バッグ/任務アイテム/本文(Ver3.0~)

Last-modified: 2024-04-09 (火) 13:36:19

物語:キャラ/ア-カ | キャラ/サ-ナ | キャラ/ハ-マ | キャラ/ヤ-ワ || 武器物語 || 聖遺物/☆5~4 | 聖遺物/☆4~3以下 || 外観物語
図鑑:生物誌/敵と魔物 | 生物誌/野生生物 | 地理誌 | 書籍 | 書籍(本文) | 物産誌



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バッグ/任務アイテム/本文(Ver3.0~Ver4.2)

奇妙な羊皮紙

本文を読む

奇妙な羊皮紙_閲覧.jpg

不幸な旅人よ、何がお前をこの幽深なる地下の洞窟へ来させた?
世に広く知られる「ゴールド冒険者」ハゼドの数々の冒険伝説か?
世間で語られている物語は、俺が経験してきたことの千分の一にも満たない。
俺がどれほど恐ろしいことを経験したかは、名も無き砂漠の神のみが知っている。
誰も見たことのない古代の秘密、
俺の身体は三重の上に、さらに三重の呪縛を受け、
姿無き生物の伝令使となった。

影で俺を見つめている邪霊が、三重の挑戦を設けよと命じた。
呪われた黄銅の城から持ち出された宝をその中に隠す。
恐怖さえも、お前の食欲と好奇心を止めることができないのなら、
俺の道に従って進むがいい。

封の開かれた羊皮紙

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奇妙な羊皮紙_閲覧.jpg

不幸な旅人よ、何がお前をこの幽深なる地下の洞窟へ来させた?
世に広く知られる「ゴールド冒険者」ハゼドの数々の冒険伝説か?
世間で語られている物語は、俺が経験してきたことの千分の一にも満たない。
俺がどれほど恐ろしいことを経験したかは、名も無き砂漠の神のみが知っている。
誰も見たことのない古代の秘密、
俺の身体は三重の上に、さらに三重の呪縛を受け、
姿無き生物の伝令使となった。

影で俺を見つめている邪霊が、三重の挑戦を設けよと命じた。
呪われた黄銅の城から持ち出された宝をその中に隠す。
恐怖さえも、お前の食欲と好奇心を止めることができないのなら、
俺の道に従って進むがいい。

無数の穢れがあり、かつてディフが住んでいた深坑へと繋がる道の隣、
廃墟の中で死を知らせる悲泣と悲鳴が響いている。

道しるべの羊皮紙

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奇妙な羊皮紙_閲覧.jpg

不幸な旅人よ、何がお前をこの幽深なる地下の洞窟へ来させた?
世に広く知られる「ゴールド冒険者」ハゼドの数々の冒険伝説か?
世間で語られている物語は、俺が経験してきたことの千分の一にも満たない。
俺がどれほど恐ろしいことを経験したかは、名も無き砂漠の神のみが知っている。
誰も見たことのない古代の秘密、
俺の身体は三重の上に、さらに三重の呪縛を受け、
姿無き生物の伝令使となった。

影で俺を見つめている邪霊が、三重の挑戦を設けよと命じた。
呪われた黄銅の城から持ち出された宝をその中に隠す。
恐怖さえも、お前の食欲と好奇心を止めることができないのなら、
俺の道に従って進むがいい。

無数の穢れがあり、かつてディフが住んでいた深坑へと繋がる道の隣、
廃墟の中で死を知らせる悲泣と悲鳴が響いている。

正しい順番で火がつけられた時、
来た時の道と同じように、
俺は、この終わりのない呪縛から解き放たれる。

囁きの羊皮紙

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奇妙な羊皮紙_閲覧.jpg

不幸な旅人よ、何がお前をこの幽深なる地下の洞窟へ来させた?
世に広く知られる「ゴールド冒険者」ハゼドの数々の冒険伝説か?
世間で語られている物語は、俺が経験してきたことの千分の一にも満たない。
俺がどれほど恐ろしいことを経験したかは、名も無き砂漠の神のみが知っている。
誰も見たことのない古代の秘密、
俺の身体は三重の上に、さらに三重の呪縛を受け、
姿無き生物の伝令使となった。

影で俺を見つめている邪霊が、三重の挑戦を設けよと命じた。
呪われた黄銅の城から持ち出された宝をその中に隠す。
恐怖さえも、お前の食欲と好奇心を止めることができないのなら、
俺の道に従って進むがいい。

無数の穢れがあり、かつてディフが住んでいた深坑へと繋がる道の隣、
廃墟の中で死を知らせる悲泣と悲鳴が響いている。

正しい順番で火がつけられた時、
来た時の道と同じように、
俺は、この終わりのない呪縛から解き放たれる。

しかし、あれら永遠の存在が死ぬことはない。
「死去」が死を告げるまで。

不思議な羊皮紙

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奇妙な羊皮紙_閲覧.jpg

不幸な旅人よ、何がお前をこの幽深なる地下の洞窟へ来させた?
世に広く知られる「ゴールド冒険者」ハゼドの数々の冒険伝説か?
世間で語られている物語は、俺が経験してきたことの千分の一にも満たない。
俺がどれほど恐ろしいことを経験したかは、名も無き砂漠の神のみが知っている。
誰も見たことのない古代の秘密、
俺の身体は三重の上に、さらに三重の呪縛を受け、
姿無き生物の伝令使となった。

影で俺を見つめている邪霊が、三重の挑戦を設けよと命じた。
呪われた黄銅の城から持ち出された宝をその中に隠す。
恐怖さえも、お前の食欲と好奇心を止めることができないのなら、
俺の道に従って進むがいい。

無数の穢れがあり、かつてディフが住んでいた深坑へと繋がる道の隣、
廃墟の中で死を知らせる悲泣と悲鳴が響いている。

正しい順番で火がつけられた時、
来た時の道と同じように、
俺は、この終わりのない呪縛から解き放たれる。

しかし、あれら永遠の存在が死ぬことはない。
「死去」が死を告げるまで。

永遠に不毛な砂漠の奥深く、そこには最古のピラミッドよりも古き存在がある。
あれはアジフの邪霊の囁き。そのすべてがあの呪われた名前を絶え間なく唱え続けている――
「シェロイ」。

アアルの影の記録

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長い時間を経て、住処の赤い花が何度も咲いては散り、散ってはまた咲いた。アアルの影の記録の基礎はほぼ完成した。
あと何日かあれば、アアルはアフマル様のお告げの通り、この砂漠のすべてを受け入れてくださるだろう。
これで、アフマル様の不屈かつ偉大な志も実現するのだ。

来るその日には、母の笑顔を再びこの目にすることだろう。
母はいつもアフマル様に偏見を持っており、彼こそがジュラバドの災難の元だと考えていたが、事実はそうではなかった。
逃亡した住民とメイドが結ばれて生まれた私のような人間を、アフマル様がアアルの建築士に抜擢してくださったということを、彼女は忘れたのだろう。
このような出自を持つ私にとって、これは身に余るほどの栄誉だった。

アフマル様ほど、民を愛する王はいなかった。
彼は父の命を奪ったこの災難に心を痛められ、この地に二度とこのような悲劇が起きないようにするために、アアルを建造することを決意したのだ。
私はこれを深く信じている。

俗世は幽冥とアアルの間に流れる川のようである…凡人は越えてはならん、探求してはならん、覬観してはならん。背く者は永遠の幽冥に落ちるであろう。
アアルに昇りたくば、鷹の体を持ち、幽冥に旋回し…三つの臓器を啄むのだ。さすればアフマルの承諾を得られ、隼の姿で川を飛び越えられるであろう…
隼の姿で川を飛び越え、飛ぶ羽で三つの太陽の余燼を灯すと、アフマルの寵愛を得て、アアルへと昇れるであろう。

聖顕殿が末永くあらんことを、砂漠の民がみなアアルに入らんことを、ジュラバドが往日の景色を取り戻さんことを。
これらすべてが末永く言い伝えられんことを。

ちょっと待って…先ほど大きな爆発の音が聞こえた。何があったか見に行かないと…

(ぞんざいな筆跡はここで止まっている。)

ソヘイルの考古ノート

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……

三十二日目
…初めて砂漠に足を踏み入れた日からすでに一ヶ月が過ぎた。この一ヶ月で、みんなはキングデシェレトの霊廟の外で調査できるすべての情報を記録に残した。
だが無駄だった。既に誰かに書かれている以上のことは発見できなかった。
『キングデシェレトの霊廟の四角錐の斜面角度からキングデシェレト文明の建築の審美的傾向について簡単に分析する』という難解なタイトルと、奇抜な切り口から論文を書いたやつがいると知った時、私はわかった。キングデシェレトの霊廟に入らなければ、研究の突破口は見つからないということを。
しかし、私たちは結局キングデシェレトの霊廟に入らなかった。考古小隊の忍耐も、携帯している真水も、残り少なくなった。
明日もう一日耐えよう。様々な伝説にあるように、最終的には、乾いた深い穴から泉水が湧き出て、堅い壁が粉々に砕ける。そうなるように願うのみだ。

三十三日目
アアル村に戻った。

三十五日目
このまま手ぶらで帰るわけにはいかない。何とかしないと、笑い者になってしまう…

三十八日目
一つの遺跡を発見した。しかし近づくと、何らかの透明な装置があるかのように、私たちは阻まれ、押しのけられた。
これはキングデシェレトが彼の悪政を隠すために作った装置だと、私は確信した。

四十二日目
また三つの類似した透明遺跡を発見した。これで合計四箇所だ。しかし、まだ中に入る方法がわからない。まずはそれらの位置を記録するしかなかった。
これは幻術のようだった。おそらく「神の目」がなければ解けないだろう。帰ってまた資料を調べようか。

四十五日目
飽飲の丘に着き、あのキングデシェレトの霊廟の形をした、何周りか小さい錐体の遺跡の付近にたどり着いた。一応「飽飲の霊廟」と呼んでおこう。キングデシェレトの霊廟よりずっと小さかったとは言え、キングデシェレトが当時どれだけ民を酷使してこのようなものを建造させたのか、想像もできない。
がっかりした。こちらも前の遺跡と同じような謎の力に満ちており、中に入ることはできなかった。

時間の無駄遣いはやめよう。明日は引き続き砂漠の奥に進み、伝説のオアシスを探してみよう。

四十六日目
考古小隊はエルマイト旅団に襲撃された。彼らは「トトメス」と名乗っていたが、私はその名前を聞いたことがなかった。
驚いたことに、旅団を率いていたのは二人の少年だった。そのうちの一人は私たちを皆殺しにしたいようだったが、もう一人がそれを止め、私たちを逃がした。

彼らはキングデシェレトの狂信者のようで、善人というわけではなかったが、キングデシェレトがあの少年を祝福するよう願った。彼の斧が永遠に鋭いままでありますように。
これで教令院に逃げ帰り、みんなの嘲笑に直面しなければいけなくなった…実を言うと、笑われるよりも辛いのは、知識が増えなかったことだ。
果てしない知識の森で、私はまるで梢に取り付いたばかりのカタツムリのようだ…

そうだ。気になることはもう一つあった。付近に出現する羊が時に謎の失踪を遂げるため、現地の人は岩石に飲み込まれたと思っているらしい、だからそこを「羊呑の岩」と名付けたとか。
エルマイト旅団が忽然と岩の山から現れ、また忽然と岩の山へと消えたことと併せて考えれば、この羊たちがどこへ行ったのか、答えはもう明白だ…
あのトトメスも特殊な手段で姿を隠したか、または身を隠す洞窟でもあるようだった。とりあえず、まずはその位置を記録しておこう。
可能であれば、次に来る時はトトメス出身の傭兵をガイドに雇うことにしよう。

……

透明遺跡の記録・其の一

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休暇記録

ジュラバドの奴隷を募集する。
勝利の霊のパーヴェズラヴァンの命令を承り、アフマルの恩恵を浴び、ここに五百人の褒章を受けるべき人をしばし休憩させる快楽の花園を建造する。

異変が生じないよう、奴隷の衣食と日常娯楽を十分に保障すべきである。
事故時の問題を解決できるよう、決闘奴隷、兵士及び医師がそれぞれの職位に就くことを保障すべきである。
工事現場での店舗、宿舎、病院、酒屋、墓地等の設立を保障すべきである。奴隷の特権として、七日に一回、無料の剣闘演武を行うべきである。
裕福な奴隷が卑しい農民を雇用し、労働を分担させたり、自分の奴隷を売買したりすることを許容すべきである。ただし、工事現場の秩序に影響し、工事の進捗を遅らせた場合、奴隷の奴隷を処刑し、その主は倍の罰を受けるべきである。
奴隷の報酬は銀貨で清算し、各監督官は階級に応じて手数料を取るべきである。

最も強力な人を遣わし、花園の柱を作らせる。
最も器用な人を遣わし、柱の模様を彫刻させる。
最も知恵ある人を遣わし、来る人々のために装飾を施させる。
最も拘りのある人を遣わし、来る人々のために佳肴を用意させる。
残りの奴隷を遣わし、岩の山を盤石に砕き、林の木を車輪に作り替え、力を凝集してドームを作らせる。
初めての土を掘り起こす時から、最後の花を植えるまで、二百日以上の時間をかけてはならない。

怠惰の理由をここに刻む。
これらの荒唐無稽な行為を、百世万世後の人に知らしめるために。
最も怠惰な人を警醒させ、労働を求むよう叫ばせるために。

一日目
ネフマットと呼ばれる知恵ある者は、住処になぜか火が付いたと叫び、知恵を捧げることができなかったため、一日休暇。

七日目
三人が太陽の光でやけどしたため、一日休暇。

十日目
ネフマットと呼ばれる知恵ある者は、住処の戸締りを忘れ、砂がくるぶしまで積もったと叫び、知恵を捧げることができなかったため、一日休暇。

十四日目
四人が飛び散る砂を吸い込み、むせたため、一日休暇。

十八日目
ネフマットと呼ばれる知恵ある者は、五百日以上放置されたパンを食べ、お腹が痛いと叫び、知恵を捧げることができなかったため、一日休暇。

二十一日目
十人が太陽の光でやけどしたため、一日休暇。

二十五日目
ネフマットと呼ばれる知恵ある者は、天気が暑く、夜も眠れず、頭が重いと再び叫んだため、一日休暇。
この者はアフマルを眼中に置いていない輩だ。知恵を捧げることができないのではなく、捧げたくないのだと見ている。再発した場合、ジュラバドから追放すべきである。

二十六日目
ネフマットが逃亡。

二十七日目
四人が巨大な石に押しつぶされた。無礼者がアフマルを怒らせたかもしれない。
占い、大不吉、故に作業停止。

透明遺跡の記録・其の二

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休暇記録

快楽の花園を建造する民を募集する同日に、ジュラバドの奴隷、メイドを募集する。
勝利の霊パーヴェズラヴァンの命令を承り、アフマルの恩恵を浴び、ここにて尽きない力の源を回す工場を作り、織物を製造する。

異変が生じないよう、奴隷の衣食と日常娯楽を十分に保障すべきである。
事故時の問題を解決できるよう、決闘奴隷、兵士及び医師がそれぞれの職位に就くことを保障すべきである。
工場での店舗、宿舎、病院、酒屋、墓地等の設立を保障すべきである。奴隷の特権として、七日に一回、無料の剣闘演武を行うべきである。
奴隷が十分な休憩を取り、病や害虫を繁殖させないよう、住居の広さと風通しの良さを保障すべきである。
機械に巻き込まれないよう、すべての奴隷は長い髪を切るべきである。
奴隷の報酬は回す時間の長さを基に、銀貨で清算する。或いは報酬を受け取らず、累計百日後に自身を買い戻して平民になる。
各監督官は階級に応じて手数料を取り、身を買い戻した人のための戸籍を作るべきである。

力の源は尽きず、工場を回し続ける。一日で奴隷の手作業の千日分に勝り、怠惰の恐れもない。
これは皆、勝利の霊パーヴェズラヴァンがその仁愛と知恵をもって成したもの。彼は力の源を、種をまくように、まんべんなく領土にまき散らすだろう。
種の芽吹くところでは、奴隷は枷から解放され、これよりは自分の手で自らを養っていく。黄砂は必ず畑になり、オアシスは必ず町になる。

最も器用な人を遣わし、織機の部品が腐っていないか日々見守らせる。
最も知恵ある人を遣わし、織物の模様が華麗であるか思索させる。
最も拘りのある人を遣わし、力の源が疲弊していないかを観察させる。
残りの奴隷を遣わし、花弁を染料に研ぎ、草木を麻に編み上げさせる。
下女を遣わし、スズメのように太陽が昇るときに歌わせ、奴隷を呼び起こし、仕事に行かせる。星や月のように、太陽が沈んだ後に、奴隷を休ませる。
初めての布を織り始める時から、三千着目の衣服が完成するまで、三十日以上の時間をかけてはならない。

怠惰の理由をここに刻む。
これらの荒唐無稽な行為を、百世万世後の人に知らしめるために。
最も怠惰な人を警醒させ、労働を求むよう叫ばせるために。

一日目
エテイと呼ばれる下女は、住処の戸締りを忘れ、砂が膝まで積もったと訴え、歌えなかったため、一日休暇。

七日目
二人が太陽の光でやけどしたため、一日休暇。

十日目
エテイと呼ばれる下女は、三百日以上放置された汚水を誤飲し、お腹が痛いと訴え、歌えなかったため、一日休暇。

十四日目
一人が飛び散る砂を吸い込み、むせたため、一日休暇。

十八日目
エテイと呼ばれる下女は、住処になぜか火が付いたと訴え、歌えなかったため、一日休暇。

二十一日目
二人が太陽の光でやけどしたため、一日休暇。

二十五日目
エテイと呼ばれる下女は、天気が暑く、夜も眠れなく、頭が重いと訴えたため、一日休暇。
この者はアフマルを眼中に置いていない輩だ。アフマルのために歌いたくないのだと見ている。再発した場合、ジュラバドから追放すべきである。

二十六日目
エテイは自分の友人が知恵に富んだ者であり、織物の模様を設計しに来ることができると称し、許可された。

二十七日目
三人が飛び散る砂を吸い込み、むせたため、一日休暇。

透明遺跡の記録・其の三

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休暇記録

ジュラバドの労働者を募集する。
勝利の霊のパーヴェズラヴァンの命令を承り、アフマルの恩恵を浴び、ここにて極悪人が悪事を働くことを防げる砦を建造する。

労働者が衣食、保険を自己負担できるよう、報酬が手厚いこと、供給と流通が順調であることを保障すべきである。
労災、紛争、事故の後処理及び体罰による訴訟問題を解決できるよう、法律学者、兵士及び医師がそれぞれの職位に就くことを保障すべきである。
労働者が外部の庶務に困らないよう、工事現場での店舗、宿舎、病院、酒屋、墓地等の設立を保障すべきである。
労働報酬は期限の記された葦紙を証明に清算し、支給遅れはあってはならない。

最も強力な人を遣わし、砦に高い壁を築かせる。
最も器用な人を遣わし、砦に深い罠を掘らせる。
最も知恵ある人を遣わし、来る敵たちのために高い塔を用意させる。
最も拘りのある人を遣わし、来る勇士たちのために刀と槍を鍛造させる。
初めての土を掘り起こす時から、最後の剣を鍛造し終えるまで、二十日以上の時間をかけてはならない。

砂のように舞い散る噂はジュラバドに響き渡り、黄銅の面をした狡猾な者は秘められしオアシスで共犯者を召集し、パーヴェズラヴァンへ愚かな戦いを挑もうと企んでいる。
狡猾な者は黄砂と太陽を寇讎にし、七日ごとに共犯者を召集している。慎重に防備すべきである。

怠惰の理由をここに刻む。
これらの荒唐無稽な行為を、百世万世後の人に知らしめるために。
最も怠惰な人を警醒させ、労働が自由の根本であることを認識させるために。

……

二日目
三人が飛び散る砂を吸い込み、むせたため、一日休暇。

……

九日目
十人が太陽の光でやけどしたため、一日休暇。

……

十六日目
十二人が飛び散る砂を吸い込み、むせたため、一日休暇。

羊呑の岩の記録

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エテイへ

私も君も囚われる苦しみを深く味わっている。

王の中の王の規則は、必ずや訪れる日没のように避けられない。
それでも、私は君を自由にすると誓いたい。

自由とは、よそから得ることのできない朝露であり、
川であり、秘められしオアシスであり、すべての知恵の根源である。

もしいつか、勝利の霊が勝ち続けられなくなり、
彼の剣が驕りに蝕まれ、王冠が地に捨てられた時。
その時は、すべての枷が断ち切られ、
すべての花園から歌声が聞こえてくるだろう。

朝露は月の明かりと共に音もなく訪れる。
私たちを黄砂の果てへ、
空よりも遠い場所へと導いてくれるだろう。

飽飲の霊廟の記録

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羊のおかしらとスズメとワニ

おとなしくて優しい羊のおかしらは、七匹の子羊に、いちばん新鮮な水草が生えている池を探しに行かせた。

知恵あるスズメが七匹の子羊に出会い、どこへ向かっているのかと聞いた。

幼い子羊たちは、スズメに目的地をそのまま告げた。

「僕たちは風のうわさであなたの知恵について聞きました。あなたは空から遠くを眺めることができるから、水草のありかを教えてくれませんか?」

知恵あるスズメも、水草が生えている池で自らの羽を整えたいと考えていることを、幼い子羊は知るすべがなかった。

「子羊たちよ、君たちは北の北へ向かうとよい。あそこは熱い日の光から遠く離れているから、あそこの水草が最も新鮮だと思う。」

こうして、先頭でみなを率いる子羊はスズメの言葉を信じ、北の北へ向かい、鎧を身にまとっているワニの前にたどり着いた。

ワニは大きな口を開いたが、それは子羊を飲み込むためではなく、彼らがこの荒れ果てた地を訪れた理由を聞くためだった。

「ここには最も新鮮な水草が生えていると、知恵あるスズメに教えてもらいました。」

「スズメは彼の知恵を使って間違った道を示した。でも、俺はそうしない。」

ワニは涙を流した。子羊たちが遭った不幸への同情を口にしながら、彼らを家まで送り返すことを決めた。

帰り道に、知恵あるスズメは再び子羊たちに出会い、ワニの善意に驚いた。

「私は知恵を間違ったことに使ったのが恥ずかしい。羊のおかしらの傍まで同行することを許してほしい。」

羊のおかしらが九つの影を目にして驚いた時、ワニは大きな口を開いた。

ああ!なんとみずみずしい腸! サクサクとして甘い胃袋! 飛び散る肉!

思うがままに流れる血! 食いちぎりやすい目玉!

ワニは再び涙を流した。羊のおかしらのおとなしさと優しさを口にしながら。

この物語の教訓は、おとなしい人を信じるな。知恵ある人を信じるな。涙を流す人を信じるな。

カルテ

(注:この項目は正確には任務アイテムでは無く、ストーリー中に表示された本文内容です)

本文を読む

『患者名:アッバス。性別:男。職業:農民。
……
入院時の基本的状況:
四肢の末端の皮膚がうろこ状のかさぶたにまんべんなく覆われている。背中、胸など体表に潰瘍が多数散見される。四肢の筋力は低下し、体を動かしづらそうだ。
意識清明、精神的な疲れがある。睡眠の質が悪い。食欲不振。
担当医師:アムディ

入院一週目の状況:
四肢の末端に新たなかさぶたができる。体表の潰瘍の面積が大きくなっている。左腕はほぼ使えず、痛覚が伴う。
意識清明、精神的な疲れがある。睡眠の質が悪い。食欲不振。
担当医師:アムディ

入院三週目の状況:
うろこ状のかさぶたは体表まで拡大し、潰瘍の多数が壊死。患者は昏睡状態にある。
担当医師:アムディ

入院九週目の状況:
潰瘍の壊死は効果的に抑えられ、体表に新たなかさぶたはない。患者は昏睡状態にある。
担当医師:■■■

入院十五週目の状況:
置換療法で出来た傷口は長期にわたっても癒合しない。
体表に新たなかさぶたはない。四肢の筋力低下。自主的に掌握ができない。発熱、嘔吐が伴う。
意識清明、精神的な疲れがある。睡眠の質が悪い。食べ物を摂取することができない。
担当医師:■■■

入院二十一週目の状況:
体表のかさぶたは初歩的に抑えられ、新しい肢体の機能が回復している。長期にわたり喀血があり、卒倒しやすい。
意識清明。精神的状況は良好。睡眠、食欲は良好。
担当医師:■■■』

診断書

(注:この項目は正確には任務アイテムでは無く、ストーリー中に表示された本文内容です)

本文を読む

『治療対象:アッバス。性別:男。職業:農民。
……
担当医師:■■■

・状況
二十週間の治療を経て、Ⅳ番サンプルの新しい皮膚と新しい左腕の回復状況は良好。食欲と睡眠に改善なし。
精神状態の波動は正常な域を超えた。何度も看護工リアからの脱出を試みた。「神様の声の導き」を行動の動機にすることから、対象は妄想の傾向があるとみられる。また、供述にある、いわゆる「神様の声」は砂丘内部の地形構造による共鳴現象と関連している可能性がある。より深い調査を行い、不可抗力による注入妨害を排除すべきである。
監視を強めること。

・治療方針
第二段階の■■■実験は初めての成果を上げた。次の段階は■■■■■■。目標:Ⅳ番サンプルの臓器■■■■■■■■■■■■■■■広い範囲の考察を経て、Ⅲ番サンプルは第三段階の■■■実験の最適素材である。

■■■を実施する前に、必要なのは■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■の過程中、持続的な嘔吐、皮膚■■■は正常な現象である。Ⅳ番サンプルの自身の体を事前に準備する必要があり、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■循環を維持するために■■■■■■■■■■■■■■■■
基礎■■■作業が完了後、一週間経過観察する。もし器官の生理機能が正常に戻り、体表のかさぶたの拡大、劣化速度が落ち、肢体の機能が回復した場合は、■■■実験の次の段階に入ることができる。

・医師追記
全サンプルに共通性あり。体内の元素量は異常に高いレベルにあり、病状の重大さと正の相関関係にある。■■■実験後、体内の元素レベルは降下し、自覚症状が軽減。下記の仮説を立てることができる。元素量レベルといわゆる「魔鱗病」には因果関係がある。より多くの対照実験を行い、余分の要素を排除すべきである。

注意点:人体の元素量が集中する過程は動的に継続する可能性がある。
早期■■■実験完了後、短時間の内に、Ⅰ番サンプルの各身体指標は正常値に戻りつつある。後期、■■■が不完全であり、サンプル体内の元素量レベルは再び上昇し、病状が激化したため、Ⅰ番サンプル■■■■■■■■は素材として回収することができなかった。
反省点:長期にわたる実験に備えて準備をすること。サンプルの病状を安定的に抑える前に、■■■を止めてはいけない。実験の性質上、対象の情緒を安定させる手段が必要。■■■を摘除することを試みてもよい。

新しい方法に沿ったところ、素材の廃棄率は大幅に低減した。Ⅱ、Ⅲ番サンプルは基礎素質及び■■■への連想が原因で、精神的な不安定要素が生じた。また、病状を不可知論の「神罰」とする傾向があり、治療手段である■■■は「神への冒涜」だと考えている。面白い考えだ。神経への刺激を探求し、それによる認知変化を将来の研究テーマにすることができる。
上記の不可抗力要素のため、彼らは第②段階にとどまった。残念だ。しかしこの二つのサンプルが提供した素材は、今までで最も良質なものだった。Ⅳ番サンプルの完璧なパフォーマンスは、この二つのサンプルが提供した素材に関係していると信じることができる。最終的に、三段階の実験が完成次第、Ⅳ番サンプルの病状は完全に消え、下記を証明できる。
元素力に頼らない前提の下、■■■で人体内の元素含有量をコントロールすることができる。これには兵器化できる潜在力がある。
将来は■■■に対する研究、検討を深めるべきだ。人間には無限の可能性がある。こう書くのは研究者である私にとって愚昧の疑いがあるかもしれないが、十分な注入ができれば、対象が言った「神」の程度に到達することもできるだろう。
…』

旭束の手紙

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旅人、この手紙を読んでいる頃、俺はもうフォンテーヌへ向かっているだろう。

悪いな、面と向かって別れの挨拶ができなくて。その償いと言っちゃなんだが、前に一緒に作ったあの三つの料理のレシピを手紙に同封しておいた。ちゃんと保管して、失くさないでくれよ。こっちは夜更かしして書いたんだからな。

お前はきっとなんで慌ててフォンテーヌへ行くのか聞きたいことだろう。話せば長くなるんだが、あのニトというフォンテーヌ人を覚えてるか? あの日以来、毎日「広告」を手伝ってくれと頼んでくるんだ。俺は関わるのが面倒で無視してたんだが、なんとも厚かましくてな…何度断ろうともまた来るんだ。その上、提示する額も毎回上がっていく…最後には、手伝いさえすれば俺の好きな額を払うと言ってきた。

パルヴァネは、あいつからできるだけ離れたほうがいいと思ってる、上手くいくなんて考えるなと。おじさんからは、ああいった悪人の考えを推し測るなと何度も言われた。そして ジュリーだが…いつも彼女がニトを追っ払ってる。

で、俺たちは新しい旅程の計画を始めた。元々は璃月に戻って、ついでにモンドに寄ろうと考えてた――ちょうどジュリーも長いこと家に帰ってなかったし、俺もずっとモンドのお酒を飲みたいと思ってたからな。

だが、ニトのやつがまた来たんだ。今度は広告を手伝ってくれと頼みに来たんじゃなく、俺たちの旅の「スポンサー」となる言い出してな。

ニトは、次の旅先がフォンテーヌなら、今後の旅費をすべて負担してくれると言った。その上、俺たちの事とフォンテーヌ以降のあらゆるスケジュールに関与しないと保証した。しかも、あいつ契約まで結んでな。かなりぶ厚かったから、パルヴァネが何日もかけてしっかりと確認してくれた。ただ、「取材」を一回受けることを強調してあること以外、本当に何も問題なかった…

俺もあのフォンテーヌ人が一体何をしたいのか分からないが、でもあいつがああまで言うのなら…まあ、フォンテーヌへ行ってやってもいいと思ってな。

とにかく、ニトはしばらく俺たちと同行し、そしてフォンテーヌへ行くことになった。

パルヴァネさえいれば、あいつが変なことを企てる隙もない。それにおじさんとジュリーもいるからな、俺たちに武力行使しようなんて考えないだろう。そして俺だが…フフッ、この空いた時間でもう少しレシピを改良するつもりだ。

また機会があれば、フォンテーヌで会おう。

おっと…そうだ、最後に一つだけ。今回フォンテーヌへ行くにあたり、その費用はニトから受け取っていない。こいつが何をしようとしているのかはっきりするまでは、一モラも受け取らないつもりだ。

ハニヤーのノート

本文を読む

【ページの大半はとある汚れによって覆われ*いる。その中から読み取れる部分を選ぶしかないようだ。】
【この汚れは、おそらく…何年も経った乾いた血痕だろうか?】
……
第三十九回・行商日誌
はっきりした日付は分からない。多分襲われてから四日目だろう:
……
駄獣たちはもう動けなくなり、薬もすべて使い切った。食料と水はあと二日ほど持ちそうだ。
だが仲間たちの傷が悪化している。それに俺の二人の子供も…すべてが最悪だ…
明日の日暮れまでに助けが見つからなければ、俺たちは終わりだろう。
これらの記録を残した時、俺は何度もこれまでの詳細を思い返した。俺たちが露営する場所の近くに、キノコンの活動エリアがないのは確かだ。
俺たちの商品はいずれも普通なものばかり。絶対に怒らせるようなものはないだろう。
こんなにも狂暴なキノコンは見たことがない。長い距離を追ってまで執拗な攻撃をしてくる。
すべてが理屈に合わない…まさか、人々がこれまで見てきたキノコンは、まだその牙を見せていなかっただけなのか?
キノコンたちの見た目が可愛いと思っている人は皆、その外見に騙されていたのか?
もし生きて帰れたら、必ず他の人たちに警告しよう。たとえ十何人もの護衛が付いていたとしても、キノコンの種類にかかわらず近づくなとな。
結局、やつらがなぜ狂暴になったのかを知る人はいない。最悪の場合、
この状況の俺たちこそが、人に警告するための実例となる。

第三十九回・行商日誌
襲われてから十日目:
……
ありがたいことに、近くに農民たちがいた。彼らもまた狂暴なキノコンに包囲され、ここで臨時のキャンプを設営したようだ。
この心優しい農民たちが十分な食料と薬草を持っていたおかげで、大勢の人の命が助かった。
だが、何人かの仲間たちは乗り切ることができなかった…
この林を抜けると、より多くのキノコンたちが周りに群がっているのが分かる。こいつらは今も狂暴なままだ。
俺らはまだ離れることができない。少なくとも、やつらが移動していなくなるまで…まあ、移動することがあればの話だが。
どうやら、ここで長い時間を過ごすことになりそうだ。
……

第三十九回・行商日誌
襲われてから四十二日目:
……
自分がこんなにも長いことキノコンのせいで足止めを食らうなんて、これまで一度も思ったことはなかった。今日もここから離れられそうにはない。
ラビッブは鉄を手にキノコンと戦おうとしたが、他の農民たちに止められた。もし、このリーダー格である農民までキノコンのせいで失われたら、みんなも耐えられないだろう。
この純朴で穏和な農民まで耐えられなくなっているんだ。他の仲間たちの気持ちも容易に想像できる。みんな心の中で少なからず不満を抱いていることだろう。
近くで採れるザイトゥン桃と農民たちが備蓄している食料…合わせてあと何週間かは持ち堪えられるだろう。
農民たちのアドバイスを聞いて、俺たちも適切な種を選び、作物を栽培し始めた。
キャンプ地も拡張する必要がある。長期間ここに囚われることを覚悟して、小さな村へと改造しなければ。
キノコン被害者による村落? 皮肉なもんだ。
作物が熟す前に、餓死しなければいいが。
……

第三十九回・行商日誌
襲われてから百三十三日目:
……
キノコンに囚われてこんなに日が経ったというのに、俺たちと農民が他の人間に会うのは初めてだ。
その三人は教令院の学者と名乗り、身分を証明する品を見せてきたが、服装は一般人と大差ない。どうやら自分の身分をわざと隠しているようだ。
彼らを守る傭兵の一団は、その動きからすさまじい気迫を感じられた。経験豊富であることは間違いない。でないと、付近のあのキノコンの群れを突破して、ここまで来れるはずがないだろう。
責任者の学者はこの場所でしばらく調査した後、俺たちをここから連れ出すと約束してくれた。
しかしその条件として、絶対に襲われたことを他人に口外してはならないと言われた。それから、この小さな村も徹底的に取り壊し、痕跡を残さないようにとも。
キャラバンと農民の中でもっとも情緒が不安定なやつらを説得するようにと、俺とラビッブに口止め料として大金までくれた。
彼らに言われずとも、元々仲間たちのケアはするつもりだった。俺の分については、あの乗り切ることのできなかった仲間たちの家族にやろう。
こうなったからには、キノコンがなぜいきなり容赦なく俺たちに襲い掛かったのかはっきりさせたい。
……

第三十九回・行商日誌
調査を開始してから三日目:
……
責任者である学者は、依然として自分の名前を教えようとしない。もしかしたら、彼はこんなところまで派遣されて尻拭いしているのを恥ずかしいと考えているのだろうか。
どちらにせよ、三人の学者たちはこの辺りの地形に詳しくない。彼らを守る傭兵も慎重で、ガイドが必要であることを強く訴え、俺の要求を断らなかった。
だから、俺は彼らの調査に参加する機会を得た。さらに、学者たちが寝ている間に彼らが持っている資料を確認できる。
少なくとも、俺の仲間たちがなぜ被害に遭ったのかをはっきりさせるつもりだ。あいつらを無駄死にさせるわけにはいかない。
傭兵たちも物分かりがいいようだ。俺の行動に目をつぶってくれている。彼らにも、今回の任務がいかに険しいかが分かるのだろう。
同業者が事態を理解すればするほど、アクシデントを回避できる可能性も高くなる。
……

第三十九回・行商日誌
調査を開始してから七日目:
……
学者たちはどうやら、とある「捕獲装置」を使って狂暴なキノコンを制御しようとしているらしい。
装置のコードネームは…見ても分からない一行の名詞だった。ただ、注釈には教令院の記録がある…これは技術認証だろうか?
それから「枯れポーション」の一種を利用してキノコンの活動を抑制し、より制御しやすくしようとしている。
「枯れポーション」にも複雑な注釈があり、また正式な認証を受けたことも書いてあった。
とにかく、これらの情報を記録しておこう。
……
(このノートの下には、意味不明な専門用語と注釈が大量に残されている。このことから、この人は薄明りの中で学者たちのノートを書き写したと推測できる…)

第三十九回・行商日誌
調査を開始してから十三日目:
……
今回の試みもまた失敗に終わった。俺たちが村に戻る時、重傷を負った二人の傭兵が脱退を強く求めてきた。
寝る前、責任者である学者とその部下が言い争っているのが聞こえた。
その中の部下の一人が、責任者の学者に「枯れポーション」を放棄するよう勧めていた。ポーションの作用は最初から間違ったもので、その効果は正反対であり、我々を死に至らしめる可能性があると。
もう一人の部下は、知らない名前を口にして罵っている。口論の内容から推測するに、ある人が大きな過ちを犯したようだ。
確かに、彼らはこの事態を収拾しに来た者たちだ。だが事態がおかしいことを見て、逃げたくなったのだろう。
嫌な予感がする、さらなる検証が必要だ。
……



手がかりから解読した内容:
【ドリーから提供された装置の残骸と欠けた資料には、ノートの「捕獲装置」と同じ技術認証コードがある。教令院の技術体系のもと、この二つの原理は全く同じであることは明らかだ。】
【また「フラワーゼリー」のレシピの中に存在する多くの基礎成分と効果の原理も、ノートに書かれている「枯れポーション」とほぼ一致している。ただし、「フラワーゼリー」に含まれる一部有効成分の量は「枯れポーション」よりもは*遥かに少なく、保存成分といわゆる安定剤が追加されている。】
【このことから、「サウマラタ蓮杯テイマー大会」の主催側が破壊しようとした装置の残骸は、「捕獲装置」の技術成果が利用されているとおおよそ見当がつく。】
【また、「フラワーゼリー」は「枯れポーション」を安全にした改良版と見ることができる。キノコンをより活発にさせ、一時的に特別な能力を発現させる。】

セノの手紙

本文を読む

状況一覧:
大マハマトラが職務復帰する前、マハマトラたちはカウトリヤが何かを企んでいる痕跡を見つけた。カウトリヤはエルヒンゲンの協力を受け、犯罪の重要証拠をずっと隠してきたのだ。旅人とパイモンの助けにより重要な証拠が提供されなければ、マハマトラたちは彼らの犯罪行為を暴くのにまだまだ時間がかかったろう。
この「叡智宝珠」と「フラワーゼリー」の二つは、確かに「捕獲装置」と「枯れポーション」から生まれた物である。「捕獲装置」と「枯れポーション」の技術の原理は、稲妻の「四方八方の網」と共通するところがあるようだ。もとを辿ると璃月の仙法へと行きつくだろう、その参照先は確かなものだ。ただ、「捕獲装置」と「枯れポーション」の開発期間は短すぎる。ゆえにきちんとした論証がなされていない。しょせん生論派の学者が危険生物をコントロールするために生み出した実験品。悲惨な事故を起こした過去があるため、永久封印されるべきのもの*だったのだ。
カウトリヤは自分の立場とエルヒンゲンから提供された資金で関係者を買収して、そのサンプルと資料を手にした。さらに、才能あふれる学者を雇い、この二種類の産物を改善すると、その信頼性を大幅に改善した。それをもって、この大会を隠れ蓑にスメール侵害の計画を執行しようとしたのだ。
カウトリヤの裏コマンドに対して、マハマトラたちは秘密裏にもう一組の生論派学者を手配し対抗措置を講じた。それを特定の宝珠に埋め込み、会場近くで当番する人が携帯することになっている。もし予想外な事態が起きたら、この対抗措置が役に立つことだろう。
幸いなことに、大会はすべて順調で負傷者もいない。スメールの民に財産の損失もなく、逆にオルモス港に一定の経済収益をもたらした。
現在、教令院内部の関係者はすべて逮捕され、彼らは公正な審判によって裁かれる。今回の捜査の担当者であるシードは、関連する場所をすべて確認しているところだ。もし逃走した犯人がいたら、高確率でその付近で行動しているだろう。「三十人団」から少し人手を手配すれば一網打尽にできる。
エルヒンゲンについて、彼が大会で提供した資金の六割はあらゆる場所から得た汚い金であり、残りの四割は彼が長年スメールで経営して得た収入であると初期調査で分かった。このファデュイの諜報員の問題はやや複雑なため、教令院は別の担当者を派遣して処分する予定だ。
……

旅人とパイモンへ――
シードの報告を手紙に添付した。興味があったら、お前たちも読んでおくといい。大まかな状況を把握するのに役立つだろう。
選手と観客の熱い想いは、騙されていいものではない。エルヒンゲンが提供した資金の四割を選手の賞金と関係者の離職手当としよう。不足している部分は、カウトリヤたちの罰金に追加しておく。
「テイマー大会」はプラスの影響力を持っている。「七聖召喚」のようなイベントへと発展するかもしれない。二人の悪党のせいで、永遠に中止される必要などないだろう。世間の認識では、大会の主催権はお前たちに渡ったとなっている。不安を感じることはない、お前たちなら適切な手配をしてくれると信じている。
最後に、あの「八重宮司」によろしく伝えておいてくれ。機会があれば、手合わせ願いたいものだ。彼女が一部の強力な組み合わせをデッキから「のけ者」にしなければいいが。

謎に満ちたファデュイの手紙

本文を読む

ユロチカ少尉ーー
任務の簡単な報告を見たと思います。
エルヒンゲンの計画は、私たち正規部隊のやり方と全く相容れないものでした。上の命令もなしに勝手に行動することは、往々にして組織全体に迷惑をかけることになると、彼も分っていたはずです。
危険を冒してでも結果を出し、上に認めてもらおうとしていたのは確かでしょう。執行官様たちがこちらに新しい命令を下される前にエルヒンゲンが行動すれば、私のチームに不利な状況を招く恐れがあります。そのため、状況が悪化する前にこの危険な因子を排除しなければなりません。
窓口に可能な限り話をつけてきました。エルヒンゲンの処分は教令院のほうで慎重に行われ、彼とその犯罪に関する証拠は報告近くの場所へ移されます。エルヒンゲンの性格からして、移送の過程でどうにか手段を見つけて脱走し、他のファデュイ部隊に保護を求めることでしょう。
現在、もっとも適した場にいるのがあなたです。ですので、この任務を執行してもらいます。
救援を装って合図を出し、彼を驚かせましょう。それから付近を回って、エルヒンゲンの部下を見つけ、すべて綺麗に処分してください。

『黯雲の島』

(注:この項目は正確には任務アイテムでは無く、任務中に表示された本文内容です)

本文を読む:「夜を飛ぶ鳥は三段へと落ちる」中

著者:澤田

抜粋·其の一

……
……
刻は午後の三時ごろ、とある人がたたら砂を訪れた。遠くには労働にいそしむ人々が、山道に沿って工場へと向かう姿が見える。その草鞋が高くそびえる山石を擦るたび、僅かながらも人心を揺るがす音を立てた。その音にはまるで、ここさえ越えて山中の大きな炉に辿り着ければ、燃え盛る炎から価値ある金剛石を取り出せると言わんばかりの勢いがあった。この感覚は、その場にいた人間でなければ理解できないであろう。
その人は嬉々として挨拶をすると、走って前進する行列に加わった。隣にいた尋常の人より背丈のある筋肉質な男は、彼を見るなり背中を力いっぱい叩いてきたが、その言葉の端々には敬意が見えた:「どちらかと思えば、宮崎殿ではないか!稲妻城からここまでの往路、さぞ難儀だったであろうな。」
宮崎は口をゆがめ、駆け出しの若者のように笑った。その表情には安堵が浮かんでいた。「桂木さんは何を言っているのやら、稲妻城は将軍様の御膝元だぞ。私はそこから戻るにあたり、最も速い船に乗り、最も速い水路を選んだ。何の危険があるというのだ?」
「して、朗報はあるのか?」
「ない…わけがないであろう。」二人は話終えると同時に笑い出し、辺りを囲む職人たちとお互いをぐいぐいと押し合いながら、道の終わりまで歩いていった。

麻布の素朴な服を着て、頭巾を巻いた若い男が炉の前で火加減を見張っていた。
鋼を精錬するために使う火は他と異なり、その火力の良し悪しが、鋼材や刀の品質にかかわる。その加減を見張っているものも只者ではなく、その指先には一匹のトカゲが止まっており、その顔には笑みがあった。
空間は広く、大きな炉はもっと深いところにある。普通なら複数の人がここで働いていてもおかしくはないが、彼はたった一人でここに立っていた。桂木や宮崎がどたどたと急いで入ってくるまで、彼は火から目を離さなかった。
この者こそ、まさしく造兵司正の丹羽久秀、たたら砂の管理者であった。一心伝の丹羽家出身の彼は、兄弟姉妹と競い合うことなく、正真正銘の継承者となった。各勢力の貴人や権力者に認められてこの官職に就いたことは、ある種の証明である。
宮崎は丁寧に絹織物に包んだ書類を丹羽に手渡し、色を正した。「旦那様の言う通り、城内の親戚は私たちの計画をよく思っていないようでした。しかし、赤目の案は確かに試す価値があります。ですから私は卸売り先を探して、目録に沿って必要なものを仕入れました。」
丹羽は書類を読み終えると、軽くうなずいた。「楓原の支持があり次第、すぐ我々は新しい鍛造法を試みるべきだ。」
桂木の方はというと、眉をひそめて嘆いた。「刀を鍛えるとは、もとより技巧を問われる難儀なもの。旦那たちはもうだいぶ勘所をつかんでいるのに、まだまだ精進をやめないとは…まったく恐るべし!長正様が聞かれたら、また難しい顔をなさるであろう。」
丹羽は微笑むと、「桂木殿、長正様の宝刀の鍛え具合はいかほどか?」と聞いた。
主人の面子をつぶしたくはない一方、目の前にいる友人たちを騙したくもない桂木は、どう考えてもうまい言い方をひねり出せず、ばつが悪そうに言った。「丹羽様は器用であられる、器用がすぎるゆえ、俺たちのような粗忽者の冗談が通じない。」
宮崎はすぐに口をふさいでくくくと笑った。丹羽は手にあったトカゲを桂木の手中に置き、何かを言おうとした。その時、遠くから人がやってきた。今回の足音は軽く、聞く限り少年のようだ。入ってきたそのまん丸の頭は火に照らされ、まるで磨かれてつやのある何らかの宝珠のようだった。
少年は弁当を隣に置くと、軽く会釈してから出て行こうとした。桂木はとっさに彼を呼び止める。「自分の分はどうした?食べないのか?」
そう聞いた彼はどうすればわからない様子で、少し経ってから「…分かった、試してみるよ。」とだけ答えた。
「みんな食べているんだ、そう遠慮するな。」丹羽がそう言うと、彼はまた頷き、何か考えている様子で離れていった。

抜粋·其の二

……
……
傾奇者は海の岸辺にいた。
日が落ちる頃、空の一切は暗く沈み、一方で雷雲が蠢いていた。まるで暴雨の訪れを見せつけるように。
海もまた空と共に暗さを増し、薄暮が雲を大地に跪かせるように下へ下へと押しやっている。まさにいま傾奇者自身が海へ向かって跪き、あたかも拝むような姿であるように。
誰一人ここを通りがかるものはいない。いま、彼が静かに何を待っているのかを知る者もいない。
どれくらい時間が経っただろうか、空から突然烏羽色の雲が飛び出し、傾奇者を囲むように旋回しながら、悪夢の如く纏わりついた。当初彼は全く気付いていなかったが、目を開いてしばらくのち、やっと状況を理解した。この雲の狙いは、最初から彼であると。
遠くから漁船が近づいてきた。船首の灯が降り注ぐ雨の中で徐々に揺らいでいく。薄い霧が瞬く間に広がり、船にいた漁師は視界を失ったことで、驚いた様子で叫んだ。「まだ黄昏時だぞ、どうしてこんなに見通しが悪いんだ?誰か航路のわかるやつはいないか!」
黒雲は再び船底に突っ込むと、船にまとわりついて方向を狂わせ、猛る獣のように海岸へと衝突させた。数歩離れた場所で傾奇者はただ立ちすくみ、首を傾げながら、目の前の巨大な船の残骸へ視線を向けた。
先ほど叫んでいた者はもう腕の半分しか残っておらず、それは「ぽとり」と傾奇者の足元に落ちてきた。彼はしゃがみ込んでそれを一度、また一度と見る。あたかも口に入れて咀嚼するかのように。
しかし、彼は最終的にそれを中断した。黒雲は旋回しながら沈んでいき、あの船に残っていたものを全て吞み込んでいく。傾奇者は呆けたようにそれを見ていたが、だいぶ経ってからはっと気がついた。黒雲は散り散りになり、その姿はもう見えない。目の前にある船は…嵐にでも遭ったのだろうか?誰にそれがわかるだろう。傾奇者はそれをはっきりさせようとはしなかった。

抜粋·其の三

……
……
桂木は慌てた様子で門をくぐると、大きな声で叫んだ。「旦那!大きな炉で問題があったようで…!丹羽様を探し回ったのですが見当たらず、宮崎殿も外に助けを求めに出てずいぶん経ちますが、未だ音沙汰がないとか。これは…」
御輿長正はゆっくりと振り向いた。葬式にでも参列しているような厳かな顔つきで、彼が口にする言葉にはいずれも重みがあった。「このようなことを言いたくはないが…桂木。宮崎殿はもしや…もう戻らぬかもしれん。」
桂木はその視線を長正の厚く強張った双肩から、窓の外へとやった——海の上では黒雲が逆巻き、人々を脅かしている。暗黒の夜は妖怪に化けこそせず、自らたたら砂を腹の中へ呑み込めないことを悔しがってはいたものの、それでもこの土地を覆う唯一無二の空模様であった。
もう十数人が死んだ。そうか、だから…
桂木は頬を張られたような衝撃と共に、思い出した。そうか、だから彼らは外に助けを求めたのだ!
最初に船出したのは宮崎だ。彼が発ったときには、あの雲はまだ形を成したばかりだった。たたら砂から稲妻城へ助けを求める、いつもならそう難しい事ではないのに、彼はなかなか帰ってこない。
やがて二人、三人、四人…そして傾奇者まで。彼はこの天候のなか船に乗ってたたら砂を離れた、それが吉と出るか凶と出るかは分からない。桂木は彼を拾った身であり、彼のことは自分の子供のように思っている。もちろん名残惜しいが、現在のたたら砂の状況は切羽詰まっている。例え幾人もの犠牲を出しても、彼らは城からの庇護を求めなければならなかった。

丹羽は姿を消し、誰も彼の行方はわからない。少しの後、長正は危険を冒しながら一隊の人員を連れて炉心周辺を探したが、なんの収穫も得られなかった。当初皆は丹羽が何か想定外のことに巻き込まれたかと思っていたが、よくよく考えてみれば、彼はここで起きた異質な事故の責任を担えず、罪を恐れて出奔したのかもしれなかった。
皆は心の中で彼を疑い、長正は不満と怒りを抑えてこそいたが、その顔色は遠くの黒雲と遜色ないものになっていた。
にわかに人影が通り過ぎた。長正は何の疑いも持たず素早く刀を抜き払ったが、その切っ先は紗の一片を裂いたにすぎなかった。人影は揺らめき、操り人形のように長正の背後を取ると、ひひっと笑った。「だんなは誰をお探しで?丹羽か?」
長正は怒り叫んだ、「丹羽様をそのように呼ぶなど、許せぬ!」縦に一刀すると、人影は薄い霧のように散ったかと思うと、瞬く間に遠方へ集まって、妖しい鬼の影へと化けた。
「お前があの方を殺めたのか?」長正は怒鳴って飛び掛かかろうとしたが、桂木に力ずくで引き留められた。足下をしかと見れば、あと一歩で炉に落ちるところであった。

(残りの部分はどうやらまだ書き終わっていないようだ…しかしこれはさっきの論文にある情報をもとに想像を巡らせて書かれた、空想に満ちた小説であることが見て取れる。)

本文を読む:「幕切ーー傾奇の末」中

著者:澤田

抜粋·其の一

……
……
刻は午後の三時ごろ、とある人がたたら砂を訪れた。遠くには労働にいそしむ人々が、山道に沿って工場へと向かう姿が見える。その草鞋が高くそびえる山石を擦るたび、僅かながらも人心を揺るがす音を立てた。その音にはまるで、ここさえ越えて山中の大きな炉に辿り着ければ、燃え盛る炎から価値ある金剛石を取り出せると言わんばかりの勢いがあった。この感覚は、その場にいた人間でなければ理解できないであろう。
その人は嬉々として挨拶をすると、走って前進する行列に加わった。隣にいた尋常の人より背丈のある筋肉質な男は、彼を見るなり背中を力いっぱい叩いてきたが、その言葉の端々には敬意が見えた:「どちらかと思えば、宮崎殿ではないか!稲妻城からここまでの往路、さぞ難儀だったであろうな。」
宮崎は口をゆがめ、駆け出しの若者のように笑った。その表情には安堵が浮かんでいた。「桂木さんは何を言っているのやら、稲妻城は将軍様の御膝元だぞ。私はそこから戻るにあたり、最も速い船に乗り、最も速い水路を選んだ。何の危険があるというのだ?」
「して、朗報はあるのか?」
「ない…わけがないであろう。」二人は話終えると同時に笑い出し、辺りを囲む職人たちとお互いをぐいぐいと押し合いながら、道の終わりまで歩いていった。

麻布の素朴な服を着て、頭巾を巻いた若い男が炉の前で火加減を見張っていた。
鋼を精錬するために使う火は他と異なり、その火力の良し悪しが、鋼材や刀の品質にかかわる。その加減を見張っているものも只者ではなく、その指先には一匹のトカゲが止まっており、その顔には笑みがあった。
空間は広く、大きな炉はもっと深いところにある。普通なら複数の人がここで働いていてもおかしくはないが、彼はたった一人でここに立っていた。桂木や宮崎がどたどたと急いで入ってくるまで、彼は火から目を離さなかった。
この者こそ、まさしく造兵司正の丹羽久秀、たたら砂の管理者であった。一心伝の丹羽家出身の彼は、兄弟姉妹と競い合うことなく、正真正銘の継承者となった。各勢力の貴人や権力者に認められてこの官職に就いたことは、ある種の証明である。
宮崎は丁寧に絹織物に包んだ書類を丹羽に手渡し、色を正した。「旦那様の言う通り、城内の親戚は私たちの計画をよく思っていないようでした。しかし、赤目の案は確かに試す価値があります。ですから私は卸売り先を探して、目録に沿って必要なものを仕入れました。」
丹羽は書類を読み終えると、軽くうなずいた。「楓原の支持があり次第、すぐ我々は新しい鍛造法を試みるべきだ。」
桂木の方はというと、眉をひそめて嘆いた。「刀を鍛えるとは、もとより技巧を問われる難儀なもの。旦那たちはもうだいぶ勘所をつかんでいるのに、まだまだ精進をやめないとは…まったく恐るべし!長正様が聞かれたら、また難しい顔をなさるであろう。」
丹羽は微笑むと、「桂木殿、長正様の宝刀の鍛え具合はいかほどか?」と聞いた。
主人の面子をつぶしたくはない一方、目の前にいる友人たちを騙したくもない桂木は、どう考えてもうまい言い方をひねり出せず、ばつが悪そうに言った。「丹羽様は器用であられる、器用がすぎるゆえ、俺たちのような粗忽者の冗談が通じない。」
宮崎はすぐに口をふさいでくくくと笑った。丹羽は手にあったトカゲを桂木の手中に置き、何かを言おうとした。その時、遠くから人がやってきた。今回の足音は少し重みがあり、来客の足取りには自信と落ち着きが感じられた。束の間ののち、まったく異なる異国の顔が門に顔を出した。来客は手にある弁当を置くと、軽く頷いて離れようとした。桂木はとっさに彼を呼び止めた。「旦那、自分の分はどうした?食べないのか?」
彼はそれを聞くと、笑ってこう言った。「もう済ませました。皆さまも、早くお召し上がりになられた方がよいかと。」
「我らの客人であるというのに、このような雑務まで手伝ってくれるとは、まことかたじけない。」丹羽は心を込めてそう言った。
異国の人物は優しそうに笑った。些細なことでも、人のために何かをすることを気にしていないようだ。そしてまた頷くと、離れていった。

抜粋·其の二

……
……
見知らぬ客——異国から来た機械職人は海の岸辺にいた。
日が落ちる頃、空の一切は暗く沈み、一方で雷雲が蠢いていた。まるで暴雨の訪れを見せつけるように。
海もまた空と共に暗さを増し、薄暮が雲を大地に跪かせるように下へ下へと押しやっている。だが、この人物はその様子に怯えることなく、却って血に飢えたような目で遠方を見据えた。
誰一人ここを通りがかるものはいない。いま、彼が静かに何を考えているのかを知る者もいない。
どれくらい時間が経っただろうか、空から突然烏羽色の雲が飛び出し、機械職人を囲むように旋回しながら、悪夢の如く纏わりついた。しかし、彼はまるでそれが自分の一部であるかのように、漆黒の煙を撫ぜた。
遠くから漁船が近づいてきた。船首の灯が降り注ぐ雨の中で徐々に揺らいでいく。薄い霧が瞬く間に広がり、船にいた漁師は視界を失ったことで、驚いた様子で叫んだ。「まだ黄昏時だぞ、どうしてこんなに見通しが悪いんだ?誰か航路のわかるやつはいないか!」
黒雲は再び船底に突っ込むと、船にまとわりついて方向を狂わせ、猛る獣のように海岸へと衝突させた。数歩離れた場所で機械職人は微笑むと、ゆっくりと目の前にある巨大な船の残骸へ進んだ。
先ほど叫んでいた者はもう腕の半分しか残っておらず、それは「ぽとり」と機械職人の足元へ落ちた。彼はしゃがみ込んでそれを一度、また一度と見る。あたかも口に入れて咀嚼するかのように。
しかし、彼は最終的にそれを中断した。黒雲は旋回しながら沈んでいき、あの船に残っていたものを全て吞み込んでいった。

抜粋·其の三

……
……
桂木は慌てた様子で門をくぐると、大きな声で叫んだ。「旦那!大きな炉で問題があったようで…!丹羽様を探し回ったのですが見当たらず、宮崎殿も外に助けを求めに出てずいぶん経ちますが、未だ音沙汰がないとか。これは…」
御輿長正はゆっくりと振り向いた。葬式にでも参列しているような厳かな顔つきで、彼が口にする言葉にはいずれも重みがあった。「このようなことを言いたくはないが…桂木。宮崎殿はもしや…もう戻らぬかもしれん。」
桂木はその視線を長正の厚く強張った双肩から、窓の外へとやった——海の上では黒雲が逆巻き、人々を脅かしている。暗黒の夜は妖怪に化けこそせず、自らたたら砂を腹の中へ呑み込めないことを悔しがってはいたものの、それでもこの土地を覆う唯一無二の空模様であった。
もう十数人が死んだ。そうか、だから…
桂木は頬を張られたような衝撃と共に、思い出した。そうか、だから彼らは外に助けを求めたのだ!
最初に船出したのは宮崎だ。彼が発ったときには、あの雲はまだ形を成したばかりだった。たたら砂から稲妻城へ助けを求める、いつもならそう難しい事ではないのに、彼はなかなか帰ってこない。
やがて二人、三人、四人と…助けを求めて皆この天候のなか船に乗ってたたら砂を離れた、それが吉と出るか凶と出るかは分からない。本当のところ、もう誰も危険な目に合わせてはいけないはずだが、現在のたたら砂の状況は切羽詰まっている。例え幾人もの犠牲を出しても、彼らは城からの庇護を求めなければならなかった。

丹羽は姿を消し、誰も彼の行方はわからない。少しの後、長正は危険を冒しながら一隊の人員を連れて大きな炉周辺を探したが、なんの収穫も得られなかった。当初皆は丹羽が何か想定外のことに巻き込まれたかと思っていたが、よくよく考えてみれば、彼はここで起きた異質な事故の責任を担えず、罪を恐れて出奔したのかもしれなかった。
皆は心の中で彼を疑い、長正は不満と怒りを抑えてこそいたが、その顔色は遠くの黒雲と遜色ないものになっていた。
にわかに人影が通り過ぎた。長正は何の疑いも持たず素早く刀を抜き払ったが、人影は揺らめき、悪鬼のように長正の背後を取ると、ひひっと笑った。「だんなは誰をお探しで?丹羽か?」
長正は怒り叫んだ、「丹羽様をそのように呼ぶなど、許せぬ!」縦に一刀すると、人影は薄い霧のように散ったかと思うと、瞬く間に遠方へ集まって、妖しい鬼の影へと化けた。
「お前があの方を殺めたのか?」長正は怒鳴って飛び掛かかろうとしたが、桂木に力ずくで引き留められた。足下をしかと見れば、あと一歩で炉に落ちるところであった。

(残りの部分はどうやらまだ書き終わっていないようだ…しかしこれはさっきの論文にある情報をもとに想像を巡らせて書かれた、空想に満ちた小説であることが見て取れる。)

『稲妻のたたら砂工リアに存在しうる重大な歴史事件についての簡単な分析』

(注:この項目は正確には任務アイテムでは無く、任務中に表示された本文内容です)

本文を読む:「夜を飛ぶ鳥は三段へと落ちる」中

説明:本論文は因論派の支援プロジェクト『ベールをはずして』に属する作品であり、番号は追加待ちである。

作者:アカバ

要旨:稲妻たたら砂エリアは稲妻の製錬鍛造業の重要な場所の一つと考えられてきた。このエリアでは事故が二回発生している。そのうちの一回目に関する記録はどれも曖昧なものである。たたら砂エリアでの最初の事故の裏には人知れぬ歴史的な要因があるのではないか、と筆者は考えている。本論文は既知の資料をもとに、この事件を分析してみるものである。

キーワード:たたら砂エリア、雷電五箇伝、御輿長正

はじめに:本論文は筆者の恩師であるルミ先生のレポート『たたら砂エリアに秘匿された疑いのある人文的故事』を受け継ぎ、展開し、この研究を引き続き進めたいとするものである。資料によると、稲妻の鍛造技法はもともと雷神——雷電将軍から受け継がれたものだそうだ。職人たちは神の技術を受け継ぎ、それを製錬鍛造業に応用した。だが、鍛造製錬業の核であるたたら砂エリアには、雄渾たる鍛造業にふさわしくない不思議な噂がある。御輿家、丹羽家、そして外国から訪れた奇妙な機械職人——この三者が切り口となり、我々はそこからたたら砂の裏に隠された真実を垣間見ることができるようになった。

本文

たたら砂エリアにあった奇妙な紙切れに、こんなことが書かれている——

1
「……僭越ながら小生は、長正様が刀鍛冶をするのは彼の心境に良い影響を与えると考える……」
「……『御輿』の汚名をそそぐことに執着するのは、実に気力を消耗する……」

2
「……目付様は玉鋼錠をいくつか買った……」
「……造兵司佑様、そして桂木様と夜通し鍛冶の心得を話していた。」

3
「……やっと長巻の一振りを造り出せた。その名は『大たたら長正』……」
「……目付様も非常に喜んでいる、造兵司佑様と……」
「……望は『大たたら長正』の美しさに感動し、それのために絵を描いた……」

4
「……目付様は怒り、桂木を斬った。その切れ筋は、まさに大業物…そして、自ら作った長巻をたたら炉に捨てた……」
「……望はそれに不満を抱き、燃え溶けた刀を取りに行き……大やけどをした……」

5
「……望はその夜死んだ……桂木様は職責を汚したとはいえ、すべて善意からのものだったと思う……」

6
「……金次郎は長巻と望の描いた絵を武器庫に隠した……」
「……長正は厳しいが、白黒をはっきりさせる性分だ。しかしそれは同時に、非情でもあるということ。彼は自らの家名の潔白にこだわっているようだ…私もたたら砂の人たちも、彼の母である千代のことで目を曇らせることなく、長正のことを信じている……」
「……彼と共に『大たたら長正』を作った喜びを忘れたくない……」

7
「……撤退する時、武器庫の鍵を三つに分け、一つは目付様に、一つは造兵司正様に、一つはたたら砂に残し、賊の侵入を防ごうとした。」
「しかしあまりにも慌ただしかったため、目付様と造兵司正様を見つけられず、三つの鍵をすべてたたら砂にある三つの宝箱に隠すしかなかった……」

上記の7枚のメッセージはたたら砂エリアに散らばっている。そのうち、6枚は耐久性に優れた紙に記録されており、いずれも非常に古いものと思われるが、最後の1枚だけがやや新しいようだ。筆者は、6枚の紙と最後の1枚は異なる時代のものであると思っており、その年代の差を検証する必要がある。また、6枚の内容は互いに関連しているため、同じ出来事を指しているはずである。
ルミ先生は『たたら砂エリアに秘匿された疑いのある人文的故事』(以下、『人文的故事』と略称)の中で、スメールの学者が稲妻にたたら砂一帯の人文史を研究しに行っていたということに触れている。ルミ先生が『人文的故事』を書いた当時、たたら砂は一連の事件ですでに衰退した状態だったが、筆者が本文を書いた時分よりはましであった。たたら砂の最も中心的なエリアは、今は全く居住に適しておらず、住む人も確かにいない。住民たちは海辺に移り、水辺に住むようになっていた。スメールの学者たちは、彼らからこのようなことを聞いた——かつてたたら砂はとても繁栄しているところだったと。数百年前、まだ黄金時代と呼べる頃、たたら砂は造兵司正の丹羽、造兵司佑の宮崎、そして目付の御輿長正に管理されていた。同時に、年配の人たちや、より歴史ある家系の人たちは、たたら砂には奇妙な噂があったと繰り返し強調していた。
噂はほとんど「妖怪」にまつわるものであり、稲妻の特色に溢れていた。しかし、そのうちごく一部の中で、「外来者」という単語の言及があったのだ。注意すべきは、民間の伝説の中に実在と思しき人物が登場するとは、実に怪しむべきことである。その話題をさらに掘り下げると、次のような情報が得られた。

  • かつて、ある外国の機械職人がたたら砂を訪れた。彼は技術交流のためにきたそうで、地元の人たちとも友人になった。だが、その人物には疑わしいところがあったようで、常に中央部や公開されていない場所の近くをうろついていた。誰かが彼を止めようとすると、彼は理解できないようなことを呟いたとされる。
  • 機械職人はいつも大きな炉を眺めながら、何か考えごとをしていたようだ。おそらく、炉の状態を観察していたのだろう。そして同様に、人を不快にさせるような視線で地元の住人たちを観察していたようだ。

年代からみれば、たたら砂でこうした技術交換があったことは理に適っている。たたら砂は海沿いのため、船で行くことができる。外国から来た人間が地元で歓迎されるのも、おかしなことではない。だが、技術交流が行われてから間もなく、このエリアが衰退していったのも事実。この二つのことは大いに関係していると思われる。しかし、それは当時の人の妄想にすぎないと考える住人もいる。

筆者は稲妻の関連資料に基づき、たたら砂と関連があるかもしれない一部の人物を整理した。管理者から順に、記録は以下の通りである——

造兵司正——丹羽
フルネームは丹羽久秀、一心伝丹羽家の後継者。その一族は赤目、楓原と共に一心三作と呼ばれている。記載によると、丹羽は謙虚で聡明、土地と民生を管理する優れた人材であった。のちに彼は行方不明となっておいり、家族を連れて事故後のたたら砂を離れたと思われる。

造兵司佑——宮崎
フルネームは宮崎兼雄、丹羽の補佐。出身は不明。主に鍛造及び人員管理において、丹羽をサポートするなどしていた。穏やかで優しい人物であり地元に友人が多く、御輿長正とも親交があった。

目付——御輿長正
御輿家の後継者、鬼族の武者御輿千代の養子であり、「胤の岩蔵」御輿道啓の養弟である。母の千代が行方不明になった後、養兄の道啓に捨てられた。彼は一人で一族すべての責任を背負い、家族の汚名をそそぐために日々奮闘していた。様々な資料によると、御輿長正はやや頑固な一面はあるが、剛直で品行の正しい人であったとされる。紙切れの記録によると、彼は修身のために刀の鍛造を習い、わざわざ宮崎の教えを受けていた。名刀大たたら長正を鍛え上げた後、彼はあることから部下の桂木を斬った。

部下——桂木
フルネーム、出身ともに不明。筆者は多くの資料を調べたが、桂木本人に関するさらなる情報を得ることはできなかった。彼は御輿長正の手下であり、忠実な武人だった。御輿長正に救われたため、長正のために水火も辞さないとを誓ったとされる——随従することから、命を捧げるまで。

機械職人
筆者は多くの方面から考察したが、この人物の出所を推し量ることはできなかった。だが、たたら砂で事件が起きて以降、彼に関する噂は少なくなっていったようだ。筆者は、この人物は地元住民たちの想像上の見知らぬ人ではなく、実際に存在していた来訪者であり、たたら砂で起きた事件に関係があったかもしれないと推測している。

(残りの部分はどうやらまだ書き終わっていないようだ…でも、これがかなり工夫された論文であることは確かだ。)

本文を読む:「幕切ーー傾奇の末」中

:本論文は因論派の支援プロジェクト『ベールをはずして』に属する作品であり、番号は追加待ちである。

作者:アカバ

要旨:稲妻たたら砂エリアは稲妻の製錬鍛造業の重要な場所の一つと考えられてきた。このエリアでは事故が二回発生している。そのうちの一回目に関する記録はどれも曖昧なものである。たたら砂エリアでの最初の事故の裏には人知れぬ歴史的な要因があるのではないか、と筆者は考えている。本論文は既知の資料をもとに、この事件を分析してみるものである。

キーワード:たたら砂エリア、雷電五箇伝、御輿長正

はじめに:本論文は筆者の恩師であるルミ先生のレポート『たたら砂エリアに秘匿された疑いのある人文的故事』を受け継ぎ、展開し、この研究を引き続き進めたいとするものである。資料によると、稲妻の鍛造技法はもともと雷神——雷電将軍から受け継がれたものだそうだ。職人たちは神の技術を受け継ぎ、それを製錬鍛造業に応用した。だが、鍛造製錬業の核であるたたら砂エリアには、雄渾たる鍛造業にふさわしくない不思議な噂がある。御輿家、丹羽家、そして外国から訪れた奇妙な機械職人——この三者が切り口となり、我々はそこからたたら砂の裏に隠された真実を垣間見ることができるようになった。

本文

たたら砂エリアにあった奇妙な紙切れに、こんなことが書かれている——

1
「……僭越ながら小生は、長正様が刀鍛冶をするのは彼の心境に良い影響を与えると考える……」
「……『御輿』の汚名をそそぐことに執着するのは、実に気力を消耗する……」

2
「……目付様は玉鋼錠をいくつか買った……」
「……造兵司佑様、そして桂木様と夜通し鍛冶の心得を話していた。」

3
「……やっと長巻の一振りを造り出せた。その名は『大たたら長正』……」
「……目付様も非常に喜んでいる、造兵司佑様と……」
「……望は『大たたら長正』の美しさに感動し、それのために絵を描いた……」

4
「……目付様は怒り、桂木を斬った。その切れ筋は、まさに大業物…そして、自ら作った長巻をたたら炉に捨てた……」
「……望はそれに不満を抱き、燃え溶けた刀を取りに行き……大やけどをした……」

5
「……望はその夜死んだ……桂木様は職責を汚したとはいえ、すべて善意からのものだったと思う……」

6
「……金次郎は長巻と望の描いた絵を武器庫に隠した……」
「……長正は厳しいが、白黒をはっきりさせる性分だ。しかしそれは同時に、非情でもあるということ。彼は自らの家名の潔白にこだわっているようだ…私もたたら砂の人たちも、彼の母である千代のことで目を曇らせることなく、長正のことを信じている……」
「……彼と共に『大たたら長正』を作った喜びを忘れたくない……」

7
「……撤退する時、武器庫の鍵を三つに分け、一つは目付様に、一つは造兵司正様に、一つはたたら砂に残し、賊の侵入を防ごうとした。」
「しかしあまりにも慌ただしかったため、目付様と造兵司正様を見つけられず、三つの鍵をすべてたたら砂にある三つの宝箱に隠すしかなかった……」

上記の7枚のメッセージはたたら砂エリアに散らばっている。そのうち、6枚は耐久性に優れた紙に記録されており、いずれも非常に古いものと思われるが、最後の1枚だけがやや新しいようだ。筆者は、6枚の紙と最後の1枚は異なる時代のものであると思っており、その年代の差を検証する必要がある。また、6枚の内容は互いに関連しているため、同じ出来事を指しているはずである。
ルミ先生は『たたら砂エリアに秘匿された疑いのある人文的故事』(以下、『人文的故事』と略称)の中で、スメールの学者が稲妻にたたら砂一帯の人文史を研究しに行っていたということに触れている。ルミ先生が『人文的故事』を書いた当時、たたら砂は一連の事件ですでに衰退した状態だったが、筆者が本文を書いた時分よりはましであった。たたら砂の最も中心的なエリアは、今は全く居住に適しておらず、住む人も確かにいない。住民たちは海辺に移り、水辺に住むようになっていた。スメールの学者たちは、彼らからこのようなことを聞いた——かつてたたら砂はとても繁栄しているところだったと。数百年前、まだ黄金時代と呼べる頃、たたら砂は造兵司正の丹羽、造兵司佑の宮崎、そして目付の御輿長正に管理されていた。同時に、年配の人たちや、より歴史ある家系の人たちは、たたら砂には奇妙な噂があったと繰り返し強調していた。
噂はほとんど「妖怪」にまつわるものであり、稲妻の特色に溢れていた。しかし、そのうちごく一部の中で、「外来者」という単語の言及があったのだ。注意すべきは、民間の伝説の中に実在と思しき人物が登場するとは、実に怪しむべきことである。その話題をさらに掘り下げると、次のような情報が得られた。

  • かつて、ある外国の機械職人がたたら砂を訪れた。彼は技術交流のためにきたそうで、地元の人たちとも友人になった。だが、その人物には疑わしいところがあったようで、常に中央部や公開されていない場所の近くをうろついていた。誰かが彼を止めようとすると、彼は理解できないようなことを呟いたとされる。
  • 機械職人はいつも大きな炉を眺めながら、何か考えごとをしていたようだ。おそらく、炉の状態を観察していたのだろう。そして同様に、人を不快にさせるような視線で地元の住人たちを観察していたようだ。

年代からみれば、たたら砂でこうした技術交換があったことは理に適っている。たたら砂は海沿いのため、船で行くことができる。外国から来た人間が地元で歓迎されるのも、おかしなことではない。だが、技術交流が行われてから間もなく、このエリアが衰退していったのも事実。この二つのことは大いに関係していると思われる。しかし、それは当時の人の妄想にすぎないと考える住人もいる。

筆者は稲妻の関連資料に基づき、たたら砂と関連があるかもしれない一部の人物を整理した。管理者から順に、記録は以下の通りである——

造兵司正——丹羽
フルネームは丹羽久秀、一心伝丹羽家の後継者。その一族は赤目、楓原と共に一心三作と呼ばれている。記載によると、丹羽は謙虚で聡明、土地と民生を管理する優れた人材であった。のちに彼は行方不明となっておいり、家族を連れて事故後のたたら砂を離れたと思われる。

造兵司佑——宮崎
フルネームは宮崎兼雄、丹羽の補佐。出身は不明。主に鍛造及び人員管理において、丹羽をサポートするなどしていた。穏やかで優しい人物であり地元に友人が多く、御輿長正とも親交があった。

目付——御輿長正
御輿家の後継者、鬼族の武者御輿千代の養子であり、「胤の岩蔵」御輿道啓の養弟である。母の千代が行方不明になった後、養兄の道啓に捨てられた。彼は一人で一族すべての責任を背負い、家族の汚名をそそぐために日々奮闘していた。様々な資料によると、御輿長正はやや頑固な一面はあるが、剛直で品行の正しい人であったとされる。紙切れの記録によると、彼は修身のために刀の鍛造を習い、わざわざ宮崎の教えを受けていた。名刀大たたら長正を鍛え上げた後、彼はあることから部下の桂木を斬った。

部下——桂木
フルネーム、出身ともに不明。筆者は多くの資料を調べたが、桂木本人に関するさらなる情報を得ることはできなかった。彼は御輿長正の手下であり、忠実な武人だった。御輿長正に救われたため、長正のために水火も辞さないとを誓ったとされる——随従することから、命を捧げるまで。

機械職人
筆者は多くの方面から考察したが、この人物の出所を推し量ることはできなかった。だが、たたら砂で事件が起きて以降、彼に関する噂は少なくなっていったようだ。筆者は、この人物は地元住民たちの想像上の見知らぬ人ではなく、実際に存在していた来訪者であり、たたら砂で起きた事件に関係があったかもしれないと推測している。

(残りの部分はどうやらまだ書き終わっていないようだ…でも、これがかなり工夫された論文であることは確かだ。)

貨物取引に関する返書

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貨物取引に関する返書_pic.jpg
…いつも通り、夜に「裏山の枯れ木」で取引を行う。前に聞いてきた「ブンブン」と呼ばれる特殊個体のことについて、考えられる理由は、確かにエネルギー不足で自己循環ができていないということだ…
実のところ、元素変化を起こした後のエネルギーでチャージすれば、すぐに再起動できる。チャージ変換器のことなら心配ない、取引の時に差し上げよう…
だが、その時はせひ特殊個体「ブンブン」を連れて来てほしい。研究員たちはそれについて大変な興味を持っている。研究の参考になるかもしれない…

内部撤退行動公文

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この間、タニット部落との取引は完了した。我々は確かに部分的な成果を得た。部族のメンバーを非常に重視している砂漠部落が、実験のために部族の少女を一名引き渡すことに同意したのだ。これはもう十分な進展だと言えるだろう。
もう一つの目標は部族との取引では達成ができないと判断したため、タニットとの取引の一件はここまでだ。この後、内通者を数回に分けて移転させる。くれぐれもバレないように、内密に行動してくれ。
下記は移転する途中、移転先と身分を確認するために使用する合言葉だ。部族の人間が混入しないよう、チームメンバーと移転する時は必ず覚えておいてくれ。

【下の合言葉表は水に濡れて滲んでしまっており、シワになった紙にはいくつか不完全な言葉だけがぼんやりと読める…】

…「アイスクリーム」…「イゴール・レ…」…「無軌道…」…「ジェラルド」…

…「ラヴィオリ」…

ファデュイの手紙

(注:この項目は正確には任務アイテムでは無く、任務中に表示された本文内容です)

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ルスラン・シュナイツェビッチ少尉へ
…指令通りに駄獣隊を手配してちょうだい。そしてここ最近砂漠で整理し終えた情報、研究資料などを何回かに分けて南の港に運ばせ、十五日以内にすべて連絡員に渡すように。
…それと最高優先クラスの駄獣隊に、あたしのジェラルドのために一番快適な小屋と栄養のある缶詰め、飲み水を用意させて。遅れは許さないから。また、この件はくれぐれも内密に。
…ちなみにルシャ、あんたのために特別に高位の用水特権を申請したから。次は臭い体のままであたしのところに来ないで。

ファデュイ砂漠遠征考察隊安全担当者
ゾーヤ・シュナイツェフナ大尉

被検体に関する初期検査

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フロドラッカー・フランケンシュタイン教授へ
…従って、タニット部族は我々との取引に応じた。彼らは一人の「部族の裏切り者」を約束した待ち伏せ場所に行かせ、我々に捉えられるようにする…
…だが、砂漠の人間がズルをしないよう、実験用個体を引き渡す時は入念なボディチェックを行うべきだ…
…ゾーヤ大尉はこの取引に対してとても不満だ。彼女曰く、我々はあのクソ砂漠女に縛られているだけでなく、今は砂漠の原住民のために裏切り者を粛清する下働きに成り下がり、あいつらの揉め事で怪我をする部下が出る…等々…とにかく、ファデュイ遠征隊の名誉に傷がついた…と。
…以上、全体的な行動の必要性を再検討していただくよう、参考として情報を提供する。
遠征隊副官
ルスラン・シュナイツェビッチ少尉より


【下に記録表がついている。「ジェイド」というタニット部族の人間の身体指標が記録されている。検査員は彼女の身体能力を高く評価しているのが伺える。】
…実に素晴らしい。あいつらのやり方なら、せいぜいか弱い砂漠の人間を一人を寄越すくらいだろうと思っていたが、この個体の健康状況は想像を超えたものだった。確かに価値がある…
…もし砂漠で実験課題を完成すれば、我々遠征隊全員が…執行官様に気に入られるということもあるかもしれない。ゾーヤ大尉も、どうか考えていただけないだろうか…
【その一文は赤い線で潰され、下に赤い文字が追加されている。「軍法について考えてみるのはどう? 自分があと何分生きていられるか考えてみたら? 」】

…それをなるべく早く新しい拠点へ移転させよう。取引が完了した後の行動詳細は、『移転に関する通達』を待とう。

移転に関する通達

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…『被検体に関する初期検査』のファイルによると、今回は相当に完璧な「アクティブ物品」を入手した…
…タニット部族との取引で入手した「帰宅物件」を、日没後に速やかに移転させること…
…撤退する人員と共に進み、最終的に示された峡谷に移転させること。
……

***該当個体は情緒不安定で、体躯は強靭である。目覚めている間は専用の鎮定措置を講じるよう注意すること。
移転計画のコードネーム:「レッドボール特急便」

くれぐれも慎重に。

酒香ただよう手紙

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久しぶりだな、元気にしてたか?
二人は今、スメールを旅していると聞いた。俺もちょうど仕事の都合でオルモス港に出張に来ているんだ。
ここ最近は、
午後になったらジャファータバーンで一杯飲むようにしてる。
もし俺が幸運に恵まれ…この手紙がお前のもとに届いたのなら、
俺のところに来て、昔話に花でも咲かせようぜ。
運命の定め、だと思ってな。

――お前の忠実な親友ガイア

ノートに挟まれていた見取り図

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ノートに挟まれていた見取り図の図.png
【見取り図の隅には、いくつかの注釈が残されているようだ。】
この見取り図は、カーンルイア人が遺跡に残していた工房の構造図に基づいて作成したものだ。また、霊光に関する情報は、私が実際に行った調査と、合理的な推測に基づいている…

これらの霊光生物は人の手の届かぬ地下にまで入り込むことができ、何らかの未知なる大能に操られているのではない限り、ある程度の自我を持っていたと考えられる…

まだ霊光の研究は始まったばかりだが、この力が特定の生態に依存していることを考えると、あまり時間をかけるべきではなさそうだ…

ルネの調査ノート

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ルネの調査ノートの図.png
…甘露花海の性質についての分析は…実に興味深い。いわゆる聖蓮と構成するものに関して言えば、僕やジェイコブの身体の組織とある程度重なる部分はあるが…カールお
じさんとは、殆ど同じ性質が認められない。実に不思議な結果だ。さらなるデータとサンプルを集めて確かめる必要がある…でも、教団の人はサンプルの採取すらさせてくれない。ケチくさいやつらだ…
…乾燥したパンを食べた。ジャムが残り少ない…

…霊光の力については、元素力よりむしろ■■に似ている部分が多い…触れた物質やエネルギーを同化させる…霊光は■■の力と対立するものだけれど、同じく自らの意識を持っている。この点から、両者は同じ性質を持っていると言えるだろう…水銀は水と融合しないが、水銀同士は融合するのと同じだ…
…合理的に考えれば、霊光の光は■■の力と同様に…この世に投影された結果の存在だと推測できる。ケチ教団に「闘争」という概念が生まれたのも、まさにこの考え方によるものだったのかもしれない…重要なことは、カーンルイア人の記録と組み合わせれば、世界四季を逆算できるかもしれないということだ…
…今日はたくさん考え事をしたから、甘い物を少し多めに食べよう。ジャムを食べ終わった…

…彼は時々べそをかく…けど、仕方ない。僕は歯が全部生え変わったからもう大人だけど、彼はまだ3本目が生え変わったばかりだし…今頃、院内はアフタヌーンティーの時間だ。アランは元気にしてるかな…
…副院長先生は必ず帰ってくるって約束したんだ、と僕は彼に言った。彼女は絶対に約束を守る大人だし、絶対に子供を騙したりしない。でもいろいろ見ているうちに、彼女は帰ってこないんじゃないかって、思いはじめてきた。きっとジェイコブもそう思ってるんだと思う。
…最後のジャムは僕とジェイコブで分け合った…

…カーンルイア人の記録によると、ここから「アゾス物質」(ある種のエネルギーの塊)が生成されるみたいだ。確かに、まあまあ便利そうだし、少なくとも見た感じは安全性、安定性ともに問題なさそう…元々は農作機械にエネルギーを供給するために使われる予定だったみたいだ…
…結果からすれば、特筆すべき点は見当たらない。しかしそれは意志のない純粋な元素力がその対象として選ばれているからだ。例えるなら院長先生と水スライムの違い、と同じだろうか。彼女の性質からすると、彼女は死んではいないだろう。そう願っている…

…とても衰弱している。何か手を施さないと、フォンテーヌに帰りつくまでもたないだろう…
…力は利用できるはず…激怒してしまった。あれだけ遠く離れた家までが水没してしまったのだから、その種の力に抵抗を覚えるのも無理はない。しかし、なんとしてもジェイコブの命だけでも救わないと、水仙十字院はもう…
…意識不明の状態…でも、力に良し悪しはないと僕は思っている。大人たちは本当に、頭が固すぎる…
…そういえば、まだご飯を食べていなかった。今日はジャムなしの感想したパン…

…意識が戻った…ジェイコブが覚えていないものだから、カールおじさんは怪訝に思ってるみたい。でも、偽日記の効果はまだあると思う…
…の過程で得たデータは本当に面白い…カーンルイア人の残したファイルとこれらのデータによって、一部の算式が得られる…
…お祝いとジェイコブの栄養補給のため(本当は必要ないけど、ジェイコブおじさんにそのふりをしてもらうってことで話がついた)、今日はカールおじさんが果物を採ってきてくれた。それで僕たちは一緒にジャムを作った。残りの砂糖を全部使い切ってしまったけど、大丈夫だ。計画通りなら、もうすぐ帰れるんだから…

…第二次大水期の終わり頃までは推算できる(前回の庭の水没事件は第一次大水期と名付けて区別することにする。以前ジェイコブがこれらの名称を混同したせいで、間違ったデータをインプットしてしまった)…
…認めたくないけれど、何回計算しなおしても結果は同じだった。ジェイコブと交差検証したが…どうも信じがたい。破壊?それとも変数の漏れ?明日再検証しよう…


結果はルキナの泉の底に投げられた。コインのように明白だ。ジェイコブも同じ現象を目撃している…きっと方法があるはず…絶対に方法はある…
…そんな中、ふと突破口の可能性を思いついた…計算結果は変わらないだろうけれど、その精錬方法を…の力に転写すれば、その中の「意志」を抽出できるかもしれない。その方法によって、衝撃に抵抗する…

…明日フォンテーヌに帰ることになった。今回の旅では大きな収穫があったし、習得した新しい知識もきっと役に立つと思う…必ずさらなる厄災の到来を食い止めなければならない。計画は問題ないはずで、あとは僕とジェイコブのやり方次第だ。ジェイコブは怖気づいてしまっている。まだまだ子供だな。でも、あいつは既に大人にだって打ち勝てる力を獲得している。僕とジェイコブ、それにアランを加えれば、絶対に災禍を食い止められる。
帰ったらアランと話し合おう。

千奇旋水のメメント・1

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ボロボロな布の袋に残されたメッセージ

「お宝」を見つけた旅人さんへ。これを読んでくれているということは、あなたもイディアさんに、大事なお客さんとして迎え入れられたのだろう。
宝箱に入っているこの袋は、私が昔、肌身離さず持ち歩いた食料袋だ。山を登る時も、峠を越える時も、砂漠を横断する時も…十数年間、私を支えてくれた相棒だ。
これを通して、戦士としての敬意と祝福をあなたに捧げたい――この先あなたの辿る道のりが、順風満帆でありますように。

私は元々普通の傭兵だったが、組織を離れてからは、単独行動をすることがほとんどだった。私がこの危険な職業に就いた動機は極めて単純で一一賊どもへの復讐を果たすためだった。
私がまだ小さかった頃、うちのキャラバンが強盗に遭い、キャラバンに同行していた両親も帰らぬ人となった。
それから私は傭兵の道を歩んだ。強欲と略奪を根絶やしにするために、そういった罪が人々にもたらす苦痛を消し去るために、悪事を働く悪者を一人たりとも逃がしはしないと誓った。やり方があまりにも過激だったためか、猛獣のような者が多くいる傭兵団の中でさえ、理解を得ることは出来なかった。

いつかこの世に賊が一人残らずいなくなるまで、もしくは私自身がいなくなるまで私は貫き続けるべきだった。
しかし予想外とは、いつもこういう時に起こるものだ。ある時、私は賊の一味の後をつけ、彼らの拠点にたどり着いた。この作業自体は慣れたものだった。
いつもと違ったのは、その賊の群れには面識のある少年がいたことだ。数年前、私は当時まだ幼かったこの少年を救ったのだが、彼の両親は賊に命を奪われた。賊のことを心底恨んでいるのかと思いきや、その少年はなんと、賊と行動を共にしてい
た。
少年は乱れた長髪を揺らして私の足元に跪き、許しを乞うた。私に顔を覚えられていると知ると安堵の表情を浮かべて、経験したことを話してくれた。
そして私の驚き呆ける隙を狙って、少年は私を刺して傷を負わせたのだ。彼は、そのまま夜の闇に消えて行った。
もしイディアさんに助けられていなければ、砂漠の中にはまた死体が一つ増えていたところだったろう…

私が今までやってきたことには、本当に意味があったのだろうか? どうして賊に傷つけられた人でさえ、賊になってしまうのだろう?
蜃境の中、炎の光に包まれ、涙に顔を歪ませながら、彼が私に語った過去――野良犬の如く野外に追い出され、頼れる人など誰一人いない時間というのは、私も味わった。しかし私は、燃え盛る憎しみと、両親が残してくれた余財があったために、彼のようにはならなかった。
「フタがダメなら、底から試してみますか…」イディアさんが缶詰に手こずっていた時の一言で、私は悟った。
根本から解決しないと、現状を変えられない問題もある。賊になった者たちが一体どんなことを経験してきたのか、私より詳しい人はいない。私ならきっと彼らを更生させられると信じているし、彼らが道を踏み外すことがないよう、何かしてあげられるかもしれない。
きっと、それはまた戦闘とはまた違った価値のある戦いで…より直接的でなく、より困難で、より頭を使う必要のある道だ。しかし、きっともっと多くの人を助けられると、そう私は信じている。
だからきっと、戦闘中に使っていたこの食料袋は私にはもう必要ないはずだ。
ここに残して、私が新たな道を進むための決意の証にしようと思う。

千奇旋水のメメント・2

本文を読む

美しい筆跡の手紙

見知らぬ旅人さんへ。この手紙を読んでいるということは、あなたも私と同じように、この不思議な場所に来てるってことだね。どうかお気に入りの景色が見つかるように、そして、何かしらの収穫があるように、祈っているよ。
私はルタワヒスト学院の学生なんだけど、星象を観測していた時にうとうと眠りに落ちちゃって、目が覚めた時にはもう、ここにいた。しかも、既に少しの間、ここで過ごしてたみたいだった。
管理人のイディアさんは「古い施設を修理する」って言ってたけど、他にも頭を悩ませることがあるみたいで、私の質問に答える暇がなかった。でも、静かな住処を用意してくれたおかげで、ゆっくり休めた…
他の人の話を聞く限り、普段のイディアさんはすごく熱心にお客さんをもてなす人なんだろうな。誰にだって忙しくて手が回らない時はあるっていうのは、私もよくを分かる。
私がここを離れる頃になっても、質問に答えてもらえるような時間は結局作れなかった。その代わり、イディアさんは私に沢山プレゼントをくれて、このアトラクションにも誘ってくれた。
そういう事情だから、私はあんまりここには詳しくなくて、役に立つような情報は提供できなくて…楽しく遊べますようにって祈ることぐらいしかできない。
この空間で星象を観測すると、何だかいつもと違う感じがするの。どの星の位置も変わってないのに、全体的にもっと見やすく、記録しやすくなってる気がする。
もしかしたら、特殊な環境と良い気分の相乗効果による効果なのかもしれないね。なんと言っても、ここの見晴らしは雨林エリアよりも良くて、空気は砂漠よりも潤ってるのに、それでいて透き通ってるから。
一番重要なのは、魔物や悪意のある人が邪魔しに来ないってところかな。時間があれば、あなたもここの星空をじっくり観賞してみてね!
慣例に従って…あなたにメメントを残すべきなんだけど、ごめんなさい。ここに来た時は、本と文房具しか持ってなかったの。これがないと、論文を完成させられなくなっちゃう…
でも、イディアさんからもらったプレゼントにモラがあった。そのモラで家具を新調して、私の住処をもっと温かくて、綺麗で、安心できる場所にするようにって言われたんだけど…
既に本と星図で埋め尽くされてて、スペースを開けるのがすごく難しいの。しかも砂漠を越えて教令院に戻らないといけないわけだから、少しでも荷物が増えると体力が持たなくなる…
だから、このプレゼントは後からくるゲストに渡したほうがずっと良いと思う。それで私は、素敵な予兆のあるこの日を選んで、この宝箱を埋めてみたんだ。
今、このプレゼントは全部あなたのものだよ!どうかこの子たちが、安寧と喜び、そして星空の加護を受けた幸運を、あなたにもたらしますように。

千奇旋水のメメント・3

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つたない筆跡の日記

未来のいつか、私の日記を読んでくれて、私のお宝を見つけてくれた小さな…それか、大きなお友だちへ、こんにちは!
私は発明家で、冒険者なんだ。イディアお姉さんも私のことをかしこい天才だって言ってくれたんだよ!
このふしぎな水の楽園は、私が今まで遊びに行ったことのある場所の中で、一番遠いところだったんだよ。すっごく楽しかった。あなたもきっとそうでしょ?
そんなに楽しくなくてもだいじょうぶだよ! いつかきっと私みたいに、もっと遠くに行けるから、きっと一番好きな楽園が見つかると思う!
雲の上にヤマガラとしょうちょうの楽園があるって、パパとママのお話で聞いたの最初はね、その楽園を見つけて、そこにいるお友だちといっしょに遊びたかったから、たこを作ったのよ。
でもね、いざ飛んでみたら、そんな楽園どこにもなかった。多分、飛んだ高さが足りなかったのかも。
でも平気だよ!さばくに着陸してからは、かっこいい大きな赤い鳥さんと知り合ったし、足がいっぱいついてる大きなお友だちに乗って、かなり走ったの。あの大きなお友だちの名前はたしか…「ヒゲソリ」さんだったかな?
でも一番大事なのは、大きな赤い鳥さんと大きな「ヒゲソリ」さんに、大人しくおうちに帰ってもらうようにしたイディアお姉さんと知り合ったこと!
イディアお姉さんが私をこの水の楽園につれてきたの。ここのプカプカ水玉さんって、しょうちょうよりもずっとふしぎなんだよ!
プカプカ水玉さんは私においしいリンゴをくれて、いっしょに材料を探してくれて新しいたこを作るのを手伝ってくれたの。しかも私をふしぎな場所までつれていってくれてね、探検したり、高い高いところまでいっしょに行ってきれいな景色を見たりした!
イディアお姉さんが言ってたよ。もし私がすごく有名な冒険者になれたら、ここが私の旅のスタート地点だから、一番たいせつな場所だって!
だから、私が発明した最初のスーパー旅行たこの設計図を残しておくね!
設計図を見て、旅行たこを作ったら、サプライズがいっぱいな場所にも行けるし、新しいお友だちともいっぱい知り合えるかもしれないよ!
ああそうだ、このたこを使う前に、自分にちゃんと風船を取りつけてね。でないと、地面に落ちたとき、ちょっと痛いかも!
使いきれないほどの幸運がありますように! そしてこのたこに乗って、私よりも高いところまで飛べますように!
……
(あとのページには、シンプルな線で描かれた絵が沢山載っている。日記の中で言及されていた「凧」かもしれない。稚拙な筆跡とは違って、凧の設計図は比較的厳密に書かれている。見た目が調っているというだけでなく、有効的な耐力構造が練られ、救命のための設計も多くある。そういうところにまで気が回るのは、この子が良好な教育を受けていることの証でもある。もしかすると、日記の持ち主はどこかの学者の家の生まれで、ずっと小さい頃から、工学に強い興味を持っていたのかもしれない)
(残念ながら、この凧は子供用に設計されているため、子供にしか使えない――寸法が小さすぎて、風の翼のように成人の長距離滑翔を支えられはしなかった。パイモンにおもちゃとして渡すぐらいなら、ちょうどいいかもしれない…大前提として、大量の時間を費やして、厳密に設計図の通りに作る必要があるが…。経験のない人にとって、かなり苦労する作業であろうことは、想像に難くない…)

モラの形をした不思議な懐中時計

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紙の裏にまでユーモアが透けて見えるような装飾文字のメッセージ

アハハ、やりやがったな!
こんなに丁寧に隠した「モラの懐中時計」が見つけられてしまうとは!きみの方が一枚上手だと認めよう!
でも、優れた実力を持つきみならきっと気づいているはずだ。この懐中時計はモラの形に作って、モラの色に塗っただけのものだってね。通常の基準に則って言えばこいつには大した価値なんてない。
きみはきっと大きく気を落としてるかもしれないね。「『干奇旋水』の最初のお宝がこんなものだなんて…しかもみんなに真似させるよう仕向けておきながら…懐中時計を残したあの冒険者は、ただのペテン師だったのか!」って、思わず頭に浮かんだんじゃないか。
だがいったん落ち着いて欲しい!少しだけ弁解させてくれ――
モラが大陸を流通する標準貨幣「モラ」たる所以は、その背後に無類の強さを誇り、契約を重んじ、誠実で他者におもねることのない…以下賞賛の言葉五千文字を省略、そんな岩神モラクスへの「信用」というの支えがあるからだ。この「信用」が大事モラに価値を持たせている。これがなければ、それはただの…ええと…丸い金属のかけらにすぎない。
そしてこの懐中時計の背後には、私が砂漠にある中で最も輝かしいお宝を探すために、山を越え川を越えてきた苦難の旅路と、その間に起きた数十冊にまとめてもまとめきれないほどの物語がある。だから、私は小さい頃からずっと持ち歩いてきたこの懐中時計を残していくことにした。
決してもうこれしか残ってないというわけではないからな!
もしかすると、いつしか私もこの大陸で有名な冒険者になれるかもしれない。その時は、私の功名もこの懐中時計に高い価値をもたらすことになる。そうなれば、きみもきっと損をしないはずだ!
もちろん、きみたちはとっくに分かっているのかもしれない。私よりも、ずっとすごい人かもしれない。若くして大成した人物かもしれない。それでも、私のこの言葉は機能するはずだ――この懐中時計は、きみたちが世にも不思議な「ヴェルーリヤ・ミラージュ」で見つけた、最古のメメントだ。こいつらにより高い価値をもたせるのは、きみたち自身なのだ!
だから、この文章を読んだきみと懐中時計を残した私との間を、数十年、数百年の時が隔てていようと関係ない。友に努力し、共に進歩しよう!
そして、私のこの「価値の付与」という理念を、テイワットの隅々にまで伝え、全員の日々にやる気を与えてあげてくれ!
まだ無名な冒険者のようだが、非常に派手なサインが残されている

罪を償う者が残した手紙

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【きちんと畳まれた手紙。折り目は黄ばんでおり、紙自体もボロボロになっている。貰う者が残した手紙中には次の文が記されていた】

…今でも、あの悪夢に魘される。夢の中では目の前の全てが、あの戦場に戻ったかのようである。炎に照らされた空、捻じ曲がった影のような魔物、散り散りになり本来の姿さえわからぬようになった身体、喉から出づる暇もなく、静かに闇へと堕ちた悲鳴。そして…嗚呼、漆黒の獣の牙から、私を助けてくれた友人。戦場で、力を失った掌から弓と刀が落ち、彼の身体は穢れた泥沼の中へと沈んでいった。口を半開きにしたその顔は私を、私のほうを見つめていた…

…あの戦場から生きて帰って来られたことを私は幸いだと思っていた。しかし、一体何が幸いだと言うのだ?私は自信を喪失した末に十文字槍を手放し、共に災厄と中に残したのだろう。強敵に抗ってきた雑兵を見捨て、気が狂ったかのように戦場から逃げ出した。これは、将軍様の信頼に恥じる行いであり、先祖代々受け継がれてきた名誉を裏切る行いだ…今も尚、ヤシオリに帰ったところで合わせる顔などない。私は戦場から逃げ出したのだ。しかし、本当に逃げ切れたのであろうか?あれ以来、日ごとにあの凄惨な戦場が夢の中で蘇る。血の気を失った蒼白な面々、漆黒の泥沼の中へと消える寸前に我が名を呼ぶ友人の、糸のようなかそけき声…ともすれば、「蜃楼玉匣」の中の蜃気が作り出す虚影に縋ってやっと、刹那の安らぎを得るほかないのである。

…滑稽なことに、この「蜃楼玉匣」は私がヤシオリ守りとして命を受けて遠征に出る前に、戦場での痛みが和らぐようにと、母上が矇雲神社にて授かってきてくださったものだ。当時私は「『喜多院』の名を受け継ぐ者として、痛みが怖くてこんな物を使うなどとは、恥だ。」と言った。思い返せば、穴があったら入りたいような気になる。もし嘗て巫女だった母上に今の私の姿を見られたら…

…亡命生活など、もうたくさんだ。苦痛の日々はもううんざりだ。ついに今日、やっとここに戻って来ることができた。嗚呼、数え切れぬほど悪夢に現れ、そこから逃げたいと切実に願いながらも、一方でそこに還りたいと心から願った場所。嗚呼…私の腕はもはや若かりし頃のように、思うがままに槍を振りまわすことはできぬ。しかし今度こそ、きっと友人を助けることができる。きっと…穢れを取り除き、今度こそ必ずや将軍様に…最後まで、最後まで着いてゆくのだ。

――喜多院秀家

散らかっている本のページ

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…見えたかい?これが数え切れない計算を経て、「世界式」が導き出した結果だ。僕かっている本のページたちが予見していた光景、災禍の後の壊滅、そしてスイートフラワーもミントも生えない世界、これが終末…
…どうにか信じられるかな?「啓示の書」にせよ「謎の鏡」にせよ、それらを通じてここに来た人は、こんな未来に向かわないよう、力を貸してほしい…
…僕が言ったように、唯一の方法は…

助け合いの会のパンフレット

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「互いに助け合い、困難を乗り越えよう。」
「力の及ぶ限り正義を広めよう」
「公正な審判を憎まないようにしよう」

以上の三つが助け合いの会のモットーである。助け合いの会は全ての人を歓迎し、費用の徴収も強制参加の行事もない。
助け合いの会メンバーには、自分の力の範囲内での最善の行動を奨励する。自主的な清掃、トレーニング、指導、学習などなど。
助け合いの会は各メンバーがメロピデ要塞にいる間に、自分の犯した罪の責任き合えるよう願っている。互いに声をかけ、助け合い、共に未来を迎えよう。

「特別記事」

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『フォンテーヌ科学院が隠蔽する真実について』
「特別記事」_蛍.jpg
…私は自ら実地取材を行い、フォンテーヌ科学院の一度目の爆発事件の発生原因、および二度目の爆発が発生した経緯を明らかにした。これらはすべてフォンテーヌ科学院が、フォンテーヌ廷全体を脅かしかねないある重大な問題、すなわち「中央実3験室」廃墟が完全に無害化されておらず、その上部に制御不能となったマシナリーや巨大アルケウム、止まらず高エネルギーフローを発し続ける危険な装置などの存在を隠蔽しようとしたのが原因であった。
更に、フォンテーヌ科学院が人員を雇用して関連業務を行う際に、操作ミスにより「中央実験室」廃墟が再度爆発し、少なくとも一名の研究員が事故死した。
調べによれば、この研究員の名はナッカー。以前はエドウィン・イースティングハウスの率いるアルケウム研究チームに属する上級研究員であった。一度目の爆発事件の後、彼は科学院内で露骨な冷遇を受け…

『交渉の芸術』

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私はよく商才に長けているとか、機を見るに敏だなどと言われるが、自分ではそうは思わない。機会というのは、作りに行くものだ。私は裸一貫から身を立てた。自分アイテムのほかに頼れる者はなかったが、交渉を通じて、より恵まれた者と手を組み、機会を作り出すことができた。
今までの経験が教えてくれたのは、ほとんどの問題は交渉によって解決するということだ。これが私の唯一の拠り所だ。だから、諸君がみな私の言う通りに行動するようになれば、私などは大変生きづらい世の中になって、困ってしまう。
……

【声の大きい者が勝つ】
ほとんどの交渉事は顔を合わせた瞬間に結果が見える。私をよく知る人たちはご存じであろうが、私は初め、砂漠で行商人をしていた。当時の私は一文無しで、大した商売もできなかったが、そこで重要な経験を学んだ。「はきはきとした声で話し、自信に満ちた印象を与えよ」
砂漠というのはよそ者に厳しい土地で、自分の信頼する人たちとしか取引をしない彼らは外部の人間、もとい、その嘘を恐れている。では無一文の若者が、いかにして信用を勝ち取ったのか? 後で分かったことだが、砂漠の部族が排外的だというのは、実は浅い見方だ。その本質は、彼らが自分たちに外来の品物の信頼性を担保する術がないことを理解していることだ。
そうなれば当然、確固たる証明を提供できなければ、信用は得られまい。あるいは、いかにそう信じさせるかという話になる。では、どうすればいいのか?威勢よく話すことだ。たとえハッタリでも、自信ありげにしていれば、いかにも余裕があり、用に足る人間だと勝手に思いこんでくれることだろう。
だから私はとにかく大声で呼び込み、大声で喧嘩した。彼らは私の気迫に圧倒され、そして考えた。こいつはなぜこんなに毅然としているのか。いくらでも買い手がいるからではないか? ならばその品物はきっと品質が良く、信用があるのだろう。こいつから買うのが一番だと。
そうして稼いだお金が私の元手となった。それからはご存じの通りだ。
本題に戻ろう。たいていの交渉の目的は、他人に自分の言うことを認めさせることだろう。ならば、もし機先を制して相手を気迫で圧倒できれば、そこで勝負あり。交渉の目的は達成されたも同然ではなかろうか。
……

【誘導質問術】
私は誘導質問術がとても効果的な交渉手段だと思っている。難局を乗り越えるのにしばしば有用だ。
一度、璃月でモンドの商品を売り込もうとしたことがある。その時の客層はモンドに縁もゆかりもない、生粋の璃月の一般人ばかりだった。彼らはよくわからない商品を買うことを恐れるため、売れ行きは良くないだろうと思われた。事実、私のスポンサーも諦めかけていた。
これは一見難題だが、解決するのは難しくなかった。客に対し、モンドはいい所だと言って、産地への好感そして信頼感を醸し出す。その感情は商品自体にも投影され、私たちの売り上げとなる。ではスポンサーには? もっと簡単だ。諦めさせなければいい。売れるだろうと思わせればいいのだ。もちろん、本当に売れそうかどうかはこの際重要ではない。
問題のありかは見つかった。後は解決するのみだ。できるだけ自然な解決策を取りたかったので、市場調査をすることにした。アンケートを取り、参加した人にはモラが当たると触れ込む。モラと聞けば、人々はこぞって集まる。
ここまで来ると、これが交渉と何の関係があるのか、と問う者もいるだろう。私はこう答える。交渉で最も強い武器とは、事実だ。しかし事実は操作できる。これはアンケートに見せかけた、あらゆる人を、自分の結論に導くためのもの誘導質問だったのだ。

事はこのように進んだ。私はアンケートに思考を誘導するような質問を忍び込ませる。例えば、モンドの理念は「自由」であり、璃月人の多くが求めるのは満ち足りた生活だと分析される。ならば、自由と満ち足りた生活には必然的な関係がある…という結論を人々に抱かせなければならない。
すると、次のような質問文になる。
あなたは気楽なスローライフが好きですか? 自由な空気が好きですか? おいしいお酒は生活を豊かにすると思いますか? など。
任務アイテムそれらには多くの人が「はい」と答えるだろう。続いてアンケートで、モンドはこのように自由で幸せな国ですが、この国のことが好きですか?と問う。当然、答えの多くは「はい」だ。この時点で彼らの中には、モンドの人は幸せだという印象が生じている。
そうすれば、私はこんな売り文句を掲げられる。私が売るのは品物ではなくライフスタイル――幸せというライフスタイルなのだと。後は、言うまでもないだろう。もちろん、ひねくれ者や逆張りをしたがる者も一定数いる。彼らはアンケートの結果を乱し、結果を見る人、つまりスポンサーの意欲を損ねてしまう。
その影響を抑えるため、私は単純かつ強引な手段を取った。アンケートの回答者に向けて、モラの額と回答内容に関係があると匂わせたのだ。モラの誘惑の前にはほとんどのヘソ曲がりも妥協し、美しいデータが保証されることとなった。こうしてスポンサー氏の脆い自信も回復し、計画は無事次の段階に進むことができたのだ。
……

【万能の方程式】
一撃必殺の交渉手段は存在しないのか、という質問をよく受ける。そんな時はいつも、こんな言葉を答えに選んでいる。「ええ、心から同意します。ただ……」私はこの言葉を万能の方程式と呼ぶ。理由はほかでもない、これが人間の心を逆手に取り、その弱点を容赦なく突くものだからだ。
なぜか?人間は承認を求める生き物だからだ。私とて例外ではない。かつて行商人として四方を旅し、エルマイト旅団や宝盗団、アビス教団に至るまで実にさまざまな人々と出会った。狂信的で気難しいアビスの魔術師でさえ、この言葉を聞いて考え直し、私の音目を求めたものだ。
断言するが、もし私がスライムやヒルチャールの言葉を話せたら、彼らでさえこの魔力に屈服させることができただろう。だから私は誰にもこの言葉を覚えてほしくない。特に私の競争相手には。
……

ブランシェからの手紙

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(旅人名)お兄さん/お姉さん、パイモンお姉さん、ブランシェだよ!
驚いたでしょ? 私からこんなにすぐに手紙が届くなんて。えへへ。
あのね、大したことじゃないの。とっても大きくてとっても甘いバブルオレンジがとれたの。今までたくさん食べてきたけど、こんなの初めて! だから、あなたたちにも食べてほしいな。
この手紙が届くとき、オレンジがまだ新鮮だといいけど。

ドドコドッカン冒険記

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ドドコドッカン冒険記_pic.jpg
静かなシードル湖の中で、モンドの魚達は平和な暮らしを楽しんでいた…
しかし、見たことのないようツノツノ魚の大群がこの水域に現れた。一群は珍しい甲冑を身につけ、小さな短剣を持っており、狂暴そして横暴で、モンドの魚達の住処を乗っ取り、乱暴に追い払ってしまった。
「グハハ! ここは我らツノツノ魚大王のシマだ!」
故郷を守るため、横暴な侵入者を追い払うため、モンドの魚達は、知勇を兼ね備えたドドコ、そして性格が良く性根も良い火花騎士を訪ね、協力を仰いだ…
「ボンボン……あれ? 今回はボンボン爆弾が使えないの?」
威力の大きなボンボン爆弾は魚達の住処ごと爆破してしまい、シードル湖の水底をボロボロにしてしまう。別の方法を考えなければならない。

知恵のあるドドコと火花騎士は事細かに相談して、「とびっきり安心安全なスペシャルボンボン爆弾」を作り出した。コンパクトで精巧で鋭敏なので、悪辣なツノツノ魚をかなり正確に狙い撃ちできる。罪のない魚達にはまったく影響しないのだ!しかし「とびっきり安心安全なスペシャルボンボン爆弾」では名前が長すぎて火花騎士が言い間違えてばかり…それなら「スペシャルボンボン」にしよう!
「ちょっと待って! 耳を澄ますよ――」
ドドコの長い耳は見栄えが良いだけでなく、聴覚も超鋭敏なのだ!
ツノツノ魚達がどこで活動しているか、水に投げ込むスペシャルボンボンがどんな方向に動くのか、ドドコならあっさりと聞き取れる!
そうして、スペシャルボンボンを最適な位置で大いに活躍させて、悪辣なツノツノ魚を打ち負かすのだ!

しかしツノツノ魚の兵士も準備していたようで、頭数が多い。火花騎士とドドコはてんてこ舞いで、疲れてお腹が空き、スペシャルボンボンも少なくなってきた!
「これっぽっちの力で、五つの水域を征服した我らに勝てると思ったか!」
ツノツノ魚達の言う五つの水域とはどこなのだろうか? まさか他の地方の魚もこのツノツノ魚にやられたのか?
訳が分からなくなって、ドドコと火花騎士は図書館に帰り「司書の魔女」に尋ねた。「司書の魔女」は本を開くまでもなく、
「その五つの水域とやらは、シードル湖の東西南北と真ん中だけかもしれないわよ~」と微笑んだ。
火花騎士とドドコはハッとして、騙されていたのだと気づいた。
残念ながら、狡猾なツノツノ魚達はその隙に暗礁を探し、堅牢な障害物を築いてしまった。しかも水草を利用して姿を覆い隠し、火花騎士とドドコに意地悪な隠れんぼを仕掛けてきた…
これで、ツノツノ魚達に対抗するのが更に難しくなってしまった!

ドドコと火花騎士は援軍――栄誉騎士と白い助手さんを連れてきた。経験豊富な援軍である二人は重要な提案をした。
栄誉騎士は地図を見ながら、
「冒険と同じように、前もって先に進む方向を決めよう」と言った。
ドドコは理解した――爆発の方向を制御すれば、スペシャルボンボンの威力を強めて、より遠くのツノツノ魚を攻撃できる!
白い助手さんはお菓子を食べながら、
「いろんな爆発範囲があるといいぜ、複雑なほど避けにくくなるからな!」と言った。
火花騎士は思いついた。スペシャルボンボンの爆発をいろんなお菓子の形にすれば食い意地の張ったツノツノ色をおびき寄せられるし、一撃で倒すこともできる!

そこで、ドドコと火花騎士はスペシャルボンボンを改良した。
改良したスペシャルボンボンは様々な形で爆発することができ、水草を簡単に貫通するだけでなく、厄介な位置の兵士を倒すこともできる!
たとえ堅い岩には効果がなくても、どうにか障害物を回り込んで裏手のツノツノ魚を驚かせることはできる。
このスペシャルボンボンがあれば、ドドコと火花騎士はもうツノツノ魚の兵士が隠れていることを心配しないで済む!

ツノツノ魚の兵士が敗北を重ね、ついにツノツノ魚の大王がドドコのことを耳にして、恐ろしい形相で現れた!
栄誉騎士と白い助手さんの経験によると、丸々とした奴は相手しにくい。
再びツノツノ魚側を見ると、丸々とした金ぴかの大王が、何故か急増している?
どう考えても、何かある…
白い助手さんはお菓子を食べながら、
「怖がることはないぞ、あいつらはラズベリーで体を金色に塗っただけかもしれないぜ!」と言った。
栄誉騎士は地図を見ながら、
「たとえサウマラタ蓮で染めたとしても、戦闘力は五十パーセントしか上がらない。魚は所詮魚だ!」と言った。
つまりツノツノ魚の「大王」はある種の称号のようなもので、見た目こそ恐ろしいが金色だからといってツノツノ魚の大王が強いとは限らないのだ!
火花騎士とドドコは安心した――それなら日が暮れるまで大王の相手をしないで済む。帰りが遅くなってみんなに心配を掛けることもない!

最後のポイントは、早く目の前の難題を解決すること。
大王らに鼓舞された兵士達はまた石と水草を積み上げだし、少しも臆していない! ドドコ、火花騎士、栄誉騎士、白い助手さんは細かく対策を考える――数の限られるスペシャルボンボンをどう放てば数回で打ち負かすことができるか…
火花騎士は、栄誉騎士の周りを飛んでいる白い助手さんを見て、ふと何かを思いついた…
「でも、ツノツノ魚たちは目の前のスペシャルボンボンから守ることしか知らないでしょ? 回り込めばいいかも!
ツノツノ魚は水の中でしか行動できないが、火花騎士とドドコは自由自在で、岸辺に沿って、ツノツノ魚達が構えていない側面に行ってからスペシャルボンボンを投げ込むことができる!
機知に富んだ正確な爆撃! ツノツノ魚達は総崩れし、すごすごと逃げ帰った!
逃げ帰る途中でツノツノ魚達は自分が持ち込んだものを回収していき、シードル湖にはゴミひとつ残らなかった。
ドドコ、スペシャルボンボン、火花騎士、栄誉騎士、白い助手さんが共にシードル湖を守り、いつもの平和な暮らしをモンドの魚達に取り戻した!
自分達を労うため、ドドコ、スペシャルボンボン、火花騎士、栄誉騎士、白い助手さんは湖の畔でテーブルクロスを広げ、ピクニックを楽しんだ。
ピクニックのメニューはミントゼリー、キャラメルクッキー、ラズベリーケーキとトマト唐辛子。甘くて辛くて疲れが吹き飛んだ!
シードル湖の危機を解決したドドコと火花騎士の大手柄!
今回の偶然の収穫――スペシャルボンボンを作った経験は、今後も役に立つことがあるかもしれない!

地図の断片

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開けられた「宝物」

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『トルクシーの不思議な冒険』

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