお彼女が完成した当時は、空母は細かく分類されていなかった。後に用途に分けて軽空母や護衛空母など区別するようになった。
  したがって、アメリカにおいて彼女より古い空母は全て航空母艦(厳密には艦隊空母)として建造された。ラングレー、レキシントン、サラトガの3隻。(ただこの3隻は元々別の艦種から改造された経緯を持つため改造空母として分類されることもある)
  • アメリカでは戦後、フォレスタル級航空母艦の建造に際しそれまでの空母より遥かに巨大で運用ドクトリンが異次元となるため新たに“超大型空母”(CVB)となった。CVBは後に核兵器の運用を前提とする意味で CVA に変更される。
    そして原子力空母はCVNである。
• 米英の航空母艦(艦隊空母)の定義は艦隊の主力となりうるという能力的な面と、艦隊の行動に追随できるという機動性の面の2つ。なので、大型で高速な空母だけでなく、小型で搭載機が少なくても高速であれば艦隊空母に分類される。つまり、レンジャーやワスプでも米軍の分類ではCVになる。

• ゲーム内でレンジャーが軽空母に分類されるのは、龍驤とほぼ同じ経緯で建造されているからと思われる。
  両者ともにワシントン海軍軍縮条約の影響で生まれた小型空母である。
  • ワシントン軍縮条約では空母の総排水量や1隻ごとの排水量、備砲サイズ*1の制限も行われた。一方、1万トン以下の小型空母は条約の対象外とされた。
    このため、日米両軍は排水量を抑えた小型空母の建造に着手。日本では龍驤、アメリカではレンジャーが生まれた。
  • しかしこれらの小型空母は搭載数や甲板サイズ、防御力、船体バランスなど、様々な運用上の問題があることが両者の実績から発覚。
    加えてその後のロンドン軍縮条約で結局1万トン以下の小型空母も制限対象に加わってしまったことから、小型空母はその後ほとんど建造されなかった。
    
    
• アメリカ空母最初期に建造された1隻である彼女は、まだまだ弱小だった米空母部隊増強のための設計が多数組み込まれている。無茶振りとも言う。
• 特に大きなものは、倍以上の排水量を誇るレキシントン級に迫らんばかりの航空機搭載数。その代わり、装甲は紙と言うのも憚られるほどペラッペラ。中破絵のヤバさはその暗喩だろうか。
  装甲は、弾薬庫と舵機室の側面に51mm、格納庫の床に当たる船体上面に25mmのみ。耐えられるのはせいぜい5inch砲程度が精一杯。それですら非装甲部分はスッポ抜けるので危うい。
• 改造後はゲームでも名実ともに航空母艦(CV)となるが、航空母艦の文字が虚しく見えるくらいにはペラッペラの装甲値である。ここまでペラいのは準同型艦のワスプくらい。
• この防御力の欠如を問題視され、敵味方双方の空母が大暴れしていた太平洋戦線には送られることはなかった。その関係もあり戦後まで生き残っている。
• 勿論遊んでいたわけではないし、訓練用になっていたわけでもない。大西洋艦隊に所属し、艦隊唯一の艦隊空母として哨戒、航空支援、船団護衛、通商破壊などに従事している。

• 愛称の「The Ghost Ship」は誤ってUボートに沈められたと報告されたことに由来する