No463 オジェウ/元ネタ解説

• オジェウはポーランド海軍の潜水艦オジェウ級の1番艦。同型艦にSęp(センプ、「ハゲタカ」の意)がいた。
  1933年頃、当時の国際情勢からポーランド海軍司令部が潜水艦艦隊を拡大する必要性を認識し、オランダの造船所に依頼する形で建造されたのが本級である。
  • 特にドイッチュラント級装甲艦やガングート級戦艦のような有力艦艇から、デンマーク海峡を通る自国の輸送路を確保しておく必要性があった(イギリスなどからの援助を受けることを想定して)。
• オジェウ級の魚雷発射管は550mmで開発されたが、イギリスにおいて用いられている21inch(533mm)魚雷が利用できるようにも設計されていた。

• オジェウ事件
  • 1939年の就役後にはグダニスク(=ダンツィヒ)湾の偵察活動や訓練を行っていたオジェウであるが、開戦後バルト海にて哨戒任務に就いていた際、艦長が病に倒れたためにエストニアの首都タリンへ避難した。
    ハーグ陸戦条約において、敵の軍艦が一定の制限内で中立港を使用する権利を妨害することは禁じられていたが、ドイツの圧力を受けたエストニア当局が航法機器や海図を没収、武装解除(砲の尾栓・魚雷15本撤去)のうえ乗組員の抑留を宣言してしまう。
    結果的にはオジェウはこのような状況の中で、エストニア人を人質に取る(のちに解放)などしながらもどうにかタリン脱出に成功した。
    • ちなみに、エストニアが中立義務に反したとしてこの事件を利用したのがソ連である。
      モロトフ・リッベントロップ協定により、バルト三国併合がドイツに認められていたソ連がこの事件を大義名分として、軍事力をちらつかせて領内に赤軍基地建設を認めるエストニア・ソ連防衛相互援助条約を締結。翌年のエストニア併合を容易にした。

• タリン脱出に成功したオジェウだが海図が無かった。ドイツ商船から海図を入手する手立てであったものの、結局記憶を元に海図を作成した。
  傍受したニュースからポーランド潜水艦がイギリスへ脱出したことを知り、オジェウもイギリスへと向かった。オジェウは無事に海峡を突破し、道中で英駆逐艦の護衛のもとイギリスに到着した。
  • エストニアからイギリスへの航海の間オジェウは1隻の敵船も沈めてはいないが、ソ連はオジェウがソ連タンカーを沈めたと主張し、バルト諸国侵攻の口実に使われた。

• 修理および整備の後オジェウはイギリス海軍の第2潜水戦隊に編入された。ノルウェー沖にて哨戒任務に就いていたオジェウは、ヴェーザー演習作戦のためにベルゲンへ向かっていた客船を発見、停船指示・警告射撃ののち、撃沈した。
  この後も幾度かの哨戒任務を行っていたが、7度目の哨戒のための出撃以降、音信不通状態となる。
  オジェウの喪失理由はいろいろ考えられるが、最も一般的なものはスカゲラク海峡で触雷したというものである。