キャラ・一族・団体/フォンテーヌ

Last-modified: 2024-05-12 (日) 12:46:02


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フォンテーヌ

『正義の神は法廷の茶番の一切を愛し、神々への審判さえも求めた。
されどそんな彼女も知っている。天理を敵に回してはならない事を』

テイワットの中央部に属する水神が治める国。

先レムリア帝国時代(太古~数千年前)出身

魔神

フォカロルス(水神・正義の神・フリーナ)
500年前の災害で死亡した先代の座を引き継ぎ、新たな水神となった女神。現代ではフリーナの名を名乗っている。
フリーナを参照。
  • 元ネタとモチーフについて
    名前の由来は、ゴエティアの序列41番、風と海を支配する大侯爵「フォカロル(Forcalor)」だと思われる。
    原典そのままではなくForcalor”s”となっている理由は不明だが、魔神戦争勝者本人ではないからという説、リネ&リネットの例から複数形の「s」という説がある。
    更に派生して、崩壊シリーズにおける二重人格のキャラクター「ゼーレ・フェレライ」をデザイン等のモチーフにしているという予想もされているようだ。
エゲリア(先代水神・甘露の主・衆の水の主・万水の主)
先代水神。壁画では人間の女性の姿で描かれる。2000年前の魔神戦争勝者。
「慈水怒濤の翼」ストーリーにおいては、原始胎海の中に創造された「心臓」と表現されている。初代水龍がテイワットから取り除かれた後、「統率者」などと呼ばれる存在*1天理やその関係者か?)によって創られた。
創造者は外来の存在と示唆されているが、エゲリア自身は材質も性質も外来のものではなくテイワット由来のもののみで製造された。
初代水龍も「心臓」だったというから、おそらくそれを模して作られたと思われるが、龍のような気高さを持ちながら姿は龍ではなく、神のような威厳を持ちながら神聖な使命を持たず、交流と理解を追求する存在だった。

純水精霊は彼女の涙から生まれたとされる。また、レムリア建国以前に眷属の純水精霊の「地上で暮らしたい」という願いに応え、原始胎海の力を使って一部の純水精霊を人間に作り替えた。
これが天理の怒りを買い、一時期エゲリアは天理によって幽閉されフォンテーヌ統治できない時代があった。天理に許しを請うも受け入れられず、フォンテーヌ人の「原罪」となり、やがて水に溶けるという「予言」を与えられる。
レムリア帝国滅亡後、天理によって幽閉を解かれフォンテーヌに新たな秩序と文明をもたらした。
なお、現フォンテーヌ人の創造がいつだったのか、実は明言されている資料がほとんどない。しかし帝国の調律師ボエティウスは、原始胎海に溶けない人間の要素とは何かという研究を行っていた*2
純水精霊由来の人間でなければそもそも全く溶けないはずのため、おそらくレムリア帝国時代の一般のフォンテーヌ人は既に純水精霊由来だったと思われる。

この他、大陸各所に純水精霊をスパイとして送り込んだが、目的はあくまで融和だったとされている*3
500年前の災害で死亡。遺骸は「甘露活水」へと変わり、それを飲んだシームルグが霊光と融合させ、花霊を含む霊光百種を創造する。
純水精霊から人間となった一人であるフォカロルスを後任の神とし、予言の処理については彼女に一任することとなった。

  • 名前について
    エゲリア(Egeria)はローマ神話における水のニンフの名。
    王政ローマ時代の第二代の王ヌマ・ポンピリウスの妻であり助言者であり、ヌマ王が死ぬとディアナの森で多くの涙を流し、泉に変わってしまったという。
    ゴエティア由来の名はVer.4.2時点で未判明。
    候補としては30位フォルネウス、42位ウェパル、49位クロケルなどが挙げられる。いずれも水や海に縁を持つ悪魔。

純水精霊

先代水神が流す一滴の涙から生まれた存在とされる。
その時代は人間との関係は良好であったが、先代水神の死と、巨獣エリナスの流す毒素によるフォンテーヌ全域における水質汚染によってほぼ全滅した……と思われていたが、実際には多くの個体は人間に姿を変えられていたため、地上でそのまま生存していた。
500年後、その「人間」はヌヴィレットの判決によって真の人類へと生まれ変わったため、現存するのは下記のわずかな個体と原始胎海の水に溶けた者のみ*4である。

ローデシア
ボスキャラクター。
先代水神エゲリアが送り込んだ純水精霊のなかで最も強かったが、代替わり後の現水神には忠誠を誓わず出奔。
現在は軽策荘東の水源に潜んでいる。
イベント「純水の願い」では、エゲリアの下で首席スパイを務めていたことが明かされた。
世界任務「藻海が残したもの」では、キャタピラーは、純水精霊は人間を生み出せるか?という命題に対し「かなりの知能と共感力」が要求されると指摘。
その上で「トップクラスであるローデシアのような純水精霊なら、どうにか到達できるという程度」と評しており、純水精霊の中でも最高の天才の一人かつその中でも代表格と見なされているようだ。
  • 名前について
    英語版ではRhodeiaとなっており、古代ギリシア神話の海の女妖精オーケアニスたちの一人、ロデイア(Ῥόδεια、Rhodeia)が元ネタと思われる。
エンドラー
イベント「純水の願い」に登場した若い純水精霊。好奇心旺盛。最強の純水精霊であるローデシアに憧れている。
最初は言葉も片言だったが、旅人やローデシアと接するうちに高度な知性を身に付け、最後は旅人に同行することを決めた。
  • 名前について
    他の純水精霊が古代ギリシア神話の海の女妖精オーケアニスたちが出典と思われるため、やや形が違うが、その一人エウドーレー(Εὐδώρη、Eudōrē)の共通語形「エウドーラー」が元ネタか。「良き贈り物」という意味。
ウラニア
「風来の剣闘奇譚」に登場した個体。領地を失い浄水を手に入れることができなかったらしい。
エリニュス山林地区にはウラニア湖という同名の湖が存在するが関連は不明。
  • 名前について
    ウーラニアー(Οὐρανία、Ūraniā)は古代ギリシア神話の女神の名前で、「天」の女性形。
    同名の女神が複数存在する。最も有名なのは九柱の詩神ムーサイ*5の一人だが、ここでは海の女妖精オーケアニスたちの一人のことを指すと思われる。
カリロエー
清泉町の泉の精霊。イベントの流れゆく水に詩を紡いでより名前が判明。
彼女こそが清泉町の伝説の精霊であり、NPCフィンチが少年時代に恋をした精霊である。
またディオナの持つ祝福も彼女が与えたものであり、様々な伏線が3年越しに回収された。
ストーリームービー「清泉の心」
  • 名前について
    カッリッロエー(Καλλιρρόη、Kallirrhoē)は古代ギリシア神話の女性の名前で、「美しき流れ」の意。
    同名の人物が複数存在するが、ここでは海の女妖精オーケアニスたちの一人のことを指すと思われる。剣士クリューサーオール(神馬ペーガソスの兄弟)との間に魔人ゲーリュオーンと女怪エキドナを産んでいる。
イディア
ver3.8期間限定イベント涼夏!楽園?大秘境!に登場。若い女性の見た目。
性格は明るく、責任感もあるが、「マスコット」を自称するようにやや気弱でパニックに陥るシーンも*6
ただし能力は非常に高く、自由に人間の姿に擬態できる他、水形幻霊に人間を含むあらゆる存在へと擬態させることでヴェルーリヤ・ミラージュの全てを形作らせている。
イベントでは友人であるアリスに頼まれ、クレーらをヴェルーリヤ・ミラージュで迎える。
  • 名前について
    古代ギリシア神話の海の女妖精オーケアニスたちの一人エイデュイア(Εἰδυῖα、Eidyîa)がモデルであろう。3000人の姉妹で最も幼いとされる。
    コルキス(現在の東欧ジョージア)の人間の王アイエーテースに嫁ぎ、アルゴー号伝説のヒロインである魔女メーデイアを産んでいる。
アン
世界任務「水仙のアン」にて登場する小さな純水精霊。世界任務「水仙のアン」の主人公とも言え、彼女と接触することで任務が始まる。
純水生物のプティ・シュ、アル、ジェック、カーネル・ケイト、モーリィ、ネイらと共に結成された水仙十字冒険団のリーダーであり、個性的なメンバーが多い冒険団の唯一の常識人。
自身に関する記憶が曖昧であり、自分が何者であるかを知るため旅人たちと共に行動する。
彼女の正体は「マリアン」が作り出した架空の物語のキャラクター「アン」が具現化した姿であり、純水精霊ですらない。
アンの性格や記憶は、水仙十字冒険団という未完成の物語をベースにマリアンや純水精霊リリスのものが交わったもので非常に不安定だったために自力で思い出すことができないでいた。
世界任務終盤において、「マリアン」が過去と向き合い未来へ歩き出すことを決意したため束縛から解放され、アンは独立した個体として生まれ変わることができた。
「マリアン」
世界任務「水仙のアン」にて登場する人物。500年前に存在した歴史上の人物であるマリアン・ギヨタンと同じ名前を持ち、水仙十字院の奥地にある「真の安眠の地」で暮らしている。
見た目は普通の人間であり自身も人間として振舞っていたが、元素視角で見ると水元素の反応がある(人間に擬態した純水精霊の特徴である)。
旅人やアンたちと出会ったときは友好的に接していたものの、アンたちが真相を求めると態度を一転させ拒絶、旅人たちを真の安眠の地より追放する。
彼女の正体は、数百年前の水仙十字結社との戦いで瀕死の重傷を負ったマリアンがに純水精霊リリスに意思を溶かされリリスと融合し、本来のマリアンと純水精霊リリスというふたつの意思が混在した存在である。
カーンルイアの災厄による世界的な混乱と社会不安、バザル・エルトンやカーターなどの親しい者との死別、幼馴染のルネやジェイコブと戦うなどの辛い経験から、過去を遠ざけ未来を閉ざし、永遠に変わらない穏やかな暮らしを求めて「真の安眠の地」で数百年間「水仙十字冒険団」の物語の世界に閉じこもっていた。
そのため未来を求める旅人やアンたちを幾度となく拒絶していたが、旅人が水仙十字聖剣を使って意思の壁を破壊、ルネ(ナルツィッセンクロイツ)やアンの説得を受けて過去を受け入れ、未来へ歩むことを決意する。その意思力によって純水精霊リリスとマリアンの意思が分離したことで、「マリアン」はマリアンとして再誕することになる(この際、元素視角を使用すると普通の人間と同じく白色の像が見える)。
その後は、アン、セイモア、マメールと共に数百年の間に様変わりした世界を見るための旅に出る。
リリス(赤の女王)
水仙十字院院長を務めた純水精霊。水仙十字院の項目を参照。

ルキナの泉

エピクレシス歌劇場の前にある噴水。コインを投げると願いがかなうと言われるが、特にカップルが子宝祈願をする風習がある。
純水精霊やフォンテーヌ人の秘密に関わっている。
泉はフォンテーヌを流れる全ての水が集まる場所であり、魔神任務第四章第二幕終了後から第五幕終盤までは噴水中央にてフリーナの悲しむ声が聞こえるなど、フォンテーヌ中の涙も集まってくる。
原始胎海に溶けてしまったフォンテーヌ人の意思も最終的にはルキナの泉に集まり、その影響を受けやすい者(水元素に共鳴しやすい者)はその姿や声を確認することもできる。
元々、ルキナの泉に願い事をすることは人間の生命を切望する純水精霊が泉の水の祝福を受け、後の月に人間になるための儀式であったとされる。
魔神任務第四章終盤で、全てのフォンテーヌ人が純粋な人間となったことで上記の儀式をすることなく通常の人間と同じように受胎することが可能になったと思われる。

  • 名前について
    元ネタはイタリアの首都ローマのトレヴィの泉。カップルが2枚コインを投げると、永遠の愛が成就するという伝説がある。
    ルキナ(Lucina)は古代ローマ神話で、女神ユーノー(古代ギリシア神話のヘーラー)とディアーナ(アルテミス)の多産を司る神としての権能を表す称号。

原初の龍

原初の水の龍
「天理」がテイワットに降臨する以前、テイワットの水元素の権能を司っていた初代水龍*7
水のヴィシャップによれば、その正体は原始胎海から生まれた強大な心臓であり、その鼓動が響くたび、あらゆる生き物が跪いたと言われるが、このような伝説は信じるに値しないともされる。
純水精霊の伝説によれば、初代水神エゲリアが創造される前には既に(おそらく「天理」によって?)テイワットから取り除かれていたらしい。

レムリア帝国時代(スメールのジュラバド崩壊後のどこか~2000年以上前のどこか)出身

レムリア

かつて現フォンテーヌ地域を支配していた古代の国。
レムリア成立以前のフォンテーヌは大洪水によって文明が崩壊しており、大洪水を生き延びた一部の部族が暮らしていただけだったが、魔神「レムス」がこの地に再び秩序と文明をもたらしたことでレムリア帝国が建国された。
レムリアの艦隊がフォンテーヌ諸部族(蛮族)と高海を征服し、海淵の下の巨竜スキュラもレムスに臣従するなど全盛期を迎えたが、予言者シビラがレムリア帝国の滅亡を予言する。
レムスは滅亡回避のために奔走することになるが、ボエティスウスの裏切りもあって最終的に滅亡。レムリア滅亡後は、高天よりフォンテーヌ地域の統治を衆の水の主(エゲリア)に任されることとなる。
今でもフォンテーヌの芸術にはレムリアの影響が残っているという。

  • 名前の元ネタ
    イギリスの動物学者フィリップ・スクレーターが1874年に提唱した、インド洋に存在したとされる仮想の大陸(ただし綴りはLemuriaで、テイワットの方はRemuriaである)。
レムス(至尊・リマシ)
レムリア帝国を建国・統治していた音楽を愛する魔神。レムス王、至尊神王とも呼ばれる。また、周辺部族からは「リマシ」と呼ばれた。レムスが魔神名なのか俗名なのかは不明。
元々はスメールのオアシス地帯に自らの領域を持っていたがある時期に国を失い、近隣の支配者であったキングデシェレトに下ることも良しとせず流浪の旅に出たところ、偶然にも地上大湖の領域で非常に古い遺跡に辿り着き、予言者シビラと出会う。*8
シビラから、新たな国を築き繁栄を得ること、そしてその後に滅びを迎えるという2つの予言を受け、流浪の旅を続けていた人々をまとめあげてレムリア帝国を築き上げ、帝国以外にもフォンテーヌ地域の周辺部族に農耕技術や芸術文化をもたらした。
予言を定められた運命として国を築いたものの、同時に滅びの運命を変えるべく奔走し続けており、海の底に幽閉されていたエゲリアから、かつて彼女が犯した罪とそのためにフォンテーヌの民が抱える宿命を知らされる。
これが滅びの運命につながる要因と考えたレムスは、石の肉体にイコルを血とする魔像を作り上げ、人々を海に溶ける宿命や寿命という呪縛から解放し、大楽章「フォボス」によって運命を自ら紡ぐことでレムリアに永遠の繁栄をもたらそうとした。
しかし結果的にこれらが裏目となり、レムリア人の堕落を生んだ。レムス王はフォンテーヌ人や純水精霊を迫害していたとされているが、実際は殺戮・略奪・憎悪の願いを取り込んだフォボスが原因でありレムス王の真意ではなかったとされる。
フォボスの旋律の中に悲鳴を聞いたことからフォボスにこそ問題があると察し、自身の命と引き換えに、フォボスの破壊とレムリア人を魔像から解放する策を講じたが、それを事前に察知していたフォボスの策略によって阻まれてしまう。
レムスの死によって解放された楽章の力が暴走し、レムリア帝国は水没、滅亡する。
  • 元ネタその1
    「レムス」は古代ローマの伝説上の建国者の一人の名前でもある(もう一人はロムルス)。
    現代の西ヨーロッパ諸国も、乱暴に言えば西ローマ帝国が壊滅して諸族間の争いを経て形成されたものである。
    またいわゆる西洋文化も15世紀のルネサンスを経て、古代ギリシャ・ローマの芸術や学問に大きな影響を受けている。
  • 元ネタその2
    音楽家・芸術家・圧制者としてのレムス王の元ネタは、第5代ローマ皇帝「ネロ」(在位:54~68年)であろう。
    政治的には暗君とされる一方で、豊かな音楽の才能を持ち、また芸術のパトロンとしては優れた鑑識眼を持っていた。
    レムス王が抱えた「黄金の劇団」は、ネロの邸宅「ドムス・アウレア」すなわち「黄金の宮殿」が元ネタかもしれない。15世紀に再発見され、その華麗な様式はラファエロらルネサンス時代の大芸術家にも大きな影響を与えた。
  • 元ネタその3
    地上に文明をもたらした偉大な政治家としてのレムスの元ネタは、西ローマ帝国の後継である東ゴート王国を西暦497年に建国した「テオドリック大王」と思われる。
    『原神』でレムスの側近とされるボエティウスとカッシオドル(カッシオドルス)は、史実ではテオドリック大王に仕えた政治家・哲学者・科学者・数学者・音楽学者・神学者である。
    大王自身はローマ出身ではなく(当時は蛮族と見なされた)ゲルマン系民族ゴート族の出身だが、古代ローマ文化の維持・発展と普及に努め、「東ゴート・ルネサンス」をもたらした偉大な帝王とされる。
    西欧の「古代と中世」の境目に位置する君主であり、大王の教化によって、ガリア人やゲルマン人などの古代部族は、ローマの先進的文明と(当時としては革新的な思想である)世界宗教キリスト教を受け入れた「中世ヨーロッパ人」へと変容していくことになる。
    また、中世ヨーロッパのゲルマン語系文化圏の伝承においても、「ディートリヒ・フォン・ベルン」の名で民族を代表する最大の英雄と語り継がれていた。なお、作中でリオセスリがレムス王の船を模して作った「ウィンガレット」は、現実の伝承ではディートリヒの側近ヴィテゲの祖父の船である。
ボエティウス
レムリアの大調律師の一人。レムスが自ら地位を与えた人間で、帝国史上最も偉大な天才。
フォンテーヌの蛮族を駆除するための戦争こそが正義であると信じる狂信的な主戦派である。そのためレムスと意見が合わず、レムスがフォボスを破壊しようとしたとき、フォボスによって操り人形とされてしまう。
レムリア滅亡後、生き残ったレムリア人を巧みな話術によって欺き、散り散りになったフォボスを修復してレムリアを再建しようと企んだため、カッシオドルやフォンテーヌ廷の人々に封印された。
しかしそれでもレムリア帝国復活を諦めていなかった彼は、数千年かけて自身の魂を修復し、フォボスに取り込むことで乱れた楽章の力を制御できるようになる。
かつて自身を封印し、レムリア帝国復活を阻んだカッシオドルのことを「裏切り者」と呼ぶ。
カッシオドル(ウッスー、ウスさん)
レムリアの大調律師の一人。フォボスの旋律から悲鳴が聞こえるようになったことから、レムスが不測の事態に備えてフォボスから切り離して自由意思を与えた人間。
レムリア滅亡後に、僅かに残ったレムリア人の仲間と共に「二度と同じ過ちは繰り返さない」ということで原始胎海の封じ込めを行っていた。
しかしボエティウスがレムリア復活に動いたため、フォンテーヌ廷の人々と協力して魔物同然となったボエティウスと交戦し、レムリアを呑み込んだ水域と共に封印することに成功した。
カッシオドルは過去の現在の間の障壁となると誓い、往日の国の守り人となった。
ボエティウスが復活し、再びレムリア帝国復活のためにペトリコールの住民たちの魂を奪ったことでカッシオドルの意思も目覚める。意思を猫の体に預け、旅人共にボエティウスの謀略阻止に動く。
かつてレムス王を計画を阻み、レムリア滅亡の原因を作ったボエティウスのことを「裏切り者」と呼ぶ。
「黄金の狩人」(黄金ハンター)とも呼ばれており、後世のフォンテーヌにおける役職「ファントムハンター」の名前の由来ともなっている。
シビラ
金の蜂に化身したレムリアの予言者。この世界の「人」と呼ばれる存在に幸福をもたらすことを願っていたが、自分の意志も十分な力も持っていなかったため、自身の知恵をレムスに託した。
後にフォボス創造のために自分の命を捧げる。
「フォボス」
全ての人に幸福をもたらす大楽章、全ての人のために最善の旋律を紡ぐ大楽章。あらゆる旋律、あらゆる楽章、あらゆる思い出、あらゆる魂の集合体。
レムスが作り上げた大楽章にして、レムリア帝国を滅亡に追い込んだ黒幕。ハープの外見をしている。
フォボスは願いの集合体であるが故に、略奪や殺戮などの野蛮な願いも取り込んでしまったため、レムリア人の堕落を招いてしまう。
フォボスの危険性を認識したレムス王によって破壊されそうになったが、フォボスはレムリア人の幸福のためにボエティウスを操り人形としてその計画を阻止した。
結果的にレムリア帝国は滅亡するものの、フォボスの意思は現代まで生き残っていた。
あくまでレムリア人、レムリア帝国のための存在であるため、フォボスの行動理由は一貫してレムリアに永遠の繁栄をもたらすことである。
しかしそれ故に、レムリア帝国の過ちを封印しレムリア人の魂を解放しようとするカッシオドルらと対立することになる。

龍王

スキュラ(水のヴィシャップのプリンケプス)
作中現在から数千年前、水神エゲリアが支配者となる以前のレムリア帝国時代に生きていた毒龍で、初代の水の龍王亡きあとのフォンテーヌのヴィシャップたちを率いた龍王。魔龍親王とも*9
レムリア帝国にヴィシャップが乱獲されたのに怒り、神王レムスに対し、ヴィシャップと蛮族を率いて大反乱を起こす。
反乱はおおむね成功しつつあった。しかしこのとき、帝国の調律師ボエティウスは主君レムスが国を裏切ったと誤認、「黄金のイーコール」という国の秘宝を勝手に持ち出し、その力でスキュラを高塔の下に封印した。
秘宝を失ったレムリア帝国は、レムス王やスキュラもろとも巨大な嵐に沈み、結果としては両者相討ちになった。
  • 名前について
    古代ギリシア神話に登場する海の魔物。古典的な図像では、上半身は人間の女性、下半身はケートー(ギリシア伝説の海獣、大魚もしくは大蛇)で、腰の辺りから複数の犬の頭が生えたような形で描かれる。
    とある海峡(一説には現在のイタリアのメッシーナ海峡)の片側に陣取り、もう片側にはカリュブディスという別の魔物が住んでいたという。

純水騎士とその関係者

純水騎士はレムリア帝国時代に存在した騎士団で、万水の主(水神エゲリア)を信仰する。レムリア帝国に迫害された純水精霊たちを護る使命を持っていた。
レムリアからは他のフォンテーヌ人含めて「無知で粗野な蛮族」と呼称され、いくつかの都市国家や構成された統一的な社会体制のない原始的な氏族社会であると評されていた。
ただし原始文明しか存在しなかったわけではなく、(レムリアから見れば劣っているという目で見られていたものの)ある程度社会や経済が発展していたようである。
彼らは帝国が崩壊し水神エゲリアがフォンテーヌの統治者となるのを見届けているが、その直後に騎士団長エリニュスは戦に次ぐ戦で罪を犯しすぎたと自己を断罪し、出奔している。
他の騎士たちも帝国崩壊後しばらくして解散した*10

彼らの英雄譚は、フォンテーヌで人気の喜劇『大蛇と純水の杯』のモデルとされる*11

  • 元ネタについて
    イギリスのアーサー王伝説に登場する騎士団「円卓の騎士」と、中世フランス文学の一ジャンルである武勲詩(シャンソン・ド・ジェスト)に登場する騎士たち(特に、シャルルマーニュ(=カール大帝)に付き従ったとされる12人の聖騎士「パラディン」)がモデルと思われる。
    『大蛇と純水の杯』(英語版:Mounted Python & the Pure Grail)は、円卓の騎士がモデルのイギリスのコメディ映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』が元ネタ。
エリニュス
純水騎士の騎士団長。聖剣オートクレールを振るった女騎士で、通称は「湖光のエリニュス」。第2代水神フォカロルスの杖「静水流転の輝き」(=オートクレール?)の元の所持者。

レムス王に滅ぼされた国の二人の生き残りの一人であり、水神エゲリアの憐れみからアルモリカ島の領主に育てられた。なお、もう一人の生き残りはレムス王の楽師となった「黄金の狩人」カッシオドルと思われる。
エゲリアを信仰するエリニュスは、純水精霊を護る純水騎士となり、湖畔の少女ダエイラから授けられた聖剣「オートクレール」を振るって諸国を征服。多数の騎士を傘下に収めた。また、「純水の杯」という聖杯を探索していたという。

ある時、レムス王が使者を遣わして、アルモリカの臣従と水と土の朝貢を求めたため、仲間の騎士たちと共に反乱を起こした。毒龍スキュラも同様にレムリア帝国に反乱を起こしたため、レムス王と帝国は滅んだ。
エゲリアは幽閉から解き放たれ、フォンテーヌの統治者の座に就いた。
しかしエリニュスは長い戦いの中で自分は罪を犯しすぎたと告白し、自己の追放を願い出て、エゲリアにそれを許可された。その後は行方不明だが、秘境「罪禍の終末」が彼女の終焉の地の可能性がある。
エピクレシス歌劇場が建設されたエリニュス島は、彼女の功績に因むものであろう。

愛剣オートクレールの最後については2パターンの言い伝えがある。
1つは、「純水の杯」の力でエリニュスがエゲリアを解放した後、「いずれ自分の七倍も気高き人の手に渡るであろう」と予言してオートクレールを湖に返したとする伝説。
もう1つは、エリニュスは結局「純水の杯」を探し当てることができず、エゲリアを解放したのは高天(セレスティア)であった上に*12、エゲリアからフォンテーヌ人滅亡に関する何らかの情報を教えられて遂に心が折れ、血で漆黒に染まった愛剣オートクレールも粉々に砕けたとする説である。
前者が正しい場合、オートクレールと「静水流転の輝き」は同一武器の可能性が高いが、後者が正しい場合は別の武器ということになる。
このエリニュスの杖「静水流転の輝き」は「海原の上の至高なる権威」を象徴するといわれている。フリーナは公式イラストでこの杖を手に持っているため、経緯は不明だが、ある時点で第2代の水神フォカロルスの手に渡ったらしい。なおフリーナの2パターン両方のイラストで所持しているので、魔神任務後も引き続き「フリーナ」の愛剣になっていると思われる。

  • 名前の発音について
    エリニュスという名前は後世に転記したときに誤りがあったのがそのまま定着したもので、本来は「エルグウィンド」と発音するのが正しい。
    古代の言葉では「エ」は「高い」を意味し、「ルグウィンド」は「王」の格変化である。彼女の本名ではなく肩書きのようなものであったと推察できる。
  • モチーフについて
    古代ギリシア神話:現実世界での名前の元ネタは、古代ギリシア神話の復讐の三女神エリーニュエスの単数形エリーニュス(Ἐρινύς、Erīnys)と思われる。恐るべき異形の怪物であると同時に、尊属殺人者を裁く正義の女神としての側面も持ち、エウメニデス=「慈悲深き者たち」の尊称で呼ばれる。
    通称「湖光のエリニュス」:「円卓の騎士」最強とされるランスロットの異名「湖の騎士」が元ネタであろう。原典の「湖」ではなく「湖光」という表現になったのは、『Fate』シリーズに登場するランスロットの宝具「無毀なる湖光(アロンダイト)」の影響もあるかもしれない。
    オートクレール:Hauteclaireはフランス語で「いとも清き」という意味。中世フランス伝説の聖騎士パラディンの次席オリヴィエの愛剣。ただし、湖の貴婦人から授けられた逸話や、湖に返すシーンは、イギリス伝説のアーサー王の聖剣エクスカリバーを思わせる。
    『エリニュスの歌』:英語版ではLa Chanson d'Erinnyes。中世フランス伝説の大英雄で、聖騎士パラディンの筆頭であるローランが主人公の武勲詩『ローランの歌』(La Chanson de Roland)が元ネタであろう。
    アルモリカ島:アルモリカは古代ガリアの一地方の名前で、現在のフランスのブルターニュ地方を含む。聖騎士の筆頭ローランのモデルとされる武将フルオドランドゥスはブルターニュ辺境伯だった。また、グレートブリテン島のブリトン人が移住していた時期もあり、ブリトン人の英雄であるアーサー王周りの古伝説(「ブルターニュもの」と呼ばれる)とも縁が深い地域。
ダエイラ
騎士団長エリニュスに聖剣オートクレールを授けた神秘的な女性。「湖畔の少女」「純水の貴婦人」とも。
明言はされていないが、名前の元ネタ的に正体は純水精霊である可能性が高い。
  • 名前について
    古代ギリシア神話の女神ダエイラ(Δάειρα、Daeira)が元ネタか。宗教都市エレウシス(現在のギリシアのエレフシナ)の建国者であるエレウシスの母とされる。
    一説に父は大洋神オーケアノスとされるが、その場合、(多くの純水精霊の名前の元ネタである)海の妖精オーケアニスたちとは姉妹となる。
  • モデルについて
    ストーリー的なモチーフとしては、アーサー王に聖剣エクスカリバーを授けたとされる女妖精「湖の貴婦人」(名前はヴィヴィアンともニミュエとも)が元ネタと思われる。
レナウのオージハン
『エリニュスの歌』に登場する騎士だが、厳密には純水騎士かどうか不明。
エリニュスがレムス王に反旗を翻す以前、毒を吐く悪龍(毒龍スキュラ?)と戦ったことがあるという。
  • 元ネタについて
    英語版はOtkerus of Rhenanie。
    Okterusは8世紀フランク王国の貴族Autcharの異表記で、中世フランス伝説の聖騎士パラディンの一人「オジェ・ル・ダノワ」と、デンマーク伝説の英雄「ホルガー・ダンスク」のモデルとなった人物。ちなみにトランプのスペードのジャックは、オジェ・ル・ダノワを描いたものである。
    Rhénanie(レナニ)は、ドイツ西部のラインラントのフランス語での呼び名。
ジェローヌのギヨーム
『エリニュスの歌』に登場する純水騎士の一人で、「ナルボンヌ」という聖剣を持っていたという。
アルモリカ島の臣従を求めたレムスの使者に激怒して剣を抜くが、冷静なエリニュスに静止された。
おそらくフォンテーヌ廷の「ナルボンヌエリア」は彼の功績を記念して名付けられた地区であろう。
  • 元ネタについて
    元ネタは、フランスの第2代トゥールーズ公ギヨーム・ド・ジェローヌ(在位:790年 - 811年)。カトリックの聖人。
    カール大帝(シャルルマーニュ)の従兄弟であり、イスラーム勢力に勝利したことから、中世フランスの武勲詩で英雄として登場する。
    聖剣ナルボンヌは、武勲詩でギヨームの父とされる貴族エメリー・ド・ナルボンヌが元ネタ(ただし史実としてはギヨームより300年も後の人物で全く関係がない)。
ドゥレスト
『エリニュスの歌』に登場する純水騎士の一人。リヨンの王子で、弓を得意とする。
妻アドシルティアと共に、レムス王に対する反乱をエリニュスに促した。
フォンテーヌ廷の「リヨンエリア」は彼の功績を記念して命名された地区と思われるが、あるいはもともとその辺りがリヨン王国があった土地の可能性もある。
  • 元ネタについて
    英語版はDrest。円卓の騎士トリスタンのモデルとされる、ピクト人の半伝説的な王ドレスト(Drest)が元ネタであろう。
    「リヨンの王子」は、トリスタンがイギリスのコーンウォール地方にあったという伝説的な小国リヨネスの王子だったとされることから。
アドシルティア
騎士ドゥレストの妻で、その名は「氷の娘」の意。また、「蒼帆の貴婦人」の異名を持つ。
夫と共に、レムス王に対する反乱をエリニュスに促した。
  • 元ネタについて
    英語版はAdsiltia。アーサー王伝説に登場する女性イズールト(イソウド、イゾルデとも)が元ネタ。コーンウォール王マークの妃で、円卓の騎士トリスタンの恋人。
    イズールトの名前の由来は、ブリトン語adsiltia(「仰ぎ見られる女性」)から来ているという説と、古高地ドイツ語īs-hiltja(「氷の戦」)から来ているという説があり、その二つの語源説を組み合わせたもの。
テュルパン
『エリニュスの歌』に登場する純水騎士。
  • 元ネタについて
    中世フランスの武勲詩に登場する聖騎士パラディンの一人。大司教なのに騎士という異色の人物。8世紀フランスのランス大司教ティルピヌスがモデルとされる。
ナイメス
『エリニュスの歌』に登場する純水騎士。
  • 元ネタについて
    英語版はNaimes。中世フランスの武勲詩に登場する、ネームという人物が元ネタ。シャルルマーニュ(カール大帝)に仕えた賢臣とされ、物語によっては聖騎士パラディンの一人になっていることもある。
フィエラブラ
『エリニュスの歌』に登場する純水騎士。
  • 元ネタについて
    中世フランスの武勲詩に登場するイスラム教徒の巨人だが、後にキリスト教に改宗してシャルルマーニュ配下である聖騎士パラディンの一人となる。
ブランカンドリン
『エリニュスの歌』に登場する純水騎士。マルセイユの同胞。
  • 元ネタについて
    『ローランの歌』に登場するサラセン人の武将ブランカンドランが由来であろう。元ネタでは聖騎士パラディンたちの宿敵側である。
マルセイユ
『エリニュスの歌』に登場する純水騎士。ブランカンドリンの同胞。
  • 元ネタについて
    英語版はMarsileで、『ローランの歌』に登場するサラセン人の王マルシルから。猛将ブランカンドランの主君であり、パラディンたちとは敵対関係。
アグリカーネ
『エリニュスの歌』に登場する純水騎士。
  • 元ネタについて
    アグリカンは、フランス伝説の大英雄ローラン(イタリア語ではオルランド)を主人公とするイタリアの叙事詩『恋するオルランド』の登場人物。モンゴル王にしてタタール皇帝。元ネタでは敵役で、オルランドに敗れ討死。

カーンルイア滅亡・大災害時代(500年前~数百年前)出身

エリナス
かつてフォンテーヌに現れた巨獣。
現在は死亡し、巨大な骨格がベリル地区を形成している。
冷たく寂しい黒い宇宙を漂っていたところを「ママ」によって体と名前を与えられて誕生したという。誕生場所は地下で、大勢の兄弟姉妹がいたようだ。
地下を離れて地上に出た時、生命や世界に触れて感動と幸福を覚えたが、自身の血は地上の生物には猛毒で、楽しくて面白いと思うことは地上の生物にとって恐怖でしかない事に気付く。
それに気付いた時には既に何もかも手遅れだったが、それ以上他者を不幸にすることを望まずに落命した。
エリナスの死体から流れる血はそのままフォンテーヌの水質を異常に汚染させ、純水精霊が数多く住んでいたフォンテーヌで純水精霊が絶滅し、代わりに濁水幻霊という異形の水元素生命体が誕生した。
エリナスが死亡して骨だけになっても精神は残っており、訪れたジェイコブが自身の血に触れても毒に侵されなかったことを喜び、彼に親しみを覚えた。
また体内で発生した戦闘の余波でメリュジーヌが誕生すると、そのことを喜んで親として彼女らに接した。
  • おそらくはドゥリンと同様にレインドットが生み出した存在。
    無垢な子供のような無邪気さ、暗い宇宙を漂っていたところを「母親」の手で現界させられた誕生、未だに機能を失っていない心臓、猛毒の血液やアビスとの関連性など、共通点は多い。
    しかし大きさは桁違いで、エリナスは頭骨だけでもドゥリンのそれの2倍以上はあり、ドゥリンの骨はドラゴンスパインの一部のみに残るのに対し、エリナスの骨はベリル地区全域に存在する。
    エリナスが現れる以前はクレメンタイン線の西側には陸地は無かったそうなので、ベリル地区はそれ自体がエリナスの亡骸によって構成されているのだろう。
  • 名前について
    エリナス(Elynas)は、1390年代にフランスのジャン・ダラスが著した『メリュジーヌ物語またはいとも高貴なるリュジニャン家の物語』に登場する人物。
    アルバ(スコットランドの古称)の王で、彼と妖精との間に生まれたのがメリュジーヌら三姉妹であるという。

  • ブリーチャープリムス
    ベリル地区北側のエリナスの骨が目立つ地域に生息する、謎多き異界の生物……と、人間社会では思われているが
    その正体はエリナスの遺骸から分離した体細胞。独立した生物といえるかは怪しい。
    本体たるエリナスの意を受け、メリュジーヌを外敵から守る番人としてベリル地区を徘徊している。
    しかし、如何せんただの体細胞なので情報処理能力(ありていに言えば知能)が低く、メリュジーヌ以外の生物全てを外敵と判断して襲い掛かっている。
    それは旅人など、エリナス自身と直接コンタクトをとりメリュジーヌの味方であると認識された存在であっても例外ではない。
    必要があればエリナスが直接制御を行うことも可能なようで、旅人とジェイコブの戦闘において旅人が結界に閉じ込められた際、エリナスに直接操られた個体が結界を攻撃、解除して旅人を助けている。
    独特な美的感覚を持つメリュジーヌからは「かわいい」と思われている。

水仙十字院

かつてフォンテーヌに存在した孤児や犯罪者子息を養うための孤児院のような公共の福祉施設。
アラン、マリアン、ジェイコブ、ルネ、カーターはここの出身である。
院長は純水精霊、副院長は人間のバザルが務めていたことから、現代フォンテーヌよりも純水精霊と人間の関係がより親密だったことが窺える。
カーンルイアを巡る500年前の災厄によって住んでいた孤児や職員の多くが犠牲となり、水仙十字院は事実上崩壊して廃墟となった。

リリス
水仙十字院院長を務める純水精霊。先代水神エゲリアの眷属。
知能が低く、物事の前後関係を理解することが苦手で数も数えられなかった。そのため、彼女は水仙十字院に派遣されエゲリアの慈愛を象徴する役目を担った。無論事務処理能力なんてものは持ち合わせていないため、実務はほとんど副院長のバザルに任せていたようだ。
500年前の災厄によって水仙十字院が崩壊した時、彼女の低い知能では何が起きているのかを理解できず自責の念を抱きながら廃墟を彷徨っていたところをルネに発見され、水仙十字結社に加入し彼らの研究に協力する。
その後エリナス内部でマレショーセ・ファントムと水仙十字結社が衝突した際に、瀕死のマリアンと再会。何が起きているのかを終ぞ理解できなかった彼女は、マリアンの意思を原始胎海に溶かして自身と融合し「マリアン」となる。
楽しかった過去の水仙十字院時代の夢に自身を閉じ込め、そこで500年の時を過ごし現在に至る。
  • 名前について
    英語版ではLyrisとなっており、古代ギリシア神話の海の女妖精オーケアニスたちの一人、リュリスが元ネタと思われる。
    リュリスはヒュギーヌスの『神話集』という比較的マイナーな書籍が出典であり、古代ギリシア文学を代表するヘーシオドス『神統記』に由来する他の純水精霊の元ネタと比べて知名度的に劣る。
    作中で他の名有りの純水精霊と比べ知能が低いとされているのは、それを反映しているのかもしれない。
バザル・エルトン
フォンテーヌ海軍司令官であり、退役後に水仙十字院副院長を務めることとなる女性。彼女自身も水仙十字院出身者。
お菓子作りが趣味だが、カーターが水仙十字院にいた頃は「180度で15分焼くところを540度で5分焼く」ほどの料理下手で罰ゲーム扱いされていた。
しかし時を経てアランやルネらが水仙十字院に入った頃にはかなり腕前が上達したようで、子供たちには大好評だったらしい。
その後巨獣エリナスとの戦いのために軍に原隊復帰。「必ず帰ってくる」と綺麗に死亡フラグを立て子供たちに告げた後、旗艦スポンジアン号に座乗し麾下の艦隊と共に出撃。しかしエリナスからの攻撃によってスポンジアン号は半分に食い千切られ、彼女は子供たちの未来に思いを馳せながら艦と運命を共にした。
ゲーム内でもスポンジアン号の船体は、半分がエリナス体内に、もう半分が浜辺に漂着している。また設定上ではバザル・エルトン記念博物館がフォンテーヌに存在する模様。
  • 名前について
    名前の元ネタは、クトゥルフ神話体系の創始者であるアメリカの作家ラヴクラフトの小説『白い帆船』の主人公バザル・エルトン(Basil Elton)。
    甲鉄艦スポンジアンの色は純白だったとされるが、これも同小説へのオマージュと思われる。
エマニュエル・ギヨタン(ギヨタンおじさん)
「『ポワソンの包囲』関係者」の項を参照。
カール・インゴルド
「『ポワソンの包囲』関係者」の項を参照。
ドワイト・ラスク
「自然哲学学院」の項を参照。

自然哲学学院

かつてフォンテーヌに存在した研究機関。
自然哲学の名を冠しているものの、研究学問はエネルギー工学からアビスに関する研究まで様々ある。
アラン、マリアン、ジェイコブ、ルネ、リリス、カーターは水仙十字院を出た後ここに在籍することになるが、後にジェイコブとルネがアランたちと決別し独立する。
ルネ曰く、研究助手のカーターや学院全体のレベルは低いらしい。後に研究所の再編に伴い閉鎖される。

アラン・ギヨタン
マリアン・ギヨタンの兄。ジェイコブ、ルネとは同世代の幼馴染。
フォンテーヌ運動エネルギー工学科学研究院(通称「科学院」)の創設者であり、「奇械公」と呼ばれた天才エンジニア。
プネウムシア対消滅エネルギーの発明者であり、クロックワークマシナリーの生みの親。
自然哲学学院に入ったとき「神童」「体に全然合っていない白衣を着て」いたことから、少年時代から既に天才の域に入っていたと思われる。
数々の実績を挙げたものの、幼馴染であるルネやジェイコブとは確執と対立が起き、学院閉鎖と前後してファントムハンターに引き抜かれ、妹と共にマレショーセ・ファントムに移籍。その後に科学院を創設した。
科学院の職を辞した後は、ひとり工房に籠って誰とも会わず、何をしていたかもわからないまま没する。
天才と称されたエンジニアであったが、孤児として水仙十字院に送られ、仲の良い友人たちや血を分けた妹に先立たれ、幼馴染とは敵対し、後半生は孤独の中で生きていたなどかなり不幸な人生を送っていた。
聖遺物「水仙の夢」によれば、「ある者は精密な仕掛けと鋼の体を頼りに進む道を探している」らしく、水仙十字院のメンバーで機械に通じていた事が語られるのは彼のみであるため、これはアランを指す可能性がある。その場合、彼はまだ何らかの手段で生存しているという可能性が浮上するが……。
  • 元ネタについて
    アラン(英語版はAlain)という名前はヨーロッパでありふれた名前だが、機械や人工知能技術の研究者であることを考えると、モデルは20世紀イギリスの天才数学者アラン・チューリング(Alan Turing)と思われる(AlainはAlanのフランス語での綴り)。
    コンピュータの数学的基礎を築いた偉人であり、現代の情報社会は彼の業績に基づくものといっても過言ではない。人工知能の思考実験「チューリング・テスト」でも有名。
    部下がカーター・シェルビウスなのは、チューリングが破ったナチス・ドイツの暗号機「エニグマ」の開発者がアルトゥール・シェルビウスだったのが元ネタであろう。
    作中で後世の科学院にアラン・ギヨタンの名が付けられているのは、チューリングの名に因む計算機科学賞「チューリング賞」がおそらく元ネタ。他の科学分野のノーベル賞や数学のフィールズ賞と同格の賞とされている。
  • 姓について
    姓の「ギヨタン」の元ネタは先進的断頭装置(いわゆるギロチン)をフランスの議会に提案した内科医・政治家のジョゼフ・ギヨタンと(「ギロチン」という言葉の由来)、実際の設計を担当した外科医・エンジニアのアントワーヌ・ルイであろう。
    ギヨタン自身は死刑廃止派で、廃止までの現実的な人道的処刑方法としてギロチンを提案したのだが、何の因果か自身の名が処刑器具の名として残ることになってしまった。
マリアン・ギヨタン
アラン・ギヨタンの妹。アランにも負けないほどの知識を持つ。
アラン、ルネ、ジェイコブ、マリアンの幼馴染組の中で一番年少であるが、お姉さんぶっている。
後にマレショーセ・ファントムのエージェントとなる(表向きには在籍していない)。
その後、エリナスの体内にてジェイコブと再会し、交戦。爆発に巻き込まれ、公的には死亡扱いとなる。彼女の名を冠した広場が科学院の一角に設けられている。
実際には瀕死の重症を負ったところで元水仙十字院院長のリリスと再会し、意思を溶かされて彼女と融合し、以降「マリアン」として数百年間にわたる水仙十字院の夢を見ることとなる。
  • 名前について
    英語版ではMary-Ann。これ自体はそれほど珍しくない名前だが、科学者つながりだとフランス革命期の女性の化学者マリー=アンヌ・ピエレット・ポールズ(Marie-Anne Pierrette Paulze)が元ネタか。
    マリー=アンヌの最初の夫は「近代化学の父」アントワーヌ・ラヴォアジエであり、革命で処刑された前夫の成果を『化学論集』としてまとめて出版。サロンを開催して科学の振興に努めた。
カーター・シェルビウス
自然哲学学院におけるアランたちの先輩であり、アランの研究助手。水仙十字院出身。
マシナリーの説明文(後述)なども合わせると、同僚の助手から「シェルビウス」の姓で呼ばれている助手と同一人物と思われる。
才能や知識はアランやマリアンよりも劣っていたが人付き合いがよく、面倒見もよかった。そのため人望はかなり篤かったらしく、死の病に臥したとき何度もアランたちのお見舞いを受けている。
自律型写真機に関するアイディアをアランに披露し、後にそれが「セイモア」の発明に繋がる。
長い昏睡状態を繰り返すなど、かなり病状が重くなっていた頃にルネから人体実験の申し入れがありそれを受け入れたものの失敗。肉体が崩壊と再生を無限に繰り返すようになってしまう。崩壊した肉体は、ルネの研究室に封印されている(自然哲学学院にて封印されていた研究室にある黒泥がそれだと思われる)。
経緯や中国語版の名前などを見る限り、カーターの精神の方はヒルチャール・レンジャーの肉体に移されてキャタピラーになったと思われる(キャタピラーの項を参照)。
なお、制圧特化型マシナリーは説明文によれば「シェルビウス式」に基づくマシナリーであり、同型機の殲滅特化型マシナリーの説明ではアランが友人の名に従って付けた、と語られているので、死後(厳密には肉体も精神も消滅していないが)もアランからは友人として追慕されていたようだ。
  • 名前について
    元ネタは、ドイツの発明家・暗号学者アルトゥール・シェルビウス(Arthur Scherbius)か。
    暗号学の祖の一人であり、ナチス・ドイツが誇った暗号機「エニグマ」の開発者であるが、そのシステムはイギリスの天才数学者アラン・チューリングらによって解かれて筒抜けになってしまった。
    カーターや、その生まれ変わりと思われるキャタピラーが、一般人と比べれば非常な秀才ではあるが、アランやルネといった天才の中の天才には及ばないのはそれが元ネタであろう。
ドワイト・ラスク
アランが在籍していた時期の自然哲学学院の幹部。正確な役職は不明だが、関わっている事案の多彩さ、重要性*13から学院長やそれに匹敵する上位ポストだったと思われる。
水仙十字院出身で、バザル・エルトン、エマニュエル・ギヨタン、カール・インゴルドと同じ世代。エマニュエルと一緒にバザルの墓参りに行くなどしている。

十字鈴蘭学会/水仙十字結社

ルネが創立した秘密結社。自然哲学学院を隠れ蓑にしていたが、学院解散後はイプシシマスの塔(現在のゲシュタル塔)に本部を置いていた。
当局から目を付けられるほどには危うい研究を行っていたと思われ、後にヌヴィレットやアラン・ギヨタンから通告を受けている。セイモアは「結社の計画は必ず挫かなければならない」と言っている。
自然哲学学院の図書室(?)の中にある本から結社に繋がる。結社の天井には巨大な「終末時計」があり、旅人が水仙十字の物語を進めるたびに時計の針が動く演出がある。
この終末時計の針が0時を指したとき、世界は終末を迎えるとされる。
創立者や初期メンバーが研究者ということもあって結社の技術力は高いものの、思想もかなり独特でありテイワットのシステムを否定的に見ているものが多い。「神の目」については「己を世界の『運命(ヘイマルメネー)』に売り渡す行為」であると否定的に捉え、魔神任務にもたびたび登場するものの一般には周知されていない「降臨」についても言及している。
結社の正会員はフォンテーヌ人がほとんどと思われるが稲妻やナタ出身の正会員もおり、商人、踊り子、古代レムリア文明の著名な歴史学者、結社での研究内容を自身の娯楽小説執筆活動に活かす小説家など身分や職歴も多様である。
「階位」と呼ばれる独自の表彰があり、内容から推察するに第一階位が一番下で第二、第三と序列が上がっていくものと思われる。
作中現代における一般人の間では「鈴蘭十字結社」など、「水仙」が「鈴蘭」に置き換わった状態でその存在が伝わっている。長い年月で伝承が歪んだのか、フォンテーヌ廷が意図的に秘匿したのかは不明。

  • 元ネタについて
    17世紀初頭に宣言書が発表されたドイツの神秘結社「薔薇十字団」(Rosenkreuzer、ローゼンクロイツァー)が元ネタ。
    19世紀末のイギリスの魔術結社「黄金の夜明け団」や、20世紀最大の黒魔術師アレイスター・クロウリーなど数多くのオカルト系団体・著名人がこの組織の後継者を自称した。
    『原神』で魔神の名前に「ゴエティア」の大悪魔の名前が使われているのも、この辺の集団が作り出した文化からの影響を受けている。
ルネ・インゴルド(ルネ・ド・ペトリコール)
一連の水仙十字院ストーリーの過去時間軸における最大のキーパーソン。
世界の滅亡を予言する「世界式」の導出に成功した研究者。世界式の研究の結果、テイワット文明の滅亡を回避できないと知った彼は人類の火種を残す方向に舵を切ることになる。
スメールの甘露花海にジェイコブ、カールと共に調査に行き、アビスの力である「深淵の力」、それに対抗する「霊光の力」、地脈から得られる元素力を精錬した「アゾス物質」、滅亡したカーンルイア文明の遺物などを発見している。
先述の通り、ジェイコブが死に瀕した際に彼にやむを得ず深淵の力を与えた際、彼がアビスの体を手に入れて不死の肉体を手に入れたため、ここに滅亡回避の希望を見出したことが彼らの人生の最初の分岐点となる。
その後アランの推薦によって(研究資源の不足から研究資源のおこぼれを狙う意図はあったものの)ジェイコブと共に自然哲学学院に入り、アランの研究助手となる。
そこで集めた人材と資源を利用し、自然哲学学院を隠れ蓑とした秘密結社「十字鈴蘭学会(水仙十字結社)」を設立する。
カーターに対しては当初「能力が低い」と評していたが、学院で孤立していたルネやジェイコブの面倒をよく見ていたためか徐々に関係が良好なものとなる。
その後死に瀕したカーターに対して、(彼に事情を説明し承諾した上で)ジェイコブと同じく深淵の力をカーターの肉体に注入して彼の病気を治そうと試みる。
しかしその試みは失敗し、カーターの肉体は崩壊することになる。崩壊する肉体の逆転を試みたがうまくいかず、肉体を保存することしかできなかった。恐らく自然哲学学院に残された黒泥はこの時のカーターの崩壊した肉体と思われる。
後に理由は不明だが、ジェイコブと共にアランと決別。
ジェイコブと共に、かつて幼馴染とフィールドワーク(ピクニック)に行った際に立ち寄ったペトリコールの遺跡にて原初の水こと「原始胎海」を発見する。その地で、かつての水仙十字院の院長である純水精霊と再会した彼は、原始胎海の理解を深め、その本質に迫る。
原始胎海の研究を続けた彼は、原始胎海こそが世界滅亡回避に重要な存在だと確信。そして自身の身体を原始胎海に投じることになる。その後の動向は下記のナルツィッセンクロイツを参照。
  • 元ネタについて
    「ルネ」という名前の元ネタは、フランス史上最大の数学者・哲学者ルネ・デカルト(René Descartes)であろう。
    数学者としては解析幾何学の祖であり「デカルト座標系」に名を残す。また、哲学者としては大陸合理主義の創始者であり、近世哲学の祖の一人とされる。「我思う、故に我あり」の格言であまりにも有名。
    好奇心旺盛なルネ・デカルトは、青年時代にドイツの神秘結社である薔薇十字団への加入方法を聞き回っていたことが確認されており、本作品でルネが水仙十字結社の創設者となっているのはそれが元ネタと思われる。
    余談だが、フランス語の人名ルネは、ラテン語のレナートゥス(renātus)=「再生」(宗教的には、洗礼でキリスト教徒としての命を新たに得るという意味)が語源であり、ナルツィッセンクロイツとして再生したルネに相応しい名前。
  • 姓について
    実父の姓の「ペトリコール」は、乾いた土壌に雨が降った後に立ち昇る香りのこと。古代ギリシア語で「石のイーコール(神血)」という意味。1964年に作られた造語なので、人名ではない。
    作中設定としては、イーコールから魔像を作り出していたレムリア帝国や、グザヴィエの故郷である同名の町でレムリアの遺跡があった地名との関連が察せられるが、詳細は不明。
    父のルノー・ド・ペトリコールはポワソン町長を務めていた名士だったので、帝国時代から続く名門の家柄だった(あるいはペトリコール町の統治者の末裔だった)可能性なども考えられるが……。
ナルツィッセンクロイツ
キャタピラーの「ご主人様」。正体はルネ…ではなく
原始胎海の水に溶けたルネの意識の一部をジェイコブが見つけ出し、剣やアランの懐中時計、カーターの肉体の一部を利用して固定化した存在。*14
水仙十字結社のあった、今はゲシュタル塔と呼ばれる場所の最下層で来るべき日を待ち続けていたが、旅人に武力を併用した説得を受けその計画は潰えることとなる。
その後大幅な弱体化を受けて通常より紫色の濃い濁水幻霊の姿となるも、アンと「マリアン」を再会させるために力を貸すが、限界が来たようで休眠する。
  • 元ネタについて
    名前は15世紀に神秘結社の薔薇十字団(ローゼンクロイツァー)を創設したとされるドイツの伝説的な大錬金術師クリスチャン・ローゼンクロイツ(Christian Rosenkreuz)が元ネタ。
    実際は17世紀ドイツの聖職者ヨハン・ヴァレンティン・アンドレーエらが創作した人物と思われる。
    ナルツィッセン(Narzissen)は、ドイツ語でスイセン(水仙)を意味するナルツィッセ(Narzisse)の複数形。
ジェイコブ・インゴルド(ジェイコブ・ベイカー)
ルネとは水仙十字院に入る前からの仲。記者をしていたカール・インゴルドの義息でエドワルド・ベイカーの実子。
スメールの甘露花海に調査に行った帰りに死に瀕した際、ルネによってやむを得ず注入された深淵(アビス)の力で生き永らえ、不死に近い力を得る。
兄貴分のルネを失った後も、ルネの世界式や原始胎海の研究、水仙十字結社の運営を引き継いでいたらしく、ジェイコブによる原始胎海の研究結果をヴァシェが参考にしているシーンがある。
その後、エリナスの体内においてマリアンと対峙。戦闘の後に爆発が起き消息不明となっていたが、とある世界任務で旅人の前に現れ、生存していたことが判明する。
  • 名前について
    クリストファー・ケルク・インゴールド(Christopher Kelk Ingold)は20世紀イギリスの化学者。イギリスの科学者・数学者にとって最高の栄誉とされる王立協会フェローとなっている。
    また、インゴールドはスウェーデン語の人名のインゲ(Inge)の英語読みでもあり、さらに遡ると北欧神話の神ユングヴィ(Yngvi)=フレイに由来する。
    フレイ神の領地の一つは妖精アールヴ(英語のエルフ)の国アールヴハイムだったとされており、神秘学の秘密結社の幹部に相応しい名前。
サー・エリファス
「光カプラ」の特許を持つ設計者にして、水仙十字結社の資金提供者及び愛好家。
ジェイコブによって意思を原始胎海に溶かす実験サンプルにされる。ゲーム内ではイプシシマスの塔があった場所の上空で濁水幻霊として登場し、倒すとアチーブメントを獲得する。
セナイダ
結社の会員。ルネ・インゴルドが原始胎海に溶けて失踪した後、彼の安否が不安で占いをしたところ芳しくない結果が出た。
ジェイコブに問い質すもはぐらかされたセナイダは、彼女を支持する会員を引き連れて結社を脱退してしまう……のだが、後に結社に残った彼女の親友がセナイダの位置を占ったところ、なぜかイプシマスの塔から動いていないことが判明する。恐らくジェイコブによって実験サンプルにされ、原始胎海に意思を溶かされたものだと思われる。

「ポワソンの包囲」関係者

  • ポワソンの包囲
    サーンドル河の整備事業に抗議し逮捕されたエドワルド・ベイカーが脱走後、モン・オトンヌキの盗賊と結託してポワソン町を占領、護送担当の執律庭職員を人質にとって様々な要求を行った、という事件への対応としてフォンテーヌ廷が行った作戦。
    ルネ、ジェイコブの年齢から見てエリナス出現のほんの数年前の事件と思われる。
    なお、エドワルドの活動について、「サーンドルの渡し守」のテキストにて上記の通りポワソン町が占領されたとなっているが、カール・インゴルドが撮影した集合写真の状況*15から見てポワソン町の指導部自体がエドワルドに同調していたと思われ、実態としてはサーンドル河・ポワソン町合同での(荒っぽいやり方の)抗議活動であったと思われる。
    詳細な流れはVer4.3時点の情報では不明だが、当時記者だったカール・インゴルドがフォンテーヌ廷の交渉役に志願して交渉を続けていたものの、最終的にはファントムハンターが介入し、フォンテーヌ海軍が投入されて艦砲射撃により町ごと破壊するという超強硬策による決着となった。

    これによりエドワルドやポワソン町長のルノー・ド・ペトリコールが死去、2人の息子であるジェイコブとルネが水仙十字院に預けられる原因となる。
    また、反政府勢力の拠点とはいえ、自国民に向けて艦砲射撃を行うという無茶苦茶な行いには攻撃側さえも精神的なショックを受けており、指揮を行った張本人のはずのエマニュエル・ギヨタンすら顔を負傷して退役しただけでなく心を病んで酒浸りになり、後のエリナス討伐戦で数年ぶりに戦艦に乗った元海軍司令官のバザル・エルトンは乗組員に対し「今度こそ敵に向かって発砲できそうだな」とささやいている。
    バザル自身はこの「ポワソンの包囲」に関わっていないと思われる*16が、海軍内でも過去の汚点と認識されていたことがうかがえる。

エマニュエル・ギヨタン
後のアランとマリアンの養父。ポワソンの包囲当時のマレショーセ・ファントムに所属するファントムハンターで包囲を指揮した。
水仙十字院出身でバザル・エルトン、カール・インゴルド、ドワイト・ラスクと同じ時期にいた。
包囲時に顔を負傷、喋ることができなくなり退役。常にマスクをかぶって生活するようになる。
また、指揮した張本人とはいえ艦砲射撃で多くの悲劇を巻き起こした罪悪感から酒浸りになり悪夢に苛まれるようになる。
かなりの人嫌いで水仙十字院の旧友以外とほとんど交流を持っていなかったようだが、エリナス出現に伴いバザルが海軍に復帰することになり、その頼みでアランとマリアンの養父となる。
エドワルド・ベイカー
サーンドル河における最初期のギャングにおいてリーダー格であった人物。「サーンドルの渡し守」の元々の持ち主でジェイコブ・インゴルドの実父。
フォンテーヌ廷によるサーンドル河に対する強引な整備事業に反発し抵抗活動を行っていたが逮捕され、砂漠(スメール?)への追放刑が言い渡される。
護送中に仲間に助けられ脱走、モン・オトンヌキの盗賊やポワソン町の上層部と協力して抵抗活動を続行していた。
ポワソンの包囲により死亡。
ジェイコブ・ベイカー(ジェイコブ・インゴルド)
十字鈴蘭学会/水仙十字結社の項を参照。
ルノー・ド・ペトリコール
包囲発生時のポワソン町の町長。ルネ・インゴルドの実父。
エゲリアからフォンテーヌ初の「公爵」という爵位を授かった名家、ド・ペトリコール家の最後の当主でもある。
ド・ペトリコール家はその名の通り長年ペトリコールの地を治めていたが、ルノーは派遣される形でポワソン町の町長となっていた。
集合写真の様子から、エドワルドとは比較的友好的な関係であったと思われる。
エドワルドと同様にポワソンの包囲で妻と共に死亡。
ルネ・ド・ペトリコール(ルネ・インゴルド)
十字鈴蘭学会/水仙十字結社の項を参照。
カール・インゴルド
後のルネとジェイコブの養父。ポワソンの包囲当時にフォンテーヌ廷で記者をしていたが包囲以後のある時期に記者の職を辞し、探検家となる。
水仙十字院出身で、エマニュエル、バザル、ドワイトと同じ時期に院にいた。
記者時代にはフォンテーヌ廷とポワソン町の間を取り持つべく奔走しており、包囲の際も志願して交渉役を担っていたが、カールがポワソン町にいるときに艦砲射撃が行われ、その努力は水泡に帰した。
カール自身はパルジファルによって匿われたため生存するが、その後記者をやめ探検家となった。
パルジファルの決闘裁判が行われていた際はすでに探検家として旅に出ており、その場を見ることはできなかった。
ルネの研究メモではルネやジェイコブと体質が異なることが繰り返し示唆されており、純粋なフォンテーヌ人ではなかった(原始胎海の水に溶けない)可能性がある。
記者の仕事から写真機の扱いに慣れているため人から撮影を頼まれることがあり、ゲーム内で実物を入手できる水仙十字院の子供たちの集合写真や、「サーンドルの渡し守」テキストに登場するポワソン町勢力の集合写真はカールが撮影したもの。
レティシア・ランドルフ*17(ローザ・リード)
サーンドル河のギャングの一員でトンプソンの妻。「裁断」の元々の持ち主。
貴族ランドルフ家の長女だが、若者らしい好奇心のままに変装してサーンドル河に赴き、そこで会ったリードという人物*18の導きでギャングとして生きることになる。
ポワソンの包囲の時点で夫との間に子供がおり、包囲を生き延びた後は実家に戻るが、「裁断」のテキストの内容からすると思い直しギャングの道に戻った模様。
余談だが、後の時代にあたる水仙十字結社のメンバーに「グリフィン・L・ランドルフ卿」という人物がいる。父親などレティシアの親族と思われるが詳細は不明。
偽名について

裁断の日本語テキストではレティシアが名乗った偽名は「ローズ」ということになっており食い違うように見えるが、これは翻訳時のブレと思われる。
同じ個所は中国語では「彼女はすでに偽名として玫瑰(メイグイ)を使っていた」という意味になる。玫瑰というのはバラ科バラ属のハマナスのことであるが、この文においてはバラ類一般を広く指す言葉として使われていると思われる。
そしてこの玫瑰がヨーロッパ式の名前として何になるか、裁断の各国語テキストからは読み取れない。日本語では「ローズ」とされているがスペイン語では「ローザ」であり、英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語では「薔薇の名前(薔薇から取った名前)を名乗った」と普通名詞になっている。
レティシアがギャング生活になじんだこと、彼女を導いたのはリード(Reed)という人物であったこと、艦砲射撃の記憶があり「ポワソンの包囲」の関係者であることからレティシアとローザ・リードが同一人物であると考えるのが自然と思われる。

トンプソン・リード
ローザことレティシアの夫でサーンドル河のギャング。レティシアとは彼女がサーンドル河に赴くより以前からの知り合いだった。
エドワルドとの関係が部下なのか、対等の同志なのかは不明。
また、ポワソンの包囲を生き延びたかどうかも不明。
  • 名前について
    ギャングでトンプソンといえば、禁酒法時代のギャングが使ったトンプソン短機関銃が有名。
    ギャング映画にたびたび登場するギャングの代名詞ともいえる銃である。
大魔術師「パルジファル」&ジョセフィーヌ
フォンテーヌ廷で大人気だったマジシャンとその助手。2人とも女性。
「パルジファル」は劇作家コペリウスが作った喜劇の主人公*19から取った芸名であり、助手のジョセフィーヌの名前も芸名である。
もともとはグロリア劇場*20を「仕事場」にする泥棒姉妹であり、劇場で見た上記の喜劇に魅せられて何らかの形で舞台に立つことを目指すようになる。俳優ではなくマジシャンなのは技術的に自分たちに向いていると考えたため。
最初はサーンドル河にあるエドワルド経営の酒場から、次第にフォンテーヌ廷も含む大きな舞台へと移り、とうとうマジシャンとしてグロリア劇場に立つまでに至る。
その出自からサーンドル河の勢力との関わりが深く、ポワソンの包囲の際もポワソン町にいた。
弓「始まりの大魔術」と聖遺物「ファントムハンター」のテキストからすると、パルジファルが何らかの理由で死去したあとジョセフィーヌがパルジファルになりかわり、決闘裁判に臨んで決闘代理人マルフィサとの戦いの末に命を落としたと考えられる。
「パルジファル」死去の理由はポワソンの包囲の可能性が高そうではあるが、正確なところは不明。
トム・オールター

その他

マルフィサ
決闘代理人を務めていた女性。サーンドル河出身の槍の名手。
現代におけるクロリンデのように生ける伝説といえる存在だったらしい。
若い頃エマニュエル・ギヨタンと戦ったことがあるが、その時は腕を刺され敗北してしまった。
コペリウス
マスター・コペリウスとも呼ばれる、フォンテーヌ史上最も偉大と称される劇作家。現代のペトリコール町に住むゴルドーニは子孫。
代表作は「黄金のヒュペルボレイア」「コッペリア」「偉大なる者の仮面」など。
エリナス等の災害が落ち着くころには亡くなっていた。
  • 名前について
    バレエ演目「コッペリア」において、自動人形コッペリアを製作した人形師「コッペリウス」が元ネタと思われる。
    コッペリウスはコッペリアを人間と遜色ない動きができるようにすることをもくろみ、近所の青年から命を抜き出そうとするが、青年の恋人の女性によって阻止される。
    「人間のように動く人形」は後世の様々な作品にインスピレーションを与えており、自動人形を扱う作品においてキャラクター名や関連する用語として「コッペリア」の名前がしばしば採用される。
ルッジェロ
ペトリコール町の初代ドージェ*21
ルノー・ド・ペトリコールの死去に伴うド・ペトリコール家の断絶によってペトリコール町は徐々に荒れ果てた漁村と化していっていたが、ルッジェロが智者のコミッティを創設し寄付などを受けたことで復興が進んだ。
元は何らかのきっかけで知り合った「黄金ハンター」*22に協力する形で色褪せた城を探索し、「何か」*23の封印を強固にする措置を行っていた。
ペトリコール町の復興活動も外部から流浪の民を定住者として招き、住民に実態と異なる伝説を広めて封印の守り人として機能させることを目的として始めたものである。

人間の時代(数百年前~現代)出身

フォンテーヌ廷

フォンテーヌの政府機関は、行政機関の「共律庭」、政府監督機関である「枢律庭」、警察隊・特巡隊を有する法執行機関「執律庭」、そして実務上の最高機関にして立法及び司法機関の「検律庭」に大別される。
共律庭は縄張り意識の強い硬直した官僚組織という側面が強調されており、労働環境はかなり劣悪。
警察隊、特巡隊は執律庭の管轄であるが、マレショーセ・ファントムは最高審判官ヌヴィレット直轄の捜査機関であり隊員は全てメリュジーヌで構成される。

  • 名前について
    フォンテーヌ廷は、フランス・パリの衛星都市であり、ブルボン王家で最も大きい宮殿が置かれていたフォンテーヌブロー(Fontainebleau)が元ネタであろう。
    フォンテーヌブローの意味は、民間の通俗的解釈としてはfontaine belle eau=「美しき水の噴水」が語源とされており、水神の国の首都に相応しい名前である(ただし学術的にはfontaine Blitwald「ブリト(古代ゲルマン人の人名)の森の泉」が正しいとされる)。
フリーナ・ドゥ・フォンテーヌ(フォカロルス・水神)
現代における水神。ボクっ娘のオッドアイ*24
「エピクレシス歌劇場」での審判では、審議に参加することはないが、毎回欠かさず足を運んでおり、法廷の雰囲気に酔いしれているらしい(判決に口を出す権利はちゃんと持ち合わせている)。
ナヒーダ曰く「個性的」で、ヌヴィレットに至っては「ヒステリックなやつ」呼ばわり。自国民の高官から罵倒されるほどの暴君なのか、単に軽口を叩ける仲なのかが気になるところ。精霊たちの離反をみるにおそらく前者
一般市民には畏敬の念を持たれているが、そのせいか人前では虚勢やハッタリを構える事が多くヌヴィレットからは呆れられている。
演劇に自らをねじ込んだり、その場のノリで冤罪をかけたりと権力を私利私欲で振り回す姿は暴君そのものだが、
裁判の前には緊張して眠れなくなったり、冤罪であることが判明しても民を心配するのではなく「恥ずかしすぎる」と自身のプライドを気にしたりと、その素顔は虚勢を張った小心者。
神の心も体内に保持しているわけではないらしく、召使が神の心を奪いに襲撃した際は命乞いをするほど怯え、その晩は眠れず大好きなケーキすら口にしないといった有様で、召使からも神らしさは一切感じられず普通の少女にしか見えなかったと評されている。
一方で、そうした怪事件や権力の横暴を演劇のような他人事として受容するフォンテーヌ人からは、その派手さと愛らしさからマスコットとして愛されているようだ。
水神の信仰は本人というより、裁判の盛り上がり(「正義」に対する信仰心という名目)が一種の信仰とみなされているようで、審判を下す「諭示裁定カーディナル」がそれを「律償混合エネルギー」なるエネルギーに変換し、フォンテーヌ廷の機械の動力として利用されている*25
「諭示裁定カーディナル」は「水神の造物」とされているが、フリーナ本人も仕組みはあまり把握していないようで、異例の事態が起こった際にパニックに陥っていた。
また旅人の動向を知り尽くしているようで、ロマリタイムハーバーに上陸するや否や自ら公衆の面前で旅人の前に姿を表した*26
第一幕から姿を表した神は何気に初*27
決して知られてはならない真実
フリーナ・ドゥ・フォンテーヌ(フォカロルスの人性)
その正体はかつてエゲリアの眷属であり、人に憧れ、彼女の恩寵を受け人となった純水精霊の一人。「フリーナ」とはフォカロルスが望んだ、「人」として生きる願いの具現でもある。
狂気じみたヒステリックな振る舞いは、フォンテーヌの人々が望む「神らしさ」を演出するためのハッタリだった。
フォカロルスからは「神を演じきれば審判の時が訪れ予言を回避できる」としか知らされておらず、いつ終わるのかもわからない演技を続けながら来たる「審判」を待ちながらエピクレシス歌劇場に通うという毎日を500年続けてきた。
また予言に対しても手をこまねいていたわけではなく、独自に情報収集を行い自力で阻止できないか方法を模索していた。各国で功績をあげていた旅人の動向を調べさせていたのもこの一環ということだろう。
フリーナ自身は一介の人間に過ぎないが、500年間にもわたり何度も心が折れそうになりながらも予言の日まで神を演じるという役割を果たし切った。
このような芸当はとても常人にできるものではなく、他国の四神からは「人間ながら神に値する」と手放しの賞賛を受けている。

フォカロルスの死後は表向き「水神は人々を守るため力を使い果たしてしまった」ということになり、神を引退して人界へ降り、普通のフォンテーヌ人として毎日パスタを食べる貧乏生活を送っている。
もう神を演じる必要はなくなったが、「今さら長年のキャラは変えられない」と傲慢さは薄れたものの大仰な物言いなど基本的な性格はあまり変わっていない。
フォンテーヌ人も今だに様付けで呼んだりしており、人になっても以前と同様に周囲から畏敬されている。

在位時代は政治に関してはパレ・メルモニアにほぼ任せきりであったが、芸術方面には大きな関心を寄せると同時に才にも恵まれており、フリーナが舞台に上がる際は立ち席までほぼ満員だったという。
神の力も持たず、統治に関しても素人同然だった彼女が500年も疑われずに予言の日を迎えることができたのも、「神を演じる」才と演劇での名声によるものが大きいだろう。
引退後は「もう演技はしない」と決めているようだが、街には舞台上でフリーナを見られなくなることを惜しむ声も多い。
一方、成り行きで小劇団の演出監督やグザヴィエの映影の監督を務めたのちは、役者だけでなく演出家としての才も花開きつつある。

引退後の生活費などはヌヴィレットが手配している。
ギャラで貯金があると主張したり、物を買い漁ったエピソードを語ったりと、金には困ってないと自称しているが、いつも虚勢を張る彼女のことなのでどこまで真実かは怪しい。
とはいえ、フォンテーヌから援助されている為それなりの生活は出来ていると思われる。

フォカロルス(フォカロルスの神性)
真の二代目水神。その神としての精神。
先代水神エゲリアの犯した罪の贖罪として、天理によって定められたフォンテーヌ滅亡の予言を打ち破るため、先代水神から予言を託されてから長きに渡り海の底で答えを探し考え込んだ。
だが、天理の定めた予言に抗うそれは即ち天理を敵に回すこととなり、もしそうなれば予言が実現するよりも遥かに恐ろしい天地異変が起こりかねないことになる。
そのような無理難題を先代から押し付けられた彼女ではあるが、唯一の答えを見つけ出した。「天理を欺く」それこそが予言を打ち破る答えであった。
「人性」としての自らであるフリーナに不死の呪いをかけて水神を名乗る傀儡に仕立て上げた。
天理がかつてこの星の原初の時代から住まう古龍から奪い去った権能を返還するべく、当代の水の龍王であるヌヴィレットをフォンテーヌ廷に招待し、最高審判官の肩書を与えた。
無論権能の返還だけが目的ではなく、彼を人の世に馴染ませることも目的の一つであり、更には予言の実現とともに彼が行うであろう「審判」の為でもある。
「神性」としての自らは神の心と共に諭示裁定カーディナルの中に潜み、数百年に渡って律償混合エネルギーを溜め込んでいた。ここまでがゲーム開始前の動向。
ヌヴィレットの判決がカーディナルと全く食い違わなかったのは、ヌヴィレットの判決が公平公正であることもさることながら、神のお墨付きを与えるためにフォカロルスがわざと合わせていた可能性が高い。
タルタリヤに有罪判決が下った理由は不明だが、ヌヴィレットは「吞星の鯨と戦って時間稼ぎをしてもらうため」と推測している。
魔神任務第四章第五幕ではそのエネルギーを全て解放し、七執政のシステムの一角である自らの水神の神座を自らの神性と共に処刑し破壊。
この星の水元素に関わる全ての権能は当代の水の龍王ヌヴィレットに返還され、古龍の大権の一角を取り戻し完全に掌握した彼はフォンテーヌ人の血に流れる原始胎海を、原初の生命が創造された過程を模倣し純粋な人間の血に置き換えることで胎海から受ける影響をなくした。
こうして救世主の死によってフォンテーヌ人の原罪は濯がれたのだった。
ヌヴィレット
最高審判官を務める男性にして当代の水の龍王。エピクレシス歌劇場での審判を主催し、司会と判決を行う。
最終的な判決こそカーディナルに委ねるものの、彼自身が出す仮判決も客観的かつ公平と評価が高く、魔神任務3章2幕までカーディナルと全く同じ判決を出すほどだった。
パレ・メルモニアに務めており、なくしたタイプライターの打鍵一つを購入させるのに始末書を提出させるなど非常に几帳面。
何よりも規則と秩序を重んじる一方、虚偽申告で執務室に入ってきた旅人とナヴィアの要求に快く応える、審判中のフロアからの発言を咎めつつも聞き入れるなど融通の利く面もある。
龍王として神の目なしに強力な元素力を扱ったり水の記憶を読める他、他人の悲しみの感情に共鳴すると雨を降らせてしまう性質を持っている。
また、メリュジーヌについては、フォンテーヌ廷に招き入れるだけでなく直属の特別捜査機関「マレショーセ・ファントム」に任命するなど誕生した直後から長らく目をかけている*28

旅人とはリネのマジックショーの観客として知り合う。その後、連続少女失踪事件の一件を通して親交を深め、カーレスの失脚後気まずい関係にあったナヴィアとも和解する。
フリーナが何かを隠していることには以前より気づいていたが、問い詰めても全く口を割らないため審判に問うことを画策、旅人らと計画を練りフリーナを被告人席に立たせることに成功する。
あくまで情報を聞き出すための審判という体であったため、カーディナルが下した「水神: 有罪、死刑」の判決に驚愕する。
突如劇場内の空間を破り現れた巨鯨の襲撃を退けたのち、判決通り死刑が執行されようとするその時、「水神フォカロルス」を名乗る者より精神世界に誘い込まれる。
彼女よりすべての真実と意図を聞き、死刑執行を見届け返還された権能を以て完全な水の龍王として覚醒する。
もともと人間の悲哀に興味はなかったが、500年間最高審判官を務めフォンテーヌ人の一人として過ごしたことで情が芽生え、最早人間を見捨てることなどできなくなっており、これこそがフォカロルスの狙いでもあった。
このような経緯があったため、龍王として覚醒しながらもあくまで「最高審判官ヌヴィレット」として全フォンテーヌ人の罪を赦す判決を下す。フォンテーヌ人を人類へと作り変え、原始胎海の水に溶けることはなくなった。
その後は旅人とともに原始胎海の深部に乗り込み吞星の鯨を撃退、原始胎海の力を引き剥がす。その影響で水元素が一時的に溢れ、予言通りフォンテーヌは水没するものの、誰も溶けることなくすぐに水は収まり、予言を完全回避する。
原始胎海で出会ったスカークからで神の心が不吉な呪いのようなものであるという話を聞いたため、フォカロルスから受け取った神の心*29を手放すことを決意。「タルタリヤへの謝罪と予言回避の尽力への感謝」という名目で召使に引き渡された*30
カーディナルは停止したが、審判役はこれまで通り務めている。また、プネウムシアを完全掌握したため、停止した律償混合エネルギーに代わるエネルギー供給の要として引き続きフォンテーヌで活動を続けている。

ナヒーダの説明文*31ではフリーナをヒステリックなやつと評している。
このように魔神任務第四章やその直前では、フォンテーヌ滅亡と全フォンテーヌ人の死の予言が差し迫っているという状況もあり、それでも何かを隠しているフリーナへの風当たりがやや強め。
しかし、全てが解決した後のフリーナの伝説任務では、彼女のパフォーマンスには数多くの熱狂的なファンがいる……かくいう私もその一人でね、と暴露していた。ツンデレか。

フリーナの記憶によると1000歳以上。
最高審判官を務める前にも500年以上生きていたことになるが何をしていたのかは不明。

  • 名前について
    ボイス曰くヌヴィレットは苗字。レムリア王国の時代にいた龍王はスキュラという名だったが、龍王の座と共に名前も受け継がれているかは不明。
    元ネタとしては、フランスのエーヌ県の地名ヌーヴィレット、またはオペラ『シラノ・ド・ベルジュラック』に登場する「クリスチャン・ド・ヌヴィレット」と思われる。
クロリンデ
凄腕の決闘代理人の女性。得物はピストルと片手剣。フリーナの近衛のように近くで仕えている。
タルタリヤが勝負を熱望する相当な実力者。ナヴィアの父親カーレスとも知り合いであり彼をとても尊敬していたという。
だが、とある事件で彼との決闘を余儀なくされ、その手にかけることになってしまう。決闘の直前に彼から娘を頼むと遺言を聞かされており、こちらもまた複雑な心境のようである。
  • 名前の由来について
    イタリアの詩人トルクァート・タッソの叙事詩『エルサレムの解放』に登場する女騎士クロリンダ(Clorinda)。
    フランス語表記のクロリンデ(Clorinde)としては、フランス海軍の艦名に複数回用いられている他、フランス人学者が発見した小惑星の一つに名づけられている。
  • 装備について
    独特な形のトリコーヌ(三角帽)はおそらくフランスのアクションホラー映画『ジェヴォーダンの獣』(2001年)が元ネタ。
    剣と短銃の二刀(?)流スタイルは、上記映画に影響を受けたと思われるアクションゲーム『Bloodborne』(2015年)が元ネタかもしれない。
シュヴルーズ
現・特巡隊隊長。銃使いの女性。
特巡隊は警察で対処できない犯罪者を武力制圧する政府組織(機動隊やSWATのようなものと思われる)。曰く「出自を問わない実力主義の精鋭集団」。

【パレ・メルモニア】
フォンテーヌ廷最上層にある、国の行政府。水神フォカロルス(フリーナ)の居室や最高審判官ヌヴィレットの執務室が置かれている。

  • 名前について
    英語版はPalais Mermonia。パレ(Palais)はフランス語で「宮殿」という意味。
    メルモニア(Mermonia)は原神の造語だが、フランス語mer「海」とラテン語harmonia「ハーモニー」を組み合わせた、「海の調和」もしくは「海の和声」という意味か。

【ヴァザーリ回廊】
フォンテーヌ廷の下部にある主要街路で、都市の中心部にあるアクアロード・ターミナルをぐるりと囲んでいる。
主要施設はボーモント工房やカフェ・リュテスなど。

  • 名前について
    イタリア・フィレンツェの「ヴァザーリの回廊」が元ネタ。メディチ家の当主コジモ1世の注文で、建築家ジョルジョ・ヴァザーリによって1565年に設計・建造された。

【リヨンエリア】
フォンテーヌ廷北東部のエリア。
主要施設は冒険者協会、千織屋、ルポート時計店(合成台)など。
おそらく作中設定としては、数千年前のレムリア時代に活躍した純水騎士の一人「リヨンの王子ドゥレスト」の出身地リヨンがここにあったか、あるいは彼の功績を記念して名付けられたと思われる。

  • 名前について
    リヨン(Lyon)はフランスの南東部の大都市で、特に美食の都として有名。
    ただし、作中のドゥレストは円卓の騎士トリスタンが元ネタの一つと思われるため(当該項目参照)、トリスタンの出身地でイングランド南西端のコーンウォール地方にあったとされる伝説的小国リヨネス(Lyonesse)の方も由来と思われる。

【ナルボンヌエリア】
フォンテーヌ廷南西部のエリア。
主要施設はスチームバード新聞やホテル・ドゥボールなど。
おそらく作中設定としては、数千年前のレムリア時代に活躍した純水騎士の一人「ジェローヌのギヨーム」の持つ聖剣「ナルボンヌ」を記念して付けられたと思われる。

  • 名前について
    ナルボンヌ(Narbonne)はフランスの南東部の都市で、古代の共和政ローマ時代から続く古都。
    作中の聖剣ナルボンヌも、元をたどれば同地の子爵だった中世の武将エメリー・ド・ナルボンヌが元ネタと思われる。

「棘薔薇の会(スピナ・ディ・ロースラ)」

ポワソン町を本拠地とするギャング団。
歌劇場の欺瞞的な正義に反発して立ち上げられたものらしく、
運営費用も有志からの寄付(みかじめ料)で賄い、違法薬物ロシと戦い、悪人に私刑を加えて治安を維持する自警活動も行うなど、いわゆる「いいギャング」。
魔神任務4章2幕までの時期は、前会長カーレスのスキャンダルにより権威が失墜していたが、真相が明らかになったことで自治組織としての評判を取り戻している。

  • 「スピナ・ディ・ロースラ(Spina di Rosula)」はイタリア語に似た響きだが、これはフランス領コルシカ島*32で主に使用されるコルシカ語である*33
    コルシカ島は元々フランスよりもイタリア諸都市との結びつきが強かったが、激化する独立運動を抑えきれなかった当時コルシカ島を支配していたジェノヴァ*34が鎮圧を条件にフランスに割譲、その後フランスは独立派を抑え込んで支配下に置いたという過去を持つため、
    コルシカ語を用いることで「フランスモチーフの国に生きる反骨的なイタリアンマフィア(っぽい組織)」を表現する意図があったと推測される。
    魔神任務中でナヴィアが振舞ったマカロンもイタリアと縁深い菓子。イタリア料理のアマレッティが原型の一つと言われている。
ナヴィア・カスパール
棘薔薇の会の現会長で、フォンテーヌ廷北東からエリニュス島に繋がる水路に「ナヴィア線」と、自身の名を冠する水路がある程のお嬢様。
お嬢様ではあるものの、父の失脚以後寄付がほとんど集められなくなったため、残された資産でなんとかやりくりしており、見た目とは裏腹に厳しい資金繰りを強いられている。
当然フォンテーヌ廷にまともな拠点を築くだけの資産も無く、地下水路の貧民街(サーンドル河)を拠点としている。
ポジティブかつフレンドリーで、ルールに縛られない性格。
父カーレスはクロリンデとの決闘で命を落としており、彼女とは浅からぬ関係にある。
正統な決闘による結果であるものの、なぜ父が審判を全て拒否してまで決闘場での死を選択したのか、その真相を追い求めとある事件を調査している。
カーレス・カスパール
棘薔薇の会の前会長でナヴィアの父親。故人。右目を錨マークの眼帯で覆った金髪のダンディな男性*35
かつて彼の率いる会がフォンテーヌ廷から延びる三本の水路建設に多大な貢献したこともあり、それぞれに自身の家族の名を冠している。
北西から科学院に繋がる水路*36に自身の名である「カーレス線」、北東のエリニュス島に繋がる水路には娘の「ナヴィア線」、そして南のロマリタイムハーバーに繋がる水路の「クレメンタイン線」は妻の名から取られたものである*37
マーセルの罠にはめられ殺人の容疑をかけられるも、真実を法廷で語った場合に抗争が起きて多数の死者が出ることを恐れ一切の審判を断固として拒否し、決闘裁判でクロリンデと戦い、死亡する。
この事件以降、世間から「不義のカーレス」と呼ばれるようになってしまい、棘薔薇の会自体も信用を失墜して長期間影響力を回復できずにいた。
リオセスリの説明文によると、パレ・メルモニアから授与されることが決まった「伯爵」の称号を断ったことがある。
  • モデルについて
    英語版ではCallasという綴りなことから、綴りが近い18世紀フランスの商人ジャン・カラス(Jean Calas)の冤罪事件がモデルではないか、とする説がある。
    カラスが車裂きの刑で死亡した後、フランス啓蒙主義の代表的哲学者ヴォルテールらがカラスの遺族のために奔走して判決無効を勝ち取り、名誉を回復させた。
マルシラック&シルヴァ
ナヴィアの付き人。老人の方がマルシラックで、若くてサングラスをかけている方がシルヴァ。
シルヴァはナヴィアによると見た目は冷たいけど色々考えているところがヌヴィレットと似ているらしい。

ポワソン町浸水時、共に住民の救助中に逃げ遅れて水に飲み込まれ、遺体も残さず死亡する。
が、原始胎海の中でもある程度自我を保っていたようで、遺跡探索中にナヴィアが水に落ちた際、精神世界の審判内で彼女を弁護し、別れの言葉と共に現実世界に送り出している。
ヌヴィレット曰く、「二体の純水精霊が水に落ちたナヴィアを保護し、救助が間に合うまでの時間稼ぎをしてくれたのが見えた」とのこと。

フローレント
棘薔薇の会の参謀。連続少女失踪事件の容疑者。マルシラック死亡後は彼の仕事の一部を引き継いでいる。
ティエリー
フォンテーヌ警察隊に所属する、棘薔薇の会との連絡窓口担当者。連続少女失踪事件の容疑者。
マーセル(ヴァシェ)
棘薔薇の会の姉妹組織カブリエール商会の会長で、ナヴィアの叔父のような存在。スネージナヤ人だが、Ver4.0現在ファデュイとのつながりは不明。
かつては冒険者だったが、あるとき同じく冒険者だった恋人ヴェニールが原始胎海の水に触れて溶けてしまう。
それを司法に信じてもらえず、絶望した彼は原始胎海の水の研究*38及び自身に関する記録の抹消、その傍らでマーセルと名を変えて商売*39を始めるようになる。
20年以上活動していたが、ギャングのカーレスと商売上対立。罠にはめようとするが、クロリンデが決闘裁判でカーレスを殺してしまう。
その数年後カーレスの娘ナヴィアに真相を暴かれ逮捕。
最期はヌヴィレット付き添いの元旅人に導かれ、命を賭してルキナの泉に残るヴェニールの意識に会いに行くもそこに彼女はおらず、突如として極度のショックに見舞われ死亡*40。その遺体は魂を抜かれたかのようであったという。
ソニィ
「白手袋」の異名を持つ、白いスーツを着た金髪の男性。慇懃な態度や言葉遣いが特徴で、徹底されすぎていて嫌味のように見えることも。
なお、上記の異名の割に本人は手袋などは着けていない。この異名は「自分以外の者の手袋が汚れず白いままでいられるよう、フォンテーヌを"綺麗にする"こと」を任務としているところから来ている。
いわば棘薔薇の会の裏方、暗部担当であり、フォンテーヌの不穏分子でなおかつ言葉による交渉や警告が通じないタイプの人間に対して陰で実力行使を行っている。
世界任務においては再三の警告を無視してロシの密売に手を出し、挙句の果てに旅人を敵に回していたヴァージルを確保するため旅人に同行を依頼する。*41
ルカ
「漁師」の異名を持つ傭兵のような服装の大柄の男性。ゲーム中では常にソニィと同行している。
最低限の言葉しか発さず、ソニィから発言を促されてもほぼ単語での返答しか行わない。会話が成立しているか否かも判別がつかない。

「壁炉の家(ハウス・オブ・ハース)」

ファトゥス「召使」が運営する孤児院。ここの出身者はファデュイとして各地に派遣されている。
現代「召使」は数年前に就任し、フォンテーヌ人を自称している。
表向きにはフォンテーヌを救うために孤児に任務を与えているが...

リネ
フォンテーヌの大魔術師。リネット・フレミネの兄。
綺良々曰く、いろんなものを消したり出したりできるらしい。綺良々は妖力を使っていると思い込んでいるが多分普通のマジシャン。
スメール掲示板に公演告知を出している飛天サーカス団との関係は不明。
元々は両親をなくして路頭に迷っていた子供で、手品で糊口を稼ぐようになったらそれを見た貴族に拾われ、
社交の駒として使われるようになったものの、あるときリネットが他の貴族に養子として売られてしまう。
助けに行ったリネが到着したときにはその貴族は召使が殺した後だった。
その後、召使はリネを拾った貴族も殺し、召使に拾われたリネとリネットは「壁炉の家」のファデュイとして働くようになる。
  • テイワットPVにもリネットとセットで登場。各国キャラの中で唯一二人組だったため、2キャラを切り替えて戦うキャラではないかという予想もあった。
リネット
リネの双子の妹かつアシスタント。フレミネの姉。
観察眼が鋭く、ほんの一瞬の小さな情報も見逃さない。感情を表現することが苦手で表情もあまり変わらないため、一見何を考えているのか推し量るのが難しい性格。
あまりに表情の変化が乏しいが故にマジックのために作られたマリオネットではないかと思われることも。
家でも相変わらずではあるが、もしリネットに家事を任せようならば最後、彼女の手に掛かれば極単純な動作の機械であろうとあまりに理不尽な運命を辿った後に壊れてしまい、その都度フレミネが直している。
兄のリネと同様に「壁炉の家」の一員。壁炉の家に所属する以前、兄リネとは異なる珍しい外見に目をつけられ、かつて養父であった貴族により別の貴族に売られてしまうが、被害に遭う直前に「お父様」に救出され、ファデュイの一員に加わることになる。
  • リネとは実の兄妹だが、リネよりも祖先の形質が強く表れたため、本物の獣耳やしっぽを持っている*42
フレミネ
リネとリネットの弟かつ凄腕の潜水士。
表に出るのが苦手な性格で、一人で海を散策することや静まった夜の機械いじりが好き。「ペールス」というクロックワークスペンギンを連れている。
リネ、リネットとは「壁炉の家」での義兄弟で、義理の家族でありながら共に任務をこなす仲間でもある。

メリュジーヌ

フォンテーヌに住む、全ての個体が女性の種族。誕生したのはおよそ400年前と種族の歴史は浅い。
小柄で動物のような体系に1対の触角と尻尾、一部の個体は小さな羽を持つなど、人間とは異なる容姿でかつてはその出自についての噂や憶測により排斥されようとしていた。だが、現在のフォンテーヌでは人々から強く信頼され、一人一人が人権を持つの国民として扱われている。
総じて性格は純粋無垢で悪意を持つメリュジーヌは存在しないと言ってもよい。
人間には見えないものを感知できる特殊な視覚を持ち、それ故にマレショーセ・ファントムに所属する者が多い。
元々は俗世から離れたベリル地区の地下で生活していたが、人の世に強く憧れた一部メリュジーヌきっての願いを聞いたヌヴィレットの手引きで人間の世で暮らし始める者が現れたという。
ベリル地区に横たわる巨大な骨格「エリナス」と密接な関係があり、メリュシー村を含むメリュジーヌの住処はエリナスの体内と思しき位置に存在する。
アイベルによると、かつてフォンテーヌを訪れたエリナスが人々の頼みに応えてメリュジーヌの住処となった、という物語が存在しているようだ。
実際には、エリナスの体内で発生した戦闘によって傷ついたエリナスの血肉から誕生した生物である。メリュジーヌはエリナスを「お母さん」と呼んでいる。
エリナスの精神は自分が破壊するだけでなく生命を生み出すことも可能だと知って喜び、メリュジーヌたちを娘とみなし、生活に必要な様々な知識を教えた。
当時はメリュジーヌたちはエリナスの声を聞くことができていたが、時が経つにつれて親離れのように声が届くメリュジーヌは減り、旅人が村を訪れた時点ではマメールのみが彼女?の声を聞くことができていた。
全てのメリュジーヌは「しるし」*43なる自身の命の象徴となるものと共に生まれてくるという。

  • 名前について
    メリュジーヌはフランスとルクセンブルク、その周辺国の伝説に登場する水の妖精。
    下半身が蛇もしくは魚で、時には翼と二又の蛇尾を持っている図像で表されることもある。
    エルサレム王・キプロス王・アルメニア王などを輩出した中世フランスのリュジニャン家を始め、彼女の子孫とされるヨーロッパの貴族は多い。
    なお、本来のメリュジーヌは種族ではなく個人の名であって、それぞれの伝説の中ではあくまで一人しか存在しない。
    ただ、ヨーロッパ各地に類似伝説が存在しており、あたかも水の妖精の種族名のように感じられるといえなくもない。
  • マレショーセ・ファントムの元ネタ
    マレショーセ(Maréchaussée)は「元帥位」を意味し、フランスの地方警察機構である「国家憲兵隊」(ジャンダルムリ、Gendarmerie)の前身。
    もともとは百年戦争(1337年 - 1453年)で乱暴狼藉を働く傭兵たちを取り締まるための憲兵隊だったようだが、やがて市民のための警察組織としての任務も担うようになり、フランス革命中の1791年に現在の名前に改称された。

【フォンテーヌ廷】

アイベル
巡水船「クレメンタイン線」のガイドを務めるメリュジーヌ。
乗船時の注意事項のアナウンスを終点に着く直前になって思い出すなど、少々抜けているが評判は上々。
元マレショーセ・ファントムの一員だった。素行は良く十年連続皆勤賞をもらうほどだったが(なぜか)巡水船のガイドに抜擢される。
  • 名前について
    英語版はAeval。これはアイルランド伝説の女神イーヴェル(Aoibheall)の英国式綴り。
    冬の女王カリアッハの娘で、マンスター地方の一部を支配するバンシー(妖精)の女王。
    また、11世紀のアイルランド王ブライアン・ボルと、その子孫であるオブライエン家の守護女神であるとされる。
エルファネ
巡水船「ナヴィア線」のガイドを務めるメリュジーヌ。
アイベルの先輩に当たり、冷静にガイド役をこなす。
一方で、褒められると弱いという一面も持つ。
マレショーセ・ファントムのエースであったがアイベルが巡水船のガイドになった際に脱退する。
  • 名前について
    英語版はElphane。元ネタは16世紀ごろのスコットランドの魔女裁判に名前が現れる「エルファネの女王」(Quene of Elphane)と思われる。
    アリソン・ピアソン(Alison Pearson)など複数の女性が、この女王に会ったという非現実的な罪などを告発されて魔女として処刑された。
    エルファネの語源は諸説あるが、「エルフの故郷」(現代英語風に言うならエルフホーム elf-home)を意味し、北欧神話のアールヴ(エルフ)の世界アールヴハイムと同語根ではないかとされる。
エベラリン
メリュジーヌの中でも特に海の動きを察知するのに非常に長けており、ロマリタイムハーバー下階で海面の観察、動向の報告を担当している。
また、フォンテーヌの入り口ということもあり様々な国の人々から様々な物語を聞かせてもらえるのを喜んでいる。
  • 名前について
    エヴェラリン(Everallin)は、スコットランド文学の登場人物エヴィル・アーリン(スコットランド・ゲール語: Eimhir-àluinn)の英語形。
    詩人ジェイムズ・マクファーソンが「発見」したスコットランドの叙事詩群で(彼の創作とする説もある)、英雄詩人オシアンの妻とされる。
シオラ
ロマリタイムハーバー上階の水路乗降口の反対側にいる。
璃月からの観光客、白笈にフォンテーヌについて紹介している。
  • 名前について
    英語版ではSiora。イタリアのヴェネツィアで使用されているヴェネト語で、シオーラ(siora)は「女主人」「淑女」「貴婦人」を意味する。
    ちなみにイタリア語のシニョーラ(signora)=淑女と同語根。
リアス
パレ・メルモニア前でパトロールをしている。
メリュジーヌの生まれについて少し教えてくれる。
  • 名前について
    英語版はLiathなので、アイルランド神話のリア・ルケア(Liath Luchra)が元ネタ。
    神話では同名の女性と男性がいるが、女性の方のリアは偉大な戦士であり、女性のドルイドのボーウァルと共に大英雄フィン・マックールを育てた人物。
セドナ
パレ・メルモニア内で案内?をしている。
メリュジーヌ故に背丈が低いのもあり、彼女の立っている場所は体がほとんど隠れてしまっていて、パッと見誰もいないように見えてしまっている。
  • 名前について
    元ネタはイヌイット神話の海と海獣を司る女神セドナ(Sedna)であろう。メリュジーヌと同じく、下半身が魚の形で表される。
マーナ
パレ・メルモニアの裏、現在廃線となっているカーレス線の乗降口近くでぼーっと海を眺めている。
ある時ヌヴィレットが彼女の傍にそっと寄り添い、一緒に海を眺めていたところ、人々が列をなして海の方で何かあったのではとちょっとした騒ぎになったとか。
  • 名前について
    英語版はMuirne。ケルト神話のダーナ神族の王ヌアザの孫娘で、大英雄フィン・マックールの母。
メンタ
カフェ・リュテスの近くで俯いている。
人々の生活に馴染もうと努力してきたが、人間用に作られている様々な物にどうすることも出来ず適応できないことに落ち込んでおり、人間に近い体を持つメリュジーヌのシグウィンを羨んでいる。
  • 名前について
    メンテー(Μένθη、Menthē)は、古代ギリシア神話で地獄の川コキュートスに住む女妖精で、冥王ハーデスの愛人。メンタはそのラテン語系。
    ちなみにハーブの「ミント」は、ハーデスの正妃ペルセポネーの怒りに触れて植物に姿を変えられたメンテーが神話的起源とされる。
ヴェレダ
ルキナの泉付近をパトロールしている。
人類がどう誕生したのかについて考えている。
  • 名前について
    ウェレダ(ラテン語:Veleda)は、古代ドイツのブルクテリ族(ゲルマン人の一派)の巫女で実質的な指導者。
    西暦69年にバタウィ族長キウィリスと共に古代ローマ帝国へ反乱を起こしたが翌年に鎮圧された。
ブラシーネ
歌劇場と泉の間辺りをパトロールしている。目がいいらしく、そんな自身の目でも欺くマジックに感心している。
マジックや泉の噴水を見るのが好きなようだが、歌劇場で行われる公演については創作故のリアルさに欠けることからあまり好きではないという。
  • 名前について
    英語版はBlathineなので、アイルランド神話の王女ブラートナド(Bláthnat)が元ネタと思われる。
    略奪で英雄クー・ロイと無理に結婚させられたため、大英雄クー・フーリンに夫の弱点となる情報を渡した人物。
アイフェ
エピクレシス歌劇場の入り口に立っている。
次の審判をヌヴィレットが担当するか、ついでにフリーナが審判に立ち会うか当てっこしている。
人の心に表れる気質を読めるようだ。
  • 名前について
    オイフェ(古代アイルランド語:Aífe)は、アイルランド神話で、ライバルのスカアハと共に「影の国」最強とされる女戦士。
トロウ
歌劇場内での見回りを担当している。
審判や劇がない時は一人寂しく佇んでいるだけだが、往来する人々を一種の波と捉えており、その波と一緒にいるという感覚のようで本人はあまり寂しく感じていないようだ。
  • 名前について
    英語版はtrow。トラウと読み、イギリスのオークニー諸島・シェトランド諸島の民話における夜行性の妖精。
ラミア
私服の格好だが、非番のマレショーセ・ファントム。
フォンテーヌ廷の各水路に繋がる、アクアロード・ターミナルで行き交う人々を観察して様々な分類で統計を取っている。
  • 名前について
    英語版はRhemiaなのだが、中国語版は莱弥娅(Láimíyà)なので、元ネタは古代ギリシア神話の半人半蛇の女怪ラミア(Λαμία、Lamia)と思われる。
トゥローザ
世界任務「問題メリュジーヌと解決ロボ」に登場。
マレショーセ・ファントムのメンバーだが、エージェントではなく物証管理員。
正義感に溢れる性格だが思い込みが激しく問題を起こしがちで、エージェントから外されて巡水船「カーレス線」のガイドに回されてしまう。
しかし、そこでも苦情が相次いだためにクビになり、最終的に物証管理員を任命されるに至る。
世界任務ではある事件を捜査するために勝手にエージェントを名乗り、かつての事件で物証として押収され保管されていた会話可能な嘘発見マシナリーの「カーブ」を無断で持ち出したが、
結局空回りして当初は事件解決の糸口をつかむことに失敗する。
本人も自分の問題は自覚しており。ひどく落ち込んでしまったが、カーブや旅人らに励まされて再起し、犯人を追い詰めることに成功する。
犯人の抵抗で危機に陥るもカーブの自己犠牲で生還、自分がいなければカーブが失われる必要も無かったのではないかと再び自責の念に駆られてしまう。
しかし、カーブの製作者であるモッソ博士の思いやカーブ自身の言動に触れ、カーブが機械としての限界を突破して命を芽生えさせたこと、それを目指した博士の夢を叶える一助に自分がなっていたことを知り、カーブが遺したメッセージを受けてマレショーセ・ファントムの一番優秀なエージェントになることを決意する。
世界任務「問題メリュジーヌと解決ロボ」終了後、エピクレシス歌劇場近くの浜辺に彼女がカーブを思って綴った手紙が落ちている。

【メリュシー村】

マメール
絵描きのメリュジーヌ。一連の世界任務の始まりに出会う。
現代のメリュジーヌの中で唯一エリナスの声を聞けるが、他のメリュジーヌと違い、エリナスを「お父様」と呼ぶ。
全てが終わった後セイモア、マリアン、アンと共に旅に出た。
  • 名前について
    英語版はMamere。フランス語でマ・メール(ma mère)は「私の母」という意味。
コスンツァーナ
村の外れの小さな花畑を管理している。
世界任務完了後に選んだ異国の花が咲くようになる。
  • 名前について
    イレアナ・コスンツァーナ(Ileana Cosânzeana)は、ルーマニア伝説の登場人物。
    一説では「花の女王」と呼ばれる妖精とされており、原神で花畑に興味があるのはそれが元ネタであろう。
シャナ
世界任務開始時点では村に不在だがある程度進めると現れる。
フォンテーヌ科学院に赴き、マシナリー関連の技術を学んでいたという。
奇妙なパーツ(キラキラしたもの)とアイテムを交換できる。
  • 名前について
    英語版はXana。シャナ(アストゥリアス語:Xana)は、スペインのアストゥリアス州やその周辺地域の伝説に登場する女妖精。
カノティラ
村の奥で「啓示の書」について研究している。
  • 名前について
    カノティラ(čanotila、「彼らは樹の中に住む」の意)は、北アメリカの先住民族ラコタ(スー族)の神話で、樹木に住む妖精族の名。
スルアシー
プーカの姉。
自身の工房で、宝石など様々な材料から絵の具を作っている。
  • 名前について
    英語版はSluasiだが、おそらくアイルランド・スコットランド民話の「スルア・シー」(sluagh sídhe、「妖精の軍団」)が元ネタ。単にスルア、スルーアとも。
    罪人の魂からなる精霊の集団で、時には人間を助けることもあるものの、基本的には危険な精霊たちとされる。
セレーネ
村長…という程では無いが、他のメリュジーヌより少し年上のようで、「お姉さん」としてみんなの面倒を見ている。
  • 名前について
    英語版はSerene(「高貴」、王侯に用いる敬称)だが、中国語版は瑟琳(Sèlín)。
    よっておそらく古代ギリシア神話の月の女神セレーネー(Σελήνη、Selēnē)が元ネタ。古代ローマ神話のルーナに相当。
ラウメ
スチームバード新聞社の記者を目指している。
  • 名前について
    ラウメ(リトアニア語:Laumė)は、バルト神話の樹木の精霊。
リュティンヌ
メリュシー村で一番の料理人。
…もちろん彼女たちメリュジーヌの基準においての一番であることは言うまでもない。
ではあるが、彼女の作る「オリジナル料理」はその見た目、匂いとは裏腹に意外にも爽やかな味わいだとか。
  • 名前について
    英語版はlutinなので、フランスの民間伝承に登場する小妖精リュタン(lutin)が元ネタ。
セディル
マレショーセ・ファントム所属、休暇で村に帰省している。
ルフィーナ
モンドの大冒険者スタンレーに憧れている。
フロー
ヴィルダの姉。ファッションや服のデザインに関する事が好きで、裁縫も得意。
旅人にやたら「ぴっちりスーツ」を勧めてくる。
ヴィルダ
マレショーセ・ファントムの一員になるべく特訓している
イアーラ
釣りをしている。
  • 名前について
    ブラジル神話の水の妖精。17世紀までは、釣り人を襲う獰猛な人食いの魚人とされていたが、18世紀ごろから美しい人魚のイメージで伝えられるようになった。
カラボス
自称「薬剤師」ベレ(ベレナータ)を助手としている。
  • 名前について
    17世紀フランスの作家ドーノワ夫人の妖精物語『サンザシ姫』で、主人公のサンザシ姫(英語訳版ではベレナータ)に呪いをかける邪悪な妖精。
ベレナータ
カラボスの助手。
薬剤の名付けや記録を取っている。
  • 名前について
    17世紀フランスの作家ドーノワ夫人の妖精物語『サンザシ姫』の、ジェームズ・プランシュによる英語訳における主人公の名前。
グラシュティ
ブリーチャープリムスを育成しようとしている。
  • 名前について
    英語版はGlaisti。スコットランド神話の女性の幽霊グラシュティグ(Glaistig)が元ネタ。
プーカ
色とりどり、様々な形の石が好き。だが、モラのようにキラキラしていても全て同じ見た目のものは好まないらしい。
メリュシー村の鉱脈に詳しい。世界任務では村のとある鉱脈で良く見かける綺麗な「普通の石」をフォンテーヌ廷で鑑定してもらうことに。
結果、この普通の石は非常に硬く、きらびやかな光沢を放つが、アクセサリーに加工するため磨いたところ、途端に光沢を失いアクセサリーとしての価値が無くなってしまったという。
だが、耐摩耗性が他の鉱石より高いことに目をつけた職人によりコアとなる部分に使われ、水中で暮らすメリュジーヌ達も使える防水仕様の時計が開発された。
  • 名前について
    プーカ(アイルランド語:púca)は、ケルト民話・イングランド民話に登場する精霊。
グラーニャ
セディルに憧れてマレショーセ・ファントムを志している。
  • 名前について
    グラーニア(Gráinne)はアイルランド伝説に登場する王女。英雄ディルムッド・オディナとの悲恋譚で有名。
シロナ
グラーニャが心配で一緒にマレショーセ・ファントムを志している。
  • 名前について
    ドナウ川流域の古代ガリア人に信仰されていた、治癒を司る女神。
トピア
巨大なほら貝、「海螺の響き」の傍にいる。
友人のマメールに音楽を贈りたいとメリュシー村の伝説に残る楽章「ペスタの歌」を探している。
  • 名前について
    英語版はTopyas。14世紀イングランドのロマンス文学『Richard Coer de Lyon』で、リチャード獅子心王とジョン失地王の妹とされる王女(実在しない)。

【メロピデ要塞】

シグウィン
メロビデ監獄の看護師長を務めている。水元素の神の目を持っており、人間に近い容姿をしているが歴としたメリュジーヌである。
人間の文明内で活動するメリュジーヌの一人ではあるが、ヌヴィレットを「さん」付けで呼ぶ。
美容やスキンケアに詳しく、講座の告知が掲示板に出されている。
メロピデ要塞の看護をたった一人でこなす辣腕の持ち主であり、メリュジーヌ特有の感覚で囚人たちの体調の変化に敏感に気付くことができる。
一方でその感覚の差異ゆえに料理のセンスは人間の好みとはかけ離れており、好意で料理や自作の飲み物を囚人にふるまっているが、外見も味も人間には受け付けがたい物となっているようだ*44
医療従事者として持つべき全ての美徳を持ち、仲間全員に気を配ることができる優秀な看護師であるが、同時に「腹黒」ともいえる性格も持ち合わせており、
意図的に単純なキャラを演じることで人からの信頼を得る、人類を多種の生物としての観察対象と見なす、有事の際は麻酔銃で対象を制圧することも辞さないなど、
おっとりとした者が多いメリュジーヌの中ではかなりの切れ者である。
メロピデ要塞で生活するうちにリオセスリから「悪い影響」を受けてしまったらしく、仲間とともに賭け事に興じるなど、良くも悪くも人間社会に溶け込んでいる。
PVでは資料を読みふけるリオセスリにお揃いのミルクセーキ(少なくとも見た目はまとも)を差し出したが、無視して紅茶を飲まれたため憤慨している。
  • 名前の由来について
    シグウィン(Sigewinne)の元ネタは、中世ドイツ伝説に登場する魔女、トロイ女王ジークミンネ(Siegminne)と思われる。名前は「愛の勝利」という意味。
    「ジークミンネ」は現代ドイツ語の正書法・発音に直したもので、中世の中高ドイツ語では、ズィクミン(Sigminn)、ズィゲミンネ(Sigeminne)、あるいはズィゲウィンネ(Sigewinne)と様々な表記で書かれた。
    「シグウィン」はこのうち最後のバージョン「ズィゲウィンネ」を現代英語風に発音したもの。
    もともとは古きトロイの女王Raue Elseという、全身けむくじゃらで四つん這いで歩く野女だった。
    たまたま通りがかったコンスタンティノープルの王子で英雄のヴォルフディートリッヒ(Wolfdietrich)に求婚するが、二度断られたため、呪いで王子を半年間、狂った野人に変えてしまう。
    これに懲りた王子は三度目はキリスト教への洗礼を条件に求婚を受け入れた。
    Raue Elseが洗礼のため、「若さの泉」の水で身体の汚れを落とすと実は絶世の美女であり……という筋書き。
    改名後のジークミンネ=「愛の勝利」という名前はこの馴れ初めに由来する。
    シグウィンが人間ではない種族な点や美容マニアな点などは、上記の野女から美女に転身した逸話が元ネタであろう。
オティニエ
メロピデ要塞の医務室にいる囚人…ではなく、マレショーセ・ファントム所属。
非番で友人のシグウィンとおしゃべりしにきたという。
  • 名前について
    英語版はOttnitとなっており、元ネタは中世ドイツ伝説に登場する英雄、ロンバルディア皇帝オトニト(オルトニトとも)。シグウィン(ズィゲウィンネ、ジークミンネ)は友人の英雄ヴォルフディートリッヒの妻という関係。
    ちなみに元ネタではドワーフの君主アルベリヒ(英語における妖精王オベロン)の養子なのだが、原神ではアルベリヒと関係なさそうだ(メリュジーヌはカーンルイア陣営のレインドットのいわば孫とも言えるので間接的な繋がりはあるが……)。

【その他】

メラ
ベリル地区北東部ワープポイント近くにいる。レウカが編んでくれるというマフラーについて話し合っている。
服装からおそらくフォンテーヌ廷に住んでいるメリュジーヌ。
レウカ
村の暮らしに飽きたらフォンテーヌ廷に遊びに行きたいと言う。
カロレ
ヌヴィレットの伝説任務にて登場。故人。
約400年前にヌヴィレットの手引で最初にフォンテーヌ廷を訪れたメリュジーヌの一人。マレショーセ・ファントムに所属していた。
かつてメリュジーヌと人間の共存、人々との関わりにおけるメリュジーヌの意義を見出すことを目指し奔走していた。
だが、当時の人々は突如来訪した異種族である彼女らメリュジーヌに関して様々な憶測や噂、ヌヴィレットと関わりがあることを快く思っておらず、すぐに受け入れられることはなかった。
5年の時が流れ、彼女や当時の特巡隊隊長の尽力もあり、ようやく人々にメリュジーヌが受け入れられる兆しが見え始めた頃、ヌヴィレットが急速に進めた改革により権力を失いつつあった一部の旧勢力により彼女は利用されてしまう。
この旧勢力は彼女に殺人の冤罪をかけ、それを焚き付けることで民衆のメリュジーヌに対する負の感情が爆発させた。怒りの鎮まらない民衆の足止めにより警察隊の介入が遅れてしまい、結果事態を収めるために彼女は自らの命を絶つことを選んでしまう*45
キアラ
ヌヴィレットの伝説任務にて登場。
約400年前にカロレと共に最初にフォンテーヌ廷を訪れたメリュジーヌの一人。マレショーセ・ファントムに所属。
人懐っこい性格で市民からも特に可愛がられているようで、新聞社が彼女の特集記事を出した際は大好評を博したといい、第二弾も計画されているとか。
記憶力があまり良くなく、悪意に対してあまりにも鈍感で、一般的に脅迫状とされる内容の手紙もかくれんぼの誘いと勘違いしていたほど。
ナディア
世界任務「念願の宝探しの旅」にて登場。
元マレショーセ・ファントムのエリートで「博識のナディア」と呼ばれるほどの知識と記憶力を持っていたが、過去に頭を怪我したため物忘れがひどくなっている。
現在は人間のユーヴィルと共に宝探しをしている。

メロピデ要塞

フォンテーヌで罪を犯した人が収監される海底刑務所にしてクロックワーク・マシナリーの生産工場。またの名を「水の下」。
独自通貨「特別許可券」が流通する等、一つの国がごとく独立した自治権を持っており、パレ・メルモニアでもおいそれと干渉ができない。
リオセスリの管理者就任によって劇的に労働環境が改善された現在では、刑期を終えて尚残ることを選択する程愛着を覚える囚人も出てきている。

元々は、罪人を哀れむエゲリアが、国外追放の代わりに「自身の秘密を守る」役目――すなわち、原始胎海の水のゲートを監視する役割を託す形で建設させた地だった。
長い時間の末に一時忘れ去られていたこの役割は現在、調査の果てに自力で真相に辿り着いたリオセスリの元に引き継がれている。

元ネタは古代ギリシア伝説のアトランティス島、フランスのバスティーユ牢獄、イギリスのパノプティコン等と思われる。詳細はリオセスリの「小ネタ」を参照。

リオセスリ
スーツ姿の男性。メロピデ要塞の管理者。「公爵」と呼ばれている。*46
PVではシグウィンにお揃いの(不味い)ミルクセーキを机に出されるも無視して元からあった紅茶を飲んでいる。
大雑把な感じだが管理能力はかなりのもので召使が送り込んだ間者や買収した刑務官を尽く排除している。メロピデ要塞自体の環境も大幅に改善している。

元孤児で、貴族の養父母の元で育つが、彼らが実際には人身売買業として自分たちを育てていた*47ことを知り憤慨。一度脱走し、改造ナックルなどの準備を整えてから二人を殺害する。
養父母殺害後は彼らに送られた名を捨て、新聞で見かけた「リオセスリ」の名で審判を受け、そのままメロピデ要塞に収監される(この時神の目を得る。)。
収監後は罪人への圧政が目立つ劣悪な環境を是正するべく、罪人達のみならず看守達をも完全に味方につけ*48、拒否できない状況に持ち込んだ上で決闘を申し込む。
前管理者は決闘直前に逃亡するが、不運にも同日がリオセスリの服役終了日だったため、自身の出獄手続きを行える者がいなくなってしまう。
結果としてリオセスリ自身が管理者業務を引き継ぐことになり、そのまま現在まで今の地位についている。

  • ケルベロスについて
    リオセスリの衣装には犬や首輪のような装飾が多くあしらわれており、まさに要塞のエンブレムや命ノ星座にもある獄守犬=ケルベロスを体現したデザインになっている*49
    ここで重要なのは、ケルベロスは別名を「ナベリウス」と言い、ソロモン72柱の序列24位として知られている悪魔でもあること。
    既にナベリウスをモデルとしたであろう魔神と思しき存在「ナベリス」が登場しているため、ある程度の関係性が疑われる。
ラノール
要塞で生まれ、要塞に住んでいる少女。立場上囚人となっているが、要塞内に明確な記録が残っていない。
キャタピラーを「キャタピィお兄ちゃん」と呼び、家族として付き合っている。
母アグネスは病弱であり、物語開始時点ですでに死亡。父親の正体は不明。
世界任務「未完成のメロディ」内では、旅人やエティヌやキャラピラーの助けもあって要塞から脱出し、祖父アーンショウの元で暮らすようになる。
キャタピラー(キャタピィお兄ちゃん)
魔法使いナルツィッセンクロイツによってヒルチャールの肉体を与えられた生命体。肩書は「幻光蛾蝶のさなぎ」。
人間ではないが、ナルツィッセンクロイツによって人の言葉や習慣を教わり、人間の少年の姿に擬態することが可能。
水仙十字結社の一員として活動していたが、結社解散後にメロピデ要塞に移送されて以後400年間をそこで過ごした。あまりにも長く要塞にいたためか、要塞内に明確な記録が残っていない。
物語開始時点ではラノールの兄として振舞っており、彼女の保護者的な立場にある。

キャタピラーの精神の前世は十中八九、自然哲学学院でアラン・ギヨタンの助手を務めていたカーターである。
設定よりもわかりやすいのが中国語での名前で、キャタピラーは「卡特皮拉」(Kǎtèpílā)、カーターは「卡特」(Kǎtè)で頭二文字が共通している。
その上、日本語で「キャタピィお兄ちゃん」となっているところは、中国語原文では「卡特哥哥」=「カーターお兄ちゃん」であり、直球でネタバレになっている。

フォンテーヌ科学院

正式名称は「フォンテーヌ運動エネルギー工学科学研究院」。数百年前に「奇械公」アラン・ギヨタンが創設した研究機関。
専門的研究以外にも、フォンテーヌの国民的飲料である「フォンタ」などを開発している。
本編開始の少し前に上級技術官エドウィン・イースティングハウスの実験事故により多数の死者を出し、施設の2/3を消失。
フォンテーヌの遠景に映る、宙に浮かぶ巨大な立方体の水の数々は、その実験事故の残骸である。
現在の本部は、旧「アラン・ギヨタン研究所」を改装した「新フォンテーヌ科学院」に置かれている。

  • 名前について
    元ネタはフランス国立の学術団体である「科学院」(Académie des sciences)。
    この組織は日本語では「アカデミー・デ・シアンス」とも「科学アカデミー」とも言われ様々な訳があるが、中国語では「法国科学院」(フランス科学院)と訳されるのが普通。
    また様々な先進的な研究をしながらも、物語開始以前に派手な爆発事故を起こして解散した組織という共通点から、怪奇創作サイト「SCP財団」に登場する要注意団体「プロメテウス研究所」も関連があるか。
エドウィン・イースティングハウス
フォンテーヌ科学院の上級技術官。初代院長アラン・ギヨタン以来の天才とされる科学者で、外見的には青年に見えるほどの若さながら次期院長と目されていた。
アルケウムという物質のエネルギーを利用する反重力技術を開発し、BOSS「実験用フィールド生成装置」(ブレゲ・プロトタイプ)もその成果の一つである。
最終目標では、予言の洪水への対処として、フォンテーヌ廷を空中都市化できるほどの研究技術を目指していたと言われる。
しかし、性格は典型的なマッド・サイエンティスト。研究欲が全てであり、金銭や名誉どころか、自分が起こした大事故で失われた人命なども全く意に介していない。
事故後は、書類上は行方不明扱いだが、実際には事故にまきこまれ死亡している
……と思われていたが、本当に失踪していただけであり、事件の責任も取らず、粗末な小屋で研究を続けていた。
最後は仲違いした部下のナッカーと共に捕まり、メロピデ要塞送りになった。
  • 元ネタについて
    元ネタは19世紀アメリカで交流送電技術を共同開発した二人の天才電気技師、「ジョージ・ウェスティングハウス」と「ニコラ・テスラ」と思われる。
    名前は前者(イースティングハウス=東寄りの家、ウェスティングハウス=西寄りの家)、エキセントリックな性格は後者。
    直流送電派の発明王トーマス・エジソンは、メディアを駆使して交流送電は危険というネガティブ・キャンペーンを行った上に、ライバルのウェスティングハウスとテスラに対し様々な人格攻撃を加えており、
    「エジソンのネガキャンが本当だったら」というif歴史で作られたキャラかもしれない。
    ただし、史実としてはエジソンのネガキャンは多くがこじつけで、最終的な勝者になったのはウェスティングハウスとテスラの交流送電である。
ナッカー
フォンテーヌ科学院の上級研究員で、エドウィンの右腕。
旅人と会った時は気さくで頼れる青年を演じ、宙に浮いた実験室の問題を解決するそぶりを見せていたが、実は研究院に残されたエドウィンの研究成果「アルケウム動力コア」を盗むのが目的だった。
その後も潜伏と逃走を続けていたが、名誉欲に駆られて上司エドウィンとも仲違いし孤立。旅人と科学院に捕まり、最後はエドウィンと共にメロピデ要塞送りになった。
レモンド・ヘイヴンポット
フォンテーヌ科学院上級技術官僚を務める壮年の男性。エドウィン失脚後の科学院の事実上のリーダー。
破天荒なエドウィンとは対照的に、保守的で老練な性格であり、半壊した科学院を堅実路線で再建させようと奮闘している。
ショワズール
フォンテーヌ科学院事務官を務める壮年の男性。ペラペラと口が回るタイプで、記者への対応などには最適。
科学院の事務・会計や広報などの雑事全般を統括し、相方のレモンドと共に科学院再建に尽力中。
グザヴィエ
フォンテーヌの技術師。映写機を発明した人物でもあり、ペトリコールという町を拠点に活動する発明家集団「空想クラブ」の一員。
幕府の相談役として御影炉心の建設に携わり、後に抵抗軍との争い(に乗じたファデュイの介入)による炉心の異常が起きた際は旅人と共に尽力し解決に導いた。
異変解決後は稲妻に留まり、天領奉行の承認の元で様々な映画を撮っている。
  • 他の空想クラブメンバーには、永久に動く動力源の開発を目指すフェリックス・ユーグ、数学者のガルシア、スーパーキャノンを開発中のメカントルとバビス兄弟がいる。
  • 元同僚で個人的にも親しいオーガスタス・ラヴレスによれば、形式上は現在でもフォンテーヌ科学院所属の研究者である。
    しかし撮影技術にかまけすぎたため、あらゆるプロジェクトと研究室から締め出されており、事実上の追放状態にあるらしい。
オーガスタス・ラヴレス
フォンテーヌ科学院の男性の研究員で、スメールシティに出張中。
スメール船舶の研究をしていたが、緊縮財政派のレモンドにプロジェクトへの予算を止められるのではないかと思っている。
  • 名前について
    名前の元ネタは、19世紀イギリスの数学者エイダ・ラヴレス(女性)の正式名「ラヴレス伯爵夫人オーガスタ・エイダ・キング」と思われる。
    チャールズ・バベッジが設計した世界初の汎用コンピュータ「解析機関」のプログラムを書いたため、「世界初のプログラマー」と呼ばれる。

スチームバード新聞

フォンテーヌ廷を代表する民間報道機関であり、テイワット中に購読者がいる最大手の新聞社。
旅人は知る由もなかったが、モンドにおいて旅人がトワリンと戦ったことについて3週間にわたって記事にしているため、この時点で一部のフォンテーヌ人には旅人の存在が知られている。
また、楓原万葉が雷電将軍の無想の一太刀を受け止めた事実についても報じており、遠い異国の出来事に思いをはせるフォンテーヌ人が続出したようだ。
モナもスチームバード新聞内で占いに関するコラム記事を書いており、それによる原稿料で生活している。彼女の記事は前任者より学術的で複雑なものだが、かえってそれが読者に好評な模様。
中国版公式サイトでは当初、「スチームバード新聞・テイワット美食メモ」というタイトルでゲーム内料理の再現レシピ及びそれに関するレビューを公開していた(現在ではタイトルから「スチームバード新聞」は削除されている)。

ユーフラシア
スチームバード新聞の編集長。公平正確な情報の提供だけではなく表現の自由を重んじる人物で、そのため同紙に「人生いろいろ」というコーナーを開設した。
編集長としての業務以外にも、住民の悩みを聞いたりパレ・メルモニアと治安上の情報で連携したりといった、フォンテーヌ廷の顔役的な仕事もこなしている。
  • 名前について
    フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの代表作『レ・ミゼラブル』の主要人物コゼットの本名「ユーフラジー」がおそらく元ネタ。*50
シャルロット
スチームバード新聞の腕利き記者。凝光曰く「一見目を引くが中身は事実第一の記事を書く」。
インパクトある見出しについてよく考えていることもあり、セノのジョークを大真面目に評価する数少ない人物。
「決闘!召喚の頂!」では、以前潜入取材の果てに不正を暴露していた食品工場による報復からの避難を兼ねて、モンドへと召喚王グランプリの取材に派遣される。
不当ともいえる扱いも「いつものこと」と気にせず、新たな独占記事を求めて旅人らとともに「カード怪盗」事件の真相や七聖召喚誕生秘話を追うことに。
その後、魔神任務内ではフォンテーヌに訪れた旅人と再会*51。以降、ストーリー中ではいろんな事件がひと段落するごとに記事を書くために奔走している。
龍二君(竜二君?)
スチームバード新聞に寄稿しているコラムニスト。中国語版公式サイトの企画「提瓦特美食札记」(テイワット美食メモ)の著者とされる人物。簡体字では「龙二君」。
名前的に璃月出身でもおかしくはなさそうだが、英語版ではRyuji-kunなのでおそらく稲妻出身。名前が万端珊瑚探偵所の龍二と被っているが関係は不明。
元々はファン投稿記事であり、それを公式が転載したものである。

ペトリコール町

フォンテーヌ領南部の島にある町。古代レムリア文明の遺跡が存在する。
かつてはグレート・フォンテーヌ・レイクに存在していた島だが、レムリア滅亡時の大洪水によって沈没し、現在の滝の下に移動した。
ドゥ―ジェ*52と呼ばれる長老が実質的に村を管理している。フォンテーヌよりも長い歴史と伝統があることが自慢らしいが、実はそのほとんどが作り話である(住民はそのことを知らない)。
町自体は確かに古くから存在しているが、伝説については初代ドージェのルッジェロが古代レムリア文明の罪と、原始胎海の存在、大楽章「フォボス」とボエティウスを封印するにあたって、廃墟同然だったこの村に偽の伝統を作ったのが始まりである。

  • 名前の元ネタ
    乾いた土壌に雨が降った後に立ち昇る香りのこと。古代ギリシア語で「石のイーコール(神血)」という意味。

【空想クラブ】
ペトリコールに存在するクラブで、発明家たちが所属している。
元ネタはジュール・ヴェルヌのSF小説『月世界旅行』に登場する「大砲クラブ」。

バビス
メカントル
兄弟。人を乗せ天を目指すテイワットキャノンの設計をしている。
テイワットキャノンはまだ設計図も出来上がっていない段階ではあるものの、兄弟の発言内容からして構造はSF小説「月世界旅行」に登場する大砲とほぼ同じ。
エスト
レムリア人の末裔であり、ペトリコールの町民の中で異変に唯一巻き込まれなかった人物。
ウッスー
空想クラブで飼育されている猫。名目上の飼い主は旅人。元はカッシオドルが体を借りていた猫。
世界任務「諧律のカンティクル」終了後、空想クラブで餌を与えたり撫でることができる。
ボシュエ
元フォンテーヌ科学院の上級研究員。
グザヴィエ
フォンテーヌ科学院の項目を参照

【パスクワレ家】
エピクレシス歌劇場が建設されるより前から活躍する楽器職人の家系。現在のフォンテーヌ廷では製造の機械化が盛んだが、伝統へのこだわりから楽器は一貫して手作りしている。
現当主のジョヴァンニによるとフォンテーヌで流通する楽器の7分の1程度はパスクワレ家が製作したものらしい。

  • 名前について
    元ネタは恐らくガエターノ・ドニゼッティ作曲のオペラ『ドン・パスクワレ』。
ジョヴァンニ
パスクワレ家の現当主。前当主の次男。
妻はマーサで、息子がモゼ。
ジュスティーノ
前当主の長男。ジョヴァンニの兄。
若い頃に旅にあこがれスメールに旅立つが年を経て故郷への郷愁が強くなり、旅人に依頼して帰郷、ジョヴァンニの助手となる。
ロレダン・ヴィンチェンティーノ
ジョヴァンニの弟子。本来は楽器の演奏家となるのが夢で、修行の一環としてジョヴァンニに弟子入りしているらしい。
兄も姉も、エピクレシス歌劇場で公演を行うほどのプロの演奏家。
  • 名前について
    元ネタは恐らくイタリアの音楽理論家・楽器発明家の二コラ・ヴィンチェンティーノ。

【その他】

ゴルドーニ
フォンテーヌ史上最も偉大な劇作家であるコペリウスの子孫の女性。当人も劇作家をしている。
グザヴィエとは三歳のころから付き合いのある幼馴染で、映影の脚本を無償で書いたことがある。
マシナリーの知識がないためグザヴィエに付いて稲妻に行けなかったことを後悔するなど、彼と距離を縮めたがっているようだ……。
  • 名前について
    元ネタは恐らくヴェネツィア共和国(現在のイタリアの一部)の劇作家カルロ・ゴルドーニ。

その他・未分類

ドヴォルザーク
フォンテーヌの音楽家。フォンテーヌの音楽祭イリデッセンスツアーの主催者の一人。
「華舞う夜の旋律」では、自身の先祖を救った「天女」の子孫を探す私的な目的で璃月を訪れるも、辛炎等に提案されて海灯祭内でも音楽祭を開くことに。
開催直前、旅人の調査によって天女の正体がピンばあやであることを知ると、感謝の思いを乗せて旋律を指揮した。
  • 名前の由来はご存じチェコを代表する音楽家アントニン・ドヴォルザーク。『新世界より』『ユモレスク』などが有名。
    鉄オタとしてもその名が知れており、娘の婚約者であり自身の弟子であった人物を「鉄道に関する知識がないから」という理由で婚約を破棄させようとしたことがある。
千織
フォンテーヌにアパレルショップ「千織屋」を構えるデザイナー。
出身は稲妻で、綺良々や神里綾華と古い友人。ある夢を追ってフォンテーヌに移住した。現在の地位に昇りつめる過程で特巡隊やシュヴルーズとも浅からぬ関係になったらしい。
「抗争」と「革新」がテーマのデザインは高い評価を得ており、従業員が「彼女こそがフォンテーヌのトレンドを生み出した」と自画自賛する程。
ストレートな物言いをしてよく客を怒らせているが、面倒見は良い方。綺良々エピソード内ではテンプレツンデレな言動や天然な一面も見せている。
リネやクロリンデ等、彼女の店の衣装を着ているプレイアブルキャラも多い。特に綺良々の服は、人間文化に疎かったため酷い状態になっていた*53のを見かねた千織が自ら仕立てたもの。
  • 元ネタについて
    「抗争と革新をテーマとしてフランスで高い評価を受けた日本人女性のファッションデザイナー」という点から、モデルは「コム・デ・ギャルソン」(COMME des GARÇONS)の川久保玲か。
    1980年代のパリコレで、ヨウジヤマモトの山本耀司と共に「黒の衝撃」という革命をもたらし、後にフランス政府から芸術文化勲章シュバリエや国家功労勲章オフィシエなどを叙勲されている。
    アバンギャルド(=革新的、原義は戦争の「前衛部隊」)なファッションの世界的権威である。
    千織のテーマカラーのうち二つが黒と赤なのは、これらの色を多用するコム・デ・ギャルソンへのオマージュかもしれない(というより、現代の女性のファッションのメインカラーに黒が使えるようになったのは、そもそも川久保玲らの功績である)。
エミリエ
フォンテーヌの調香師。彼女の作品は「朝早くから並ばないと手に入らない」と言われるほど人気がある。
ちなみにリネは1つ買う予定だったが、リネットのしっぽが違う意見を持っていたため、買うのを断念した。
ヴォートラン
ヌヴィレットの伝説任務にて登場。故人。
ヌヴィレットが最高審判官に就任した約400年前の特巡隊隊長。
当時の不正まみれのフォンテーヌを良く思っていなく、ヌヴィレットの改革を支持しカロレと共に不正を正していった。
当初カロレは純粋すぎて悪党に目をつけられることを危惧し突き放すように接していたが、逆にメリュジーヌと人間の共存を叶えようとする彼女の夢を支えようと思うようになっていた。
しかしそれをよく思わぬ旧勢力が暴動を起こしカロレが自決した事件においてその犯人を私刑で殺害し、有罪判決を受けて残りの一生をメロピデ要塞で過ごす。
法廷ではヌヴィレットに怒りをぶつけるがこれも演技でありヴォートランはヌヴィレットが公正に自分を有罪とすることを信じていた。
メロピデ要塞に送られた後、立場も力も弱い軽犯罪者たちの協力組織である「助け合いの会」を創設して彼らの身の安全の確保と更生のサポートに尽力した。
パシーフ
世界任務「エリニュスのはぐれ精霊」に登場した、メリュジーヌのような謎の存在。
外見はメリュジーヌそっくりだが、フォンテーヌ廷やメリュシー村を知らず、アビサルヴィシャップと仲が良く、
ヌヴィレットによってメリュジーヌたちが近づくことを禁じられているはずのエリニュス島の奥で活動するなど、明らかに普通のメリュジーヌではない。
人間語は「あの客」なる人物に教えてもらったとのことだが、肯定を「パシーフ」、否定を「メリュジーヌ」と言う独特の言葉使いと付属語をほとんど使わない片言で会話する。
パシーフという名前も旅人とパイモンとの会話の中で自分に付けられた呼び名*54を気に入って名乗り始めたものであり、本名は不明。
「あの客」のためにエリニュス島の地下水脈から獣域ウルヴスを追い出すことを旅人に頼み、事態が解決するとお礼として水中で見つけた宝箱などを渡した。
その後もタイダルガと幽林の枝を対価に特産品や宝箱を旅人にくれたが、すべて交換し終えると何処かへ旅立っていった。
考察

恐らく正体はヴィシャップマン。
体色や瞳孔の形状はアビサルヴィシャップ・原種とそっくりであり、メリュジーヌがもとから様々な体色の持ち主であることを考慮すると、
瞳孔を除けば人間と全く区別がつかないというヴィシャップマンの伝承と概ね一致する。
パシーフ(Pahsiv)を逆から読むとvishaP=ヴィシャップであり、「パシーフ」が肯定、「メリュジーヌ」が否定になるのも、
自分はヴィシャップ(パシーフ)であり(肯定)、メリュジーヌではない(否定)ということだと考えられる。
「あの客」については、「水脈を味見することで情報を得てフォンテーヌを守っている」とのことで、この時点で誰だかすぐに察せられるが、中国語にすることでよりはっきりと推測できる。
中国語で「あの客」は「那位来客(Nà wèi láikè)」、水元素に高い感応力を持つ人物(ヌヴィレット)は「那维莱特(Nà wéi láitè)」であり、発音が酷似している。
パシーフが人間語に不慣れなために「あの客」になってしまったのだろう。


*1 「慈水怒濤の翼」ストーリーでは「天空の島の使者」「統率者」「君主」、ヌヴィレットのストーリーで「外来の僭主」など様々に呼ばれている。
*2 「純聖な雫の昇華」ストーリー
*3 あるいは予言や天理に関する情報収集か?
*4 ただし溶けた段階で融合してしまうため、一個体としての自我は失われる
*5 日本では英語形の「ミューズ」としてよく知られている。
*6 ver3.8のスタンプに描かれているよわよわ純水精霊も多分彼女。
*7 「慈水怒濤の翼」アイテムストーリー
*8 聖遺物「諧律奇想の断章」ストーリーより。「大地より古い廃墟」とあるので、統一文明の遺跡だった可能性がある。
*9 「黄金の夜の喧騒」
*10 無垢な海の銀盃
*11 分厚い実験報告書
*12 なお、中国語原文や英語訳を見る限り、「静水流転の輝き」の日本語訳で「高天が万水の女主人を古の幽閉へと再び戻し、それを引き継いだ黄金の君主」とあるのは誤訳と思われる。
*13 エリナス襲撃時の学院閉鎖の決定、学院移転先の選定、ルネやジェイコブの入学審査
*14 作り出したあとジェイコブが最初に行う必要があったのが言語教育であるなど、記憶や人格を受け継ぎつつもかなり変質していることがうかがえる
*15 エドワルドとポワソン町長のルノーが並んで写っており、それぞれの子供同士も仲が良さそう、など
*16 ルネやジェイコブが水仙十字院に入るより前のカーター・シェルビウスがいた時期からすでに水仙十字院の副院長をやっており、この事件の時点ですでに退役済みだったと思われる
*17 正確なフルネームはVer4.3時点では不明
*18 トンプソンと思われる
*19 旧貴族時代のモンドにおいて貴族でありながら義賊となったパルジファルをモデルにしたと思われる
*20 かつてフォンテーヌに存在した劇場。何らかの原因(エリナスの可能性が高い)で崩壊し、その後エピクレシス歌劇場が建設された。
*21 Doge。イタリア語で総督・統領を意味する。ペトリコール町においては町長とほぼ同義
*22 カッシオドル当人と思われる。この時は人の姿をしていたようだ。
*23 ボエティウスまたは「フォボス」と思われる。
*24 右目は虹彩が水色、瞳孔が紫色。左目は虹彩が紫色、瞳孔が水色となっている。
*25 したがってフォンテーヌの高度な機械の大半はフォンテーヌ外では動かない
*26 出発前のキャラバン宿駅でのディシアとの会話を謎のフォンテーヌ人が盗み聞きしていた。その人物は第一幕でフリーナの近くに立っていたが、フリーナの長台詞を飛ばすとカメラに映らないので、一部のプレイヤーは気付かなかったかもしれない
*27 厳密にはウェンティが序盤でわずかに姿を表しているが
*28 このせいでゴシップ誌『七国四海ポスト』では男性メリュジーヌではないかといわれてしまっていた。
*29 そもそも龍王たるヌヴィレットには不要なものである
*30 また本人曰く、このほかに「表向きの最大の目的である神の心の入手を達成させることにより、ファデュイのフォンテーヌ政府への介入の名目を失わせる」という意図もあったとのこと
*31 「一番若い神」と説明しているが、改変前の発言という前提なのか改変後だが天理の配下にないため世界樹の影響を受けなかったのかは不明(元素龍が世界樹の影響下にあるのかはVer4.2時点でははっきりしていない)。前者の場合幽閉下でナヒーダの性格をどうやって知り得たのか、後者の場合ごく最近の行動をどう把握したのかなどいずれにしても疑問が残る。ボイスの「草の神について…」はどちらともとれるような話し方となっている。
*32 地中海西部、南北に並んだ二つの島のうち北側の方(南はサルデーニャ島)。有名な出身者にナポレオン・ボナパルトがおり、コルシカ語の訛りが抜けず苦労したというエピソードが残されている。
*33 意味はそのまま「薔薇の棘」。ちなみにこれをイタリア語に訳すと「spine di rosa」。
*34 この当時「イタリア」という国はまだ無く、統一イタリアができるのはおよそ100年後の話である
*35 魔神任務4章2幕の裁判シーンでのイメージイラストより。
*36 科学院の事故の影響で現在は廃線
*37 クレメンタインは難産によりナヴィアを出産した後に亡くなっている。
*38 女性を誘拐して原始胎海の水で溶かし、人体実験を行っていた
*39 原始胎海の水を薄めてロシとして売っていた
*40 ヴェニールの意識はヴァシェの原始胎海の水による凶行を目の当たりにし失望、自身の意識を彼から遠ざけていた。さらに原始胎海の水により溶かされた数多の犠牲者の意識、最後は「ヴェニール」により呪殺された
*41 本来は旅人なしでも確保できると思われるが、「我々の組織はけじめをつけた」と旅人に見せつけることが動向を依頼した理由と思われる。
*42 ただし元は純水精霊であるフォンテーヌ人に、どういう経緯で亜人種が現れどう遺伝したのかは謎である
*43 おそらくマシナリー関係の部品
*44 リオセスリ曰く「不毛の味」
*45 詳細は不明だが、ヴォートランと共に授与された平和勲章が「燃えてしまった」とヌヴィレットが言及しており、焼身自殺を選んだ可能性がある。
*46 スチームバード新聞カメラマンのアンティラによると、フォンテーヌで優秀な市民に送られる名誉市民の称号「勲功爵」の序列のうち、最上級が「公爵」であり、この地位の人に取材するのは非常に難しいらしい。
*47 健全に成長した子供は他の貴族に高値で売り払う一方、問題児やこの事実に気付いた子供は容赦なく「消し」ていた。
*48 大量の特別許可券を稼いだり模範囚として過ごしたりしてある程度の支持を集めた上で、その特別許可券の(おそらく正当な理由なき)全没収という前管理者による横暴を逆手にとって、彼の胸三寸で決まる管理体制に対する不信感が爆発するよう扇動した。
*49 ちなみに、メロピデ要塞の存在自体は割と早期に明らかになっていた(それぞれ、ケルベロスを掲げた重要施設の存在がリネ等の紹介画像背景、名称が煙緋の2023年誕生日メール)ため、PV公開によってリオセスリの衣装が明らかになった時点で、彼とメロピデ要塞を結びつける考察が少なからずなされていた。
*50 ユーフラシアの英語版の名前はそのまま「Euphrasie(ユーフラジー)」である。
*51 「決闘!召喚の頂!」未参加のプレイヤーの場合、この時初めて会ったという内容に差し替わる。
*52 Doge。ドージェとも。イタリア語で総督、統領などの意。
*53 「流行り廃り」の概念を知らなかったためか、稲妻城下で何かが流行するたび片っ端から身に着け続け、最終的に千織が「バケモノかと思った」と言うほど大量の装飾品まみれになっていたらしい。
*54 会話中に登場した「パシーフ」という単語がこのメリュジーヌ?の名前だとパイモンが勘違いした