長文キャラ説明

Last-modified: 2024-03-11 (月) 23:12:37

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ティナリ

アビディアの森で遭難した人が、もしティナリという名のレンジャー長に助けられたなら、それは幸運だ。
しかし、もしその遭難が自身の犯した過ちによるものだとしたら―—喜びと憂いは半分ずつになってしまう。
ティナリは極めて専門的な方法で問題を解決すると同時に、極めて厳しい態度で相手を教育するのだ。
雨林を甘く見る者が雨林に足を踏み入れれば、必ず七転八倒の痛い目に遭うと言われている。レンジャー長を侮る者も、必ず「野外でのサバイバルスキル講座」の洗礼を受けることになるだろう。
…以上が巷に流れる噂話だが、実際はティナリと会話をする時にそれほどプレッシャーを感じる必要はない。頭脳明晰な者であればきっと、ティナリの分かりやすい説明を理解できるはずだ。
ただ、何度注意しても改めない者に関しては——
「残念だけど、僕の専門は植物学なんだ。他人の知能を上げることについては専門外だよ。」

セノ

教令院において、学者が大マハマトラのセノと正式な会合をしなければならない時、良い知らせを得られる可能性は極めて低い。
セノが直々に訪問するということは、その学者が盗作、賄賂、学業不正、虚偽申告、資金流用、不正競争、論文投稿者の名前を書き換えるなど、学術における大罪のいずれかを犯したことを一般的に意味するからだ。そして、学者たちに唯一できることは…大マハマトラに従い審判を受けることだけ。
しかし、彼らはそう簡単に事実を受け入れはしない。
大半の者は、モラで大マハマトラの決断を揺さぶろうとする。だが、それら「金持ち」たちを待ち受けているのは、裁くべき罪状が増すということのみ。また少数ではあるものの、中には理性を失い、武力による抵抗を試みる者もいる…無論、その愚かな行為には相応の対価を支払うことになる。そして罪状は増え、裁かれるのだ。
途方に暮れている者の中には、気が触れたふりをして、自分の記憶や頭がおかしくなったことを主張し、最後の足掻きを見せる人もいる。
しかし、大マハマトラのセノが彼らを相手にする時、毅然とした態度で辛抱強く接し、こう言葉を放つのだ——
「マハマトラとして、人々に自分の犯した過ちを『思い出させる』ことも、俺の責務の一つだ。」

ニィロウ

時間があったら、ぜひ「ズバイルシアター」の公演をお見逃しなく。
光と音楽に彩られたニィロウは、まるで汚れのない蓮の花のように、美しいダンスで観客たちを虚構の世界へといざなう。
公演が終わると、観客たちは再び現実の世界に降り立つが、中にはしばらく夢見心地のままの者も多い。
「ステージで踊っている少女は、まるで劇中にしか存在しない人物のようで、現実離れした美しさなんです。」
しかし、彼女をよく知る者であれば、誰もが知っている——普段の生活におけるニィロウは、人を千里も遠ざけるような雰囲気をまとっていないことを。
輝かしい光の中から出た彼女は、同年代の素朴な少女のように、優しく温かい心を持ち、素直でよく笑う子なのだ。
もしも舞台の下でニィロウに会ったら、遠慮せず勇気を出して声をかけてみるといい。彼女はきっと喜ぶはずだ。

ナヒーダ

「クラクサナリデビ」はスラサタンナ聖処に籠居しており、人々から重要視されず、語られることもあまりない。
一刻も早く一人前の神へと成長し、国民を導けるように、彼女はたゆむことなく、あらゆる知識を学んでいる。
「禁忌」の脅威が迫ってさえいなければ、彼女もしばし休息を取って、スメールに暮らす数々の生き物をその目で見てみたいだろう。
今の彼女は、夢の中で色とりどりの世の光景を目にすることしかできない。
心の浄土で、彼女は太陽の光やそよ風と付き合い、人間や動物と交友して、一緒に物語を語ったり、遊びに興じたり、覚えたての歌を口ずさんだりする…
彼女は、もっとも美しい憧れをすべて夢に注いだ。しかし、どんなに賑やかな夜でも、昼が来れば彼女の周囲はまた静寂に包まれてしまう。
彼女はゆっくりと立ち上がった。まどろんでいると、寒波のような寂しさが突如襲い掛かり、彼女は思わず両肩を強く抱く。
——彼女を完全に目覚めさせたのは、「アーカーシャ」から発せられる、感知しにくい異音であった。
「そう、夢の中の夢だったのね…」

放浪者

その夜、ある黒い影が大雨に乗じてたたら砂の旧跡にやって来た。付近の住民はとうの昔にいなくなっていたが、今日に限ってとある農夫が生計のため鳴草を採りに来ていた。農夫は夜の微かな明かりを頼りに、崖のそばに鬼魅のような人影が立っているのを見た。
その者は大きな笠をかぶっており、顔を見ることができない。息の音が雨の幕を突き通り、農夫の耳にまで届く。
刹那、その者は言う——人はこうやって息をするんだ、と。
農夫は怪異にでも出くわしたのかと不安になり、慌てて岩の陰に隠れた。その者はさらに続ける——何を恐れている?互いに見知らぬ通行人だろう、まさか危害を加えるとでも思ったのか?僕はただこの地に立ち寄って、友の墓参りに来ただけさ。
その者が言い終わるや否や、農夫は顔を出して辺りを見回す。しかし、黒い影はいなくなっていた。地面には一枚の紙が落ちており、それは瞬く間に雨水に浸食されていく。紙には三つの質問と、それに対する書きかけの回答が記されていた——
人は心を持つのに、なぜ他者の心は恐れない?
なぜなら人は未熟で完璧ではないからだ。
人の未熟さを知る上で、如何にしてそれに向き合う?
……
心なき者は如何にして人となる?
心なき者は人に成り難し。
それを見た農夫は、背筋が凍る思いをした。たたら砂は荒れ果ててから何年も経っており、墓参りに来る者などとっくにいなかったからだ。たとえいたとしても、なぜこのような夜に限って現れたのだろうか。

アルハイゼン

スメール教令院の現書記官。迫力ある肩書きだが、これはあくまで「面子のための肩書きを付ける」という、院内での流行の賜物だ。
書記官と言うと大物に聞こえるが、実のところ書記官は用がなければ重要な会議にも滅多に顔を見せず、核心となる決断にも参与しない。担当する業務は重要な資料の整理と保存のみなのである。しかし、だからこそ、かつて紙の書籍と書類が教令院の管理下にあったスメールでは、書記官は教令院で最も多くの情報を知ることのできる職位の一つだ。この職位は、グランドキュレーターの位置づけに近いと言えるだろう。書籍の管理人であるグランドキュレーターが、最上位の知恵を記録した書籍に触れる可能性が最も高いことを否定する者はいない。
スメール教令院の現書記官であるアルハイゼンは、この基準を完璧に満たす人物である——彼が何者なのかを知る者は少ないが、彼は他の人が知らない情報を沢山握っている。必要のない会議には一切出席せず、会議の時も必要な事項以外は気分次第でしか記録しない。人々は彼にあまり注意を払っておらず、まして、この書記官が一回の会議でどれほどの詳細情報に気づけているかなど、知る由もないだろう。
才能ある者があまりに控えめでいると、何か底知れぬ身分や目的があるのではないかと疑ってしまう——アルハイゼンはこのつまらない考えに対する、有力な反論である。彼は十分優秀ではあるが、ただの教令院の一般的な職員に過ぎない。スメールに安定した仕事とよき住まいを持っており、悠々自適の生活を送っている。

スメール教令院の現書記官。並外れた知恵と才能の持ち主。悠々自適の生活を送っており、人に行方を知られることは滅多にない。
「最も能ある鷹こそ、爪を隠すものだ。」

ディシア

統率されていない傭兵集団「エルマイト旅団」は、スメールでもっとも強大な武装組織だ。その内部には、依頼を単独で受ける傭兵や傭兵団が数多く存在する。
「熾光の猟獣」もその一つである。そして、この傭兵団の中でもっとも世に名を馳せているのが、「熾鬣の獅子」と呼ばれるディシアだ。
勇敢だが無謀ではなく、屈強だが傲慢ではない。ディシアは傭兵界隈で有名な戦士だ。過酷な砂漠での生活から戦闘のノウハウを数多と積んだ彼女は、粗野で浅はかな一介の武人とは一線を画す。
報酬が十分で、依頼の内容に筋が通っていれば、その剣は雇い主のために振るわれる。
だが、同時に雇い主たちは肝に銘じなければならない——あくまで、ディシアはモラで一時的な契約を結んだだけであり、獅子を制御する手綱はその手中にないことを。
確かに、傭兵はその武力を売って生計を立てる者たちだ。しかし、その人格や命は本人たちだけのものである。
砂漠の獅子は誰の下僕でもない。彼女の剣は、自分の心に従って振るわれるのだ。

白朮

「璃月に不卜廬あり、その廬には白先生がいる。妙手回春で万病治すが、処方される薬は――とっても苦い!」
この童謡は緋雲の丘に広く伝わるもので、「体に気を付けなさい。医者にかかれば苦い思いをする羽目になるのだから」と子供に言い聞かせる際に親がよく使うものである。
しかし、童謡に登場する彼は子供たちに怖がられることもなく、むしろ親しみを込めて「白朮お兄ちゃん」と呼ばれている。
このような印象は、主に白朮の穏やかで礼儀正しい振る舞いと親切な語り口からくるものだ。老若男女問わず、彼と一緒にいると、いつも心地よい春風を浴びているかのような気分になれる。どれほど焦燥した患者であろうと、白朮のそのすべてを見通すような微笑みを見ると、僅かながらに心が落ち着くのだ。
だが残念なことに、白朮はどんな患者でも治せるというわけではない。例えば…彼自身はその例外である。
「不卜廬」の薬師である桂によると、白朮の体の状態は極めて悪く、患者の診察が終わるとよく自室に戻って体を休め、調息をしているという。しかしそれでも、彼が人前でその微笑みを絶やすことはない。
桂がその理由について白朮に尋ねると――「もし医者が病弱な姿を見せてしまえば、診察を受けに来た患者はどう病気に立ち向かえばいいのです?」と彼は答えたそうだ。
白朮は日々この言葉を胸に抱いている。普段見せるその笑顔の裏で、どれほど苦い薬を飲み、どれだけ辛酸をなめてきたのか、人々が知るすべはないであろう。

リネ

「エピクレシス歌劇場」で行われる審判を除き、フォンテーヌ廷でもっとも観る価値のあるショーとして挙げられるのが、リネとリネットによるマジックショーである。
「審判」は真実をもって正義の裁定を下すが、「マジック」は嘘を用いて人の心を動かす。
舞台上にあるものがすべて「仕掛け」と「トリックによるまやかし」であると観客は知りながら、「奇跡」が本当に目の前で起こると、誰しも思わず息を呑んでしまう。そして、魔術師が優雅な所作でカーテンコールに応えようとする前から、会場は拍手に包まれ、喝采は天を衝くほど響き渡るのだ。
舞台の上の彼は、万人が注目する大魔術師リネ。舞台の下の彼は、頼りになる兄であり、親切な客人であり、熱心な友。
そのひとつひとつの仕草は常にサプライズをもたらし、発する言葉はいつも人々を心から喜ばせる。まるで、彼のその身には予測できない、好奇心をかきたてる甘いプレゼントが秘められているかのようだ。
もし知らず知らずのうちに、隠し事もなく何でも話せるような、心の通じ合った親友になっていたとしても驚くことはない。
——なぜなら魔術師は、心を盗むプロなのだから。

ヌヴィレット

「我が社が前回発表した水神様に関する秘話コラムについて、光栄にもヌヴィレット氏からは『とんだ三流記事だ』とのコメントをいただいた。
今回は、謎めいた最高審判官に注目してみることにする。
彼の最たる本性については、知る者が少ない上、度重なるインタビューの申し入れもすべて断られてしまった。
ゆえに、最も信憑性の高い情報を手に入れるため、民間から情報を募るという形式を採用した。匿名での投稿や明らかに偽りと判断できる情報はすべて除くこととし、できる限りの真実性を求める所存である。まずは一緒に、こちらの何とも可愛らしい筆跡で書かれていた手紙をご覧いただきたい。
……
『例えばだけど、この世に本当に暗夜の英雄的な存在がいたとしてもだよ。それはその人の偽りの姿に過ぎないと思うんだよね。朝起きて歯を磨くときは、まだ自分自身の姿のままで、夜になるとやっと暗夜の英雄になるってわけ。でも、ヌヴィレット(氏、以後原文ママ)はそういうんじゃないよ。最高審判官の姿も本当の彼で、私たちメリュジーヌの「理想の素敵なパパ」の姿も本当の彼なの。唯一彼じゃないのは、ヌヴィレットって名前を代表してる彼だけ。』
この手紙から——ヌヴィレット氏こそ、唯一無二の男性メリュジーヌであることが判明した!メリュジーヌという種族が現れたのは、ヌヴィレット氏の就任時期よりも遥かに後と言われているが、この確たる証拠を前にしては、こういったことにも必ず説明がつくはずであろう。」
——ゴシップ誌『七国四海ポスト』

リオセスリ

メロピデ要塞の管理者。
——リオセスリに名刺があるとすれば、この一行で事足りる。
前置きもなく、後書きもない。それはまるで彼が管理する罪人の流刑地のように、海底で静かに鉄壁の守りを敷いている。
これほど控えめであるにも関わらず、罪人が住まうメロピデ要塞には、人々の邪念を生むような利益の衝突が潜んでいる。
ただ残念なことに、何かしらの思惑を持ってこの場所に忍び込んだとしても、それはスープに落ちたパン屑のようにすぐに消えてなくなるのだ。
かの公爵様を問題解決の手練れだと褒め称える者もいる。だがこれに対して、リオセスリはティーカップをそっと置き…新聞を手に取ってこう言った。
「誤解しないでくれ。やつらは規律ある生活を送れる場所が欲しいだけなんだ…俺は、そういったやつらに必要な『安寧』を与えてやったに過ぎない。」

フリーナ

水神の座についた瞬間から、フリーナはフォンテーヌの民たちに愛されていたことだろう。
人を惹きつけてやまない言葉遣いや、ユーモアと優雅さを兼ね備えた振る舞いはどれも、彼女の神としての魅力を引き立てている。
そして、フリーナがもっとも賞賛を浴びている部分と言えば、きっと彼女が持つ、唯一無二の「演劇的センス」であろう。
エピクレシス歌劇場で演じられた有名な劇の台詞を借りて言えば——
「人生は演劇の如し。いつどんでん返しが訪れるかは、永遠に予想できないものだ。」
フリーナもまた、演劇のように捉えどころがない。彼女が次にどのような言葉を発し、どのような行動に出るのか、当てられる者などいない。
しかしそれ故に、高き神座に就くこの正義と審判の神は、これほどまでに魅力的なのだろう。
ところで、楽しい演劇が幕を閉じた後、人々が虚しさを覚えるのと同じように、
フリーナのような神も、夜更けに寂しさを感じることはあるのだろうか?
そのようなシーンは、民からすれば想像もできないことだろう。そして、そのようなことはあり得ないと固く信じているはずだ…
——そう、信じているはずだった。
ルキナの泉の水が…黙々とフリーナの涙を集めたりしていなければ。

ナヴィア

その姿を見る限り、ナヴィア嬢は紛うことなき完璧なフォンテーヌの淑女である。
彼女はデザインの凝ったスカートをよく穿き、洗練された帽子を被りながら、宝石とリボンで飾られた傘を腕にかけている。
そのような装いに身を包んだ彼女は、フォンテーヌ廷の外れからモン·オトンヌキの野原、さらにはサーンドル河の人知れぬ一角に至るまで、その足で駆け回っている。
後ろに伸びる長いスカートの裾と見た目よりもずっと重い傘が、彼女の動きを妨げることはない。困っている人々がいれば、彼女は鳥のような手際の良さで、棘薔薇の会からの朗報を届けている。
これもまた、あの有名な記者・シャルロットが取材相手の一人として、ナヴィアを最も気に入っている理由なのかもしれない。
スチームバード新聞社の展覧室には、彼女に関する一枚の写真が飾られている。そのタイトルは『天翔ける黄薔薇』——
無論、この写真は当人の許可と積極的な協賛のもと展示されているため、ご心配なく。

コレイ

ドリー

キャンディス

レイラ

ファルザン

カーヴェ

リネット

フレミネ

シャルロット

フォンテーヌでよく知られている『スチームバード新聞』には数多くの記者が在籍し、各々が別の職務を担当している。ある者はエンタメ関連のゴシップ、ある者は巷の噂、またある者は政界の動向に注視をしているように…
しかし、それら記者の中で最もフォンテーヌ人の印象に深く刻まれているのが、無尽蔵とも思えるエネルギーを持ったシャルロットだ。
『近づけば近づくほど、報道の真実味が増す』の原則に基づき、この記者はフォンテーヌ廷の路地や街角など至るところに姿を現し、山の頂から海の底にまで出没する。一つ、また一つと事の「真相」を写真機に収めては文字にし、それらをまとめ上げて「真相」を新聞に載せる。
「真相」が掲載されると、ある人は拍手を送り、ある人は顔を真っ赤にし、ある人は悔しさで歯ぎしりをする。また中には、あらゆる手段を駆使して自分に関する報道を——あるいは、シャルロット本人を消そうとする人もいるようだ。
そのため、新聞社の編集長であるユーフラシアは「出張報道」を口実に、シャルロットをフォンテーヌ廷の外へと避難させている。執律庭、あるいは特巡隊が事務処理まで終わらせてから、シャルロットを呼び戻すのだ。
しかし、たとえ仕事が忙しく、外部から妨害や脅迫を受けようとも、シャルロットの信念は少しも削られることはない。
彼女は「記者」の責務を果たすため、そしてまだ明らかになっていない「真相」を白日の下に晒すため、今日も仲間の「ヴェリテくん」を連れて駆け回っている。

シュヴルーズ

「これ以上いたずらしたら、特巡隊に連れて行かれるぞ!」
——この言葉は、フォンテーヌの親たちが聞き分けのない子供を叱るときに使う常套句である。
当然のことながら、夜更かししたり、歯を磨いた後にお菓子をこっそり食べたり、学校の成績があまりに悪かったりしても、特巡隊隊員がわざわざ幼い子供たちを叱りに来ることは絶対にないのだが…そのことに子供たちはまだ気づいていない。特巡隊隊員を出動させられるのは、悪名高い凶悪犯だけである。そして子供たちが成長し、特巡隊の役割を理解するようになれば、この言葉の効果も次第に薄れてゆく。
…だが、街の子供たちがコソコソと避けていくのを見て、一部の特巡隊隊員はこの「教育方法」にいささか不満を漏らした。そのような言い方で特巡隊を表現するのはあまりに妥当ではないと、彼らは思っているのだ。これ以上好き勝手に言われ続けたら、特巡隊の「不吉な名」は、いつ消えるとも分からない暗雲となって、フォンテーヌの子供たちの心を覆ってしまうだろう。
「それも悪くない。」
——公文書を処理しながら特巡隊隊長シュヴルーズはこう言った。
「子供らがこの『不吉な名』を心に刻み、その裏にある意味を理解することを願おう…」
「…そうすれば、彼らを捕まえる日が訪れずに済むだろうからな。」

嘉明

璃月港の街を歩いているとき、もし銅鑼や太鼓の音を聞いたら、その音を辿ってみるといい。嘉明による迫真の獣舞劇を目にできるかもしれない。
獣頭を被り、首を振ったり瞬きをしたりする彼は、まるで眠りから目覚めた猊獣そのものだ。喜怒哀楽、細かな動きや表情…その一つひとつに観客たちは感情を揺さぶられ、思わず拍手喝采を送る。
「みんな、ありがとな、観てくれて!もし獣舞劇の依頼があったら、『威水獣舞隊』をよろしく!」
しかし残念ながら、終演のたびに嘉明が得てきたものは拍手以外に何もない。それでも嘉明は落ち込むことなく、笑いながらこう言うのだ——「観客たちが歩みを止めて観てくれただけで、認められたってことだ」と。
人だかりが散った後、獣頭を外した嘉明はまたすぐ「鏢師」に戻り、真剣な面持ちで仕事の日程を整理し始める。まだ護送していない荷物の量や、これから護送する客たちのことなどを確認するのだ…もし急ぎの仕事がなければ、彼は新月軒で早茶をいただく。そして一杯の茶と二つの点心を注文し、知己を数人誘って、世間話を楽しむのだ。
嘉明にとって、鏢師として荷物を遺瓏埠から璃月港まで運ぶのは朝飯前である。だが「威水獣舞隊」の責任者として、璃月港に獣舞劇を根付かせる道のりは、まだまだ先が長い…
だから、ひとまず飲むとしよう、お茶でも。

閑雲

閑雲についての印象は人それぞれだ。「髪を束ねているあの長身の女性か」「メガネをかけたあの職人のことだろ?」「最近引っ越してきたわよね、かなりのお喋りさんみたいよ」などなど…千差万別の見方がある。だが、それらを集めれば、人々の目に映る彼女のイメージが出来上がる―― ユーモラスで、お喋りで、親切で、付き合いやすい人だ。
しかし、彼女自身はそう思っていないようで、「口下手だが、謙虚で気骨がある」と自己評価している。仕掛けの術に長け、器用な手先で様々なものを作ることができる点を除けば、人々が持つ彼女のイメージとは大きく異なっている。
閑雲の言葉遣いや所作が一般人と異なることに気づいた一部の好奇心旺盛な人々が、彼女のことを侠客だと思い込んだ。彼女はどんな偉業を残しているのだろうか?別の雅号を持っているのではないか?と聞き回った。
往生堂の客卿は、手振りをしながら答える。「閑雲?よく知らないが、その名を聞くに人格者なのだろう。」
玉京台のピンばあやは、頷きながら答える。「閑…?あぁ、閑雲のことかい?会ったことがあるよ。とてもよい方じゃった。彼女と知り合ったら、今後の暮らしにも一層安心感が増すじゃろう。」
甘雨は、首を縦に振りながら答える。「ええ、あの方は侠客ですよ。目立つことはあまり好きではないようで、身分と名前を隠して璃月港に住んでいるみたいです。」
申鶴は、じっと考えてから答える。「言うまでもなく、閑雲さんは実力者だ。くれぐれも彼女の恨みを買わないようにな。」
人々の推測は正しく、確かに閑雲はただ者ではない。ただ、真実を知る者が少ないだけだ。もし、彼女を一文字違いの「留雲」と呼べば、皆もすぐに気がつくはず。「留雲借風真君のことを知らない者はいないさ!正義感に溢れ、清らかな心の持ち主なんだろう?信頼できるお方だ。」と、惜しみなく称賛するだろう。
では、閑雲本人に聞いてみよう。「あなたは侠客なのか?それに…もしかして、仙人でもある…?」
しかし、彼女は自慢の「ことこと煮込調理器」の開発に夢中で説明する暇がないのか、「ただの噂だ。少しばかり忙しなくしているゆえ、邪魔をするのは遠慮してくれぬか。」と、そっけなく返した。
「ことこと煮込調理器」とは一体どのようなものなのか。噂によると、普通の鍋よりも旨味を引き出せるとのことだが…真実を知る者はいない。「ことこと煮込調理器」が世に出たとき、璃月料理界にどんな衝撃が走るのかも、知る者はいない。閑雲が「すごいもの」と言っているのだから、きっとすごいものなのだろう。

アルレッキーノ

今でもアルレッキーノは、執行官の肩書きを授かったあの夜のことを覚えている。
階段を登り、廊下を抜けた先には、ガラス越しに果てしない雪原が広がっていた。
凍り付くような風が彼女の耳元で囁く。それはまるで楽しい笑い声のようであり、別れを告げる声のようでもあった。
ふと、追想から我に返る。記憶の中の幻聴が、次第に現実の声と重なっていった——
小さな部屋の中では壁炉の炎が燃え盛り、暖かい空気が部屋全体を包み込んでいた。子供たちは炎にほてらされて真っ赤になった顔に、純粋で無垢な笑顔を浮かべている。事情を知らない旅の者が入ってきたら、この光景はただの平凡で幸せな家族の家のように映るだろう。
アルレッキーノが熱い紅茶を手に取って一口啜った、その時だった。突然鐘の音が鳴り響き、賑わっていた部屋から一瞬で笑い声が消え去った。炎が揺らぎ、影が重なる——すでにこの場の全員が、真剣な表情を取り戻していた。
アルレッキーノはカップを戻して立ち上がり、平然と何人かの名前を口にした。
「シャプロー、リネと共に情報を持って帰ってこい。フォルツ、フィリオール。留守は頼んだ…」
「はい、『お父様』。」
命令に対し、一糸乱れぬ返事が返される。何の迷いもない声であった。
やがて壁炉から炎が消え、部屋は静まり返る。ただ、カーテン越しに注がれる月明かりだけが、冷めていく紅茶を照らし続けていた。