消えた月光に想いを馳せて

Last-modified: 2025-12-08 (月) 00:09:29

空月の歌 第四幕

放浪者_ショック.webpネタバレ注意!
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ナド・クライ:帰途? | 白銀の浪と蒼林の舞 | 塵と灯のエレジー? | 存在しない国? | 消えた月光に想いを馳せて | 北の果ての夜想詩 | 朝霧に散りゆく月光

LunaⅡ「消えた月光に想いを馳せて」.webp

|咆哮する狼は月光の跡を追い、人々の心は暗雲に覆い尽くされる。
古き過去が目の前で次々と蘇る…歴史が残した謎は今もなお、運命の奔流の中で多くの人を前へと突き進ませている。|

キャラクターネフェル ラウマ アルベド フリンズ ドリー アルレッキーノ ドゥリン ファルカ ヤフォダ ダインスレイヴ レリル 傀儡
NPCソリンディス、ヴェズルフェルニル、レインドット、フロプタチュール、スルトロッチ、ウーロ、フレル、レテヌ、アポピ、シヌヘ、アリーフ、ニザール、アンプおじさん、「少女」、マネト、カタユン

すべては予言

基地へ戻る

基地に戻った後、一行は次の行動について議論を始めた。その時、予想外の人物が加わってきた…
パイモンみんな大丈夫かな?順調だといいけど…
パイモンあっ、見ろ。ちょうど帰ってきたみたいだぞ!
パイモンフリンズ、ラウマ、そっちはどうだった?
ラウマああ、問題ない。ただネフェルとヤフォダさんは秘聞の館で情報の整理をしてるため、しばらく合流できなそうだ。
フリンズ帰り道で、イネファさんとアイノさんにお会いしました。調査は予定通り進んでいますが、もう少しかかるとのことです。
ラウマどことなく、表情が明るく見えるな?
フリンズええ。与えられた任務を終えただけでなく、良い出会いがありましたから。
(旅人) 良い出会い?
フリンズ戦いは退屈なものでしたが、この勇敢なお二人と知り合えたのです。
アルベド久しぶりだね。元気だったかい?
パイモンアルベド!どうしてここに!?
久しぶり。
(旅人) 久しぶり。
アルベド無事にキミたちを見つけることができて、よかったよ。
ファルカを探しに来たの?
(旅人) ファルカを探しに来たの?
アルベドああ。簡単に当てられてしまったね。
フリンズワイルドハントと戦っているときに、偶然こちらのお二人に助けていただいたのです。ファルカさんの同僚だと聞きましたが、さほど驚きはありませんでした。
フリンズ優れた人というのは不思議と同じ時に現れるものです。あなたたちが知り合いであることも意外ではありません。
パイモン「こちらのお二人」?アルベドだけじゃないのか?
アルベドほら、みんなに挨拶するんだ。
???……
フリンズこちらの物静かな紳士もご友人なのでは?
(旅人) その角…まさか…!?
???初めまして…いや、久しぶりかな…
パイモンおまえ…ちびドゥリンか!?
ドゥリンうん、そうだよ。会えてよかった。
アルベド本人によると、もう「ちび」はつけなくてもいいみたいだよ。
ドゥリンもう小さい子供じゃないからね。
アルベド面白いと思わないかい?人間社会への第一歩が、自分の名前と見た目が合っているか気にすることだなんて。
パイモンへへ…今のおまえいい感じだな。元気そうでよかったぞ!
ドゥリンパイモン、ありがとう。あらためてよろしくね。
パイモンおう!へへっ、じゃあ改名ついでにオイラのことは「偉大なるガイドのパイモンさま」って呼んでくれ!
(旅人) そのままでも大丈夫だよ。
パイモンはパイモンだし。
ラウマ私も元のままのほうが愛らしいと思うぞ。
ラウマ愛らしい者にしか、愛らしい呼び名は与えられない。そして、それは人との繋がりがあって初めて得られるものだ。
アルベドラウマさんの言う通り、弟はまだまだ「人との繋がり」というものを勉強する必要がある。
ラウマそういえば、クータル…コロンビーナさんは皆と一緒ではないのか?姿が見えないようだが…
パイモンコロンビーナなら、昔の友達とおしゃべりしてるぞ。お茶でも飲んでるのかもな。
「少女」私の話?あまり悪く言わないでね。
(旅人)(昔の同僚と会えたおかげか、ちょっと嬉しそう。)
フリンズ皆さんの表情から察するに、そちらの任務も上手くいったようですね。
ラウマずいぶんと大所帯になったな…霜月の子から椅子を運んでこよう。
アルベド大丈夫だよ。もし足りなくなったら、錬金術で作ろう。
「召使」お気遣い痛み入る。だが私はこちらの友人たちを送るために来ただけだ。どうかお気になさらず。
「召使」サンドローネと話したいことがあってね。後ほどまた会うことになっている。皆とはここでお別れだ。
ラウマ助力に感謝する。
(旅人) 助けてくれてありがとう。
「召使」真の友人であれば、互いに礼儀にこだわる必要はない。こうして親しく手を取り合えたこと、喜ばしく思う。
「少女」うん。またね、アルレッキーノ。
ファルカははっ、ずいぶんと賑やかだな。一人行っちまったようだが、それでも仲間で溢れてる。
フリンズもしかして、本当に椅子が足りなくなりそうでしょうか?
ファルカま、入ってみれば分かるさ。

基地に入る

ファルカ……
ダインスレイヴ……
ファルカ入り口で話してたことは聞かせてもらった。コロンビーナの同僚が帰ったんだろう?今ここにいるのは、元々いたメンバーと俺の同僚——
ファルカで、こちらは…誰の同僚なんだ?
(旅人) ごめん…
(私)たちを探しに来たんだと思う…
ダインスレイヴこの中で俺を知っているのは、旅人とパイモンだけだ。
パイモン紹介するぜ!こいつは偉大なるガイドのパイモンと、テイワット最強の冒険者の同僚…じゃなくて、友達のダインスレイヴだ。
フリンズ自ら名乗らず、人に紹介を任せるとは、さぞ高貴なお方とお見受けします。
ラウマ何か言いたげな顔をしておるが…
ダインスレイヴ(…先に名前を言われてしまった…)
パイモンダインがオイラたちを探しに来たってことは、なにか大事な用があるんだよな?もしかして、ワイルドハントのことか?
ダインスレイヴ…もしワイルドハントが俺たちの共通の敵だと言ったら、これから始まる会議に席を用意してもらえるか?
ファルカほう、同じ敵がお前をここまで導いたってことか。もちろん、大歓迎だ。
ファルカだがそうなると、椅子が足りないな。アルベド、用意してくれるか?
アルベド久しぶりに会うのに、最初の命令が「椅子作り」だなんて…懐かしいね。
ドゥリン…アルベド、本当に懐かしく思ってるのかな?
パイモンおまえのお兄ちゃんだろ?そういうのは、オイラたちよりもおまえのほうがわかるんじゃないか?
ドゥリンボク、まだ言葉を勉強中だから…アルベドの言い回しを完璧に理解するのは、ちょっと難しいんだ…
パイモンそっか。大丈夫だぞ、言葉って難しいからな。今の時点でドゥリンは十分すごいぞ!
(旅人) パイモンって…
褒めて伸ばすのが上手だね。
ラウマネフェルのほうはまだ終わっておらぬのか?
フリンズ様子を見に行ったほうがいいかもしれませんね。お願いできますでしょうか?ネフェルさんを呼びに行くのに最も適しているのはラウマさんかと。
ラウマ私は秘聞の館から戻ってきたばかりなのだが…それになぜ私なのだ?
フリンズネフェルさんは情報収集に長けている反面、何やら秘密を隠しているように思えます。そして彼女はおそらく、秘密を共有することを好まないタイプです。
フリンズそんな彼女の秘密に踏み込むなど…僕にはできません。
ラウマならば、私であれば問題ないということか?
フリンズ詠月使のあなたは僕よりも親しみやすい。それに女性同士ですから、僕が行くよりも会話が弾むでしょう。
ラウマそうか…ならば見てこよう。
ファルカあれで本当に行くとはな…文句を言うそぶりすらなかった。
フリンズ知恵というものは、他人に仕事を任せるときにこそ真価を発揮するものです。自分にお鉢が回ってきそうなときには言葉巧みに立ち回る——ラウマさんもいつかは知ることになるでしょう。
アルベドあるいは、そもそも「やらない」という選択肢もある。
フリンズええ。さすがアルベドさん、やはり聡明なお方です。
ファルカどうやら、会議を始めるにはまだ早そうだな。みんな少し休んでてくれ。
ファルカしばらく自由時間にしよう。忙しくなる前に、楽しくお喋りしとくといい。人が揃うまでな。

みんなと雑談を交わす

ドゥリン・「少女」・アルベド

ドゥリン・「少女」・アルベド

アルベド二人とも静かだね。なら、ボクが話題を提供しよう。
「少女」案内をお願いできる?
アルベド似顔絵を描いてもらったことはあるかい?もしなかったら、ボクに描かせてもらえないかな?
「少女」いいの?キミ、絵が得意なの?
アルベドちょっとだけね。
ドゥリンすっごく上手なんだよ。机も、椅子も、人も、龍も…全部そっくりに描けるんだ。
アルベドちょっと恥ずかしい…
「少女」機会があったら、私も描いてみようかな。
アルベドああ、それはいいね。さて、ドゥリンはどんな画風がいい?
ドゥリンボクは任せるよ。
ドゥリン好きに描いてほしいな…うん。
アルベド分かった。筆の流れに任せるとしよう。
「少女」どういう風に描くか、選べるの?
アルベド見本になる絵があったらね。好みの雰囲気に近づけるよう頑張らせてもらうよ。
「少女」ありがとう。ちょうどいい絵を探してみる。
ダインスレイヴ

ダインスレイヴ

ダインスレイヴ何か言いたげな顔をしているな。
パイモンナド・クライに来てるなんて知らなかったぞ!もっと早く声をかけてくれたらよかったのに。
ダインスレイヴいつものことだろう?
パイモンたしかに…それもそうだな…
(旅人) どこに泊ってるの?
パイモンあっ、そうだよな。おまえも宿かどっかに泊まってるんだろ!どうせなら同じ宿に泊まらないか?人数が多いほど割引してもらえるかもしれないし。
ダインスレイヴそうだな。それもよさそうだ。
パイモンよし、あとで聞いてみるぞ。
パイモンこれでダインがオイラたちのボディガードになってくれるな!やったぜ。
(旅人) パイモン、しーっ…
ダインスレイヴそれが望みなら、そう言えばいい。叶えてやらんでもない。
パイモンえっ…直接お願いしてもよかったのか…あはは…でも、今のは冗談だぞ。
パイモンあっ、同じ宿に泊まろうっていうのは冗談じゃないぞ。せっかくこうして会えたんだしさ。それに、なにかあったときはお互い助け合えるだろ?オイラたち、仲間とはいつもそうしてきたんだ。
ダインスレイヴああ…礼を言う。
フリンズ・ファルカ

フリンズ・ファルカ

ファルカこうも人の多い会議に参加するのは久しぶりだ。
フリンズ同じくです。僕の所属している組織では、あまり大勢で顔を合わせて話し合うことがありませんから。
ファルカはっはっは、だろうな。俺が知ってるライトキーパーといやぁ、お前とあの「イルーガ」くらいだ。
フリンズイルーガは優しくて誠実で、定期的に僕の灯台に物資を届けてくれます。どう考えても、僕よりも本物のライトキーパーでしょう。
ファルカほう、じゃあお前は「偽物」のライトキーパーってことか?別にそう言いたかったわけじゃないだろ?
フリンズ……
ファルカ……
ファルカおい、何か言えよ?気まずいだろ。
フリンズすみません、僕は無意味な嘘をつきたくないのです。あなたはもう、とっくに気づいているのではありませんか?
ファルカ……
フリンズ……
フリンズあなたも沈黙を選ぶのですね。
ファルカあー、なんだ。ここだけの話にしとこう。イルーガには言わない。
フリンズええ。若い友人に多くを語る必要はありません。
ファルカお前の正体を知ってるやつは他にもいるのか?見たところ、旅人とパイモンがそうだろ?
フリンズあまり鋭いと危険を引き寄せてしまいますよ。あなたなら分かるでしょう?
ファルカふっ、安心しろ。風神バルバトスに誓って、イルーガには言わん。
フリンズ…酒の席でバルバトスを親友だと言っていましたよね。その誓いは信じられるのでしょうか?
ファルカ当然だ。おっと、俺がバルバトスと仲がいいってことは誰にも言うなよ?
フリンズもちろんです。お互いに秘密を握りあうのも、ある種の友情と言えるでしょう。そういうのは嫌いではありません。

ネフェルと会話する

しばらく後…
ネフェル……
ラウマ……
ファルカおっ!待ちかねたぞ。ようやくおいでなすったか。
ファルカん?ヤフォダの嬢ちゃんはどうした?
ネフェルあの子なら秘聞の館で待機させてるよ。情報共有と会議が終わったら、月の狩人についてもっと詳しく調査するつもりだからね。そのほうが合理的だろ。
ファルカん?確か「今回だけ…次はない」って言ってなかったか…
パイモンしーーっ!せっかく誤魔化せてるのに、思い出したらどうすんだよ。
ネフェル……
ラウマ…ファルカさん、何か言ったか?
ファルカあ、ああ…いや何も言ってないぞ。なあ、フリンズ?
フリンズカエルか何かが鳴いたのでしょう。この辺のは特に元気ですから。夜中にコンサートを開くこともありますしね。
ファルカまあカエルのことは気にせず、本題に入るとしよう。これだけの顔ぶれが揃う会議で進行役を任せてもらったこと、光栄に思う。まずはそれぞれの立場を軽く整理してこう。
ファルカナド・クライの「霜月の子」の詠月使、ラウマ。秘聞の館のオーナーで優秀な情報屋でもあるネフェル。
ファルカネフェルは月の狩人の情報を調査中だ。ヤフォダとラウマは彼女のサポートに回ってる。顔を見たところ、調査は順調そうだな。
ファルカで、ライトキーパーのメンバーであり、廃棄された灯台の守護者、フリンズ。今回の作戦ではワイルドハントを引き寄せ、みんなのために時間を稼いでくれた。
ファルカそれから、西風騎士団調査小隊隊長兼錬金術師のアルベドだ。んで、こっちはそんなアルベドと一緒に俺を手伝いに来てくれた新たな友人のドゥリン。
ファルカそちらの嬢ちゃんが「月の少女」——元ファトゥスのコロンビーナだ。
ファルカセリフが見つかりませんでした
パイモンすんごい人数だな。今回の作戦は大掛かりだぞ!
ファルカああ、それとネフェルには新しい依頼が入るかもしれない。ははっ、繁盛してるようで何よりだ。
ネフェルこんな時に?誰からだい?
ダインスレイヴ俺だ。頼みたいことがある。
ネフェルあんたは?
ダインスレイヴそれは重要ではない。月の狩人の情報を調べた後、俺にも共有してもらえるか。
ネフェル秘聞の館は匿名の依頼を受け付けてないわけじゃないけど、あんたの依頼は断らせてもらうよ。だって、見るからに只者じゃない。受けたらこっちが損をしそうだ。
ダインスレイヴこの目のせいか?
ネフェルカーンルイア人なんだろ?仮面までつけるなんて、素顔を見せるのが嫌なのかい?とにかく、生き残りのカーンルイア人なんて、滅多にお目にかかれない相手だ。
ダインスレイヴ……
ダインスレイヴ俺はダインスレイヴ、カーンルイア人だ。月の狩人は元々レリルと呼ばれていた。このことは貴様も知っているだろう。そして、あいつは俺の…古い知り合いだ。
フリンズつまり、あなたも常人とは一線を画すお方なのですね。
ダインスレイヴさてな。それに今となっては俺の身分など何の意味もない。まずは、俺がなぜレリルの調査を依頼するのか、その理由だけでも話させてくれ。
ネフェル同じカーンルイア人で、古い知り合いってことは…昔は友人だったってところかね?なんで彼は五大罪人になったんだい?
ダインスレイヴ……
ダインスレイヴああ、俺の知る情報を共有しよう。カーンルイアの過去、五大罪人の名とその身分——すべて記憶しているからな。
ダインスレイヴこの話を人に語るのはこれが初めてだ。人々が言うように、五大罪人はそれぞれ欲望を抱いている。そして、アビスがカーンルイアを瓦解させ、彼らを堕とすために用いた手段が「欲望の増幅」だった。
ダインスレイヴ未来を読み解く「予言者」ヴェズルフェルニル。知識を司る「賢者」フロプタチュール。
ダインスレイヴ創造を渇望する「黄金」レインドット。力の極地を求める「極悪騎」スルトロッチ。
ダインスレイヴそして、狂気の中で月を噛み砕こうとする「月の狩人」——レリル。
ダインスレイヴ五人のうち、俺が唯一理解できないのがレリルだ。あいつに大きな野望があるとは思えない。だが、なぜ一晩で他のやつらと同じ道を辿ったのか?
ネフェルつまり、あんたにも彼がああなった理由は分からないし、その変化は突然だったってことだね?
ダインスレイヴああ。
ネフェルアビスが彼らを堕とした…ってのは、具体的にどういうことだい?その前後で何か事件でもあったとか?
ダインスレイヴ…いざ話すとなると、どこから始めるべきか…
ダインスレイヴあれはカーンルイアの黒日王朝時代のことだ。俺の兄、予言者ヴェズルフェルニルは黒王の命を受けて王宮へと向かった。だが、そこでヴェズルを待っていたのは、黒王に目を刺され、投獄されるというあまりに非道な運命だった。
ダインスレイヴこの報せを聞いた俺は激しい怒りに駆られた。集められるだけの仲間を集め、そしてヴェズルを救出するために王宮へ攻め入る計画を練り上げた。
ダインスレイヴあの夜の出来事は、数百年の時を経た今もなお、終わらない悪夢のように脳裏に焼き付いている。俺たちは王宮の門を破り、それぞれの目標へと向かった…
ダインスレイヴ…だが、仲間だと信じていたやつらに俺は裏切られた。おまけに、助けようとしたヴェズルにもな。あいつはアビスの力を分け合い、俺を見捨てたんだ。
ネフェルなるほど、そういう因縁があったんだね。で、報酬は何を用意するつもりだい?何事にも代償が必要だってことは、あんたも知ってるだろ?
ダインスレイヴこの依頼に見合う報酬が何かは俺にも分からない。だがレリルは昔から狂っていたわけではなかった。あいつはカーンルイアのある機関に属する、普通の人間だったんだ。
ダインスレイヴレリルの過去を明らかにすることは、今の貴様たちにとって必要なことだろう。依頼を受けるかどうか判断するまで、やつに関する情報をいくつか共有しよう。対策を立てるには、それが不可欠だからな。
ファルカそいつは助かる。こうも偶然、月の狩人と因縁を持つ凄腕の剣士に出会えるとはな…まさに「棚からクルムカケ」ってやつだ。
(旅人)(私)が普段から徳を積んでるおかげだね。
カーンルイア人の友達はそうそうできない。
フリンズ実に素晴らしいですね。よろしければ肖像画を一枚いただけませんか?その輝きは、灯台の光源代わりにできるかもしれません。
パイモンいやいや、普通にランプがあるだろ?
フリンズ今のはただの褒め言葉ですよ。少々大げさでしたでしょうか?では、次からはもう少し控えめにしましょう。
ネフェルダインスレイヴさんの話はよく分かった。後でまた二人で話そう。
(旅人)ちょっといいかな。ひとつ、みんなに共有しておきたいことがあるんだ。
(ちょっといいかな。ひとつ、みんなに共有しておきたいことがあるの。)

ネフェルと会話する

「少女」と一緒に「召使」に出会った経緯、そして虹月の月髄を見つけたことを話した。
もちろん「召使」の手助けは個人的なものであることを強調しつつ。そして三つの月が集まったことを伝えた。
ラウマ三つの月が揃うと、クータルの力が大幅に強化されるのだったな。だが、今のところそのような兆しは見えないが…
「少女」実は、もう少し時間が必要そうなの。
「少女」みんなにはたくさん助けてもらったから、正直に話すね…今の私はかなり力を取り戻せてるけど、完全に回復するにはまだ時間がかかるみたい。
「少女」私はテイワットに拒まれてるから、生まれた瞬間から少しずつ力を削られてるの。たとえ月が揃っても「世界に拒まれてる」っていう事実に変わりはないみたい。
「少女」その「拒絶」にどう対処したらいいかは、今も分からない…もしかすると、ここを離れるその日まで、ずっと続く可能性もある。
「少女」それでも私は…最後までみんなと一緒に月の狩人と戦う。アルレッキーノが言ったように、これは「お返し」というより…親しみと感謝の気持ち。
ラウマクータル(月の少女)
旅人(初めて会ったときと比べて…コロンビーナは周りの人や物事に対して、ずいぶん前向きになった気がする。)
「少女」月の狩人を討つのはとても難しいことだから、力を回復させるのと同時に、もっと情報を集める必要があると思う。
フリンズその通りです。相手は並みの敵ではありません。
ファルカああ。だから、いくつか作戦を考えておいた。だが最終的にどれを選ぶかは、次の三つの疑問の答えによって決まる。
ファルカ月の狩人は本当に殺せるのか?あいつは何を経験したのか?そして、何を求めてるのか?
ファルカ一つ目については、ちょうどここにアルベドっつう腕の立つ錬金術師がいるから、研究してもらえばいい。
アルベドああ、任せてくれ。
ファルカ二つ目と三つ目は、おそらくネフェルを頼ることになる。すまんが、今はお前の有能さに希望を託すしかない。
ネフェルへえ、あたしに希望を託す、ね。
ラウマ感謝する。私にとっては…いささか信じがたいことだが。
ネフェル詠月使の言うことはころころ変わるね。ネガティブになるとヤフォダみたいになるし、おべっかを言うときはフリンズそっくりだ。
フリンズそんな滅相もない。僕はおべっかを言うような人ではありませんよ。お二人はそのまま「楽しい会話」をどうぞ続けてください。僕のことは気になさらず。
「少女」ふふ…楽しいね。ここを出るのが嫌になるぐらい。
ラウマきっと、ネフェルは最後まで助けてくれるのだろうな。そなたを信じよう。
ネフェルへえ?どうしてそう思うのかね?報酬が足りないって言い出したらどうするつもりだい?
ラウマお金の問題ではない。そなたは月の狩人を嫌っておるように見える。そなたの性格からして、それだけで十分な動機になるだろう。
ファルカ二人とも、互いのことをよく理解してるようだな、はっはっはっ!
フリンズファルカ大団長のその口ぶり、次の「おべっか男」にでもなるつもりですか?
ネフェルふっ、ラウマ。あたしはあんたと違って、人々から期待されるのが好きなわけじゃないんだよ。
ラウマそうなのか?だが私は、他人に期待したいと思っておる。そなたのような頼もしい人に信頼を預けることを、私は厭わない。
ネフェル……
ネフェルはぁ、作戦があるならさっさと動くよ。
ネフェルダインスレイヴさん、二人で話そう。旅人、用がなかったら、あとであたしについて来てくれるかい。
ファルカふっ、気づいちまったよ。ネフェルのことは、俺よりもラウマに任せたほうが上手くいくってな。
フリンズこのようなことを言うのは少し気が引けますが、面白いことを言いますね。
ファルカん?なんだ、なんか間違ってたか?
フリンズ正しいから面白いんですよ。今さら気づいたんですか、ってね。
ネフェルとダインはしばらく話し合っていた。二人の表情から、今後の行動に対する強い意志を感じられる。
アルベドとドゥリンは「サンプルを採取してくる」と言い、ファルカと出かけた。
ラウマは応急薬を持ってきた。「人は、自分が怪我しないと思いこんでおる。私はそんな油断から皆を守らねばならない」と言った。
同じ目標のために力を合わせる光景に、希望が灯っていくのを感じる。
しばらくして、ネフェルに呼ばれ秘聞の館へ行くことになった。

ネフェルと会話する

ネフェル待たせたね。
パイモン大丈夫だぞ。オイラたちもダインのために宿を取りに行ってたからな。
ネフェルへえ、友達に優しいんだ。
ネフェル旅人、パイモン、あんたたちもレリルの過去を知りたいんだろ?それに、二人はダインスレイヴさんと付き合いが長いように見える。
(旅人) うん、知り合ってからだいぶ経つ。
ネフェル会議の後、彼と話したんだ。あんたたちの実力は、あたしも満足できるものだって言ってたよ。それと、どんな秘密も安心して託せる、ってね。あたしも同感だったから、こうしてここに呼ばせてもらった。
パイモンダイン、オイラたちのことを信頼してくれてるんだな。
(旅人) 二人の信頼に応えてみせるよ。
ネフェルあんたの決断力と腹の据わり具合には感心するよ。それにいずれ説明があると分かってるから、詮索しないところもいい。
パイモンネフェルも決断力があって、頭がいいよな!最初は仕方なく協力してる感じだったけど、今はおまえの判断だろ?
ネフェルまあ、そうだね。もう決まった以上、ここからは目標のために最善を尽くすしかない。
ネフェルあたしはこれから月の狩人の記憶に入る。あんたもきっと冒険中に似た経験をしたことがあるだろう?そういった場所の危険性はよく知ってるはずだ。
ネフェル二人を呼んだのは、あたしの精神の安定性を維持するためだよ。一緒に精神領域に入ってもらえるかい?もちろん情報収集はあたしがやる。
ネフェル人の脳内に潜る、ってイメージしてくれればいい。あんたたちはあたしのサポート役ってわけさ。
ネフェルこれに協力するってことは、あたしと一緒に秘密を覗くことになる。ああ、それと安全のために、儀式中は一言も発しちゃいけないよ。何かあれば儀式が終わった後に話すから。
ネフェルあと抵抗力の弱い子はこの儀式に参加しないほうがいい。パイモンにはパイモンの仕事があるからね。残っててもらうよ。
(旅人)(相手の精神領域に潜入する…でも肝心な方法には触れなかった…)
(旅人)(おそらく、これが彼女の「企業秘密」なんだろうな。)
パイモンオイラはなにをすればいいんだ?
ネフェル儀式が始まると、あたしたちの精神は別の場所に飛ぶことになる——
ネフェルもし何か予期せぬことが起きたら、その時はあんたが頼りだ。あたしたちの保険になっとくれ。
ヤフォダその通り。今回の任務はすっごく難しいんだ。見張り役のパイモンがどんだけ重要か分かるよな?
パイモンつまり「もしもの時の命綱」ってことだな?わかったぞ!任せろ!
ネフェルああ。じゃあみんな座っとくれ。準備が終わったら始めるよ。
ラウマダインスレイヴさんは他に何か言っておったか?
ネフェルレリルには、人に言えない秘密があるらしい。それが原因になってるかは分からないけど、よく調べてくれと言われたね。
ラウマそなたが無償で引き受けるとは思えないのだが。
ネフェルよく分かってるじゃないか。あたしは商人で、傭兵じゃない。
ネフェル今回の仕事を受けたのは次の仕事に繋げるためさ。これを逃したら、カーンルイアの物語を知る機会なんていつ巡ってくるか分からないからね。
ラウマそういう興味本位な動機は関心せぬな。安全が第一だ。そのために私たちは最善を尽くす。
ネフェルはっ、つまんないやつだねぇ。
(旅人)(お香にロウソク…まるで降霊でも始めるみたい。)
(旅人)(ネフェルはやっぱり方法を明かすつもりがなさそう。今はタイミング的に聞けそうにないし、とりあえず好奇心は抑えとこう。)
(旅人)(ネフェルの情報収集の手段は…机の上のあのボックスと関係があるのかな?)
ラウマ準備は整った。
ヤフォダ姐さん、あたいも準備万端だ。
(旅人) こっちも大丈夫。
パイモン気をつけろよ!
(旅人) うん。いってくるよ。
ネフェル力を抜いて。さあ、始めるよ。
ネフェル目を閉じるんだ。
ネフェル(…ふぅ。)
ネフェル(今回は執務室かい?)
ネフェル(特に珍しいものはないね。本棚に書類、何かの資料…)
ネフェル(ダインスレイヴさんの話だと、レリルはかつてある機関に所属していた。ここにはきっと多くの情報が隠されてるはず。)
ネフェル(あんたの秘密はここにあるのかい?ふふっ、楽しみだね。)

執務机の隣に座る

基地に戻った後、次の行動について議論していると、予想外の人物が加わってきた…
ダインスレイヴの依頼と協力のもと、ネフェルは過去を覗く儀式を執り行うことにした。
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ネフェル(書類袋の中にファイルが入ってる。表には「親愛なる朝食屋の店主様」って書いてあるね。)
ネフェル(内容は…リストか。)
ネフェル(ここに書かれてる人間はいったい誰なんだろうね。)
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ネフェル(暗号化されてる?…横の偽装された機器に入れるみたいだね。)
ネフェル(ふむ、録音か。)
録音内容「聞いてくれ!ずっと誰かに監視されてるんだ…違う、被害妄想じゃない!本当だ!」
録音内容「黒い服を着たやつを見たんだ。そいつは二日前に現れたんだが、その時は別の街で見かけた…絶対に記憶違いなんかじゃない!」
ネフェル(隣にメモがある——「ルンウォティール邸の監視はこれにて終了。昨晩、ターゲットを拘束した。作戦報告書は提出済み。」)
ネフェル(…録音にあるのは、レリルの監視対象ってところかね?)
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ネフェル(資料でいっぱいの本棚…)
ネフェル(どれもカーンルイア人の情報が細かく記されてる。本棚には資料しか入ってない。)
ネフェル(赤月は黒日の前王朝で、レリルは黒日の人間。つまり諜報員である彼が、赤月の粛清に関与してても不思議じゃない。)
ネフェル(うん、ダインスレイヴさんの情報とも一致してるね。)
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ネフェル(箱の中に高そうな宝石をあしらった指輪がある…)
ネフェル(恋人に贈るつもりだったんだろうね。)
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ネフェル(箱の中に高そうな宝石をあしらった指輪がある…)
ネフェル(恋人に贈るつもりだったんだろうね。)
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ネフェル(以前よりも落ち込んでるように見える。何があったんだろうね?)
レリル——今日の分の新しい書類が届いた。いつも通り確認しよう。
書類の内容「■■■、男、五十一歳、料理人。赤月の生き残りであることを確認済み。過去一年間、他の生き残りと頻繁に接触。王朝に対する脅威であると認定。」
書類の内容「■月■日、粛正完了。」
レリルこれは、粛清済みファイルに入れて保管だな。
書類の内容「■■、女、二十三歳、事務職員。赤月の生き残りであることを確認済み。過去一年間、他の生き残りと頻繁に接触。王朝に対する脅威であると認定。」
書類の内容「■月■日、粛正完了。」
レリルこれも、粛正済みファイルに入れて保管。
レリル(…この女性は、さっきの男性の娘みたいだな。)
レリル(いや、こんなこと気にしてもしょうがない。俺には関係ないことだ。)
書類の内容「■■■■■、男、四十歳、教師。赤月の生き残りであることを確認済み。過去一年間、他の生き残りと頻繁に接触。王朝に対する脅威であると認定。」
書類の内容「■月■日、粛正完了。」
レリル大した人物じゃない。アーカイブ行きだな。
レリル(こいつは以前監視したことがある。当時は重要参考人ってほどでもなかった。他の赤月の生き残りともほとんど接点がなかったはずだ。)
書類の内容「■■■、女、十六歳、無職の孤児。赤月の生き残りであることを確認済み。過去一年間、他の生き残りと頻繁に接触。王朝に対する脅威であると認定。」
書類の内容「■月■日、粛正完了。」
レリルアーカイブ。
レリル(この少女についてはまったく印象がない。重要人物ではないようだ…むしろ、この一覧の中に本当に重要な人物は何人いるんだろうか?)
書類の内容「■■■、女、十三歳、無職の孤児。赤月の生き残りであることを確認済み。過去一年間、他の生き残りと頻繁に接触。王朝に対する脅威であると認定。」
書類の内容「■月■日、粛正完了。」
レリルアーカイブ。
レリル……
書類の内容「■■、男、十一歳、無職の孤児。赤月の生き残りであることを確認済み。過去一年間、他の生き残りと頻繁に接触。王朝に対する脅威であると認定。」
書類の内容「■月■日、粛正完了。」
レリル……
書類の内容「■■、男、六歳、無職の孤児。赤月の生き残りであることを確認済み。王朝に対する脅威であると認定。」
レリル……
面白いと思わないかい?君の仕事はどんどん難しくなっているとも言えるし、楽になっているとも言える。
赤月の生き残りは、遅かれ早かれ粛清される。人が減れば減るほど、見つけるのは「難しく」なっていく。実に厄介なことだ。
レリル…そんなことはない。
だが幸い、力ある若い男性の多くはすでに粛清済みだ。残されているのは弱者ばかり。処理は容易い。つまり、「楽」になっているとも言える。
レリル違う!
レリルいや。
レリル黒日の存続を守り、潜在的な脅威を取り除く。俺の仕事には一点の曇りもない。
レリル同僚はみんな、俺の正しさを証明してくれる。事情を知る友人たちだって、きっと俺の肩を持ってくれるはずだ。
レリル…本当の事情を知っていたら、の話だが。

ヴェズルフェルニルを探す

レリルヴェズルさん。前に酒を飲んで以来ですね。
ヴェズルフェルニルレリル、大事な用があって会いに来たんだね。
レリル……
レリルあっ、すみません、ぼうっとしていたわけじゃないんです。ただ、さっきの一言が疑問形じゃなかったのに少し驚きまして。俺が来ると分かっていたなんて、面白いですね。
レリルこの世にヴェズルさんが「知り得ないこと」なんてあるんでしょうか?
ヴェズルフェルニル確かに私はいくつかの未来を予知できる。たとえば、君が今日ここに来ることもそうだ。
レリル…実は、もうしばらくしたら、あなたとダインを俺の結婚式に誘うかもしれないので、事前に言っておこうと思いまして。
ヴェズルフェルニル「嘘」…いや、どちらかというとそれは「願望」のようだ。そうだろう?
レリルさすがは予言者、なんでもお見通しってわけですね。
ヴェズルフェルニル杯を交わしたあの日から、君が私に会いに来ることは知っていた。
レリル未来を予知できるっていうのは、どんな感じなんです?やっぱ、いいものなんでしょうか?
ヴェズルフェルニルこの感覚を「良い」や「悪い」で語るのは難しい。未来を予知する能力を与えられた者は、恐れと憂いの中を生きていくことになる。感受性を手放さない限りね。
レリル……
ヴェズルフェルニル恐れているのだろう?あの日、私がなぜ何も言わずに黙ったのかを。
レリルはい。
ヴェズルフェルニル意図的に話そうとしていないことを、君も感じ取っているはずだ。それは、君の望む言葉ではなく、話さないほうが互いのためになるからだよ。
ヴェズルフェルニル予言の重みを、君が背負う必要はない。
レリルでは、誰だったらあなたの「予言」を聞く資格を持ってるんです?あの高貴な陛下でしょうか?
ヴェズルフェルニルあえて挙げるなら、かつての陛下だろう。
レリルヴェズルさん、あなたは俺よりも陛下のそばにいる。あの方の変化もよく知ってるはずです。
ヴェズルフェルニルもちろん。あれは良い変化とは言えない。でもだからこそ、私は迂闊に進言できないんだ。王は至善なる名君にも、恐ろしい悪龍にもなり得る。
レリルそれほど頭がいいのに、俺に未知の恐怖の中を生きろと?
ヴェズルフェルニル…そうだね。あの最初の沈黙だけでも、君を恐怖の縁に追いやるのには十分なものだった。
ヴェズルフェルニル分かったよ。
ヴェズルフェルニル予言者ではなく、君の友人の兄として、忠告しよう——
ヴェズルフェルニルレリル、君の結婚は君に幸せをもたらさない。その理由は数多くある。よりいい結末を望むのであれば、相手を変えるべきだ。
レリル……
ネフェルん?またあの黒い霧が出てきた…もしかして、ソリンディスの記憶のお出ましかい?
ネフェル…慎重にいったほうがよさそうだ。

空間内の黒い霧を調査する

ウーロ待って、最後まで聞いて。今回、僕たちは「月の狩人」の顔を見ることができた。それでやっと、身元を突き止めたんだ。
ウーロその人の名前は…レリル。自分が親衛隊の兵士だって偽ってる。
ソリンディスなんですって!?
ウーロ皮肉なものだよね…お姉さんに求婚までした男が、実は処刑人だったなんて。彼から、血の匂いはしなかったの?
ソリンディス…私にそんなことを伝えて、どうするつもり?
ウーロ簡単だよ。お姉さんには…
ウーロあいつを殺してほしいんだ。お姉さんのことは警戒してないはずだから。
ソリンディスそんなことするわけないでしょう!
ウーロじゃあ、僕たちがこのまま殺されるのを黙って見てるつもり?お姉さんの身体にだって、赤月の血が流れてるのに!
ソリンディス血…王朝が滅んでから、どれだけの年月が経ったと思ってるの?今さら「血」に何の意味があるのよ!
ソリンディス赤月の血を受け継いでるからって、すべてを捧げてまで復興を目指すつもり?
ウーロそうだよ。
ウーロお姉さんも僕と同じ赤月の人間でしょ!迫害を受けた過去に、怒りを感じたことはないの!?
ソリンディス……
ソリンディスあなたたちが復興を諦めるなら…彼を説得してみるわ。それか、彼に黒王を説得させる。
ウーロ黒王?ははっ…あははっ!
ウーロあいつがなんで執拗に僕たちを捕まえようとしてるのか、なんで何度も秘密を聞き出そうとしてくるのか、知ってる?お姉さんは、僕たちが赤月王朝の復興に執着してる理由を分かってないみたいだね?
ウーロ黒王…あの暴君は「世界の外の力」に目を曇らせた、トーヘンボクなんだよ!あいつに玉座に座る資格があると思う?カーンルイアはきっと、あいつのせいで滅びる。間違いない!
ウーロいいよ、お姉さんが手を下さなくても。今に見てて…もうすぐ災いがやってくるから…
ソリンディス…「月の狩人」…
ソリンディスレリル、あなた…とんでもない秘密を隠してたのね。
ソリンディスでも…それを責める資格が私にはない。だって、私も血のことを誰にも話していないから…
ソリンディス愛は誠実であることが大切よ。けど私たちの愛は…嘘の中で育まれたものだった。それでも…
ソリンディス生きていくのに不都合なことを隠して何が悪いの?人に見せられない一面を隠さなきゃ、私たちは普通になれないのに。
ソリンディスヴェズルフェルニルさんも、このことを予言で知ったんでしょうね…ふふ…結局、何も隠せなかったわ。
ソリンディスでも、災いが起こるのをただ黙って見てるつもりはない。失っちゃいけないものを守らないと…
ソリンディス相手が誰であろうと、ね。

執務室に戻る

ささやき声おい、さっき窓の外を通ったのって…レリルだよな?
ささやき声…怖くないか?あいつ、何食わぬ顔で毎日この道を歩いて通勤してるんだぜ。
ささやき声あの惣菜屋の連中…
ささやき声よせ。あいつら、上手く隠せてると思ってるんだ。あの獣どもの正体をバラしてみろ。次に首を噛みちぎられるのはお前だぞ!
レリル(惣菜屋?)
レリル(ああ、あの反対派の連中か。そういえば以前、惣菜屋をやってたな。忘れるところだった。)
レリル(どうでもいい人間はいつもこうやって、誰の記憶にも残らず消えていく。)

空間内の黒い霧を調査する

???あの人が見た目どおりの人じゃないって分かってるでしょ!もうたくさんの人が死んでるんだよ!今の王は日を追うごとに狂っていってるって、みんな言ってる…
???わたしたちは、もうじき生きていけなくなる。でもなんで?この血がいけないから…おとなしく殺されろっていうの?
???聞いてる?ソリンディスお姉ちゃん!
ソリンディス…あっ、ごめんなさい、フレル。ちょっと考えごとをしてて。
ソリンディスレリルのことなら…私がよく分かってる。
ソリンディスどれも黒王の命令のせいよ。彼は特殊な機関に所属してて、危険分子を排除することが仕事なの。
フレルお姉ちゃんと知り合ったときには、もう人を殺してたんだよ!ねぇ、ほんとは最初からお姉ちゃんを利用するつもりだったんじゃないの?
ソリンディスそんなことないわよ。レリルは私が赤月と関係してるなんて知らないもの。直系じゃないし、目も普通だから。
ソリンディス私が赤月の血を引いてるって知ってる人は先生を入れても数人しかいないと思う。うちの家族は長いこと赤月と距離を取っていたのよ。
フレルウーロはもう誰もあの狂った王を止められないって言ってた…
ソリンディス何とかしてみせるわ。私がずっと、みんなの傍にいる。あなたも、自分の正体をちゃんと隠すのよ。誰にも気づかれちゃダメだからね。
ソリンディスレリルは黒日の諜報員。彼にはくれぐれも気を付けて…もちろん私にもね。
ソリンディスしばらく会いに来ないほうがいいわ。もし私に何かあっても、知らないフリをしてちょうだい。
フレルお姉ちゃんでも、この仕打ちから逃れられないの?ずっとレリルと一緒に暮らしてるんでしょ?あの人、お姉ちゃんにも手を出すってこと?
ソリンディス……
ソリンディス彼を庇うつもりはないし、その質問に答えることもできない。けど私は、何があっても止めてみせる。
ソリンディスそうだ、これを持っていって。危なくなったらなりふり構わず逃げるの。もしそうなったら、お金があったほうが助かるはずよ。
フレルこんなに!?で、でも…お姉ちゃんは大丈夫なの?
ソリンディス私には仕事があるもの。あなたは外に出ることだって難しいでしょ。もっと自分のことを考えなさい。

訓練場に行く

レリル今日の訓練は暗殺だ。
レリルこの隠し通路を抜けると、訓練場に着く。
アビスのささやき人を殺して、その手が血まみれになっても気持ち悪く思わないのかい?
レリル何を気持ち悪がる必要がある?誰にだって血は流れてる。
アビスのささやきでも全員が執拗に追われ、殺されるわけじゃない。君は狩りに慣れてしまったから、人が同族を殺す生き物でないことを忘れているんだ。
レリルうるさいッ!

訓練開始

レリルナイフを握り、適切な角度を見極めろ。
レリル静かに動けば、獲物がお前に気づくことはない。
アビスのささやき本当にそうだろうか?大人しく君に殺された人はいなかった。
レリル俺は十分綺麗にやった。痕跡だって残してない。
アビスのささやきそれでも、君の仕事の正当性は証明できない。今は陛下が君を必要としているだけだ。いつか、あの方の考えが変わったら…
レリルそんなことはない。
アビスのささやき陛下は「あの力」に憑りつかれてから、人が変わった。最初は君たちに罪ある者を排除させるだけだったのに…今ではどうだろうか?
レリル俺が処理してきたのは罪人だ。ただ与えられた仕事をやり遂げただけにすぎない。
アビスのささやきソリンディスがどうしてプロポーズの返事を先延ばしにしているか、君もよく分かっているはずだ。彼女が君を信頼していないからか、それとも…
レリルやめろ!!

空間内の黒い霧を調査する

左側の霧

ソリンディス「記録者:ソリンディス。」
ソリンディス「今週はターゲットへの干渉実験を四十七時間実施。データは以下の通りとなる…」
ソリンディス「…中に送り込んだ観測対象はすべて■■■■■。内部の状況は予想以上に厄介である。」
ソリンディス何の進展もない…どうしよう?あなたも私に希望をもたらすことができないの?
ソリンディス状況は日に日に悪化してる。このままじゃ、みんなを危険にさらすことに…
ソリンディスでも…私は…
ソリンディス…はぁ…はぁ…
ソリンディスもし、この研究に意味がなかったら…私はどうすればいいの?きっといつか…私の番が…
ソリンディス彼は…私を殺すことを選ぶのかしら?
ソリンディスううん…そんなこと、あるはずがないわ。

右側の霧

フレルお姉ちゃん、ウーロのこと覚えてる?
ソリンディスウーロ…
フレル花売りのフリをしてた男の子だよ。お姉ちゃんにいろいろ話してくれたでしょ。
ソリンディス…ええ。
ソリンディスその子がどうかしたの?
フレル…二日前に捕まったの。もう殺されてるかもしれない…
ソリンディス……
ソリンディスそんな…あの子が…
フレルねえ、なんであの人はこんな酷いことをするの?お姉ちゃんはまだあの人の味方でいるつもり?
フレルそれとも、誰が死んでも構わないって思ってるの?
ソリンディス違う!違うわ!聞いて…
フレルお姉ちゃん、わたし、もう行くね…あいつらがわたしたちを探してる。お姉ちゃんも気を付けて。
フレルもし…隠れる場所が必要になったら、わたしたちのところに来てもいいから。

執務室に戻る

ウーロなんでだよ…なんで見逃してくれないんだ!?あんたみたいな処刑人、僕たちは知りもしない。ただ静かに…普通に生きたいだけなのに!
レリル…生きていたいのか…
ウーロああそうだよ。もっと生きたい。
ウーロたったそれだけで、取り返しのつかない大罪にでもなるのか?
レリル……
レリルふっ。生きる…か。
レリル俺だって生きたい、これからもずっと。だから、このまま進むしかないんだ。
レリル残念だが、いきなり世界を変えて、俺たちを解放してくれる人が現れることはない。
レリルそうだろう?もしそんなやつがいたら、俺とお前がここに立ってる理由もないんだからな。
レリル——今日の分の新しい書類が届いた。いつも通り確認しよう。
レリルいや、飽きることはない。これは仕事だ。俺は今、得難い仕事をやってる。俺ならきっとやり遂げられるはずだ。
レリル…っ!どうなってる!?
レリル……
レリルどうしてソリンディスが…
レリルそんな、そんなはずがない…くそっ!
レリルなぜだ!どうして…!赤月の特徴なんて何もなかったじゃないか!
レリルあいつらと繋がりがあるわけない!ありえない…
レリル…なるほど。希薄な血と意図的な隠蔽…お前も俺と同じように、影の中を生きてたというわけか。
レリル笑えるな…俺は「正しい」という言葉で自分を麻痺させてた…友人が肩を持ってくれると妄想してたんだ。でも結局のところ…俺は…
レリル黒日の王イルミンズールよ。お前は一体どこまで堕ちるつもりだ!?直系だけじゃなく傍系まで粛清して、その次は誰を殺す?
レリル今は赤月だが、それで終わらないんだろう?この地下にいる人間、全員を殺さないと気が済まないのか!?
レリルダメだ、こんなことを続けるわけにはいかない。もう終わりにしなければ!

廊下に向かう

フレルほ…ほんとに逃がしてくれるの?
レリルああ。ただし、誰にも気づかれないことが前提だ。
フレルうん。ぜったいバレないように気を付けて過ごすよ。
フレル…でも、あなたは大丈夫なの?
レリル俺?
フレルわたしを逃がしたら、任務も失敗なんでしょ?
レリルそうだな。じゃあ、逃がすのをやめにするか。
フレルや、やだ!帰りたい。わた、わたし…
レリル生きたいんだな?
フレルうん。あなたが約束を守る人だって、わたし知ってる…だから見逃して、お願い!
レリルお前を見逃したら、俺はどうなると思う?
レリル冗談だ。行け。
レリルだが、一度捕まったことは誰にも言わないようにな。さもないと、すぐまた会うことになる。
アビスのささやき闇に潜む影にも道義というものはある。でも、君はすべての人を救えるわけじゃない。
レリル最近、ずっと耳元でブツブツ言ってるな。俺の精神をかき乱すつもりか?
アビスのささやき君が答えを求めているから、忠告しに来ただけだ。あの女性を諦めない限り、君はすべてを失うことになる。
レリル俺がソリンディスを諦めることはない。
アビスのささやきそれなら、さらなる力と鋭い観察眼を手に入れなければならない。常に目を光らせ、この世界がいつ自分にとって有利なものへと転じるのか見極めるんだ。
レリル(ずっと誰だか分からなかった声も、今なら分かる…ヴェズルフェルニルだ。)
レリル(すべてを変える方法を教えてくれないくせに、俺を導こうとしてる。いったい何がしたいんだ?)
レリル…「俺に有利」とは、どういう意味だ。
レリル(——ヴェズルフェルニルの声が返ってこない。俺が苛立ってるときは幽霊のように付きまとうくせに、必要になると消える。)
ネフェル黒日王朝は、赤月の末裔を粛清していた…いや、虐殺と言ったほうが正しいね。そのすべては、黒王の研究と深く関わってる。
ネフェル王はアビスの力に溺れ、カーンルイアの未来も霧に包まれたようだ。レリルの仕事と私生活に不安が募っていくのも頷ける。
ネフェルソリンディスは…まだプロポーズに応じてないようだね。ただ不運なことに、彼女の中には赤月の血が流れていた。
ネフェル二人とも、秘密をずっと隠してたってことだ…黒王が過激な行動に出てなければ、きっと一生、お互いを騙し続けていたかもしれない。
ネフェルそしてヴェズルフェルニル…ダインスレイヴさんの兄は、どうしてレリルに真実を告げなかったのか。ふん…あの男の頭には、秘密が山ほど詰まってそうだね。
ネフェル人間の脳は無限に広がる砂海だ。記憶の流れを辿っても、その人が隠そうとする部分までは覗けない。
ネフェル別の手段を使う必要がありそうだね。
ネフェルあたしたちは「レリル」という記憶の中にいる。彼を読み解くことも情報収集の一環だ。
ネフェル今、ゲーム盤には十分な手掛かりが集まった。これで「演算状態」に入れる。
ネフェルゲーム盤は手掛かりから答えを導き出してくれる。まあ、あくまで情報をもとにした「演算」でしかないけど、その精度は信頼に足るものだ。
ネフェル観察対象の認知情報を作成し、その行動原理を検証しよう…レリルが隠した「真実」を覗いてみようじゃないか。
ダインスレイヴレリル!いるか!

ダインスレイヴと会話する

ダインスレイヴレリル、出てきてくれ。緊急事態だ!
レリルダイン?どうしたんだ?
ダインスレイヴとりあえずついてきてくれ。これから他のやつらとも合流する。揃ってから説明しよう。
レリルそうか?まぁ、分かった。ただ、ソリンディスがまだ深秘院にいるんだ。書き置きを残させてくれ。
ダインスレイヴああ。だが急いでくれ。
レリル(ダインがこうも焦ってる姿は初めて見た。何か大変なことが起こったのかもしれない。)

ダインスレイヴについて行く

レインドット皆とこの時間に顔を合わせるのは初めてだな。カーンルイアにもまだ救いはあるらしい。志士たちが白昼堂々と集えるとは。
スルトロッチふん。俺たちがいつ闇夜に隠れた?
レインドットいつかと聞かれれば、騎士が剣を構えるべき時にだろうな。
レインドットスルトロッチは敵に対して卑劣な手段を辞さないことで知られ、不敗だと巷で噂されてる。だが、そうではないのだろう?でなければ、君の腕と脚はどこへ行った?
スルトロッチなんだ、まさか腕一本と脚一本をくれるのか?
レインドットそこは生物錬金に期待してくれ。私の研究を支持してくれさえすれば、悪いようにはしない。
スルトロッチはっ、狂った女だ。
スルトロッチフロプタチュール、なぜお前までここにいる?
フロプタチュールもちろん、ダインスレイヴに声をかけられたからですよ。
フロプタチュールレインドットさん、そう警戒した目で見ないでください。陛下は僕に、あなたが貰った以上の利益を与えたことはない。噂はあくまでも噂にすぎません。
レインドットだが、深秘院が人々に支持されてるのは事実だ。利益を得た者が下手に出るかのような態度を取るのはよくないな。
レインドットフロプタチュール…君は深秘院の院長であり、陛下より賜った「賢者」という地位と首席宮廷魔術師の名を持ち、王国の四柱の中でも最も寵愛を受けてる。
レインドットヴィット副院長が君を見る目には、いつも羨望の色が滲んでるぞ。
フロプタチュールそれもすべて努力と運の積み重ねによって得たものです。あの王の推薦がなければ、この歳で首席に選ばれることはなかったでしょう。
フロプタチュールただ、僕も全く不満がないわけではありません。今の王に仕えるのは決して簡単なことではない。あなたも分かるでしょう?
フロプタチュールそれに、エフティルヴィットは僕の座に座らなかったおかげで、無数の面倒事を回避できたんです。得るものがあれば失うものもある。それが道理というものです。
ダインスレイヴ急に呼び出してすまない。ここに集まってもらったのは、許されざる暴挙が起きたからだ。
スルトロッチお前はレリルか?
レリルまさか覚えていてくれたとは。スルトロッチさんの処刑記録はたしかに俺が担当したが、それ以外に繋がりはなかったはずだ。
スルトロッチここに集められてるのは、どいつも実力者ばかりだ。ダイン、納得のいく説明をしてもらえるんだろうな?
ダインスレイヴ……
ダインスレイヴ今日の午前のことだ——ヴェズルが王宮に行き、陛下に進言した。だがそれが逆鱗に触れ、兄は両目を潰された後、牢に入れられた。
レインドットヴェズルフェルニルが牢に入れられた?そんな馬鹿な。彼とフロプタチュールは陛下が最も信頼する人間だったはずだ。
レインドットそれとも、今の王は彼すらも信頼できなくなったのか?
フロプタチュール僕が信頼されているなんてことはありませんよ。陛下が真に欲しているものが何かは、皆さんも分かっているでしょう?
フロプタチュール僕はただ、陛下の好みに合わせることで、深秘院のために利益を確保しているだけにすぎません。
レインドット君は狡猾だが、ヴェズルフェルニルもそうとは限らない。盲目の予言者か…ふふっ、もしかすると、今のカーンルイアに賢すぎる人間は不要なのかもしれないな。
スルトロッチそんな話よりも、これからどうすべきかが重要だ。何か計画があるんだろう?
レリルダインはどうするつもりなんだ?
スルトロッチヴェズルフェルニルを助けたいんだろう?
ダインスレイヴああ。今夜、俺と共に王宮に攻め入り、ヴェズルを助け出してほしい。
フロプタチュール無謀です!それにダインスレイヴ、あなたは宮廷親衛隊の隊長ではありませんか。玉座に誓いを立てたのでしょう?
レインドットいや、もしかして…ずっと前から計画していたのか?
ダインスレイヴ俺に謀反の意志はない。だが、ヴェズルは陛下に忠誠を誓っていた。王朝のために心を砕く臣下を罰するなど、明君のやることではない。
ダインスレイヴこの剣で、陛下の目を覚まさせる。
レリル(どうやら、ヴェズルさんの予言が陛下の怒りを買ったようだ…陛下にとって耳障りな言葉は、たとえそれが「予言者」の忠告であっても許されないらしい。)
レリル(カーンルイアの王は、もはやここまで愚かになっていたのか…俺のような者が、無傷で帰れるとは思えない。)
レリル(ダイン、お前には燦然とした理想がある。だがそれは、俺が願ってるものとは違う。国を救おうとする高潔な志は立派だが、俺が望んでるものは赦免だ。)
ネフェル赦免…レリルはソリンディスを救おうとしてるみたいだね。
ネフェルけど赤月の人間が赦されるなんて、本当にそんなことが可能なんだろうか?
ネフェル盤上の黒い霧は、ソリンディスと関係があるようだね。なんでこの形で現れたのか…レリルの過去と何か関係があるのかもしれない。
ネフェルどうやら、黒い霧も調査対象にする必要がありそうだね。

碁盤の黒い霧を調査する

ソリンディス「記録者:ソリンディス。」
ソリンディス「今週はターゲットへの干渉実験を六十時間実施。データは以下の通りとなる…」
ソリンディス「赤月の時代から、研究者は既に月髄が神のある権能と関係しており、その背後には特殊な空間が存在していることを確認している。また、月髄自体がその扉であることも判明している。」
ソリンディス「ただし、空間がどこに繋がっているかは、いまだに解明できていない。その扉を開くには特殊な力が必要であり、文献には■■■■の力と記されている…」
ソリンディス「扉を維持するには、極めて強い力を途切れることなく供給する必要がある。実験装置に必要な総エネルギー数は…」
ソリンディス「最初、月髄に関連する実験部門は私一人だけではなかった。しかし最近、深秘院の大半の人員がアビスの力の研究に回され、赤月の遺産に対する関心は著しく薄まっている。」
ソリンディス「これは賢明とは言えない。我々は一つの未知の力に期待を寄せすぎている。このまま依存が進めば、他の技術の進歩が遅れるだろう。」
ソリンディス「…不敬な発言となっていたら申し訳ありません。ですが研究者として、私は月髄の裏にある世界を見てみたいのです。」
ソリンディス「もしそこへ辿り着けたら、まず何をすべきでしょうか?未知に対する研究はどこから手をつければいいのでしょう?私は何度も何度も、想像してしまうのです。」

もう一箇所の黒い霧を調査する

ソリンディスはい、これをあげる。両親と王都を離れるんでしょう?
フレルソリンディスお姉ちゃん、あの話はもう聞いた?
ソリンディスさあ、何のことかしら。そういえば先週末、レリルの帰りがずいぶん遅かったわね。それに何だか普段と様子が違ってた。でもぐっすり眠ってたから、きっと何かいいことをしたんだと思うわ。
フレル……
ソリンディスあなたは彼と会ったことがないし、私も彼が何をしたのか知らない。これは知らない人同士の世間話ってことにして。ね?
フレルあの人は、お姉ちゃんが秘密を探ってることに気づくかな?
ソリンディスもう、なに言ってるの。彼がどんな秘密を抱えてるかなんて私は知らない。彼は陛下のためにちょっと使い走りをしてる、普通の人よ。
フレル…あの人のことが怖い?
ソリンディス分からない。
ソリンディス私の知ってるレリルは、あなたたちが言ってる人と全然違うもの。
ソリンディス彼を怖がるべきなのに、彼と離れたくないと思ってる…
ソリンディス…それより早く行って。さっき渡した物はちゃんと隠して大事にしてね。
フレル中に何が入ってるの?
ソリンディス月の欠片よ。お月様からほんの少し欠片を採ってきたの。それを持ってれば、将来みんなが赤い月を見られるのよ。
フレル赤い…月?それって、わたしたちの月のこと?
ソリンディスそうよ、私たちの月。だから大事にするって、約束してくれる?
フレルうん、任せて、ソリンディスお姉ちゃん。
ソリンディス赤月の血が絶えることはない。血の色をした月光は、私たちの身体の中を巡る炎となるの。
ソリンディスどれだけ時が流れようともね…

王宮に行く

ダインスレイヴ計画通りいく!急ぐぞ!
宮廷親衛隊の兵士ダインスレイヴ様!?ま、まさか…謀反を起こされるつもりですか?
宮廷親衛隊の兵士陛下を裏切った者の末路はご存じのはずです!どうか、お考え直しください!
スルトロッチ裏切った?いいや、先にカーンルイアを裏切ったのはやつだろう。
ダインスレイヴもしお前たちにまだ正義を追う心が残っているのなら、俺と共に来い。
レリル(計画通り、王宮内の騎士はダインたちに任せよう。騎士の制圧が完了したら、フロプタチュールとレインドットが内部の防衛装置を解除する手はずになってる。)
レリル(俺の役目は牢へ向かい、ヴェズルさんを救出することだ。)
レリル気をつけてくれ。後で落ち合おう!
ダインスレイヴヴェズルは任せた。
ダインスレイヴ剣を抜け——俺は正義を貫く!

牢獄に行く

レリル……
レリルひどい臭いだ。それに汚い…陛下は囚人の居心地なんて考えたことないんだろうな。最悪だ。
レリルヴェズルさん、いますか。
ヴェズルフェルニル君か。
レリル驚きましたか?…いや、ヴェズルさんが驚きを感じることなんて、きっとないですよね。
ヴェズルフェルニル私の両目が見えなくなった瞬間、多少は感じたとも。陛下の愚かさと、諫言者への世の不公平さに対してね。
レリル今回はどんな予言を?
ヴェズルフェルニル予言ではない。陛下への最後の忠告だと言ったほうがいいだろう。
ヴェズルフェルニル王の神智は、もはやあの方が夢中になっているものの虜となった。私はただ、このままではカーンルイアが滅ぶだろうと伝えただけだ。
レリルなのにそれを聞き入れず、陛下はその目を刺してここに捨てた。
レリル俺はダインに頼まれて、ここに来たんです。王宮は今、混乱しています。この状況も、きっとあなたには見えていたんでしょう?
ヴェズルフェルニルああ、すべて見た通りだよ。でも、この後に起こる出来事について、私ができることといえばため息をつくことだけだ…この世の運命とはこれほどまでに揺るがぬものなのか、とね。
ヴェズルフェルニル運命を見通す力を与えられた者は、むしろ心の衰弱を早めてしまうだけなのかもしれない。
レリルヴェズルさん。失礼だが、陛下があなたに抱く様々な疑念は、今に始まったものではないと思います。
レリル人知を超えた知恵を持つ者は、人の想像の及ばぬ恐れと猜疑を受けるものです。
レリル陛下はきっと自分の見たくない未来を、あなたの目に映してほしくなかったんでしょう。だからその目を潰して、視力を奪った。未来を見ることを封じるために。
ヴェズルフェルニルああ、確かにその行為には意味があった。私は未来を見る力を完全に失っていたんだ。つい先ほどまでね…
レリルつい先ほど?
ヴェズルフェルニルまた何かが見え始めているんだ。
レリルあなたを救うために、我々は共に王宮へ突入しました。きっとカーンルイア史上、最も激動の一日となるでしょう。今夜、何が起きても不思議ではありません。
ヴェズルフェルニル君の心には、怒りと希望が渦巻いている。暴君の崩御を期待し、この物語が幕を閉じることを切に願っているんだ。
ヴェズルフェルニルでも、これは結末ではない。新たな幕開け、新たな伝説の始まりだ。
ヴェズルフェルニルレリル、この世には義勇を抱く者が数多くいる。でも、君はその中の一人ではない。君がこうして私に会いに来た理由は、自分自身のためなんだろう?
レリル……
ヴェズルフェルニル面白い。それはナイフかい?今この瞬間が訪れてもなお、君は一番得意な槍を使おうとしない。
レリルあなたほどの力の持ち主なら、いくらか視力を回復させることもできるでしょう。ですが今のあなたは、俺を敵に回したくないはずです。
ヴェズルフェルニルもちろん。だって私たちは味方同士なんだから。
レリルはい、俺たちは味方のままでいられます。あなたが誠実でいてくれさえすればの話ですが…ヴェズルさん、今のあなたは俺の唯一の希望なんです。
ヴェズルフェルニル君とその恋人ソリンディスの未来のためだろう?
レリル王朝、国家、世界…どれもあまりに巨大すぎる。俺は何よりもまず自分のことが大事なんです。許してください。
レリル俺は愛する人を捨ててまで保身に走ろうだなんて思えない。でもあなたなら、より遠くの未来を見渡せる。あらゆる難題の解決方法を知っている。だから「答え」を教えてください。
ヴェズルフェルニル運命には「正」と「誤」、「合う」「合わない」の二つしかない。人々が幸福を得るために代償を払おうと、運命はそれに関心を示さない。
ヴェズルフェルニルそれがまさに運命の残酷なところだ。君の犠牲なんて気にも留めないんだから。
レリルそんなはずない!
レリルあなたがこの世界の変化をよく見ろと、もっと力をつけて、愛するものを守れと、ずっと耳元で忠告していたんだろう!
レリル俺に災いを見るよう導いたのに、どう避ければいいのか教えなかった。いったいあなたは何がしたいんだ?
ヴェズルフェルニル忠告?君の耳元でかい?
ヴェズルフェルニル…はは、ははは、君にも聞こえていたのか。その声が君の心を揺さぶり、納得させ、そして狂わせた。
ヴェズルフェルニルこれで、私たちの間に違いはなくなったと言える。
レリル(なんだ?奇妙な笑顔を見せてる…まるで今の一瞬で何か重大な秘密を悟ったかのような…いや、今度は顔に疲労が浮かんだ?)
ヴェズルフェルニルじゃあ、私から一つ忠告させてもらおう。君は必ず、すべての苦難が未来へと至る架け橋であると信じ、突き進まなければならない。
ヴェズルフェルニル君が生きている限り、君たちの物語は終わらない。それが運命に反旗を翻す、唯一の道だ。
ヴェズルフェルニルこれ以上は私にも干渉できない。信じるか信じないかは君の自由だ。私から話せることはもうない。
レリル……
レリルその言葉、確かめてみせますよ。
ヴェズルフェルニル鍵を開けてくれて感謝する。そのお返しに、もう一つ重要な事実を教えよう。
レリル——この時、王都の各地で異常なエネルギーの揺れが発生した。それが何を意味するのか、当時の俺たちには知る由もなかった。
ヴェズルフェルニル私が君なら、迷わず深秘院に行くだろう。
レリル深秘院?…しまった!
ヴェズルフェルニルレリル…私たちは、すぐ再会することになる。
レリル——ヴェズルフェルニルが何かを言っていたが、よく聞こえなかった。その時の俺は、彼を牢から出す時間すらも惜しく感じられた。

深秘院に行く

レリルくそっ、この魔物たち、いったいどっから湧いてきたんだ?レインドットの仕業か?それとも深秘院か?
レリル邪魔をするな!
レリル(深秘院…そういえば、妙な噂を耳にしたことがある——)
レリル(王宮、ひいては王国全体に、陛下が密かに張り巡らせた仕掛けがあると。だが、どこにどんな力が配置されてるかは誰も知らないらしい。)
レリル(もし何か異変が起きたときに、それが起動するようになってるとしたら…)
助けを呼ぶ人助けてくれ——!!
レリル持ちこたえろ!魔物を近づかせるな!
助けを呼ぶ人助け…あ…うわああーっ!
レリル(今のは爆発音?だいぶ遠くからだったが…まさか噂は本当だったのか?だとすれば、陛下はもう…)
レリル(あの方の仕掛けによるものだとしたら、何の力で動いてる?アビスか?)
レリル(そうなると研究の中枢の一つである深秘院は危険だ。急ごう!)

ソリンディスのところに行く

予言から始まり、運命に終わる。
欲望から発し、殺戮に尽きる。
運命を盲信する者は転落し、運命を穢す者は滅びる。運命を覗き見る者は盲目となり、運命を語る者は悪意に呑まれる。
漆黒の太陽が地の底に居座り、月光を遮る。
ソリンディス魔物?どうして深秘院に!?
魔獣グル…
ソリンディスまずい、入って来ようとしてる…
ソリンディスダメ、机じゃ耐えられない…武器、何か武器は…
ソリンディス…あっ、先週の検査の後、研究機材を入れ替えたんだった…だから武器もまだ…!
ソリンディス誰か…誰かいますか!助けて!
魔獣グオォォーッ!
ソリンディス……
ソリンディスいや…来ないで…
レリルこれは…
ソリンディスレリル?あなた…やっぱり 任務を果たしに来たのね
レリルなに?違う!
レリルいま王宮で大変なことが起きてるんだ 一緒に来てくれ!
ソリンディス私に嘘をつく必要はないわ
レリル嘘…?
ソリンディスあなたの心配はよく分かってる
ソリンディスあなたが決めたことも尊重するわ
ソリンディスでも心配はいらない 解決方法を見つけたから
ソリンディスこのすべてを終わらせる方法が分かったの
ソリンディスあなたが一番望んでいた普通の人生を返してあげる
ソリンディスでも結婚の話は…
ソリンディスちょっとお預けになりそうね
レリルソリンディス?ダメだ 行くな!
レリルソリンディス!?ソリンディス——!
ヴェズルフェルニル彼女を諦めろと前にも言ったはずだ
ヴェズルフェルニルそうすれば もっと素晴らしいものが手に入る
レリルいや…ダメだ!俺は ソリンディスを助けにいく!
ヴェズルフェルニルだが どうやって?
ヴェズルフェルニル君はただの諜報員で 力も意志も凡庸だ…
レリル何か方法を知ってるのか?教えてくれ!
ヴェズルフェルニルこっちに来るといい 王宮で会おう
ダインスレイヴレリル?良いところに来てくれた 早く…
ヴェズルフェルニルこっちだ 君の分を持っていくといい
レインドットほう 間に合ったか
ダインスレイヴまさか…
ヴェズルフェルニル怒り 悲しみ 絶望 渇望
ヴェズルフェルニルみな同じような思いを抱えている
ソリンディスレリル…レリル!
レリルソリンディス…
ソリンディスぼーっとして どうしたの?
ソリンディスレリル 覚えてる?二週間前に言ってくれたこと
レリルあ ああ…プロポーズのことか?
ソリンディスうん こういう話をするのって
ソリンディスどこがいいのかなって思ってたの…
レリルゆっくり話せる公園?それとも ちゃんとしたレストラン?
レリルソリンディスが決めたらいいさ
レリル俺は必ずお前を見つける
レリルその時は 返事を聞かせてくれ
旅行日誌深秘院の実験室に踏み込んだレリルが目にしたのはソリンディスが絶望と苦悩の末に未知なる空間へと身を投じた光景だった。
そこでレリルの心は完全に壊れ、アビスに抗えなくなった。ソリンディスの消失を受けて、レリルは衝動的に王宮へと向かい、選ばれた他の四人とともにアビスの力を分け合い、「五大罪人」へと堕ちていったのだった…
幸せな思い出と残酷な現実が交錯する中で、レリルは歪んでいきながらも、揺るぎない決意を固めていた。そして、彼は新たに得た力を使って未知なる空間への扉を再び開き、その中へと足を踏み入れた。どんな代償を払おうとも、必ずやソリンディスを取り戻すと誓って——

(ムービー終了後)

ネフェル……
ネフェルこれが月の狩人の過去?はぁ…まったく…
ネフェルああなったのは時代の影響だろうけど、結局は怪物であることに変わりはない。
ネフェル(人の記憶を覗いてると気分が悪くなる。強烈な嫌悪感だ…)
ネフェル(カーンルイアの物語は、まるでたくさんの人がついた嘘で出来てるみたいだね。どの嘘も小さなものだけど、繋いでいくと巨大な嘘になる。)
ネフェルふぅ…そろそろ戻るとしよう。
ネフェル(悲しみ?それがどうしたっていうんだい。滅びた文明には、数え切れないほどの悲しみがついて回る。これがカーンルイアの運命だったってことさ。)

蛇と蠍の舞

特殊な儀式を経て、「月の狩人」レリルの過去を知った。

秘聞の館に戻る

ネフェル戻ったよ。待ちかねたかい?
パイモンネフェル!気分はどうだ?大丈夫か?
ヤフォダボスは大ベテランだし、心配無用だって!
ネフェルああ、これといった問題はないよ。
ネフェル月の狩人の過去はあたしの思考を通じて見ていただろう?彼が言っていたように、あれは平凡な人間の悲劇にすぎない。
ラウマあの記憶から得られた情報は限られたものではあったが、確かに当時のカーンルイアを垣間見ることができた…
ラウマだが、私はレリルが「平凡な人間」だとは思わぬ。あの時代の多くの出来事に関わっていた。時代の波が押し寄せれば、誰であろうと平穏無事ではいられぬものだ。
ネフェル意味深な物言いだね。ナド・クライの人を見捨てるなって、暗に忠告してるのかい?
ラウマそういう意図で言ったのではない…だが、この先も協力してほしい。そなたがいなければ、今後の行動も危うくなる。
ネフェル悪いけど、強引に協力を頼まれてもあたしは考えを変えるような人間じゃないよ。あと人に指図されるのもまっぴらごめんだね。
ネフェルああ、でもさっきはよくやってくれたよ。この儀式では沈黙を貫く必要があったからね。
ヤフォダけど、まだ謎が多いよな。姐さん、何か分かったことがあるんだろ?教えてくれよ。
ネフェルまあ、待ちなって。話すべきことはちゃんと教えるさ。まずは他の人と合流しよう。全員揃ってから話したほうが楽だからね。
ネフェルヤフォダ。
ヤフォダいえっさー!お任せを。
ネフェルはぁ、動く気配すら見せないとは…まさか契約書の第一条を忘れたのかい?
ラウマ申し訳ないが、その第一条とは…?
ヤフォダボスが手を動かすのが面倒なとき、代わりにやるって決まりだ。ドアを開けたり、お茶を淹れたりな。
ラウマそうであったか…
ネフェルま、安心しな。うちの労働方針は実によくできてる。むしろ、ヤフォダが喜んでやりたがるからそうしたくらいだ。人使いが荒いだなんて思わないでくれよ?
ネフェルそれにしてもほんと疲れたね。フリンズとファルカが座ってまったりお茶でも飲んでたら、どうしてやろうか。
ネフェル人が汗水たらして働いてるときに、呑気に楽しんでるやつらがあたしは何より嫌いなんだ…
ネフェル……!
ネフェルまずいことになったね。

未知の空間に入る

ラウマこのようなときに邪魔をして申し訳ない。どうやら厄介なことに巻き込まれてしまったようだ…
ネフェルそのようだね。でも、あんたたちを置いていなくなるような真似はしないよ。あたしはそんな上司じゃないし、うちの労働方針とも反するからね。
ラウマネフェル?
ラウマ何か誤解しておるようだな?なぜ急に労働方針の話になるのだ…
ネフェル…待った。
ネフェルあたしはいつからここにいた?
(旅人)今さっき、急にドアの近くに現れた。
ネフェル……
ヤフォダボス、どうしたんだ?顔色が悪いけど…
ネフェル誰かに嵌められたようだね。あたしたちは意識層から離れてない。さっき部屋に戻ったのも、幻覚だったんだろう。
ヤフォダ幻覚!?でも、いったい誰が…
ネフェル…この意識層はあたしの盤面で構成されてる。すべての思考は駒の動きがもたらす結果にすぎない。となると、誰かがゲームボックスに触れたってことだ…
ラウマつまり、この場所はネフェルの支配下にあるということか。
ネフェルそう思ってくれていいよ。これはあたしの専売特許だからね。
(旅人)過去にも似たようなことはあった?
ネフェル一度だけ。あたしが初めてボックスに触れたときに。
ラウマ今の状況と当時を比べて、共通点はあるだろうか?
ネフェル強いて言えば、初めてこれに触れたときと同じように、思考が大きく揺らいだことだろうか。
ヤフォダ何か私に手伝えることはあるか?
ネフェル契約書の第一条にはっきり書いたはずだろ?あんたの出番は、あたしが手を動かすのが面倒なときだ。
ラウマつまり、今は面倒ってわけではないのだな。
ネフェル今のところ、ヤフォダの出番はないよ。このボックスはあたしのものだし、このお宝をよく知るのもあたしだけ。道はあたしが探すしかない。
ヤフォダボス!もし必要になったら、あたいを好きに使ってくれよ!
ネフェルそんな胸が痛むようなこと、できるわけないだろ。
ヤフォダへ?胸が痛む…?
ネフェルああ。もしヤフォダに万が一のことがあったらどうする?こんなに従順で使い勝手のいい従業員、どこで見つけろっていうんだい?
ヤフォダそっか…
ヤフォダでも、あとで水を探してくるよ。たくさんあるに越したことないだろ?
ヤフォダみんな、適当な場所を見つけて座ろう。あまり体力を消耗しすぎないほうがいい。
ヤフォダ今いるこの盤は精神世界だけど、ここで感じる疲れは本物だからな。
ヤフォダそういう疲れを侮るなよ!肉体の疲れと同じくらい恐ろしいんだ。とにかく、みんなの面倒はあたいが見るから任せてくれ!
ネフェルどうだい?こんなに優秀な従業員がいるなんて羨ましいだろ?
ラウマ後日、ヤフォダさんに霜月の子の雑務を手伝ってほしいのだが、どうだろうか?
ネフェルははっ!ラウマはその顔と同じで、頭の中も甘ちゃんなようだね。
ネフェルさて、みんな。ここが踏ん張りどころだよ。ついてきな。
ネフェルこれまでと同じように、何があっても心を静かに、沈黙を保っとくれ。くれぐれも盤面の進行を妨げないこと。
ネフェル約束しよう——あんたたちのことは必ず脱出させるってね。

レテヌと会話する

特殊な儀式を経て、「月の狩人」レリルの過去を知った。
あとはここを離れるだけだ。
ネフェル(見覚えのある風景だね…ま、良いことじゃないけど。)
ネフェル(誰かいるみたいだ。話しかけてみよう。)
レテヌこんな時間に誰か来るなんて…ん?お前…
ネフェル(待った、この人…)
レテヌどこ行ってたんだ!シヌヘがずっと探してたぞ。何かお前に話でもあるんじゃないか?
少女ネフェルレテヌおじさん、今へそくり隠してたでしょ?へへっ、あたし見てたよ。
レテヌおっと、見られてたか。ははっ、ここは見なかったことにしてくれ。な?

アポピと会話する

アポピおお、ネフェル!最近、シヌヘはどうしてる?時間があったら、あいつの機嫌を取ってお願いしたいことがあるんだが。
少女ネフェル機嫌を?アポピおじさん、父さんに何をお願いするの?
アポピ新しい歌を作ったのさ。次の祭典で披露しようと思ってるんだが、それには許可が必要だろ?
少女ネフェルアポピおじさんの歌!?聴きたい!うっ、でもレテヌおじさんに呼ばれてるんだった…
アポピははは、時間ならたっぷりあるさ。そっちの用事が済んだらまた来るといい。向こうに石が積んであるだろ?そこに座って待ってるから。
少女ネフェルうん、わかった!

シヌヘと会話する

少女ネフェル父さん!レテヌおじさんから、あたしのこと探してたって聞いたよ。
シヌヘああ、ネフェル!もっと早く来てくれたら、父さんが持ち帰った戦利品を一緒に楽しめたんだがな。
少女ネフェル戦利品?誰かと戦ったの?
シヌヘ砂嵐が収まったばかりだったからな。戦うのにはこれ以上ないタイミングだろ?
シヌヘ前にも話したが、外に行ってたのは水源の問題を解決するためだ。つまり、父さんが「戦利品」を持ち帰ったってことは…
少女ネフェル井戸の問題が解決したんだね!
シヌヘそうだ。新しい井戸を見つけたぞ。水もたくさん汲んできた。これでしばらくは心配いらない。
少女ネフェルはぁ…砂嵐さえなければ、井戸が崩れることもなかったよね。そしたら、父さんもあちこち水を探しに行かなくて済んだのに。
シヌヘま、族長として、こういった問題を解決するのも俺の務めだ。
シヌヘこれまでに聞かせてきた無数の物語を覚えてるか?俺たちのご先祖様は今よりもずっと豊かだった。もしあの長い戦争がなければ、誰もこんな狭くて苦しい土地で暮らしてなかっただろう。
シヌヘでも、もう大丈夫だ。数ヶ月前に教令院の人たちと手を組んで、連絡を取れるようにしたんだ。あと彼らが砂漠で活動するときには、俺が援助することになった。
少女ネフェル教令院の助っ人になるってこと?
シヌヘ助っ人というより「特使」ってやつだな。
シヌヘこれは何も悪いことじゃないぞ。砂漠は長いこと隔離されてきた。外部と繋がって利益を得るのが、今は何よりも手っ取り早いんだ。
少女ネフェル特使になると、何かいいことがあるの?
シヌヘもちろんだとも。例えば、俺にツキが回ってきて、今後の暮らしがどんどん良くなる。いつかみんなを連れて、もっといい場所で暮らせるはずさ。

探索を続ける

怒鳴り声族長ともあろうものが、身分を偽って我々を欺くとはな!大事な井戸に手を出したんだ。逃げられると思うなよ!
怒鳴り声あの水は俺たちのもんだ。何も言わずあれだけの水を汲むなんて、花神様の許可でも取ったのか?
怒鳴り声自称「教令院の特使」か、ハハッ!教令院の人間に会ったが、お前のやったことは一切関知してないって言ってたぞ!
怒鳴り声この嘘つきが!
ネフェル……
ネフェル(ヤフォダが怯えてる。無理もない。血に染まったこの光景は、見た者の本能に恐怖を感じさせるからね。)
ネフェル(死体が転がってる…シャムシールに短剣。どの傷口も砂漠の人間が使う武器によるもんだ。)
ネフェル(…紙が落ちてる?何か書いてあるね。)
手書きの手紙「私はシムティ族の族長、シヌヘです。ハリル様、私のことは覚えているでしょうか。砂漠であなたと同僚を助け、流砂の危機から逃れるのをお手伝いしました。」
手書きの手紙「これが二度目の手紙になります。前回は返事が届きませんでしたが、きっと配達の途中で紛失してしまったのでしょう…今回は届くことを祈っております。」
手書きの手紙「お伝えしたいことがあります。先日の砂嵐で、私たちの領地にある井戸が塞がれてしまったのです。生き延びるためにやむを得ず、イアブ族とウヌ族の領地へと足を踏み入れ、水を探すことにしました。」
手書きの手紙「神に誓って、イアブの井戸を傷つけてはいません。ただ、切羽詰まっていた私は、その井戸から大量の水を汲んで持ち帰ったのです。それを彼らは見ていたのかもしれません。もしこの事実を突きつけられたら、きっと大変なことになるでしょう。」
手書きの手紙「以前、困ったことがあればこの住所に手紙を書くようにと仰ってくれましたよね。教令院がきっと力になってくれると。」
手書きの手紙「どうか、正式に特使の身分を認めてください。そして、人を派遣してこちらに何日か駐屯していただきたいのです。教令院の意向であることを示せれば、彼らの行動を抑えられるはずです。」
手書きの手紙「状況は一刻を争います。どうか、一日も早いご支援を。」
ネフェル(この手紙は結局出せなかったようだね。)
ネフェル(これを書いた本人は無残な死を遂げた。手紙は踏み荒され、ところどころ破けてる。注意深く見ないと読めないほどだ。)
ネフェル(…シムティ族の生き残り。滑稽な嘘つき。たった一口の水欲しさに、集落は滅びた。)

アアル村に行く

アンプおじさんあっ!先生、いらっしゃいませ。ようこそおいでに…
教令官まともな酒を出してくれると思ったのだがね。
アンプおじさんこちらはアアル村で最も上質な酒でございます。
教令官フン…
教令官君たちにやれる枠は一つだけだと、教令院はそう言っている。私としては、その一枠ですら無駄遣いだがな。砂漠に有能な人材などいるわけがないだろう。
アンプおじさんどうか信じてください。とても才能のある子供を見つけたんです!神様のためにも、この子にどうか機会を与えてやってください。このまま埋もれさせるには、あまりに惜しい子なんです!
教令官フン、見ない顔だが、最近ここに来たのか?
アンプおじさん先日、この村に流れ着いた女の子です。とても賢いんですよ…どうかお願いします…
教令官おい、どこから来たんだ。
???その辺の砂の山。
教令官他の家族は?子供は全部で何人いる?
???他には誰もいない。
教令官誰もいない?
???うん。
教令官兄弟も両親もいないのか?
???黄砂と一緒に眠ってるのが兄弟だ。それ以外、他の人はいない。
教令官はぁ、いいだろう。
教令官この申請書に名前を書け。
教令官…ネフェル?見た目から分からなかったが、砂漠の人間だったのか。

指導教員と会話する

マネトネフェルさん、お配りした今期の研究テーマはよく読み、それに関連する論文を書いてください。
ネフェルああ。でも先生、二つ質問したいことがある。
マネトなんでしょう。
ネフェル他の人の課題を見たんだけど、あたしにくれた課題だけ簡単なようだ。もしかして馬鹿だと思ってるから、そうしたのかい?
マネトそんなこと思っていませんよ…むしろ君は賢すぎる。
ネフェル本当に馬鹿なら、そもそもこの問題にも気づかず、先生に質問すらしない…そう言いたいんだね?
マネトええ、やはり鋭い指摘をしますね。この裏にある本当の理由も、とっくに見抜いてるのでしょう?
ネフェルあたしが砂漠の人間だから?
マネトはぁ…
マネト申し訳ない、ネフェルさん…私としては、こんなことしたくなかったんですが、ただ…
マネトこの話はやめましょう。もう一つの質問は?
ネフェル……
ネフェル外から教令院に手紙が届いた場合、どこで受け取ればいいか知りたいんだ。
マネト家族からの手紙ですか?君の名前が書いてあるのなら、手元に届くはずですが…
ネフェルいや、家族からじゃないし、最近送られたものでもない…ただ、配達後に受け取られてない手紙が、どこに行くのか気になってね。
マネトそういう手紙は、知恵の殿堂の隅にある棚にまとめて置かれます。そこに大きな箱があって、未受領の手紙が全部入っていますね。
マネト何か探し物なら、そちらに行ってみるといいでしょう。
ネフェルそう、ありがとう。
マネトいえ、お気になさらず。実は…指導教員として、君に何も教えられなかったことを申し訳なく思ってるんです。
ネフェル…そんなことないさ、先生。
ネフェル教令院のルールは分かってる…砂漠の人間は「生徒」じゃない。そして先生は「自分の生徒」にはよく指導をしていた。何もおかしなところはない。
ネフェルずっと前から気づいてた——世界はいつだって成功者のほうに傾き、敗者には炎や刃が投げつけられることを。
マネトネフェルさん…そんなふうに考えていたんですね…
ネフェルああ、でもそれだけじゃない。人はやっぱり、成功者になるしかないんだってことも悟ったのさ。

手紙を入れる箱を探す

ネフェル…あった。誰も受け取らなかったか、配達ミスで放置された郵便物が入ってる。
ネフェルどれどれ。
ネフェル……
ネフェルオルモス港の建築の老朽化に関する報告書…そこに駐屯してる三十人団の責任者からの手紙みたいだ。面白いね、傭兵も街の建設を気にかけるだなんて。
ネフェル開封もされずに放置されてるところを見ると、どうやら受取人は三十人団の意見をまったく気に留めなかったようだね。
ネフェル宛先は…初めて見る名前だ。妙論派の有名な教授だろうか。
ネフェルこっちは生論派の賢者宛ての手紙だね。『サティアワダライフによる症状の経過観察』…どの手紙もなんだか論文みたいな件名だ。
手紙の内容「お香の導きのもと、私たちは森の中で次第に道を失った。意識は幾重もの障壁を越え、巡り巡って、唯一身を寄せられるところを求めていた…」
手紙の内容「このような症状は臨床的にも香料中毒と見なされる。現在、生論派は強烈な幻覚作用を持つ香料の使用を禁じているが、まだ抜け漏れがあるようだ。」
手紙の内容「例えば、私の隣人はお香を焚いた後、踊りながら大声で叫び散らかしている…」
ネフェルとても有益な情報じゃないか?どうして誰も受け取らなかったんだろうね?
ネフェルん?裏に何か書いてある…
ネフェル注釈:「差出人は毒キノコを服用した後にこの手紙を書いているので、返送すべし。ただし、住所が無効のため返送できず。」——この注釈を書いたのは、知恵の殿堂のグランドキュレーターのようだね。
ネフェル……
ネフェル宛先が…大賢者アザール?
手紙の内容「スメールの近年の教育政策に関する一意見——」
手紙の内容「ここ数年、教令院は新たな政策のもと、わずかながら砂漠出身の学生を受け入れ、教育を提供している。」
手紙の内容「しかしワシの知る限りでは、学生は本当の意味で平等な教育機会を与えられていない。」
手紙の内容セリフが見つかりませんでした
手紙の内容「教育こそが教令院の土台であり、知識はスメールを築く根幹だ。このような行為は、教育の正しい理念を実践していると言えるだろうか?」
手紙の内容「大賢者は確かに教令院全体の意思決定者である。だが、ワシやすべての者と同じく、かつては一学生だったことを忘れてはならない。」
手紙の内容「この問題にしっかり向き合ってもらいたい。ワシを信頼して相談し、周囲の人々の意見や助言にも耳を傾けることを願っている。」
ネフェル素晴らしい手紙じゃないか。本人に届かなかったのは残念だけど。
ネフェル差出人は…ん?素論派の賢者、ジュライセン?
ネフェル砂漠の人間の苦しみを分かってくれる人が、こんな場所にもいたんだね。
ネフェル素論派の賢者から大賢者に宛てた手紙もこうして捨てられるなんて、教令院もよくやるよ。
ネフェルまあいい、あたしが探してるものじゃない。他のも見てみよう。
ネフェル砂漠からの手紙…届いてる保証はないけど、ここにないとなると一体どこに…
ネフェル物が多すぎる。どれだけの間、放置されてるんだい?しかも、知恵の殿堂にはこういった箱や本棚がごまんとある…
ネフェル本当にここの文献のすべてに目を通せる人なんているのかね?そんな暇なやつがいるとは、到底思えないけど。
ネフェル……!この手紙…
とある素朴な手紙封筒は質素で、中の紙も上質とは言えない。
とある素朴な手紙この紙くずのような手紙の中でも、かなり下のほうに押し込まれてる。誰にも見向きされず、触れられることもなかったんだろうね。
とある素朴な手紙見覚えのある筆跡だ。
手紙の内容「こんにちは、ハリルさん。私はシヌヘ、シムティ族の族長です。大赤砂海で危機に陥っていたあなた方を助けた人、といったほうが分かりやすいでしょうか。」
手紙の内容「あの時のことをまだ覚えていらっしゃいますか?私は皆さんを安全な場所に連れていき、水と物資を提供しました。とても喜んで、あなたのお名前を教えてくださいましたね。」
手紙の内容「名前を教えていただくのは、我が部族にとってきわめて重要なことです。それもあって、皆さんを友と見なしました。今後、連絡できるようにと言い、連絡先も教えてくださいましたね。」
手紙の内容「私たちシムティ族は長年砂海を流浪しています。あなたは私の苦しさを分かってくださり、生計を立てられるようにと、私を教令院の特使に任命すると約束してくださいました。」
手紙の内容「今、私は深刻な問題に直面しています。どうか、力をお貸しいただけないでしょうか。」
手紙の内容「先日、激しい砂嵐によって、私たちの領地にある井戸が塞がれてしまったのです。生き延びるため、イアブ族とウヌ族のところに向かいました。」
手紙の内容「彼らはサムード族の末裔です。私たちはみなトゥライトゥーラの遺民にあたり、花の女主人を信仰しています。もともとは親密な関係にあった部族でした。」
手紙の内容「そこにある井戸は今、イアブの人々のものです。イアブ族に援助を断られたため、やむを得ず無断で使用しました。彼らからの反感を買うことになるのは、火を見るより明らかでしょう。」
手紙の内容「以前、教令院にいながら私の力になってくれると仰っていましたね。この件について、どうか私のもとへ人を手配していただけないでしょうか?どうしても助けが必要なのです。」
手紙の内容「それと以前お話しした際に、教令院はいま砂漠の人間を受け入れていると聞きました。そのとき私は、娘のネフェルのことをお伝えしたと思います。」
手紙の内容「砂漠は資源に乏しく、私が出来ることにも限界があります。ですので、お願いです。どうか娘を教令院に入学させてもらえないでしょうか?とても聡明な子で、きっと失望させません。」
ネフェル……
ネフェル結局、教令院のやつらはあんたのことなんか眼中になかった。約束ってのも単なる社交辞令で、シヌヘという人間を覚えてすらいないだろうね。
ネフェルそれなのに、ツキが回ってきただの、これからもっと良くなるだの…
ネフェル…いつかもっといい場所に連れて行ってくれるとも言ってた。まるであんたが砂漠で一番偉大な族長であるかのように、偉そうに語って…
ネフェルあんたはどこまでも嘘つきだ。何もできやしなかった!
ネフェル誰があんたを信じるっていうんだい?結局、あたしだけだったじゃないか…
ネフェルあんたは最低な詐欺師だ。嘘もまともにつけやしない…
ネフェル…あたしが代わりに最後までやってやる。

カタユンと別れを告げる

ネフェル世話になったね。今日はあんたにお別れを言いに来た。
カタユンネフェル?その荷物…どこに行くつもりですか?
ネフェル退学した。故郷に用があって、一旦帰ることにしたんだよ。
カタユンえっ?ですが…
カタユンせっかく入学できたのに…
ネフェルそうだね。でも、もうどうでもいい。あたしには今すぐやらなきゃいけない、もっと大事なことがあるんだ。
ネフェルお香があるんだけど、持って帰るのは面倒だからあんたの机に置いてくよ。
カタユン……
ネフェルん?お香が好きなんだろ?そうそう、さっき知恵の殿堂で読んだ文献によると、お香にも幻覚を引き起こす作用があるらしい。使いすぎには気を付けなよ。
カタユンそれって、ネフェルが故郷から持ってきたものですよね?とても貴重で手に入りにくいものだって言ってたのに…
ネフェルああ、確かそんなこと言ったね…
ネフェルあれは嘘さ、ちっとも貴重じゃない。あたしの実家の近くにでっかい遺跡があって、そこから香料のもとがごろごろ出てくるんだ。
ネフェル金にもならないし、あんたにやるよ。
カタユンネフェル…
ネフェルじゃ、あたしはこれで。達者でね。
カタユン故郷に帰っても、わたしのこと忘れないでくださいね!だって、一番の友達でしょう!
ネフェルああ、忘れないよ。
ネフェル(なんてね。あの香料、本当はかなり値が張るし、遺跡でもめったに取れないものだ。)
ネフェル(最後に言ったのも嘘…戻ったらやるべきことが山ほどある。誰かを覚えてられる余裕なんてどこにもない。)
ネフェル(…生きていられるかも分からないんだ。きっとすぐにあんたのことも忘れるだろうね。)

イアブ族の族長と会話する

ネフェルお会いできて光栄だよ、アリーフさん。
アリーフ教令院の特使のお出ましってことは、よほどでっかい商売でも持ちかけてくれるんだろうな?
ネフェルなぜ武器を構えてる?他の特使ではなく、あたしが来たことを喜ぶべきだろ。あたしはあんたたちイアブ族のことをよく知ってるんだから。
ネフェル砂の世界は権力の交代がとても速い。かつての強大な都市国家も、今や単なる砂地と化した。でもイアブ族は違う——どんどん上に這い上がって、繁栄の道を進んでる。
アリーフははっ、見る目があるな。
ネフェルこの井戸がまさにその強さの証明だろ?ウヌ族の資源だったはずが、いつの間にかあんたたちの手に渡ってる。
アリーフ俺たちを褒めるためだけに、わざわざ来たんじゃないだろう?
ネフェルもちろんだ。最高にいい知らせを持ってきてやった。あんたたちが自由に暮らせるほどの莫大な富をもたらす情報だよ。
ネフェル教令院因論派の文献によると、イアブ族の支配下にあるとされてる水源の下には、考古学的価値の極めて高い遺跡が隠されてる。
ネフェルここに来るまでの道で確認してきたけど、地図からするとあんたんとこの井戸さ。教令院はそこいら一帯の発掘権を五千万モラで買い取るつもりだ。
アリーフ五、五千万!?
アリーフはっ、重要な遺跡と言う割に、たったの五千万モラか?
ネフェル図に乗るな!
ネフェルこっちが何も知らないと思うなよ。この井戸はあんたらが武力で強奪したものだろ。力を手に入れるや否や、ウヌ族を追い払って、水源を奪った。
アリーフそれがなんだ?
ネフェルそう焦るな。確かに武力による占領は見栄えのいい行動じゃない…とはいえ、教令院も実効支配をしてる方と取引するしかない。
ネフェルこれがどういう意味かわかるかい?
アリーフそれが事実なら良いんだがな。もし俺を騙すような真似をしたら、お前たちを見つけ出して、全員首を切り落としてやる。
ネフェルはははっ、イアブの族長は目先のことしか考えてないんだね。教令院を敵に回して、何のメリットがあるんだい?
ネフェルこの格好を見てみな。雨林に行ったことはなくても、これが教令院特使の服だってことくらいわかるだろ。それも目に入らないっていうのかい?
ネフェル野蛮人のくせに、なにをそんなに憂慮してる?はははっ、あたしは教令院から来た。嘘をつく必要がどこにある?
アリーフ…ふんっ。
アリーフ確かに、教令院はスメールの権力の頂点だ。こんな嘘をつく必要はないな。
アリーフははは、いいだろう。そういうことなら、発掘権を売ってやる。
アリーフこのような素晴らしい知らせを届けてくれた特使に感謝するよ。本当に素晴らしい知らせだ!宴でもてなしてやろう、ぜひ来てくれ。
ネフェルああ、酒は好きだよ。あんたたちも好きそうだね。
ネフェルこの素晴らしい取引を祝して、飲もうじゃないか!
宝の山を手にする未来を夢見て、イアブの人々は喜びに満ちていた。この美しい夢の世界に夢中になり、一晩中酒に酔った。
しかし翌日午前、驚きの知らせが届いた…
イアブ族の人族長!大変です!!
イアブ族の人我々の井戸が、ウヌ族のやつらに奪われました!
アリーフ何だと!?
アリーフ何をぼさっとしてる!早く奪い返してこい!
イアブ族の人はっ!
ネフェルイアブはすばらしい武力を有している。ただ…
アリーフなに?
ネフェル昨日持ってきたばかりの情報がウヌ族に漏れるなんて…部族の中に内通者でもいるんじゃないのかい?
アリーフそ、それって、まさか…
ネフェルよく聞きな。教令院は実効支配をする側としか取引しない——井戸を取り返せなきゃ、金はあんたのとこに入ってこないよ。
アリーフそんな…!特使様、どうか時間をくれ。ウヌ族のやつらめ…絶対許さねえ。
アリーフ井戸も金も、俺たちのものだ!
ネフェルなら、良い知らせを待ってるよ。
アリーフ内通者については…俺が調べておく。特使様は好きに待っててくれ、何か情報が入ったらすぐに知らせる。
ネフェルふふっ、健闘を祈るよ。
ネフェル(たったこれだけの会話でよくもここまで衝動的になれるもんだ…まあ、けしかける感覚は——嫌いじゃないが。)
ニザール特使様、つまり…教令院はイアブ族よりも、我々と取引したいということなのか?
ネフェルああ、イアブは荒々しく、血気盛んすぎる。元々荒っぽいやつらだったけど、今は教令院の各学派が砂漠で行う研究活動にまで干渉してくるんだ。
ネフェル族長さん、もしあんたが教令院の立場なら、どうしたい?
ニザールもちろん、皆殺しにしたいところだ。
ネフェルその通り。教令院は邪魔者を好きにさせておきはしない。学術研究を妨害するイアブの奴らにはかなり不満が溜まってるんだ。
ネフェルけどね、この件に関しては教令院が表立って出るわけにはいかない。そして、あんたは砂漠の人間だ…もう分かるね?
ニザールああ、砂漠には砂漠のルールがある。雨林の人間が砂漠で剣を振るうのは、自分から死にに行くようなものだ。
ネフェルその通り。出しゃばる勢力を抑える一番の方法は、その敵の力になること。つまり、長いことイアブ族と犬猿の仲であるウヌ族は、我々教令院の仲間だ。
ネフェル(さて、ニザール。)
ネフェル(資源を奪い合っていたときは、利益欲しさに、イアブ族の奴らをこっちにけしかけてくれたね…だが今は、あんたらがあいつらと対立してる。)
ネフェルいいかい、教令院は砂漠を正当に支配する者と取引したい。あたしたちはあの井戸のあたりの発掘権が欲しい——その額五千万モラだ。
ニザール…言いたいことは分かった。
ネフェルしっかりやっておくれよ、金はちゃんと払うからね。
ネフェル(見てるかい?父さん…人を騙すのはこんなに簡単なことなんだよ。)

探索を続ける

ネフェル……
ネフェルふふ…ははは、あはははははっ!
ネフェル見ろ!どんなに狂気じみた悪党も、死ねば一様に赤い血を流す。あんたらとあたしたち、一体何が違うっていうんだい!?
ネフェルこんな普通のやつらに、あたしの故郷は滅ぼされたのか…ははっ…笑えるな。
ネフェルハハハッ!…やっと静かになった。
ネフェル砂海には、そもそもこんなに多くの人間なんていらなかったのかもな。
ネフェルシヌヘ…父さん…あの時、あんたが今日のあたしみたいに残酷であれば、部族の人々を守れたかもしれない。それこそが、族長のなすべきことだった。
ネフェル…父さんがやれなかったこと、あたしが全部やってやったよ。
ラウマネフェル…すべて、過ぎたことだ。
ネフェル沈黙を保ってくれると約束したはずじゃないのかい。
ヤフォダそ、そうだけどよ…
ネフェル…はぁ。
ラウマ(ヤフォダさん、場を和ませてくれ…)
(旅人) (ヤフォダの実力を見せる時だよ!)
ヤフォダ(わ…わかった、話題を変えてみる!)
ヤフォダえっと、あっ!そうそう!いつになったらここから出られるんだ?
ヤフォダたくさん歩いて、疲れちゃったぞ。ラウマも疲れたんじゃないか?
ラウマうむ、私も少々座って休みたいところだ。
ネフェルもうすぐだ。この先に、神殿があるはずだよ。
(旅人) そろそろ終わり?
ネフェルうん。
ヤフォダでも、この感じだと、この物語はあの神殿で終わりを迎えるのか?
ヤフォダ神殿で終わりっていうのはいかにも砂漠っぽいけど。
(旅人) 前に砂漠の友達と似たような場所に行った。
ネフェル砂漠の民にはそれぞれの運命がある——誰もがそう言う。あの頃のあたしは認めようとしなかったが、今思えば…あたしも典型的な砂漠の人間さ。
ラウマ神殿といえば…神殿の中には一体何が?
ネフェルそれは「企業秘密」だ。
ラウマそなたの覗き見の能力は、どうやらあの神殿から得ているようだな。
ネフェルほう?霜月の子の聖女は他の神のことも知っているのかい?
ラウマスメールのことはさほど知らぬ。しかし、ネフェルは砂漠の出身。砂漠の人間の信仰と言えば、キングデシェレトと関係があるだろう。
(旅人) その手下の七柱も。
みんな、あの時代には欠かせない人たち。
ヤフォダなんだかすごそうだな…
(旅人) 彼らと関係の深い友だちがいる。
確か、ヘルマヌビスと深い関係が…
ネフェルヘルマヌビスの憑依対象といえば、スメール教令院の大マハマトラのセノだね。その人のことは知ってるよ。
ヤフォダおお、詳しいな!さすがボスだ!
ネフェルセノを知ってるやつなんか大勢いるさ。セトスも知ってるよ。
ヤフォダへえ?セノってすごい人なのか?
ネフェル確かに、すごい人ではあるね。
(旅人) さすが業界人!
ネフェル基本中の基本だよ、褒められるようなことじゃない。
ネフェルさて、やっと辿りついたね。あそこが出口のはずだ。

神殿の入り口に行く

ヤフォダあーっ!もう…
ヤフォダさっきから、あたいが全く理解できない、説明できない場面ばかりだ。例えば、あそこの彫像——
ヤフォダさも賢そうな感じでペラペラ紹介してやりたいところだけど…あたい、ほんとに見たことないんだよ!
ラウマ頭部が鳥の形をした神像…
(旅人) キングデシェレトの霊廟にありそう…
ネフェルこれはキングデシェレトについていた七柱の一つ、トキの王トートだ。伝説によると、ワニの王と羊の王と共に、キングデシェレトの三臣…いや、三奸臣と呼ばれていたそうだよ。
ネフェルどれどれ。
ヤフォダアシュルだったのか
ラウマこれは…無事ということか?
ネフェル物語が終われば 世界が崩れて元の場所に帰れるはずだ
ネフェルそもそも ここはあたしの記憶の世界だし
ネフェル何も怖いことは ないんだよ
ラウマそうなのか?
ネフェルああ もうすぐ終わりだ
旅人ネフェル!しっかり!
レリル知りすぎた者は 生きることを許されない
ネフェルあんたのことかい…?
ダインスレイヴ⋯実に醜い
旅行日誌神殿で、ネフェルの愛猫アシュルに出会った。優しくアシュルを撫でながら「もうすぐ終わりだ」と語るネフェル。
しかし、その穏やかな時間は突如として途切れた。アシュルの姿が歪み、恐ろしい手となってネフェルの喉を強く締め付け、押し寄せるアビスの力がネフェルと一行を引き離したのだ。渦巻く黒い霧の中から、月の狩人レリルの姿が浮かび上がった。秘密を知ったネフェルを葬るために、ここで待ち伏せていたのだ。
生死の境へと追い込まれたその時、突然、ネフェルの胸元のペンダントがまばゆい光を放ち、束縛から逃れるチャンスを作った。そして…月の狩人が再び致命的な一撃を放とうとした瞬間、二つの見知らぬ力が空間に現れた。ダインスレイヴと「少女」の援護が闇を引き裂き、ネフェルに脱出の機会をもたらしたのだ。逃げ出す直前、ネフェルは残された力を振り絞って、ゲームボックスの力で月の狩人を拘束した。

運命の残響

月の狩人がナド・クライにさらなる被害を与えないよう、みんなで力を合わせて、最も重要な戦いに備えた…

ネフェルと会話する

「少女」ちょうどいいタイミングだったでしょう?
(旅人) うん、ありがとう。
「少女」怪我がなくてよかった。
パイモンさっき、ダインっぽい力が見えたけど、おまえも助けてくれたのか?
ダインスレイヴもちろんだ。彼女に潜入調査を依頼した時にはすでに、中に奴が潜む可能性についても考慮していた。
ダインスレイヴ俺には貴様らの安全を守る義務がある。
ネフェルふう、それも騎士道精神ってやつかい?
ダインスレイヴさてな——収穫があったようだな。
ネフェルああ、あんたたちのおかげで、あいつを盤面に閉じ込めることができた。
パイモン本当か?ネフェルがなにかしたのか?
ネフェル実は、神殿にたどり着く前から、異変には気付いていたんだ。
ネフェル月の狩人、つまりかつてのレリルの破片への潜入調査に気づかれてしまってね…後を尾けられたんだろうさ。
ヤフォダ思考の世界の中でか?そんなことができるのかよ…
ダインスレイヴレリルはかつて、黒王直属のスパイだった。手がかりを探し、追跡者の位置を逆探知することにとても長けている。
パイモンなるほどな…
ネフェルあいつはゲームボックスに妨害工作をしてあたしの思考を読み取り、新しいゲーム盤を作り上げた。だから、あたしたちは直接外の世界に出られなかったのさ。
ダインスレイヴそのボックスは大したものだ。もしや、キングデシェレトと何らかの関係が?
ネフェルあたしを買いかぶりすぎだ。臣下だったトキの王とちょっとばかし縁があっただけさ。
ネフェルあんたらも見ただろう?遥か昔、イアブ族はシムティ族の村を皆殺しにした。その後、あたしは教令院に入学し、そこで手がかりを手に入れた。
ネフェルウヌ族とイアブ族は、どこにも存在しない五千万モラの土地を巡って殺し合いをした。結局イアブ族は、部族の戦士の壊滅状態と引き換えに、勝利を手にした。
ネフェル最後の祝賀会では、イアブ族の族長が復讐しにきたウヌの刺客によって首を切られたよ…あたしの目の前でね。その後、イアブの人々も散り散りになった。
ネフェル復讐を果たしたあたしは、故郷に戻った。神殿は相変わらず同じ場所に立っていて、砂漠で起きたどんなことにも微動だにしないように見えたよ。故郷の集落はとっくに廃墟になってたのにね。
ネフェル神殿の前で、とある猫に出会った。トキの王トートに憑依されたその猫は、あたしを神殿の奥の扉まで導いた。扉の前で、あたしはそいつと取引したんだ。
ネフェルこのボックスは、まさにトキの王が授けてくれたものだ…盤面にあるのは、キングデシェレトの霊廟にある「神の碁盤」と同じもので、神の解析の力を象徴してる。
ネフェルこれらを通して、あたしは秘密を覗く力を手に入れた。だが、トキの王が力を与えてくれたのは、世の人々に真相を追い求めさせるためってわけでもないらしい。
ネフェル神にも好き嫌いがあるものだ…しかし、残念ながらそれを認めようとする神はほとんどいない。人が抱える秘密と同じようなものさ——歪んでいて、自己中心的だって意味でね。
ダインスレイヴ……
ダインスレイヴ強大な力もその一つだ。運命も、力も…何かに注目されること自体、偏愛の過程だと言える。
ネフェルアビスのことを指して言ってるのなら…そうだね。
ネフェルさて、みんなを呼んでくれ。今回得た情報を改めて伝えるよ。
しばらくして、みんなが集まってきた。参加できない人たちも、それぞれ自分の動きを伝えた…
ネフェルみんな、集まってくれてありがとう。
ネフェル月の狩人の件を調査すると約束したが、今回の作戦ではかなりの成果が得られた。
ネフェル月の狩人、レリル。彼はかつてカーンルイアの黒王の臣下だった。あたしが得た重要な情報は次のとおりだ——
ネフェルはレリルの過去を詳しく説明した。
彼は黒王に仕え、情報を集めるかたわら、数多くの赤月の末裔を処刑していた。しかし彼は赤月の血筋を隠して生きてきた恋人ソリンディスに手を下せず、最終的に宮廷の争いに巻き込まれてしまった…
彼の運命を示すヴェズルフェルニルの言葉は、水面に映る月の影のようだ。どれだけ消そうとしても、一瞬壊すことくらいしかできず、本当の意味で抹消することはできない…
そしてレリルの人生は、水面に映る「砕けた月」の影と同じだ…それは運命の嵐によって粉々に砕かれた。
謎の空間に飛び込んだソリンディス…彼女が隠した破片は、その後「召使」の手に渡る重要なものだ。
その扉の向こうには何が隠されているのだろう?本当に新しい世界があるのだろうか?
ソリンディスはそれを説明する暇もなかった。彼女を追って月に飛び込んだレリルも、ついに答えを出せなかった…
「少女」なるほど。だからあれだけ月のことを気にしてたんだね…
ファルカ確かに悲しい話だ。でも、だからといって、多くの出来事を正当化する言い訳にはならない。
ファルカレリルの人生は辛かったんだろうが、結局彼はワイルドハントって災いと一緒に、無辜のナド・クライに流れ着いた。
ファルカしかも、その危険度は日に日に増している。放っておけば、いずれテイワット大陸全体を巻き込むだろう。西風騎士団として、これを放っておくわけにはいかない。
フリンズコロンビーナさん、一つお尋ねしても?レリルの記憶にあったという、神秘に包まれた空間への扉を見たことはありますか?
「少女」ないかな。でも、聞いた限り…「月の扉」のことかも。
フリンズラウマさん、何かご存じですか?
ラウマ霜月の子の記録によると、月は秘密を隠しておるという——時には古の知識を、時には未知に通ずる扉を。
ラウマ私も月の扉の伝説は聞いたことがある。だが、実際に目にした者はおらぬ。故に、その存在を断定することはできぬのだ。
フリンズ月の神なら、月の扉の先がわかったりしませんか。
「少女」残念だけど、今はわからない…でも私は「霜月」の力を持ってるし、力もかなり回復してきた。扉は応えてくれそう…
フリンズしかし…それはあくまで、月神の力の一部なのでしょうか?
「少女」うん。月の神は月の扉を開ける資格を持ってる。それこそが月の径。でも、さっきネフェルも言ってたように、空間の扉を維持するには強い力が必要なの。
「少女」まずは、月の狩人に対抗できるだけの力を溜めないと。今はまだ、扉の奥にある秘密を解き明かすことはできないかも。
フリンズええ、確かに今は軽率に動けませんね。それとは別に、扉の向こうの世界について、ある大胆な仮説を思いついたんです——
フリンズレリルとソリンディスは扉の向こうの世界に行くのに失敗したのかもしれません。だから、月の狩人は無数に分散した破片という形で現われた。
フリンズアビスの力を有する月の狩人は、極めて強大な力を持っている。そこらの者では到底倒せないでしょう。しかし、彼の破片に引き寄せられたワイルドハントという魔物の大群は、信じられないほどの数です。
アルベド月の狩人が何らかの力で引き裂かれ、無数の欠片に散らばったから、こんなにも多くのワイルドハントが発生したということかい?
ファルカ理にかなってるな。確かにそう考えると、ワイルドハントがこれほど大量に発生しているのも理解できる。最初は完全な状態だったから、月の狩人の破片も元に戻ろうとしてるわけか。
アルベドもし、月の狩人があれほどのアビスの力を持っていなければ、おそらく引き裂かれた瞬間に死んでいただろうね。でも、アビスの力は呪いのように——
ダインスレイヴその通りだ。アビスの力は、確かに呪いと言える。
アルベド命は呪いによって延長される。どんな形になろうとも、存続し続ける——ボクのアビスに対する認識とも一致するよ。
アルベドこの点については、ボクなりの考えがある。あとでまた検証してみるよ。
アルベド実験の進捗はともかく、まずは完璧な調査結果を持ってきてくれたネフェルさんに感謝しよう。おかげで、月の狩人の生態について、より深く知ることができた。
ネフェルどういたしまして。あたしの情報が役立てばなによりだよ。
パイモンダイン、どうしたんだ?顔色が悪いぞ…
ダインスレイヴ……
ダインスレイヴいや…ただ、レリルがどうして、こんな風になったのかと考えていたのだ。
ラウマレリルとはかつて友人同士だったそうだな。あまり慰めにならぬやもしれぬが…気を落とさないでくれ。
「少女」ラウマの言う通り。
「少女」月にも、星にも…目に見えるものには、秘密や嘘が隠されてる。人生って、それ以上に波乱に満ちたものでしょう?
ダインスレイヴ誰かに慰められたのは久しぶりだな…感謝する。
ラウマ皆、会議はここまでとしよう。ネフェルには休息が必要だ。今日一番大変な思いをしたのだからな。
ネフェル随分気にかけてくれるんだね。
ラウマもちろんです。
ファルカよし、じゃあそれぞれ休憩を取るとしよう。後でまた、具体的な計画について話し合うぞ。
旅館に戻ってパイモンと休憩し、これからのことについて話し合った。


ファルカああ、タイミングが悪かったな。邪魔しちまったか?
(旅人) 全然大丈夫。
ファルカははは、ならちょっと出てきて話さないか。
(女性主人公の場合)
ファルカああ、タイミングが悪かったな。邪魔しちまったか?
ファルカいい部屋だな——おっと、俺はここでいいぞ。
パイモン気にすんなよ、ただの宿だぜ。
ファルカ俺も騎士の端くれだ。レディーの部屋に入るのは悪い。

「フラッグシップ」に行く

ファルカネフェルは秘聞の館に戻って休んでいる。出発前にいくつか伝えてくれたことがあるから、お前たちにも共有しておくべきだと思ってな。
ファルカまず、彼女はトキの王から授かった力で月の狩人を一時的にボックスの中に閉じ込めたが、五大罪人は常識を遥かに越えた力の持ち主だ。
ファルカ月の狩人は遅かれ早かれ、枷を破って再び現れるだろう。その前に、なんとか手を取り合って対処法を考えなくちゃならない。
パイモンまあ、そんなに簡単に行くはずないよな…それで、ネフェルはなんて?
ファルカああ…それが、「ゲームボックス」がどれだけ貴重なボックスなのかについて、懇切丁寧に説明されてな。
ファルカてっきりそれを理由に何か要求されるのかと思ったが…そんなことはなかった——曰く、「そんなすごいボックスでも、二日が限界」だとよ。
パイモンえっ、二日!たった二日でなにができるんだよ!?
ファルカまさにそこだ。そこで二点目だが…状況は緊迫している。ダインスレイヴの立場は複雑だが、なんとしてもあいつの助けが必要だ。
ファルカお前は彼と親しいんだろう?可能なら、説得してほしいんだ。
(旅人) やってみる。
ファルカありがたい。
ファルカあとな、アルベドとドゥリンと一緒にいくつかの計画を考えてみたんだ。仕上がったとまでは言い切れないが、行動案の雛形は出来た。
ファルカまずはお前にだけでも伝えておこうと思ってな。みんなが元気を取り戻したら、一緒に詰めよう。
(旅人) どんな計画?
パイモンオイラも気になってきたぞ!
ファルカ計画はこうだ——
ファルカは声を低くして、現段階の計画を共有してくれた。
それは少し驚かされる内容だったが、テイワットで最も優秀な旅人とガイドとして、すぐに受け入れた。
ファルカただな、お前たちを仲間に加えるってのは、どうも抵抗がある…お前はここの人間でも、俺の部下でもない。お前には断る権利があるんだ。
パイモン一緒に月の狩人を倒しにいくんだろ!どうして「仲間に加える」なんて言い方するんだよ。
ファルカ細かいことは気にするな。話を円滑に進めるための話術だ。
(旅人)ファルカさん、ちょっと修正案があるんだけど。
ファルカ聞かせてもらおう。
(旅人)人員配置に調整の余地があると思う。
ファルカ一理ある。だが、そうなると、お前にはよりしっかりと準備をしてもらわないとな。
ファルカ…先に言っておくが、お前を信頼してないわけじゃないぞ。ただ、お前が本心からそこまでしたいと思ってくれてるのかが気がかりなんだ。
(旅人)深刻な問題だから、俺(私)も力を尽くしたい。うまくいけば、他のメンバーにとってのリスクもかなり軽減できる。
ファルカジンが前に手紙でお前のことをとても真面目で、少し…変わったやつだと言っていた。
ファルカ人間は普通、不利益を避けようとするものだが、危険な方に突っ走るのがお前のスタイルみたいだな。
ファルカみんなはきっと感謝するだろうが、お前は西風騎士団の栄誉騎士だ。大団長として、お前には無事でいてほしいと思ってる。
(旅人)ありがとう、ファルカさん。
ファルカお前の意見もちゃんと検討しよう。協力に感謝する。
ファルカは騎士の敬礼をしてから、あとで酒場で会おうと言った。今夜、最終的な計画を練るために皆を集めるらしい。
ファルカはあえて前回のような会議場所ではなく、飲みながらおしゃべりができる酒場を選んで、貸し切ってくれた。より気軽な雰囲気にするためだ。
月が昇る頃、パイモンと一緒に宿を出た。ジュース以外にパイモンがありつける飲み物などの取り留めのない話をしながら歩いた…
辿りつくと、仲間たちが揃って待っていた。休憩を取ってずいぶん元気になったようで、笑顔も見えた。予想外の助っ人もいた。
しかし、みんなちゃんと分かっていた——今夜の決断は、きっとナド・クライ全体に影響を与えるだろう。
数多くの人々とその命…その大半は知らない人だが、その命運はこのチームに託されているのだ。

みんなと計画について話し合う

ラウマ行動開始前に、最後にもう一つ質問がある。この計画は完璧といえるが…相手がその場所を離れないという保証はあるのか?
ファルカその点については、アルベドが観察して情報収集をしたうえで、月の狩人とワイルドハントの傾向を整理してくれた。
ファルカまず、最初の戦いから、月の狩人は一度も空間的な能力を使っていない。おそらくそのような力は持っていないはずだ。
ファルカ次に、月の狩人は俺たちを見下している。俺たちを相手に、逃げるとは考えづらい。
ファルカ最も重要なのが…月の狩人は常に憎しみを抱いているという点だ。月に対しても、敵に対してもな。
ファルカ月の化身と、彼の怒りを買った観察者がこのチームにいる以上、離れたり逃げたりするとは思えない。このプランで間違いない。
フリンズワイルドハントと何度もやりあった僕からみても、納得の意見です。
ラウマうむ、では皆の意見を信じよう。
ファルカ以上が今回の計画の全貌だ。アルベドとドゥリンが今、それぞれの仕事を進めている。
イネファ計画を認証しました。スケジュールを作成しています…
アイノおっけー!火力支援はアイノに任せて。全力で行くからね!
ラウマ霜月の子の方も問題ない。
ファルカ他のみんなは?
ファルカよし、問題ないならこのプランで行こう。撤回するなら今だぞ。
パイモン撤回もありなのかよ?
ファルカ誰しも後悔する時くらいあるだろう?たった一言で追い詰めるってのは理不尽だ。
ネフェル西風騎士団が優しい組織だってのは聞いてたけどね。
ファルカハハッ、そりゃあディルックからか?
ネフェルしーっ。仕事場で本名は口にしないルールなんだ。あたしのビジネスパートナーのことは「夜梟」と呼んでくれ。
ラウマこの計画は絶対に必要なものだ。私たちも協力させてもらう。
フリンズきっと、人手が多くてよかったと思うことになりますよ。
フリンズそれにしても、まさかドリーさんがいらっしゃるとは思いませんでした。
ドリーあらあら、あら珍しい呼び方をしますのね。普通はみんな、サングマハベイ様と呼ぶんですのよ。
ヤフォダ身分が高いやつは名前も高いって言うけど…だからか?
ドリーうふふふふ…フリンズさんの名前も長いそうですわね?あなたのフルネームは…
フリンズ壁に耳あり、ですよ。ひとまず内緒にしておいてください。
ドリーおほほ…そうでしたわね。実は私も、とある方からのお願いで来ておりますの。そうでもなければ、けっこうなお値段のサービスですのよ!
パイモンドリーを動かせるやつ…?一体誰なんだ?
ドリー「動かせる」なんて、イヤな言い方ですわね。私の長期取引先ですわ。あなたたちのご友人のお母様ですのよ。
ドリーあの方がくれたお宝のペンダントはもうその女に完全に壊されてしまいました。この機会に皆さんに貸しを作っておかないと、ナド・クライで赤字になってしまいますわ!
ラウマしかし、そのペンダントは一体…?
ドリーとある大魔女が作ってくれたお守りです。私のビジネスパートナーといえる方でして、私が災いに見舞われないようにと、力を溜めておく容器をくださったんですの。
ドリーやっとのことでクーヴァキが満タンになったというのに、ネフェルに全部使われてしまいました…くっ…損失が大きすぎて泣いてしまいそうですわ!
ネフェル今回は確かにあたしが悪かったよ。うっかりしてた。あとでちゃんと弁償するから。
ドリー本当ですか?で、では…そちらのゲームボックスをくださるというのはどうかしら?
ネフェルあははっ、そう言うと思ったよ。渡してもいいけど、月の狩人つきだよ?
ドリーそ、それは…
ネフェルこいつは確かに役に立つが、この一件で跡形もなくなってしまう気がするね。また二日後に答え合わせをしよう。
ドリーはぁ、そうなると、やっぱり赤字ですわ…
ファルカそう決まったもんでもないさ。ここで成功したら、新しいビジネスチャンスが見つかるかもしれないだろう?
計画は決まった。みんなはしばらく雑談を交わした後、それぞれの用事を済ませることになった。
そこで、パイモンと共にみんなの準備状況を確認することにした。

ドリーを探す

パイモンドリー!そっちの準備はどうだ?
ドリー私たちに与えられた時間はたったの二日。サングマハベイ様が、何の準備もなく戦いに挑むわけがないでしょう?
ドリーよく覚えておくことね。誰もが欲しがるものというのは、予約販売よりも、現物の方が高い値段で売れますのよ!
ドリーじゃじゃーん!こちらでございます。
パイモンわあ、すごくきれいだな!ドリーが作ったのか?
(旅人) こんなに器用だなんて。
ドリーうふふ、もちろん外注品ですわ。知り合いですので、お値段もお買い得。
パイモンあっ、そういうことか!おまえが増幅装置を持ってるって会議で言ってたのが気になってたけど、カーヴェに外注してたんだな。
ドリーそれはちょっと違いますわ。これは私がかなり前から草神様と考えていたプロジェクトなのです。
ドリー大魔女アリスさんはこう言っていましたわ…この世界は常に安全とは限らない、いつみんなが災いに直面する日が来るか分からないと。
ドリーそれを草神様に伝えると、すぐに秘密裏にトップレベルの学者たちを集め、それに関連する技術の研究を始めてくださったのですわ。具体的に説明すると難しくなるので、今度彼女に直接聞いてくださいまし!
ドリーとにかく、これは草神様がカーヴェに依頼して作った装置ですの。カーヴェは妙論派でもトップクラスの人物ですから、こういうものを作るとなるとやはり欠かせませんわね~
ドリーでも、これを作るにあたって十数回も設計案を修正したみたいで、ずいぶん時間がかかってましたわ…はぁ、そういうとこは相変わらずですわね。
ドリーメラックが荷物を届けてくれたのですが、手紙が同封されていて、こんな重要な機器をどうして私に送るのか、一体どんな場面で使うのか、報告はしたのかなどと根掘り葉掘り聞かれましたわ…
ドリー開発許可書も同封していましたのに!
パイモンナヒーダも、ドリーに協力するって言ってたんだろ?多分、ドリーがいつも変な注文をするから気になったんだと思うぜ。
ドリーま、そうですわね。実際の使用場面は見ないほうがいいとしか答えられませんでしたわ。危険すぎますものね~。
パイモンそれにしても、カーヴェってこういうとこは本当に丁寧なんだな。自分の仕事は終わってるのに、使う場面まで確認するなんて律儀だぜ。
ドリールームメイトの代わりに尋ねたのかもしれませんわね。いつもそうですもの。私から見れば、あのルームメイトがそんなことを気にしてるようには見えませんけど…
ドリーとにかく、手元にモノがあるというのは心強いものです。危険な状況に際しては、大変重要なことですの。
ドリーん?どうしたんです、変な顔をして。
パイモンびっくりしたって言うべきか?ドリーの真面目なとこって初めて見た気がするぞ…
(旅人)(私)の知ってるサングマハベイ様じゃない…
ドリー……
ドリー私は…自分の人生を毎日笑顔で過ごすと、とっくの昔に誓いましたの。確かにモラの匂いがたっぷりする代物ですけれど…それでも…!
ドリー世の中には必ず返さなくてはならないものがありますのよ。借金、人情、そして恩…
ドリーアリスさんには色々と手を貸してもらいましたし、私の最初の出資者様ですわ。出資者様には、サングマハベイは最高の商人だと思われていたいですもの。
ドリーそれに、今後何が起こるかは誰にも分からないでしょう?私は草神様やスメールには、十分な蓄えがあったほうがいいと思いますわ。
(旅人) あのペンダントは…
はなから取り返すつもりじゃなかったんだ?
ドリーはん、ネフェルに借りを作ったに過ぎませんわ。
ドリー私をそこらの善良な凡人のように言わないでくださいまし。そんなやり方は好みませんわ。
ドリー必要最低限の良心だけを残し、自分のやりたい商売だけをやる。これこそがサングマハベイ様の商売の道なのですわ!
パイモンそう言うことにしとくぞ。
ドリーええ!商売のことはなんでもかんでも知らなくてよいのです。ただ私の言うことを聞いてくださいまし。
ドリー届けてくださるのですか?ありがとうございます!本当に頼りになりますこと。

アルベドとドゥリンを探す

ドゥリン旅人、パイモン、来たんだね。
パイモン順調に進んでるか?
アルベドキミたちも知ってると思うけど、この前ボクとドゥリン、それから大団長で力を合わせて、一部のワイルドハントの魔物を捕獲できた。
アルベドそれから計画通り、アビスの生物に対する解剖と研究をしたけど、それも順調だった。ただ…結果があまりよくなかったんだ。
パイモン解剖!?ワイルドハントのやつらって、解剖できるのか?
アルベドそれは「ワイルドハント」と「解剖」の定義次第だね。
ドゥリン無害化、不活性化…といったほうが、より正確かな。
アルベドワイルドハント…興味深いよ。人格といえるものは持っていないものの、ワイルドハントを召喚する媒介同士を組み合わせると、まるで魂のように機能する。
アルベド先生は「賢者」フロプタチュールをかなり怨んでいるみたいだけど、「極悪騎」スルトロッチには、少し興味があるみたいだった。でも、レリルについてはあまり聞いたことがない。
アルベドそれはレリルの身分が低いからではないと思う。今の月の狩人について、先生がどう思うのか知りたいものだ。
アルベドアビスの生物の狂気じみた性質、未知なる力によって引き裂かれた分裂形態…
アルベドこんな状態になってまで生き延びられるなんて…自我の一部を犠牲に、個体の存続を手にしたとも捉えられるね。
ドゥリンコホンッ。
アルベドごめんごめん、興味がある分野でね。つい熱く語ってしまった。
アルベド話を戻そう。ボクたちの推測通り…月の狩人の肉体はすでに、取り返しのつかないくらいアビスの力に汚染されている。
アルベドもはや「変異」という言葉では表現しきれない。アビスの力と彼は一体となっていて、彼の存在自体がアビスの力の表れなんだ。
アルベド現時点のボクたちでは、アビスを完全に消滅させることはできない。だから、月の狩人を完全に消滅させることもできないってことだよ。
パイモンそんな…本当に誰もあいつを倒せないのか?三つの月の力を取り戻した月神でもダメか?
ドゥリンコロンビーナさんの状況はあまりよくないね。「世界」が彼女の存在を許さない。だから、永遠に完璧な状態にはなれない。
ドゥリンうん…まるで、創造主によって、自分を拒絶する場所に捨てられてしまったみたいだ…自分を強く持って、生き延びるだけで、かなりの労力がいると思うよ。
アルベド絶望して当たり前だ。でも、計画は止められない。
アルベド二つ目のプランを始めよう。
パイモンそうだ、これ…ドリーに言われて持ってきたんだ。
アルベド届けてくれてありがとう。ボクはあとでドゥリンと一緒に出発するよ。
ドゥリン今回は近くでキミたちを守ってあげられなくてごめん…くれぐれも気をつけて。
(旅人) 分かってる。
アルベド気をつけて。

霜月の里に行く

ファルカラウマ、全員揃ったか?
ラウマうむ——霜月の子の信徒を託した。
信者詠月使様、それはどういう…
ラウマこれから、史上最大の危機を迎えることとなる。
ラウマそれは本来、私たちが背負うべきことではない。しかし私は…よい行いをすれば、よい報いが受けられる世界を守りたい。
ラウマ故に、私はナド・クライのために戦う。
ラウマこちらはモンド西風騎士団の大団長、北風騎士のファルカだ。私がいない間は、彼の指示に従ってくれ。
ファルカよろしくー。
ファルカえっと、自己紹介か…まあ、ちょっとばかり実戦経験はあるぞ。ハハハハ。
ファルカ長所は誠実で、努力家なところ?とにかく、ラウマから託されたからには、全力でみんなを守ると誓おう!

ダインスレイヴと会話する

ダインスレイヴ……
「少女」何か考えごと?
ダインスレイヴ貴様は…コロンビーナ、だな。皆がそう呼んでいた。
「少女」そうだよ。何だか変な感じだよね…キミは生まれた時からダインスレイヴって呼ばれてるの?
ダインスレイヴああ。それを聞くからには、貴様はそう簡単にその名前を手に入れたわけではないのだな?
「少女」その点に関しては、キミたちとは定義が少し違うみたいだから。これが「名前」と呼べるのかどうか、確信が持てないの。
「少女」みんながそう呼ぶから、受け入れただけ。今までもそう…周りでおかしなことが起きても、私は驚いたりしない。
「少女」呼び方の背後にある由来、そこに込められた気持ち…前はあんまり気にしてなかった…考えが及んでなかった。
ダインスレイヴ最初に会った時から、貴様が普通の人間とは違うことはなんとなく感じ取っていた。
「少女」きっと、キミが長く生きてきて色んなものを見てきたからだろうね。
「少女」ダインスレイヴは、暇な時にカーンルイアのことを思い出したりする?
ダインスレイヴ……
ダインスレイヴ難しい質問だな。俺は過去の出来事を繰り返し夢に見た。人々と戦っていることもあれば、地面に倒れているだけのこともあった。
ダインスレイヴあまりにも時が経ちすぎて、もうあの時代の楽しかった記憶はほとんど思い出せない。
「少女」憎悪の感情は、愛や好きという感情よりも長く続くってこと?
ダインスレイヴそんな理由で弁解するつもりはない。ただ、美しく幻想的なものをはっきりと手にすることができないんだ。
ダインスレイヴ…レリルのことについては、とても感謝している。おかげで、埋もれていた真相を知ることができた。
「少女」どういたしまして。キミの友達だったんだよね。
ダインスレイヴ友達…フッ。
ダインスレイヴあいつは俺を裏切ったし、俺もあいつの苦しみを本当には理解していなかった…その程度の関係性を友達とは言わないだろう。
「少女」なら、一緒に戦う?
ダインスレイヴ俺は…
「少女」ためらってるんだね。キミは、彼の行動に対して、前みたいな見方をすることはできない。
ダインスレイヴ少し時間が欲しい。
「少女」うん。誰だってキミの立場になれば、困ると思う。わかるよ。
「少女」そういえば…最近、より高いところから物事を捉えられるようになったの。昔は当たり前だと思っていたことも、今は貴重に思える。
ダインスレイヴファデュイを抜けたと聞いていたが、まだ貴様を助けてくれる執行官がいるようだな。
「少女」うん。
「少女」今までは、執行官っていう地位ありきの助け合いだと思ってた。まして、今や私は何者でもないし、指名手配までされてるのに…
「少女」それでも彼女たちは手を貸してくれる。つまり、私の過去の認識は間違ってたの。
ダインスレイヴ「友達」だと思ってくれているのだな。
「少女」ほんの少し罪悪感があるの。ありがたみを知らなかったのが…申し訳なくて。
「少女」今、罪悪感を抱えるキミも、私と同じ気持ちでいるはず。だから、キミと話しておくのも悪くないと思ったの。
「少女」ねえ、気付いてる?さっきからずっと、旅人とパイモンが盗み聞きしてる。
ダインスレイヴフッ、挨拶してやるか。
「少女」うん。
「少女」こんにちは。
パイモンわっ!捕まっちゃったぞ!
(旅人) ごめん、ただ二人のことが心配で…
ダインスレイヴ心配をかけて、悪かった。
ダインスレイヴレリル…いや、月の狩人に対処することについて、真剣に考えておく。少し時間をくれ。
パイモン本当か?きっとみんなも感謝するぞ!
ダインスレイヴ礼には及ばない。遅かれ早かれ、直面すべき問題だったからな。
「少女」それでもみんなの気持ちは変わらない。
「少女」まずはみんなからの感謝を受け取って。そのうえで、本当に協力してくれるかどうか、考えておいて。
ダインスレイヴ……
パイモンそろそろ時間だな、約束の場所でみんなと合流しようぜ!

約束の場所に行く

フリンズあれ?早かったですね。
パイモン待たせたか?
フリンズいえ、少し考える時間がほしかったので、早く来たんです。
パイモンこれからの戦いが心配なのか?
フリンズいえ…むしろ今までの戦いを思い出して、奮い立っています。
フリンズライトキーパーに呼び起こされるまでの長い間、僕は武器を手にしていませんでした。戦いとは無縁と言えたはずです。
フリンズしかし、ここ最近ワイルドハントとの戦いであることに気付きました…僕も絶対的な平和の中では生きていけないことを。
フリンズ炎の揺らめきは、まさに悪の根絶に対する僕の渇望の現れかもしれません。
パイモンそれって、別に悪いことじゃないだろ?
(旅人)(私)もそう思う。
フリンズ本来なら、長い眠りにつくべきフェイにとって喜ばしいことではないんですよ。
フリンズでも、今はよかったと思っています。あなたたちと一緒にこの仕事を成し遂げられることを嬉しく思います。
ラウマ来たか。
フリンズラウマさん。
パイモンよく休めたか?
ラウマずっと気を張っている状態ではあるが…睡眠は十分とれた。安心してくれ。
(旅人) この後もよろしくね。
ラウマそうかしこまらないでくれ。
パイモンネフェル、こっちだぞ!
(旅人) モノはしっかり届けた。
予備作戦も始まってる。
フリンズアイノさんから言伝があります——イネファさんは高度警戒モードに入り、主戦場以外のエリアを巡回しながら、臨機応変に支援するとのことです。
フリンズそして、アイノさんは最新の発明品を使って遠方から支援してくださいます。
ネフェルいい判断だ。みんなお疲れさま。
パイモンボックスの様子が変だぞ…
ネフェルいよいよ暴れ出したね。いつでも戦闘できるように準備しといてくれ。
フリンズ待っているより、先手を打ったほうがいいでしょう。
ネフェル同感だ。パイモン、隠れてて。
パイモンセリフが見つかりませんでした
(旅人)分かった。
ラウマ戦闘が始まったら、皆位置についてくれ。
ラウマこの戦い、全力で臨もう。
ネフェル準備はいいかい?
全員行こう。
「月の狩人」虫けら共の小細工にはそろそろ飽きてきたが…退屈な殺戮がしばらく続きそうだな。
ネフェルまだ勝負はついてないよ。
「月の狩人」お前らなど月を撃ち落とす前の暇つぶしでしかない。
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「月の狩人」レリルを倒す

ネフェル気を付けるんだよ!
(旅人)ネフェル、気をつけて!
アイノアイノも手伝う!これならどうだ!
「月の狩人」ぷん。
「月の狩人」レリル月で始まり、月で終わる。
ラウマ月の恩寵があらんことを。
「月の狩人」レリルお前には俺が見えてるな。
「月の狩人」レリルヴェズルフェルニル、お前の預言はいつ現実になる?
フリンズ穢れた魂に居場所などありません。
「月の狩人」フン…英雄ごっこはそこまでだ。
「月の狩人」どいつから始めるか…
ラウマ&フリンズうっ…!
(旅人)まずい、閉じ込められた!
ネフェル大丈夫かい?
(旅人)ネフェル!ほかのみんなは?
ネフェルこいつの外だろう…どうやらあんたとあたしは特に嫌われてるみたいだね。
「月の狩人」知りすぎた者は、生きることを許されない…そう言ったはずだ。
ネフェルああそうかい。でもね、まだ決着はついてないよ!
ラウマ…旅…ネフェ…に閉じ込め…だいじょ…か?
(旅人)ラウマ!聞こえる?
フリンズしっかりしてください!いま…
「月の狩人」うるさいな。
(旅人)(聞こえなくなった…でも、少なくとも俺(私)たちのいる場所は変わってないはず。)
(旅人)(落ち着いて作戦を思い出そう。俺(私)の役割は…)
(旅人)(時間を稼ぐこと。然るべき時が来るまで、なんとかしないと…)
「月の狩人」レリル俺にひれ伏せ!
(旅人)任せて!
(旅人)ずい、シールドが壊れた。このままじゃ…(シールドが壊れちゃった。このままじゃ…)
ネフェル無理するんじゃない!
ネフェル(…くっ、しょうがない!)
ファルカ月の狩人に勝つ方法はただ一つ——彼自身の力を「借りる」ことだ。
Echoes_of_Fate_Quest_Still_2_Aether.webpEchoes_of_Fate_Quest_Still_2_Lumine.webp
ファルカだからコロンビーナには「消えて」もらう。お前たち二人には最後まで耐え抜いてもらわなくちゃならない。
ファルカやつがお前たちの排除に全神経を使うよう仕向けるんだ。
(旅人)ネフェル!目から血が…!
「月の狩人」フン、いつまで耐えられるかな?
「月の狩人」俺の一撃で、塵のように消える存在が。
ネフェルその塵が、あんたの記憶に滑り込んだのさ。
ネフェル(あともう少し…耐えろ。)
「月の狩人」切り札があるなら、いまのうちに出しておけ。
「月の狩人」楽しみたかったが…もうなす術もないようだな。
ネフェルあんたの恐怖が手に取るように分かる。
ネフェル(もっと怒れ。全力を出せ…!)
ネフェルかつて跪いてしまったものへの恐怖、愛する人に二度と会えないのではないかと考えてしまう恐怖…
ネフェルあんたは運命に抗えないよ、レリル。
「月の狩人」はっ…そうか。
「月の狩人」なら、お前らにもその恐怖を味わってもらう。
(旅人)何を怖がってるの?
ネフェル自分自身と向き合うのが怖いんだろ?
レリル這いつくばって見届けろ
レリルなんだ…
レリルこの力…覚えがある
アルベド月の狩人の力は計り知れない
アルベド唯一の対抗策は 錬成陣でその力を盗むことだ
アルベドさらに すべての力をコロンビーナさんに集中させよう
アルベド一瞬でも 彼に匹敵する力を持てれば 勝機はある
ドゥリンボクも力になれると思う
ドゥリンアビスの成分を外に最大限放出して 圧力の差が一定になると
ドゥリンそこから大量の元素力を抽出できる
ドゥリンこれから短い間だけど
ドゥリン炎元素の力を通じてみんなの精神と同調し
ドゥリンキミにみんなの視覚と能力を届ける
ドゥリン見える?
「少女」十分
レリルハハハハハッ…
レリルまさか 黄金レインドットの関係者がいるとはな!
ネフェル何の話かねぇ
レリル力を盗んで俺を倒すつもりか?
「少女」そっちもクーヴァキを盗んだ でしょ?
レリルあの扉を維持するのには かなりの力が必要なはずだ
「少女」やってるのは私じゃないよ
ダインスレイヴさらばだ レリル
「少女」勝ったよ
旅行日誌戦いは白熱していく。ネフェルとともに月の狩人を挑発し、破壊的な攻撃を繰り出すよう仕向けた。危険な賭けのようだが、これしか方法はない——絶対的な優位に立てない以上、月の狩人に抗うには、あえて彼に全力を出させ、その力を利用するしかない——
錬金術の陣が静かに起動し、月の狩人の放ったエネルギーを吸収した。
そしてついに、計画の全貌が明かされた——特殊な出自を持つドゥリンは、その特殊な才能によって、陣に吸収されたアビスの力を炎元素に変換し、「少女」に供給できる。そうして少女の戦力を一時的に月の狩人と互角に戦えるまで引き上げ、さらに彼女と仲間全員の精神を同期させ、その視界と性質を共有させたのである。
戦力が大幅に増加した「少女」は月の狩人と激戦を繰り広げ、戦況を逆転させた。そして決定的な瞬間、予想外の人物——ダインスレイヴが後方で「月の扉」を開き、「少女」の渾身の一撃で、月の狩人は扉の中に追いやられたのであった…
ネフェル…はぁ…はぁ…
(旅人)ネフェル、目大丈夫?
ネフェル見えないだけさ、大したことはない。
「少女」まだ間に合う。
ラウマ私がやってみよう。
ネフェル……
ラウマ思慮深いネフェルが、こんな暴挙に出るとはな。
ネフェル緊急事態だったからね。こうでもしないと命はなかったさ。
ラウマだとしても…
ラウマはぁ…確かに賢明な判断だった。あれだけのことを成し遂げた代償が目だけというのは幸運だったのかもしれない。
ラウマ商売で言えば「大儲け」と言えよう。
ネフェルだろ?
ラウマだが、その目が見えなくなるなど、絶対に納得できぬ。
ラウマ人が大切なものを犠牲にするのを見るのはつらい。信仰も、力も…瞳の光も。
ラウマ何も犠牲にしないでくれ。
ネフェル……
ネフェルありがとうね。
ラウマ今できることは尽くした。
ラウマまだ目を開けてはならぬ。数日間はおとなしく休んでおれ。
ラウマ気をつけるべき点はヤフォダさんに伝えておく。そなたはゆっくり静養するがよい。
ラウマ此度の戦い、皆のおかげで見事勝利を手にすることができた。ナド・クライの上空に垂れこめていた暗雲はやっと晴れた…民も、皆に感謝するだろう。
「少女」月もきっと忘れないよ。お疲れさま。
まもなくしてヤフォダがネフェルを迎えに駆けつけたので、パイモンと一緒に宿へ戻ることにした。
Echoes_of_Fate_Quest_Still_3_Aether.webpEchoes_of_Fate_Quest_Still_3_Lumine.webp
目を閉じたまま、ヤフォダに寄りかかって歩を進めるネフェル。どんな時も感情を表に出さない彼女だが、遠ざかる背中はどこか誇らしげに見えた。
「少女」ねえ、ちょっといい?
ラウマなに?
「少女」さっき、ドゥリンがみんなの力を繋げてくれたとき、みんなの感覚も共有してたの。
「少女」ネフェルの目の痛みが、私にも残ってるみたい…
ラウマなんと…!すぐに見せてくれ…
「少女」傷はないから大丈夫だとは思うけど、一応話しておいたほうがいいかと思って。
ラウマ…ふぅ。損傷は見当たらない。大丈夫だ。
ラウマしかし、クータル自ら言ってくださるとは…驚いた。
「少女」いろんなことが変わって…仲間に自分の気持ちを伝えることも学ばないとって思ったの。
ラウマ仲間…嬉しい言葉だ。
「仲間」という言葉に、胸に温かいものが広がった。
準備が整ったとの知らせが次々に届いたが、月の狩人とやり合ったのだから休むのが最優先だとラウマに言われ、しばらく横になっているほかなかった。
……

パイモンと会話する

パイモンあっ、目が覚めたか?
パイモン具合はどうだ?痛いところは?ぐっすり眠れたか?
(旅人)大丈夫だよ、パイモン。心配しないで。
パイモンならよかった。おまえ、丸一日寝てたんだぞ。その間、オイラはベッドの横で見守るしかなくて…ご飯もひとりで食べてたんだ…
(旅人)ひとりでもちゃんと食べてた?
パイモンおう。でもおまえと一緒に食べるほうが断然おいしいぞ。
パイモンおまえが元気じゃないと、味がしないし、ぐっすり眠れないんだ。
(旅人)改めて、ただいま。
パイモンそうだ、アルベドが来てたぞ。ファルカたちが祝勝会を用意してくれたから、目が覚めたら来いってさ。みんな来てるらしいぞ。
パイモン薬も持ってきてくれたけど…その様子じゃ大丈夫そうだな、へへ。
パイモン行けそうだったら行こうぜ!あまり待たせるのも悪いしな。

「フラッグシップ」に行く

パイモン参上!お邪魔するぜ!
ヤフォダセリフが見つかりませんでした
ヤフォダ待ってたぞ!あんたらが来なかったら祝勝会は延期しようって言ってたところなんだ。
アルベド具合はどう?
(旅人)もう平気。心配しないで。
アルベドならよかった。気になるところがあったらボクが診るから、すぐに言ってくれ。
ドゥリンうん、ほかにも必要なものがあったら教えて。
パイモンネフェルは来てないのか?
(旅人)ネフェルの目はどう?
ドゥリンネフェルさんはあそこ。
ドゥリン話しかけに行ったら?

NPC対話

ドリー

ドリー

ドリーあら、もう動いていいのですか?
(旅人) うん、平気。ありがとう。
ドリー水臭いですわぁ。私たちの関係でしょう?
ドリー飲みたいものがあれば何でも頼んでくださいまし。このサングマハベイ様がご馳走しますわ。
パイモンほんとか!?オイラも頼んでいいか?
ドリー旅人ほどではありませんが、パイモンもいろいろ大変だったでしょうから、ま、いいでしょう。
パイモンやったぜ!ドリーにご馳走になるなんて夢みたいだぞ!
ドリーしーっ!ほかの人に聞こえてしまいますでしょうッ!
ドリーナド・クライで商売するのはただでさえ大変だというのに、みんなの酒代を払わされる羽目になったら、もう…
パイモンご、ごめん。気を付けるぞ…
ドリー頼みますわよ。
ドリーサングマハベイ様が人に奢ることなんて、そうそうないのですから。
ファルカ

ファルカ

ファルカ褒め言葉をいろいろ用意したんだが、いざ本人を前にすると出てこなくなるもんだな。
パイモンヘヘ、栄誉騎士のオーラってやつだな!
ファルカハハッ、様になってるじゃないか。さすがは栄誉騎士だ!
ファルカ騎士団のみんなから聞いたぞ——お前が最初に訪れた国がモンドだったんだってな。嬉しい縁だ。
ファルカ西風騎士団とともに戦ってくれたこと、そして今回ともにナド・クライを守ってくれたこと、心から感謝する。
(旅人) 気にしないで。
ファルカそりゃあ気にするさ。それに、感謝の気持ちはきちんと伝えることが大事だと俺は思ってるんだ。
ダインスレイヴ

ダインスレイヴ

ダインスレイヴ具合はどうだ。
パイモンまだ目が覚めたばっかりなんだ。
(旅人) でも、もう大丈夫だよ。ありがとう。
ダインスレイヴならよかった。
ダインスレイヴ何事にも健康な肉体というのは不可欠だ。身体を大事にしてくれ。
(旅人) ダインのおかげで助かった。ありがとう。
パイモンそうそう!土壇場でおまえがジャジャーンって出てきて、扉を開けてくれたときはびっくりしたぞ!
ダインスレイヴレリルはかつての友人だが、もはや排除すべき敵に変わり果てていた。
ダインスレイヴ奴とはいろいろあったが…これ以上事が悪化するのを手をこまねいて見ているわけにはいかなかった。
ダインスレイヴ今回の戦いは避けては通れないものだった。貴様もよく戦ったな。
(旅人) ありがとう。あまり…気を落とさないで。
パイモンオイラたちでよかったら、いつでも話を聞くぞ。
ダインスレイヴああ、感謝する。

ネフェルと会話する

パイモンネフェル!
ネフェル旅人、パイモン。具合はどうだい?
(旅人) もう大丈夫。ネフェルは?
ネフェルさすがは霜月の子の詠月使…なかなかの腕前だ。二、三日で目が開けられるようになったよ。
ヤフォダでも目を酷使しちゃだめだって、鹿ねえに釘を刺されてるんだからな。
ネフェルはいはい。
ラウマヤフォダさん、すまないが、手を貸してくれぬか?
ヤフォダああ、すぐ行く!
ヤフォダちょっと行ってくる。あとで飲み物を持ってくるよ。パイモンは甘いのが好きだったよな?
パイモンおう!へへ、ありがとな!
ヤフォダああ!
ネフェル……
(旅人) 考え事?
ネフェルああ、ちょっとね。月の狩人は蛇に似てると思って。
(旅人) どちらかというと狼だと思ったけど。
ネフェルそうかい?毒蛇は脅威を感じたら毒を撒き散らすだろう?
ネフェル憎しみに駆られ復讐に走る人は、毒蛇に似てると父がよく言ってた。
(旅人) 復讐に駆られる人を見たくなかったのかも。
ネフェルそうかもね。あんたは寛容も知恵の一つだと思うかい?でも、あたしに言わせれば、憎しみだって人間のまっとうな感情さ。
ネフェルそれさえ許されなかったら、生きる支えを失った者はどうやって生きろと言うんだい?
(旅人) ネフェルを支えてるものは…
たくさんあるんでしょ?
ネフェルあたしのことを心配してくれてるなら、その必要はないよ。過去に未練なんかない。
ネフェルただ、父を詐欺師だと言ったのは間違いだったかもね。教令院に見捨てられ、人に陥れられるような馬鹿なんだから。
ネフェルいっそ、父が詐欺師だったらよかったのに…
ネフェルトキの王…いや、トートは立派な詐欺師だった。あたしと親子と言ったって不思議じゃないだろう。
ネフェル口にこそしたことはないけど、トートのほうもきっとそう思ってる。
ネフェルあたしに真実を覗く目と、嘘をつく術を教えてくれたのがその証拠さ。
(旅人) トキの王と話したことはないけど…
どんな「詐欺師」だったの?
ネフェル奴はキングデシェレトによってアアルに投げ込まれたんだ。そして、牢獄みたいなその場所を離れたければ、三つの問題に正解しなければならないと告げられた。
ネフェルそれで奴は猫の姿に化けてあたしのところに来たんだ。「神の使い」となって、代わりに答えを探してくれないかってね。
ネフェルでも、そう簡単にいくわけがないものさ。結局、あの老いぼれは未だに閉じ込められたままだし、あたしに与えたものも取り戻せないでいる。
(旅人) ネフェルに優しいんだね。
父親みたいに…
ネフェルどこからその結論に至ったんだい?
ネフェルトキの王は閉じ込められた恐怖から解放されるために、「善行」を通してあたしの好意を得ようとしただけさ。
ネフェル詐欺師はみんな恐怖を抱いてる。レリルだって例外じゃなかっただろう。スパイとして生きてきたやつが、いい結末を迎えようだなんて——
ネフェル虫のいい話だと思うだろう?でも、あたしには分かるんだ。どんなに顰蹙を買うような人間でも、生きていたいって思いは変わらない。
ネフェル…詐欺師の言う「本心」ほど信頼できないものはないというけど、あんたはどう思う?
(私)もそう思う。
(旅人)(私)もそう思う。
ネフェルやっぱりあんたは賢いね。しかも冷静に物事を見てる。
(私)はそう思わない。
(旅人)(私)はそう思わない。
ネフェルそうかい?詐欺師にまで気を配るとは、優しい子だね。
ネフェルでも、詐欺師の心になんか、一モラの価値もないんだよ。世界で最も利己的な人間なんだから。
ネフェルあたしがいい例だよ。いいことがあっても絶対に人には言わない。横取りされたくないからね。
ヤフォダ…ぷっ。
ラウマ……
(旅人) ほかにも聴衆がいるみたい。
ネフェル構うもんか。あいつら地獄耳なのさ。
(旅人) ネフェルが近くなった気がする。
ネフェルそうかい?
(旅人) だってみんなと、友達みたいに接してる。
ネフェルまぁ、過去を知られた以上、消すかうまく付き合うかのどっちかだからね。
ネフェル手に負えない相手なら、平常心を装って監視下に置いたほうがいい。情報を取り扱う商人の心得さ。
ネフェルということで、秘密は守ってくれよ。監視されてる立場としても、友人としても。
(旅人) うん、約束する。
ネフェルよろしくね。
パイモンあっ!そういえばまだ解決してないことがあったぞ!
(旅人) なに?
パイモン結局、例の「謎の助っ人」が誰かわかんなかったぞ!
物音(部屋の中から物音が聞こえる)
ネフェル…ん?
ネフェル空耳か…?
「召使」それで、君と一緒に残った「優しき同僚」は、最近どうしている?
「傀儡」知らないわよ。あいつと比べたらボスコ2号の方がよっぽど人間らしいわ。
「傀儡」でも言われてみれば、しばらく見てないわね。もしかして…
「召使」自ら姿を消してくれたのなら、世のために大きな貢献をしたことになるが、あいつに限ってそんなことはあるまい。
「召使」このまま大人しくしていてくれるとは思えないな…やつの動向には注意しておいたほうがよさそうだ。

みんなの話に耳を傾ける

ドゥリン・ファルカ・アルベド

ファルカ身体のほうはどうだ?もし具合が悪くなったらすぐに言ってくれよ。
ドゥリン大丈夫だよ、大団長。ボクは別に、大したことしてないし…
ファルカハハハッ、謙虚だな。
アルベド今回の戦いでドゥリンは大活躍だったよ。みんなも感謝してる。
アルベド褒められたときは素直に受け入れるといい。それも礼儀の一つだ。
ファルカならお手本といこうか——アルベドの錬金術も見事だった!あっという間に完成させるなんてな!
アルベドありがとう。でも、ボク一人じゃ無理だったよ。ドゥリンが力を貸してくれたから成し遂げられたんだ。
ファルカおぉ、さすがだな。
ドゥリンうぅ…じゃあ、試してみる——みんなの役に立てるように頑張ったよ。
パイモンここにいたのか。
(旅人) みんな、お疲れさま。
ファルカよう、旅人、顔色がだいぶよくなったな!
アルベドうん、もう薬は必要なさそうだ。
ドゥリン喉、乾いてない?何か飲む?
パイモンへえ、ここ数日でもう店で注文できるようになったのか?
ドゥリン錬金術と比べたら、全然難しくなかったよ。こうやって少しずつ覚えていけたらいいな。
パイモンドゥリンならきっと大丈夫だ。アルベドの兄弟なんだからな!
パイモンでも、おまえたちの計画とやらは全然理解できなかったぞ…えへへ…
ドゥリン仕方ないよ。錬金術を学んだことがない人がその原理やプロセスを理解するのは難しい。
アルベド簡単に言えば、彼が以前クーヴァキを盗んだのと同じように、今回はボクたちが彼自身の力を盗んで利用したのさ。
アルベド勝てっこない相手に遭遇したとき、一番有効な方法は戦いを辞めることだ。
アルベド力勝負をするんじゃなく、コロンビーナさんが彼に匹敵する力を得るための手助けをしたほうが得策だと判断したんだよ。
アルベド作戦の重要な鍵は二つ——月の狩人の戦い方における癖と憎しみの対象を把握すること。そして彼を錬成陣の影響の範囲内から出さないこと。
アルベド念のため、四ヶ所に陣を用意したけど…戦いが及ぶ範囲からすると、最後に選んだ場所が最も理想的だった。
アルベド錬成陣を通してアビスの力を吸収し、さらにドゥリンの「特殊加工」によって、コロンビーナさんが使える力に変換したんだ。
アルベドそのおかげで、コロンビーナさんがそれまで出来なかったことが出来るようになった。
ファルカそれにしても、ダインスレイヴさんが本当に手を貸してくれるとはな。
ファルカ彼が手を貸さないと決めても、誰も文句は言わなかっただろうに…彼の決断に感謝してるよ。
(旅人) かつての友達が敵に…
難しい選択だっと思う。
ドゥリンうん。でもきっと彼からすると、迷うよりは辛くても決断したほうがよかったんだろうね。
ファルカああ。
ファルカ苦痛に揺さぶられながらも、進む道を選び、迷わず進む。彼はそういう人間だ。
ファルカとにかく、今回の勝利はみんなのお陰だ!思う存分、勝利を祝おう!

ネフェル・ドリー

ネフェルやあ、サングマハベイ様。
ネフェル増幅装置、とても助かったよ。ありがとう。教令院が造ったものなのかい?
ドリーよーくご存じではありませんの。わざわざそれを聞きに?
ネフェルいや、お礼を言いに来たのさ。
ドリーふふん、義理堅い方ですのね。そういう方とビジネスをやるのは大好きですわ。今後ともよろしくお願いしますわね。
ネフェルドリーさんのような心優しい投資家にそう言ってもらえると光栄だ。
ドリーえ?心優しい…?な、何の話です?
ネフェルナド・クライに来て早々、土地を購入したそうじゃないか…砂漠にも土地が持ってるとか。それから…
ドリーちょ、ちょっと!人の投資先を調べていったい何のつもりです?
ネフェル何をそんなに慌てるんだい?まっとうな投資だろう?避難所を建てる予定のものもあったとか。
ドリーそ…そんなことまで…
ネフェルとても素晴らしいことじゃないか。人に知られたくないなんて、あんたも変わってるね。
ネフェルその後、建設計画は取り消されたそうだけどね、噂はちゃんと届いてるよ。
ドリー……
ネフェル避難所計画はスメールの人のためなんだろ?
ドリーどうせ空き地なんですもの。放置するより建物を建てて活用したほうがよっぽどマシでしょう?
ドリー災害なんていつ訪れるか分かりませんわ。家族を亡くしたときの悲しみは二度と味わいたくありませんの。もし災害で友人や協力先を失ったら、たまったものじゃありませんでしょ。
ドリー避難所は姉の夢でしたの。十分な食料や水、薬が用意された所で、みんなで楽しく暮らせたらと姉は生前願っておりましたわ。
ドリー土地を買ったのも姉の願いを叶えるためでしたけれど、草神様と話し合ってもっと効率のいい方法を採用しましたの。
ドリー技術を持った人には技術を、モラを持った人にはモラを。みんなで協力して備えるのが一番ですわ。
ネフェルでも、それを知ってる人はどれぐらいいるんだい?みんなには、サングマハベイ様がモラ稼ぎに拍車をかけてるとしか思われないかもね。
ドリー何か問題でも?私はモラが大好きですの。それが恥ずかしいことだなんてこれっぽちも思っていませんわ。
ネフェルモラを稼ぎ続けることが夢なのかい?
ドリー分かっていませんわね~!人の夢に投資することこそが私の夢なのですわ。その人の夢が叶った暁には、ちょっとばかしおこぼれをいただければ、それで満足ですの。
ドリー想像するだけで胸が躍りますわ。うふふ、チリンチリンとモラの音が聞こえる…
ネフェル…ありがとう。
ドリー増幅装置のことですの?
ネフェルペンダントもね。
ドリー借りを返しただけですわ。あまり気になさらないでくださいまし。
ネフェルあんたも家を離れて、ずいぶん経つんだろ?
ドリーええ。もう家族の顔さえ思い出せないときがありますわ。
ネフェル両親とお姉さんかい?
ドリーええ。姉はかなり前に亡くなりましたけど。
ドリーもちろん忘れたくなんかありませんわ。でも、記憶というのは、商人よりもずる賢いですものね。時間が経てば、役に立ちそうにないものから消されていくのです。
ドリー姉の悲しい記憶は得にならないと判断されたのか、顔もはっきり思い出せなくなってきましたわ。
ネフェルそれでも、一番大切な思い出は消えないよ。
ドリーそうですわね。それだけが心の慰めですわ。
ネフェル…湿っぽい話はここまでにしよう。少なくとも、昔より暮らしぶりはだいぶマシになった。
ドリーそうですわね。おかげさまで大きな家もありますし、モラもたっぷり、商売も大繁盛。大満足ですわ!
ドリーあなたも前途有望ですわね。大金持ちになるのも時間の問題でしょう。
ネフェルありがとう。そうなるといいんだけどね。

「傀儡」を探す

「傀儡」その話をするためにわざわざ来たの?
「少女」うん。いろいろ考えてみたけど、キミとアルレッキーノは「友達」だから。
「少女」とても大事なことだと思ったから、伝えに来たの。
「傀儡」これはまた新しいお話ね。あまりの感動でお茶も喉を通らないわ…話が済んだら、出てってちょうだい。
「少女」私と友達になるのと、これまで通り同僚として過ごすのと、どっちがいい?
「傀儡」ちょっと、コロンビーナ、ワタシの我慢の限界を試してるの?これ以上しつこくしたら、礼儀正しい言葉遣いのモジュールを止めるわよ。
「少女」礼儀正しく話すなら、「ですます」を付けないと。
「傀儡」プロンニア、コロンビーナ様がお帰りになるわ。見送りなさい。
「少女」またお茶会に誘ってくれる?
「傀儡」は?
「少女」きっと誘ってくれるよね。じゃあまたね、大好きなサンドローネ。
(旅人) 友達と話してた?
邪魔しちゃったかな?
「傀儡」前回はワイルドハント騒動でさっさと出てってくれたからよかったけど…これ以上邪魔すると容赦しないわよ。
パイモン事が一段落したから、様子を見に来ただけだぞ。
「傀儡」余計なお世話。ワタシがその気になったら「月の狩人」になんて指一本触れさせないわよ!
パイモンとにかく元気にしてるならそれでいいんだ。ロボットも直ったみたいだし。今回はありがとうな。
(旅人) テーブルに本とお茶…
アフタヌーンティーの最中だったんだね。
「傀儡」もういいわ。アナタたちの前にもお邪魔虫が来てたから、お茶を飲む気分じゃなくなっちゃった。
「傀儡」飲みたいならどうぞ。もったいないしね。
「傀儡」コースターがないか…このノートをコースター代わりに使って。
パイモンえっ、いいのか?分厚いノートだな…方程式みたいなのがいっぱい書き込まれてるぞ…
「傀儡」気にしないでいいわ。ただの下書きよ。
「傀儡」時間を持て余したときに落書きしてるの。おぼろげな過去のことだったり、遠い未来の想像だったりね。
「傀儡」めちゃくちゃな今のことを歯を食いしばって記録することもあるけど。ま、新聞に載ってるパズルゲームをやるのと同じよ。
「傀儡」未来を占う時はまるで白昼夢を見てるみたいだし、現在のことを記録する時は胸がむかむかする。やっぱり過去がいいわ。すでに決まった事実だから、あれこれ思い悩む必要がないもの。
「傀儡」楽しいと思える記憶なんて、「奇械公」にまつわる記憶しかないけどね。
(旅人) 「奇械公」?もしかして…
アラン・ギヨタン?
「傀儡」ほかに誰がいるの?フォンテーヌのマシナリーは、ほとんど彼の発明でしょ。
パイモンもしかして、アラン・ギヨタンと知り合いなのか?
「傀儡」…少し交流があっただけよ。
(旅人) でも、奇械公って…
数百年も前の人でしょ?
「傀儡」そう、彼と交流のあった「普通の人間」は、もうワタシしか残ってないでしょうね。
「傀儡」彼が生きていた頃は時々おしゃべりをしたの。そして死ぬ前に彼の手稿をすべて破棄するよう頼まれたわ。
「傀儡」言われた通り、手稿は全部破棄したわ。一通り目を通してからね。
「傀儡」なんたって、「奇械公」アラン・ギヨタンの知恵の結晶でしょ?そのまま消してしまうのはあまりにもったいなかったから。
パイモンこのノートに書かれた計算式って、もしかして…
「傀儡」パズルゲームみたいなものだって言ったでしょ?暇つぶしのための落書きでしかないわ。
「傀儡」アランの方程式に比べたら、浅はかな謎解きみたいなものよ。
「傀儡」でも、謎解きも悪くないわ。少なくとも…計算することで誰かを傷つけることはない。脳細胞はいくらか死ぬかもしれないけど。
「傀儡」アランの話になったついでに、彼の「友人」たちの運命について話してあげる。
「傀儡」アラン・ギヨタンにはルネとジェイコブっていう二人の親友がいたの。三人は「水仙十字院」で一緒に育った幼馴染だった。
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「傀儡」子供のときから三人はよきライバルで、多少の友情も育まれた。
「傀儡」それから、懐古の感情の芽もね。
「傀儡」子供時代はいずれ終わり、予言は現実になる——滅亡の日が訪れてしまえば、二度と未来を迎えられなくなる。
「傀儡」いつしか、頭のおかしな人しか抱かないような「世界を救う」って夢が、彼らの心に根を張ったわ…
「傀儡」…ルネとアランが愚鈍な凡人だったら、その夢もただの老後の思い出話になったのかもしれない。
「傀儡」でも残念ながら、彼らは凡人じゃなかった。その夢は彼らの中で芽吹き、すくすく育って、やがて魂までも蝕んでいった…
「傀儡」先に心を完全に呑み込まれたのはルネだった。
「傀儡」彼は思い通り、友人の命を再構築したわ。でもその行為をアランは受け入れられず、ルネのもとを離れていった…
「傀儡」きっとルネは友人への想いからそうしたのだと、アランは信じたかったみたいだったけど…そう語るときの彼の口調からは、隠しきれない懐疑が感じられたわ。
「傀儡」…そのときすでに、悪夢の種はルネの中で芽を出していたのかもしれない。
「傀儡」次に彼らが再会したとき、ルネは「救世」の夢に完全に呑み込まれ、彼が夢見ていた運命の波は、滅亡の日が訪れるよりも前に世界を呑み込もうとしていた。
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「傀儡」最終的にその波は引いていったけど、この前再び訪れたという噂を聞いたわ。
「傀儡」ルネが救世の夢に再度挑もうとしてるらしいってね。
「傀儡」最終的に、過去を取り戻そうとする狂った波は鎮められたそうよ。そうしてルネはやっと夢から目覚めたけど、時すでに遅しね。
「傀儡」セリフが見つかりませんでした
「傀儡」世界を救うためならどんな代償もいとわない、人間離れした天才——
「傀儡」でも同時に、己の幻想のために周りの人の運命までめちゃくちゃにした、罪深き一面もある。尊敬と嫌悪、アナタはどちらを抱く?
「傀儡」ま、どちらでも変わらないか。
尊敬のほうかな。
(旅人) 尊敬のほうかな。
「傀儡」そう。そういえば、アナタと彼には共通点があるわ——世界を救いたいって夢を抱いてたところよ。
「傀儡」アナタの夢は現実になった。一方、彼の夢が…自らの手で実現されることはなかった。
尊敬はできないよ。
(旅人) 尊敬はできないよ。
「傀儡」そう?どうしてかしら?彼が極端な行動をとったから?それとも失敗したから?…また別の理由かしら?
「傀儡」どちらにせよ、ルネはもうこの世にはいないし、彼の夢も、ほかの人によって実現されたわ。
分からない。
(旅人) 分からない。
「傀儡」無難な返事ね。でも、心の中ではハッキリ答えが出てるんでしょ?
(旅人) ルネのこと、サンドローネはどう思う?
「傀儡」理想我のために現実我を捨てる極端者も、妄想に支配される愚者も好きじゃないわ。
「傀儡」ルネのような智者でさえ、自分の心に囚われ我を忘れてしまったんだから、一般人は言うまでもないでしょ?
「傀儡」ルネの話はここまで。次は「奇械公」アラン・ギヨタンの話よ。
「傀儡」ルネが巻き起こした波乱は止められたものの、アラン・ギヨタンは友人と家族を失った。
「傀儡」念のために言っとくけど、友人と家族を失ったのはルネのせいじゃない。単なるアクシデントよ。
「傀儡」——それでも仕事を続けた彼の唯一の原動力は、まさに親友をアビスに堕とした夢だった。
「傀儡」親友のことで相当なショックを受けたんでしょうね。フォンテーヌを救うためにフォンテーヌ科学院を設立した後も、アランは人間の知恵を超えたものを全部切り捨てたわ。
「傀儡」人の知恵だけでも手の届く方程式やマシナリーだけが、彼を安堵させてくれた。
「傀儡」しかし、アランのあまりに膨大な知識は、彼に息をつく暇さえ与えなかった。
「傀儡」命の灯火が消えようとしたとき、やっと彼は現実を受け入れたわ——水仙十字結社の中にも、人の姿で最後を迎える人が必要だってね。
「傀儡」彼は方程式を書く手を止め、ある本を手にした——子供の頃に親しんでいた、長らく開いてなかった絵本をね。
「傀儡」「水仙十字院」の院長が子供たちを寝かし付けるときに施す魔法が「絵本」だったのだと、彼は言ってたわ。
「傀儡」鬱々たる思いから解き放たれ、穏やかに眠りにつきたい。これが彼の唯一の願いだった。ほかのことはどうでもよくなったの。
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「傀儡」そしてやっと、「水仙十字孤児院」の遺跡のそばで、彼は安らかに眠ったわ。アラン亡き後も、フォンテーヌ科学院は休みなく動いてる。
「傀儡」数年後、方向性の違いで科学院の研究員たちはバラバラになったけど…あの馬鹿な連中がどうしようと、もうアランとは関係ないわ。
「傀儡」はい、以上。世界を救う夢を追いかけた、「水仙十字院」の二人の物語でした。
「傀儡」救世の幻想を追いかけた末に、水底に静かに沈んでいった一人と…
「傀儡」命を燃やしながら、先の見えない道を突き進んだ一人…
「傀儡」ふっ…時々思うのよね。何が彼らに、そんなとてつもない夢を抱かせたのかしらって。
「傀儡」どんな大木も一粒の種から育つでしょ?世界を救うって夢も、自らを救いたいって小さな種から始まったのかもしれない。
「傀儡」大切な友人や家族、未だ答えの見つからない命の意味、まだ成し遂げていない偉業…そのすべてが一瞬でかき消されるのを見たくないから…
「傀儡」混沌とした世界に自分の居場所を見つけたいから…浪や風に押し流されたくないから…
「傀儡」だから、自らを救うために、運命の潮流に足を踏み入れたのかもしれない。
「傀儡」……
「傀儡」自分を救いたいなんて願いが、世界を救う理由になるものかしらね?
「十分な理由だよ。」
(旅人) 「十分な理由だよ。」
「傀儡」アランみたいなこと言うのね。彼にも同じことを聞いたけど…
「傀儡」同じことを言ってたわ。
「傀儡」それだけ言って、また仕事に戻ったの。いつものようにね。
理由にならないと思う。
(旅人) 理由にならないと思う。
「傀儡」ずいぶん理性的ね。ま、悪くない答えよ。
「傀儡」でも、アランはそう考えてなかったわ。彼にも同じことを聞いたの。
「傀儡」そしたら…「十分な理由だよ。」ですって。
「傀儡」それだけ言って、また仕事に戻ったの。いつものようにね。
分からない。
(旅人) 分からない。
「傀儡」それも一つの答えね。今の素直な気持ちだもの。
「傀儡」彼にも同じことを聞いたの。答えはいたってシンプルだったわ。
「傀儡」「十分な理由だよ。」
「傀儡」それだけ言って、また仕事に戻ったの。いつものようにね。
「傀儡」はい、ティータイムは終わり。
「傀儡」物語をかき集めるために、アルレッキーノに借りを作っちゃったわ。今度「壁炉の家」に行くときは、手土産を用意しなくちゃ。
「傀儡」ワタシはプロンニアの修理に戻るわ。ここにいてもらっても構わないけど、邪魔はしないでちょうだい。
「傀儡」プロンニア、スリープモードは終わりよ。セルフチェックを始めなさい。

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