SandBox/読み合い/ステップについて学ぼう

Last-modified: 2023-09-05 (火) 16:48:33

はじめに

『スマブラSP』は、『64』『DX』ほどではないが走り始めのモーション、通称「ステップ」の自由度が高くなっている。
(公式用語では「ダッシュ」とされることもあるが、「ダッシュ」だと「走行」と混同しやすいため「ステップ」と呼ばれることが多い。当ページでも「ステップ」として扱う。)
何も考えずにスティックを左右に倒すだけでもシャカシャカとステップを繰り返すことが出来、自分が上級者になったかのような気分になることもあるだろう。

しかし、ステップは前作ほどではないがまだまだ危険度の高いアクションであるということは意外と知られていない。
このページは効果的なステップの使い方、効果的でないステップの使い方を少し踏み込んで説明するコーナーである。

基礎編

ステップ・走行の共通ルールをおさらいしよう

ステップの共通仕様を知っておかないと説明出来ない部分もあるので一応おさらい。
仕様をしっかり知っているのであれば、この項目は読み飛ばしてもらって構わない。

まず、ステップとは左スティックを横に弾き、走行に移行しなかった状態であると言える。
ステップ中はフレーム毎にさまざまな行動でのキャンセルが解禁されていく。ステップ中の移動量は左スティックの入力量に応じて増減する。

ステップをキャンセル出来る行動は以下の通り。

フレーム解禁される行動
2F~16F~ジャンプ、反転ジャンプ、ダッシュ攻撃(右スティック)、ダッシュつかみ、ふりむきつかみ
上スマッシュ攻撃、上必殺ワザ、横必殺ワザ、アイテム投げ
2F~6F、15F~反転ステップ、後方回避、横スマッシュ攻撃
2F~5F、16F~前方回避
7F~16F~ダッシュアイテム投げ
15F~弱攻撃、強攻撃、下スマッシュ攻撃、通常必殺ワザ、下必殺ワザ
16F~進行方向へのステップ

ステップモーション中はシールド、その場回避が使えない。
また、立ち状態から反対方向にステップをした場合、以下の要素が解禁されたりするまでに+2Fされるようになる。(ホムラのみ+3F)
・走行移行(ダッシュガードが出来るようになるフレーム)
・ステップの全体F
・ダッシュ速度が適用されるまでのフレーム
上の方の表で説明されている「ステップをキャンセル出来る行動」に関してはこの+2F(+3F)の影響を受けない。

スティックを倒しっぱなしにしているとファイター毎に設定されたフレームから走行状態に移行するようになる。
走行時に出来る行動は「ステップをキャンセル出来る行動」よりも豊富。よく「ダッシュガード」と呼ばれる行動がいい例である。

走行移行は、左スティックを横に弾いてその方向に倒しっぱなしにした場合に各ファイターに設定された走行移行フレームに応じて行われる。
走行状態はステップの状態よりも自由度が高い状態である。「ダッシュガード」が使えるようになるのがいい例だろう。
走行移行Fは以下の通り。

発生Fファイター
7Fシーク、カムイ
8FMr.ゲーム&ウォッチ、射撃Mii
10Fその他のファイター
11Fファルコ
12Fリンク、カービィ、こどもリンク、メタナイト、ピット
ブラックピット、ゼロスーツサムス、ワリオ、トゥーンリンク、剣術Mii
13Fピカチュウ、ネス、プリン、クッパ、アイスクライマー
むらびと
14Fヨッシー
15Fドンキーコング、キャプテン・ファルコン、ピーチ、デイジー、ゼルダ
ガノンドロフ、Wii fit トレーナー、ロゼッタ&チコ、リトル・マック
16Fルフレ

これらのルールは自動振り向き時のバックステップ以外は基本的にどのファイターであっても変わらない部分となる。

ステステとは何か、ステステは強い行動なのか

ステップをキャンセルしてステップを行うテクニックのこと。
ステップから15F目以降に解禁される反転ステップや、16F目以降に解禁される進行方向へのステップを行うことが「ステステ」と呼ばれやすい。
特に、反転ステップの繰り返しを立ち回りで行うプレイヤーは数多い。
簡単操作でシャカシャカと動くため、立ち回りのことがよくわからずとも雰囲気が出て強そうに見える行動である。
スマブラSPに慣れていないプレイヤーはこのシャカシャカと動き回るステステに翻弄されて敗北を喫したこともあるだろう。

ではステステは強い行動なのか?
そんなことはない。ハッキリ言ってしまうと、「最終的には強い行動ではなくなる」
目的を持って行わないと、ただただ無防備な姿をさらすだけになってしまう。
言葉は悪いがステステのみで戦うのは基本的にただの分からん殺しや初心者狩りムーブにしかならず、通用しない相手に対しては地上戦が破綻してしまうだろう。

ステステの弱点とは?

単刀直入に言うと、「ステップの最中はシールドが出来ないため無防備」ということである。
走行に移行せずステップで動いている状態の時は、シールドを張ることが出来ない。横軸で戦う上ではかなり無防備な状態である。
相手のダッシュ攻撃や空中攻撃、飛び道具などが置かれているとモロに引っかかってしまう。
特にキャプテン・ファルコンやヒカリといった足の速いファイターを使ったことのあるプレイヤーなら思い当たる節はあるのではないだろうか?
サムスの飛び道具やダッシュ攻撃に引っかかる、ネスの空中攻撃やファイヤーに引っかかる、ジョーカーのガンやエイハに引っかかる……などなど。

また、弱点はこれだけではない。
もう一つの弱点は「最速で行った場合、確認行動を取れていない瞬間がある」という点。
このゲームの15Fや16Fは内部遅延のせいで確認が不可能な数値である。
例えば引きステップが自分に何をもたらしたのかを確認して最速で前ステップを入れることは不可能だということだ。
ここで仮に引きステップで攻撃を透かして前ステップで攻めに行くという動きを取れていたとしても、それはただ「たまたま噛み合った」だけであり、相手の動きに能動的に対応した訳ではないということが導き出される。
前ステップの瞬間で確認をとっている場合は、これまた手癖で引きステップを入力してしまっていたということになるため、これも「画面を見ている」とは食い違うということになる。

この2点が非常に厄介なポイントであり、ステステでビビる相手でなければ手癖でステステを行うと次第にそれは隙となってしまう。
まずは特にプレイヤーが強いと誤認しがちな「反転ステップを繰り返すステステ」以下「反転ステステ」について考えてみよう。
断りがない場合は「ステステ」は基本的にステップの後半部分を反転ステップでキャンセルする「反転ステステ」を指していると考えてもらいたい。

具体的にどういった場面で反転ステステを使うと危険なのか

最も危険なパターンは、「見てから対応できない範囲と見てから対応できる範囲の境界」をステップで跨いでしまうステステ。
これは最悪のパターンであり、ステップした瞬間その範囲に攻撃判定が置かれているとなすすべなく攻撃がヒットしてしまう。
ダッシュガード、歩きガードなどで近距離に潜り込むよりも危険な接近方法であると言える。

次に危険なパターンは「飛び道具や牽制ワザなどが飛び交っているシーン」のステステ。
これは非常にシンプルで、近くに攻撃判定が存在するのに前にステップをしたら危険なのは言うまでもない。
「飛び道具対策は歩きガードやダッシュガード」はよく聞く対策だろう。

この2つのシーンはお互いが相手の攻撃を避け、自分の攻撃を当てようとしている場面であることがわかる。
これは一般的には「立ち回り」「差し合い」と呼ばれる場面の一部である。
つまり、立ち回りで反転ステップを繰り返すステステを行うのは基本的には危険な行動であるということだ。

反転ステステのリターンについても考えてみよう

いくら危険とは言っても、リターンがあるなら使う価値があるかもしれないじゃないかと思う方はいるだろう。
反転ステップを繰り返すステステは主に「前ステップ→引きステップ」と「引きステップ→前ステップ」の2種類存在する。

まず前者について考えてみよう。
前ステップから引きステップを行うと、まず自分の位置は基本的には最初と同じような位置になっていると思われる。
では、引きステップを行って何か変わっただろうか?よっぽどビビり散らかした相手でない限り、何も変わらないと思われる。
なぜなら、前ステップをして確認をせずに引きステップを行っているので、相手も引きステップまでにこちらの行動を認識できないからだ。
そして前ステップが無防備な状態であることには変わりがないので、相手の置き技に引っかかる可能性だけ作ってしまっているということになる。
置き技に引っかからないような遠距離でこれを行った場合は、リスクは少ないがリターンも非常に極小なものである。
ここで行ったことは基本的には立ち状態を続けたり、置き技を置いたり、歩きジャスガを狙ったりなどの行動の劣化にしかなっていない。

次に後者について考えてみよう。
これもリターン面では前者とあまり変わらない。ただし、リスク面ではややマシにはなっている。
見てから対応できない攻撃範囲の外でこれを行った場合は、相手の攻撃がステップによる引きにかみ合って透かせる可能性がある。
もっとも、入れ込みで前ステップをしてしまうので確定反撃が安くなる可能性はあるが。
じゃあ悪くないじゃないかと思われる方もいるかもしれないが、一度冷静になって考えてみてほしい。
「引きステップだけで完結しており、前ステップを入れる必要は無い、つまりステステである必要性は無いのではないだろうか?」
ステップの引きに相手の攻撃が噛み合ったシーンは引きステップから確認を取っていれば、よりリスクが低く、よりリターンを高く出来ていたかもしれない。
つまりステステは結果的には悪手……は言い過ぎかもしれないが、最善の手ではないことは間違いないだろう。

そして見てから対応できない攻撃範囲の内でステステを行ってしまった場合。こちらは問題である。
攻撃範囲に重なっている状態で無防備になっている上、前ステップで戻ってくるので2回も無防備な状態を晒しているということになる。
しかも、こちらに関してはリターンもほとんどない。相手の差し込みに対して対応しづらい状態であり、やはり入れ込みで前ステップをしてしまっているのでしっかりとしたリターンも取りづらいためだ。
置き技をたまたま透かすシーンはあるかもしれないが、やはり引きステップから確認、ジャストガード狙いのガード単押し、垂直ジャンプによる様子見などの劣化版と言えるだろう。

リターン面で考えても、実は反転ステステはそこまで魅力的な手ではないということになる。

Q.上級者も反転ステステを使ってるじゃん。じゃあ上級者も間違ってるってこと?

そもそも上級者が取っている行動すべてが合理的であるという保証はどこにもないのだが、それはさておき。
ステステを行う利点が完全に無いわけではない。ステステの恩恵を理解していれば、それを活かすように動かすことは可能だ(それが最善手かどうかは別)。
いくつか利点を挙げよう。

  • 着地狩りなどのシーンで切り返しのジャンプに左右慣性を乗せやすく出来る
    おそらくこれが最も大きな恩恵だと思われる。
    ステップして反対方向にジャンプをしようとした場合、その方向のジャンプに慣性を乗せようとすると思ったより移動してくれないことがある(これについてはキャラ差が非常に大きい。ロイなどが分かりやすいか)。
    ここで反転ステステをしてからジャンプをすると、横移動量が大きい状態でジャンプをしやすくなる。
    着地狩りにおいて大きく横に移動が出来ると相手の横移動を大きくカバーして着地狩りがしやすくなるだろう。
    ステステを繰り返すことで、勢いのいいジャンプをいつでも出せるようにする、といったところである。
  • 立ち状態よりも姿勢が低くなる
    これはキャラ差が非常に大きいが、インクリング、シーク、ジョーカー、ディディーコングのようなファイターはダッシュ姿勢が非常に低い。
    このため、シャカシャカと動くだけで打点の高いワザを避け続けるといったことが可能となる。
    最低空空中攻撃が苦手なプレイヤー、そもそも打点の高いワザばかりなファイターには刺さりやすい。
    もっとも、ガードが出せないということには変わりがないので対処法が無い訳ではない。立ち回りで振る技を変えるなどが求められる場合はあるが。
  • キャラ固有のテクニックが存在する
    ダックハントはカンとイヌを同時に操作するためにステステを駆使する場合がある。
    走行では替えが効かない動作であるため、ステステを使わざるを得ない。
    このようにステステ周りでキャラ固有のテクニックがある場合はステステを取り入れる必要が出てくる。
  • 相手プレイヤーがステステに必要以上にビビる場合、それだけで勝てる
    要は格下狩りムーブ。スマッシュをぶんぶんする、飛び道具をその場でばらまき続ける、ダッシュ攻撃を最速で連発する……これらの行動は理論値的には非常に弱い行動だというのは多くの人が察せると思われる。
    しかし、スマブラに慣れていないプレイヤーに対してはこれらの行動をするだけで「楽に」勝つことが出来る場合が多い、ということもまた多くの人が理解しているだろう。
    これがステステメインの立ち回りにも当てはまっているだけの話である。何も、合理的でない行動をしたから即勝てないという訳ではない。
    そもそもこの行動の弱い部分を理解していないのであれば翻弄され続けてしまうのは何もおかしな話ではない。

進行方向にステップを繰り返すステステについて

これに関しては主に「その方が速く移動できる」という利点を使って相手を追いかける場面で使うと思われる。
吹っ飛んだ相手を追いかけるためのステステは、「ステップはガードが出来ず無防備である」という最大の弱点が働かないシーンでのステステであるためこれに関しては最適解の場面もあるだろう。
しかし、お互い向き合って技を振るシーンでは、この行動は不必要に近づきすぎるし、リスクも大きい。

普通に走る方が速いファイターに関してはこのステステを使うことはまずほとんどないかと思われる。
せいぜいセットプレーのための位置調整に使う程度か。

ステップの移動量を調整しよう

ステップの移動量は、左スティックを倒した時間によって変わる。
スティックを倒した時間がきわめて短い時間であるなら短い移動量のステップになるし、倒した時間が長ければステップの移動量もそれだけ長くなる。
ただし、各ファイターに設定された走行移行F以上の時間特定の操作をせずに左スティックを倒し続けると走行に移行するので、ステップの移動量を最長にするには「最長ステップ」「ダッシュウォーク」と呼ばれるテクニック*1を行う必要がある。
ダッシュウォークの操作についてはさらなるテクニックを参照のこと。

短いステップを踏む、ステップの前半部分をステップでキャンセルするクイックを使う、最長ステップを使う、走行に移行して最短でブレーキを踏むなどなど、ステップ一つでも多彩な動き方がある。
足の速いファイターやリターンの高いパワーファイターはある程度ステップのゆさぶりに効果があるのだが、こういったバリエーションを持たせて変幻自在の動きを取れなければただただ単調で相手に食らい判定を差し出すだけのムーブになってしまうだろう。
自由自在に動かせるよう、操作精度を高めるべし。

発展編

ステップを使うタイミングを考えよう

ここまではステステ、特に前に出るステップを「危険な行動」として紹介してきたが、そうはいっても全くステップをせずに立ち回ることは現実的ではない。
そもそも、走行状態になるためにはステップを使わざるを得ないためだ。
となると、いつどのようにステップを踏むのが低リスクになるかというのを理解する必要がある。
いくつか紹介しよう。ファイター固有の仕様を使った行動は割愛している。

見てから対応できない攻撃の範囲内に入っている状態で使う

そもそも見てから対応出来ない範囲に入っているという状態は、ステップをしなくても危険な状態にあると言っていい。
ステップを使って択を仕掛けに行くには絶好の機会であると言える。ここでの択の強さはプレイヤースキルに密接にかかわる部分である。
この場面のステップが通るせいでしょっちゅうステステをしてしまうというプレイヤーも少なからずいるだろう。

  • ダッシュガードちょん押し
    ダッシュガードをしているのでステップから走行に移行しているのだが、近距離のダッシュガードは強行動の一つなので記載。
    一部の走行移行フレームの遅いファイターを除き、ダッシュガードとは全体Fが標準走行移行Fの10F+ガードの最短全体Fの14Fを足した24F、更に実質後隙6Fで行える差し込み行動である。
    (シールド最短押しは1-3F無敵、4-8Fジャストシールド受付、9-14F硬直)
    相手が着地をしないといけない状態、引き行動を出来ない状態などこちらから離れることが叶わないシーンで特に効果を発揮する。

様子見の引きステップを単体で行う

引きステップをしつつ相手の行動を確認するというのはシンプルにローリスクな様子見の手段である。
前ステップはリスクが高いが、引きステップはそこまでリスクの大きな行動ではない。
ステップ後の行動は引きステップ時に確認した行動に対応した選択肢を取っていけばいい。
確認行動なので入れ込みで前ステップを入れないように。元の位置に戻る時は、ステップよりも歩きやジャンプの方がローリスク。

相手が非常に遠い位置にいる時に追いかけるために使う

基礎編でも紹介したが、進行方向へのステステや走行を行うためのステップは、相手が非常に遠い位置にいる時に使う。
射程の長い飛び道具を持つファイター相手には気を付けた方がいいが、その他のファイターは遠距離で行われたステップに技をひっかける手段を持たないものがほとんど。
この場面のステップは有効なステップと言える。もっとも、反転ステステは位置を変えず相手を追いかけないステップなので意味は無いが。

相手の攻撃をその場回避的に避けるクイック

ステップの2F~6Fの間で可能な反転ステップ、こちらは一般的なステステよりもローリスクである。
これを使って一瞬だけ身を引く動作は、相手の強攻撃読みなどで使うことも可能。(ステップ全体Fが長いファイターは無理があるが)
もっとも、これを利用するのは操作的にもタイミング的にも難易度が高い。
もっと言うなら、ジャストシールド狙いのシールド短押しやその場回避、その場垂直SJ、引き歩き、普通の引きステップ様子見などを使い分けるだけでも十分。
技で身を引けるファイターはそちらでも代用出来る。
一般的なステステよりはローリスクだが、結局のところ強行動かどうかは怪しいところ。
フェイント的な使い方でステステを使う場合はこちらが推奨される。

非常に攻撃範囲の広いファイターが荒らし・釣り行動としてステステを使う

フォックスや疾シュルクなどのようにとんでもなく攻撃範囲が広くダッシュ行動のリターンも高いといったファイターであれば、話は変わってくる。
ここまで説明したステップに関する理論を破壊するレベルで自由にステップを使うことが出来る。
何故なら自分の見てから対応できない攻撃の範囲が相手のファイターの見てから対応できない攻撃の範囲よりも圧倒的に広くなるからだ。
無意味なステップを繰り返していても攻撃範囲の差のせいで相手側から手出しが出来ないのであれば、ステステが直接的な原因で負けることはないだろう。つまり自由であるということだ。
一般的な攻撃範囲を持つファイターは、このようなファイターの真似をすると痛い目を見るので注意。
また、攻撃範囲の優位性で自由なステステが許されているため、ミラーなど同じような攻撃範囲を持つファイター相手に舐めた自由なステップを仕掛けるのは自殺行為であることはわきまえておきたい。
自由なステップが出来るファイターであっても、何がローリスクなステップで何がハイリスクなステップかを知っておくことは重要である。

Q.フェイント的なステステはないの?

A.ステップ単体でのフェイントは存在するが、ステステはリスクリターン的には基本的に微妙である。
そもそもステップ単体もしくはダッシュガードは基本的に見てから咎めることが出来ない行動である。
つまり、フェイント的にステップを使うにしてもステステである必要はあまりない。
引きステップで何かを釣れたのであれば前ステップ入れ込みよりもリターンの大きい行動があるし、前ステップを一度通せたのであれば引く理由がほぼ無い。
前半部分でステップをキャンセルして反対にステップをするクイックならまだしも、後半部分でステップをキャンセルする「反転ステステ」はあまり推奨されない。

が、何事にも例外はある。
疾シュルクやピオリム勇者、フォックスといった見てから対応出来ない攻撃の範囲が激烈に広く、ダッシュを通した時のリターンの大きいファイターがいい例。
これらのファイターなら攻撃範囲の優位性を使って本来リスクでしかないステステで相手を揺さぶれてしまう。
そのほかはクッパやガノンドロフ、ガオガエンのような近距離技を通した時のリターンが高く、「10回読み負けても1回択を通せば勝てる」といったファイターもフェイント的な活用をしやすいだろう。

その他は相手ファイターやプレイヤーが対応できない場合。
何をやっても揺さぶれるような相手であれば、ステステでも揺さぶっていくことは可能。

もっとも、ステステそのものは行動として強い訳ではないので、上記のファイターや状況であってもステステだけで戦うのが推奨されないことに変わりはない。
歩き、垂直小ジャンプ、ジャストシールド狙いの短ガード、ガンダッシュ、硬直の少ない技振りなどなど、様々な揺さぶり方があるので模索すべし。

その他

何故リスクリターン的に微妙であるはずのステステをしてしまうのか

ここまでステステの弱さを説明したが、「じゃあ何で多くの人が、何なら上級者でも微妙なステステをしてしまうのか?」と考えた方もいると思われる。
これに関してはある程度理由があり、「知識不足」と「ミス」と「甘え」の3つに大別される。
これに加えて「してしまう」ではなく「あえて弱い行動を使う」というパターンも存在するので、併せて紹介する。

  • 知識不足のパターン
    そもそも、ステステをしたせいで攻撃をもらった・ステステをしたせいでリターンが安くなったというのは、漠然と試合をするだけでは認識しづらい部分である。
    ステステのせいで攻撃を貰っても「読み負けた」と認識しがちだし、「リターンが安くなった」は試合をじっくりと見つめなおさなければ気づかないだろう。
    ステステに限った話ではないのだが、立ち回りを理論的に強化したいのであれば自分の操作一つ一つを見つめなおして「これは本当に読み負けなのか、これは本当に最大リターンなのか」という自問自答をすることが必要になってくる。
  • ミスのパターン
    スマブラSPの歩きや反転といった操作は繊細。なので、ステップをするつもりがなくてもやってしまうことは多々ある。
    また、以前ステップをしすぎる手癖がついているとわかっててもついつい無駄なステップを踏むということもあるだろう。
    凡ミスは誰にでも起こりうる事象であり、操作精度やメンタルの安定化を図りミスを減らすしかない。
  • 甘えのパターン
    歩きや反転といった操作が繊細という話をしたが、ステステというテクニックは大味な操作でちょこちょこと動けるため、早い話が「お手軽」である。
    確認行動が出来なかったりガードが出来ず無防備な瞬間が多かったりと欠点は多いものの、その欠点を突けないプレイヤー相手になら機能する。
    知識不足でこれを処理出来ないプレイヤーは少なくないので、ついつい繊細な操作から逃げてお手軽操作をしてしまうことはダメと分かっていてもありえる。
    これは何もステステに限った話ではない。慣れていないプレイヤーに対して非確定コンボを狙う、飛び道具やスマッシュ、突進技を連発するといった動きと根っこの部分では変わらないのだ。
    甘えと分かっていて使う分には対戦中の消耗を抑えられるので有用ではある。が、理論的に立ち回りを研究するという趣旨からは外れてしまうだろう。
  • あえて弱い行動を使うパターン
    ステステに限った話では無いが、駆け引きではあえて弱いと分かっている行動を混ぜることで揺さぶりをかけるケースも存在する。
    弱いとは言ってもそれは「処理されるから」「リスクに対してリターンが小さいから」という理由があってこそ。
    裏を返せば「処理をしなければならない」「リターンが小さいからと通し続けているとハイリターンになってしまう」ということである。
    強い行動を続ける中でノイズとして弱い行動も混ぜることで、「荒らし」の立ち回りが出来るようになる。

    しかしこれは各種行動の強弱・長所短所を理解してはじめて「使う」と言え、手癖やミスでしてしまうのはその行動に振り回されているだけでしかない。
    行動の強弱を理解していないプレイヤー同士の試合で使うのと、行動の強弱を理解しているプレイヤー同士の試合であえて使うのとでは全く勝手が違う。
    そして、行動の強弱を理解する前に弱い行動をとりすぎることは立ち回りをゆがませる原因に繋がる。いわゆる「基本が身につかない」「変な癖がつく」である。
    弱い行動をも使いこなすプレイヤーはほんとうにごく一握りであり、初心者や逆VIP脱出層はもちろんのこと、VIPやVIP魔境といったレベルでも当てはまらない。
    何事もまずは「強い行動を押し付ける」「弱い行動は処理する」ところからである。


*1 名前が違うだけでどちらもやることは同じ