物語 4

Last-modified: 2023-01-08 (日) 17:46:52

物語:キャラ/ア-カ | キャラ/サ-ナ | キャラ/ハ-ヤ | キャラ/ラ-ワ || 武器物語 || 聖遺物/☆5~4 | 聖遺物/☆4~3以下 || 外観物語
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ラ行

雷電将軍

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キャラクター詳細
人類は世界への憧れや好奇心を抱いて生まれてくる。これは世界を認識するための原点であり、知性を築く基盤でもある。
稲妻の人々にとっての世界も同様だ。そこには遥か昔から風雨と雷電、天光と大海が存在した…そして「雷電将軍」も。
就寝時、母親は幼子に将軍の話を語り聞かせる、魔神を斬り伏せ、異族を鎮めた伝説のことを。
少年と少女が列島を歩き回り、目の当たりにしたのは刀で真っ二つにされた峡谷と、地面にそびえ立つ蒼白の蛇骨だけ。
戦線に駆け付けた兵士たちは、「常道を恢弘せしは、永遠なる鳴神なり。」と口々に叫ぶ。
平和で幸せに暮らす民は、将軍とその配下の三奉行に感謝している。
「雷電将軍」の威名は、既に命の枷を超越し、稲妻の永遠なる信仰となっていた。
このような威名と権力の下、彼らの子孫も同じ景色を目にし、同じ信仰で心の世界を構築する。そして、この伝承を永遠に引き継いでいくのだと、彼らは心から信じていた。
これぞ──将軍様が民に約束した恒常楽土なのだ。


キャラクターストーリー1
雷電将軍、本名を「雷電影」。
彼女は遥か過去より歩み、稲妻が千百年にも渡り払ってきた数々の代償を経験した。
最も幸福であった歳月は過ぎ去り、かつての友は敵に。そして最後、刀を握る理由さえも失った。
「前へ進めば、必ず何かを失ってしまいます。」
これこそが、時間を媒介にして全ての世界に作用する揺るぎない法則であると、影はそう思った。
最も繁栄していた人の国が一夜にして崩壊し、最も歴史のある璃月港が岩神に別れを告げた。別れの風は、時間の向こう側から吹いてきている。
「雷電将軍」の名声は今も知れ渡っているが、幾星霜の年月が経てば…いつの日か、稲妻は神の庇護を失うことになるだろう。
武人として、あらゆる敵を警戒する。たとえ時間のように虚空なる脅威であっても、必ずその日が訪れる前に反撃の糸口となる武器を見つけ出す。
彼女の答えは「永遠」。「永遠」のみが全てのものを維持し、稲妻を不滅の国にすることができるのだ。
「ならば、全てがまだ美しいうちに止めましょう…このまま…永遠へと。」


キャラクターストーリー2
肉体に閉じ込められた魂が「永遠」を追求するのであれば、寿命を避けて通ることはできない。
限られた時間が影の頭を悩ませた。ある日、不思議な技術が運命に導かれたかのように、彼女のもとへ届く。
この技術があれば、まるで本物の生命体であるかのような精巧な人形を作り出せる。
理論上、人形は影の全てを完璧に再現することが可能であった。それは寿命の限界を超え、稲妻を永遠に庇護することを可能にする。
しかし、神の複製体を作るのは、そう簡単なことなのだろうか?
影はこのために数え切れないほどの実験を行った。失敗作を大量に処分し、想像を絶する時間と材料を費やしてきた。
その執念と武人の志によって、彼女は完璧な人形を作り上げたのだ。
新生の「雷電将軍」は静かに座り、影が話す彼女のこと、そして「彼女」と彼女たちにまつわることに耳を傾ける。稲妻の未来は、輝かしい青図として描かれた。
彼女は影に対して一つの疑問を抱いていた。「肉体を捨てるということは、もう後戻りできないということ。あなたは後悔していないのですか?」
「あなたの存在が私の答えです。」
その後、影は刀に宿る意識となった。「一心浄土」は、こうして誕生したのである。


キャラクターストーリー3
将軍になる前の雷電は一介の武人であり、先代の命令に従っていた。
先代の雷神、雷電眞は武力に乏しく、戦いや殺しの仕事を影に任せていたのだ。ただ影には殺戮だけではなく、友人と櫻の木の下で歌やかるたに興じ、のどかに過ごす時間もあった。
その性格ゆえか、遊戯中の影は朴訥としていた。彼女が最終的な勝者になることも、狐斎宮様が特別に用意した賞品を獲得することもなかった。
そんな彼女は、武道の修行に充てていた心血を、歌とかるたの修行へと注いだ。眞と御輿千代にかるたの勝負を申し込んだり、月明かりの下でひとり詩歌を読んだりした。
ある日、櫻の木の下で影は勝ち進み、最後は天狗に勝ち、ついに勝者の座につくことになった。
影は勝利に歓喜したが、友人の笑い声を耳にする。とっさに自分が冷静さを欠いていたことに気付き、慌てて両手を下げると、凜とした冷たい顔に戻った。
もちろん、友人たちは嘲笑っていたわけではない。彼らは影のことをよく知っており、きっと勝利のために努力してきたのだろうと思ったのだ。
狐斎宮様も笑みを浮かべながら、菓子を影に渡す。
「褒美といっても、妾が作った菓子に過ぎぬ。まさか影がそこまで喜ぶとは。ならば、この勝者だけが手にできる褒美をじっくりと味わうがよい。」
無論、影は菓子を欲していたわけではない。武人として、負けたのならば勝つまで挑む。この菓子は、彼女の勝負に挑む心構えへの褒美だった。
影はすぐにまた無意識のうちに微笑んでいた。勝利の味もさることながら、この菓子は影の舌を唸らせたのだ。その笑顔を隠そうとする不器用な彼女の姿に、友人たちはまた笑みをこぼす。
今でも影は、その櫻の木をよく思い出す。
長いこと見に行っていなくとも…たとえ櫻の木の下に誰も座っていなくとも、彼女は時間が永遠に止まることを願うのであった。


キャラクターストーリー4
影は、眞が稲妻の風景や美食、人々の物語をこよなく愛し、それを自分に教えるのが好きだったことを今でも覚えている。
二人とも「摩耗」という概念をよく理解していたが、未来を案じる影と違って、眞は現在に目を向けていた。
「儚い景色であることを知っているからこそ、一層楽しむべきではないか。」
それを聞いた影は、自分がただの影武者であったことに反省し、雷電将軍よりも古い考えであったことに苦笑いを浮かべた。影はもっと余裕ある心を持ちたいと思った――そう、眞のように。
しかし、時代は瞬く間に移り変わり、予想だにしないことが影に起こる。気がつくと、彼女の手には死にゆく雷電眞から受け継いだ刀が握られていた。
この日、影武者であった影は、まことの「雷電将軍」となったのだ。
そして、影が「摩耗」の苦しみを本当の意味で理解した日でもある。
時が流れれば、この刀も、あの櫻も…稲妻の全ての生命が目の前で散っていくのではないか。
それらは稲妻の根幹であり、雷電将軍が守らなければならないもの。
「ならば、先行きを読むことは無意味なことではなく…過ぎたことでもない。」
心の内で覚悟が定まり、生命が肉体を超越する、そして永遠は浮世に降り立った。


キャラクターストーリー5
ある夜、雷電影は瞑想中に夢の世界へ入った。
彼女は天と地の間に残された唯一の存在、鏡像のように存在するもう一人の「自分」。
ため息をつくかのような声が人形の口から漏れ出ると、彼女の耳へと届いた。「あなたが心に決めた永遠は、人々の無数の願いによって揺らいでしまいました。ならば、あなたは既に私の敵です。」
人形を作る際、影はあらゆる危険を考慮した。
すべての可能性を考えてきた、最悪の場合…いつの日か自分自身が「永遠」の脅威となることさえも。
しかし、彼女は前へ進み、「永遠」に辿り着かねばならない。その意志は、誰であろうとも決して邪魔することのできないもの。
人形の言葉は、過去の自分からの責苦のようであった。
「過去の自分よりも、今の自分の信念の方がしっかりとしたものだと考えている。だから、今の自分こそが正しい、果たしてそうなのでしょうか?」
同じ顔をしていても、その口から語られる意志は異なっていた。過去の自分と戦う日は、いずれ来るだろう。
だが、それは今日ではない。まだ彼女の準備が整っていないことを、影は知っていた。
澄み渡る心を持ち、無我の境地へと達したが、民衆の叫喚によって足を止めた。
明鏡の上では空が濁りはじめ、無我の殿堂で烏が鳴く。夜明けの時が来た。武士は刀を取らねばならない。
それは泡影の如く、虚像のようで真実のような夢であった。


「夢想の一心」
影のように、今に至るまで受け継がれてきた刀。
二人の主君の手を経て、時と永遠を見守ってきた刀。
それは雷電眞の神威によって生まれたものだが、一度も刃を研がれたことはない。物は主人に倣うもので、眞が戦いを苦手とするように、それも戦わず、眞の思う平和を象徴するものであった。
眞が亡くなった日、それは影の手に渡った。刀は血に染まり、その先端から初めて真紅色が滴ると、荒風と奔雷によって散った。
眞はこれに「夢想の一心」という名をつけていた。それは夢のように美しい稲妻を見届け、この世と共に歩み続ける高貴な心を象徴するかのよう。
影はその名を変えなかった。彼女もその光景を目にしたことで、より純粋でより強い「心」が生まれたからだ。
稲妻の美学とは、まさに浮世の儚き幻夢、その中の大切な瞬間を捉えることである。


神の心
「一心浄土」に住みつく前、影は神の心をどう保管するか悩んでいた。
影はもう神の心を必要としていないが、これほど大切なものを不用心に置いておくわけにもいかない。最初はエネルギー供給装置へと改造することも考えたが、彼女の技術はなぜか神の心に通用しなかった。
そこで彼女の頭に思い浮かんだのが、狡猾で聡明な八重神子。八重神子は頼れる性格ではないが、影にとって最善の選択であったのは間違いない。
頼みを聞いた八重神子は思わず、「妾はこれを売ってしまうやもしれぬ、怖くないのか?」と口にした。
「あなたは神の心の価値を理解しています。たとえそれを売ったとしても、同じ価値のあるものと交換する必要がある、しかしそれは容易なことではありません。」
八重神子のような性格であれば、神の心を売っても不思議なことではない。だが、彼女が決して損を選ばないのも事実だ。
それは旧知の仲である影にとって、言葉にせずとも分かること。八重神子は影の意図を理解し、微笑みながら神の心を受け取った。
「汝からの申し出じゃ、後悔しても遅いぞ。」

リサ

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キャラクター詳細
彼女は西風騎士団の図書司書、物知りな淑女である。
噂によると、スメール教令院の200年に一人の天才魔女でもあるそうだ。
詳細は明らかにされていないが、リサはスメール国で2年間勉強した後、モンドに戻った。
現在は西風騎士団で仕事をしており、騎士団蔵書の管理を任されている。


キャラクターストーリー1
リサの仕事は大きく分けて二つある。
一つ目は図書館の書物の整理、二つ目は騎士団の薬剤の供給を保つ事である。
そのため、モンドの人々がリサに会えるのは、騎士団本部で本を借りるか、本を返却する時のみである。
その時のリサは、いつも気怠そうに受付に座り、欠伸をしながら貸出や返却の手続きをする。
そんな彼女を見て「図書館司書がこんな感じで大丈夫か…?」と疑問を抱く人も稀にいる。
しかし、リサの仕事は常に完璧で、少しの手抜かりもないのだ。


キャラクターストーリー2
スメール教令院の学者に「200年に一人」の優等生と言わせるリサの博学多識は言うまでもない。
荒野にいる妖魔に関する禁忌とされる知識、元素に満ちた花薬の処理方法、磁碗を2重に使う事で蒸留過程を1回省ける醸造方法…
リサはいつも分かりやすくその原理を解説できるため、若い騎士と錬金術師の間で「リサさんならきっと知っている」という共通認識が、いつの間にか生まれた。
もちろん、それは適切な時間に彼女の元を訪ねることが前提である。
うっかり二度寝の時間や、アフタヌーンティーの時間にリサの元を訪ねると、どうなるかは言わずもがなである。


キャラクターストーリー3
初めてリサに会った人の多くは、彼女に対し「さすが教令院の天才卒業生」という第一印象を抱いてしまう。
だが実際は、彼女は効率がいいというよりも、面倒事を嫌っているだけである。
薬剤の調合や補充の仕事はガイアを通して、ホフマンとスワンに丸投げ。薬草はフローラを通して、ドンナに届けてもらっている。
ただ、本と書類の整理だけは自分の手で行っている。
知識を自分で管理することが、リサを安心させられるからである。


キャラクターストーリー4
リサが西風騎士団に入ったばかりの頃、第8小隊の隊長を任せられた。
当時小隊佐官のニュンペーは、この件に対してかなり不満を抱いていた。リサのような「学院派」が、隊長という重荷を背負っていられるわけがないと思ったからだ。
そして、庶務長ガイアの同意の下、リサとニュンペーは魔法の「実戦練習」を行った。
練習はたったの2分で終了。その後、リサは「ニュンペー佐官には隊長が務まる程の力が十分にある」と、第8小隊隊長を辞退した。
その後の1年間は、ニュンペーから差し出された隊長推薦書が、団長の机に置かれる光景が度々見受けられた。推薦書に書かれた名前はいつも同じ、リサ・ミンツだ。
それらの推薦書は、最終的にリサの手元へ送られるが、リサはいつも適当な理由をつけて断ってきた。
もちろん、自分が指揮を取れば第8小隊はより強くなるが、それは必要のない強さであり、常人には理解できない力は大きなリスクが伴うからだ。
リサは数多くの局面をコントロールできる自信があるが、予想外の危険は、予想外の仕事が増えることを意味している。彼女には、それがどうしても耐えられないのである。


キャラクターストーリー5
スメール雨林の中で狂言を呟く学者や、評議会の最中に知恵を悟り、超俗の境地に入った賢者をその目で見た後、深淵のような「学問」が人にどんな痕跡を残すか、リサは深く理解した。
これほど重い代価…一体どれ程背負えば、魂の奥からそのような知識を掘り起こせるのだろう?
リサはその全てに反感をおぼえ、スメールを離れた。
その後、リサは何事に対しても真剣な態度を取らなくなった。
「神様に過ぎた奇跡を求める時は、その代価を支払えるかどうか、きちんと考えなければいけないわ」
これは、彼女がモンドに戻った後、聞かせるべきだと思った3人だけに伝えた言葉である。


特製加熱釜
特製加熱釜は、モンド人には理解できない設計を用いたオーダーメイド品である。加熱時刻の設定に材料投入の半自動化、そして保温機能がついている。
これはリサが莫大な予算をかけ、錬金工房を二週間貸し切って作った「特殊設備」だ。
この設備ならハンドルを2回操作するだけで、加熱する際の精密操作が自動的に完成する。
しかしこの機器の出番のほとんどは、リサが書籍の整理をしている間に淹れたお茶を、最高の状態に保つ時である。
リサにとって一日の中で、最も大切な時間はアフタヌーンティーの時間なのだ。


神の目
「神の目」──神に選ばれし者、世界を変える者の証。
或いは、魔導の秘密を探求する道に残されていた小さな注釈。
魔導を研究するためには、元素を理解しなければならない。古書から知識を得るより、実戦の方がいい。
あら、どうやら「神の目」が必要だわ。
そう思った瞬間、「神の目」がリサの手の中に現れた。
「神の目」を手に入れたリサは、知りたかった知識を得た一方、その中に隠されていた秘密も知ってしまった。
神はとある理由で、全てを変えられる鍵を手にする代償を、人々に告げなかった。リサはこの「真相」を恐れた。
首にかけられている「神の目」は、リサの心の中に危険な甘い香りを放つ深淵になった。
だから、時折リサは、彼女が興味を持った者に、様々な物事に対する見解を教える。
恐らくリサは、ずっと密かに期待しているだろう。いつか「神の目」の裏にある真実を見抜ける人が、目の前に現れる事を。

レイラ

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キャラクター詳細
ルタワヒスト学院はスメール教令院の管轄にある六大学院のうちの一つでもあり、六大学派の明論派に属するものである。
六大学派の研究対象はそれぞれ違っており、明論派は主に、古くから万象を包み込む星空を研究している。
レイラは数多くの研究者の中で、勉強している一人の学生だ。
レイラが教令院に入って勉強し始めてから、そう長い時間が経った訳では無いが、すでに彼女は数々のおかしなあだ名を付けられていた。
「夢遊の怪人」、「人形自動計算機」、「天から降ってきた論文」…これらはすべて、レイラを知るものによって与えられたあだ名だ。
日を追うごとに、彼女のあだ名はどんどん増えていく。


キャラクターストーリー1
教令院においては、どの研修室にもニ種類の人間が居るーー
一方は慣れて落ち着いた様子で、実験も論文もいつでも余裕に見える者たち。
もう一方は、いつも悩んでいるように見え、溜め息ばかり付く者たちだ。実験機材を抱きかかえて途方に暮れていることもあれば、紙に文字を書いては消し、書いては消しを繰り返していることもあり…とにかく苦しそうに見える。
研修室のレイラは、まさしく後者のタイプであった。
睡眠不足で、体調が悪いーーこれは一部の学者にとって常態化していることとも言えるが、レイラの場合、それが特に酷いらしい。その巨大な隈と疲れ切った顔は、彼女の抱えているプレッシャーがいかほどのものか、はっきりと証明している。
彼女の近くに寄ると、小さな声で「わからない」、「何でなの」、「やばいかも」…と言った同情したくなるような言葉を呟いているのが聞こえてくる。
教令院は学者たちが知識を求め、最も憧れる聖地であるが、彼らの悪夢の由来でもある。ここでは数え切れないほどの学者たちが、実験の失敗や理論の否定に苦しめられている。プレッシャーに耐えきれず退学を選ぶ学生は、毎年少なくないという。
レイラも見るからに、諦め寸前かと思うほど切羽詰まっている。実際、同時期に入学した何名もの同級生が既にここを離れたが、彼女は未だに頑張っている。
知識を求める道においては、素質も確かに重要だが、最後まで踏ん張り続ける根気が大切なのだ。


キャラクターストーリー2
レイラの体調がここまで悪くなってしまったのは、長期に渡る不眠のせいである。そして、その不眠は学業というプレッシャーによるものだ。
教令院の学生はみな、必ず授業を履修し、論文を完成させ、試験や考査を通過しなければならない。聞くだけならばさほど複雑ではなさそうなことだが、どれも学生たちが長い時間と労力をかけなければならないものなのだ。
不幸なことに、レイラの論文はいつも他の人々より遅れ気味だ。
彼女はいつも長い時間考え込む。自分の論点は合理的か?学友たちのものと比べて易しすぎないか?ーー計算や効率性についても、毎回疑ってしまいがちだ。
教令院の学生である以上、学業においてだらしない一面を見せてはいけないトレイラは常々考えている。しかし、そう考えれば考えるほど、性急に筆を進める勇気はなくなってしまう。
そうして悩んでいるうちに、時間は指の隙間や眉間からどんどん滑り落ちていくのだ。終えなければならない課題はまだそこにあり、一文字も書かれていないのに…
彼女は仕方なく夜更かしすることにした。もう、睡眠を昼間に回すしかなかったのだ。しかし夜が明ければ、また新しい課題が彼女を待ち受けている。
そうしてすっかり悪循環に陥ってしまった。
ついに、彼女の体に異変が起こり始めた。
熟睡している間に身を起こして辺りを周るが、目が覚めたときには自分が何をしていたか全く覚えていないーーそれはまるで、噂の「夢遊」現象のようだった。
彼女が「夢遊」するところを目撃した同級生曰く、「夢遊」状態にある彼女は不規則に様々な場所へと姿を表し、彼女がどこへ行き、何をしていたのか、言える者はいないという。
また、彼女が「夢遊」状態になり始めると同時に、あるおかしな出来事が起こり始めた。
毎回、彼女が「夢遊」状態から目覚める度に、寝る前にまだ手を付けていない論文が全て終わっているのだ。その上それらの論文は厳密なロジックで書かれており、データも正確、そしてなんと紙の上の筆跡は、彼女本人のものだった。
もっと不思議なことに、作者は彼女の名義で、論文中においてずけずけと他人の論文と研究方法を批判していた。これはどう考えてもレイラにできることではないのだが…いったい誰が自分をからかっているのだろう。
レイラは今まで進んできた道のりを振り返ってみた。しかし故郷から教令院に至るまで、どの知り合いにも、こんなことをする動機はなさそうだ。
スメールのことわざで、「天から降ってきた論文」というのは本来起こり得ない奇跡を例えた言葉だが、彼女の遭遇している出来事はまさに「天から降ってきた論文」としか言えないものだった。
まさか本当に奇跡が起こったのだろうか?偉大なる星空はレイラが占星学の研究に向けるひたむきな精神に心動かされ、その思いに応えて、祝福してくれたのだろうか?
真相がどうであれ、「星空の祝福」は、彼女の差し迫った悩みを解決してくれた。これでいくつかの単位については、論文を提出できるだろう。
残りは、時間のあるときにでもまた自分で考えよう…もう、授業に行く時間だ。


キャラクターストーリー3
負担の大きい学業の傍ら、レイラも時間を作ってリラックスすることがある。
彼女は船に乗ってオルモス港へ行き、ぶらつくのが好きなのだ。あそこでは、各地からやってきた旅商人が新鮮で面白いものを色々と売っており、あっとするようなトリックを見せてくれることもある。いつも疲れ切っているレイラにとっては、目新しい体験だ。
ある時レイラはここで、不思議なナイフ投げを見た。ナイフの扱いに長けた砂漠の民が手を動かしたその瞬間、遠くのリンゴに的中した。
「自分は飛べる」と主張する奇人が、ありきたりな絨毯の上で、地面から離れることに成功するところをみたこともある。
一番印象深かったのは、何といっても、福引に誘ってくる店主だった。そこでは、色んな額の賞金を記入した紙切れが、それぞれ木箱へ入れられる。すると店主は、いくつもの木箱の位置を驚くようなスピードで入れ替えるのだ。そして最後は福引に興味を持ったお客さんに木箱を選んでもらう。
レイラは以前、何度か挑戦したことがあるのだが、いつも大賞を当てることはできなかった。しかし回数を重ねるごとに、彼女はなんと、コツが分かってきたのだ。
店主の手捌きはかなり素早く、確かに常人が見極めるのは難しいだろう。しかし、実は彼の左親指は、木箱を移動する際にほとんど動かないのだ。
そのため、彼の左親指に近い木箱ほど、大きな移動はしなくなる。
その後、鋭い観察力のおかげで、レイラは何度も大賞を当てた。不思議に思った店主はレイラが観察力のみに頼って彼の得意芸を見抜いたと知って感服し、喜んで多額の賞金をレイラに渡してくれた。
しかしレイラにとっては、賞金を獲得できるかどうかは二の次で、こんな珍しいテクニックを見られたことのほうがよほど嬉しいことであった。
彼女は教令院の保守派のように曲芸や手品を蔑むことはなく、むしろオルモス港の露天商人たちのおかげでこのように素敵な体験ができることを、感謝している。


キャラクターストーリー4
教令院での一年目が終わる頃、レイラは自分の長所と短所を紙の上に書き、個人的にまとめようとした。
彼女の観察力や推論能力はかなり良い方であり、いつも星図をもとに素早く星体運行の軌跡を描き出せる上、スピードも人一倍早かった。
その他、彼女は数学に関してもまあまあ出来る方だった。簡単な問題であれば、筆すら必要とせず、瞬く間に答えを出せるのだ。
教令院に入る前、レイラは偶然にも将来彼女の担任となる先生と出会った。
その時、先生はレイラのことを、「星空に祝福された子で知識を求める資質がある」と言って褒めた。
これらの長所が彼女に希望を与え、教令院へ知恵を求めに行くための勇気になった。
しかし、いざ教令院へ足を踏み入れてみた彼女は、同年代のものと比べると、それらの長所はまったく取るに足らないものだと気づいた。
教令院には強者が多く存在し、優れた者たちと並んでみれば、どうしても自分が非常に見劣りする存在だと感じてしまうのだ。
また、短所の方については、自分には沢山あるとレイラは考えている。例えば問題について考えるときは優柔不断だし、かなり時間をかけないと、いつも考えがなかなかまとまらない。
それに、人とのコミュニケーションも得意ではない。周囲と問題について話し合う時、いつも己の観点を発表したがらないせいで、他人には「自分を孤高の存在だと思っている」とか、「討議を軽視している」などと思われてしまうこともある。このこともあってか、レイラは教令院に友達がそういない。
さらに自信を失くしてしまうことは、提出した多くの論文も自分が書いたものではなく、「星空の祝福」からの恩恵であることだ。
レイラからしてみれば、自分など取るに足らない人間だ。
しかしレイラは、同級生や先生たちからは全くそのような印象では見られていないことを知らない。
「不思議ちゃんだし、変な癖もある。けど、まあ才能ある人ってそんなもんよね。」
「みんなで測量する時、どうして彼女はあんなに早く星図を描けるんだろう?彼女の目は写真機なのかな?おまけに星の軌跡まで描き終わってるし…」
「彼女の論文と算式は全て見た。厳密で周到なロジック…時々できすぎていると思うこともあるほどで、教師である私まで意表を突かれてしまう。この生徒は見込みがある。」
慎重すぎる性格のせいで、終始自分が優秀でないと思い込み、謙遜の気持ちを心に、没頭して前に進む者というのは存在する。
だが、このいつまでも自己に満足しないという思いこそが彼らを前へと進ませ、知らず知らずのうちに他人を後に置いてゆくだの。


キャラクターストーリー5
こんな少女がいた。彼女は忍耐強く聡明で、時には度が過ぎるほど謙虚である。
彼女は自分のように少しばかりの才知しか持ち合わせていない人間は、本物の天才と比べればまだまだだと常々思っていた。
しかし、優秀になりたい、本物の天才たちと肩を並べられるようになりたい、家族や先生たちに誇りに思ってもらえるような知恵あるものでありたいと、切に願ってもいる。
相反する気持ちが彼女を束縛し、自分の気持ちに従って思うまま振る舞うことを怖がらせた。しかし彼女は、平凡に生き続けることに甘んじることはなかった。
日が経つにつれ、恥ずかしさや失望、渇望…そういった強烈な感情たちは彼女の中でどんどん発酵していき、重い負担に耐えきれなくなった。そしてどうしようもなくなった結果、心はついに小さく口を切って彼女の魂に一息つかせようとしたのだ。
体と精神が完全に冴えている時、様々な束縛にある彼女は自由に動けず、体が休眠状態に入った途端、彼女の心は短い自由を手にして、魂の中にある、鋭く洒脱な人柄を目覚めさせる。
夢遊状態にある時、彼女は自分を疑って抑え込むことをやめる。論文を描いたり、星図を描いたり、星位表を作ったり…普段彼女が頭を抱えてしまうことの全ては気楽で簡単なことになる。
そこで彼女は思うがままに観点を指摘し、難題に挑戦するのだ。
これは彼女が心の底から長く望んでいた開放であったーーしかし夢はやがて終わるもの。自信に欠けた、内気な女の子となってしまう。目覚めたレイラはあの才能あふれる文字や算式のすべてが、自分自身の手によって書かれたということも知らない。
忍耐強く謙虚なあの女の子は彼女であり、あのスマートで鋭い彼女もまた、紛れもなく彼女である。両者は元々表裏一体なのだ。
レイラはまだ成長途中の苗木であり、自己懐疑と突破を渇望する二つの心情で揺れ動いている。そのアンバランスさが、いわゆる「夢遊」を引き起こした。しかし、目覚めているのが彼女のどんな一面にせよ、それはすべてレイラなのだ。


レイラの写真集
レイラの机の上には、山のように積み上げられたノートや星図と論文集以外に、一冊の分厚い写真集があった。
机の上にあるものがどんなに場所を変えようと、写真集はいつも机の上で最も目立つ場所に置かれている。
写真集の中にあるのは全て、レイラ自身が写真機を使って撮った写真たちだ。写されているのは故郷にいる両親や友人…それから教令院へ進むように進めてくれた、担任の姿もあった。
どの写真にも、裏には印象深い出来事がある。レイラは日記代わりに、この方法で故郷から教令院までの経歴を記してきた。彼女にはそんな習慣があるのだ。
写真集をめくる度に、レイラは様々な決断をしたときの気持ちを、はっきり思い出すことが出来る。そして、その気持ちを借りて、心の中にある迷いを払拭する。
最近、レイラはこの写真集に、金髪の旅人と一緒に写っている写真を追加した。写真が一枚、また一枚と増えていく中で…レイラが卒業する頃、この写真集はどれほど分厚いものになるのだろう。


神の目
レイラはそう簡単に人と争わない。これは彼女の性格によるものだ。ただ、一度だけ、今までにないほど他人と「争った」ことがある。
あれは理論占星学の授業の研究討論会だった。徳望高いハーバッドがレイラや他の何名かの生徒の論文を読んだ後、重点的にレイラのとある観点を批判したのだ。
そのハーバッド曰く、理論占星学は歴代の研究者の知恵による神聖なる結晶であり、そのどの法則も、大勢の学者が数え切れないほどの計算による検証を重ねた結果で、正確さは疑いようがない。しかし、レイウラは論文の中でとある法則を疑った。その上それを補正しようとするなどというのは、冒涜である…ということだった。
批判を受けたレイラは面と向かっては反論しなかったが、討論会の後、レポートとこの件に関する考えの詳細を、併せてそのハーバッドへ提出した。
暫くのち、そのハーバッドは彼の反論をレポートに添付してレイラへ戻してきた。
事がこうなれば、多くの学生は手を引くだろう。研究討論会でレポートが通らないことは学生の最終考査にかなりネガティブな影響を与えるからだ。
それに、どのハーバッドも学識や年功において、勉強中の学生に勝っているものであり、彼らと学術問題について討論することは僭越なことだ。
もしかすると、レイラが提出したものは彼女自身によるただの計算ミスかもしれないのに、最後まで弁論して、もし己の間違いだとわかれば、大恥をかくことになる。
しかし、それでもレイラは最後まで諦めなかった。そしてこの方法で、ハーバッドと「弁論」し続けた。ーー半年が過ぎた頃、このハーバッドは再びレイラを探し出すと、「より多くの学者と交流した結果、確かにこの法則には考慮されていなかった、適用されない状況が存在するとわかった」ことを認めた。
説明し終わった後、彼は感慨深げに、レイラのようにハーバッドにチャレンジし続ける学生は年々少なくなってきている、と告げた。
本来、学を求めるうえで一番重要なことは真の知識に対する純粋さと執着であり、彼は久々に、レイラを通してその純粋さと執着を見ることができたという。
討論会が終わった後、レイラが再びハーバッドと「弁論」を重ねた過程を残したファイルを開いた時ーーその中から思いがけず、キラキラとした「神の目」を見つけた。
分厚い手書きレポートの上に転がったその姿は、まるで地に落ちた星のようだった。

レザー

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キャラクター詳細
レザーは奔狼領で暮らしている謎の少年だ。彼の姿を目撃したモンドの住人は多くない。
数少ない目撃者によると、レザーは五感が鋭く、体つきは逞しく、素早く木々の間を駆け抜け、よく狼の群れと共に行動し、自ら人間に近づくことはないらしい。
更に、彼は狼に育てられた捨て子、実は少年の姿に化けた狼の神様、などといった噂まである。
これらの噂は「狼少年」のイメージをより謎めいたものにした。
そして話題の「狼少年」である本人は、今日も丘の上で日向ぼっこをしている。


キャラクターストーリー1
レザーはいつも狼の群れの中で暮らしている。
どの狼とも仲が良く、例えば、誰の吠え声がよく通るか、誰が奇襲に適しているのかなど、レザーが知らない狼はいない。
レザーは風の感情が読め、遠い先のにおいや様々な花草の用途も分かるが、唯一、本当の両親のことだけは分からなかった。
一体どんな人だったのか、いくら頑張っても思い出せない。
物心がついた頃から、彼は狼と一緒に暮らしていた。狼は彼を「ルピカ」――「家族」のように扱っている。


キャラクターストーリー2
空を、小さな歌う生き物が飛んでいる。
雲は長くふわふわで、狼のしっぽみたいだ。
レザーの世界はとても単純だった。
晴れの日に思いきり狩りをして、熟した果物を取る。雨の日には樹洞に隠れ、狼のしっぽを腕に抱き、葉っぱの上で眠る。
肉を頬張って水をごくごく飲む。熱くなったら湖に飛び込んで泳ぎ、喉が乾いたら甘い果物を探す。
レザーは自分の体と腕を見て、そして「狼」の体と腕を見る。
自分は「狼」とは違うと、彼は知っていた。
それでも、今の暮らしをレザーはとても気に入っている。


キャラクターストーリー3
ある日、背の高い男が山に入ってきて、レザーの穏やかな生活に終わりを告げた。
レザーは彼のことを知らないが、「人類」の一員だということだけは分かっていた。困惑したレザーに、相手は優しい微笑みを見せた。
「坊主、一緒にモンドに戻らないか?」
男はそういって手を伸ばしてきた。
レザーも狼たちも、その意味が分からなかった。レザーに近寄らせまいと、狼たちは前に出た。
狼のしっぽの間に隠れたレザーは自分の体と腕を見て、そして狼たちの毛の隙間から「人」の体と腕を見る。
自分は賢くないと知っていたが、あの時、彼の中に一つの疑問が生まれた。
「オレは狼?それとも人間…?」


キャラクターストーリー4
「レザー」という名前は、あの男につけられたものだ。
単純な狼少年は、人間の言葉を理解できなかったが、男の顔を見て、なんとなくそれが自分の名前だと分かった。
「レ、ザー」
奔狼領の木の影が短くなり、また長くなる。
男はレザーに剣を振る方法を教えた。
「鉄の爪」は重いが、木を裂けるほど鋭い。
「これで友達を守るんだぞ」
「とも、だち」
レザーは男の言葉を繰り返したが、その意味は分からなかった。そもそも、名前というものが大事かどうかすらも分からなかった。
あの男の名前を、レザーは最後まで告げられる事はなかったからだ。


キャラクターストーリー5
「師匠、友達とは、なんだ?」
レザーは決して豊富とは言えない語彙の中から、なんとか言葉を見つけて、新しく知り合った師匠に質問した。
じゃがいもを調理する方法から、夏の夜空で一番輝く星の名前まで、紫色の師匠は何でも知っている。しかしリサはその質問にひとつ欠伸をして、笑顔を見せるだけだった。
レザーは考えた。風の日も、雨の日も、ググプラムが髪にくっつくまで考えた。しかし答えは分からなかった。
それからしばらくして、レザーは赤い、熱い女の子に出会った。
彼らは一緒に風に吹かれ、雨に打たれ、ググプラムだらけの灌木帯の傍を転がった。
女の子の名前はクレー。彼女と一緒に遊んだ時、レザーは小さい頃、狼たちとじゃれ合った時の楽しさを思い出した。
「友達は、ルピカみたいだ」
レザーは世の中のことをあまり理解できないが、彼には獣のような原始的で率直な忠誠さがある。
「――じゃあ、ルピカのように、命をかけて守るべき人だ」
狼の群れが遠いところで吠えている。帰ろうと呼んでいるのだ。
レザーは今でも自分は狼なのか、それとも人間なのか分からない。
しかし、この暮らしをレザーはとても気に入っている。


レザーの木箱
気をつけて開けなければ、指を傷付けてしまうくらい粗末な木の箱に、レザーの宝物が入っている。
割れた大剣の柄と『風車アスターと狼』という童話集と枯れた四つ葉のクローバー。
世の中のことをあまり理解できないレザーにとって、これは「友達」が送ってくれたプレゼント、彼の大切な宝物である。


神の目
「神の目」を手に入れた時のことは、レザーが思い出したくないことの一つである。
あれは雷雨の日であった。アビスの魔術師が、背後からレザーを襲った。レザーを救おうと、狼の群れは恐れずにアビスの魔術師に攻撃を仕掛けたが、全滅させられたのだ。
仲間の惨死をただただ見ることしかできなかったレザーは、野獣のように苦しく咆哮した。
――「ルピカ」。
憤怒の雷電が彼の体にまとわりつき、限度を超えた元素力が、彼の身体中に流れた。
守りたい、復讐する。
彼は鎖を断ち切り、武器を持ち上げた。
アビスの魔術師は、この乱れた雷電の力に倒された。だが、倒れた仲間は護れなかった。
……
「神の目」を得たが、その時のレザーはまだこの力の*使いこなせなかった。あれから長い月日を経て、ある日、彼は薔薇の魔女であるリサと出会い、彼女から人類の知識を教わった。
「もう仲間を傷つけさせない」
レザーの「神の目」の扱い方は、日に日に上達している。彼は密かに決意した。もっと強くなる、誰よりも強くなる。
危険なことに遭っても、彼は彼の「ルピカ」を守り抜くと。

ロサリア

開く

キャラクター詳細
ロサリアは、モンドの西風教会に所属するシスター。
同じ聖職者でも、バーバラやジリアンナたちとは違った目で見られることが多い。
服装こそは聖職者だが、普段の言葉遣いや所作は聖職者と掛け離れている。
モンドの一般市民たちよりも信仰心が低く、普段も教会の活動に参加しない。
彼女は単独行動を好む。稀に大聖堂に姿を現すこともあるが、一番後ろの長椅子で黙々とタバコをくゆらすだけ。
他人を頼らず、いつも一人で行動するロサリアは名ばかりのシスターである。


キャラクターストーリー1
ロサリアの規則違反は、教会に百回以上記録されている。
しかし、彼女がそれを気に病んだことは一度もない。同僚と一緒に行動することもなければ、市民と交流する場にもめったに現れない彼女。
変わり者で謎の多いロサリアは、まるで黒い煙が立ち上るかのように、目を離すとすぐに消えてしまう。
さらに人付き合いをすることがほぼなく、誰とも関わり合おうとしない。
シスターヴィクトリアによると、心優しいバーバラだけはロサリアと交流を図ろうとしているらしい。
「教会でタバコを吸わないでください」、「時間通り式典に出席してください…」
「あの…話を聞いてください!」と言った具合に。
ロサリアの後を追いかけては、仕事をするよういつも優しく彼女を諭すバーバラ。
しかし、モンド城の人々が愛するアイドルであろうとも、ロサリアは無関心な態度を貫く。
彼女は…冷酷な人間なのだろうか?


キャラクターストーリー2
ロサリアはよく姿をくらます。居場所を告げることなく姿を消しては、数日間戻ってこないことも珍しくない。
彼女が姿を消すたび、教会のシスターたちもどこを探せばいいのか見当がつかないという。
あるシスターが彼女を監視していた時、「拾われた野良猫だって、逃げる時に一言いうわよ!」と、ため息交じりに愚痴をこぼしたそうだ。
姿を消した後、ロサリアは人知れぬ場所で、彼女にしかできない仕事を処理している。
見たことのない商人、怪しげな旅人、これら人物がモンドに害をなすか否かを見定めているのだ。
調査、追跡、必要とあらば拷問も。
モンドにとって好ましくない人物がいれば、最後に会う人物は必ずロサリアとなるだろう。
日の目を浴びることのない影の仕事を、ロサリアは全て担っている。
彼女は日が沈むと同時に仕事に出て、処理すべき問題を一息に片付ける。そして、帰りが夜明け頃となれば、朝日が昇ると同時に一杯のワインを嗜む。
モンド人は金色の日差しの下で日常を享受するが、ロサリアは銀色の月光の下で息をする。
透き通るような凛冽なる月光は…まさしく彼女が操る氷元素と同じだ。
「若者が知る必要のないことよ」
ロサリアにとって、太陽の下で暮らすモンド人は老若男女問わず「若者」なのだ。


キャラクターストーリー3
あらゆる物事に対して関心を持たないロサリアは、まるで捉えどころのない煙のようだ。
しかし、そんな彼女も仕事になると纏う空気が一変し、任務を果たすため全力を尽くす。
普段は怠惰な態度が目立つロサリアだが、不審人物を拷問する際にはそれもなりを潜め、決して手を抜くことがない。
また彼女は並外れた腕力の持ち主であり、人体の急所にも精通している。人を痛めつけることに対し躊躇いがなく、殺すことも厭わない。
怠惰で、ヘビースモーカーで、シスター…しかし、その裏の顔は優秀な処刑人なのだ。
神の威光のもと生きる彼女だが、その背には重い使命がある。
その手を血に染め、死刑執行人になったのはなぜなのか?なぜ神の祝福を拒絶するのか?
ましてや、ロサリアはモンド生まれではない、そんな彼女がこういった暗部を担っていることにも疑問が残る。
「このような幸せで退屈な街には、汚い仕事をする人がいても当然」
ロサリアは紫煙をくゆらせながら、気怠げにそう言う。
「私にとって、この種の仕事は真っ当なシスターとして過ごすよりもよほど簡単だわ。」


キャラクターストーリー4
祈りを捧げることのないロサリアだが、神学に対して独特の見解を持っている。
彼女曰く、自由はモンドの人々にとって心の支えであり、彼女が今ここにいるのも自由のおかげだという。
ロサリアは人里離れた山奥にある村の出身だ。だが、彼女が生まれて間もない頃、盗賊が村を襲い、ロサリアはその盗賊に拾われることになる。
盗賊に育てられた彼女は幼い頃より戦うすべを叩き込まれ、盗賊として活動しながら雑用係をし生きることになった。
その生活はまさしく奴隷であり機械のよう。彼女は子供でありながら盗賊であった。
外からの脅威と戦うだけでなく、時には仲間であった者とも戦い、飢えと寒さに苦しみながら、弱肉強食の世界で育ったのだ。
ロサリアの青春時代は、まるでモンドの夕日の如くーー視界に入るもの全てが血の色であった。ある日、その日々を振り返ったロサリアは、手遅れであることにようやく気づいた。
その数年後、西風騎士団の活躍によりその盗賊団は壊滅する。ロサリアは盗賊団の中で最も若く、更生の余地があると判断された。
彼女をモンドへ連れてきたのは騎士団の大団長ファルカ。彼はロサリアがモンドに馴染むことを期待し、こう告げるーー
「教会の神の光でその身を洗え。そうすれば生まれ変わって、普通の人と同じように生きていける」
しかし、ロサリアはファルカの期待を裏切るかのように、教会のミサや合唱を理由もなく欠席した。
平和に過ごすシスターではなく、彼女が選んだのは外での狩り。彼女にとって、金色の太陽は眩しすぎたのだ。
ロサリアははるか昔から理解していた。
ーー月の下で生まれた自分は、いずれ闇へ帰るのだと。


キャラクターストーリー5
怠惰さにおいて、教会内でロサリアの右に出る者はいない。修習時代からすでにその怠惰な態度は有名であった。
「ロサリアさん、分別ある行動をお願いします!教会のシスターとして、合唱に参加しないなんて許しません!」
「落ち着いて、シスターオルフィラ。ロサリアさん、必修科目に一つも出ていないと聞きましたが本当でしょうか?」
「ええ、本当よ」
「そういえばマレア婦人、こちらをご覧ください…ロサリアさんが書いた神学の論文ですが、目も当てられません!」
「ロサリアさん、失礼ですが…この先、教会に仕える気はありますか?」
「ないわ。仕事はもう見つかっているもの」
あまりにも真剣味に欠けるロサリア、彼女の背景を考えれば確かに影の仕事のほうが向いているのかも知れない。
ただ意外だったことに、その仕事のために協会に属すことになる。
聖職者の身分から逃れられなかった彼女は、「見習いシスター」ロサリアから「シスター」ロサリアとなった。
だが任務がなくとも、彼女は教会の行事を避けーー酒場で酒を飲んだり、城壁の上から景色を眺めたりしていた。
避けようがない状況でも残業を忌避し、定時になるとすぐに姿を消す。
表の仕事でも、裏の仕事でも、彼女は「残業」をしないのだ。


教会から配られたノート
白いカバーのノート。表紙には「西風教会」と書かれている。
ノートの中には奇麗な字が並んでいるが、内容は至極どうでもいいもの。
「蒲公英酒はどうだい、ただいま20%オフだよ!」
「漁師トースト、お値段以上のおいしさ!」
「小麦の大セール!小麦粉にしたい場合は店主までお声がけを!」
「3個買ったら1個おまけ!」
「新鮮なイグサはどう、トイレの照明に使えるよ!お客さん見てらっしゃい…!」
均整の取れた美しい筆跡だが、書かれているのは呼び込みの言葉やお店の広告ばかり。
このノートはロサリアが見習い時代に持っていた物だ。
当時、彼女は授業を抜け出すと商店の屋上へと行き、陽の光を浴びながら下から聞こえてくる様々な声をノートにただただ書いていた。そんな風に過ごす彼女の姿は、想像に難くないだろう。


神の目
ロサリアの「神の目」は、とある寒い日の夜に現れた。
盗賊にとって最も厄介な季節、全員が生きていくには食料が足りなかった。
常に空腹に苦しんでいた彼女は、寒風吹き荒ぶ中での雑用に耐えかね逃げ出した。
しかし、盗賊の一人である老人に捕まり連れ戻されてしまう。彼こそが、過去に彼女を村で拾い、人を殺す技を教えた張本人である。
「逃げるやつは全員裏切り者だ。裏切り者は決闘に勝たなければ自由になれない」
そう言うと、老人は古いナイフをロサリアに投げた。「来い、俺を殺せばここから逃げられる。俺はただの年老いた獅子だ。お前はまだ若い。お前なら容易いことだろう?」
ロサリアが勝つなど、誰一人として想像していなかった。しかし、確かに老いた獅子は若き野獣の爪の前に敗れた。
その夜、盗賊団は古株の一人を失ったが、新たなメンバーを迎え入れることにした。
老人を殺したロサリアは盗賊たちに避けられたが、面白いことに彼女の持つ「神の目」を見た途端態度が豹変した。
ーー「神の目」を持つ者なら、きっとあのジジイよりも強い。それにお前は小食だ、食料の節約にもなる。
氷のように固く凍ったロサリアの心に、ふとある疑問が浮かんだーー
彼はわざと私を勝たせたんじゃないかと…拾った子に対し、偽りながらも父としての気持ちが彼に生まれていたのかもしれない。

ワ行