空月の歌 第四幕
![]() | ネタバレ注意! |
| 本記事には重大なネタバレがあります。閲覧には十分ご注意ください。 |
ナド・クライ:帰途? | 白銀の浪と蒼林の舞 | 塵と灯のエレジー? | 存在しない国? | 消えた月光に想いを馳せて | 北の果ての夜想詩 | 朝霧に散りゆく月光

|咆哮する狼は月光の跡を追い、人々の心は暗雲に覆い尽くされる。
古き過去が目の前で次々と蘇る…歴史が残した謎は今もなお、運命の奔流の中で多くの人を前へと突き進ませている。|
すべては予言
基地へ戻る
| 基地に戻った後、一行は次の行動について議論を始めた。その時、予想外の人物が加わってきた… |
| パイモン | みんな大丈夫かな?順調だといいけど… |
| パイモン | あっ、見ろ。ちょうど帰ってきたみたいだぞ! |
| パイモン | フリンズ、ラウマ、そっちはどうだった? |
| ラウマ | ああ、問題ない。ただネフェルとヤフォダさんは秘聞の館で情報の整理をしてるため、しばらく合流できなそうだ。 |
| フリンズ | 帰り道で、イネファさんとアイノさんにお会いしました。調査は予定通り進んでいますが、もう少しかかるとのことです。 |
| ラウマ | どことなく、表情が明るく見えるな? |
| フリンズ | ええ。与えられた任務を終えただけでなく、良い出会いがありましたから。 |
| (旅人) | 良い出会い? |
| フリンズ | 戦いは退屈なものでしたが、この勇敢なお二人と知り合えたのです。 |
| アルベド | 久しぶりだね。元気だったかい? |
| パイモン | アルベド!どうしてここに!? |
| (旅人) | 久しぶり。 |
| アルベド | 無事にキミたちを見つけることができて、よかったよ。 |
| (旅人) | ファルカを探しに来たの? |
| アルベド | ああ。簡単に当てられてしまったね。 |
| フリンズ | ワイルドハントと戦っているときに、偶然こちらのお二人に助けていただいたのです。ファルカさんの同僚だと聞きましたが、さほど驚きはありませんでした。 |
| フリンズ | 優れた人というのは不思議と同じ時に現れるものです。あなたたちが知り合いであることも意外ではありません。 |
| パイモン | 「こちらのお二人」?アルベドだけじゃないのか? |
| アルベド | ほら、みんなに挨拶するんだ。 |
| ??? | …… |
| フリンズ | こちらの物静かな紳士もご友人なのでは? |
| (旅人) | その角…まさか…!? |
| ??? | 初めまして…いや、久しぶりかな… |
| パイモン | おまえ…ちびドゥリンか!? |
| ドゥリン | うん、そうだよ。会えてよかった。 |
| アルベド | 本人によると、もう「ちび」はつけなくてもいいみたいだよ。 |
| ドゥリン | もう小さい子供じゃないからね。 |
| アルベド | 面白いと思わないかい?人間社会への第一歩が、自分の名前と見た目が合っているか気にすることだなんて。 |
| パイモン | へへ…今のおまえいい感じだな。元気そうでよかったぞ! |
| ドゥリン | パイモン、ありがとう。あらためてよろしくね。 |
| パイモン | おう!へへっ、じゃあ改名ついでにオイラのことは「偉大なるガイドのパイモンさま」って呼んでくれ! |
| (旅人) | そのままでも大丈夫だよ。 パイモンはパイモンだし。 |
| ラウマ | 私も元のままのほうが愛らしいと思うぞ。 |
| ラウマ | 愛らしい者にしか、愛らしい呼び名は与えられない。そして、それは人との繋がりがあって初めて得られるものだ。 |
| アルベド | ラウマさんの言う通り、弟はまだまだ「人との繋がり」というものを勉強する必要がある。 |
| ラウマ | そういえば、クータル…コロンビーナさんは皆と一緒ではないのか?姿が見えないようだが… |
| パイモン | コロンビーナなら、昔の友達とおしゃべりしてるぞ。お茶でも飲んでるのかもな。 |
| 「少女」 | 私の話?あまり悪く言わないでね。 |
| (旅人) | (昔の同僚と会えたおかげか、ちょっと嬉しそう。) |
| フリンズ | 皆さんの表情から察するに、そちらの任務も上手くいったようですね。 |
| ラウマ | ずいぶんと大所帯になったな…霜月の子から椅子を運んでこよう。 |
| アルベド | 大丈夫だよ。もし足りなくなったら、錬金術で作ろう。 |
| 「召使」 | お気遣い痛み入る。だが私はこちらの友人たちを送るために来ただけだ。どうかお気になさらず。 |
| 「召使」 | サンドローネと話したいことがあってね。後ほどまた会うことになっている。皆とはここでお別れだ。 |
| ラウマ | 助力に感謝する。 |
| (旅人) | 助けてくれてありがとう。 |
| 「召使」 | 真の友人であれば、互いに礼儀にこだわる必要はない。こうして親しく手を取り合えたこと、喜ばしく思う。 |
| 「少女」 | うん。またね、アルレッキーノ。 |
| ファルカ | ははっ、ずいぶんと賑やかだな。一人行っちまったようだが、それでも仲間で溢れてる。 |
| フリンズ | もしかして、本当に椅子が足りなくなりそうでしょうか? |
| ファルカ | ま、入ってみれば分かるさ。 |
基地に入る
| ファルカ | …… |
| ダインスレイヴ | …… |
| ファルカ | 入り口で話してたことは聞かせてもらった。コロンビーナの同僚が帰ったんだろう?今ここにいるのは、元々いたメンバーと俺の同僚—— |
| ファルカ | で、こちらは…誰の同僚なんだ? |
| (旅人) | ごめん… 俺(私)たちを探しに来たんだと思う… |
| ダインスレイヴ | この中で俺を知っているのは、旅人とパイモンだけだ。 |
| パイモン | 紹介するぜ!こいつは偉大なるガイドのパイモンと、テイワット最強の冒険者の同僚…じゃなくて、友達のダインスレイヴだ。 |
| フリンズ | 自ら名乗らず、人に紹介を任せるとは、さぞ高貴なお方とお見受けします。 |
| ラウマ | 何か言いたげな顔をしておるが… |
| ダインスレイヴ | (…先に名前を言われてしまった…) |
| パイモン | ダインがオイラたちを探しに来たってことは、なにか大事な用があるんだよな?もしかして、ワイルドハントのことか? |
| ダインスレイヴ | …もしワイルドハントが俺たちの共通の敵だと言ったら、これから始まる会議に席を用意してもらえるか? |
| ファルカ | ほう、同じ敵がお前をここまで導いたってことか。もちろん、大歓迎だ。 |
| ファルカ | だがそうなると、椅子が足りないな。アルベド、用意してくれるか? |
| アルベド | 久しぶりに会うのに、最初の命令が「椅子作り」だなんて…懐かしいね。 |
| ドゥリン | …アルベド、本当に懐かしく思ってるのかな? |
| パイモン | おまえのお兄ちゃんだろ?そういうのは、オイラたちよりもおまえのほうがわかるんじゃないか? |
| ドゥリン | ボク、まだ言葉を勉強中だから…アルベドの言い回しを完璧に理解するのは、ちょっと難しいんだ… |
| パイモン | そっか。大丈夫だぞ、言葉って難しいからな。今の時点でドゥリンは十分すごいぞ! |
| (旅人) | パイモンって… 褒めて伸ばすのが上手だね。 |
| ラウマ | ネフェルのほうはまだ終わっておらぬのか? |
| フリンズ | 様子を見に行ったほうがいいかもしれませんね。お願いできますでしょうか?ネフェルさんを呼びに行くのに最も適しているのはラウマさんかと。 |
| ラウマ | 私は秘聞の館から戻ってきたばかりなのだが…それになぜ私なのだ? |
| フリンズ | ネフェルさんは情報収集に長けている反面、何やら秘密を隠しているように思えます。そして彼女はおそらく、秘密を共有することを好まないタイプです。 |
| フリンズ | そんな彼女の秘密に踏み込むなど…僕にはできません。 |
| ラウマ | ならば、私であれば問題ないということか? |
| フリンズ | 詠月使のあなたは僕よりも親しみやすい。それに女性同士ですから、僕が行くよりも会話が弾むでしょう。 |
| ラウマ | そうか…ならば見てこよう。 |
| ファルカ | あれで本当に行くとはな…文句を言うそぶりすらなかった。 |
| フリンズ | 知恵というものは、他人に仕事を任せるときにこそ真価を発揮するものです。自分にお鉢が回ってきそうなときには言葉巧みに立ち回る——ラウマさんもいつかは知ることになるでしょう。 |
| アルベド | あるいは、そもそも「やらない」という選択肢もある。 |
| フリンズ | ええ。さすがアルベドさん、やはり聡明なお方です。 |
| ファルカ | どうやら、会議を始めるにはまだ早そうだな。みんな少し休んでてくれ。 |
| ファルカ | しばらく自由時間にしよう。忙しくなる前に、楽しくお喋りしとくといい。人が揃うまでな。 |
みんなと雑談を交わす
ドゥリン・「少女」・アルベド
| アルベド | 二人とも静かだね。なら、ボクが話題を提供しよう。 |
| 「少女」 | 案内をお願いできる? |
| アルベド | 似顔絵を描いてもらったことはあるかい?もしなかったら、ボクに描かせてもらえないかな? |
| 「少女」 | いいの?キミ、絵が得意なの? |
| アルベド | ちょっとだけね。 |
| ドゥリン | すっごく上手なんだよ。机も、椅子も、人も、龍も…全部そっくりに描けるんだ。 |
| アルベド | ちょっと恥ずかしい… |
| 「少女」 | 機会があったら、私も描いてみようかな。 |
| アルベド | ああ、それはいいね。さて、ドゥリンはどんな画風がいい? |
| ドゥリン | ボクは任せるよ。 |
| ドゥリン | 好きに描いてほしいな…うん。 |
| アルベド | 分かった。筆の流れに任せるとしよう。 |
| 「少女」 | どういう風に描くか、選べるの? |
| アルベド | 見本になる絵があったらね。好みの雰囲気に近づけるよう頑張らせてもらうよ。 |
| 「少女」 | ありがとう。ちょうどいい絵を探してみる。 |
ダインスレイヴ
| ダインスレイヴ | 何か言いたげな顔をしているな。 |
| パイモン | ナド・クライに来てるなんて知らなかったぞ!もっと早く声をかけてくれたらよかったのに。 |
| ダインスレイヴ | いつものことだろう? |
| パイモン | たしかに…それもそうだな… |
| (旅人) | どこに泊ってるの? |
| パイモン | あっ、そうだよな。おまえも宿かどっかに泊まってるんだろ!どうせなら同じ宿に泊まらないか?人数が多いほど割引してもらえるかもしれないし。 |
| ダインスレイヴ | そうだな。それもよさそうだ。 |
| パイモン | よし、あとで聞いてみるぞ。 |
| パイモン | これでダインがオイラたちのボディガードになってくれるな!やったぜ。 |
| (旅人) | パイモン、しーっ… |
| ダインスレイヴ | それが望みなら、そう言えばいい。叶えてやらんでもない。 |
| パイモン | えっ…直接お願いしてもよかったのか…あはは…でも、今のは冗談だぞ。 |
| パイモン | あっ、同じ宿に泊まろうっていうのは冗談じゃないぞ。せっかくこうして会えたんだしさ。それに、なにかあったときはお互い助け合えるだろ?オイラたち、仲間とはいつもそうしてきたんだ。 |
| ダインスレイヴ | ああ…礼を言う。 |
フリンズ・ファルカ
| ファルカ | こうも人の多い会議に参加するのは久しぶりだ。 |
| フリンズ | 同じくです。僕の所属している組織では、あまり大勢で顔を合わせて話し合うことがありませんから。 |
| ファルカ | はっはっは、だろうな。俺が知ってるライトキーパーといやぁ、お前とあの「イルーガ」くらいだ。 |
| フリンズ | イルーガは優しくて誠実で、定期的に僕の灯台に物資を届けてくれます。どう考えても、僕よりも本物のライトキーパーでしょう。 |
| ファルカ | ほう、じゃあお前は「偽物」のライトキーパーってことか?別にそう言いたかったわけじゃないだろ? |
| フリンズ | …… |
| ファルカ | …… |
| ファルカ | おい、何か言えよ?気まずいだろ。 |
| フリンズ | すみません、僕は無意味な嘘をつきたくないのです。あなたはもう、とっくに気づいているのではありませんか? |
| ファルカ | …… |
| フリンズ | …… |
| フリンズ | あなたも沈黙を選ぶのですね。 |
| ファルカ | あー、なんだ。ここだけの話にしとこう。イルーガには言わない。 |
| フリンズ | ええ。若い友人に多くを語る必要はありません。 |
| ファルカ | お前の正体を知ってるやつは他にもいるのか?見たところ、旅人とパイモンがそうだろ? |
| フリンズ | あまり鋭いと危険を引き寄せてしまいますよ。あなたなら分かるでしょう? |
| ファルカ | ふっ、安心しろ。風神バルバトスに誓って、イルーガには言わん。 |
| フリンズ | …酒の席でバルバトスを親友だと言っていましたよね。その誓いは信じられるのでしょうか? |
| ファルカ | 当然だ。おっと、俺がバルバトスと仲がいいってことは誰にも言うなよ? |
| フリンズ | もちろんです。お互いに秘密を握りあうのも、ある種の友情と言えるでしょう。そういうのは嫌いではありません。 |
ネフェルと会話する
| しばらく後… | |
| ネフェル | …… |
| ラウマ | …… |
| ファルカ | おっ!待ちかねたぞ。ようやくおいでなすったか。 |
| ファルカ | ん?ヤフォダの嬢ちゃんはどうした? |
| ネフェル | あの子なら秘聞の館で待機させてるよ。情報共有と会議が終わったら、月の狩人についてもっと詳しく調査するつもりだからね。そのほうが合理的だろ。 |
| ファルカ | ん?確か「今回だけ…次はない」って言ってなかったか… |
| パイモン | しーーっ!せっかく誤魔化せてるのに、思い出したらどうすんだよ。 |
| ネフェル | …… |
| ラウマ | …ファルカさん、何か言ったか? |
| ファルカ | あ、ああ…いや何も言ってないぞ。なあ、フリンズ? |
| フリンズ | カエルか何かが鳴いたのでしょう。この辺のは特に元気ですから。夜中にコンサートを開くこともありますしね。 |
| ファルカ | まあカエルのことは気にせず、本題に入るとしよう。これだけの顔ぶれが揃う会議で進行役を任せてもらったこと、光栄に思う。まずはそれぞれの立場を軽く整理してこう。 |
| ファルカ | ナド・クライの「霜月の子」の詠月使、ラウマ。秘聞の館のオーナーで優秀な情報屋でもあるネフェル。 |
| ファルカ | ネフェルは月の狩人の情報を調査中だ。ヤフォダとラウマは彼女のサポートに回ってる。顔を見たところ、調査は順調そうだな。 |
| ファルカ | で、ライトキーパーのメンバーであり、廃棄された灯台の守護者、フリンズ。今回の作戦ではワイルドハントを引き寄せ、みんなのために時間を稼いでくれた。 |
| ファルカ | それから、西風騎士団調査小隊隊長兼錬金術師のアルベドだ。んで、こっちはそんなアルベドと一緒に俺を手伝いに来てくれた新たな友人のドゥリン。 |
| ファルカ | そちらの嬢ちゃんが「月の少女」——元ファトゥスのコロンビーナだ。 |
| ファルカ | セリフが見つかりませんでした |
| パイモン | すんごい人数だな。今回の作戦は大掛かりだぞ! |
| ファルカ | ああ、それとネフェルには新しい依頼が入るかもしれない。ははっ、繁盛してるようで何よりだ。 |
| ネフェル | こんな時に?誰からだい? |
| ダインスレイヴ | 俺だ。頼みたいことがある。 |
| ネフェル | あんたは? |
| ダインスレイヴ | それは重要ではない。月の狩人の情報を調べた後、俺にも共有してもらえるか。 |
| ネフェル | 秘聞の館は匿名の依頼を受け付けてないわけじゃないけど、あんたの依頼は断らせてもらうよ。だって、見るからに只者じゃない。受けたらこっちが損をしそうだ。 |
| ダインスレイヴ | この目のせいか? |
| ネフェル | カーンルイア人なんだろ?仮面までつけるなんて、素顔を見せるのが嫌なのかい?とにかく、生き残りのカーンルイア人なんて、滅多にお目にかかれない相手だ。 |
| ダインスレイヴ | …… |
| ダインスレイヴ | 俺はダインスレイヴ、カーンルイア人だ。月の狩人は元々レリルと呼ばれていた。このことは貴様も知っているだろう。そして、あいつは俺の…古い知り合いだ。 |
| フリンズ | つまり、あなたも常人とは一線を画すお方なのですね。 |
| ダインスレイヴ | さてな。それに今となっては俺の身分など何の意味もない。まずは、俺がなぜレリルの調査を依頼するのか、その理由だけでも話させてくれ。 |
| ネフェル | 同じカーンルイア人で、古い知り合いってことは…昔は友人だったってところかね?なんで彼は五大罪人になったんだい? |
| ダインスレイヴ | …… |
| ダインスレイヴ | ああ、俺の知る情報を共有しよう。カーンルイアの過去、五大罪人の名とその身分——すべて記憶しているからな。 |
| ダインスレイヴ | この話を人に語るのはこれが初めてだ。人々が言うように、五大罪人はそれぞれ欲望を抱いている。そして、アビスがカーンルイアを瓦解させ、彼らを堕とすために用いた手段が「欲望の増幅」だった。 |
| ダインスレイヴ | 未来を読み解く「予言者」ヴェズルフェルニル。知識を司る「賢者」フロプタチュール。 |
| ダインスレイヴ | 創造を渇望する「黄金」レインドット。力の極地を求める「極悪騎」スルトロッチ。 |
| ダインスレイヴ | そして、狂気の中で月を噛み砕こうとする「月の狩人」——レリル。 |
| ダインスレイヴ | 五人のうち、俺が唯一理解できないのがレリルだ。あいつに大きな野望があるとは思えない。だが、なぜ一晩で他のやつらと同じ道を辿ったのか? |
| ネフェル | つまり、あんたにも彼がああなった理由は分からないし、その変化は突然だったってことだね? |
| ダインスレイヴ | ああ。 |
| ネフェル | アビスが彼らを堕とした…ってのは、具体的にどういうことだい?その前後で何か事件でもあったとか? |
| ダインスレイヴ | …いざ話すとなると、どこから始めるべきか… |
| ダインスレイヴ | あれはカーンルイアの黒日王朝時代のことだ。俺の兄、予言者ヴェズルフェルニルは黒王の命を受けて王宮へと向かった。だが、そこでヴェズルを待っていたのは、黒王に目を刺され、投獄されるというあまりに非道な運命だった。 |
| ダインスレイヴ | この報せを聞いた俺は激しい怒りに駆られた。集められるだけの仲間を集め、そしてヴェズルを救出するために王宮へ攻め入る計画を練り上げた。 |
| ダインスレイヴ | あの夜の出来事は、数百年の時を経た今もなお、終わらない悪夢のように脳裏に焼き付いている。俺たちは王宮の門を破り、それぞれの目標へと向かった… |
| ダインスレイヴ | …だが、仲間だと信じていたやつらに俺は裏切られた。おまけに、助けようとしたヴェズルにもな。あいつはアビスの力を分け合い、俺を見捨てたんだ。 |
| ネフェル | なるほど、そういう因縁があったんだね。で、報酬は何を用意するつもりだい?何事にも代償が必要だってことは、あんたも知ってるだろ? |
| ダインスレイヴ | この依頼に見合う報酬が何かは俺にも分からない。だがレリルは昔から狂っていたわけではなかった。あいつはカーンルイアのある機関に属する、普通の人間だったんだ。 |
| ダインスレイヴ | レリルの過去を明らかにすることは、今の貴様たちにとって必要なことだろう。依頼を受けるかどうか判断するまで、やつに関する情報をいくつか共有しよう。対策を立てるには、それが不可欠だからな。 |
| ファルカ | そいつは助かる。こうも偶然、月の狩人と因縁を持つ凄腕の剣士に出会えるとはな…まさに「棚からクルムカケ」ってやつだ。 |
| (旅人) | 俺(私)が普段から徳を積んでるおかげだね。 カーンルイア人の友達はそうそうできない。 |
| フリンズ | 実に素晴らしいですね。よろしければ肖像画を一枚いただけませんか?その輝きは、灯台の光源代わりにできるかもしれません。 |
| パイモン | いやいや、普通にランプがあるだろ? |
| フリンズ | 今のはただの褒め言葉ですよ。少々大げさでしたでしょうか?では、次からはもう少し控えめにしましょう。 |
| ネフェル | ダインスレイヴさんの話はよく分かった。後でまた二人で話そう。 |
| (旅人) | ちょっといいかな。ひとつ、みんなに共有しておきたいことがあるんだ。 (ちょっといいかな。ひとつ、みんなに共有しておきたいことがあるの。) |
ネフェルと会話する
| 「少女」と一緒に「召使」に出会った経緯、そして虹月の月髄を見つけたことを話した。 | |
| もちろん「召使」の手助けは個人的なものであることを強調しつつ。そして三つの月が集まったことを伝えた。 | |
| ラウマ | 三つの月が揃うと、クータルの力が大幅に強化されるのだったな。だが、今のところそのような兆しは見えないが… |
| 「少女」 | 実は、もう少し時間が必要そうなの。 |
| 「少女」 | みんなにはたくさん助けてもらったから、正直に話すね…今の私はかなり力を取り戻せてるけど、完全に回復するにはまだ時間がかかるみたい。 |
| 「少女」 | 私はテイワットに拒まれてるから、生まれた瞬間から少しずつ力を削られてるの。たとえ月が揃っても「世界に拒まれてる」っていう事実に変わりはないみたい。 |
| 「少女」 | その「拒絶」にどう対処したらいいかは、今も分からない…もしかすると、ここを離れるその日まで、ずっと続く可能性もある。 |
| 「少女」 | それでも私は…最後までみんなと一緒に月の狩人と戦う。アルレッキーノが言ったように、これは「お返し」というより…親しみと感謝の気持ち。 |
| ラウマ | クータル⋯ |
| 旅人 | (初めて会ったときと比べて…コロンビーナは周りの人や物事に対して、ずいぶん前向きになった気がする。) |
| 「少女」 | 月の狩人を討つのはとても難しいことだから、力を回復させるのと同時に、もっと情報を集める必要があると思う。 |
| フリンズ | その通りです。相手は並みの敵ではありません。 |
| ファルカ | ああ。だから、いくつか作戦を考えておいた。だが最終的にどれを選ぶかは、次の三つの疑問の答えによって決まる。 |
| ファルカ | 月の狩人は本当に殺せるのか?あいつは何を経験したのか?そして、何を求めてるのか? |
| ファルカ | 一つ目については、ちょうどここにアルベドっつう腕の立つ錬金術師がいるから、研究してもらえばいい。 |
| アルベド | ああ、任せてくれ。 |
| ファルカ | 二つ目と三つ目は、おそらくネフェルを頼ることになる。すまんが、今はお前の有能さに希望を託すしかない。 |
| ネフェル | へえ、あたしに希望を託す、ね。 |
| ラウマ | 感謝する。私にとっては…いささか信じがたいことだが。 |
| ネフェル | 詠月使の言うことはころころ変わるね。ネガティブになるとヤフォダみたいになるし、おべっかを言うときはフリンズそっくりだ。 |
| フリンズ | そんな滅相もない。僕はおべっかを言うような人ではありませんよ。お二人はそのまま「楽しい会話」をどうぞ続けてください。僕のことは気になさらず。 |
| 「少女」 | ふふ…楽しいね。ここを出るのが嫌になるぐらい。 |
| ラウマ | きっと、ネフェルは最後まで助けてくれるのだろうな。そなたを信じよう。 |
| ネフェル | へえ?どうしてそう思うのかね?報酬が足りないって言い出したらどうするつもりだい? |
| ラウマ | お金の問題ではない。そなたは月の狩人を嫌っておるように見える。そなたの性格からして、それだけで十分な動機になるだろう。 |
| ファルカ | 二人とも、互いのことをよく理解してるようだな、はっはっはっ! |
| フリンズ | ファルカ大団長のその口ぶり、次の「おべっか男」にでもなるつもりですか? |
| ネフェル | ふっ、ラウマ。あたしはあんたと違って、人々から期待されるのが好きなわけじゃないんだよ。 |
| ラウマ | そうなのか?だが私は、他人に期待したいと思っておる。そなたのような頼もしい人に信頼を預けることを、私は厭わない。 |
| ネフェル | …… |
| ネフェル | はぁ、作戦があるならさっさと動くよ。 |
| ネフェル | ダインスレイヴさん、二人で話そう。旅人、用がなかったら、あとであたしについて来てくれるかい。 |
| ファルカ | ふっ、気づいちまったよ。ネフェルのことは、俺よりもラウマに任せたほうが上手くいくってな。 |
| フリンズ | このようなことを言うのは少し気が引けますが、面白いことを言いますね。 |
| ファルカ | ん?なんだ、なんか間違ってたか? |
| フリンズ | 正しいから面白いんですよ。今さら気づいたんですか、ってね。 |
| ネフェルとダインはしばらく話し合っていた。二人の表情から、今後の行動に対する強い意志を感じられる。 | |
| アルベドとドゥリンは「サンプルを採取してくる」と言い、ファルカと出かけた。 | |
| ラウマは応急薬を持ってきた。「人は、自分が怪我しないと思いこんでおる。私はそんな油断から皆を守らねばならない」と言った。 | |
| 同じ目標のために力を合わせる光景に、希望が灯っていくのを感じる。 | |
| しばらくして、ネフェルに呼ばれ秘聞の館へ行くことになった。 | |
ネフェルと会話する
| ネフェル | 待たせたね。 |
| パイモン | 大丈夫だぞ。オイラたちもダインのために宿を取りに行ってたからな。 |
| ネフェル | へえ、友達に優しいんだ。 |
| ネフェル | 旅人、パイモン、あんたたちもレリルの過去を知りたいんだろ?それに、二人はダインスレイヴさんと付き合いが長いように見える。 |
| (旅人) | うん、知り合ってからだいぶ経つ。 |
| ネフェル | 会議の後、彼と話したんだ。あんたたちの実力は、あたしも満足できるものだって言ってたよ。それと、どんな秘密も安心して託せる、ってね。あたしも同感だったから、こうしてここに呼ばせてもらった。 |
| パイモン | ダイン、オイラたちのことを信頼してくれてるんだな。 |
| (旅人) | 二人の信頼に応えてみせるよ。 |
| ネフェル | あんたの決断力と腹の据わり具合には感心するよ。それにいずれ説明があると分かってるから、詮索しないところもいい。 |
| パイモン | ネフェルも決断力があって、頭がいいよな!最初は仕方なく協力してる感じだったけど、今はおまえの判断だろ? |
| ネフェル | まあ、そうだね。もう決まった以上、ここからは目標のために最善を尽くすしかない。 |
| ネフェル | あたしはこれから月の狩人の記憶に入る。あんたもきっと冒険中に似た経験をしたことがあるだろう?そういった場所の危険性はよく知ってるはずだ。 |
| ネフェル | 二人を呼んだのは、あたしの精神の安定性を維持するためだよ。一緒に精神領域に入ってもらえるかい?もちろん情報収集はあたしがやる。 |
| ネフェル | 人の脳内に潜る、ってイメージしてくれればいい。あんたたちはあたしのサポート役ってわけさ。 |
| ネフェル | これに協力するってことは、あたしと一緒に秘密を覗くことになる。ああ、それと安全のために、儀式中は一言も発しちゃいけないよ。何かあれば儀式が終わった後に話すから。 |
| ネフェル | あと抵抗力の弱い子はこの儀式に参加しないほうがいい。パイモンにはパイモンの仕事があるからね。残っててもらうよ。 |
| (旅人) | (相手の精神領域に潜入する…でも肝心な方法には触れなかった…) |
| (旅人) | (おそらく、これが彼女の「企業秘密」なんだろうな。) |
| パイモン | オイラはなにをすればいいんだ? |
| ネフェル | 儀式が始まると、あたしたちの精神は別の場所に飛ぶことになる—— |
| ネフェル | もし何か予期せぬことが起きたら、その時はあんたが頼りだ。あたしたちの保険になっとくれ。 |
| ヤフォダ | その通り。今回の任務はすっごく難しいんだ。見張り役のパイモンがどんだけ重要か分かるよな? |
| パイモン | つまり「もしもの時の命綱」ってことだな?わかったぞ!任せろ! |
| ネフェル | ああ。じゃあみんな座っとくれ。準備が終わったら始めるよ。 |
| ラウマ | ダインスレイヴさんは他に何か言っておったか? |
| ネフェル | レリルには、人に言えない秘密があるらしい。それが原因になってるかは分からないけど、よく調べてくれと言われたね。 |
| ラウマ | そなたが無償で引き受けるとは思えないのだが。 |
| ネフェル | よく分かってるじゃないか。あたしは商人で、傭兵じゃない。 |
| ネフェル | 今回の仕事を受けたのは次の仕事に繋げるためさ。これを逃したら、カーンルイアの物語を知る機会なんていつ巡ってくるか分からないからね。 |
| ラウマ | そういう興味本位な動機は関心せぬな。安全が第一だ。そのために私たちは最善を尽くす。 |
| ネフェル | はっ、つまんないやつだねぇ。 |
| (旅人) | (お香にロウソク…まるで降霊でも始めるみたい。) |
| (旅人) | (ネフェルはやっぱり方法を明かすつもりがなさそう。今はタイミング的に聞けそうにないし、とりあえず好奇心は抑えとこう。) |
| (旅人) | (ネフェルの情報収集の手段は…机の上のあのボックスと関係があるのかな?) |
| ラウマ | 準備は整った。 |
| ヤフォダ | 姐さん、あたいも準備万端だ。 |
| (旅人) | こっちも大丈夫。 |
| パイモン | 気をつけろよ! |
| (旅人) | うん。いってくるよ。 |
| ネフェル | 力を抜いて。さあ、始めるよ。 |
| ネフェル | 目を閉じるんだ。 |
| ネフェル | (…ふぅ。) |
| ネフェル | (今回は執務室かい?) |
| ネフェル | (特に珍しいものはないね。本棚に書類、何かの資料…) |
| ネフェル | (ダインスレイヴさんの話だと、レリルはかつてある機関に所属していた。ここにはきっと多くの情報が隠されてるはず。) |
| ネフェル | (あんたの秘密はここにあるのかい?ふふっ、楽しみだね。) |
執務机の隣に座る
| 基地に戻った後、次の行動について議論していると、予想外の人物が加わってきた… ダインスレイヴの依頼と協力のもと、ネフェルは過去を覗く儀式を執り行うことにした。 |
書類を調べる
| ネフェル | (書類袋の中にファイルが入ってる。表には「親愛なる朝食屋の店主様」って書いてあるね。) |
| ネフェル | (内容は…リストか。) |
| ネフェル | (ここに書かれてる人間はいったい誰なんだろうね。) |
機械を調べる
| ネフェル | (暗号化されてる?…横の偽装された機器に入れるみたいだね。) |
| ネフェル | (ふむ、録音か。) |
| 録音内容 | 「聞いてくれ!ずっと誰かに監視されてるんだ…違う、被害妄想じゃない!本当だ!」 |
| 録音内容 | 「黒い服を着たやつを見たんだ。そいつは二日前に現れたんだが、その時は別の街で見かけた…絶対に記憶違いなんかじゃない!」 |
| ネフェル | (隣にメモがある——「ルンウォティール邸の監視はこれにて終了。昨晩、ターゲットを拘束した。作戦報告書は提出済み。」) |
| ネフェル | (…録音にあるのは、レリルの監視対象ってところかね?) |
本棚を調べる
| ネフェル | (資料でいっぱいの本棚…) |
| ネフェル | (どれもカーンルイア人の情報が細かく記されてる。本棚には資料しか入ってない。) |
| ネフェル | (赤月は黒日の前王朝で、レリルは黒日の人間。つまり諜報員である彼が、赤月の粛清に関与してても不思議じゃない。) |
| ネフェル | (うん、ダインスレイヴさんの情報とも一致してるね。) |
箱を調べる
| ネフェル | (箱の中に高そうな宝石をあしらった指輪がある…) |
| ネフェル | (恋人に贈るつもりだったんだろうね。) |
箱を調べる
| ネフェル | (箱の中に高そうな宝石をあしらった指輪がある…) |
| ネフェル | (恋人に贈るつもりだったんだろうね。) |
| ネフェル | (以前よりも落ち込んでるように見える。何があったんだろうね?) |
| レリル | ——今日の分の新しい書類が届いた。いつも通り確認しよう。 |
| 書類の内容 | 「■■■、男、五十一歳、料理人。赤月の生き残りであることを確認済み。過去一年間、他の生き残りと頻繁に接触。王朝に対する脅威であると認定。」 |
| 書類の内容 | 「■月■日、粛正完了。」 |
| レリル | これは、粛清済みファイルに入れて保管だな。 |
| 書類の内容 | 「■■、女、二十三歳、事務職員。赤月の生き残りであることを確認済み。過去一年間、他の生き残りと頻繁に接触。王朝に対する脅威であると認定。」 |
| 書類の内容 | 「■月■日、粛正完了。」 |
| レリル | これも、粛正済みファイルに入れて保管。 |
| レリル | (…この女性は、さっきの男性の娘みたいだな。) |
| レリル | (いや、こんなこと気にしてもしょうがない。俺には関係ないことだ。) |
| 書類の内容 | 「■■■■■、男、四十歳、教師。赤月の生き残りであることを確認済み。過去一年間、他の生き残りと頻繁に接触。王朝に対する脅威であると認定。」 |
| 書類の内容 | 「■月■日、粛正完了。」 |
| レリル | 大した人物じゃない。アーカイブ行きだな。 |
| レリル | (こいつは以前監視したことがある。当時は重要参考人ってほどでもなかった。他の赤月の生き残りともほとんど接点がなかったはずだ。) |
| 書類の内容 | 「■■■、女、十六歳、無職の孤児。赤月の生き残りであることを確認済み。過去一年間、他の生き残りと頻繁に接触。王朝に対する脅威であると認定。」 |
| 書類の内容 | 「■月■日、粛正完了。」 |
| レリル | アーカイブ。 |
| レリル | (この少女についてはまったく印象がない。重要人物ではないようだ…むしろ、この一覧の中に本当に重要な人物は何人いるんだろうか?) |
| 書類の内容 | 「■■■、女、十三歳、無職の孤児。赤月の生き残りであることを確認済み。過去一年間、他の生き残りと頻繁に接触。王朝に対する脅威であると認定。」 |
| 書類の内容 | 「■月■日、粛正完了。」 |
| レリル | アーカイブ。 |
| レリル | …… |
| 書類の内容 | 「■■、男、十一歳、無職の孤児。赤月の生き残りであることを確認済み。過去一年間、他の生き残りと頻繁に接触。王朝に対する脅威であると認定。」 |
| 書類の内容 | 「■月■日、粛正完了。」 |
| レリル | …… |
| 書類の内容 | 「■■、男、六歳、無職の孤児。赤月の生き残りであることを確認済み。王朝に対する脅威であると認定。」 |
| レリル | …… |
| 面白いと思わないかい?君の仕事はどんどん難しくなっているとも言えるし、楽になっているとも言える。 | |
| 赤月の生き残りは、遅かれ早かれ粛清される。人が減れば減るほど、見つけるのは「難しく」なっていく。実に厄介なことだ。 | |
| レリル | …そんなことはない。 |
| だが幸い、力ある若い男性の多くはすでに粛清済みだ。残されているのは弱者ばかり。処理は容易い。つまり、「楽」になっているとも言える。 | |
| レリル | 違う! |
| レリル | いや。 |
| レリル | 黒日の存続を守り、潜在的な脅威を取り除く。俺の仕事には一点の曇りもない。 |
| レリル | 同僚はみんな、俺の正しさを証明してくれる。事情を知る友人たちだって、きっと俺の肩を持ってくれるはずだ。 |
| レリル | …本当の事情を知っていたら、の話だが。 |
ヴェズルフェルニルを探す
| レリル | ヴェズルさん。前に酒を飲んで以来ですね。 |
| ヴェズルフェルニル | レリル、大事な用があって会いに来たんだね。 |
| レリル | …… |
| レリル | あっ、すみません、ぼうっとしていたわけじゃないんです。ただ、さっきの一言が疑問形じゃなかったのに少し驚きまして。俺が来ると分かっていたなんて、面白いですね。 |
| レリル | この世にヴェズルさんが「知り得ないこと」なんてあるんでしょうか? |
| ヴェズルフェルニル | 確かに私はいくつかの未来を予知できる。たとえば、君が今日ここに来ることもそうだ。 |
| レリル | …実は、もうしばらくしたら、あなたとダインを俺の結婚式に誘うかもしれないので、事前に言っておこうと思いまして。 |
| ヴェズルフェルニル | 「嘘」…いや、どちらかというとそれは「願望」のようだ。そうだろう? |
| レリル | さすがは予言者、なんでもお見通しってわけですね。 |
| ヴェズルフェルニル | 杯を交わしたあの日から、君が私に会いに来ることは知っていた。 |
| レリル | 未来を予知できるっていうのは、どんな感じなんです?やっぱ、いいものなんでしょうか? |
| ヴェズルフェルニル | この感覚を「良い」や「悪い」で語るのは難しい。未来を予知する能力を与えられた者は、恐れと憂いの中を生きていくことになる。感受性を手放さない限りね。 |
| レリル | …… |
| ヴェズルフェルニル | 恐れているのだろう?あの日、私がなぜ何も言わずに黙ったのかを。 |
| レリル | はい。 |
| ヴェズルフェルニル | 意図的に話そうとしていないことを、君も感じ取っているはずだ。それは、君の望む言葉ではなく、話さないほうが互いのためになるからだよ。 |
| ヴェズルフェルニル | 予言の重みを、君が背負う必要はない。 |
| レリル | では、誰だったらあなたの「予言」を聞く資格を持ってるんです?あの高貴な陛下でしょうか? |
| ヴェズルフェルニル | あえて挙げるなら、かつての陛下だろう。 |
| レリル | ヴェズルさん、あなたは俺よりも陛下のそばにいる。あの方の変化もよく知ってるはずです。 |
| ヴェズルフェルニル | もちろん。あれは良い変化とは言えない。でもだからこそ、私は迂闊に進言できないんだ。王は至善なる名君にも、恐ろしい悪龍にもなり得る。 |
| レリル | それほど頭がいいのに、俺に未知の恐怖の中を生きろと? |
| ヴェズルフェルニル | …そうだね。あの最初の沈黙だけでも、君を恐怖の縁に追いやるのには十分なものだった。 |
| ヴェズルフェルニル | 分かったよ。 |
| ヴェズルフェルニル | 予言者ではなく、君の友人の兄として、忠告しよう—— |
| ヴェズルフェルニル | レリル、君の結婚は君に幸せをもたらさない。その理由は数多くある。よりいい結末を望むのであれば、相手を変えるべきだ。 |
| レリル | …… |
| ネフェル | ん?またあの黒い霧が出てきた…もしかして、ソリンディスの記憶のお出ましかい? |
| ネフェル | …慎重にいったほうがよさそうだ。 |
空間内の黒い霧を調査する
| ウーロ | 待って、最後まで聞いて。今回、僕たちは「月の狩人」の顔を見ることができた。それでやっと、身元を突き止めたんだ。 |
| ウーロ | その人の名前は…レリル。自分が親衛隊の兵士だって偽ってる。 |
| ソリンディス | なんですって!? |
| ウーロ | 皮肉なものだよね…お姉さんに求婚までした男が、実は処刑人だったなんて。彼から、血の匂いはしなかったの? |
| ソリンディス | …私にそんなことを伝えて、どうするつもり? |
| ウーロ | 簡単だよ。お姉さんには… |
| ウーロ | あいつを殺してほしいんだ。お姉さんのことは警戒してないはずだから。 |
| ソリンディス | そんなことするわけないでしょう! |
| ウーロ | じゃあ、僕たちがこのまま殺されるのを黙って見てるつもり?お姉さんの身体にだって、赤月の血が流れてるのに! |
| ソリンディス | 血…王朝が滅んでから、どれだけの年月が経ったと思ってるの?今さら「血」に何の意味があるのよ! |
| ソリンディス | 赤月の血を受け継いでるからって、すべてを捧げてまで復興を目指すつもり? |
| ウーロ | そうだよ。 |
| ウーロ | お姉さんも僕と同じ赤月の人間でしょ!迫害を受けた過去に、怒りを感じたことはないの!? |
| ソリンディス | …… |
| ソリンディス | あなたたちが復興を諦めるなら…彼を説得してみるわ。それか、彼に黒王を説得させる。 |
| ウーロ | 黒王?ははっ…あははっ! |
| ウーロ | あいつがなんで執拗に僕たちを捕まえようとしてるのか、なんで何度も秘密を聞き出そうとしてくるのか、知ってる?お姉さんは、僕たちが赤月王朝の復興に執着してる理由を分かってないみたいだね? |
| ウーロ | 黒王…あの暴君は「世界の外の力」に目を曇らせた、トーヘンボクなんだよ!あいつに玉座に座る資格があると思う?カーンルイアはきっと、あいつのせいで滅びる。間違いない! |
| ウーロ | いいよ、お姉さんが手を下さなくても。今に見てて…もうすぐ災いがやってくるから… |
| ソリンディス | …「月の狩人」… |
| ソリンディス | レリル、あなた…とんでもない秘密を隠してたのね。 |
| ソリンディス | でも…それを責める資格が私にはない。だって、私も血のことを誰にも話していないから… |
| ソリンディス | 愛は誠実であることが大切よ。けど私たちの愛は…嘘の中で育まれたものだった。それでも… |
| ソリンディス | 生きていくのに不都合なことを隠して何が悪いの?人に見せられない一面を隠さなきゃ、私たちは普通になれないのに。 |
| ソリンディス | ヴェズルフェルニルさんも、このことを予言で知ったんでしょうね…ふふ…結局、何も隠せなかったわ。 |
| ソリンディス | でも、災いが起こるのをただ黙って見てるつもりはない。失っちゃいけないものを守らないと… |
| ソリンディス | 相手が誰であろうと、ね。 |
執務室に戻る
| ささやき声 | おい、さっき窓の外を通ったのって…レリルだよな? |
| ささやき声 | …怖くないか?あいつ、何食わぬ顔で毎日この道を歩いて通勤してるんだぜ。 |
| ささやき声 | あの惣菜屋の連中… |
| ささやき声 | よせ。あいつら、上手く隠せてると思ってるんだ。あの獣どもの正体をバラしてみろ。次に首を噛みちぎられるのはお前だぞ! |
| レリル | (惣菜屋?) |
| レリル | (ああ、あの反対派の連中か。そういえば以前、惣菜屋をやってたな。忘れるところだった。) |
| レリル | (どうでもいい人間はいつもこうやって、誰の記憶にも残らず消えていく。) |
空間内の黒い霧を調査する
| ??? | あの人が見た目どおりの人じゃないって分かってるでしょ!もうたくさんの人が死んでるんだよ!今の王は日を追うごとに狂っていってるって、みんな言ってる… |
| ??? | わたしたちは、もうじき生きていけなくなる。でもなんで?この血がいけないから…おとなしく殺されろっていうの? |
| ??? | 聞いてる?ソリンディスお姉ちゃん! |
| ソリンディス | …あっ、ごめんなさい、フレル。ちょっと考えごとをしてて。 |
| ソリンディス | レリルのことなら…私がよく分かってる。 |
| ソリンディス | どれも黒王の命令のせいよ。彼は特殊な機関に所属してて、危険分子を排除することが仕事なの。 |
| フレル | お姉ちゃんと知り合ったときには、もう人を殺してたんだよ!ねぇ、ほんとは最初からお姉ちゃんを利用するつもりだったんじゃないの? |
| ソリンディス | そんなことないわよ。レリルは私が赤月と関係してるなんて知らないもの。直系じゃないし、目も普通だから。 |
| ソリンディス | 私が赤月の血を引いてるって知ってる人は先生を入れても数人しかいないと思う。うちの家族は長いこと赤月と距離を取っていたのよ。 |
| フレル | ウーロはもう誰もあの狂った王を止められないって言ってた… |
| ソリンディス | 何とかしてみせるわ。私がずっと、みんなの傍にいる。あなたも、自分の正体をちゃんと隠すのよ。誰にも気づかれちゃダメだからね。 |
| ソリンディス | レリルは黒日の諜報員。彼にはくれぐれも気を付けて…もちろん私にもね。 |
| ソリンディス | しばらく会いに来ないほうがいいわ。もし私に何かあっても、知らないフリをしてちょうだい。 |
| フレル | お姉ちゃんでも、この仕打ちから逃れられないの?ずっとレリルと一緒に暮らしてるんでしょ?あの人、お姉ちゃんにも手を出すってこと? |
| ソリンディス | …… |
| ソリンディス | 彼を庇うつもりはないし、その質問に答えることもできない。けど私は、何があっても止めてみせる。 |
| ソリンディス | そうだ、これを持っていって。危なくなったらなりふり構わず逃げるの。もしそうなったら、お金があったほうが助かるはずよ。 |
| フレル | こんなに!?で、でも…お姉ちゃんは大丈夫なの? |
| ソリンディス | 私には仕事があるもの。あなたは外に出ることだって難しいでしょ。もっと自分のことを考えなさい。 |
訓練場に行く
| レリル | 今日の訓練は暗殺だ。 |
| レリル | この隠し通路を抜けると、訓練場に着く。 |
| アビスのささやき | 人を殺して、その手が血まみれになっても気持ち悪く思わないのかい? |
| レリル | 何を気持ち悪がる必要がある?誰にだって血は流れてる。 |
| アビスのささやき | でも全員が執拗に追われ、殺されるわけじゃない。君は狩りに慣れてしまったから、人が同族を殺す生き物でないことを忘れているんだ。 |
| レリル | うるさいッ! |
訓練開始
| レリル | ナイフを握り、適切な角度を見極めろ。 |
| レリル | 静かに動けば、獲物がお前に気づくことはない。 |
| アビスのささやき | 本当にそうだろうか?大人しく君に殺された人はいなかった。 |
| レリル | 俺は十分綺麗にやった。痕跡だって残してない。 |
| アビスのささやき | それでも、君の仕事の正当性は証明できない。今は陛下が君を必要としているだけだ。いつか、あの方の考えが変わったら… |
| レリル | そんなことはない。 |
| アビスのささやき | 陛下は「あの力」に憑りつかれてから、人が変わった。最初は君たちに罪ある者を排除させるだけだったのに…今ではどうだろうか? |
| レリル | 俺が処理してきたのは罪人だ。ただ与えられた仕事をやり遂げただけにすぎない。 |
| アビスのささやき | ソリンディスがどうしてプロポーズの返事を先延ばしにしているか、君もよく分かっているはずだ。彼女が君を信頼していないからか、それとも… |
| レリル | やめろ!! |
空間内の黒い霧を調査する
左側の霧
| ソリンディス | 「記録者:ソリンディス。」 |
| ソリンディス | 「今週はターゲットへの干渉実験を四十七時間実施。データは以下の通りとなる…」 |
| ソリンディス | 「…中に送り込んだ観測対象はすべて■■■■■。内部の状況は予想以上に厄介である。」 |
| ソリンディス | 何の進展もない…どうしよう?あなたも私に希望をもたらすことができないの? |
| ソリンディス | 状況は日に日に悪化してる。このままじゃ、みんなを危険にさらすことに… |
| ソリンディス | でも…私は… |
| ソリンディス | …はぁ…はぁ… |
| ソリンディス | もし、この研究に意味がなかったら…私はどうすればいいの?きっといつか…私の番が… |
| ソリンディス | 彼は…私を殺すことを選ぶのかしら? |
| ソリンディス | ううん…そんなこと、あるはずがないわ。 |
右側の霧
| フレル | お姉ちゃん、ウーロのこと覚えてる? |
| ソリンディス | ウーロ… |
| フレル | 花売りのフリをしてた男の子だよ。お姉ちゃんにいろいろ話してくれたでしょ。 |
| ソリンディス | …ええ。 |
| ソリンディス | その子がどうかしたの? |
| フレル | …二日前に捕まったの。もう殺されてるかもしれない… |
| ソリンディス | …… |
| ソリンディス | そんな…あの子が… |
| フレル | ねえ、なんであの人はこんな酷いことをするの?お姉ちゃんはまだあの人の味方でいるつもり? |
| フレル | それとも、誰が死んでも構わないって思ってるの? |
| ソリンディス | 違う!違うわ!聞いて… |
| フレル | お姉ちゃん、わたし、もう行くね…あいつらがわたしたちを探してる。お姉ちゃんも気を付けて。 |
| フレル | もし…隠れる場所が必要になったら、わたしたちのところに来てもいいから。 |
執務室に戻る
| ウーロ | なんでだよ…なんで見逃してくれないんだ!?あんたみたいな処刑人、僕たちは知りもしない。ただ静かに…普通に生きたいだけなのに! |
| レリル | …生きていたいのか… |
| ウーロ | ああそうだよ。もっと生きたい。 |
| ウーロ | たったそれだけで、取り返しのつかない大罪にでもなるのか? |
| レリル | …… |
| レリル | ふっ。生きる…か。 |
| レリル | 俺だって生きたい、これからもずっと。だから、このまま進むしかないんだ。 |
| レリル | 残念だが、いきなり世界を変えて、俺たちを解放してくれる人が現れることはない。 |
| レリル | そうだろう?もしそんなやつがいたら、俺とお前がここに立ってる理由もないんだからな。 |
| レリル | ——今日の分の新しい書類が届いた。いつも通り確認しよう。 |
| レリル | いや、飽きることはない。これは仕事だ。俺は今、得難い仕事をやってる。俺ならきっとやり遂げられるはずだ。 |
| レリル | …っ!どうなってる!? |
| レリル | …… |
| レリル | どうしてソリンディスが… |
| レリル | そんな、そんなはずがない…くそっ! |
| レリル | なぜだ!どうして…!赤月の特徴なんて何もなかったじゃないか! |
| レリル | あいつらと繋がりがあるわけない!ありえない… |
| レリル | …なるほど。希薄な血と意図的な隠蔽…お前も俺と同じように、影の中を生きてたというわけか。 |
| レリル | 笑えるな…俺は「正しい」という言葉で自分を麻痺させてた…友人が肩を持ってくれると妄想してたんだ。でも結局のところ…俺は… |
| レリル | 黒日の王イルミンズールよ。お前は一体どこまで堕ちるつもりだ!?直系だけじゃなく傍系まで粛清して、その次は誰を殺す? |
| レリル | 今は赤月だが、それで終わらないんだろう?この地下にいる人間、全員を殺さないと気が済まないのか!? |
| レリル | ダメだ、こんなことを続けるわけにはいかない。もう終わりにしなければ! |
廊下に向かう
| フレル | ほ…ほんとに逃がしてくれるの? |
| レリル | ああ。ただし、誰にも気づかれないことが前提だ。 |
| フレル | うん。ぜったいバレないように気を付けて過ごすよ。 |
| フレル | …でも、あなたは大丈夫なの? |
| レリル | 俺? |
| フレル | わたしを逃がしたら、任務も失敗なんでしょ? |
| レリル | そうだな。じゃあ、逃がすのをやめにするか。 |
| フレル | や、やだ!帰りたい。わた、わたし… |
| レリル | 生きたいんだな? |
| フレル | うん。あなたが約束を守る人だって、わたし知ってる…だから見逃して、お願い! |
| レリル | お前を見逃したら、俺はどうなると思う? |
| レリル | 冗談だ。行け。 |
| レリル | だが、一度捕まったことは誰にも言わないようにな。さもないと、すぐまた会うことになる。 |
| アビスのささやき | 闇に潜む影にも道義というものはある。でも、君はすべての人を救えるわけじゃない。 |
| レリル | 最近、ずっと耳元でブツブツ言ってるな。俺の精神をかき乱すつもりか? |
| アビスのささやき | 君が答えを求めているから、忠告しに来ただけだ。あの女性を諦めない限り、君はすべてを失うことになる。 |
| レリル | 俺がソリンディスを諦めることはない。 |
| アビスのささやき | それなら、さらなる力と鋭い観察眼を手に入れなければならない。常に目を光らせ、この世界がいつ自分にとって有利なものへと転じるのか見極めるんだ。 |
| レリル | (ずっと誰だか分からなかった声も、今なら分かる…ヴェズルフェルニルだ。) |
| レリル | (すべてを変える方法を教えてくれないくせに、俺を導こうとしてる。いったい何がしたいんだ?) |
| レリル | …「俺に有利」とは、どういう意味だ。 |
| レリル | (——ヴェズルフェルニルの声が返ってこない。俺が苛立ってるときは幽霊のように付きまとうくせに、必要になると消える。) |
| ネフェル | 黒日王朝は、赤月の末裔を粛清していた…いや、虐殺と言ったほうが正しいね。そのすべては、黒王の研究と深く関わってる。 |
| ネフェル | 王はアビスの力に溺れ、カーンルイアの未来も霧に包まれたようだ。レリルの仕事と私生活に不安が募っていくのも頷ける。 |
| ネフェル | ソリンディスは…まだプロポーズに応じてないようだね。ただ不運なことに、彼女の中には赤月の血が流れていた。 |
| ネフェル | 二人とも、秘密をずっと隠してたってことだ…黒王が過激な行動に出てなければ、きっと一生、お互いを騙し続けていたかもしれない。 |
| ネフェル | そしてヴェズルフェルニル…ダインスレイヴさんの兄は、どうしてレリルに真実を告げなかったのか。ふん…あの男の頭には、秘密が山ほど詰まってそうだね。 |
| ネフェル | 人間の脳は無限に広がる砂海だ。記憶の流れを辿っても、その人が隠そうとする部分までは覗けない。 |
| ネフェル | 別の手段を使う必要がありそうだね。 |
| ネフェル | あたしたちは「レリル」という記憶の中にいる。彼を読み解くことも情報収集の一環だ。 |
| ネフェル | 今、ゲーム盤には十分な手掛かりが集まった。これで「演算状態」に入れる。 |
| ネフェル | ゲーム盤は手掛かりから答えを導き出してくれる。まあ、あくまで情報をもとにした「演算」でしかないけど、その精度は信頼に足るものだ。 |
| ネフェル | 観察対象の認知情報を作成し、その行動原理を検証しよう…レリルが隠した「真実」を覗いてみようじゃないか。 |
| ダインスレイヴ | レリル!いるか! |
ダインスレイヴと会話する
| ダインスレイヴ | レリル、出てきてくれ。緊急事態だ! |
| レリル | ダイン?どうしたんだ? |
| ダインスレイヴ | とりあえずついてきてくれ。これから他のやつらとも合流する。揃ってから説明しよう。 |
| レリル | そうか?まぁ、分かった。ただ、ソリンディスがまだ深秘院にいるんだ。書き置きを残させてくれ。 |
| ダインスレイヴ | ああ。だが急いでくれ。 |
| レリル | (ダインがこうも焦ってる姿は初めて見た。何か大変なことが起こったのかもしれない。) |
ダインスレイヴについて行く
| レインドット | 皆とこの時間に顔を合わせるのは初めてだな。カーンルイアにもまだ救いはあるらしい。志士たちが白昼堂々と集えるとは。 |
| スルトロッチ | ふん。俺たちがいつ闇夜に隠れた? |
| レインドット | いつかと聞かれれば、騎士が剣を構えるべき時にだろうな。 |
| レインドット | スルトロッチは敵に対して卑劣な手段を辞さないことで知られ、不敗だと巷で噂されてる。だが、そうではないのだろう?でなければ、君の腕と脚はどこへ行った? |
| スルトロッチ | なんだ、まさか腕一本と脚一本をくれるのか? |
| レインドット | そこは生物錬金に期待してくれ。私の研究を支持してくれさえすれば、悪いようにはしない。 |
| スルトロッチ | はっ、狂った女だ。 |
| スルトロッチ | フロプタチュール、なぜお前までここにいる? |
| フロプタチュール | もちろん、ダインスレイヴに声をかけられたからですよ。 |
| フロプタチュール | レインドットさん、そう警戒した目で見ないでください。陛下は僕に、あなたが貰った以上の利益を与えたことはない。噂はあくまでも噂にすぎません。 |
| レインドット | だが、深秘院が人々に支持されてるのは事実だ。利益を得た者が下手に出るかのような態度を取るのはよくないな。 |
| レインドット | フロプタチュール…君は深秘院の院長であり、陛下より賜った「賢者」という地位と首席宮廷魔術師の名を持ち、王国の四柱の中でも最も寵愛を受けてる。 |
| レインドット | ヴィット副院長が君を見る目には、いつも羨望の色が滲んでるぞ。 |
| フロプタチュール | それもすべて努力と運の積み重ねによって得たものです。あの王の推薦がなければ、この歳で首席に選ばれることはなかったでしょう。 |
| フロプタチュール | ただ、僕も全く不満がないわけではありません。今の王に仕えるのは決して簡単なことではない。あなたも分かるでしょう? |
| フロプタチュール | それに、エフティルヴィットは僕の座に座らなかったおかげで、無数の面倒事を回避できたんです。得るものがあれば失うものもある。それが道理というものです。 |
| ダインスレイヴ | 急に呼び出してすまない。ここに集まってもらったのは、許されざる暴挙が起きたからだ。 |
| スルトロッチ | お前はレリルか? |
| レリル | まさか覚えていてくれたとは。スルトロッチさんの処刑記録はたしかに俺が担当したが、それ以外に繋がりはなかったはずだ。 |
| スルトロッチ | ここに集められてるのは、どいつも実力者ばかりだ。ダイン、納得のいく説明をしてもらえるんだろうな? |
| ダインスレイヴ | …… |
| ダインスレイヴ | 今日の午前のことだ——ヴェズルが王宮に行き、陛下に進言した。だがそれが逆鱗に触れ、兄は両目を潰された後、牢に入れられた。 |
| レインドット | ヴェズルフェルニルが牢に入れられた?そんな馬鹿な。彼とフロプタチュールは陛下が最も信頼する人間だったはずだ。 |
| レインドット | それとも、今の王は彼すらも信頼できなくなったのか? |
| フロプタチュール | 僕が信頼されているなんてことはありませんよ。陛下が真に欲しているものが何かは、皆さんも分かっているでしょう? |
| フロプタチュール | 僕はただ、陛下の好みに合わせることで、深秘院のために利益を確保しているだけにすぎません。 |
| レインドット | 君は狡猾だが、ヴェズルフェルニルもそうとは限らない。盲目の予言者か…ふふっ、もしかすると、今のカーンルイアに賢すぎる人間は不要なのかもしれないな。 |
| スルトロッチ | そんな話よりも、これからどうすべきかが重要だ。何か計画があるんだろう? |
| レリル | ダインはどうするつもりなんだ? |
| スルトロッチ | ヴェズルフェルニルを助けたいんだろう? |
| ダインスレイヴ | ああ。今夜、俺と共に王宮に攻め入り、ヴェズルを助け出してほしい。 |
| フロプタチュール | 無謀です!それにダインスレイヴ、あなたは宮廷親衛隊の隊長ではありませんか。玉座に誓いを立てたのでしょう? |
| レインドット | いや、もしかして…ずっと前から計画していたのか? |
| ダインスレイヴ | 俺に謀反の意志はない。だが、ヴェズルは陛下に忠誠を誓っていた。王朝のために心を砕く臣下を罰するなど、明君のやることではない。 |
| ダインスレイヴ | この剣で、陛下の目を覚まさせる。 |
| レリル | (どうやら、ヴェズルさんの予言が陛下の怒りを買ったようだ…陛下にとって耳障りな言葉は、たとえそれが「予言者」の忠告であっても許されないらしい。) |
| レリル | (カーンルイアの王は、もはやここまで愚かになっていたのか…俺のような者が、無傷で帰れるとは思えない。) |
| レリル | (ダイン、お前には燦然とした理想がある。だがそれは、俺が願ってるものとは違う。国を救おうとする高潔な志は立派だが、俺が望んでるものは赦免だ。) |
| ネフェル | 赦免…レリルはソリンディスを救おうとしてるみたいだね。 |
| ネフェル | けど赤月の人間が赦されるなんて、本当にそんなことが可能なんだろうか? |
| ネフェル | 盤上の黒い霧は、ソリンディスと関係があるようだね。なんでこの形で現れたのか…レリルの過去と何か関係があるのかもしれない。 |
| ネフェル | どうやら、黒い霧も調査対象にする必要がありそうだね。 |
碁盤の黒い霧を調査する
| ソリンディス | 「記録者:ソリンディス。」 |
| ソリンディス | 「今週はターゲットへの干渉実験を六十時間実施。データは以下の通りとなる…」 |
| ソリンディス | 「赤月の時代から、研究者は既に月髄が神のある権能と関係しており、その背後には特殊な空間が存在していることを確認している。また、月髄自体がその扉であることも判明している。」 |
| ソリンディス | 「ただし、空間がどこに繋がっているかは、いまだに解明できていない。その扉を開くには特殊な力が必要であり、文献には■■■■の力と記されている…」 |
| ソリンディス | 「扉を維持するには、極めて強い力を途切れることなく供給する必要がある。実験装置に必要な総エネルギー数は…」 |
| ソリンディス | 「最初、月髄に関連する実験部門は私一人だけではなかった。しかし最近、深秘院の大半の人員がアビスの力の研究に回され、赤月の遺産に対する関心は著しく薄まっている。」 |
| ソリンディス | 「これは賢明とは言えない。我々は一つの未知の力に期待を寄せすぎている。このまま依存が進めば、他の技術の進歩が遅れるだろう。」 |
| ソリンディス | 「…不敬な発言となっていたら申し訳ありません。ですが研究者として、私は月髄の裏にある世界を見てみたいのです。」 |
| ソリンディス | 「もしそこへ辿り着けたら、まず何をすべきでしょうか?未知に対する研究はどこから手をつければいいのでしょう?私は何度も何度も、想像してしまうのです。」 |
もう一箇所の黒い霧を調査する
| ソリンディス | はい、これをあげる。両親と王都を離れるんでしょう? |
| フレル | ソリンディスお姉ちゃん、あの話はもう聞いた? |
| ソリンディス | さあ、何のことかしら。そういえば先週末、レリルの帰りがずいぶん遅かったわね。それに何だか普段と様子が違ってた。でもぐっすり眠ってたから、きっと何かいいことをしたんだと思うわ。 |
| フレル | …… |
| ソリンディス | あなたは彼と会ったことがないし、私も彼が何をしたのか知らない。これは知らない人同士の世間話ってことにして。ね? |
| フレル | あの人は、お姉ちゃんが秘密を探ってることに気づくかな? |
| ソリンディス | もう、なに言ってるの。彼がどんな秘密を抱えてるかなんて私は知らない。彼は陛下のためにちょっと使い走りをしてる、普通の人よ。 |
| フレル | …あの人のことが怖い? |
| ソリンディス | 分からない。 |
| ソリンディス | 私の知ってるレリルは、あなたたちが言ってる人と全然違うもの。 |
| ソリンディス | 彼を怖がるべきなのに、彼と離れたくないと思ってる… |
| ソリンディス | …それより早く行って。さっき渡した物はちゃんと隠して大事にしてね。 |
| フレル | 中に何が入ってるの? |
| ソリンディス | 月の欠片よ。お月様からほんの少し欠片を採ってきたの。それを持ってれば、将来みんなが赤い月を見られるのよ。 |
| フレル | 赤い…月?それって、わたしたちの月のこと? |
| ソリンディス | そうよ、私たちの月。だから大事にするって、約束してくれる? |
| フレル | うん、任せて、ソリンディスお姉ちゃん。 |
| ソリンディス | 赤月の血が絶えることはない。血の色をした月光は、私たちの身体の中を巡る炎となるの。 |
| ソリンディス | どれだけ時が流れようともね… |
王宮に行く
| ダインスレイヴ | 計画通りいく!急ぐぞ! |
| 宮廷親衛隊の兵士 | ダインスレイヴ様!?ま、まさか…謀反を起こされるつもりですか? |
| 宮廷親衛隊の兵士 | 陛下を裏切った者の末路はご存じのはずです!どうか、お考え直しください! |
| スルトロッチ | 裏切った?いいや、先にカーンルイアを裏切ったのはやつだろう。 |
| ダインスレイヴ | もしお前たちにまだ正義を追う心が残っているのなら、俺と共に来い。 |
| レリル | (計画通り、王宮内の騎士はダインたちに任せよう。騎士の制圧が完了したら、フロプタチュールとレインドットが内部の防衛装置を解除する手はずになってる。) |
| レリル | (俺の役目は牢へ向かい、ヴェズルさんを救出することだ。) |
| レリル | 気をつけてくれ。後で落ち合おう! |
| ダインスレイヴ | ヴェズルは任せた。 |
| ダインスレイヴ | 剣を抜け——俺は正義を貫く! |
牢獄に行く
| レリル | …… |
| レリル | ひどい臭いだ。それに汚い…陛下は囚人の居心地なんて考えたことないんだろうな。最悪だ。 |
| レリル | ヴェズルさん、いますか。 |
| ヴェズルフェルニル | 君か。 |
| レリル | 驚きましたか?…いや、ヴェズルさんが驚きを感じることなんて、きっとないですよね。 |
| ヴェズルフェルニル | 私の両目が見えなくなった瞬間、多少は感じたとも。陛下の愚かさと、諫言者への世の不公平さに対してね。 |
| レリル | 今回はどんな予言を? |
| ヴェズルフェルニル | 予言ではない。陛下への最後の忠告だと言ったほうがいいだろう。 |
| ヴェズルフェルニル | 王の神智は、もはやあの方が夢中になっているものの虜となった。私はただ、このままではカーンルイアが滅ぶだろうと伝えただけだ。 |
| レリル | なのにそれを聞き入れず、陛下はその目を刺してここに捨てた。 |
| レリル | 俺はダインに頼まれて、ここに来たんです。王宮は今、混乱しています。この状況も、きっとあなたには見えていたんでしょう? |
| ヴェズルフェルニル | ああ、すべて見た通りだよ。でも、この後に起こる出来事について、私ができることといえばため息をつくことだけだ…この世の運命とはこれほどまでに揺るがぬものなのか、とね。 |
| ヴェズルフェルニル | 運命を見通す力を与えられた者は、むしろ心の衰弱を早めてしまうだけなのかもしれない。 |
| レリル | ヴェズルさん。失礼だが、陛下があなたに抱く様々な疑念は、今に始まったものではないと思います。 |
| レリル | 人知を超えた知恵を持つ者は、人の想像の及ばぬ恐れと猜疑を受けるものです。 |
| レリル | 陛下はきっと自分の見たくない未来を、あなたの目に映してほしくなかったんでしょう。だからその目を潰して、視力を奪った。未来を見ることを封じるために。 |
| ヴェズルフェルニル | ああ、確かにその行為には意味があった。私は未来を見る力を完全に失っていたんだ。つい先ほどまでね… |
| レリル | つい先ほど? |
| ヴェズルフェルニル | また何かが見え始めているんだ。 |
| レリル | あなたを救うために、我々は共に王宮へ突入しました。きっとカーンルイア史上、最も激動の一日となるでしょう。今夜、何が起きても不思議ではありません。 |
| ヴェズルフェルニル | 君の心には、怒りと希望が渦巻いている。暴君の崩御を期待し、この物語が幕を閉じることを切に願っているんだ。 |
| ヴェズルフェルニル | でも、これは結末ではない。新たな幕開け、新たな伝説の始まりだ。 |
| ヴェズルフェルニル | レリル、この世には義勇を抱く者が数多くいる。でも、君はその中の一人ではない。君がこうして私に会いに来た理由は、自分自身のためなんだろう? |
| レリル | …… |
| ヴェズルフェルニル | 面白い。それはナイフかい?今この瞬間が訪れてもなお、君は一番得意な槍を使おうとしない。 |
| レリル | あなたほどの力の持ち主なら、いくらか視力を回復させることもできるでしょう。ですが今のあなたは、俺を敵に回したくないはずです。 |
| ヴェズルフェルニル | もちろん。だって私たちは味方同士なんだから。 |
| レリル | はい、俺たちは味方のままでいられます。あなたが誠実でいてくれさえすればの話ですが…ヴェズルさん、今のあなたは俺の唯一の希望なんです。 |
| ヴェズルフェルニル | 君とその恋人ソリンディスの未来のためだろう? |
| レリル | 王朝、国家、世界…どれもあまりに巨大すぎる。俺は何よりもまず自分のことが大事なんです。許してください。 |
| レリル | 俺は愛する人を捨ててまで保身に走ろうだなんて思えない。でもあなたなら、より遠くの未来を見渡せる。あらゆる難題の解決方法を知っている。だから「答え」を教えてください。 |
| ヴェズルフェルニル | 運命には「正」と「誤」、「合う」「合わない」の二つしかない。人々が幸福を得るために代償を払おうと、運命はそれに関心を示さない。 |
| ヴェズルフェルニル | それがまさに運命の残酷なところだ。君の犠牲なんて気にも留めないんだから。 |
| レリル | そんなはずない! |
| レリル | あなたがこの世界の変化をよく見ろと、もっと力をつけて、愛するものを守れと、ずっと耳元で忠告していたんだろう! |
| レリル | 俺に災いを見るよう導いたのに、どう避ければいいのか教えなかった。いったいあなたは何がしたいんだ? |
| ヴェズルフェルニル | 忠告?君の耳元でかい? |
| ヴェズルフェルニル | …はは、ははは、君にも聞こえていたのか。その声が君の心を揺さぶり、納得させ、そして狂わせた。 |
| ヴェズルフェルニル | これで、私たちの間に違いはなくなったと言える。 |
| レリル | (なんだ?奇妙な笑顔を見せてる…まるで今の一瞬で何か重大な秘密を悟ったかのような…いや、今度は顔に疲労が浮かんだ?) |
| ヴェズルフェルニル | じゃあ、私から一つ忠告させてもらおう。君は必ず、すべての苦難が未来へと至る架け橋であると信じ、突き進まなければならない。 |
| ヴェズルフェルニル | 君が生きている限り、君たちの物語は終わらない。それが運命に反旗を翻す、唯一の道だ。 |
| ヴェズルフェルニル | これ以上は私にも干渉できない。信じるか信じないかは君の自由だ。私から話せることはもうない。 |
| レリル | …… |
| レリル | その言葉、確かめてみせますよ。 |
| ヴェズルフェルニル | 鍵を開けてくれて感謝する。そのお返しに、もう一つ重要な事実を教えよう。 |
| レリル | ——この時、王都の各地で異常なエネルギーの揺れが発生した。それが何を意味するのか、当時の俺たちには知る由もなかった。 |
| ヴェズルフェルニル | 私が君なら、迷わず深秘院に行くだろう。 |
| レリル | 深秘院?…しまった! |
| ヴェズルフェルニル | レリル…私たちは、すぐ再会することになる。 |
| レリル | ——ヴェズルフェルニルが何かを言っていたが、よく聞こえなかった。その時の俺は、彼を牢から出す時間すらも惜しく感じられた。 |
深秘院に行く
| レリル | くそっ、この魔物たち、いったいどっから湧いてきたんだ?レインドットの仕業か?それとも深秘院か? |
| レリル | 邪魔をするな! |
| レリル | (深秘院…そういえば、妙な噂を耳にしたことがある——) |
| レリル | (王宮、ひいては王国全体に、陛下が密かに張り巡らせた仕掛けがあると。だが、どこにどんな力が配置されてるかは誰も知らないらしい。) |
| レリル | (もし何か異変が起きたときに、それが起動するようになってるとしたら…) |
| 助けを呼ぶ人 | 助けてくれ——!! |
| レリル | 持ちこたえろ!魔物を近づかせるな! |
| 助けを呼ぶ人 | 助け…あ…うわああーっ! |
| レリル | (今のは爆発音?だいぶ遠くからだったが…まさか噂は本当だったのか?だとすれば、陛下はもう…) |
| レリル | (あの方の仕掛けによるものだとしたら、何の力で動いてる?アビスか?) |
| レリル | (そうなると研究の中枢の一つである深秘院は危険だ。急ごう!) |
ソリンディスのところに行く
| 予言から始まり、運命に終わる。 欲望から発し、殺戮に尽きる。 運命を盲信する者は転落し、運命を穢す者は滅びる。運命を覗き見る者は盲目となり、運命を語る者は悪意に呑まれる。 漆黒の太陽が地の底に居座り、月光を遮る。 |
| ソリンディス | 魔物?どうして深秘院に!? |
| 魔獣 | グル… |
| ソリンディス | まずい、入って来ようとしてる… |
| ソリンディス | ダメ、机じゃ耐えられない…武器、何か武器は… |
| ソリンディス | …あっ、先週の検査の後、研究機材を入れ替えたんだった…だから武器もまだ…! |
| ソリンディス | 誰か…誰かいますか!助けて! |
| 魔獣 | グオォォーッ! |
| ソリンディス | …… |
| ソリンディス | いや…来ないで… |
| レリル | これは… |
| ソリンディス | レリル?あなた…やっぱり 任務を果たしに来たのね |
| レリル | なに?違う! |
| レリル | いま王宮で大変なことが起きてるんだ 一緒に来てくれ! |
| ソリンディス | 私に嘘をつく必要はないわ |
| レリル | 嘘…? |
| ソリンディス | あなたの心配はよく分かってる |
| ソリンディス | あなたが決めたことも尊重するわ |
| ソリンディス | でも心配はいらない 解決方法を見つけたから |
| ソリンディス | このすべてを終わらせる方法が分かったの |
| ソリンディス | あなたが一番望んでいた普通の人生を返してあげる |
| ソリンディス | でも結婚の話は… |
| ソリンディス | ちょっとお預けになりそうね |
| レリル | ソリンディス?ダメだ 行くな! |
| レリル | ソリンディス!?ソリンディス——! |
| ヴェズルフェルニル | 彼女を諦めろと前にも言ったはずだ |
| ヴェズルフェルニル | そうすれば もっと素晴らしいものが手に入る |
| レリル | いや…ダメだ!俺は ソリンディスを助けにいく! |
| ヴェズルフェルニル | だが どうやって? |
| ヴェズルフェルニル | 君はただの諜報員で 力も意志も凡庸だ… |
| レリル | 何か方法を知ってるのか?教えてくれ! |
| ヴェズルフェルニル | こっちに来るといい 王宮で会おう |
| ダインスレイヴ | レリル?良いところに来てくれた 早く… |
| ヴェズルフェルニル | こっちだ 君の分を持っていくといい |
| レインドット | ほう 間に合ったか |
| ダインスレイヴ | まさか… |
| ヴェズルフェルニル | 怒り 悲しみ 絶望 渇望 |
| ヴェズルフェルニル | みな同じような思いを抱えている |
| ソリンディス | レリル…レリル! |
| レリル | ソリンディス… |
| ソリンディス | ぼーっとして どうしたの? |
| ソリンディス | レリル 覚えてる?二週間前に言ってくれたこと |
| レリル | あ ああ…プロポーズのことか? |
| ソリンディス | うん こういう話をするのって |
| ソリンディス | どこがいいのかなって思ってたの… |
| レリル | ゆっくり話せる公園?それとも ちゃんとしたレストラン? |
| レリル | ソリンディスが決めたらいいさ |
| レリル | 俺は必ずお前を見つける |
| レリル | その時は 返事を聞かせてくれ |
| 旅行日誌 | 深秘院の実験室に踏み込んだレリルが目にしたのはソリンディスが絶望と苦悩の末に未知なる空間へと身を投じた光景だった。 そこでレリルの心は完全に壊れ、アビスに抗えなくなった。ソリンディスの消失を受けて、レリルは衝動的に王宮へと向かい、選ばれた他の四人とともにアビスの力を分け合い、「五大罪人」へと堕ちていったのだった… 幸せな思い出と残酷な現実が交錯する中で、レリルは歪んでいきながらも、揺るぎない決意を固めていた。そして、彼は新たに得た力を使って未知なる空間への扉を再び開き、その中へと足を踏み入れた。どんな代償を払おうとも、必ずやソリンディスを取り戻すと誓って—— |
(ムービー終了後)
| ネフェル | …… |
| ネフェル | これが月の狩人の過去?はぁ…まったく… |
| ネフェル | ああなったのは時代の影響だろうけど、結局は怪物であることに変わりはない。 |
| ネフェル | (人の記憶を覗いてると気分が悪くなる。強烈な嫌悪感だ…) |
| ネフェル | (カーンルイアの物語は、まるでたくさんの人がついた嘘で出来てるみたいだね。どの嘘も小さなものだけど、繋いでいくと巨大な嘘になる。) |
| ネフェル | ふぅ…そろそろ戻るとしよう。 |
| ネフェル | (悲しみ?それがどうしたっていうんだい。滅びた文明には、数え切れないほどの悲しみがついて回る。これがカーンルイアの運命だったってことさ。) |
蛇と蠍の舞
| 特殊な儀式を経て、「月の狩人」レリルの過去を知った。 |
秘聞の館に戻る
| ネフェル | 戻ったよ。待ちかねたかい? |
| パイモン | ネフェル!気分はどうだ?大丈夫か? |
| ヤフォダ | ボスは大ベテランだし、心配無用だって! |
| ネフェル | ああ、これといった問題はないよ。 |
| ネフェル | 月の狩人の過去はあたしの思考を通じて見ていただろう?彼が言っていたように、あれは平凡な人間の悲劇にすぎない。 |
| ラウマ | あの記憶から得られた情報は限られたものではあったが、確かに当時のカーンルイアを垣間見ることができた… |
| ラウマ | だが、私はレリルが「平凡な人間」だとは思わぬ。あの時代の多くの出来事に関わっていた。時代の波が押し寄せれば、誰であろうと平穏無事ではいられぬものだ。 |
| ネフェル | 意味深な物言いだね。ナド・クライの人を見捨てるなって、暗に忠告してるのかい? |
| ラウマ | そういう意図で言ったのではない…だが、この先も協力してほしい。そなたがいなければ、今後の行動も危うくなる。 |
| ネフェル | 悪いけど、強引に協力を頼まれてもあたしは考えを変えるような人間じゃないよ。あと人に指図されるのもまっぴらごめんだね。 |
| ネフェル | ああ、でもさっきはよくやってくれたよ。この儀式では沈黙を貫く必要があったからね。 |
| ヤフォダ | けど、まだ謎が多いよな。姐さん、何か分かったことがあるんだろ?教えてくれよ。 |
| ネフェル | まあ、待ちなって。話すべきことはちゃんと教えるさ。まずは他の人と合流しよう。全員揃ってから話したほうが楽だからね。 |
| ネフェル | ヤフォダ。 |
| ヤフォダ | いえっさー!お任せを。 |
| ネフェル | はぁ、動く気配すら見せないとは…まさか契約書の第一条を忘れたのかい? |
| ラウマ | 申し訳ないが、その第一条とは…? |
| ヤフォダ | ボスが手を動かすのが面倒なとき、代わりにやるって決まりだ。ドアを開けたり、お茶を淹れたりな。 |
| ラウマ | そうであったか… |
| ネフェル | ま、安心しな。うちの労働方針は実によくできてる。むしろ、ヤフォダが喜んでやりたがるからそうしたくらいだ。人使いが荒いだなんて思わないでくれよ? |
| ネフェル | それにしてもほんと疲れたね。フリンズとファルカが座ってまったりお茶でも飲んでたら、どうしてやろうか。 |
| ネフェル | 人が汗水たらして働いてるときに、呑気に楽しんでるやつらがあたしは何より嫌いなんだ… |
| ネフェル | ……! |
| ネフェル | まずいことになったね。 |
未知の空間に入る
| ラウマ | このようなときに邪魔をして申し訳ない。どうやら厄介なことに巻き込まれてしまったようだ… |
| ネフェル | そのようだね。でも、あんたたちを置いていなくなるような真似はしないよ。あたしはそんな上司じゃないし、うちの労働方針とも反するからね。 |
| ラウマ | ネフェル? |
| ラウマ | 何か誤解しておるようだな?なぜ急に労働方針の話になるのだ… |
| ネフェル | …待った。 |
| ネフェル | あたしはいつからここにいた? |
| (旅人) | 今さっき、急にドアの近くに現れた。 |
| ネフェル | …… |
| ヤフォダ | ボス、どうしたんだ?顔色が悪いけど… |
| ネフェル | 誰かに嵌められたようだね。あたしたちは意識層から離れてない。さっき部屋に戻ったのも、幻覚だったんだろう。 |
| ヤフォダ | 幻覚!?でも、いったい誰が… |
| ネフェル | …この意識層はあたしの盤面で構成されてる。すべての思考は駒の動きがもたらす結果にすぎない。となると、誰かがゲームボックスに触れたってことだ… |
| ラウマ | つまり、この場所はネフェルの支配下にあるということか。 |
| ネフェル | そう思ってくれていいよ。これはあたしの専売特許だからね。 |
| (旅人) | 過去にも似たようなことはあった? |
| ネフェル | 一度だけ。あたしが初めてボックスに触れたときに。 |
| ラウマ | 今の状況と当時を比べて、共通点はあるだろうか? |
| ネフェル | 強いて言えば、初めてこれに触れたときと同じように、思考が大きく揺らいだことだろうか。 |
| ヤフォダ | 何か私に手伝えることはあるか? |
| ネフェル | 契約書の第一条にはっきり書いたはずだろ?あんたの出番は、あたしが手を動かすのが面倒なときだ。 |
| ラウマ | つまり、今は面倒ってわけではないのだな。 |
| ネフェル | 今のところ、ヤフォダの出番はないよ。このボックスはあたしのものだし、このお宝をよく知るのもあたしだけ。道はあたしが探すしかない。 |
| ヤフォダ | ボス!もし必要になったら、あたいを好きに使ってくれよ! |
| ネフェル | そんな胸が痛むようなこと、できるわけないだろ。 |
| ヤフォダ | へ?胸が痛む…? |
| ネフェル | ああ。もしヤフォダに万が一のことがあったらどうする?こんなに従順で使い勝手のいい従業員、どこで見つけろっていうんだい? |
| ヤフォダ | そっか… |
| ヤフォダ | でも、あとで水を探してくるよ。たくさんあるに越したことないだろ? |
| ヤフォダ | みんな、適当な場所を見つけて座ろう。あまり体力を消耗しすぎないほうがいい。 |
| ヤフォダ | 今いるこの盤は精神世界だけど、ここで感じる疲れは本物だからな。 |
| ヤフォダ | そういう疲れを侮るなよ!肉体の疲れと同じくらい恐ろしいんだ。とにかく、みんなの面倒はあたいが見るから任せてくれ! |
| ネフェル | どうだい?こんなに優秀な従業員がいるなんて羨ましいだろ? |
| ラウマ | 後日、ヤフォダさんに霜月の子の雑務を手伝ってほしいのだが、どうだろうか? |
| ネフェル | ははっ!ラウマはその顔と同じで、頭の中も甘ちゃんなようだね。 |
| ネフェル | さて、みんな。ここが踏ん張りどころだよ。ついてきな。 |
| ネフェル | これまでと同じように、何があっても心を静かに、沈黙を保っとくれ。くれぐれも盤面の進行を妨げないこと。 |
| ネフェル | 約束しよう——あんたたちのことは必ず脱出させるってね。 |
レテヌと会話する
| 特殊な儀式を経て、「月の狩人」レリルの過去を知った。 あとはここを離れるだけだ。 |
| ネフェル | (見覚えのある風景だね…ま、良いことじゃないけど。) |
| ネフェル | (誰かいるみたいだ。話しかけてみよう。) |
| レテヌ | こんな時間に誰か来るなんて…ん?お前… |
| ネフェル | (待った、この人…) |
| レテヌ | どこ行ってたんだ!シヌヘがずっと探してたぞ。何かお前に話でもあるんじゃないか? |
| 少女ネフェル | レテヌおじさん、今へそくり隠してたでしょ?へへっ、あたし見てたよ。 |
| レテヌ | おっと、見られてたか。ははっ、ここは見なかったことにしてくれ。な? |
アポピと会話する
| アポピ | おお、ネフェル!最近、シヌヘはどうしてる?時間があったら、あいつの機嫌を取ってお願いしたいことがあるんだが。 |
| 少女ネフェル | 機嫌を?アポピおじさん、父さんに何をお願いするの? |
| アポピ | 新しい歌を作ったのさ。次の祭典で披露しようと思ってるんだが、それには許可が必要だろ? |
| 少女ネフェル | アポピおじさんの歌!?聴きたい!うっ、でもレテヌおじさんに呼ばれてるんだった… |
| アポピ | ははは、時間ならたっぷりあるさ。そっちの用事が済んだらまた来るといい。向こうに石が積んであるだろ?そこに座って待ってるから。 |
| 少女ネフェル | うん、わかった! |
シヌヘと会話する
| 少女ネフェル | 父さん!レテヌおじさんから、あたしのこと探してたって聞いたよ。 |
| シヌヘ | ああ、ネフェル!もっと早く来てくれたら、父さんが持ち帰った戦利品を一緒に楽しめたんだがな。 |
| 少女ネフェル | 戦利品?誰かと戦ったの? |
| シヌヘ | 砂嵐が収まったばかりだったからな。戦うのにはこれ以上ないタイミングだろ? |
| シヌヘ | 前にも話したが、外に行ってたのは水源の問題を解決するためだ。つまり、父さんが「戦利品」を持ち帰ったってことは… |
| 少女ネフェル | 井戸の問題が解決したんだね! |
| シヌヘ | そうだ。新しい井戸を見つけたぞ。水もたくさん汲んできた。これでしばらくは心配いらない。 |
| 少女ネフェル | はぁ…砂嵐さえなければ、井戸が崩れることもなかったよね。そしたら、父さんもあちこち水を探しに行かなくて済んだのに。 |
| シヌヘ | ま、族長として、こういった問題を解決するのも俺の務めだ。 |
| シヌヘ | これまでに聞かせてきた無数の物語を覚えてるか?俺たちのご先祖様は今よりもずっと豊かだった。もしあの長い戦争がなければ、誰もこんな狭くて苦しい土地で暮らしてなかっただろう。 |
| シヌヘ | でも、もう大丈夫だ。数ヶ月前に教令院の人たちと手を組んで、連絡を取れるようにしたんだ。あと彼らが砂漠で活動するときには、俺が援助することになった。 |
| 少女ネフェル | 教令院の助っ人になるってこと? |
| シヌヘ | 助っ人というより「特使」ってやつだな。 |
| シヌヘ | これは何も悪いことじゃないぞ。砂漠は長いこと隔離されてきた。外部と繋がって利益を得るのが、今は何よりも手っ取り早いんだ。 |
| 少女ネフェル | 特使になると、何かいいことがあるの? |
| シヌヘ | もちろんだとも。例えば、俺にツキが回ってきて、今後の暮らしがどんどん良くなる。いつかみんなを連れて、もっといい場所で暮らせるはずさ。 |
探索を続ける
| 怒鳴り声 | 族長ともあろうものが、身分を偽って我々を欺くとはな!大事な井戸に手を出したんだ。逃げられると思うなよ! |
| 怒鳴り声 | あの水は俺たちのもんだ。何も言わずあれだけの水を汲むなんて、花神様の許可でも取ったのか? |
| 怒鳴り声 | 自称「教令院の特使」か、ハハッ!教令院の人間に会ったが、お前のやったことは一切関知してないって言ってたぞ! |
| 怒鳴り声 | この嘘つきが! |
| ネフェル | …… |
| ネフェル | (ヤフォダが怯えてる。無理もない。血に染まったこの光景は、見た者の本能に恐怖を感じさせるからね。) |
| ネフェル | (死体が転がってる…シャムシールに短剣。どの傷口も砂漠の人間が使う武器によるもんだ。) |
| ネフェル | (…紙が落ちてる?何か書いてあるね。) |
| 手書きの手紙 | 「私はシムティ族の族長、シヌヘです。ハリル様、私のことは覚えているでしょうか。砂漠であなたと同僚を助け、流砂の危機から逃れるのをお手伝いしました。」 |
| 手書きの手紙 | 「これが二度目の手紙になります。前回は返事が届きませんでしたが、きっと配達の途中で紛失してしまったのでしょう…今回は届くことを祈っております。」 |
| 手書きの手紙 | 「お伝えしたいことがあります。先日の砂嵐で、私たちの領地にある井戸が塞がれてしまったのです。生き延びるためにやむを得ず、イアブ族とウヌ族の領地へと足を踏み入れ、水を探すことにしました。」 |
| 手書きの手紙 | 「神に誓って、イアブの井戸を傷つけてはいません。ただ、切羽詰まっていた私は、その井戸から大量の水を汲んで持ち帰ったのです。それを彼らは見ていたのかもしれません。もしこの事実を突きつけられたら、きっと大変なことになるでしょう。」 |
| 手書きの手紙 | 「以前、困ったことがあればこの住所に手紙を書くようにと仰ってくれましたよね。教令院がきっと力になってくれると。」 |
| 手書きの手紙 | 「どうか、正式に特使の身分を認めてください。そして、人を派遣してこちらに何日か駐屯していただきたいのです。教令院の意向であることを示せれば、彼らの行動を抑えられるはずです。」 |
| 手書きの手紙 | 「状況は一刻を争います。どうか、一日も早いご支援を。」 |
| ネフェル | (この手紙は結局出せなかったようだね。) |
| ネフェル | (これを書いた本人は無残な死を遂げた。手紙は踏み荒され、ところどころ破けてる。注意深く見ないと読めないほどだ。) |
| ネフェル | (…シムティ族の生き残り。滑稽な嘘つき。たった一口の水欲しさに、集落は滅びた。) |
アアル村に行く
| アンプおじさん | あっ!先生、いらっしゃいませ。ようこそおいでに… |
| 教令官 | まともな酒を出してくれると思ったのだがね。 |
| アンプおじさん | こちらはアアル村で最も上質な酒でございます。 |
| 教令官 | フン… |
| 教令官 | 君たちにやれる枠は一つだけだと、教令院はそう言っている。私としては、その一枠ですら無駄遣いだがな。砂漠に有能な人材などいるわけがないだろう。 |
| アンプおじさん | どうか信じてください。とても才能のある子供を見つけたんです!神様のためにも、この子にどうか機会を与えてやってください。このまま埋もれさせるには、あまりに惜しい子なんです! |
| 教令官 | フン、見ない顔だが、最近ここに来たのか? |
| アンプおじさん | 先日、この村に流れ着いた女の子です。とても賢いんですよ…どうかお願いします… |
| 教令官 | おい、どこから来たんだ。 |
| ??? | その辺の砂の山。 |
| 教令官 | 他の家族は?子供は全部で何人いる? |
| ??? | 他には誰もいない。 |
| 教令官 | 誰もいない? |
| ??? | うん。 |
| 教令官 | 兄弟も両親もいないのか? |
| ??? | 黄砂と一緒に眠ってるのが兄弟だ。それ以外、他の人はいない。 |
| 教令官 | はぁ、いいだろう。 |
| 教令官 | この申請書に名前を書け。 |
| 教令官 | …ネフェル?見た目から分からなかったが、砂漠の人間だったのか。 |
指導教員と会話する
| マネト | ネフェルさん、お配りした今期の研究テーマはよく読み、それに関連する論文を書いてください。 |
| ネフェル | ああ。でも先生、二つ質問したいことがある。 |
| マネト | なんでしょう。 |
| ネフェル | 他の人の課題を見たんだけど、あたしにくれた課題だけ簡単なようだ。もしかして馬鹿だと思ってるから、そうしたのかい? |
| マネト | そんなこと思っていませんよ…むしろ君は賢すぎる。 |
| ネフェル | 本当に馬鹿なら、そもそもこの問題にも気づかず、先生に質問すらしない…そう言いたいんだね? |
| マネト | ええ、やはり鋭い指摘をしますね。この裏にある本当の理由も、とっくに見抜いてるのでしょう? |
| ネフェル | あたしが砂漠の人間だから? |
| マネト | はぁ… |
| マネト | 申し訳ない、ネフェルさん…私としては、こんなことしたくなかったんですが、ただ… |
| マネト | この話はやめましょう。もう一つの質問は? |
| ネフェル | …… |
| ネフェル | 外から教令院に手紙が届いた場合、どこで受け取ればいいか知りたいんだ。 |
| マネト | 家族からの手紙ですか?君の名前が書いてあるのなら、手元に届くはずですが… |
| ネフェル | いや、家族からじゃないし、最近送られたものでもない…ただ、配達後に受け取られてない手紙が、どこに行くのか気になってね。 |
| マネト | そういう手紙は、知恵の殿堂の隅にある棚にまとめて置かれます。そこに大きな箱があって、未受領の手紙が全部入っていますね。 |
| マネト | 何か探し物なら、そちらに行ってみるといいでしょう。 |
| ネフェル | そう、ありがとう。 |
| マネト | いえ、お気になさらず。実は…指導教員として、君に何も教えられなかったことを申し訳なく思ってるんです。 |
| ネフェル | …そんなことないさ、先生。 |
| ネフェル | 教令院のルールは分かってる…砂漠の人間は「生徒」じゃない。そして先生は「自分の生徒」にはよく指導をしていた。何もおかしなところはない。 |
| ネフェル | ずっと前から気づいてた——世界はいつだって成功者のほうに傾き、敗者には炎や刃が投げつけられることを。 |
| マネト | ネフェルさん…そんなふうに考えていたんですね… |
| ネフェル | ああ、でもそれだけじゃない。人はやっぱり、成功者になるしかないんだってことも悟ったのさ。 |
手紙を入れる箱を探す
| ネフェル | …あった。誰も受け取らなかったか、配達ミスで放置された郵便物が入ってる。 |
| ネフェル | どれどれ。 |
| ネフェル | …… |
| ネフェル | オルモス港の建築の老朽化に関する報告書…そこに駐屯してる三十人団の責任者からの手紙みたいだ。面白いね、傭兵も街の建設を気にかけるだなんて。 |
| ネフェル | 開封もされずに放置されてるところを見ると、どうやら受取人は三十人団の意見をまったく気に留めなかったようだね。 |
| ネフェル | 宛先は…初めて見る名前だ。妙論派の有名な教授だろうか。 |
| ネフェル | こっちは生論派の賢者宛ての手紙だね。『サティアワダライフによる症状の経過観察』…どの手紙もなんだか論文みたいな件名だ。 |
| 手紙の内容 | 「お香の導きのもと、私たちは森の中で次第に道を失った。意識は幾重もの障壁を越え、巡り巡って、唯一身を寄せられるところを求めていた…」 |
| 手紙の内容 | 「このような症状は臨床的にも香料中毒と見なされる。現在、生論派は強烈な幻覚作用を持つ香料の使用を禁じているが、まだ抜け漏れがあるようだ。」 |
| 手紙の内容 | 「例えば、私の隣人はお香を焚いた後、踊りながら大声で叫び散らかしている…」 |
| ネフェル | とても有益な情報じゃないか?どうして誰も受け取らなかったんだろうね? |
| ネフェル | ん?裏に何か書いてある… |
| ネフェル | 注釈:「差出人は毒キノコを服用した後にこの手紙を書いているので、返送すべし。ただし、住所が無効のため返送できず。」——この注釈を書いたのは、知恵の殿堂のグランドキュレーターのようだね。 |
| ネフェル | …… |
| ネフェル | 宛先が…大賢者アザール? |
| 手紙の内容 | 「スメールの近年の教育政策に関する一意見——」 |
| 手紙の内容 | 「ここ数年、教令院は新たな政策のもと、わずかながら砂漠出身の学生を受け入れ、教育を提供している。」 |
| 手紙の内容 | 「しかしワシの知る限りでは、学生は本当の意味で平等な教育機会を与えられていない。」 |
| 手紙の内容 | セリフが見つかりませんでした |
| 手紙の内容 | 「教育こそが教令院の土台であり、知識はスメールを築く根幹だ。このような行為は、教育の正しい理念を実践していると言えるだろうか?」 |
| 手紙の内容 | 「大賢者は確かに教令院全体の意思決定者である。だが、ワシやすべての者と同じく、かつては一学生だったことを忘れてはならない。」 |
| 手紙の内容 | 「この問題にしっかり向き合ってもらいたい。ワシを信頼して相談し、周囲の人々の意見や助言にも耳を傾けることを願っている。」 |
| ネフェル | 素晴らしい手紙じゃないか。本人に届かなかったのは残念だけど。 |
| ネフェル | 差出人は…ん?素論派の賢者、ジュライセン? |
| ネフェル | 砂漠の人間の苦しみを分かってくれる人が、こんな場所にもいたんだね。 |
| ネフェル | 素論派の賢者から大賢者に宛てた手紙もこうして捨てられるなんて、教令院もよくやるよ。 |
| ネフェル | まあいい、あたしが探してるものじゃない。他のも見てみよう。 |
| ネフェル | 砂漠からの手紙…届いてる保証はないけど、ここにないとなると一体どこに… |
| ネフェル | 物が多すぎる。どれだけの間、放置されてるんだい?しかも、知恵の殿堂にはこういった箱や本棚がごまんとある… |
| ネフェル | 本当にここの文献のすべてに目を通せる人なんているのかね?そんな暇なやつがいるとは、到底思えないけど。 |
| ネフェル | ……!この手紙… |
| とある素朴な手紙 | 封筒は質素で、中の紙も上質とは言えない。 |
| とある素朴な手紙 | この紙くずのような手紙の中でも、かなり下のほうに押し込まれてる。誰にも見向きされず、触れられることもなかったんだろうね。 |
| とある素朴な手紙 | 見覚えのある筆跡だ。 |
| 手紙の内容 | 「こんにちは、ハリルさん。私はシヌヘ、シムティ族の族長です。大赤砂海で危機に陥っていたあなた方を助けた人、といったほうが分かりやすいでしょうか。」 |
| 手紙の内容 | 「あの時のことをまだ覚えていらっしゃいますか?私は皆さんを安全な場所に連れていき、水と物資を提供しました。とても喜んで、あなたのお名前を教えてくださいましたね。」 |
| 手紙の内容 | 「名前を教えていただくのは、我が部族にとってきわめて重要なことです。それもあって、皆さんを友と見なしました。今後、連絡できるようにと言い、連絡先も教えてくださいましたね。」 |
| 手紙の内容 | 「私たちシムティ族は長年砂海を流浪しています。あなたは私の苦しさを分かってくださり、生計を立てられるようにと、私を教令院の特使に任命すると約束してくださいました。」 |
| 手紙の内容 | 「今、私は深刻な問題に直面しています。どうか、力をお貸しいただけないでしょうか。」 |
| 手紙の内容 | 「先日、激しい砂嵐によって、私たちの領地にある井戸が塞がれてしまったのです。生き延びるため、イアブ族とウヌ族のところに向かいました。」 |
| 手紙の内容 | 「彼らはサムード族の末裔です。私たちはみなトゥライトゥーラの遺民にあたり、花の女主人を信仰しています。もともとは親密な関係にあった部族でした。」 |
| 手紙の内容 | 「そこにある井戸は今、イアブの人々のものです。イアブ族に援助を断られたため、やむを得ず無断で使用しました。彼らからの反感を買うことになるのは、火を見るより明らかでしょう。」 |
| 手紙の内容 | 「以前、教令院にいながら私の力になってくれると仰っていましたね。この件について、どうか私のもとへ人を手配していただけないでしょうか?どうしても助けが必要なのです。」 |
| 手紙の内容 | 「それと以前お話しした際に、教令院はいま砂漠の人間を受け入れていると聞きました。そのとき私は、娘のネフェルのことをお伝えしたと思います。」 |
| 手紙の内容 | 「砂漠は資源に乏しく、私が出来ることにも限界があります。ですので、お願いです。どうか娘を教令院に入学させてもらえないでしょうか?とても聡明な子で、きっと失望させません。」 |
| ネフェル | …… |
| ネフェル | 結局、教令院のやつらはあんたのことなんか眼中になかった。約束ってのも単なる社交辞令で、シヌヘという人間を覚えてすらいないだろうね。 |
| ネフェル | それなのに、ツキが回ってきただの、これからもっと良くなるだの… |
| ネフェル | …いつかもっといい場所に連れて行ってくれるとも言ってた。まるであんたが砂漠で一番偉大な族長であるかのように、偉そうに語って… |
| ネフェル | あんたはどこまでも嘘つきだ。何もできやしなかった! |
| ネフェル | 誰があんたを信じるっていうんだい?結局、あたしだけだったじゃないか… |
| ネフェル | あんたは最低な詐欺師だ。嘘もまともにつけやしない… |
| ネフェル | …あたしが代わりに最後までやってやる。 |
カタユンと別れを告げる
| ネフェル | 世話になったね。今日はあんたにお別れを言いに来た。 |
| カタユン | ネフェル?その荷物…どこに行くつもりですか? |
| ネフェル | 退学した。故郷に用があって、一旦帰ることにしたんだよ。 |
| カタユン | えっ?ですが… |
| カタユン | せっかく入学できたのに… |
| ネフェル | そうだね。でも、もうどうでもいい。あたしには今すぐやらなきゃいけない、もっと大事なことがあるんだ。 |
| ネフェル | お香があるんだけど、持って帰るのは面倒だからあんたの机に置いてくよ。 |
| カタユン | …… |
| ネフェル | ん?お香が好きなんだろ?そうそう、さっき知恵の殿堂で読んだ文献によると、お香にも幻覚を引き起こす作用があるらしい。使いすぎには気を付けなよ。 |
| カタユン | それって、ネフェルが故郷から持ってきたものですよね?とても貴重で手に入りにくいものだって言ってたのに… |
| ネフェル | ああ、確かそんなこと言ったね… |
| ネフェル | あれは嘘さ、ちっとも貴重じゃない。あたしの実家の近くにでっかい遺跡があって、そこから香料のもとがごろごろ出てくるんだ。 |
| ネフェル | 金にもならないし、あんたにやるよ。 |
| カタユン | ネフェル… |
| ネフェル | じゃ、あたしはこれで。達者でね。 |
| カタユン | 故郷に帰っても、わたしのこと忘れないでくださいね!だって、一番の友達でしょう! |
| ネフェル | ああ、忘れないよ。 |
| ネフェル | (なんてね。あの香料、本当はかなり値が張るし、遺跡でもめったに取れないものだ。) |
| ネフェル | (最後に言ったのも嘘…戻ったらやるべきことが山ほどある。誰かを覚えてられる余裕なんてどこにもない。) |
| ネフェル | (…生きていられるかも分からないんだ。きっとすぐにあんたのことも忘れるだろうね。) |
イアブ族の族長と会話する
| ネフェル | お会いできて光栄だよ、アリーフさん。 |
| アリーフ | 教令院の特使のお出ましってことは、よほどでっかい商売でも持ちかけてくれるんだろうな? |
| ネフェル | なぜ武器を構えてる?他の特使ではなく、あたしが来たことを喜ぶべきだろ。あたしはあんたたちイアブ族のことをよく知ってるんだから。 |
| ネフェル | 砂の世界は権力の交代がとても速い。かつての強大な都市国家も、今や単なる砂地と化した。でもイアブ族は違う——どんどん上に這い上がって、繁栄の道を進んでる。 |
| アリーフ | ははっ、見る目があるな。 |
| ネフェル | この井戸がまさにその強さの証明だろ?ウヌ族の資源だったはずが、いつの間にかあんたたちの手に渡ってる。 |
| アリーフ | 俺たちを褒めるためだけに、わざわざ来たんじゃないだろう? |
| ネフェル | もちろんだ。最高にいい知らせを持ってきてやった。あんたたちが自由に暮らせるほどの莫大な富をもたらす情報だよ。 |
| ネフェル | 教令院因論派の文献によると、イアブ族の支配下にあるとされてる水源の下には、考古学的価値の極めて高い遺跡が隠されてる。 |
| ネフェル | ここに来るまでの道で確認してきたけど、地図からするとあんたんとこの井戸さ。教令院はそこいら一帯の発掘権を五千万モラで買い取るつもりだ。 |
| アリーフ | 五、五千万!? |
| アリーフ | はっ、重要な遺跡と言う割に、たったの五千万モラか? |
| ネフェル | 図に乗るな! |
| ネフェル | こっちが何も知らないと思うなよ。この井戸はあんたらが武力で強奪したものだろ。力を手に入れるや否や、ウヌ族を追い払って、水源を奪った。 |
| アリーフ | それがなんだ? |
| ネフェル | そう焦るな。確かに武力による占領は見栄えのいい行動じゃない…とはいえ、教令院も実効支配をしてる方と取引するしかない。 |
| ネフェル | これがどういう意味かわかるかい? |
| アリーフ | それが事実なら良いんだがな。もし俺を騙すような真似をしたら、お前たちを見つけ出して、全員首を切り落としてやる。 |
| ネフェル | はははっ、イアブの族長は目先のことしか考えてないんだね。教令院を敵に回して、何のメリットがあるんだい? |
| ネフェル | この格好を見てみな。雨林に行ったことはなくても、これが教令院特使の服だってことくらいわかるだろ。それも目に入らないっていうのかい? |
| ネフェル | 野蛮人のくせに、なにをそんなに憂慮してる?はははっ、あたしは教令院から来た。嘘をつく必要がどこにある? |
| アリーフ | …ふんっ。 |
| アリーフ | 確かに、教令院はスメールの権力の頂点だ。こんな嘘をつく必要はないな。 |
| アリーフ | ははは、いいだろう。そういうことなら、発掘権を売ってやる。 |
| アリーフ | このような素晴らしい知らせを届けてくれた特使に感謝するよ。本当に素晴らしい知らせだ!宴でもてなしてやろう、ぜひ来てくれ。 |
| ネフェル | ああ、酒は好きだよ。あんたたちも好きそうだね。 |
| ネフェル | この素晴らしい取引を祝して、飲もうじゃないか! |
| 宝の山を手にする未来を夢見て、イアブの人々は喜びに満ちていた。この美しい夢の世界に夢中になり、一晩中酒に酔った。 | |
| しかし翌日午前、驚きの知らせが届いた… | |
| イアブ族の人 | 族長!大変です!! |
| イアブ族の人 | 我々の井戸が、ウヌ族のやつらに奪われました! |
| アリーフ | 何だと!? |
| アリーフ | 何をぼさっとしてる!早く奪い返してこい! |
| イアブ族の人 | はっ! |
| ネフェル | イアブはすばらしい武力を有している。ただ… |
| アリーフ | なに? |
| ネフェル | 昨日持ってきたばかりの情報がウヌ族に漏れるなんて…部族の中に内通者でもいるんじゃないのかい? |
| アリーフ | そ、それって、まさか… |
| ネフェル | よく聞きな。教令院は実効支配をする側としか取引しない——井戸を取り返せなきゃ、金はあんたのとこに入ってこないよ。 |
| アリーフ | そんな…!特使様、どうか時間をくれ。ウヌ族のやつらめ…絶対許さねえ。 |
| アリーフ | 井戸も金も、俺たちのものだ! |
| ネフェル | なら、良い知らせを待ってるよ。 |
| アリーフ | 内通者については…俺が調べておく。特使様は好きに待っててくれ、何か情報が入ったらすぐに知らせる。 |
| ネフェル | ふふっ、健闘を祈るよ。 |
| ネフェル | (たったこれだけの会話でよくもここまで衝動的になれるもんだ…まあ、けしかける感覚は——嫌いじゃないが。) |
| ニザール | 特使様、つまり…教令院はイアブ族よりも、我々と取引したいということなのか? |
| ネフェル | ああ、イアブは荒々しく、血気盛んすぎる。元々荒っぽいやつらだったけど、今は教令院の各学派が砂漠で行う研究活動にまで干渉してくるんだ。 |
| ネフェル | 族長さん、もしあんたが教令院の立場なら、どうしたい? |
| ニザール | もちろん、皆殺しにしたいところだ。 |
| ネフェル | その通り。教令院は邪魔者を好きにさせておきはしない。学術研究を妨害するイアブの奴らにはかなり不満が溜まってるんだ。 |
| ネフェル | けどね、この件に関しては教令院が表立って出るわけにはいかない。そして、あんたは砂漠の人間だ…もう分かるね? |
| ニザール | ああ、砂漠には砂漠のルールがある。雨林の人間が砂漠で剣を振るうのは、自分から死にに行くようなものだ。 |
| ネフェル | その通り。出しゃばる勢力を抑える一番の方法は、その敵の力になること。つまり、長いことイアブ族と犬猿の仲であるウヌ族は、我々教令院の仲間だ。 |
| ネフェル | (さて、ニザール。) |
| ネフェル | (資源を奪い合っていたときは、利益欲しさに、イアブ族の奴らをこっちにけしかけてくれたね…だが今は、あんたらがあいつらと対立してる。) |
| ネフェル | いいかい、教令院は砂漠を正当に支配する者と取引したい。あたしたちはあの井戸のあたりの発掘権が欲しい——その額五千万モラだ。 |
| ニザール | …言いたいことは分かった。 |
| ネフェル | しっかりやっておくれよ、金はちゃんと払うからね。 |
| ネフェル | (見てるかい?父さん…人を騙すのはこんなに簡単なことなんだよ。) |
探索を続ける
| ネフェル | …… |
| ネフェル | ふふ…ははは、あはははははっ! |
| ネフェル | 見ろ!どんなに狂気じみた悪党も、死ねば一様に赤い血を流す。あんたらとあたしたち、一体何が違うっていうんだい!? |
| ネフェル | こんな普通のやつらに、あたしの故郷は滅ぼされたのか…ははっ…笑えるな。 |
| ネフェル | ハハハッ!…やっと静かになった。 |
| ネフェル | 砂海には、そもそもこんなに多くの人間なんていらなかったのかもな。 |
| ネフェル | シヌヘ…父さん…あの時、あんたが今日のあたしみたいに残酷であれば、部族の人々を守れたかもしれない。それこそが、族長のなすべきことだった。 |
| ネフェル | …父さんがやれなかったこと、あたしが全部やってやったよ。 |
| ラウマ | ネフェル…すべて、過ぎたことだ。 |
| ネフェル | 沈黙を保ってくれると約束したはずじゃないのかい。 |
| ヤフォダ | そ、そうだけどよ… |
| ネフェル | …はぁ。 |
| ラウマ | (ヤフォダさん、場を和ませてくれ…) |
| (旅人) | (ヤフォダの実力を見せる時だよ!) |
| ヤフォダ | (わ…わかった、話題を変えてみる!) |
| ヤフォダ | えっと、あっ!そうそう!いつになったらここから出られるんだ? |
| ヤフォダ | たくさん歩いて、疲れちゃったぞ。ラウマも疲れたんじゃないか? |
| ラウマ | うむ、私も少々座って休みたいところだ。 |
| ネフェル | もうすぐだ。この先に、神殿があるはずだよ。 |
| (旅人) | そろそろ終わり? |
| ネフェル | うん。 |
| ヤフォダ | でも、この感じだと、この物語はあの神殿で終わりを迎えるのか? |
| ヤフォダ | 神殿で終わりっていうのはいかにも砂漠っぽいけど。 |
| (旅人) | 前に砂漠の友達と似たような場所に行った。 |
| ネフェル | 砂漠の民にはそれぞれの運命がある——誰もがそう言う。あの頃のあたしは認めようとしなかったが、今思えば…あたしも典型的な砂漠の人間さ。 |
| ラウマ | 神殿といえば…神殿の中には一体何が? |
| ネフェル | それは「企業秘密」だ。 |
| ラウマ | そなたの覗き見の能力は、どうやらあの神殿から得ているようだな。 |
| ネフェル | ほう?霜月の子の聖女は他の神のことも知っているのかい? |
| ラウマ | スメールのことはさほど知らぬ。しかし、ネフェルは砂漠の出身。砂漠の人間の信仰と言えば、キングデシェレトと関係があるだろう。 |
| (旅人) | その手下の七柱も。 みんな、あの時代には欠かせない人たち。 |
| ヤフォダ | なんだかすごそうだな… |
| (旅人) | 彼らと関係の深い友だちがいる。 確か、ヘルマヌビスと深い関係が… |
| ネフェル | ヘルマヌビスの憑依対象といえば、スメール教令院の大マハマトラのセノだね。その人のことは知ってるよ。 |
| ヤフォダ | おお、詳しいな!さすがボスだ! |
| ネフェル | セノを知ってるやつなんか大勢いるさ。セトスも知ってるよ。 |
| ヤフォダ | へえ?セノってすごい人なのか? |
| ネフェル | 確かに、すごい人ではあるね。 |
| (旅人) | さすが業界人! |
| ネフェル | 基本中の基本だよ、褒められるようなことじゃない。 |
| ネフェル | さて、やっと辿りついたね。あそこが出口のはずだ。 |
神殿の入り口に行く
| ヤフォダ | あーっ!もう… |
| ヤフォダ | さっきから、あたいが全く理解できない、説明できない場面ばかりだ。例えば、あそこの彫像—— |
| ヤフォダ | さも賢そうな感じでペラペラ紹介してやりたいところだけど…あたい、ほんとに見たことないんだよ! |
| ラウマ | 頭部が鳥の形をした神像… |
| (旅人) | キングデシェレトの霊廟にありそう… |
| ネフェル | これはキングデシェレトについていた七柱の一つ、トキの王トートだ。伝説によると、ワニの王と羊の王と共に、キングデシェレトの三臣…いや、三奸臣と呼ばれていたそうだよ。 |
| ネフェル | どれどれ。 |
| ヤフォダ | アシュルだったのか |
| ラウマ | これは…無事ということか? |
| ネフェル | 物語が終われば 世界が崩れて元の場所に帰れるはずだ |
| ネフェル | そもそも ここはあたしの記憶の世界だし |
| ネフェル | 何も怖いことは ないんだよ |
| ラウマ | そうなのか? |
| ネフェル | ああ もうすぐ終わりだ |
| 旅人 | ネフェル!しっかり! |
| レリル | 知りすぎた者は 生きることを許されない |
| ネフェル | あんたのことかい…? |
| ダインスレイヴ | ⋯実に醜い |
| 旅行日誌 | 神殿で、ネフェルの愛猫アシュルに出会った。優しくアシュルを撫でながら「もうすぐ終わりだ」と語るネフェル。 しかし、その穏やかな時間は突如として途切れた。アシュルの姿が歪み、恐ろしい手となってネフェルの喉を強く締め付け、押し寄せるアビスの力がネフェルと一行を引き離したのだ。渦巻く黒い霧の中から、月の狩人レリルの姿が浮かび上がった。秘密を知ったネフェルを葬るために、ここで待ち伏せていたのだ。 生死の境へと追い込まれたその時、突然、ネフェルの胸元のペンダントがまばゆい光を放ち、束縛から逃れるチャンスを作った。そして…月の狩人が再び致命的な一撃を放とうとした瞬間、二つの見知らぬ力が空間に現れた。ダインスレイヴと「少女」の援護が闇を引き裂き、ネフェルに脱出の機会をもたらしたのだ。逃げ出す直前、ネフェルは残された力を振り絞って、ゲームボックスの力で月の狩人を拘束した。 |
運命の残響
| 月の狩人がナド・クライにさらなる被害を与えないよう、みんなで力を合わせて、最も重要な戦いに備えた… |
ネフェルと会話する
| 「少女」 | ちょうどいいタイミングだったでしょう? |
| (旅人) | うん、ありがとう。 |
| 「少女」 | 怪我がなくてよかった。 |
| パイモン | さっき、ダインっぽい力が見えたけど、おまえも助けてくれたのか? |
| ダインスレイヴ | もちろんだ。彼女に潜入調査を依頼した時にはすでに、中に奴が潜む可能性についても考慮していた。 |
| ダインスレイヴ | 俺には貴様らの安全を守る義務がある。 |
| ネフェル | ふう、それも騎士道精神ってやつかい? |
| ダインスレイヴ | さてな——収穫があったようだな。 |
| ネフェル | ああ、あんたたちのおかげで、あいつを盤面に閉じ込めることができた。 |
| パイモン | 本当か?ネフェルがなにかしたのか? |
| ネフェル | 実は、神殿にたどり着く前から、異変には気付いていたんだ。 |
| ネフェル | 月の狩人、つまりかつてのレリルの破片への潜入調査に気づかれてしまってね…後を尾けられたんだろうさ。 |
| ヤフォダ | 思考の世界の中でか?そんなことができるのかよ… |
| ダインスレイヴ | レリルはかつて、黒王直属のスパイだった。手がかりを探し、追跡者の位置を逆探知することにとても長けている。 |
| パイモン | なるほどな… |
| ネフェル | あいつはゲームボックスに妨害工作をしてあたしの思考を読み取り、新しいゲーム盤を作り上げた。だから、あたしたちは直接外の世界に出られなかったのさ。 |
| ダインスレイヴ | そのボックスは大したものだ。もしや、キングデシェレトと何らかの関係が? |
| ネフェル | あたしを買いかぶりすぎだ。臣下だったトキの王とちょっとばかし縁があっただけさ。 |
| ネフェル | あんたらも見ただろう?遥か昔、イアブ族はシムティ族の村を皆殺しにした。その後、あたしは教令院に入学し、そこで手がかりを手に入れた。 |
| ネフェル | ウヌ族とイアブ族は、どこにも存在しない五千万モラの土地を巡って殺し合いをした。結局イアブ族は、部族の戦士の壊滅状態と引き換えに、勝利を手にした。 |
| ネフェル | 最後の祝賀会では、イアブ族の族長が復讐しにきたウヌの刺客によって首を切られたよ…あたしの目の前でね。その後、イアブの人々も散り散りになった。 |
| ネフェル | 復讐を果たしたあたしは、故郷に戻った。神殿は相変わらず同じ場所に立っていて、砂漠で起きたどんなことにも微動だにしないように見えたよ。故郷の集落はとっくに廃墟になってたのにね。 |
| ネフェル | 神殿の前で、とある猫に出会った。トキの王トートに憑依されたその猫は、あたしを神殿の奥の扉まで導いた。扉の前で、あたしはそいつと取引したんだ。 |
| ネフェル | このボックスは、まさにトキの王が授けてくれたものだ…盤面にあるのは、キングデシェレトの霊廟にある「神の碁盤」と同じもので、神の解析の力を象徴してる。 |
| ネフェル | これらを通して、あたしは秘密を覗く力を手に入れた。だが、トキの王が力を与えてくれたのは、世の人々に真相を追い求めさせるためってわけでもないらしい。 |
| ネフェル | 神にも好き嫌いがあるものだ…しかし、残念ながらそれを認めようとする神はほとんどいない。人が抱える秘密と同じようなものさ——歪んでいて、自己中心的だって意味でね。 |
| ダインスレイヴ | …… |
| ダインスレイヴ | 強大な力もその一つだ。運命も、力も…何かに注目されること自体、偏愛の過程だと言える。 |
| ネフェル | アビスのことを指して言ってるのなら…そうだね。 |
| ネフェル | さて、みんなを呼んでくれ。今回得た情報を改めて伝えるよ。 |
| しばらくして、みんなが集まってきた。参加できない人たちも、それぞれ自分の動きを伝えた… | |
| ネフェル | みんな、集まってくれてありがとう。 |
| ネフェル | 月の狩人の件を調査すると約束したが、今回の作戦ではかなりの成果が得られた。 |
| ネフェル | 月の狩人、レリル。彼はかつてカーンルイアの黒王の臣下だった。あたしが得た重要な情報は次のとおりだ—— |
| ネフェルはレリルの過去を詳しく説明した。 彼は黒王に仕え、情報を集めるかたわら、数多くの赤月の末裔を処刑していた。しかし彼は赤月の血筋を隠して生きてきた恋人ソリンディスに手を下せず、最終的に宮廷の争いに巻き込まれてしまった… 彼の運命を示すヴェズルフェルニルの言葉は、水面に映る月の影のようだ。どれだけ消そうとしても、一瞬壊すことくらいしかできず、本当の意味で抹消することはできない… そしてレリルの人生は、水面に映る「砕けた月」の影と同じだ…それは運命の嵐によって粉々に砕かれた。 謎の空間に飛び込んだソリンディス…彼女が隠した破片は、その後「召使」の手に渡る重要なものだ。 その扉の向こうには何が隠されているのだろう?本当に新しい世界があるのだろうか? ソリンディスはそれを説明する暇もなかった。彼女を追って月に飛び込んだレリルも、ついに答えを出せなかった… | |
| 「少女」 | なるほど。だからあれだけ月のことを気にしてたんだね… |
| ファルカ | 確かに悲しい話だ。でも、だからといって、多くの出来事を正当化する言い訳にはならない。 |
| ファルカ | レリルの人生は辛かったんだろうが、結局彼はワイルドハントって災いと一緒に、無辜のナド・クライに流れ着いた。 |
| ファルカ | しかも、その危険度は日に日に増している。放っておけば、いずれテイワット大陸全体を巻き込むだろう。西風騎士団として、これを放っておくわけにはいかない。 |
| フリンズ | コロンビーナさん、一つお尋ねしても?レリルの記憶にあったという、神秘に包まれた空間への扉を見たことはありますか? |
| 「少女」 | ないかな。でも、聞いた限り…「月の扉」のことかも。 |
| フリンズ | ラウマさん、何かご存じですか? |
| ラウマ | 霜月の子の記録によると、月は秘密を隠しておるという——時には古の知識を、時には未知に通ずる扉を。 |
| ラウマ | 私も月の扉の伝説は聞いたことがある。だが、実際に目にした者はおらぬ。故に、その存在を断定することはできぬのだ。 |
| フリンズ | 月の神なら、月の扉の先がわかったりしませんか。 |
| 「少女」 | 残念だけど、今はわからない…でも私は「霜月」の力を持ってるし、力もかなり回復してきた。扉は応えてくれそう… |
| フリンズ | しかし…それはあくまで、月神の力の一部なのでしょうか? |
| 「少女」 | うん。月の神は月の扉を開ける資格を持ってる。それこそが月の径。でも、さっきネフェルも言ってたように、空間の扉を維持するには強い力が必要なの。 |
| 「少女」 | まずは、月の狩人に対抗できるだけの力を溜めないと。今はまだ、扉の奥にある秘密を解き明かすことはできないかも。 |
| フリンズ | ええ、確かに今は軽率に動けませんね。それとは別に、扉の向こうの世界について、ある大胆な仮説を思いついたんです—— |
| フリンズ | レリルとソリンディスは扉の向こうの世界に行くのに失敗したのかもしれません。だから、月の狩人は無数に分散した破片という形で現われた。 |
| フリンズ | アビスの力を有する月の狩人は、極めて強大な力を持っている。そこらの者では到底倒せないでしょう。しかし、彼の破片に引き寄せられたワイルドハントという魔物の大群は、信じられないほどの数です。 |
| アルベド | 月の狩人が何らかの力で引き裂かれ、無数の欠片に散らばったから、こんなにも多くのワイルドハントが発生したということかい? |
| ファルカ | 理にかなってるな。確かにそう考えると、ワイルドハントがこれほど大量に発生しているのも理解できる。最初は完全な状態だったから、月の狩人の破片も元に戻ろうとしてるわけか。 |
| アルベド | もし、月の狩人があれほどのアビスの力を持っていなければ、おそらく引き裂かれた瞬間に死んでいただろうね。でも、アビスの力は呪いのように—— |
| ダインスレイヴ | その通りだ。アビスの力は、確かに呪いと言える。 |
| アルベド | 命は呪いによって延長される。どんな形になろうとも、存続し続ける——ボクのアビスに対する認識とも一致するよ。 |
| アルベド | この点については、ボクなりの考えがある。あとでまた検証してみるよ。 |
| アルベド | 実験の進捗はともかく、まずは完璧な調査結果を持ってきてくれたネフェルさんに感謝しよう。おかげで、月の狩人の生態について、より深く知ることができた。 |
| ネフェル | どういたしまして。あたしの情報が役立てばなによりだよ。 |
| パイモン | ダイン、どうしたんだ?顔色が悪いぞ… |
| ダインスレイヴ | …… |
| ダインスレイヴ | いや…ただ、レリルがどうして、こんな風になったのかと考えていたのだ。 |
| ラウマ | レリルとはかつて友人同士だったそうだな。あまり慰めにならぬやもしれぬが…気を落とさないでくれ。 |
| 「少女」 | ラウマの言う通り。 |
| 「少女」 | 月にも、星にも…目に見えるものには、秘密や嘘が隠されてる。人生って、それ以上に波乱に満ちたものでしょう? |
| ダインスレイヴ | 誰かに慰められたのは久しぶりだな…感謝する。 |
| ラウマ | 皆、会議はここまでとしよう。ネフェルには休息が必要だ。今日一番大変な思いをしたのだからな。 |
| ネフェル | 随分気にかけてくれるんだね。 |
| ラウマ | もちろんです。 |
| ファルカ | よし、じゃあそれぞれ休憩を取るとしよう。後でまた、具体的な計画について話し合うぞ。 |
| 旅館に戻ってパイモンと休憩し、これからのことについて話し合った。 | |
| ファルカ | ああ、タイミングが悪かったな。邪魔しちまったか? |
| (旅人) | 全然大丈夫。 |
| ファルカ | ははは、ならちょっと出てきて話さないか。 |
| ファルカ | ああ、タイミングが悪かったな。邪魔しちまったか? |
| ファルカ | いい部屋だな——おっと、俺はここでいいぞ。 |
| パイモン | 気にすんなよ、ただの宿だぜ。 |
| ファルカ | 俺も騎士の端くれだ。レディーの部屋に入るのは悪い。 |
「フラッグシップ」に行く
| ファルカ | ネフェルは秘聞の館に戻って休んでいる。出発前にいくつか伝えてくれたことがあるから、お前たちにも共有しておくべきだと思ってな。 |
| ファルカ | まず、彼女はトキの王から授かった力で月の狩人を一時的にボックスの中に閉じ込めたが、五大罪人は常識を遥かに越えた力の持ち主だ。 |
| ファルカ | 月の狩人は遅かれ早かれ、枷を破って再び現れるだろう。その前に、なんとか手を取り合って対処法を考えなくちゃならない。 |
| パイモン | まあ、そんなに簡単に行くはずないよな…それで、ネフェルはなんて? |
| ファルカ | ああ…それが、「ゲームボックス」がどれだけ貴重なボックスなのかについて、懇切丁寧に説明されてな。 |
| ファルカ | てっきりそれを理由に何か要求されるのかと思ったが…そんなことはなかった——曰く、「そんなすごいボックスでも、二日が限界」だとよ。 |
| パイモン | えっ、二日!たった二日でなにができるんだよ!? |
| ファルカ | まさにそこだ。そこで二点目だが…状況は緊迫している。ダインスレイヴの立場は複雑だが、なんとしてもあいつの助けが必要だ。 |
| ファルカ | お前は彼と親しいんだろう?可能なら、説得してほしいんだ。 |
| (旅人) | やってみる。 |
| ファルカ | ありがたい。 |
| ファルカ | あとな、アルベドとドゥリンと一緒にいくつかの計画を考えてみたんだ。仕上がったとまでは言い切れないが、行動案の雛形は出来た。 |
| ファルカ | まずはお前にだけでも伝えておこうと思ってな。みんなが元気を取り戻したら、一緒に詰めよう。 |
| (旅人) | どんな計画? |
| パイモン | オイラも気になってきたぞ! |
| ファルカ | 計画はこうだ—— |
| ファルカは声を低くして、現段階の計画を共有してくれた。 | |
| それは少し驚かされる内容だったが、テイワットで最も優秀な旅人とガイドとして、すぐに受け入れた。 | |
| ファルカ | ただな、お前たちを仲間に加えるってのは、どうも抵抗がある…お前はここの人間でも、俺の部下でもない。お前には断る権利があるんだ。 |
| パイモン | 一緒に月の狩人を倒しにいくんだろ!どうして「仲間に加える」なんて言い方するんだよ。 |
| ファルカ | 細かいことは気にするな。話を円滑に進めるための話術だ。 |
| (旅人) | ファルカさん、ちょっと修正案があるんだけど。 |
| ファルカ | 聞かせてもらおう。 |
| (旅人) | 人員配置に調整の余地があると思う。 |
| ファルカ | 一理ある。だが、そうなると、お前にはよりしっかりと準備をしてもらわないとな。 |
| ファルカ | …先に言っておくが、お前を信頼してないわけじゃないぞ。ただ、お前が本心からそこまでしたいと思ってくれてるのかが気がかりなんだ。 |
| (旅人) | 深刻な問題だから、俺(私)も力を尽くしたい。うまくいけば、他のメンバーにとってのリスクもかなり軽減できる。 |
| ファルカ | ジンが前に手紙でお前のことをとても真面目で、少し…変わったやつだと言っていた。 |
| ファルカ | 人間は普通、不利益を避けようとするものだが、危険な方に突っ走るのがお前のスタイルみたいだな。 |
| ファルカ | みんなはきっと感謝するだろうが、お前は西風騎士団の栄誉騎士だ。大団長として、お前には無事でいてほしいと思ってる。 |
| (旅人) | ありがとう、ファルカさん。 |
| ファルカ | お前の意見もちゃんと検討しよう。協力に感謝する。 |
| ファルカは騎士の敬礼をしてから、あとで酒場で会おうと言った。今夜、最終的な計画を練るために皆を集めるらしい。 ファルカはあえて前回のような会議場所ではなく、飲みながらおしゃべりができる酒場を選んで、貸し切ってくれた。より気軽な雰囲気にするためだ。 月が昇る頃、パイモンと一緒に宿を出た。ジュース以外にパイモンがありつける飲み物などの取り留めのない話をしながら歩いた… 辿りつくと、仲間たちが揃って待っていた。休憩を取ってずいぶん元気になったようで、笑顔も見えた。予想外の助っ人もいた。 しかし、みんなちゃんと分かっていた——今夜の決断は、きっとナド・クライ全体に影響を与えるだろう。 数多くの人々とその命…その大半は知らない人だが、その命運はこのチームに託されているのだ。 | |
みんなと計画について話し合う
| ラウマ | 行動開始前に、最後にもう一つ質問がある。この計画は完璧といえるが…相手がその場所を離れないという保証はあるのか? |
| ファルカ | その点については、アルベドが観察して情報収集をしたうえで、月の狩人とワイルドハントの傾向を整理してくれた。 |
| ファルカ | まず、最初の戦いから、月の狩人は一度も空間的な能力を使っていない。おそらくそのような力は持っていないはずだ。 |
| ファルカ | 次に、月の狩人は俺たちを見下している。俺たちを相手に、逃げるとは考えづらい。 |
| ファルカ | 最も重要なのが…月の狩人は常に憎しみを抱いているという点だ。月に対しても、敵に対してもな。 |
| ファルカ | 月の化身と、彼の怒りを買った観察者がこのチームにいる以上、離れたり逃げたりするとは思えない。このプランで間違いない。 |
| フリンズ | ワイルドハントと何度もやりあった僕からみても、納得の意見です。 |
| ラウマ | うむ、では皆の意見を信じよう。 |
| ファルカ | 以上が今回の計画の全貌だ。アルベドとドゥリンが今、それぞれの仕事を進めている。 |
| イネファ | 計画を認証しました。スケジュールを作成しています… |
| アイノ | おっけー!火力支援はアイノに任せて。全力で行くからね! |
| ラウマ | 霜月の子の方も問題ない。 |
| ファルカ | 他のみんなは? |
| ファルカ | よし、問題ないならこのプランで行こう。撤回するなら今だぞ。 |
| パイモン | 撤回もありなのかよ? |
| ファルカ | 誰しも後悔する時くらいあるだろう?たった一言で追い詰めるってのは理不尽だ。 |
| ネフェル | 西風騎士団が優しい組織だってのは聞いてたけどね。 |
| ファルカ | ハハッ、そりゃあディルックからか? |
| ネフェル | しーっ。仕事場で本名は口にしないルールなんだ。あたしのビジネスパートナーのことは「夜梟」と呼んでくれ。 |
| ラウマ | この計画は絶対に必要なものだ。私たちも協力させてもらう。 |
| フリンズ | きっと、人手が多くてよかったと思うことになりますよ。 |
| フリンズ | それにしても、まさかドリーさんがいらっしゃるとは思いませんでした。 |
| ドリー | あらあら、あら珍しい呼び方をしますのね。普通はみんな、サングマハベイ様と呼ぶんですのよ。 |
| ヤフォダ | 身分が高いやつは名前も高いって言うけど…だからか? |
| ドリー | うふふふふ…フリンズさんの名前も長いそうですわね?あなたのフルネームは… |
| フリンズ | 壁に耳あり、ですよ。ひとまず内緒にしておいてください。 |
| ドリー | おほほ…そうでしたわね。実は私も、とある方からのお願いで来ておりますの。そうでもなければ、けっこうなお値段のサービスですのよ! |
| パイモン | ドリーを動かせるやつ…?一体誰なんだ? |
| ドリー | 「動かせる」なんて、イヤな言い方ですわね。私の長期取引先ですわ。あなたたちのご友人のお母様ですのよ。 |
| ドリー | あの方がくれたお宝のペンダントはもうその女に完全に壊されてしまいました。この機会に皆さんに貸しを作っておかないと、ナド・クライで赤字になってしまいますわ! |
| ラウマ | しかし、そのペンダントは一体…? |
| ドリー | とある大魔女が作ってくれたお守りです。私のビジネスパートナーといえる方でして、私が災いに見舞われないようにと、力を溜めておく容器をくださったんですの。 |
| ドリー | やっとのことでクーヴァキが満タンになったというのに、ネフェルに全部使われてしまいました…くっ…損失が大きすぎて泣いてしまいそうですわ! |
| ネフェル | 今回は確かにあたしが悪かったよ。うっかりしてた。あとでちゃんと弁償するから。 |
| ドリー | 本当ですか?で、では…そちらのゲームボックスをくださるというのはどうかしら? |
| ネフェル | あははっ、そう言うと思ったよ。渡してもいいけど、月の狩人つきだよ? |
| ドリー | そ、それは… |
| ネフェル | こいつは確かに役に立つが、この一件で跡形もなくなってしまう気がするね。また二日後に答え合わせをしよう。 |
| ドリー | はぁ、そうなると、やっぱり赤字ですわ… |
| ファルカ | そう決まったもんでもないさ。ここで成功したら、新しいビジネスチャンスが見つかるかもしれないだろう? |
| 計画は決まった。みんなはしばらく雑談を交わした後、それぞれの用事を済ませることになった。 | |
| そこで、パイモンと共にみんなの準備状況を確認することにした。 | |
ドリーを探す
| パイモン | ドリー!そっちの準備はどうだ? |
| ドリー | 私たちに与えられた時間はたったの二日。サングマハベイ様が、何の準備もなく戦いに挑むわけがないでしょう? |
| ドリー | よく覚えておくことね。誰もが欲しがるものというのは、予約販売よりも、現物の方が高い値段で売れますのよ! |
| ドリー | じゃじゃーん!こちらでございます。 |
| パイモン | わあ、すごくきれいだな!ドリーが作ったのか? |
| (旅人) | こんなに器用だなんて。 |
| ドリー | うふふ、もちろん外注品ですわ。知り合いですので、お値段もお買い得。 |
| パイモン | あっ、そういうことか!おまえが増幅装置を持ってるって会議で言ってたのが気になってたけど、カーヴェに外注してたんだな。 |
| ドリー | それはちょっと違いますわ。これは私がかなり前から草神様と考えていたプロジェクトなのです。 |
| ドリー | 大魔女アリスさんはこう言っていましたわ…この世界は常に安全とは限らない、いつみんなが災いに直面する日が来るか分からないと。 |
| ドリー | それを草神様に伝えると、すぐに秘密裏にトップレベルの学者たちを集め、それに関連する技術の研究を始めてくださったのですわ。具体的に説明すると難しくなるので、今度彼女に直接聞いてくださいまし! |
| ドリー | とにかく、これは草神様がカーヴェに依頼して作った装置ですの。カーヴェは妙論派でもトップクラスの人物ですから、こういうものを作るとなるとやはり欠かせませんわね~ |
| ドリー | でも、これを作るにあたって十数回も設計案を修正したみたいで、ずいぶん時間がかかってましたわ…はぁ、そういうとこは相変わらずですわね。 |
| ドリー | メラックが荷物を届けてくれたのですが、手紙が同封されていて、こんな重要な機器をどうして私に送るのか、一体どんな場面で使うのか、報告はしたのかなどと根掘り葉掘り聞かれましたわ… |
| ドリー | 開発許可書も同封していましたのに! |
| パイモン | ナヒーダも、ドリーに協力するって言ってたんだろ?多分、ドリーがいつも変な注文をするから気になったんだと思うぜ。 |
| ドリー | ま、そうですわね。実際の使用場面は見ないほうがいいとしか答えられませんでしたわ。危険すぎますものね~。 |
| パイモン | それにしても、カーヴェってこういうとこは本当に丁寧なんだな。自分の仕事は終わってるのに、使う場面まで確認するなんて律儀だぜ。 |
| ドリー | ルームメイトの代わりに尋ねたのかもしれませんわね。いつもそうですもの。私から見れば、あのルームメイトがそんなことを気にしてるようには見えませんけど… |
| ドリー | とにかく、手元にモノがあるというのは心強いものです。危険な状況に際しては、大変重要なことですの。 |
| ドリー | ん?どうしたんです、変な顔をして。 |
| パイモン | びっくりしたって言うべきか?ドリーの真面目なとこって初めて見た気がするぞ… |
| (旅人) | 俺(私)の知ってるサングマハベイ様じゃない… |
| ドリー | …… |
| ドリー | 私は…自分の人生を毎日笑顔で過ごすと、とっくの昔に誓いましたの。確かにモラの匂いがたっぷりする代物ですけれど…それでも…! |
| ドリー | 世の中には必ず返さなくてはならないものがありますのよ。借金、人情、そして恩… |
| ドリー | アリスさんには色々と手を貸してもらいましたし、私の最初の出資者様ですわ。出資者様には、サングマハベイは最高の商人だと思われていたいですもの。 |
| ドリー | それに、今後何が起こるかは誰にも分からないでしょう?私は草神様やスメールには、十分な蓄えがあったほうがいいと思いますわ。 |
| (旅人) | あのペンダントは… はなから取り返すつもりじゃなかったんだ? |
| ドリー | はん、ネフェルに借りを作ったに過ぎませんわ。 |
| ドリー | 私をそこらの善良な凡人のように言わないでくださいまし。そんなやり方は好みませんわ。 |
| ドリー | 必要最低限の良心だけを残し、自分のやりたい商売だけをやる。これこそがサングマハベイ様の商売の道なのですわ! |
| パイモン | そう言うことにしとくぞ。 |
| ドリー | ええ!商売のことはなんでもかんでも知らなくてよいのです。ただ私の言うことを聞いてくださいまし。 |
| ドリー | 届けてくださるのですか?ありがとうございます!本当に頼りになりますこと。 |
アルベドとドゥリンを探す
| ドゥリン | 旅人、パイモン、来たんだね。 |
| パイモン | 順調に進んでるか? |
| アルベド | キミたちも知ってると思うけど、この前ボクとドゥリン、それから大団長で力を合わせて、一部のワイルドハントの魔物を捕獲できた。 |
| アルベド | それから計画通り、アビスの生物に対する解剖と研究をしたけど、それも順調だった。ただ…結果があまりよくなかったんだ。 |
| パイモン | 解剖!?ワイルドハントのやつらって、解剖できるのか? |
| アルベド | それは「ワイルドハント」と「解剖」の定義次第だね。 |
| ドゥリン | 無害化、不活性化…といったほうが、より正確かな。 |
| アルベド | ワイルドハント…興味深いよ。人格といえるものは持っていないものの、ワイルドハントを召喚する媒介同士を組み合わせると、まるで魂のように機能する。 |
| アルベド | 先生は「賢者」フロプタチュールをかなり怨んでいるみたいだけど、「極悪騎」スルトロッチには、少し興味があるみたいだった。でも、レリルについてはあまり聞いたことがない。 |
| アルベド | それはレリルの身分が低いからではないと思う。今の月の狩人について、先生がどう思うのか知りたいものだ。 |
| アルベド | アビスの生物の狂気じみた性質、未知なる力によって引き裂かれた分裂形態… |
| アルベド | こんな状態になってまで生き延びられるなんて…自我の一部を犠牲に、個体の存続を手にしたとも捉えられるね。 |
| ドゥリン | コホンッ。 |
| アルベド | ごめんごめん、興味がある分野でね。つい熱く語ってしまった。 |
| アルベド | 話を戻そう。ボクたちの推測通り…月の狩人の肉体はすでに、取り返しのつかないくらいアビスの力に汚染されている。 |
| アルベド | もはや「変異」という言葉では表現しきれない。アビスの力と彼は一体となっていて、彼の存在自体がアビスの力の表れなんだ。 |
| アルベド | 現時点のボクたちでは、アビスを完全に消滅させることはできない。だから、月の狩人を完全に消滅させることもできないってことだよ。 |
| パイモン | そんな…本当に誰もあいつを倒せないのか?三つの月の力を取り戻した月神でもダメか? |
| ドゥリン | コロンビーナさんの状況はあまりよくないね。「世界」が彼女の存在を許さない。だから、永遠に完璧な状態にはなれない。 |
| ドゥリン | うん…まるで、創造主によって、自分を拒絶する場所に捨てられてしまったみたいだ…自分を強く持って、生き延びるだけで、かなりの労力がいると思うよ。 |
| アルベド | 絶望して当たり前だ。でも、計画は止められない。 |
| アルベド | 二つ目のプランを始めよう。 |
| パイモン | そうだ、これ…ドリーに言われて持ってきたんだ。 |
| アルベド | 届けてくれてありがとう。ボクはあとでドゥリンと一緒に出発するよ。 |
| ドゥリン | 今回は近くでキミたちを守ってあげられなくてごめん…くれぐれも気をつけて。 |
| (旅人) | 分かってる。 |
| アルベド | 気をつけて。 |
霜月の里に行く
| ファルカ | ラウマ、全員揃ったか? |
| ラウマ | うむ——霜月の子の信徒を託した。 |
| 信者 | 詠月使様、それはどういう… |
| ラウマ | これから、史上最大の危機を迎えることとなる。 |
| ラウマ | それは本来、私たちが背負うべきことではない。しかし私は…よい行いをすれば、よい報いが受けられる世界を守りたい。 |
| ラウマ | 故に、私はナド・クライのために戦う。 |
| ラウマ | こちらはモンド西風騎士団の大団長、北風騎士のファルカだ。私がいない間は、彼の指示に従ってくれ。 |
| ファルカ | よろしくー。 |
| ファルカ | えっと、自己紹介か…まあ、ちょっとばかり実戦経験はあるぞ。ハハハハ。 |
| ファルカ | 長所は誠実で、努力家なところ?とにかく、ラウマから託されたからには、全力でみんなを守ると誓おう! |
ダインスレイヴと会話する
| ダインスレイヴ | …… |
| 「少女」 | 何か考えごと? |
| ダインスレイヴ | 貴様は…コロンビーナ、だな。皆がそう呼んでいた。 |
| 「少女」 | そうだよ。何だか変な感じだよね…キミは生まれた時からダインスレイヴって呼ばれてるの? |
| ダインスレイヴ | ああ。それを聞くからには、貴様はそう簡単にその名前を手に入れたわけではないのだな? |
| 「少女」 | その点に関しては、キミたちとは定義が少し違うみたいだから。これが「名前」と呼べるのかどうか、確信が持てないの。 |
| 「少女」 | みんながそう呼ぶから、受け入れただけ。今までもそう…周りでおかしなことが起きても、私は驚いたりしない。 |
| 「少女」 | 呼び方の背後にある由来、そこに込められた気持ち…前はあんまり気にしてなかった…考えが及んでなかった。 |
| ダインスレイヴ | 最初に会った時から、貴様が普通の人間とは違うことはなんとなく感じ取っていた。 |
| 「少女」 | きっと、キミが長く生きてきて色んなものを見てきたからだろうね。 |
| 「少女」 | ダインスレイヴは、暇な時にカーンルイアのことを思い出したりする? |
| ダインスレイヴ | …… |
| ダインスレイヴ | 難しい質問だな。俺は過去の出来事を繰り返し夢に見た。人々と戦っていることもあれば、地面に倒れているだけのこともあった。 |
| ダインスレイヴ | あまりにも時が経ちすぎて、もうあの時代の楽しかった記憶はほとんど思い出せない。 |
| 「少女」 | 憎悪の感情は、愛や好きという感情よりも長く続くってこと? |
| ダインスレイヴ | そんな理由で弁解するつもりはない。ただ、美しく幻想的なものをはっきりと手にすることができないんだ。 |
| ダインスレイヴ | …レリルのことについては、とても感謝している。おかげで、埋もれていた真相を知ることができた。 |
| 「少女」 | どういたしまして。キミの友達だったんだよね。 |
| ダインスレイヴ | 友達…フッ。 |
| ダインスレイヴ | あいつは俺を裏切ったし、俺もあいつの苦しみを本当には理解していなかった…その程度の関係性を友達とは言わないだろう。 |
| 「少女」 | なら、一緒に戦う? |
| ダインスレイヴ | 俺は… |
| 「少女」 | ためらってるんだね。キミは、彼の行動に対して、前みたいな見方をすることはできない。 |
| ダインスレイヴ | 少し時間が欲しい。 |
| 「少女」 | うん。誰だってキミの立場になれば、困ると思う。わかるよ。 |
| 「少女」 | そういえば…最近、より高いところから物事を捉えられるようになったの。昔は当たり前だと思っていたことも、今は貴重に思える。 |
| ダインスレイヴ | ファデュイを抜けたと聞いていたが、まだ貴様を助けてくれる執行官がいるようだな。 |
| 「少女」 | うん。 |
| 「少女」 | 今までは、執行官っていう地位ありきの助け合いだと思ってた。まして、今や私は何者でもないし、指名手配までされてるのに… |
| 「少女」 | それでも彼女たちは手を貸してくれる。つまり、私の過去の認識は間違ってたの。 |
| ダインスレイヴ | 「友達」だと思ってくれているのだな。 |
| 「少女」 | ほんの少し罪悪感があるの。ありがたみを知らなかったのが…申し訳なくて。 |
| 「少女」 | 今、罪悪感を抱えるキミも、私と同じ気持ちでいるはず。だから、キミと話しておくのも悪くないと思ったの。 |
| 「少女」 | ねえ、気付いてる?さっきからずっと、旅人とパイモンが盗み聞きしてる。 |
| ダインスレイヴ | フッ、挨拶してやるか。 |
| 「少女」 | うん。 |
| 「少女」 | こんにちは。 |
| パイモン | わっ!捕まっちゃったぞ! |
| (旅人) | ごめん、ただ二人のことが心配で… |
| ダインスレイヴ | 心配をかけて、悪かった。 |
| ダインスレイヴ | レリル…いや、月の狩人に対処することについて、真剣に考えておく。少し時間をくれ。 |
| パイモン | 本当か?きっとみんなも感謝するぞ! |
| ダインスレイヴ | 礼には及ばない。遅かれ早かれ、直面すべき問題だったからな。 |
| 「少女」 | それでもみんなの気持ちは変わらない。 |
| 「少女」 | まずはみんなからの感謝を受け取って。そのうえで、本当に協力してくれるかどうか、考えておいて。 |
| ダインスレイヴ | …… |
| パイモン | そろそろ時間だな、約束の場所でみんなと合流しようぜ! |
約束の場所に行く
「月の狩人」レリルを倒す
| (旅人) | 何を怖がってるの? |
| ネフェル | 自分自身と向き合うのが怖いんだろ? |
| レリル | 這いつくばって見届けろ |
| レリル | なんだ… |
| レリル | この力…覚えがある |
| アルベド | 月の狩人の力は計り知れない |
| アルベド | 唯一の対抗策は 錬成陣でその力を盗むことだ |
| アルベド | さらに すべての力をコロンビーナさんに集中させよう |
| アルベド | 一瞬でも 彼に匹敵する力を持てれば 勝機はある |
| ドゥリン | ボクも力になれると思う |
| ドゥリン | アビスの成分を外に最大限放出して 圧力の差が一定になると |
| ドゥリン | そこから大量の元素力を抽出できる |
| ドゥリン | これから短い間だけど |
| ドゥリン | 炎元素の力を通じてみんなの精神と同調し |
| ドゥリン | キミにみんなの視覚と能力を届ける |
| ドゥリン | 見える? |
| 「少女」 | 十分 |
| レリル | ハハハハハッ… |
| レリル | まさか 黄金レインドットの関係者がいるとはな! |
| ネフェル | 何の話かねぇ |
| レリル | 力を盗んで俺を倒すつもりか? |
| 「少女」 | そっちもクーヴァキを盗んだ でしょ? |
| レリル | あの扉を維持するのには かなりの力が必要なはずだ |
| 「少女」 | やってるのは私じゃないよ |
| ダインスレイヴ | さらばだ レリル |
| 「少女」 | 勝ったよ |
| 旅行日誌 | 戦いは白熱していく。ネフェルとともに月の狩人を挑発し、破壊的な攻撃を繰り出すよう仕向けた。危険な賭けのようだが、これしか方法はない——絶対的な優位に立てない以上、月の狩人に抗うには、あえて彼に全力を出させ、その力を利用するしかない—— 錬金術の陣が静かに起動し、月の狩人の放ったエネルギーを吸収した。 そしてついに、計画の全貌が明かされた——特殊な出自を持つドゥリンは、その特殊な才能によって、陣に吸収されたアビスの力を炎元素に変換し、「少女」に供給できる。そうして少女の戦力を一時的に月の狩人と互角に戦えるまで引き上げ、さらに彼女と仲間全員の精神を同期させ、その視界と性質を共有させたのである。 戦力が大幅に増加した「少女」は月の狩人と激戦を繰り広げ、戦況を逆転させた。そして決定的な瞬間、予想外の人物——ダインスレイヴが後方で「月の扉」を開き、「少女」の渾身の一撃で、月の狩人は扉の中に追いやられたのであった… |
パイモンと会話する
| パイモン | あっ、目が覚めたか? |
| パイモン | 具合はどうだ?痛いところは?ぐっすり眠れたか? |
| (旅人) | 大丈夫だよ、パイモン。心配しないで。 |
| パイモン | ならよかった。おまえ、丸一日寝てたんだぞ。その間、オイラはベッドの横で見守るしかなくて…ご飯もひとりで食べてたんだ… |
| (旅人) | ひとりでもちゃんと食べてた? |
| パイモン | おう。でもおまえと一緒に食べるほうが断然おいしいぞ。 |
| パイモン | おまえが元気じゃないと、味がしないし、ぐっすり眠れないんだ。 |
| (旅人) | 改めて、ただいま。 |
| パイモン | そうだ、アルベドが来てたぞ。ファルカたちが祝勝会を用意してくれたから、目が覚めたら来いってさ。みんな来てるらしいぞ。 |
| パイモン | 薬も持ってきてくれたけど…その様子じゃ大丈夫そうだな、へへ。 |
| パイモン | 行けそうだったら行こうぜ!あまり待たせるのも悪いしな。 |
「フラッグシップ」に行く
| パイモン | 参上!お邪魔するぜ! |
| ヤフォダ | セリフが見つかりませんでした |
| ヤフォダ | 待ってたぞ!あんたらが来なかったら祝勝会は延期しようって言ってたところなんだ。 |
| アルベド | 具合はどう? |
| (旅人) | もう平気。心配しないで。 |
| アルベド | ならよかった。気になるところがあったらボクが診るから、すぐに言ってくれ。 |
| ドゥリン | うん、ほかにも必要なものがあったら教えて。 |
| パイモン | ネフェルは来てないのか? |
| (旅人) | ネフェルの目はどう? |
| ドゥリン | ネフェルさんはあそこ。 |
| ドゥリン | 話しかけに行ったら? |
NPC対話
ドリー
| ドリー | あら、もう動いていいのですか? |
| (旅人) | うん、平気。ありがとう。 |
| ドリー | 水臭いですわぁ。私たちの関係でしょう? |
| ドリー | 飲みたいものがあれば何でも頼んでくださいまし。このサングマハベイ様がご馳走しますわ。 |
| パイモン | ほんとか!?オイラも頼んでいいか? |
| ドリー | 旅人ほどではありませんが、パイモンもいろいろ大変だったでしょうから、ま、いいでしょう。 |
| パイモン | やったぜ!ドリーにご馳走になるなんて夢みたいだぞ! |
| ドリー | しーっ!ほかの人に聞こえてしまいますでしょうッ! |
| ドリー | ナド・クライで商売するのはただでさえ大変だというのに、みんなの酒代を払わされる羽目になったら、もう… |
| パイモン | ご、ごめん。気を付けるぞ… |
| ドリー | 頼みますわよ。 |
| ドリー | サングマハベイ様が人に奢ることなんて、そうそうないのですから。 |
ファルカ
| ファルカ | 褒め言葉をいろいろ用意したんだが、いざ本人を前にすると出てこなくなるもんだな。 |
| パイモン | ヘヘ、栄誉騎士のオーラってやつだな! |
| ファルカ | ハハッ、様になってるじゃないか。さすがは栄誉騎士だ! |
| ファルカ | 騎士団のみんなから聞いたぞ——お前が最初に訪れた国がモンドだったんだってな。嬉しい縁だ。 |
| ファルカ | 西風騎士団とともに戦ってくれたこと、そして今回ともにナド・クライを守ってくれたこと、心から感謝する。 |
| (旅人) | 気にしないで。 |
| ファルカ | そりゃあ気にするさ。それに、感謝の気持ちはきちんと伝えることが大事だと俺は思ってるんだ。 |
ダインスレイヴ
| ダインスレイヴ | 具合はどうだ。 |
| パイモン | まだ目が覚めたばっかりなんだ。 |
| (旅人) | でも、もう大丈夫だよ。ありがとう。 |
| ダインスレイヴ | ならよかった。 |
| ダインスレイヴ | 何事にも健康な肉体というのは不可欠だ。身体を大事にしてくれ。 |
| (旅人) | ダインのおかげで助かった。ありがとう。 |
| パイモン | そうそう!土壇場でおまえがジャジャーンって出てきて、扉を開けてくれたときはびっくりしたぞ! |
| ダインスレイヴ | レリルはかつての友人だが、もはや排除すべき敵に変わり果てていた。 |
| ダインスレイヴ | 奴とはいろいろあったが…これ以上事が悪化するのを手をこまねいて見ているわけにはいかなかった。 |
| ダインスレイヴ | 今回の戦いは避けては通れないものだった。貴様もよく戦ったな。 |
| (旅人) | ありがとう。あまり…気を落とさないで。 |
| パイモン | オイラたちでよかったら、いつでも話を聞くぞ。 |
| ダインスレイヴ | ああ、感謝する。 |
ネフェルと会話する
| パイモン | ネフェル! |
| ネフェル | 旅人、パイモン。具合はどうだい? |
| (旅人) | もう大丈夫。ネフェルは? |
| ネフェル | さすがは霜月の子の詠月使…なかなかの腕前だ。二、三日で目が開けられるようになったよ。 |
| ヤフォダ | でも目を酷使しちゃだめだって、鹿ねえに釘を刺されてるんだからな。 |
| ネフェル | はいはい。 |
| ラウマ | ヤフォダさん、すまないが、手を貸してくれぬか? |
| ヤフォダ | ああ、すぐ行く! |
| ヤフォダ | ちょっと行ってくる。あとで飲み物を持ってくるよ。パイモンは甘いのが好きだったよな? |
| パイモン | おう!へへ、ありがとな! |
| ヤフォダ | ああ! |
| ネフェル | …… |
| (旅人) | 考え事? |
| ネフェル | ああ、ちょっとね。月の狩人は蛇に似てると思って。 |
| (旅人) | どちらかというと狼だと思ったけど。 |
| ネフェル | そうかい?毒蛇は脅威を感じたら毒を撒き散らすだろう? |
| ネフェル | 憎しみに駆られ復讐に走る人は、毒蛇に似てると父がよく言ってた。 |
| (旅人) | 復讐に駆られる人を見たくなかったのかも。 |
| ネフェル | そうかもね。あんたは寛容も知恵の一つだと思うかい?でも、あたしに言わせれば、憎しみだって人間のまっとうな感情さ。 |
| ネフェル | それさえ許されなかったら、生きる支えを失った者はどうやって生きろと言うんだい? |
| (旅人) | ネフェルを支えてるものは… たくさんあるんでしょ? |
| ネフェル | あたしのことを心配してくれてるなら、その必要はないよ。過去に未練なんかない。 |
| ネフェル | ただ、父を詐欺師だと言ったのは間違いだったかもね。教令院に見捨てられ、人に陥れられるような馬鹿なんだから。 |
| ネフェル | いっそ、父が詐欺師だったらよかったのに… |
| ネフェル | トキの王…いや、トートは立派な詐欺師だった。あたしと親子と言ったって不思議じゃないだろう。 |
| ネフェル | 口にこそしたことはないけど、トートのほうもきっとそう思ってる。 |
| ネフェル | あたしに真実を覗く目と、嘘をつく術を教えてくれたのがその証拠さ。 |
| (旅人) | トキの王と話したことはないけど… どんな「詐欺師」だったの? |
| ネフェル | 奴はキングデシェレトによってアアルに投げ込まれたんだ。そして、牢獄みたいなその場所を離れたければ、三つの問題に正解しなければならないと告げられた。 |
| ネフェル | それで奴は猫の姿に化けてあたしのところに来たんだ。「神の使い」となって、代わりに答えを探してくれないかってね。 |
| ネフェル | でも、そう簡単にいくわけがないものさ。結局、あの老いぼれは未だに閉じ込められたままだし、あたしに与えたものも取り戻せないでいる。 |
| (旅人) | ネフェルに優しいんだね。 父親みたいに… |
| ネフェル | どこからその結論に至ったんだい? |
| ネフェル | トキの王は閉じ込められた恐怖から解放されるために、「善行」を通してあたしの好意を得ようとしただけさ。 |
| ネフェル | 詐欺師はみんな恐怖を抱いてる。レリルだって例外じゃなかっただろう。スパイとして生きてきたやつが、いい結末を迎えようだなんて—— |
| ネフェル | 虫のいい話だと思うだろう?でも、あたしには分かるんだ。どんなに顰蹙を買うような人間でも、生きていたいって思いは変わらない。 |
| ネフェル | …詐欺師の言う「本心」ほど信頼できないものはないというけど、あんたはどう思う? |
| (旅人) | 俺(私)もそう思う。 |
| ネフェル | やっぱりあんたは賢いね。しかも冷静に物事を見てる。 |
| (旅人) | 俺(私)はそう思わない。 |
| ネフェル | そうかい?詐欺師にまで気を配るとは、優しい子だね。 |
| ネフェル | でも、詐欺師の心になんか、一モラの価値もないんだよ。世界で最も利己的な人間なんだから。 |
| ネフェル | あたしがいい例だよ。いいことがあっても絶対に人には言わない。横取りされたくないからね。 |
| ヤフォダ | …ぷっ。 |
| ラウマ | …… |
| (旅人) | ほかにも聴衆がいるみたい。 |
| ネフェル | 構うもんか。あいつら地獄耳なのさ。 |
| (旅人) | ネフェルが近くなった気がする。 |
| ネフェル | そうかい? |
| (旅人) | だってみんなと、友達みたいに接してる。 |
| ネフェル | まぁ、過去を知られた以上、消すかうまく付き合うかのどっちかだからね。 |
| ネフェル | 手に負えない相手なら、平常心を装って監視下に置いたほうがいい。情報を取り扱う商人の心得さ。 |
| ネフェル | ということで、秘密は守ってくれよ。監視されてる立場としても、友人としても。 |
| (旅人) | うん、約束する。 |
| ネフェル | よろしくね。 |
| パイモン | あっ!そういえばまだ解決してないことがあったぞ! |
| (旅人) | なに? |
| パイモン | 結局、例の「謎の助っ人」が誰かわかんなかったぞ! |
| 物音 | (部屋の中から物音が聞こえる) |
| ネフェル | …ん? |
| ネフェル | 空耳か…? |
| 「召使」 | それで、君と一緒に残った「優しき同僚」は、最近どうしている? |
| 「傀儡」 | 知らないわよ。あいつと比べたらボスコ2号の方がよっぽど人間らしいわ。 |
| 「傀儡」 | でも言われてみれば、しばらく見てないわね。もしかして… |
| 「召使」 | 自ら姿を消してくれたのなら、世のために大きな貢献をしたことになるが、あいつに限ってそんなことはあるまい。 |
| 「召使」 | このまま大人しくしていてくれるとは思えないな…やつの動向には注意しておいたほうがよさそうだ。 |
みんなの話に耳を傾ける
ドゥリン・ファルカ・アルベド
| ファルカ | 身体のほうはどうだ?もし具合が悪くなったらすぐに言ってくれよ。 |
| ドゥリン | 大丈夫だよ、大団長。ボクは別に、大したことしてないし… |
| ファルカ | ハハハッ、謙虚だな。 |
| アルベド | 今回の戦いでドゥリンは大活躍だったよ。みんなも感謝してる。 |
| アルベド | 褒められたときは素直に受け入れるといい。それも礼儀の一つだ。 |
| ファルカ | ならお手本といこうか——アルベドの錬金術も見事だった!あっという間に完成させるなんてな! |
| アルベド | ありがとう。でも、ボク一人じゃ無理だったよ。ドゥリンが力を貸してくれたから成し遂げられたんだ。 |
| ファルカ | おぉ、さすがだな。 |
| ドゥリン | うぅ…じゃあ、試してみる——みんなの役に立てるように頑張ったよ。 |
| パイモン | ここにいたのか。 |
| (旅人) | みんな、お疲れさま。 |
| ファルカ | よう、旅人、顔色がだいぶよくなったな! |
| アルベド | うん、もう薬は必要なさそうだ。 |
| ドゥリン | 喉、乾いてない?何か飲む? |
| パイモン | へえ、ここ数日でもう店で注文できるようになったのか? |
| ドゥリン | 錬金術と比べたら、全然難しくなかったよ。こうやって少しずつ覚えていけたらいいな。 |
| パイモン | ドゥリンならきっと大丈夫だ。アルベドの兄弟なんだからな! |
| パイモン | でも、おまえたちの計画とやらは全然理解できなかったぞ…えへへ… |
| ドゥリン | 仕方ないよ。錬金術を学んだことがない人がその原理やプロセスを理解するのは難しい。 |
| アルベド | 簡単に言えば、彼が以前クーヴァキを盗んだのと同じように、今回はボクたちが彼自身の力を盗んで利用したのさ。 |
| アルベド | 勝てっこない相手に遭遇したとき、一番有効な方法は戦いを辞めることだ。 |
| アルベド | 力勝負をするんじゃなく、コロンビーナさんが彼に匹敵する力を得るための手助けをしたほうが得策だと判断したんだよ。 |
| アルベド | 作戦の重要な鍵は二つ——月の狩人の戦い方における癖と憎しみの対象を把握すること。そして彼を錬成陣の影響の範囲内から出さないこと。 |
| アルベド | 念のため、四ヶ所に陣を用意したけど…戦いが及ぶ範囲からすると、最後に選んだ場所が最も理想的だった。 |
| アルベド | 錬成陣を通してアビスの力を吸収し、さらにドゥリンの「特殊加工」によって、コロンビーナさんが使える力に変換したんだ。 |
| アルベド | そのおかげで、コロンビーナさんがそれまで出来なかったことが出来るようになった。 |
| ファルカ | それにしても、ダインスレイヴさんが本当に手を貸してくれるとはな。 |
| ファルカ | 彼が手を貸さないと決めても、誰も文句は言わなかっただろうに…彼の決断に感謝してるよ。 |
| (旅人) | かつての友達が敵に… 難しい選択だっと思う。 |
| ドゥリン | うん。でもきっと彼からすると、迷うよりは辛くても決断したほうがよかったんだろうね。 |
| ファルカ | ああ。 |
| ファルカ | 苦痛に揺さぶられながらも、進む道を選び、迷わず進む。彼はそういう人間だ。 |
| ファルカ | とにかく、今回の勝利はみんなのお陰だ!思う存分、勝利を祝おう! |
ネフェル・ドリー
| ネフェル | やあ、サングマハベイ様。 |
| ネフェル | 増幅装置、とても助かったよ。ありがとう。教令院が造ったものなのかい? |
| ドリー | よーくご存じではありませんの。わざわざそれを聞きに? |
| ネフェル | いや、お礼を言いに来たのさ。 |
| ドリー | ふふん、義理堅い方ですのね。そういう方とビジネスをやるのは大好きですわ。今後ともよろしくお願いしますわね。 |
| ネフェル | ドリーさんのような心優しい投資家にそう言ってもらえると光栄だ。 |
| ドリー | え?心優しい…?な、何の話です? |
| ネフェル | ナド・クライに来て早々、土地を購入したそうじゃないか…砂漠にも土地が持ってるとか。それから… |
| ドリー | ちょ、ちょっと!人の投資先を調べていったい何のつもりです? |
| ネフェル | 何をそんなに慌てるんだい?まっとうな投資だろう?避難所を建てる予定のものもあったとか。 |
| ドリー | そ…そんなことまで… |
| ネフェル | とても素晴らしいことじゃないか。人に知られたくないなんて、あんたも変わってるね。 |
| ネフェル | その後、建設計画は取り消されたそうだけどね、噂はちゃんと届いてるよ。 |
| ドリー | …… |
| ネフェル | 避難所計画はスメールの人のためなんだろ? |
| ドリー | どうせ空き地なんですもの。放置するより建物を建てて活用したほうがよっぽどマシでしょう? |
| ドリー | 災害なんていつ訪れるか分かりませんわ。家族を亡くしたときの悲しみは二度と味わいたくありませんの。もし災害で友人や協力先を失ったら、たまったものじゃありませんでしょ。 |
| ドリー | 避難所は姉の夢でしたの。十分な食料や水、薬が用意された所で、みんなで楽しく暮らせたらと姉は生前願っておりましたわ。 |
| ドリー | 土地を買ったのも姉の願いを叶えるためでしたけれど、草神様と話し合ってもっと効率のいい方法を採用しましたの。 |
| ドリー | 技術を持った人には技術を、モラを持った人にはモラを。みんなで協力して備えるのが一番ですわ。 |
| ネフェル | でも、それを知ってる人はどれぐらいいるんだい?みんなには、サングマハベイ様がモラ稼ぎに拍車をかけてるとしか思われないかもね。 |
| ドリー | 何か問題でも?私はモラが大好きですの。それが恥ずかしいことだなんてこれっぽちも思っていませんわ。 |
| ネフェル | モラを稼ぎ続けることが夢なのかい? |
| ドリー | 分かっていませんわね~!人の夢に投資することこそが私の夢なのですわ。その人の夢が叶った暁には、ちょっとばかしおこぼれをいただければ、それで満足ですの。 |
| ドリー | 想像するだけで胸が躍りますわ。うふふ、チリンチリンとモラの音が聞こえる… |
| ネフェル | …ありがとう。 |
| ドリー | 増幅装置のことですの? |
| ネフェル | ペンダントもね。 |
| ドリー | 借りを返しただけですわ。あまり気になさらないでくださいまし。 |
| ネフェル | あんたも家を離れて、ずいぶん経つんだろ? |
| ドリー | ええ。もう家族の顔さえ思い出せないときがありますわ。 |
| ネフェル | 両親とお姉さんかい? |
| ドリー | ええ。姉はかなり前に亡くなりましたけど。 |
| ドリー | もちろん忘れたくなんかありませんわ。でも、記憶というのは、商人よりもずる賢いですものね。時間が経てば、役に立ちそうにないものから消されていくのです。 |
| ドリー | 姉の悲しい記憶は得にならないと判断されたのか、顔もはっきり思い出せなくなってきましたわ。 |
| ネフェル | それでも、一番大切な思い出は消えないよ。 |
| ドリー | そうですわね。それだけが心の慰めですわ。 |
| ネフェル | …湿っぽい話はここまでにしよう。少なくとも、昔より暮らしぶりはだいぶマシになった。 |
| ドリー | そうですわね。おかげさまで大きな家もありますし、モラもたっぷり、商売も大繁盛。大満足ですわ! |
| ドリー | あなたも前途有望ですわね。大金持ちになるのも時間の問題でしょう。 |
| ネフェル | ありがとう。そうなるといいんだけどね。 |
「傀儡」を探す
| (旅人) | 尊敬のほうかな。 |
| 「傀儡」 | そう。そういえば、アナタと彼には共通点があるわ——世界を救いたいって夢を抱いてたところよ。 |
| 「傀儡」 | アナタの夢は現実になった。一方、彼の夢が…自らの手で実現されることはなかった。 |
| (旅人) | 尊敬はできないよ。 |
| 「傀儡」 | そう?どうしてかしら?彼が極端な行動をとったから?それとも失敗したから?…また別の理由かしら? |
| 「傀儡」 | どちらにせよ、ルネはもうこの世にはいないし、彼の夢も、ほかの人によって実現されたわ。 |
| (旅人) | 分からない。 |
| 「傀儡」 | 無難な返事ね。でも、心の中ではハッキリ答えが出てるんでしょ? |
| (旅人) | 「十分な理由だよ。」 |
| 「傀儡」 | アランみたいなこと言うのね。彼にも同じことを聞いたけど… |
| 「傀儡」 | 同じことを言ってたわ。 |
| 「傀儡」 | それだけ言って、また仕事に戻ったの。いつものようにね。 |
| (旅人) | 理由にならないと思う。 |
| 「傀儡」 | ずいぶん理性的ね。ま、悪くない答えよ。 |
| 「傀儡」 | でも、アランはそう考えてなかったわ。彼にも同じことを聞いたの。 |
| 「傀儡」 | そしたら…「十分な理由だよ。」ですって。 |
| 「傀儡」 | それだけ言って、また仕事に戻ったの。いつものようにね。 |
| (旅人) | 分からない。 |
| 「傀儡」 | それも一つの答えね。今の素直な気持ちだもの。 |
| 「傀儡」 | 彼にも同じことを聞いたの。答えはいたってシンプルだったわ。 |
| 「傀儡」 | 「十分な理由だよ。」 |
| 「傀儡」 | それだけ言って、また仕事に戻ったの。いつものようにね。 |
| 「傀儡」 | はい、ティータイムは終わり。 |
| 「傀儡」 | 物語をかき集めるために、アルレッキーノに借りを作っちゃったわ。今度「壁炉の家」に行くときは、手土産を用意しなくちゃ。 |
| 「傀儡」 | ワタシはプロンニアの修理に戻るわ。ここにいてもらっても構わないけど、邪魔はしないでちょうだい。 |
| 「傀儡」 | プロンニア、スリープモードは終わりよ。セルフチェックを始めなさい。 |
コメント
コメント欄は「任務本文」の各ページ共通です。
誰もが快適にコメント欄を利用できるように、他人を傷つけない投稿を心がけましょう。
不平不満は愚痴掲示板へ。
- リーク情報、キャラクターや他者に対する誹謗中傷、バグ悪用の推奨等は、投稿・編集ガイドラインで禁止されています。
- 不適切な投稿は、反応したり相手にしたりせずに、zawazawaにログインして通報(推奨)、または管理連絡掲示板で報告してください。
- 悪質な場合は管理者より警告・投稿規制等の措置を行います。
- 不快なコメントに対しては、日付横の通行止めマーク🚫をクリックすることで、その投稿者のコメント全てを非表示にできます。









