零戦二一型
Last-modified: 2024-04-19 (金) 14:04:47
基本データ
入手方法
性能や運用について
- 日本空母の標準装備となる戦闘機。
- ライバルのF4Fとは対空が1高く、ボーキサイト消費が少ない分こちらの方が上。とはいえ戦闘機は元々損耗が少ないので誤差程度だが。
- 17年4月2日の性能調整にて、対空+1の上方修正を受けた。*1
元ネタ解説
- A6M 零式艦上戦闘機。零戦(ゼロセン、レイセン)の通称でも有名な、日本海軍の主力艦上戦闘機。
- 三菱重工業が開発し、中島飛行機でもライセンス生産された。制式採用は1940年であり、その年が皇紀2600年に当たることから、下2桁の「00」を取って零式と命名された。
- 格闘戦能力が重視され、極端なまでに軽量化された機体が特徴。
旋回性能の高さから格闘戦では同世代の戦闘機でも群を抜いており、操縦性も良好だった。さらに抜群の航続距離を有していた。
前型である九六式艦上戦闘機と比べると格闘性能は落ちており、ベテランからは少なからず不満はあったという。
- 軽量化に拘るために、機体の材質の強度を高める工夫を行った。
試作機の段階で何度も空中分解を起こしており、その度に構造強化が行われたが、理論と実機がまだまだ追いついていなかった。
軽量化のために、骨格に多くの肉抜き穴を開けたり、空気抵抗を減らすために複雑な工程を行ったため、大量生産に向かない設計になった。
しかし、艦上戦闘機であるため、空母分生産できれば十分なので当初は問題にはされなかった。
- 九七式艦上攻撃機に次いで二番目に引き込み式主脚を採用。油圧で上下する。
零戦は尾輪も引き込み式である。
- 主翼には軽量かつ丈夫な新しいアルミ合金である超々ジュラルミンが採用された。
- エンジンは中島 栄 12型を採用。その後性能向上型のエンジンを搭載した派生型が次々現れるが他国の新鋭機には敵わなかった。
- 主武装は7.7mm機銃2門と20mm機銃2門を搭載した。7.7mm機銃は対戦闘機、20mm機銃は双発以上の爆撃機を撃墜するために使われた。
- 20mm機銃は威力こそ絶大だったが弾道のクセが強い上に弾数が60発と少ないため、命中精度が悪かった。一方の7.7ミリは頑丈なアメリカ軍機相手には威力不足であり、コクピットを直接狙うなどしなければ致命傷を与えることは困難だった。改良型では13.2mm機銃を導入したり、20mm2号機銃を載せることで対策が取られている。
- 元々軽量化を優先していたため、防弾燃料タンク、防弾板、防弾ガラス、自動消火装置などの防弾装備は搭載されていなかった。
この問題はパイロットから指摘されており、五二型以降から装備されるようになっている。
また大出力エンジンの開発が遅れたことも防弾対策が遅れた要因の一つでもある。
- 当時の日本の技術では攻防走全てを追い求めるのは難しく、20mm機銃の火力や機動性で防御を補うという選択を取らざる得なかったため、防弾性能は開発段階から優先度が低かった。
- 通信装置として、九六式艦戦同様に九六式空一号無線電話機を搭載していた。しかし、信頼性が壊滅的で、連携行動が取れなかった。中には「どうせ使えないなら邪魔だし、外した方が軽量化出来る」として無線機自体が取り外されてしまった例も少なくなかった。
しかし、ミッドウェー海戦での戦訓として「直衛機は電話を工用し、制空隊・直衛隊の電波を同一となすの要あるものと認む」とされており、通信装置の重要性は理解されていた。
のちに三式空一号無線電話機を搭載、米軍は自軍の無線機と同等の性能を持つと評価している。
- 零戦と言えば格闘戦と呼ばれるほど格闘性能による逸話は多い。
当時の他国の戦闘機より縦・横の旋回性能は高く、上背面飛行(逆さま状態)でのエンジンストールの問題もなかったため、運動性能は非常に良好だった。
- ただし、低速域での操縦性を重視した設計なので、高速走行時(400~km/h)は極端に舵が重くなり、操縦性は劣悪だった。
また、この運動性能は後継機開発にも大きな影響を与えた。他国の新鋭機が一撃離脱戦法のために高速時の性能を求めたの対し、日本のベテランパイロットは日本の新型機に格闘性能を要求していた。
- 速度は高度4700mで533km/hで同期のF4Fの630km/hと比べると劣っていた。また急降下制限も厳しく629.7km/hであり、一撃離脱戦法を徹底されると厳しい戦いを強いられた。
機体強度の低さは試作機の時点で露呈しており、量産後も空中分解を起こしてパイロットが殉職した事例が存在する。
- 軍からの要求もあり、航続距離は戦闘機としては群を抜いて広かった。増槽を積んだ状態で最大3350kmを飛行できるその長大な航続距離は爆撃機や攻撃機の護衛ができるなど運用上多くのメリットを生んだ。
反面、パイロットに長時間飛行を強いる作戦が度々行われてしまう要因にも繋がっている。
- 完成した時点で機体設計に余裕がなく、拡張性が低かった。このため、他国の戦闘機のように戦局・時勢に応じた改造などが難しかった。
また、欠点の多くはパイロットの技量でも補えるものだったため、太平洋戦争の開戦当初はさほど目立たなかったという面もあると思われる。しかし、それらのパイロットが枯渇した大戦後期にはこれらの欠点を露呈することになった。
事実、サッチウィーブの考案者として有名なジョン・サッチ氏はアクタン島で鹵獲された本機に試乗した際、「ベテランパイロットにとっては良い飛行機だが、そんなパイロットがいなくなったら命運は尽きるだろう」と評している。
- 戦後に創作された「零戦神話」で持ち上げられたのもあって「世界最高レベルの傑作」扱いする声もあるが、実際には問題点も多い兵器であり、最高傑作扱いは些か持ち上げすぎであろう。
だがそれでも、日本の意地と底力を示した航空機であることは間違いない。
- 多くの欠点は、後期型となる零戦五二型などである程度改良されていったが、基本性能の古さは覆すことはできなかった。
- 1940年7月、日中戦争にてデビュー。この時は13機が出撃し、中国軍の旧式機33機を相手に被撃墜ゼロの完勝を収めて華々しいデビューを飾った(ただし、この時点でパイロットからは防弾不足が指摘されていた)。
その後も中国大陸では対空砲火による僅かな被撃墜を記録したのみで、空戦で撃墜されることはなく、一方的な勝利を収め続けた。
- 太平洋戦争の緒戦でも連合軍機を次々と撃破し、圧倒的な勝利を収め続けた。
アメリカ軍の主力機F4Fを相手にも優位に立ち続けたが、これはF4F側が零戦の得意(かつF4Fの苦手)な格闘戦に乗り続けた結果でもあった。
その後アメリカ側も研究を重ね、一撃離脱戦法の徹底や、2機1組の編隊連携戦術「サッチウィーブ」の普及により、F4Fでも互角に戦えるようになっていった。
- その後、一撃離脱を徹底し「ペロ八」から「双胴の悪魔」と化した陸軍のP-38、海軍のF4UやF6Fが登場すると、ベテランの消耗も相まって零戦の優位は完全に覆されて劣勢となっていった。
前述のように余裕のない機体設計に加え、新型の高出力エンジンの開発も遅れたことから、これらの新型機に対抗する強化が出来なかったのである。
- 1943年後半からは後継となる零戦五二型が生産され、そちらに切り替えられた。
しかし後継機の開発が遅れたため、零戦自体は終戦まで主力であり続けた(後継開発が遅々として進まかなったため)。
- 零戦は全体で10000機以上が生産された。その間に多くの改良型・派生型が生み出されている。
- 十二試艦上戦闘機(A6M1):試作機。エンジンは栄が正式採用前だったため三菱の瑞星一三型(740hp)を搭載した。2機が製造された。
一一型(A6M2a):3号機以降の量産機。艦上機だが着艦フックは付いておらず、完全な陸上型。64機製造。
二一型(A6M2b):一一型をベースに艦上機として本格的に量産されたモデル。栄一二型(940hp)を搭載。翼端を50cm折りたたむ機能、着艦フッなど艦上機用の装備を追加。3561機製造。
三二型(A6M3):初の改良型。栄二一型(1130hp)に換装。20mm機銃の弾薬を60→100発に追加。翼端を50cmずつ短縮し運動性能を上げたが、翼内燃料タンクが減り航続距離が短くなった。米軍からはHampと呼ばれた。343機製造。
二二型(A6M3):翼内燃料タンクを増やすために翼幅を元に戻したモデル。運動性能は落ちている。配備される頃には前線基地が完成し、航続距離を増やす意味はあまりなかった。甲合わせて560機製造。
二二型甲(A6M3a):20mm機銃を改良型の九九式二号三型に換装したモデル。
五二型(A6M5):二二型の発展型。翼幅を三二型と同じ長さに戻した。翼内燃料タンクに自動消火装置を追加。排気管を推力式単排気管に変更し200kg増ながら20km/h最高速を伸ばした。五二型全体で6000機製造。
五二型甲(A6M5a):九九式二号三型20mm機銃を九九式二号四型20mm機銃に換装したモデル。翼内スペースが増え、100→125発に増加。主翼の強度を高め急降下制限を666.7km/h→740.8km/hに伸ばした。
五二型乙(A6M5b):右主翼の九七式7.7mm機銃を三式13.2mm機銃に換装したモデル。前部風防に45mm厚の防弾ガラス、座席の後部に8mm防弾鋼板を装備可能にした。
五二型丙(A6M5c):武装と防弾装備を強化したモデル。九七式7.7mm機銃を撤去し、三式13.2mm機銃を3丁追加。座席後部に55mm防弾ガラスを追加。またロケット弾が積めるようになった。
(A6M5d-S):五二型を改修した夜間戦闘機型。操縦席後部か胴体左舷に九九式二号四型20mm斜銃を一つ追加。
五三型(A6M6):五二型丙の改良型。栄三一型(1150hp)に換装。防弾燃料タンクを追加。量産には至らなかった。
六二型(A6M7):五二型丙に250kg爆弾を搭載できるようにした戦闘爆撃機型。栄三一型甲(1130hp)を搭載。大型爆弾での急降下爆撃をするために構造強化と外板厚増加を施した。
六三型(A6M7):五三型に250kg爆弾を搭載できるようにした戦闘爆撃機型。栄三一型(1150hp)を搭載。大型爆弾での急降下爆撃をするために構造強化と外板厚増加を施した。
五四型(A6M8):五二型丙の改良型。金星六二型(1560hp)に換装。エンジンの大型化に伴い機首の13.2mm機銃を撤去。試作機2機のみ
六四型(A6M8):五四型の戦闘爆撃機型。生産中に終戦。
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