No14 金剛/元ネタ解説

• 日本初の超弩級戦艦であり、帝国海軍の戦艦では最も活躍したとも言われる金剛型戦艦。そのネームシップ。
• 建造はイギリス、ヴィッカース社。日本海海戦時の旗艦、三笠の建造を行った会社である。
  三笠の活躍を誇りに思っていたようで、図面の提供や技術指導など、今後に繋がる様々な支援を施してくれている。
  日本の造船技術が一躍世界最先端にのし上がったのは、この時に受けた支援が大きく影響している。
  
  
• ゲーム中での巡洋戦艦枠扱いは、建造当初の艦種が巡洋戦艦だったため。1931年6月の一次大改装に合わせて、戦艦に変更されている。
  ゲーム中の速力30.3ktを出せるようになったのは1935年～1937年に行われた第2次改装後であるため、本来なら金剛型戦艦である。
• 建造当初は27.5ノット。一次大改装で装甲を大幅に強化したため、26ノットまで低下している。
  二次大改装で機関の強化と船体の延長が行われ、30ノット前後を発揮できるようになった。様々なところで有名なのは大体この時期である。
  
  
• 金剛は14inch砲を装備しているため、完成時は世界最強の(巡洋)戦艦だった。(すぐにアメリカで戦艦ニューヨークが竣工し、最強の座は明け渡したが)
  計画時は50口径の12inch砲を搭載する予定だったが、この砲は日英双方で多くの問題点が上がっており、イギリスで13.5inch砲を装備した船が続々と作られていたこともあり、45口径14inch砲を作ってもらった。
  同盟国とはいえ、自分たちの戦艦より強力な砲を先に与えることは一見不利に見えるが、イギリスとしては他国の金で新兵器を研究・試作できる上、日本の運用実績を見て自分たちも14inch砲を採用するか見極めることもできたので、決して悪い話ではなかった。
  • 尤も、この時期に運用していた13.5inch砲は630kgの重量弾を発射できるため、金剛の14inch Mk.Ⅰと遜色ない威力を出せた。さらに1915年に竣工したクイーン・エリザベス級はもっと強力な15inch砲を搭載していたので、14inch砲を採用する可能性は低かった。
• 1914年に第一次世界大戦が始まった後、金剛と比叡はイギリスから貸し出しの要求を出され、グランドフリートに編入する話もあったが日本側は断っている。代わりに地中海に装甲巡洋艦6隻を派遣し、船団護衛などに従事させている。
  
  
• 太平洋戦争ではその速力を活かし、水雷戦隊とともに前衛を務める立場に置かれた。そのことが後の活躍に繋がっている。
  大戦前の米軍では26ノット程度の速力を持つ金剛型が遊撃戦や空母随伴艦として運用された場合、低速戦艦では速度で劣り巡洋艦では砲力で劣ることから対抗手段が無く、大きな脅威と見られていたのである。
  • 同じ頃、米軍は日本が建造中の新型戦艦*1に対抗する新型戦艦計画を考えていたが、
    一方で上記の理由から空母随伴艦として攻防速が優れ、また艦隊決戦時に巡洋戦艦的な運用ができる高速な戦艦も求めていた。
    結果、中速度で日本の新型戦艦を圧倒できる「低速戦艦」案と、高速で空母随伴艦として運用でき、金剛型を圧倒して新型戦艦にも対抗できる「高速戦艦」案を二本立てで進めることにした。
    その後者が最終的にアイオワ級戦艦となる。
    ただ、この時期欧州でも続々と30ノット超の新型戦艦が就役しており、これらへの対抗手段も必要だったため、アイオワ級は金剛型対策のみで作られたのではなく、対策も含めた様々な運用目的を踏まえて作られたと言った方が近いかもしれない。

• 米軍も速力は脅威としていたが「攻防力は米戦艦より劣る面がある」と見ていた。
  特にコロラド級以降の米戦艦相手では金剛型はかなり分が悪く、正面から殴り合えば金剛型の方が被害が大きくなってしまうのが現実である。
  もしかして：第三次ソロモン海戦
  
  
• 金剛は開戦から常に榛名と行動を共にしており、真珠湾攻撃時の護衛役を始め、各戦線で活躍した。
  特に有名なのは第三次ソロモン海戦における、ヘンダーソン飛行場への砲撃だろう。航空機の飛べない夜間にガダルカナル島へ急速接近し、大量の榴弾を打ち込んで飛行場を破壊した。
  このときヘンダーソン飛行場にある最大口径の砲は155mm砲であり、沖合から砲撃してくる金剛と榛名に全く抵抗できなかった。

• 1943年ごろに対空兵装を強化している。25mm機銃を大量に追加し、高角砲も2基追加している。この重量増加により、副砲を6基降ろしている。

• 1944年10月のサマール沖海戦では多くの命中弾を出しており、米艦隊撃滅に貢献している。

• 最後は1944年11月21日。本土への帰還中に潜水艦シーライオンの魚雷2本を受けた。被雷直後は損傷が軽微であり、速力を上げて逃げるつもりだったが、これが仇となった。破孔が裂けてどんどん大きくなり、急激に浸水が増して沈没した。
  乗組員の誰もが損害を楽観視しており、どうにもならなくなった時には既に手遅れであった。
  老朽艦ゆえの脆さとダメコンの重要さを痛感させる最後となった金剛は、大日本帝国海軍戦艦で唯一、潜水艦によって撃沈された戦艦であった。(元戦艦で当時工作艦だった朝日も1945年に潜水艦の雷撃で沈没している)
  1945年1月20日除籍。
• 金剛は台湾海峡北部に沈んでいるが、政治的に厄介な地域であり、まともな調査が行われていない。