ガチマッチ指南/上級者になるために

Last-modified: 2022-08-29 (月) 00:20:00

スプラトゥーンは、上級者ゲーマーが多く立ち入りにくいジャンルである「シューティングゲーム」を、「誰でも」プレイできるように作り込んた意欲作だ。
プレイヤー層はゲーム自体の初心者や子供から他シューティングゲームの大ベテランまで、非常に幅広い。

 

FPSやTPSの経験がなく初心者だったイカが、本作のルールや打ち合いにもすっかり慣れ、
ときどき自分の活躍で勝てるようになれば立派な「中級者」だ。
しかし「中級者」として順調に上達していても、必ず一度は「上級者」との壁を感じるはずだ。
そもそも「上級者」とは明確な定義が存在しないものではあるのだが。

 

ガチマッチ指南」の記事では、ガチマッチ全体の基本的な考え方が解説されている。
また各ルールの指南記事では、ルールごとの細かい戦略が記されている。
しかしながら、どれも上級者になるのであれば理解していることが前提の内容であり、考え実行しようとすること自体は慣れればそこまで難しくはない。
上級者同士の試合では、敵もそれを理解しているため、こちらがそういった戦略を簡単に実行できないよう、防衛戦略を練ってくるのだ。
こちらが勝てる戦略をイカにして実践し、そして敵には実践させず、安定した勝率を確保できるかに日夜励むのだ。

 

このページでは、基本的戦略の理解が一通り済んでいる中級者が、ガチマッチで「脱・中級者」を目指し、いわゆる「上級者」になるために必要なことが何かを解説するぞ。
ここに書かれている技術はやや高度であり、実行するのは簡単ではなく、意識的な練習の繰り返しが必要なものばかりだ。
高い目的意識を持ち、豊富な経験を積んだ百戦錬磨のイカだけが上級者の称号を勝ち取ることだろう。



※ここに書かれたブキ構成例などはあくまで一例であり、個人の実力、ステージ、ルール、敵味方の構成とそのときの状況によってとるべき行動は随時変わる。あくまで、試合全体の組み立てを考えるうえでの一般論として理解すべし。

開幕と同時にすること

味方と敵のメインの構成を把握し、自分の役割を認識する

ガチマッチ指南の「味方の編成を見て、自分の「ポジションと役割」を理解しよう!」では、最後に「役割というのは相対的なものであり、同じブキを持ち続けているからといって、ずっと同じ役割を遂行していれば良いわけではない」と説明されているが、ここではそれについてもっと詳しく説明しよう。
ランダムマッチングはブキの偏りが少なくなるよう配慮されているが、それでも両チーム間のブキ構成が全く同じということはない。
意識しないと塗りにくいチーム、射程が短めで前線を上げにくいチーム、などチームごとの個性が必ず存在する。
上級者は、試合開始前の全員紹介画面から試合開始直後までの間にメインブキの構成を把握し、同時に自分の役割を理解している。

 

たとえばN-ZAP85を例にとれば、

のチームだった場合、ホットブラスターカスタムスプラシューターコラボ
いずれもキル性能が高く、積極的にキルをとり前線を押し上げるのが得意なブキである。
またもみじシューターはその圧倒的塗り性能により広範な整地を得意とするブキである。
ZAPはこれらに比べれば中間に位置し、機動力も高く、かつ相対的に最長射程のブキとなっており、このチームでは最も優先して「後衛寄り」「サポート」「すばやい防衛」を担う必要がある。

一方、

のチームだった場合、他のブキはいずれも後衛での防衛を得意とするブキであり、
敵に奇襲をしかけたり、前線を押し上げることができるのは基本的にZAPのみ。クリアリングが得意なのもZAPのみ。戦闘で小回りが効くのはZAPとジェッカスのみで奇襲への対応はどちらかが対応する必要がある。
ZAPが後衛ブキの足元を塗ることは重要なサポートである。しかしながら先述の通りZAPは戦闘でも重要であり、戦線に居なければ重要な局面でのキルデスに絡むことができない。
ZAPが果敢に前に出ている事は味方の活躍のため勝利のためには欠かせない。
その一方で、編成内で塗れるブキはZAPのみで倒れると自チームの塗りは負け始めて長射程ブキが働けないことにつながる。前に出て動けるブキはZAPのみでヘイトを受けやすい事を理解し、少し塗ったら引いて様子を見るなどの行動を混ぜる事も重要である。
総じてZAPの役割は多く、チーム内で重要なポジションとなる。不用意に攻めてデスする事や(攻めるならチームに2枚あるアーマーが溜まるのを待とう、その機会は多いはずだ)、敵が攻めてきた時にインクがない等のトラブルは負けに直結すると心得よ。

 

さらに、敵のブキ構成によってもとるべき動きが変わる
上記後者のチーム構成で、敵にスプラスコープがいたとする。
この場合、スプスコが前線に干渉できる有利ポイントに居座っている状況では、ラピッドブラスター以下3人は基本的に前線に対し何もできない。
このようなチャージャーを何とか制圧しないと勝機がないような状況では、N-ZAP85が裏を取ってでもチャージャーを倒すことには大きな意味がある。
(キューバンボムスプラスコープに射撃させない事も可能ではあるが、サブにインクを使用する事はインク切れや塗り状況の悪化を招くので使いどころに注意)

 

このように、同じブキでも味方と敵のチーム構成によって役割は若干変わる。
なお、このことは中射程ブキで特に顕著であり、「割と何でもできる使いやすいブキ」は、裏を返せば「どんな状況でも柔軟に周りに合わせる必要があるブキ」といえ、
それができず単調なプレイングを繰り返すばかりでは、突出した強みのないただの器用貧乏になるということを意味する。
しかしながら、よほど極端な長射程や短射程のブキでない限り、どんなブキでも味方との組み合わせ次第で役割は相対的に変わる。
たとえば4Kスコープスプラチャージャーが同じチームならスプラチャージャーの方がやや前に出なければならない、といった具合だ。

敵味方のサブスペシャルの構成を把握する

上級者は、試合開始時に見ただけで敵味方のスペシャルの構成も把握している。
これは初動のスペシャル応酬、および打開の局面において非常に重要であり、
スペシャルの用途やタイミングのみならず、全体の立ち回りにも大きく影響する。

 

たとえばバブルランチャーアメフラシなどの空間制圧を得意とするスペシャル持ちが複数いる場合は、
同時発動による打開や押し込みの有効性が非常に高く、スペシャルを温存し、ここぞという場面で使うことが基本となる。

 

逆にこちらがスーパーチャクチインクアーマー持ちなど個人に作用するタイプのスペシャルを持ったイカが複数いるチームだった場合、
打開を単純な「空間制圧」によって図るのはきわめて難しく、スペシャルの応酬になればこちらが圧倒的に不利になる。
「味方と同時に発動することで打開を図る」ことは重要ではあるのだが、そればかりに頼るのは得策とは言えない。
敵が有効なスペシャルを使う前に積極的にたおすか、敵にスペシャルを「吐かせ」るなどして、何らかの形で直接戦闘における有利に一度は持ち込むことが重要となる。

 

敵のスペシャルに関しても同様であり、空間制圧による高い打開能力のスペシャルを持つイカが誰か、必ず把握しておく必要がある。

初動

絶対にたおされず,前線を死守する

初動で敵をたおせずに倒れてしまうのは大きな痛手だ。
なぜなら、前線で4vs4でぶつかり合っている状況でそれをやってしまうと一気に全員不利の状況になり、
最悪そのままノックアウトされかねないからだ。
初動で敵が狙ってくるポイントを熟知しておく必要があると同時に、
こちらを攻撃しやすい地点への確実な牽制の手段と、中央へ向かう短時間の間に確実な退路を確保しておく必要がある。

できる限り1キルを確実にとる

上記のように、初動での人数不利はきわめて重大であるが、
裏を返せば、初動で敵の数を減らすことは非常に効果的な攻めであるといえる。
初動こそ、積極的に前に出て、敵を倒しに行く必要がある。
しかしこれは先述の「絶対に死なない」とは明らかに反する考え方である。
この、相容れにくい「死なない」「敵をたおす」を両立できてこそ上級者というわけだ。

心配ならば、ジェットスイーパーなどの、超長射程ブキで、相手にキルされずに、大量キルをしよう(凄く慣れないとこの様なブキは使いこなすのが難しい)。

試合中の動き ~マクロ視点の考え方~

味方の配置と動きを完全に把握しておく

これこそ上級者になるための最重要事項といってもよい。
敵の位置を気にかけたり、イカメーター上の人数有利・不利を把握して動ければもはや初心者ではない立派な中級者だが、
これら上級者にとってはもはや当たり前、ただの前提でしかない。
それに加えて上級者は例外なく、味方がどこで何をしているかを常に把握している
基本的には、同じ注意力を払うのであれば、敵の位置だけ見るよりは味方の位置の確実な把握を優先した方がよい。

 

上級者同士の戦いでは、頻繁なポジションチェンジと巧妙なセンプクにより敵も簡単には無防備な姿を見せてくれない
上級者ともなればクリアリングの技術も当然高くなければならないが、それでもセンプクしている敵を見つけ出すのは難しい。
突然の撃ち合いにもつれ込むことも少なくないし、独りでいるところを奇襲され、そのまま人数不利になってしまうこともあり、ここで撃ち負ければ味方全員の不利につながる。

 

一方、敵がこちらの味方をキルしようと思えば基本的に姿を現し味方を狙って動かざるを得ない。
そこで、味方を見ることで、自ずとそれに対応する敵の動きも読めてくる。
多くのブキでキルタイムが0.5秒以下とあっという間に倒し倒される本作では正面から撃ち合うより先手をとった方が圧倒的に有利であることは知っての通りだが、こちらが先に姿を見せるより、味方を狙う相手の出方に対応して奇襲をかけた方が圧倒的に有利になる。
敵の居場所はわからなくても、味方を見ることで自ずとそれに対応する敵の動きも読めてくるというわけだ。

 

エイムを合わせて単独での撃ち合いに対応できるのも重要ではあるが、エイム力自体はある程度のウデマエ以上に達したイカであればそう大差ない。
有利な状況を作ってから敵をたおすことを考えなければ、そのときの運やエイムの調子、ラグなどに左右される安定しないプレイングになりやすい。
そんなとき、味方が一人でも近くにいれば、自分を襲ってきた敵を返り討ちにしてくれたり、
逆に味方を襲う敵をキル出来るため、仮に自分が不調でもただ独りやられるだけで終わる可能性はグッと低くなるのだ。

ガチマッチの本質は「ポジションの奪い合い」である

ガチマッチは、オブジェクト(エリア、ヤグラ、ホコ、アサリ)をめぐる攻防だ。
どのルールもオブジェクトのカウントが勝利条件であり、敵をいくらたおしてもそれだけで勝つことはない。
防衛側は敵のカウントをいかに進めさせないかに死力を尽くすことになり、
攻め側はそれをいかに切り崩すかが求められることとなる。

 

カウントを進めさせない最も手堅い方法とは「有利なポジションからオブジェクトを妨害すること」である。
攻め側にとって、アプローチしにくい場所から一方的に攻撃され続けている場合、オブジェクトのカウントを進めるのは難しい。
たとえば、

  • ガチヤグラのカンモンに着いたとき、離れた高台から敵のRブラスターエリートの弾がずっと飛んできている状況で、ヤグラに乗り続けてカウントを進められるか?
  • ガチホコバトルでホコを進めるとき、通らなければならない狭い通路に遠くからスプラッシュボムを延々と切れ目なく投げ続けられている状況で、突破できるか?

答えは、言うまでもなくどちらもノーだ。

 

中級者くらいまではひたすらオブジェクトを確保し、敵の数を減らして突撃するだけでも、敵も防衛の勝手がわからないままスキが生まれ、カウントを進められることが多い。
しかし上級者どうしの戦いでは皆が効果的な防衛のしかたを熟知しており、何も考えずにオブジェクトを進めようとしてもまず進まない。

 

つまり、上級者同士のガチマッチオブジェクトを進めるには、それを妨害しやすい敵の有利ポジションを潰すことが必要条件となる。
このことから「ガチマッチとは、オブジェクトを管理するための有利ポジションを奪う陣取り合戦である」と言い換えることができる。
これを理解することが、上級者になるために非常に重要な条件だ。

 

そして有利ポジションは、多くの場合「高台」である
ただでさえ射程の問題で低地から高台へは手出しがしにくく、特に長射程ブキに居座られると大変苦しい戦いを迫られる。
特に、裏取り経路の少ないステージにおける短射程ブキなどはどうしようもないことが多い。
こういった「有利高台にいる敵」に対して、

  1. サブウェポンスペシャルウェポンをうまく利用してどかす
  2. 味方と共同してたおす

の2点を強く意識することが重要だ。

 

スペシャルウェポンは有利ポジションを、周囲の陣地をも巻き込んで強引に奪いとる性能が高い。
敵をたおすことより、有利ポジションに敵がいられなくすることを意識して発動するととても効果的だ。

 

味方との共闘については、味方がどのポジションを潰そうとしているのか?をよく観察し、その味方を直接サポートした方がよいのか、あるいはそのポジションは味方に任せて自分は他のポジションを取りに行った方がよいのか、素早く判断する必要がある。
そして有利ポジションはステージ・ルール毎にに全く異なってくるため、各ステージを詳細に研究することは避けて通れない。
上級者になればなるほど、さんぽの重要性が増すと言うこともできるだろう。

 

デスを抑える

当たり前すぎることなのだが、一周まわって最も大切なことのひとつといえる。
ブキや戦略によって若干違いはあるものの、一般論としては同じキルレシオなら、無理にキル数を多くしようとするより、デスを抑える努力の方を優先すべきと認識したい。
味方との共闘が大事であることは先ほど述べた通りであるが、
相討ちを含めてデスが多いことはすなわち、味方が自分に合わせようとしてくれる機会を奪っていることそのものである。

 

「キルも塗りもしていない」点では共通している「デス」と「センプク」だが、ステージ内にいないデスと、どこに隠れているかわからないセンプク状態は質的に異なる。
生きていることは、

  1. それ自体が、敵のオブジェクトを進める攻めの気持ちを鈍らせる
  2. 敵にクリアリングの手間を与え、時間稼ぎになり、敵に姿を晒させることができる
  3. 味方がたどり着けば、人数有利から敵陣を切り崩しにいけるチャンスになる
  4. スペシャルポイントを失わずに済み、打開の遅れを回避できる。それどころか、カウント不利の状況やオブジェクトを確保されている状況(ガチヤグラを除く)なら自動的にスペシャルポイントが貯まっていく

と、それだけで利点がたくさんある。
つまり、スプラトゥーンでは、何はともあれ生存していること自体に大きな意味があるのだ。
若干の有利にしかならない1キルを無理にとろうとして死ぬより、生き残る時間を長くし、味方と動きを合わせて一気に大幅な有利展開へと持ち込む方がはるかに効果的なのである。

目的意識を持って効率よく塗る

スプラトゥーンの原点は「塗り」だ。
ガチマッチでもこれは同じであり、確実な塗りは勝利の必要条件である。
それは「ポジションの奪い合い」が本質であるという上記で述べられた事項からも理解できるだろう。

 

キルをとることに慣れていない初心者が塗りをがんばるだけでも試合に貢献できるのは、本作のすばらしい点である。
しかしキミは上級者を目指している。上級者の場合、ただひたすら塗りまくるだけでは活躍は期待できないぞ。

 

基本的に、塗りは積極的にすべきだ
どちらかというと、上達してくるにつれてキルにとらわれ塗りがおろそかになるイカが多い。
ステージをしっかり幅広く塗ることを意識するのは非常に重要だ。

しかしながら、戦闘指南・基礎#i73e65e8でも解説されているように、目的がハッキリしない塗りや無駄撃ちには大きなデメリットがある。
それ以外にも、考えなしにただ塗りまくると以下の問題点が生じうることは、上級者ならば知っておくべきだ。

  1. 「インクを塗り広げる間」は基本的にヒトの姿を晒しており、移動速度も遅く、きわめて無防備でやられやすくなる。
  2. 塗りに徹する間は前線での交戦から離脱することとなる。
  3. 自陣を闇雲に塗りまくると、味方がスペシャルポイントを貯める機会を奪ってしまう。
  4. 逆に、こちらが攻めるうえで必要のない敵陣側の床を塗ってしまうと、敵がスペシャルポイントを貯めやすくなってしまう。
     

ガチマッチにおける塗りの目的は、

  1. 陣地の確保(前線の押し上げ、重要ポジションの確保、崩された自陣の立て直し)
  2. 道・足場づくり(中央への進路、ガチホコやガチアサリを運ぶ進路、味方の交戦サポート、中央からの退路)
  3. スペシャルポイント貯め
  4. オブジェクト管理(エリア確保・維持、ヤグラ・ホコ・ガチアサリの管理、アサリ出現ポイントの確保)

の4つに分かれる。今の塗りが主に何の目的(複数兼ねることが普通だが)なのかを明確にすること
そうすれば、必然的に塗るべき場所の優先順位が分かってくるだろう。

 

そのうえで、上で挙げた塗りの問題点を解決するための立ち回りをまとめると、

  1. ヒトでいる時間を極力短くする。塗るためにヒトでいる間はできるだけ敵の死角となる物陰に隠れて動く
  2. 前線が拮抗している状態では味方のサポートにつながる塗りを心がける
  3. スペシャルポイントがたまったら、要所以外の自陣の塗り分は味方にある程度譲る
  4. 必要以上に敵陣の奥深くを塗りすぎない
  5. 重要な位置の壁塗りも忘れずにケアする

となる。

皆がオブジェクトを積極的に管理する(ただし誰が管理すべきか瞬時に判断せよ)

初心者向け指南でも語られる基本中の基本のはずなのだが、
上級者に近づいてくると「俺は強いから攻め込む、味方がオブジェクトをなんとかしろ」という思考になるイカは意外なほど多い。
しかし皆がそう考えてしまえば、オブジェクトを誰も進めず勝てないという、結果的に初心者と同じ事態を招いてしまう。
「敵を全員倒したのに味方が誰もホコを持ってこない!」なんていう経験はないだろうか?
こういった事態は、初心者より、むしろある程度敵を倒すことに慣れた中級者の方が起こりやすいものだ。
一方、後衛ブキが多めの構成で、前衛ブキが毎回毎回オブジェクト管理を担当し、
その結果前線が全く上がらず有利状況を作れない事態も望ましくない。
このことから、だれがオブジェクトを管理するか瞬時に見極め、
味方がそれに合わせないようなら自分でオブジェクトを管理する、という高度な判断が要求される。

優先してたおすべき敵/生かすべき味方を考える

キミはどの敵も同じように攻め、同じようにただ「とりあえずたおせばよい」と考えていなイカ?
一人で全員をバッサバッサとなぎ倒せる実力があるならそれでよいが、
同じような実力のイカが集まるガチマッチにおいて、そんなことはトッププレイヤーでも不可能だ
従って、たおすべき敵に優先順位をつける必要がある。

 

もちろん、ブキどうしの相性により

といった具合に積極的に倒すべき敵・対面を避けるべき敵の関係性はあるが、
ここではそういった意味ではなく、「試合運びのキーになる敵は誰か?」という観点を考えたい。

 

ルールごと、場面ごとにたおすべき敵とは誰なのかについて考える。
たとえば、敵の構成が

ガチエリアで敵に打開されそうな場面を考えた場合、確保において強力なのはおちばシューターバブルランチャーだ。
1回のバブルランチャーで敵全員をエリア周囲から遠ざけ、かつ一瞬でエリアを確保するだけの性能を持つ。
敵の打開をいかに潰すかという観点では、おちばシューターを排除することが最優先事項となる。
1対1交換の相討ちをしてでも、おちばシューターを倒すことには大きな意味がある。

 

一方、ガチヤグラのルールで敵がカンモン阻止を試みているとしよう。
この場合、ヤグラ上を範囲攻撃し容易にキルをとれるホットブラスターと、
ただでさえ遠距離から妨害されやすく、かつハイパープレッサーで無限遠からでもヤグラを強制停止させられるジェットスイーパーカスタムが脅威だ。

 

このように、場面場面で優先して倒すべき敵が大きく変わることを意識するのが重要だ。
今のルールで警戒すべきスペシャルは何か、を試合開始時に考えておくことが重要だ。
なお、一般にボムピッチャーは非常に強力であり、あらゆるルールにおける打開・押し込みの能力が高く、どのルールでも優先的にたおすべきであることも付け加えておく。

 

逆に、これらを味方に置き換えれば、「キー」になるイカが誰なのか、どの味方をイカにして上手くイカすかも重要であることがわかるだろう。
「あとはヤグラを止めれば勝利確定!」という状況で味方のハイパープレッサーが貯まっている場合、このイカを護ることこそがもっとも確実な勝利への道となるだろう。

動きの起点に効果的なサブウェポン

キミはサブウェポンを敵に向かって何となく投げていなイカ?
ほとんどの上級者は、サブウェポンの使い方が大変上手だ。

 

投擲型サブウェポンの使用目的を細かく分けると、主にイカに分けることができる。

  1. 牽制(および撃ち合いの補助)
    →見えている敵・地点に投げ、その敵や地点を意識していることを伝え、ポジションを移動させたり通路をふさいだりする
  2. あぶり出し
    →いるかもしれない敵をどかして、敵の位置をこちらから先に把握する
  3. (ボムの場合)キル
    →敵のジェットパック着地地点に置いておく、逃げ道の途中に置いておく、物体に投げつけ即爆させるなど
  4. (一部のボムの場合)塗り
    キューバンボムや溜めタンサンボムの広範な塗り、クイックボムの瞬間的塗り、カーリングボムの直線塗りなど

特に1、2のために効果的な地点に投げ、こちらから敵の不利を誘い出してこちらから有利をとれるかどうかが、上級者かそうでないかの分かれ目だ。
たとえていうなら「第2の自分」のように使うことを意識するようにするとよい。
味方の行動を変えるのは簡単ではないが、サブウェポンなら目的を持って投げれば、自分の意図したとおりに働いてくれるのだ。
敵インクがある場所に近づかなければならない際は、特に短中射程ブキでは、一瞬踏みとどまって自分の進路や曲がり角の奥などへサブウェポンを投げる癖をつけるとよい。
撃ち合いの場面においても、自分や味方と撃ち合っている敵の退路へそっと繰り出しておくだけでも敵の動きを大きく制限できるし、運が良ければサブウェポン自体でキルをとることもできる。

 

問題として、メインウェポンに比べてインク消費が非常に激しいことが挙げられる。
つまり、意味のない場所にただ投げる行為は、インクを大幅に無駄遣いし、かつインクが減った無防備な姿を晒し出す行為と同じであると心得よう。
「そのサブは何のために投げるのか?」という目的意識を必ずもって使うことが重要である。
牽制やあぶり出しも、中長射程ブキの場合はメインウェポンで行った方が効果的なことも多い
ボムを本当に投げる必要があるのか?を常に考えるクセをつけよう。

 

メイン1本で戦うのは無謀というもの。ブキセットすべてを使いこなせて初めてそのブキの真価を発揮しているといえるぞ。

射程を強く意識する

初心者は、弾がばらけても当たるよう敵に密着して撃つ場合がある。
中級者になるとそういった状況は減り、長射程ブキの懐に潜り込む、短射程ブキと距離をとるなど、射程を意識した動きができるようになるだろう。
上級者が強く意識すべきなのは射程の先端である。
ここで言う「射程」とは、いわゆる「確定数を維持できる射程」のことと思ってよい。
敵の射程が自分より長ければ懐に潜り込むのが、短ければ距離を置くのが有効であるのは基本だが、
つまり結局は相手が長射程でも短射程でも、基本的に自分の射程の先端で敵をとらえるのが原則最も有利ということになる。
さらに、意外と気づかない人もいるが、メインウェポンの塗り跡は、ほとんどのブキに共通で射程の先端が最も密になっている
一見、射程先端で敵をとらえようとすると当たりにくく戦いにくいように思えるが、
射程先端がもっとも塗れるため敵の足場を奪いやすいこと、
また自分を軸にして敵の同じ移動距離に対してレティクルを動かさなければならない距離も離れている方が小さくて済む。
極力、自分の射程先端で敵を捉えられるような位置関係に予め持ち込むことがその後の戦闘を有利にするのだ。

射撃中にセンプク移動を交えエイムずらし、側面・背後取りを同時に行う

ただのヒト歩きで撃ち合いをしても、置き撃ちや偏差撃ちを極めた上級者相手ではあっさり撃ち負けるだろう。
撃ち合いの最中にイカ移動を絡めて敵をかき乱すのは必須の技術だ。
それと同時に、攻撃する際は敵の背後を取るクセをつけるのが重要だ。
正面から撃ち合う博打より、敵がエイムを見失ったところをしとめる方がはるかに確実性が高いのだ。
エイムずらしと背後取りを同時に行える動きを磨く必要がある。
実戦でどう行えばよいか難しければ、試し撃ち場のバルーンを最大限に活用して素振りをしてみよう。

1確ブキは直撃が前提である

1確のブラスターチャージャーなどは敵になにもさせないまま一方的に倒せるのが最大の強みだ。
他の総合的性能(機動性、広範な整地力など)は低いため、これを重要な局面で外すことは、そのまま不利に直結することになる。
1発での撃破が基本であると心得、エイム強化に励もう。

目の前で発動されたスーパーチャクチは確実に撃ち落とす

上級者への登竜門とされる。細かい話に見えるが、これにはちゃんと理由がある。

 

実は「『今から発動するよ、せーの』といわれてから目の前で発動されたスーパーチャクチを、
発動から降下開始までの1秒間に撃ち落とす」のは、おそらくほとんどの中級者ができる。
実際、試し撃ち場の一番手前の金網にある風船を正面を向いた状態から「せーの」でエイムして割ってみよう。
これで1秒以内に撃ち落とせるのなら、その行為自体できる技術はあるということになる。
ではなぜ中級者が実戦で撃ち落とせないかというと、発動されるタイミングがわかっていないからである。
タイミングをわかるとは、すなわち「目の前の敵はスーパーチャクチを発動できる(しそう)」と認識していることであり、
これには、

  1. 目の前の敵がスーパーチャクチ持ちのブキであること
  2. 目の前の敵のスペシャルゲージが貯まっていること

を把握し、その敵と戦う際にはチャクチを使うだろうとあらかじめ予想しておく必要があるということだ。
もちろん、センスや努力により高いエイム力を身につけ、とっさの瞬間的エイムだけで対処できてしまうイカもいるだろう。
それはそれで素晴らしいことで、是非とも強みにするべき長所なのだが、
瞬間的エイム力だけに頼った戦い方をしていると、試合全体の組み立てがおろそかになり、先の読み合いとなる上級者同士の試合では通用しにくくなる。
そして、そんな高度な特殊なエイム力を備えたイカは、上級者の中でも決して多数派とは言えない。
瞬間的エイム力も大切だが、多くのイカにより求められるのは敵のブキ構成、スペシャルゲージといった全体的戦況の把握なのである。

試合外の行動

ステージ研究を欠かさない

上級者のステージに関する知識は非常に豊富だ。
敵の動きを読む上で、攻撃・防衛時や牽制時などにおける有利なポジションを熟知していなければ太刀打ちできない。

把握すべき情報はイカの通りだ。

  • 防衛の要所(オブジェクトを安全に止めやすい場所)
  • 防衛の要所に対する妨害や裏取りのしやすいルート
  • 敵陣から死角となる、敵陣への侵入ルート
  • 移動経路として使える、塗れるカベの場所
  • そのルールでだけ設置されている床、壁、ブロック類

同じステージでもルールによって構造の違いは多く、ルールによっては思わぬ場所が塗れたり移動できるようになっていたりする。
中でも、ある場所に小さなブロックなどが特定のルールでだけ置かれているようなケースは非常に多いが、ルールごとに違う箇所は、些細なものでも必ず意味があり、それがルールごとの要所の存在を示唆する場合が非常に多いことは知っておくべきだ。
物陰にする、塗ってセンプクする、攻めの際に敵陣侵入ルートにするなど、そのポイントを上手く使うことは必ず試合を有利にする。
なぜそのルールでだけそのブロックがあるのか?を考え、ルールごとのステージ戦略に反映させることを常に意識しよう。
そのためにはさんぽを積極的に活用し、これらに基づき作戦のシミュレーションをじっくり行うことがとても大切だぞ。

 

また、自分が主に持つブキで、どこから撃つとどこまで届くのか、敵の要所となる高台へ届くのか届かないのかの把握は、
基本でありながら余裕のない実戦で確認するヒマはなく、意識的に行わないとおろそかになりがちである。
ぜひともさんぽで確認しておきたい。