ストーリー要約/魔神任務/間章/第三幕

Last-modified: 2024-03-06 (水) 19:29:25

時系列:魔神任務第3章第5幕→エピソード 放浪者「灰燼」→伽藍に落ちて→放浪者が登場する他の全コンテンツ

夜を飛ぶ鳥は三段へと落ちる

血縁者の情報を得るため、パイモンと共に再びスラサタンナ聖処に行きナヒーダを訪ねることにした。途中、ある話題について話し合っている人たちを見かけた…

旅人がスメールを散策していると、稲妻のたたら砂について議論している「アカバ」と「澤田」が居た。興味を持った旅人は話を聞いた。
約400年前のたたら砂で、御輿長正という人物が名刀を打った。しかし彼は刀を溶かし、さらには部下である桂木を殺した。
その事件を記録した資料では、他に特異な格好や行動をした人物を指す「傾奇者」という存在に言及されており、傾奇者が姿を消した時期に御輿長正の事件が起こったとされている。
この関連性を疑った一行は、同時期さらに雷電五箇伝の一家系である「丹羽」が失踪したことを調べ上げた。
更に重要な点として、たたら砂に現れた傾奇者は「人形」であるという情報が見つかった。

稲妻の「人形」に旅人は心当たりがあった。人形の一体である雷電将軍は稲妻を統治していることから、その人形は「散兵」だという結論が出た。
この事実を学者らに話すわけにもいかず、話を終え歩いていると…
幽閉されているはずの「散兵」が、スラサタンナ聖処に向かって歩いているのが見えた。驚いた旅人は彼の後を追い聖処へと向かう。
聖処ではナヒーダと散兵が待っており、ナヒーダが取引によって彼を釈放したことを説明した。その取引とは、ファデュイの任務で世界樹に詳しい散兵が、ナヒーダの代わりに世界樹で降臨者の情報を探すという内容だった。
意外にも従順な散兵と共に、旅人は世界樹内部へと入ることになる。
世界樹で彼が情報を探していると、「無名のデータ」が存在することに気づく。その内容はかつてのたたら砂であり、先述の丹羽がフォンテーヌ人と話している場面が記録されていた。

自称フォンテーヌのエンジニア「エッシャー」は、当時たたら砂に新技術を導入した。それは高効率での鍛造を可能とする一方、怪しい穢れによって死人も出ていた。日々その危険は増していくものの、助けを求めに行った人は誰一人として帰ってこなかった。
たたら砂の最高責任者である丹羽久秀は、自らの命を賭けて炉心を停めに行こうとした。その前にエッシャーを問い詰め、その身分と目的を暴こうとした。
しかしそのエッシャー… ファトゥスの「博士」はその場で丹羽を殺し、その心臓を取り出した。その心臓は彼の手により装置に組み込まれた。
そしてエッシャーは、炉心の穢れを吸収するその装置を傾奇者へと渡した。彼は丹羽が失踪したと偽造し、彼が代わりに炉心を停めるよう説得した。
傾奇者は装置に守られ、炉心を停めることに成功した。傾奇者がその装置の中身を尋ねると、そこには人間の心臓が入っていた。
失踪した丹羽が傾奇者への贈り物として、彼がずっと欲しがっていた心臓を、罪なき部下から奪って渡したという説明を受けた。
それを聞いた傾奇者は、怒りと悲しみから心臓を叩きつけ、たたら砂を去った。
その「裏切り」が、約100年前の雷電五箇伝への復讐に繋がった…

事の真相を知った散兵が落ち着くまで見守り、その後旅人が声をかけると、彼は世界樹での検索結果を伝えてくれた。
世界樹に目的の情報はなく、やはり世界樹は降臨者を記録しないことがわかった。しかし散兵は個人的に知っている情報を旅人に伝えた。
旅人の肉親は「天空」が召喚に応じ、カーンルイアに降臨した。世界樹に彼女(彼)の情報が記録されているのは、彼女(彼)がカーンルイアに降臨したことが理由かもしれない、と。

この情報の対価として、散兵は外部と遮断した空間を作り出し、旅人と意識を接続した。彼は旅人に対し、テイワットの歴史が変わったことがあるかを尋ねた。
マハールッカデヴァータの件を知る旅人は驚き、言葉に詰まった。それを答えと受け取った散兵は、世界樹内部の奔流へと飛び込んだ。
残された神の力を使い歴史から「散兵」と「傾奇者」を消すことで、エッシャーの行動を変え丹羽や桂木の死を覆そうとした。
想定していない自体にナヒーダが対処する中、彼女の指示で旅人はひとまず休むことになった。

マハールッカデヴァータの件を知らないパイモンは、散兵がしようとしたかもしれないことを旅人に尋ねた。
「歴史から自分を消そうとしている」という旅人の回答に対し、パイモンは驚いて花瓶を割ってしまう。その後もパイモンが怖がっていると、途中でパイモンが「スカラマシュ」を忘れてしまった。

乱世輪舞

世界樹の内部にいた散兵の行動が、思いもよらぬ結末を引き起こした。そして、あなたは唯一の目撃者である。その変化を確かめるために、あなたは稲妻へと向かった…

散兵が変えた歴史の影響を調べるため、旅人は稲妻に向かった。
旅人の友人らに影響はなかったものの、かの「傾奇者」や「国崩」は歴史から消えていた。
現在の歴史では、丹羽と妻の楓原が命を賭けて炉心を停めたことになっていた。その事件で一族が没落し、孤児となった息子は無関心な雷電将軍を憎み、彼の父を救わなかったすべてのものを憎み、稲妻を憎んだ。
その憎しみは代々継がれていき、不況だった末裔によって約百年前に復讐が行われた。攻撃を主導し刀工を殺していったが、楓原家を狙った際に反撃されその場で殺害された。

比較

本来の歴史では、丹羽の子孫は約百年前に楓原家に養子へと入った。
そしてその子供である楓原義慶が、楓原家当主として「国崩」と対峙した。
国崩とは散兵のことであり、彼が雷電五箇伝を破滅させた。
しかし楓原家を襲った際、義慶が丹羽の血を継いでいることを知ると、攻撃を辞め去っていった。

幕切——傾奇の末

様々なことがあって気持ちが沈んだ。スラサタンナ聖処に戻って、これらのことをナヒーダに伝えることに決めた…

スメールに戻るとアカバらに再会した。彼らが書いた文章を再び読むと、その文章全てから「傾奇者」の記述が消え、代わりに「機械職人」としてエッシャーが記されていた。
そしてナヒーダに会うと、やはり彼女もスカラマシュを忘れていた。旅人はナヒーダらに対し、彼が消した一生を説明した。

この世にはかつて「散兵」という個体があった。彼は雷神の造物であり、人形の身で世に流落した。
たたら砂の様々な出来事のあと、三度裏切りに遭ったと思い込んだ「散兵」は稲妻を離れ、放浪を始めた。
彼は人間をまったく信じず、神を徹底的に憎んだ。
幾百年も恨みを抱え、己を鍛錬し稲妻へ戻り復讐を成し遂げようとした。
彼は神の心を頼みに神の座に登ろうとしたが、最後の一歩で阻まれた。
その後、彼は世界樹の内部に入り、自らが裏切られたことについての真実を知った。
彼のすべてを作り上げたのは欺瞞だった。そして最後に、彼はこの不幸な悲劇を消し去るため、最も狂気的な行動を取った…

降臨者である旅人の話を聞き、ナヒーダもある異変に気がついた。彼女が作った童話の中に、彼に関する物語が記されていた。
この童話はナヒーダが以前、散兵の記憶を童話で包むことで世界樹の改竄に耐えれるよう保存した。そして今この記憶を呼び覚まし、再び彼について思い出した。

童話内容

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野狐の皮を被った猛獣が、狐の群れに紛れていた。彼らは昼夜を共にし、互いを友と呼び合い、仲睦まじくしていた。
偶に、猛獣は夜になると狐の皮を脱ぎ、水中の自分に向かって嘆く。自分はこれほど不自然な存在なのに、彼らは愚かでそれを見抜けない。実に残念だ、と。

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しかし猛獣はすぐにその考えをやめた。なぜなら狐の群れにいる異類は彼だけではなかったのだ。もう一匹、白い樹から彫り出され、人に見捨てられた子猫がいた。
子猫は狐になりたかった。だけど子猫の尻尾は細くて短く、色鮮やかな毛並みを生やすこともできない。他の狐はそれを見ると、こう慰めた——だとしても、君は僕たちの仲間だ。

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猛獣はそんな馴れ合いを嫌い、山の中で火をつけた。動物たちはひどく怯えた。大きな火を消すには、犠牲を払う必要があるからだ。
一匹の灰色の狐が前に出て、猛獣と話をした。曰く——君は頭がいいから、きっと僕たちを救う方法を思いつくはずだ。
猛獣は微笑みながら灰色の狐を火のそばに連れ、殺した。灰色の狐の心は、透明で美しい無垢な雫に作り上げられた。

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猛獣はその雫を子猫に渡し、こう伝えた——みんなお前を犠牲にしようとしている。これを持って、お前の狐の仲間たちのために、死にに行くといい。

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火は消された。子猫はそこを離れ、翼の折れた小鳥と共に暮らした。

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彼らは互いに寄り添うことを約束した。しかし小鳥の寿命はあまりにも短く、すぐに息を引き取った。子猫は小鳥を埋葬し、その山を離れた。

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…それから子猫は、山におけるすべての葉っぱも、すべての動物も愛すことはなかった。彼はいくつもの夜を彷徨い、月に向かって牙を研いだ。
子猫は月を食らい、すべての月光を噛み砕きたかった。すべてが暗黒に戻れば、彼は快楽と安心を感じられる。

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「僕は新たな月となり、みんなにとって唯一の存在となる。そうすれば、この世に鳥や狐、猫がいたことを知る者はいなくなる。その違いを知る者さえ。」

複雑な気持ちで悩む旅人に対し、ナヒーダとパイモンはグランドバザールで休憩するよう提案した。
旅人はマハールッカデヴァータの件を思い出し、世界樹から自己削除ができないということを思い出した。そんな中、旅人の目の前に見覚えのある人影が現れた。
服装や口調は異なるものの、顔は間違いなくスカラマシュ。そんな彼は敬語で店番をやっており、「放浪者」を自称した。
旅人は彼をナヒーダの元へと連れていき、現在の状況を濁して説明した。彼は「前生」の自分についての真相を知りたいと言い、ナヒーダは概要を説明した。そしてナヒーダは保存した記憶から夢境を作り、彼に前生の自分を体験させた。

秘境「漂う記憶」

夢境は最初、散兵が雷神に安置された秘境「借景ノ館」を再現した。
かつてここで桂木は散兵を拾い、たたら砂へと連れていった。
たたら砂で彼は傾奇者として暮らすことになったが… 炉心の事件で傾奇者はそこを去った。
その事件の責任は第二責任者の御輿長正が背負うことになったが、長正には御輿家の汚名を濯ぐ責務があった。かつて長正に助けられた桂木は長正に忠実を誓っており、自身が代わりに責任を負い、長正に自分を殺させた。

たたら砂を離れた彼は、幼くして両親を亡くした名がない子供と暮らした。しかし両親と同じようにその子供も病気であり、幼くして病で亡くなった。
(エピソード 放浪者「灰燼」の回想シーンはここに繋がる)

その後「道化」が彼を招き、彼はファデュイへと加入した。

夢境を進むと、今度は邪眼工場に辿り着いた。
そこでは今は亡き「淑女」が散兵と会話している様子が映し出された。彼女は彼に邪眼工場を任せ、祝賀会で会う約束をした。
(魔神任務第2章第3幕の任務「邪眼」の直前)

さらに夢境を進むと、スメールの降神工房に辿り着いた。
「博士」、アザール… 今まさに創神計画が始まろうとしている場面が映し出された。
(魔神任務第3章の開始前)

「放浪者」は自身の過去と罪を受け入れ、その記憶を取り戻す決断をした。
ナヒーダはそれに答え、「彼」の全ての記憶を彼に返した。

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荒れ狂う記憶が放浪者の心へと戻った。「散兵」としての様々な出来事が次々と頭に流れ込み、この強烈な衝撃を受けた彼は言葉にできないほどの苦しみを味わった。あなたとパイモンが心配していると、記憶の深いところに存在し、かつてスメールに巨大な脅威をもたらした偽りの神「正機の神」がここに再び姿を現し、あなたたちに攻撃を仕掛けた。しかし放浪者は記憶に苛まれ、身動きが取れない。そんな危険を前に、あなたは身を挺して「正機の神」と戦うことを選んだものの、「正機の神」の攻撃は執拗で、危機に陥ったあなたはついに攻撃を避けられなかった。しかし、煙が散った後に、そこに立っているあなたは無傷だった。
なぜなら、ある人影がそのすべてを受け止めてくれたからだ。記憶を取り戻した放浪者が、「前生」の「散兵」と一つになったのであった。そして彼がその一撃を受け止めるのを助けたのは、なんと「神の目」であった…

朝露のように

人形はとっくに本来の名前を捨てた。「放浪者」という称号が示すように、彼は名も無き者になった。

記憶を取り戻した「散兵」は、身分と共にその名を捨てることを選んだ。
彼はナヒーダや旅人の仲間となることを選び、ナヒーダの提案で旅人が新たな名をつける事になった。

ここでプレイヤーが放浪者に名前をつける

人形はとっくに本来の名前を捨てた。「放浪者」という称号が示すように、彼は名も無き者になった。「傾奇者」、「散兵」…過去の様々な出来事は朝露のように、やがて陽の光を浴びた瞬間に消えていく。

世界樹にあった「無名のデータ」はナヒーダが仕組んだものであり、彼女は最初から彼を仲間にするつもりだった。しかしそれを強要するのは博士と同じであるため、まず過去の真相を教えることから始めた。

放浪者は最後、ファデュイ、少なくとも博士に復讐することを誓った。
また雷電五箇伝の末裔に事実を告げることを選択し、例え刀で僕の胸を突き刺しても構わないと言った。

放浪者は去っていき、旅人とパイモンも宿で休憩する事にした。
宿に戻ると瓶は砕けたままだったが、パイモンは瓶が砕けた理由を忘れていた。歴史が変わってもなお瓶が砕けたままであることを疑問に思っていると、脳内に謎の声が響いた。

小さな動物が木にぶつかれば、木は揺れる。でも、傾きと位置が変わることは別の物なの、運命もそれと同じね。
まさに瓶が床に落ちるように、猫が割ったものでも、鳥が割ったものでも、割れたという結果に変わりはない。
歴史は簡単には変わらないけれど、人々の心は変わる。自分の目を信じて。目に見えるものこそが真実であり、見えないものはすべて虚幻よ。
(この声は魔神任務第4章第5幕でも登場する魔女「ニコ・リヤン」)

疑問点・伏線など

疑問点

  • なぜ魔女が世界樹の影響を受けないのかが不明。魔女は降臨者ではないが、何らかの「特権」によって記憶することが可能な模様。誰がどのような特権を与えているのかは不明。
  • 記憶がない放浪者がどこで生まれ、どのようにスメールに来たのかが不明。
    • 放浪者の胸にある羽は雷電将軍が創造した身分を表すものであるため、出生自体は変わっていないと思われるが未確定。ただし借景ノ館は元の歴史では自力脱出が不可能だったため、どのように出たのか不明
    • 稲妻を出た時期やこれまでの行動なども一切不明。ただし多くのスメール人(プレイアブル)とは面識がないことだけは分かっている。
  • 道化が博士を稲妻に送ったり、散兵を味方にしようとした理由は不明。

伏線

  • 世界樹から歴史が消えたものの、本人の意思で雷電五箇伝の末裔が真相を思い出す(同時に放浪者と接触する)可能性がある。Ver3.6のテーマイベント「盛典と慧業」では、たたら砂を研究するアカバと接触していることが判明している。
    • 因論派にはイベント後も属している模様。
  • 「旅人の肉親が召喚され降臨した」という、本作の根本に関わるような設定が判明している。現時点ではこれ以上の詳細は不明。

考察

  • 神の目を授けた存在は彼のことを覚えていると考えられる。そのため神の目は俗世の七執政やパイモンではなく、天理を含む降臨者や魔女によって授けられるものの可能性がある。
    • ただし記憶を取り戻した散兵の強い意志に共鳴し、神の目が降りた可能性もある。他の一部キャラクターも危機的状況で神の目を授かっている。
  • ファデュイは独立した情報網を持っており、ナヒーダは世界樹とは別にそこを参照している。つまりその情報網は世界樹の改ざんに耐えうる可能性があり、ファデュイが散兵を覚えている可能性がある。
    • 事実ナヒーダや散兵も、ファデュイが彼を完全に忘れたとは断言していない。特にナヒーダは上層部が忘れているか不確定であるという旨の発言をしている。
    • 少なくとも一般兵や序列の低い「公子」は散兵を忘れている。(公子は神の心の件で囮となった前例がある)

*1 Ver2.0実装の秘境
*2 Ver2.3実装、過去~未来が記されており、国崩として明確に名前も出ている。
*3 Ver2.6テーマイベント。雷電五箇伝と散兵の関係がメインテーマとなっている