目次
はじめに
スマブラや格闘ゲームをある程度やったことのある人なら聞いたことがあるかもしれない用語、「ライン」や「ライン攻め」。
対戦において非常に重要な概念であり、ほとんどの一定以上のレベルの人はこの概念を意識的、あるいは無意識的にある程度は理解している。
このページはその「ライン」「ライン攻め」とは何かをある程度踏み込んで説明するコーナーである。
当ページの「ライン攻め」は『スマブラSP』の要素を踏まえた考え方となっている。
「ライン攻め」という概念は過去のスマブラや他のゲームにも存在するが、当ページの内容は過去作品や他の格闘ゲームには流用しきれない部分があるので注意されたし。
基礎編
Q.そもそも「ライン攻め」って何なの?
A.それを知るにはまず「ライン」の概念を知る必要がある。
まずは次の画像を見てほしい。
画像の中央にある、自分のファイターと相手のファイターの中間に引いた縦線が「ライン」である。
ラインより自分のファイターに近い方が「自分の陣地」、相手のファイターに近い方が「相手の陣地」。
自分の陣地は自由に動きやすい領域であり、相手の陣地は自分にとっては自由に動くことが出来ない領域である。
以上を理解してもらった上で最初のQに答えると、
この「ライン」を能動的に前に動かして「自分の陣地」を広くし、自身の攻めの自由度を上げて勝利に近づけることが「ライン攻め」の理念である。
Q.じゃあ具体的にどうするんだよ
A.まずは前進することから始まる。
次の画像を見てほしい。(自分はウルフ、相手はルキナと仮定する)
この画像はウルフが前に歩き、ルキナに近づいた状態である。
さて、ラインはどうなっただろうか?
試合開始直後の状態と比較すると、ラインが少しステージ右側に寄っているのがわかる。
この状態は「自分の陣地」が広くなった状態であり、「相手の陣地」が狭くなった状態だ。
ライン攻めの考え方に則れば、「自分が相手の方向に向かって進む」ことでラインを前に動かすことが出来、ライン攻めが進行しているということになる。
これを踏まえて次の画像を見てほしい。
これはよく「ガケ展開」「ラインを詰められている」と呼ばれる状況である。
「ライン攻め」とは何かがわからなくても、ウルフ側が有利な状況であることはなんとなく分かるはず。
では「なんとなく」ではなく、「ライン攻め」という考え方に則ってこの状況を見てみよう。
試合開始時からするとラインがかなり前に押し上がっていることがわかる。
要するに、「ライン攻め」を続けていれば最終的には上記の画像のような状況に追い込めるということだ。
この状況はウルフ側が行動の自由度が高いので有利、ルキナ側は行動の自由度が低いので不利。
ひとまずはこの状況を作れるように立ち回りたい。
Q.前に出たら引き行動に潰されて負けるだろ。弱くね?
A.引き行動にも弱点がある。その弱点を突くことでライン有利を獲得することが出来る。
無論、ガケ展開のような状況を作るためには「自分が相手の方向に向かって進む」という考え方だけでは不十分である。
ウルフが不用意にダッシュ攻撃で前に突っ込んでしまったため、ルキナの引き横スマッシュに迎撃されてしまった。
ウルフは吹っ飛ばされてしまい、再度試合開始時のような位置に押し戻されてしまった。これではラインが上がらない。
ある程度このゲームをやっているなら分かるかもしれないが、『スマブラ』は迎撃行動が強いゲームである。
ダッシュ攻撃をしたらシールドで防がれ確定反撃を食らう、ジャンプで飛び込んだら引き横スマッシュで迎撃される……といった経験は誰もが通る道である。
考えなしに前に出て突っ込んでも、相手に迎撃されてしまい理想的な展開を作ることは出来ない。
特に引き行動に関しては防御行動としては非常に強力な手札であると言わざるを得ない。
では、相手に引き行動をされたら勝てないのか?引き行動は完全無欠なのか?
そんなことはない。引き行動にも弱点があり、それを突くことでライン有利を獲得することが出来るのである。
次の画像を見てほしい。
先ほどはウルフがダッシュ攻撃をし、ルキナに引きステップで避けられ反転横スマッシュで迎撃されてしまった。
さて、この画像はどうだろうか?そう、ウルフがダッシュして何もしなかったことでルキナが引き横スマッシュを空振りしている。
その結果、ウルフのラインが前に押し上がった状態でお互い立ち状態で見合っている形となった。
画像で空振りしたワザはルキナの横スマッシュなので、このまま硬直を狩りに行ってもよい。とは言ったものの、そんな安直な引き行動を何度も行うプレイヤーはそういないだろう。
例えばこの引き行動が「横スマッシュ」ではなく「引きジャンプ→最低空の前空中攻撃」とか「引きダッシュガード」だったりすると直接硬直を狩るのは難しくなる。
だが、ここで注目してほしいのはウルフはダッシュから何もしなかったのにもかかわらずラインが上がっているということ。
引き行動が横スマだろうが最低空の空前だろうがダッシュガードだろうが、ウルフは「ダッシュからなにもしなかった」ので「ラインが上がった」という結果は変わらないはずだ。
引き行動の弱点はこれである。
身を引いて迎撃しようとした位置に相手がいなかった場合、相手が前に前進していると相手にタダでラインを上げさせてしまうという結果になる。
引き行動を考えなしに繰り返している相手には、「前に出て何もしない」を繰り返すだけで次の画像のような状態まで追い込めるだろう。
そう、一つ前のQ&Aで掲載した画像の状況、「ガケ展開」である。
つまるところ、相手から「ヒットしない引き行動」を続けられることはこちらがライン攻めをする上では非常にありがたい行動なのだ。
何も考えずずっと引き行動を繰り返すのは別に最強でも何でもないということが分かるだろう。
不必要に引き行動をせず、相手の不用意な引き行動には相手が引いた分だけ前に出ることで引き行動にリスクを付けることが出来るようになる。
Q.相手の引き行動にリスクを付けられることは分かったけど、じゃあ相手がライン攻めの基礎に則って引かずに前進してくる場合はどうするの?
A.ラインを維持しつつ、相手の前進に対して迎撃する。
何も迎撃は引き行動だけに限った話ではない。例えば次の画像を見てほしい。
相手の位置にダッシュしようとしたら画像のようなその場で横強攻撃を振り回す行動に引っかかったことはないだろうか?
こういった引き動作を伴わない置きワザも立派な迎撃行動だ。
ガノンドロフの垂直ジャンプ空N、シモン・リヒターの横強といったワザも、引き動作を伴わずに相手を迎撃出来る。
迎撃に向いたワザはファイター毎に異なるのでそこは各自で調査されたし。
引き動作を伴わない迎撃行動を取ることでライン維持・ライン攻めの糸口が見える。
相手の攻め・前進の手段を予測し、それに合った迎撃手段を行使することで自分のラインを維持しよう。
ここまでのQ&Aを踏まえると
「無暗に引き動作をしない」「相手の引きに対して前進する」「相手の前進に対して迎撃を行う」
という3要素がライン攻めの基本を押さえるのに必要な行動であると言える。
Q.引き行動をせずに迎撃することが出来ない!どうやって迎撃するの?
A.相手の攻撃範囲に入らないギリギリの場所に立ち入る
「攻撃範囲」をもっと正確に言うと、「見てから反応出来ない攻撃範囲」のこと。
人間の反応速度は速い人でおおよそ12F程度と言われており、Switchの内部遅延6Fまで考えると18Fまでは見てから反応出来ないフレームであると言える。(オンラインでは更に最低4Fの遅延が入る)
なお反応速度は多少の個人差があり、おおよそ15F程度までは反応出来ない可能性がある。遅延と合わせて21F(25F)くらいまでに届く判定を攻撃範囲とするのも無くはない。
ただしあまり反応速度を遅く設定してしまうと画面全域が攻撃範囲になってしまうので、このあたりはなるべく厳しく想定するべきである。
どんなに遅くても15F(内部遅延込み21F、オンで25F)までと設定しよう。当ページでは12F(遅延込み18F)を見てから反応出来ないフレームとする。
例えば、次のワザの届く距離は「攻撃範囲」に該当する。
ルキナの最速ダッシュ攻撃が14F*1で届く距離はおおよそ33マス程度。
立っているルキナの中では最もリーチの長い攻撃であり、14Fは見てから対応出来ないFである。
しかし、次のワザの届く距離は「攻撃範囲」には該当しない。
ベレトの溜め版フェイルノート。いくらトレーニングモードのマスで200マス以上先から届くとはいっても、発生114Fでは見てから対処が可能である。
1on1のお互い五分状態の差し合いで使うのは無謀としか言いようがないだろう。
もちろん、ファルコンパンチも発生が53Fなので「攻撃範囲」としては成立しない。
なお、「見てから反応できない攻撃範囲」というのは状況によっても変動する。
例えばむらびとのダッシュ攻撃が18F目で届く距離は33マス程度だが……
前空中攻撃入力後18F目で届く距離は43マス程度。横への攻撃範囲はおおよそ10マス程度伸びている。
しかし実際はジャンプ+上昇+下降のフレーム込みで考えるべきであり、この攻撃範囲はジャンプを視認できていれば防ぐことが可能。
逆に言うと、むらびとのジャンプを視認できていないと見えない攻撃範囲がかなり広くなってしまう。
これは「見てから反応できない攻撃範囲」が広くなった状況であると言える。
話が少し逸れたが、例えばルキナのダッシュ攻撃は見えないので立っているルキナの攻撃範囲として判断し、最速ダッシュ攻撃の届かない程度の位置をベースに考える。
この攻撃範囲は移動や地上・空中によっても変動するので、この攻撃範囲の変動も考慮して自身の位置取りや移動先、ワザの振り方を決めていこう。
逆にベレトの溜めNBやキャプテン・ファルコンのファルコンパンチは見てから対応出来るので溜め版NBやファルコンパンチの射程を意識して位置取りする必要はない。
攻撃範囲を理解し、攻撃範囲とは関係ない=見てから対応出来る範囲から飛んできた攻撃は確認から捌くことで相手の攻めに対して安全に迎撃出来る。
ファイター毎の攻撃範囲を把握し、攻撃範囲外からの攻撃は見てから対処することで迎撃を行うのが「引き行動をせずに迎撃を行う」方法論となる。
自分がどのフレームまでは見てから対応できるかというのは把握しておきたいところ。
Q.相手が見てから対応出来ない距離まで近寄ってくるんだけど
A.そうなってしまったら引き行動をして攻撃範囲から逃れるか、こちらも相手が自分の攻撃範囲に重なっているなら見えない攻撃を仕掛ける。
迎撃を理解しているプレイヤーは、極力「攻撃範囲と相手が重なるまではこちらに対してワザを仕掛けない」ようになってくる。
うかつなワザの振り方が無くなってくると、こちらとしても迎撃が難しくなってしまうだろう。
もっと言うと、相手はワザを振った時の期待値を上げるために「攻撃範囲を相手に重ねようとする」立ち回りをしてくるはずだ。
相手の持つ攻撃範囲に入ってしまった場合、こちらは何かしら行動をしなければ相手からの攻撃を食らってしまう。
自分が相手の攻撃範囲が重なった瞬間にこちらもワザを仕掛けるか、あるいは引き行動をするかの2択を迫られる。
ただし基本的には相手側もこちらの持つ攻撃範囲に入らないように攻め入ってくるはずなので、だいたいは引き行動をする羽目になるだろう。
……さて、相手が取ってきたこの行動は何も特別な行動ではない。
「引き行動を取らず前進する」「迎撃されるようなワザの振り方をしない」「こちらに対して引き行動を強いる」
そう、相手のこの行動はここまで説明してきた「ライン攻め」で取ってきた行動そのものである。
攻撃範囲が相手に重なるように動き、相手にやむを得ず引き行動の選択を取らせる。
ワザを直接使わずに見てから反応出来ない範囲を押し付けることで引き行動を強要し、試合運びを有利に進めることがライン攻めの本懐となる。
発展編
Q.相手に引き行動を強要したい!
A.まずはこちらの攻撃範囲を押し付けて択をかける。
ここまでライン攻めのQ&Aを読んできた人であれば、相手のプレイヤーにうかつな引き行動を取られることは非常においしいと感じるようになったはずだ。
ラインの概念を持たないプレイヤーの行う引き行動に対して何も出来ずに負けるということはそうそう起こらないだろう。
しかし、当然ながらレベルが上がっていくとそのようなうかつな引き行動を取らないプレイヤーとの対戦も増えてくる。
ライン攻めを本来の意味で行使出来るようになったと言えるようになるには、ラインの概念を持って立ち回るプレイヤー相手にも戦えるようになる必要がある。
さて、引き行動をうかつに取らない相手に対してラインを下げさせるには引き行動を強要するか、攻撃範囲を押し付けようとする動きを何とかして迎撃するか、殴り合いで勝つかするしかない。
猪みたいに突っ込んでくるプレイヤーに対しては迎撃をすればいいし、一生引き行動をするプレイヤーには引いた分だけ詰めることで有利になるのだが、そう上手くはいかないのが世の常である。
今回は「攻撃範囲」を利用して相手に引き行動などの防御行動を取らせることを考える。
次の画像を見てほしい。
セフィロスの横強と空前。
横強はリーチが長く発生も14Fと見てからガードは出来ない。
空前は発生13F、ジャンプ込みで考えてもやはり見てからの対処は厳しい。ジャンプから最速だと見てからの対処は不可能。
セフィロスは常にこの程度の攻撃範囲を持っていることがわかる。
ほとんどのファイターは横軸で考えた場合この外側から直接殴ることが難しい。
相手が攻撃範囲をセフィロスに対して押し付けるには、どうあがいてもセフィロスの持つ一方的な攻撃範囲に一度踏み込まなければならない。
となると横強を地上で前進しながら対処するには、いちど根本までダッシュガードで潜り込み防ぐか、その場回避で避けるかが考えられる。
しかし……
セフィロスはそれを見越してあえて横強を振らずに様子見を行った。
その場回避は万能と思われがちだが、流石に相手にその場回避を見られてしまうとばっちりフレーム不利を背負ってしまう。
例えば、ここで前ダッシュを入れ込んでいるとドクターマリオのその場回避の全体Fである25F+走行移行前Fである10Fの合計35Fがシールドを張れない時間となる。
セフィロスがバッチリその場回避を見てから横強を振った場合、見てから反応出来る18F+横強の発生14Fで刺さってしまう。
更に、その場回避「読み」で横強にディレイをかけられていた場合はそのままその場回避の硬直に横強を刺されてしまうだろう。
セフィロスの横強先端の位置に立ってしまった場合、その時点で読み合いとしては不利を背負っているのだ。
では、この横強押し付けに対して不利な読み合いをしないためにはどうすればよいか?
この場面に関しては引き行動を取り、セフィロスの攻撃範囲の外に脱出するのが手っ取り早いだろう。
引き行動で攻撃範囲の外に脱出し、再びニュートラルになった。
しかし、セフィロスにとってはこれが狙いだったため、引き行動を見逃さずに前進。ラインが上がった状態になる。
ここまでセフィロスが取った一連の流れが「攻撃範囲を押し付けるライン攻め」である。
攻撃範囲で上回る側のファイターは、相手の攻撃範囲の外から見えない攻撃を押し付けられるので相手に防御行動を強いることが出来る。
シンプルに攻撃範囲を押し付けて択をかけることでライン有利を得やすい。攻撃範囲の広いファイターは、ライン攻め理論において強者側であるといえる。
(もっとも、迎撃をしっかりできることが前提でそこが出来ないとライン攻めは成り立たないのでそう簡単な話ではないのだが)
Q.じゃあ攻撃範囲で負けているファイターは勝つことが出来ないの?
A.攻撃範囲の押しつけ時に発生した択に勝てば勝機が見える。
先ほどのQ&Aではセフィロスが攻撃範囲を押しつけて択を発生させた。これは攻撃範囲に優れるファイターのやり口となる。
攻撃範囲で負けている側のファイターは、択を押し付けられた際の択に勝てば自身の攻撃範囲を敵に重ねることが可能だ。
引き行動をすれば択そのものを拒否出来るが、それを繰り返すとガケ展開を押し付けられてしまう。
つまるところどこかで択に勝ち、前に出ることで自身の攻撃範囲が届く距離まで踏み込まなければならない。
お互いが攻撃範囲内に入ると見えない攻撃を出し合う「殴り合い」が発生し、攻撃範囲の広さによる優位性が無くなる。
ここが攻撃範囲の狭いファイターの勝ち筋となる。
攻撃範囲の広いファイターはバランスを取るために殴り合いの総合力(発生・硬直・リターン・食らい判定など)などを控えめにされていることが多い。
逆に、攻撃範囲の狭いファイターは殴り合いの総合力が高い傾向にある。近づくのが難しい分、近づけた時のリターンを高くされているということである。
セフィロスは全体隙が大きく体重も軽く、一発一発のリターンもそれほど高くないので殴り合いに向いたファイターではない。
「殴り合い」が発生するとセフィロスにとっておいしくない展開になってしまうので、ここでセフィロスは引き行動を取るようになりやすい。
すたこらさっさ。ネス相手に殴り合いを申し込むセフィロスはいないだろう。
ここでダッシュ攻撃などで突っ込んでいきたくなるが、引き行動に引っかかってしまうとラインを押し戻されてしまい択に勝った意味が無くなるのでここで引き行動への対策も頭に入れておこう。
引き行動に対して前進をして攻撃範囲外でワザを振ったのを確認したら前進して攻撃範囲を行使しにいったり、微妙そうならラインを上げるのみにとどめるなりする。
これで攻撃範囲の狭い側のファイターであってもライン維持やライン攻めが可能となる。
最終的にはこちらから能動的に「殴り合い」を発生させ、そこで得られるリターン差で勝利をつかもう。
(セフィロスはガケ待ちという遅延するにあたって強力なムーブがあるのでラインを詰めたとしてもそこから先の対策が必須になってしまうのだが、セフィロスのガケ待ち対策はライン攻めの話からやや逸れてしまうので今回は割愛)
こちらの攻撃範囲が狭い場合は、相手のかけてきた択に勝つことで自身の攻撃範囲およびそこから生み出されるリターンを押し付けることが出来るようになる。
この択に対する強さがいわゆる「プレイヤースキル」に関わってくる部分となる。
攻撃範囲が狭いのにリターンも極小というファイターとなると話は別だが、幸い『スマブラSP』ではそのようなファイターは今のところ見られない。
ごく一部の極端な相性が出る組み合わせではそうなる可能性があるが、どのファイター相手にも立ち回り不利でリターンも無い、というファイターは存在しないだろう。
(過去作品だとそのような「実質的にゲームに参加出来ていない」ようなファイターも一部存在した。)
Q.引き行動は絶対にしてはいけないの?
A.ライン維持の為に必要な時や、ライン維持が可能なタイプの引き動作は選択肢に入る。
ここまで「ライン攻めをするには引き行動を控える必要がある」と書いてきたのに何を言っているんだと言われそうだが、別にライン維持を出来ているのであれば引きの動作は取っても問題はない。
ただし、ライン攻めをする上で「よい引き行動」と「あまりよくない引き行動」は存在する。前者はライン維持が出来ている場合、後者はラインを上げられてしまった場合。
引き行動を控える理由は「ラインを上げられてしまうから」というものであり、別に「待ち行動・逃げ行動は見苦しいから」というものではない。
引き行動による迎撃を成功させてこちらのラインを上げたり、引き行動による迎撃が失敗してもこちらのラインを下げないのであれば引き行動は悪手とはならない。
その他、対戦相手がライン・ライン攻めの概念を持っておらず引き行動に対して一切対策がとれていないと判断したら一生引き行動でも問題ない。
その試合で楽して勝てる行動があるならそれを使わない理由は無いだろう。
ただし一生引き待ちで戦うことはライン攻め理論を放棄した戦い方であることは理解しておきたい。
Q.具体的にどのような引き行動ならライン維持が出来るの?
A.いくつか例を挙げよう。
- 攻撃範囲の優位性を行使するための引き行動
- 接近拒否が可能なワザを発動するための引き行動
- 強力な入れ替え行動を起こす準備としての引き行動
- 引き行動への対処を分かっていない相手に対する引き行動
攻撃範囲の優位性を行使するための引き行動
これは非常にシンプルな話であり、相手の見えない攻撃範囲から逃れ、自身の見えない攻撃範囲だけ有効な状態にするための行動である。
迎撃が成功すればラインが上がる。スピードファイターやステップの性能が良好なファイターがよくやる一旦引いて再度同じ立ち位置に戻る、という動きはこれに近い。
相手がこの行動に対して何もしなかった場合は基本的には再度引いた分だけ元の位置に戻るといった動きでラインを維持しよう。
「ステステ」の目的は本来はこれである。要するに攻撃範囲を行使するためのステップ往復なので、自分の攻撃範囲が相手に届かない状況でやっても無意味。
例えば試合開始直後にその場で左右にステップを踏むヒカリなどはいわゆるVIP魔境くらいまでは割と珍しくないが、この行動はライン攻めの理論を理解していれば全く意味が無いということがわかるだろう。
また、相手の攻撃範囲の境界をステップでまたぐのも基本的には危険。ステップ中は通常より無防備な状態なので、相手の攻撃に引っ掛かりやすくなってしまう。
インクリングのように姿勢が非常に低いステップ持ちであるなら一概に禁忌肢とは言い切れないが。
シンプルだが、この中では最も有効に活用することが難しい行動である。この行動で適切な引き行動を起こすには高い練度が求められる。
接近拒否が可能なワザを発動するための引き行動
むらびとのハニワ、ルフレのギガサンダー、バンジョー&カズーイのタマゴのような非常に弾速が遅い飛び道具やその場に長く残る飛び道具は、相手の迎撃行動を大幅に制限する。
要するに飛び道具と一緒に攻める手段があるファイターが、飛び道具を発射するための引き行動は「ラインを上げるための準備」といってもよい。
極端な例を挙げると、ダックハントの通常必殺ワザ「トリックショット」を引きダッシュから出すといったものは「出すだけでラインの上がる引き行動」だと考えられる。
ダックハントのカンはごく一部の状況を除き、場にある限り常に操作権がある飛び道具である。このゲームにおいてかなりレベルの高い2対1戦法を取れるファイターだろう。
イヌだけでなくカンも任意で攻撃範囲を行使出来るので、カンがイヌの前にいる時のライン状況はイヌと対戦相手の間ではなく、カンと対戦相手の間にも疑似的なラインが立つといってもいい。
強力な入れ替え行動を起こす準備としての引き行動
代表的な強力な入れ替え行動はスティーブのブロックを建て、上から攻めてきた相手には対空でリターンを取り、横から突っ込んできた相手には上からトロッコで脱出するというムーブ。多くのプレイヤーが辛酸をなめてきたことだろう。
一連の流れには「ブロックを建てて逃げる」という引き動作こそ含まれているが、この引き行動があるからこそ迎撃やラインを上げていることがわかる。
その他は最近ではステージ自体排斥されてしまったが、ディディーコングが「カロスポケモンリーグ」の左右台に立ってフリップガン逃げを行使するための引き行動もこれに含まれる。
注意点として、今作では過去作ほど入れ替え行動の信頼性は無い。
『スマブラSP』は『X』『for』よりもライン攻めの重要性が高いとされるが、その理由の一つが「入れ替え行動の弱体化(不利状況を打開する行動の難化)」である。
引き行動への対処を分かっていない相手に対する引き行動
ストックを先行された時、剣士や飛び道具キャラの引き行動に対して何も出来ずに困り果てたことはないだろうか?
相手が引き行動に対してラインを詰めてこないのであれば、ラインはほとんど下がらない。
待ってもラインを詰めてこないことを確認したら、再度元いた場所に戻ればライン維持成功である。これを終始繰り返していればずっと引き行動が通るという訳だ。
引き行動への対処が全く分からない、という相手には容赦なく引き行動+元に戻るという動作を繰り返していれば高確率で勝てることだろう。
非情かもしれないが、対戦ゲームとは相手の嫌がること・対処出来ないことを突くゲームである。容赦せずに引き行動を行使しよう。
なお、当ページで紹介してある「ライン攻め」とはこういった行動を咎めるためには正にうってつけの理論である。
もし友達との対戦で「引き行動に何もできない!」と言われたら、引き行動への対処法としてライン攻めを説明してみるのはいかがだろうか。
Q.効率のいい前進の手段を知りたい!
A.いくつか例を挙げよう。
あくまで一例だが、これらの手段は前進の手段として有力だ。
しかしこれに関してはファイター差が大きくなってくる部分であり、有効な手段を多く持つ「攻めや差し返しが得意なファイター」、迎撃は得意だが前進する手段は少ない「置きや迎撃に特化した防御重視のファイター」に分かれてくる。
これに限った話でもないが、使用するファイターがどのような手段を持っているかは一度確認しておこう。
様子見+歩き
ダッシュ様子見は操作がカンタンで「ダッシュして攻撃」の「攻撃」の部分を変えるだけなので非常に直感的。
しかしダッシュそのものにリスクがあり、VIPボーダーを大きく超えたレベルあたりからは厳しくなってくる。
そこで発展形として「様子見+歩き」という前進が活きてくるだろう。やり方はまずその場で様子見をし、相手の引き行動を確認したら前歩きで引いた分だけ間合いを詰める。
そこから攻めるか、更に様子見+歩きで前進を続けるかは臨機応変に。
歩きは行動の制限が少なく、立ち状態と同程度の自由度がある。このため相手側からすると迎撃が難しい状態となっている。
相手が考えなしに引き行動を繰り返すようなら、これだけで容易にガケを背負わせることが可能になる。
しかしとっさに歩きを出すのは地味に難しく、慣れていないとダッシュが暴発しやすい。スティックをゆっくり傾けることを覚えよう。
歩行初速が遅すぎるクッパやパックンフラワーのようなファイターは、この立ち回りがあまり得意ではないと言える。
ダッシュから全体Fの短いワザを振る
ダッシュ様子見の一種とも言える行動。ダッシュ弱、ダッシュ下強などの全体Fが短いワザを振ろう。
ワザが引っかかればコンボや弱の派生、有利展開などに持ち込める上に外しても硬直を狩られにくいのが利点。
「全体Fが短い」がどれくらいかというのは相手プレイヤーの反応速度にも左右されてくる*2ので何とも言い難いが、基本的に20F以内だと理想、リーチが長い場合は30F以内なら視野といったところか。
前ダッシュという行動を挟む分、前進しない、あるいは引きながらの置きや牽制に比べるとより全体Fの短さが求められると言える。
ファイターによっては該当するワザを持たない場合もあるのがネックか。
種類は少ないが、ワザの移動性能を使った前進方法でもよい。
例えば、カズヤの最速風神拳やゲッコウガやトゥーンリンクのDAなんかは当てはまるだろう。
ダッシュガード短押し
上記の手段をとれないファイターであっても、見えないかつリスクの低い前進の手段を取ることはできる。それがダッシュガードである。
走行移行Fの標準は10F、シールドの最短全体Fが14Fで全体24F、最短シールドにおける全く無防備な時間が6F。
無敵発生11F、全体24F、硬直6Fという、見てからリスクを付けることが出来ない前進手段となる。
ただし、一部の走行移行フレームの遅いファイターはこれを使いづらい。そういったファイターは歩きガードで代用せざるを得ない場面も。
着地硬直の短い空中ワザを振る
前進しながらローリスクにワザを振る手段その2。
着地硬直が10F未満のワザは最低空で出されるとジャストシールド以外で大きな反撃をすることが難しく、攻めの手段として有効。
ただし最低空空中攻撃はある程度操作精度が求められる。また、ジャンプの出かかりから確認されると対処しやすいのでやりすぎるとジャストシールドの的になってしまう。
言うまでもないが、空中攻撃の質が悪かったり空中機動の性能が低かったりするとこの手段はとれない。リトル・マックなんかはいい例だろう。
画面に長く残る飛び道具を出して一緒に攻める
これは該当するワザを持っていなければ取れない手段だが、「飛び道具と一緒に本体で攻める」はシンプルながら強力。
生成時にスキがある、反射に弱いなどの弱点こそあるものの、これを可能とするファイターは「何もできない時間」というのが大幅に少なくなるだろう。
例としてはマリオのファイアボール、むらびとのハニワ、ミュウツーのシャドーボール、ダックハントのカン、クッパJr.のメカクッパ、デデデのゴルドーなど。
こういったワザは生成することで前進しやすくなるため、生成するために一度引くということも視野に入る。前進するための引き行動ということだ。
しかし弾速の遅い飛び道具はこういった使い方をするケースが多いが、剣術Miiのトルネードショットやルフレのギガファイアー、セフィロスの通常必殺ワザのような硬直が大きすぎるワザだと一緒に攻めることが出来なくなる。
ファイター・ステージ編
Q.どのようなファイターがライン攻めをしやすい?
A.次の要素を多く持っているファイターは、ライン攻め理論で優位に立ちやすいファイターである可能性が高い。
- 攻撃範囲の広いファイター
- シールドに対して強い攻撃を多く持っているファイター
- シールドを使う行動が強力なファイター
- 位置入れ替え行動を狩りやすいファイター
- 特殊なライン攻めが出来るファイター
- ライン不利状況を背負っても解決する力に長けたファイター
1つずつ説明する。
攻撃範囲の広いファイター
文字通り、見てから反応出来ない攻撃の届く範囲が広いファイターのことを指す。
一方的な攻撃範囲の押しつけが出来るファイターは、しっかりそのファイターで迎撃が出来るようになると位置取りをするだけで相手を動かせるようになるのでライン攻め理論において優位に立ちやすい。
リーチファイターはもちろんのこと、鋭い踏み込みが得意なファイター、弾速の速い飛び道具を持ったファイターもここに該当する。
シールドを使う行動が強力なファイター
シールドは発生が早く行動の自由度が高いので『X』『for』から弱体化したとはいえ『SP』でも強い行動であることには間違いない。
特に「ダッシュガード」を一瞬出す行動は見てから対応出来ない強力なムーブである。
「ダッシュガード」「ガードキャンセル行動」の性能が優れているファイターは攻防にシールドを使えるようになるのでライン攻めの手札が多いと言える。
もちろん、肉漏れしにくいといった部分もあると望ましい。
シールドに対して強い攻撃を多く持っているファイター
スマブラのシールドは発生が早く自由度も高い強力な行動。
そこに対して強く出られるワザを持っているファイターは、ガード以外の行動を強要しやすくライン攻めを行使しやすい。
位置入れ替え行動を狩りやすいファイター
回避で位置を入れ替える、ジャンプで位置を入れ替えるなどなど……
ライン不利の状況を簡単に覆されるようではライン攻めを行使してもリターンを得られなくなってしまう。
そのような行動にしっかりリスクをつけることが前提となるが、ここで容易にライン有利状況を維持しやすいファイターはライン攻めのリターンが高くなる。
横の攻撃範囲が狭くとも、この要素がしっかりしているならライン攻めを行使しやすくなる。
特殊なライン攻めが出来るファイター
オプションの同時操作を使った2対1の攻めが出来るファイター、あるいは設置ワザや非常に遅い飛び道具などを用いてそれに近いことが出来るファイター。
これらのファイターは攻撃範囲の自由度が高くなりやすいためライン攻めにおいて優位性を発揮しやすくなる。
ライン不利状況を背負っても解決する力に長けたファイター
ガケ待ちなどによるライン不利状況を無視した戦いが出来るファイター、ライン不利状況から容易に位置入れ替えが出来るファイターはそもそもライン攻め理論を破綻させてくると言える。
自分はライン不利になってもおかまいなし、ライン攻め理論の都合のいい部分だけを行使することが出来るようになる。
ただし、このような行動がまかり通ってしまうとゲーム性を損なってしまうためか、過去作と比較するとこういった行動自体が弱くなっている。
『X』のメタナイトのガケ待ち行動、『for』のクラウドのダックハントステージの木登りリミットチャージ待ちはこれに該当する。
あまりにもどうしようもないのである程度制限されたり競技シーンから排斥されたりした経緯もある。
『SP』で言うなら「カロスポケモンリーグ」における機動力の高いファイターがこれに近く、このためか昨今では競技シーンで採用されることがほぼ無くなってしまった。
Q.御託はいいから具体的なファイター名を挙げてくれ
A.各タイプでいくつか紹介しよう。
あくまで一例である。「~など」と書かれている部分は特に代表的なファイターを5人並べている。
攻撃範囲の広いファイター
スピードファイター系: フォックス、ロイ、メタナイト、リトル・マック、ヒカリなど
相手の持つ攻撃範囲の外に位置取り、見えない差し込みが出来るファイター群。
走行をするこれらのファイターの攻撃範囲は非常に広いため、相手ファイターは遠くから迎撃の準備をさせられることになる。
攻撃範囲を行使する際に置き技に引っ掛かりやすいという弱点こそあるが、間合いの操作のしやすさは特に優れる。
このため、相手の攻撃範囲から脱出する力もある。
▲フォックスの素早い走行速度により、これだけの距離が見えない攻撃範囲と化す。間合いを支配する力が高いと言える。
リーチファイター系:シュルク、シモン(リヒター)、ベレト、ミェンミェン、セフィロスなど
その場で見てから対応出来ない長リーチのワザを置くことが出来るファイター群。
彼らは間合いの支配力こそスピードファイター系に一歩劣るものの、有無を言わせぬワザの圧力で相手ファイターに引き行動・ガードなどの防御行動を取らせやすい。
原理的にライン攻め理論における絶対的強者となりやすいが、代わりに読み合いに勝った際の直接的リターンや殴り合い時の性能を控えめに設定されていることがほとんど。
いかに相手から攻撃範囲を重ねられる前に迎撃するか、いかに相手の攻撃範囲を重ねられた時に状況を打開するかの腕が問われる。
飛び道具系:サムス(ダークサムス)、こどもリンク、ピクミン&オリマー、むらびと、ルフレなど
中~遠距離からの飛び道具を起点とした戦いを得意とするファイター群。
この項で言う飛び道具は「ある程度の弾速を備えた見てから対応出来ない飛び道具」のこと。
例えばむらびとやルフレの飛び道具はハニワやギガサンダーではなく、パチンコやエルサンダーの方を指す。
リーチファイター同様にワザの圧力でガードやジャンプなどの防御行動を強制させやすい。加えて、近距離の応戦力はリーチファイター系よりはある場合が多い。
しかしながら、飛び道具は反射や吸収、飛び道具貫通、相殺などといった固有の対策を設けられている。対策されなければ強いが、対策された時の脆さは他の要素以上。
また、射程こそリーチファイター以上だが「見てから対処できない」攻撃範囲に関してはリーチファイター系に一歩劣ることが多い。
優秀な突進ワザ持ち:ソニック、キャプテン・ファルコン、スネーク、ベヨネッタ、スティーブなど
ソニック、ファルコンは突進ワザと走行速度双方に優れ、ただ接近するだけでも択をしかけやすい。
普段の機動力が高くなくても、突進ワザが優秀なら中距離の圧力はスピードファイター並。
相手は突進ワザに対応した立ち回りを嫌でもさせられるので、立ち回りが崩れやすい。
飛び道具同様、突進ワザそのものはお手軽である代わりに対策された時の脆さが出る。
安易な突進ワザブッパを咎められるようになってからが本番。
複数の要素を持っているファイター:シーク、ミュウツー、ディディーコング、勇者、剣術Miiなど
これに関しては複数の要素を持っている、としか言いようがない。ここに載せたファイターを簡易的に説明する。
- シーク……これだけの健脚を持ちながら、仕込針という接近拒否において最高クラスの性能を持った飛び道具の持ち主。間合いの支配力は全ファイターでもトップクラス。
- ミュウツー……健脚とそこそこのリーチ、接近拒否性能の高い飛び道具の持ち主。更に火力が高い。ただし、一度崩された際の脆さはシークと同等以上。
- ディディーコング……健脚かつ優秀な飛び道具であるバナナ、ガードを崩せるor判定の強い突進ワザのフリップ、高い威力で爆撃するバレルジェット自爆などやりたい放題。ただし、覚えなければならない固有のテクニックも多め。
- 勇者……飛び道具が優秀でリーチの長いワザも持つが、放置するとピオリムで健脚をも得るという危険性を持つ。基本的に相手は嫌でも攻めなければならなくなる。
- 剣術Mii……実はまともな飛び道具とまともな突進ワザを両立したファイターというのはそんなにいない。分からん殺し性能だけは全ファイターでも有数と言える。
シールドを使う行動が強力なファイター
ダッシュガードの最速発生が早い:シーク、Mr.ゲーム&ウォッチ、カムイ、射撃Mii
走行移行Fが標準値よりも短く設定されているファイター。ダッシュで動いた際にシールドを出せるようになるまでの時間が短い。
つまるところ単純に「シールドを張る性能」そのものが高いと言える。
カムイが足の遅さの割に飛び道具耐性やリーチファイター耐性が高い理由の一つ。
シールドキャンセル行動が強い(近距離):ヨッシー、ネス、クッパ、ドクターマリオ、Mr.ゲーム&ウォッチなど
近距離シールドキャンセル行動で高いリターンを出せたり、そもそも発生が非常に早かったりするファイター群。
近距離のシールドキャンセルのリターンが高いファイターはダッシュガードを差し込みの手段として使いやすくなる。
シールドキャンセル行動が強い(中距離):クロム、シュルク、ヒカリ、ソラ、格闘Mii(天地キック)など
中距離である程度発生の早いシールドキャンセル行動を持つファイター群。
「この距離なら普通は反撃が無い」といったワザに確定反撃を取れるということは相手のワザの安易なワザ振りを制限することが出来る。
▲シールドキャンセルでそこそこの発生でこの距離を取れるのはパニッシュメントレイの強み。
シールドキャンセル行動が強い(アイテム):ディディーコング、ロボット、トゥーンリンク、ロックマン、パックマンなど
アイテムを生成出来るファイター群。アイテム行動はシールドキャンセルの自由度が高い。
アイテム持ち時はつかみを出せないという欠点があり、また準備と技術も必要だが、近距離で高速の確定反撃や中距離での確定反撃を取れるといった強みを持つ。
その他:ヨッシー、アイスクライマー、スネーク、ダックハント、バンジョー&カズーイ
その他の強みを持ったファイター群。
ヨッシー……肉漏れが一切起こらない。肉漏れで脱出されるタイプのガード破壊連係に弱いという欠点こそあるが、様々なファイターが肉漏れを狙った撃墜をする中でそれを一切シャットアウトする強みは無視出来ない。
アイスクライマー……相方がいる場合、相手のほとんどの投げワザをシャットアウトする。アイスクライマーの相方をつかむと本体に殴られるのは有名だが、実は本体をつかんだ場合も相方で確定反撃で取ることが出来る。
スネーク、バンジョー&カズーイ……爆弾をアイテム持ちし、シールドを張ることでシールドを張ったまま攻撃判定を出すことが出来る。こどもリンク、トゥーンリンクも一応可能だがより実践的なのはこの2ファイターだろう。
ダックハント……トリックショットで発射されたカンは、シールド状態でも操作することが可能。
▲さっきまで慌てモーションを取っていたのは何だったのか、投げが始まった瞬間に何事もなかったかのように攻撃モーションに移行して反撃を取れる。もちろん間違って相方をつかんでしまった場合もアウト。
シールドに対して強い攻撃を多く持っているファイター
飛び道具系:サムス(ダークサムス)、ルフレ、ダックハント、パックンフラワー、射撃Miiなど
シールドさせた場合に大きくフレーム有利を取れる飛び道具や、シールドを大きく削る飛び道具持ち。
普通の飛び道具はシールドで防いで対処することが多いが、シールド以外の行動で対処させるという強制力を持っている。
▲ルフレのギガサンダーは、このゲームでも屈指の対ガード性能を持つ飛び道具である。
打撃系(近距離の固め・硬直差有利):ロイ(クロム)、ロボット、ケン、カズヤ、ソラなど
スマブラは基本的には打撃ワザをガードさせた際に不利フレームを背負うゲームであり、特に地上ワザは10F前後でも硬直差が優秀というデザインである。
そんな中で、地上ワザの硬直差が1桁だったり、派生攻撃の読み合いで確定反撃を取るのが非常に厳しかったりするファイターは密着することそのものが有利になりえる。
カズヤに至ってはガードを強制解除かつフレーム有利のトンデモワザをも持っている。
▲ドリャ!シールドを削った上で強制解除させ、更にフレーム有利となる凄まじい性能。これ以外にもガード削り値が高いワザや硬直差の小さいワザが目白押し。
両方:リンク、リュウ、スティーブなど
シールドに強い飛び道具とガード硬直差が優秀な近距離ワザを持ったファイター。
リンク……リンクキックとブーメラン。対リンクでシールドから反撃することは困難。
リュウ……足こそ遅いが、シールドを大きく削る飛び道具と空Nから小足固めというムーブを持つ。
スティーブ……まさかのガード不能の飛び道具持ち。上強も上位の武器であれば終わり際はガードさせて硬直差がプラスというスマブラの常識にとらわれない固め性能を持つ。
打撃系(リーチ):シュルク、シモン(リヒター)、ベレト、セフィロス、ホムラなど
シールドキャンセルから出せる行動のリーチは限られている。
それらの外からシールドに対してちょっかいをかけられるファイターは、必然的にシールドに対して強いと言える。
▲リーチと回転率を兼ね備えたシモリヒの主力ワザ。先端ならまず反撃は取られないだろう。
シールドを壊せる:勇者、ベレト、スティーブ、セフィロス、カズヤなど
当然ながらシールドが大きい状態から破壊出来るファイターはシールドに対する圧力が高い。
スマブラはシールドが強力な代わりに割られた時のリターンはとんでもない。こういったシールドを破壊出来るファイターは、相手に対しシールド以外の防御行動を強いることが出来る。
▲勇者のためる+バイキルト状態は、さまざまなワザでシールドを最大から破壊出来る恐ろしい状態。
投げのリターンが極めて高い:マリオ、ドンキー、ルイージ、アイスクライマー、カズヤなど
一度でもつかまれてしまうと即死ないし非常に高いダメージをたたき出すファイター群。
もちろん即死コンボなどの投げコンボが出来なければ圧力にはならないのだが、即死の技術さえあれば相手にシールド以外の防御行動を強いることが出来るようになるだろう。
▲この%でルイージにつかまれて「あっ」となった経験のある方は多いことだろう。
つかみの性能が非常に高い:クッパ、パックマン、キングクルール、ガオガエン、ヒカリなど
投げのリターンが即死クラスでなくとも、つかみの性能が高くつかみやすいファイターは相手にシールドを張らせない力が高いと言える。(クッパは横B)
ただし外した時のリスクは他ファイター同様に高いし、つかみを一切使わないとシールドを張られるようになるのが難しいところ。
その他:シュルク
シュルクのバグテクである「ダイヤルストレージ」「パレットキャンセル」を適切に使えば、確定反撃を受けるシーンが非常に限られるようになる。
ダイヤルストレージなどの詳しい説明はファイター/シュルク/攻略のページを参照のこと。
管理と操作が難しいものの、シュルクが「理論値キャラ」と言われる最大の理由はこのバグ技にある。
本来確反の場面を無理矢理読み合いに持ち込めるという非常に強力なテクニック、当然シールドに対する耐性は非常に高いものとなる。
▲適切に活用することは操作・管理の両方の面で難しいため使いこなせる人はほとんどいないが、着地硬直を全身無敵で踏み倒すという無法なテクニックである。
位置入れ替え行動を狩りやすいファイター
打撃系(範囲):マルス(ルキナ)、ガノンドロフ、シュルク、セフィロス、ホムラなど
ワザの判定の広さで位置入れ替えを許さないファイター群。
基本的にワザの判定が強いため、暴れで突破することが難しい。ラインを下げずに迎撃を行いやすいのも特徴。
対策としては近距離でガードをしてから確定反撃を取るか、ガードから転がり回避を通すかなど。
打撃系(回転率):フォックス、シーク、ロイ(クロム)、ゼロスーツサムス、テリーなど
ワザの回転率の高さで位置入れ替えを許さないファイター群。
回転率が高いので転がり回避は通りにくいし、密着シールドからの確定反撃も取りづらい。
基本的にワザそのものの判定は狭いものが多いので、時には引き動作も交えなければならないのが欠点。
対策としては暴れを通すか、引き動作に対して前に出て少しずつラインを押すか。
打撃系(両方):パルテナ、クラウド、ジョーカー、ヒカリ、ソラなど
判定の広さと回転率、どちらも持っているファイターに対してラインを押し戻すのは非常に困難。
いわゆる「ガケが強い」とされがちなファイター群。展開維持力が高いのでガケ展開でとどめを刺されることはなくともループ性が非常に高く一度ガケをつかまされると大変な目に遭う場合も。
設置ワザ系:デデデ、ロゼッタ&チコ、パックマン、ダックハント、射撃Miiなど
設置ワザなどで多角的な攻めを可能とするファイター群。
一度彼らのセットプレーを展開されると一つ一つを丁寧に処理しなければラインを上げることはかなわない。
無理矢理横回避を通そうとしたら余裕で確認から迎撃され振り出しに戻されたというプレイヤーは多いだろう。
▲ゴルドー投げはリスクこそあるが一度安全に設置されてしまうとデデデとゴルドーの両方から圧力をかけられてしまう。
特殊なライン攻めが出来るファイター
弾幕系:スネーク、トゥーンリンク、むらびと、バンジョー&カズーイ、射撃Miiなど
画面内に複数の飛び道具が出ていると、情報量の多さから頭で処理するのが難しくなる。
弾幕を丁寧に処理出来なければ、ライン攻めはおろか相手の踏み込みを迎撃することも厳しいだろう。
情報量の多さで相手の立ち回りの質を下げ、自身の攻めの難易度を下げることがライン攻めにおける弾幕の強みと言える。
また、相手プレイヤーにライン攻めの概念がなければ引き待ちで言い方は悪いが足切りが可能となるだろう。
『スマブラSP』における遠距離戦法は一つ一つを視認出来て弾に対する対策を知っていれば少しずつ近づけるようになっている。
よって相手の対策量に大きく依存する戦法であり、キチンと対策されるとライン攻めの上では無力になりがち。
2対1系:アイスクライマー、ロゼッタ&チコ、ダックハント
好きな位置に操作可能なオプションを出して攻撃範囲の自由度を上げられるファイターは、オプションを出すことそのものが実質的に「ライン攻め」に直結することとなる。
ダックハントのカンは設置位置の自由度の高さ、操作権の自由度の高さから相手の立ち回りの自由度を大きく下げることが可能。
ロゼッタのチコはカンほど2対1の質は高くないものの、使えるワザのバリエーションは豊富。
このようにカンとイヌで挟まれてしまったらさあ大変。自分の陣地が大幅に狭まる事態となってしまう。
アイスクライマーは切り離しを用いた間断のない攻めや相方にアイスショットを撃たせて本体で前に出ると言ったライン攻めが出来る。ただし、コンボ用の切り離しはともかくとして立ち回りで濃密な2対1を展開する切り離しを常時行うとなると相当な操作難易度となる。
その他:パックマン、スティーブ
地形判定のある障害物を出せるファイターは立ち回りに大きな制限をかけることが出来る。
特にスティーブは壁を作ってラインを上げさせない、本来陣地として使えないはずの崖外で地形を作って無理矢理待つなどやりたい放題。
スティーブとパックマンでは地形生成の自由度の差が段違いだが、それでも消火栓設置によって立ち回りは強く制限される。
ライン不利状況を背負っても解決する力に長けたファイター
メタナイト、ゼロスーツサムス、Wii Fit トレーナー、スティーブ、セフィロスなど
ゼロスーツサムスは下必殺ワザによりライン不利状況の打開力が非常に高く、特にガケ展開からの脱出は彼女の十八番。
ガケ展開に追い込んでもノーリターンで立ち回りに戻されたという経験は誰もが通ってきたことだろう。
メタナイトは下Bの攻撃する・しないの2択によって直接的に入れ替え行動を狩ることが難しく、ゼロスーツサムスほどではないが一般的なファイターと比較すると入れ替え行動が通りやすい。
『X』時代のガケ待ちや高い切り返し性能こそはく奪されたが、ライン不利をどうにかする力が高いという点は残っている。
スティーブは『X』を彷彿とさせるガケ待ちや、ブロックを建てて様子見からトロッコで不利状況を脱出、ブロックで高空に逃げて落下物などで無理矢理着地を通すなどの誤魔化し行動が得意。
また、地上横回避からの上強でガードを殴りつつヒットすればコンボ、ガードされればステージ中央に脱出といった強引なラインの上げ方が出来るのも彼の強み。
▲絵面のインパクトも抜群なスティーブのガケ待ち。これ以外にもライン不利を覆す逆択が豊富。
セフィロスも豊富なガケ待ち手段による遅延でライン不利を背負っても敗北に直結しにくい。
ガケ外に攻撃出来る手段が乏しいファイターは、セフィロスに一度先行されると試合時間が足りなくなってしまうことも。
ゼロスーツサムスの下Bほどではないものの、片翼の多段ジャンプで上からラインを戻す力も見逃せない。
▲実はセフィロスは全体硬直の問題でリーチファイターにしてはラインが下がりやすいのだが、その欠点をある程度カバー出来るのがこのガケ待ちによる遅延である。
セフィロスやスティーブと比較すると穴が多いものの、Wii Fitトレーナーもある程度のガケ待ちが可能。
Q.どのステージを選ぶとライン攻めしやすい?
A.一般的には攻撃範囲の広いファイターは広いステージが、攻撃範囲の狭いファイターは狭いステージがライン攻めをしやすい。
攻撃範囲の優位性を行使出来るファイターは、引き行動を使用できる回数が増える広いステージの方がライン攻めを行いやすい。
逆に攻撃範囲で優位に立てず、どこかで殴り合いを行いたいというファイターの場合は狭いステージの方がライン攻めを行いやすくなる。
ただし、これはあくまでライン攻めを行いやすいかどうかという視点によってのみ考えた場合の話。
例えば攻撃範囲が狭いからといって考えなしにカズヤに対して村と街をピックしたり、マリオに対してポケモンスタジアム2をピックしたりするとステージの形状を活かしたコンボをお見舞いされてろくなことにならないのはなんとなくわかるはずだ。
また、リトル・マックなどの復帰の弱いキャラはラインを攻められるとあっさり崩れるため、自身のライン攻めだけではなく相手からラインを攻められる事も考えるべきである。
ミェンミェンなどのステージとの相性が極端なキャラは、ライン攻めよりもステージとの相性を優先するべきであろう。
ステージピックに関しては攻撃範囲以外のキャラ特性も考慮して行うべきである(もちろん、攻撃範囲はステージピックを考える上で非常に重要なファクターであることに間違いはない)。
終点
ステージの広さは普通。
台が存在しないことにより、位置入れ替えの動きは取りづらい。
これによりややラインの有利不利が覆りにくくなっている。
横軸に強いファイターはライン有利を獲得しやすい。
戦場
横幅は終点同様。
ただし、3つの台が存在することにより、空対空が苦手なファイターはラインの入れ替えを咎めにくくなる。
特に中央台の存在がかなり厄介で、ここに立つファイターに対してリスクを付けられないようなファイターだとライン攻め理論が破綻してしまう。
小戦場
横幅は終点と同じ。
ただし台の役割がどちらかというと攻撃的な方向に寄っており、迎撃が難しくなっている。
殴り合いを仕掛けたいファイターにとっては積極的に選べるステージとなる。
ポケモンスタジアム2
横幅が広いため、引き行動を使える回数が増える。
引き行動を取ってもラインが下がりにくい、ということである。
しっかりライン攻めを行使しないと引き行動にリスクを付けることが難しくなるだろう。
台は攻撃的すぎず防御的すぎずといったバランスのよい配置。
攻撃範囲の広いファイターに有利に傾きやすいが、終点ほど極端に横軸有利になる訳ではないので多くのファイターにとって戦いやすくなると言える。
すま村
横幅が狭いため、お互いの攻撃範囲が重なる回数が増えて殴り合いが発生しやすくなる。
ファイターによっては試合開始から殴り合いの間合いになっていることも。
攻撃範囲が狭いが入れ替え行動にリスクを付けるのが得意なファイターや、殴り合いのリターンが高いファイターにとっては楽園と言える。
村と街
横幅が広いため引き行動を使える回数が増えるが、撃墜ラインが左右に狭いのでライン不利の重みはポケモンスタジアム2以上になる。
台が無くなる時間があるので横軸に強いファイターはライン有利を獲得しやすい。
しかし、迎撃がうまくいかず引き行動が増えてしまうと巻き返される可能性が高くなるという諸刃の剣でもある。
ホロウバスティオン
横幅はほぼ終点。ステージが広すぎず狭すぎず、台が試合展開が極端なことになりにくい配置なため、こちらもポケモンスタジアム2同様に好まれやすい。
ポケモンスタジアム2と比較すると狭いので、攻撃範囲の広いファイターが優位になりすぎない設計となっている。
余談
ライン攻めの用語及び当ページで使用している用語について
ライン
最初のQ&Aで説明した通り、もともとは自分と相手を結んだ線の中間に立てた「縦線」のことである。
「引き行動が出来る距離」「自分の陣地の横範囲」のような使い方をされることがあるが、厳密には誤り。
これを踏まえると、ラインというものはファイターが撃墜されるなどして消滅しない限りは場に存在し続けるということがわかる。
このため、「ラインを得る」「ラインを失う」「ラインが無い」といった言い方は誤った用語の使い方となる。
ライン攻め
能動的にラインを上げることによって自身の行動の自由度を上げ、相手の行動の自由度を下げることで勝利へと導く戦術/理念。
なお、ラインは相手が後ろに下がる(=相手がラインを下げる)ことでも上がっていくのだが、こちらが何もしていないのに相手が勝手にラインを下げただけではライン攻めとは呼ばない。
ラインを上げる/下げる
自分から見てラインが奥の方向に向かったら「ラインが上がる」、自分から見て手前に迫ってきたら「ラインが下がる」。
ラインが上がる条件は「自分が前に出る」もしくは「相手が後ろに下がる」
ラインが下がる条件は「自分が後ろに下がる」もしくは「相手が前に出る」である。
そう、ラインというものは試合中お互いが静止するでもない限り常に動き続けるものなのだ。
ラインが上がる/上げると同じ意味の言葉は「ラインを押す」「ラインを詰める」
ラインが下がると同じ意味の言葉は「ラインを押される」「ラインを詰められる」など。
ライン維持
こちらがラインを下げないよう努める行為のこと。
迎撃を成功させる、不必要な引き行動をしないといったプレイングでラインは維持される。
攻撃範囲
見てから対応出来ない攻撃の範囲のこと。
スマブラSPにおいては入力遅延込みで18~21Fあたりが見てから対応出来ないフレームとなる。オンラインでは最低+4F。
殴り合い
両者のファイターが相手の攻撃範囲に入っており、お互いが攻撃を見てから対応出来ない状態。
攻撃範囲の差異で優位性が出ない代わりに、判定の強さ・リターンの高さ・硬直のなさといった要素の重要性が高くなってくる。
Q.ライン攻め理論は過去作品や他の2D格闘ゲームにも流用出来る?
A.一定の条件を満たせていれば流用出来る。
ライン攻めとは
「攻撃範囲を理解する」「攻撃範囲外からの攻撃は迎撃ないし無力化してリスクを付ける」「これを駆使して相手に引き行動を強制し、相手の行動可能な範囲を少しずつ狭め、行動の選択肢を狭める」
という要素から成り立っている。根っこの部分を見れば別に『スマブラSP』の要素に限定された戦術ではないということがわかるはず。
逆に言えばこれが成り立たないゲームやマッチアップではライン攻め理論を使うことは出来ないだろう。
たとえば、『スマブラX』のメタナイトのガケ待ち*3、マントバグによる消失永続化などはライン不利の概念を思いっきり破壊している要素と言える。(このためマントバグは一定時間以上の使用を禁止され、ガケ待ちはルールである程度制限された。)
Xメタナイトガケ待ちを無制限にしてしまったり、マントバグを解禁してしまったりしたらライン攻めをしたところで意味が無いのは明白だろう。
ガケに追い詰めた際のリターンや画面端に追い詰めた際のリターンがしっかりと用意されているゲームであるなら、ライン攻めの理論は適用されると言ってもよい。
Q.「ラインが無い」が厳密には誤りってどういうこと?
A.「ライン」はファイターが撃墜されるなどしてステージから消滅しない限り存在し続けるため。
「ライン」を「自分が引き行動を出来る距離」として認識している場合、「ラインが無い」という表現することも出てくるだろう。
しかし、ライン攻め理論の用語としての「ライン」はこのページで再三説明された通りファイターとファイターの間に引かれた縦線のことである。
ここの認識が食い違っていると、誤解を生んでしまう可能性があるので注意したい。
Q.「双方のファイターの間に引かれた縦線」と「引き行動が可能な距離」って具体的にはどう違うの?
A.「双方のファイターの間に引かれた縦線」は自分と相手のどちらが動いても直接動くが、相手の「引き行動が可能な距離」は直接動かすことは出来ない。
「双方のファイターの間に引かれた縦線」と「引き行動出来る距離」の最大の違いはここである。
後者の認識だと、スピード+リーチに優れたファイターや弾幕戦法が強いファイターなら立ち回りが成立しないこともないが、
鈍足パワーファイターや飛び道具を持たないリーチの短いファイターは一切立ち回れないことになってしまう。
こうなると「ルキナやベレトの引き空N・空前は狩れないからSランク!」「ガオガエンやプリンは相手に逃げられると何も出来ないから絶対勝てない!」といった結論を導き出してしまう。
ウルフやジョーカーなどの所謂立ち回りキャラが対峙した際にお互いが無意味なステップ往復を繰り返したり、アイクやセフィロスが終始無意味な引き行動をしていたりするのも、Q.の後者の認識によるものであろう。
ライン攻め理論は「引き待ちへの対策」が起点になっている理論であり、「引き待ちをするための理論」ではないということを覚えておくと、ラインを「引き行動が可能な距離」と認識することは無くなるはずだ。
決して用語警察が目的で「ラインが無い」は誤りだと述べている訳ではないことは理解していただけると幸いである。
Q.の前者の認識だとどうなるのか?という問いについては……当ページの本編をもう一度おさらいしていただきたい。
コメント
- 最後の問いに関してですが、"スマブラにおけるライン理論"は64~DXの頃から存在したと思われます。以下リンクより当時の経緯などがうかがえます。(URL : https://sites.google.com/site/kamekunproject/dumi-wu/sumaburaforniokerurain-gongmetosono-you-yong-xing)とはいえサイトの作者の主観が強いですし、話の本筋とは関係ないことですのでご参考程度に。 -- 2022-11-21 (月) 12:38:24
- 引きにリスクを付ける方法が「ダッシュして止まって様子見」なのは理論的には間違ってはいませんが実戦的ではありませんね。様子見しておいて引きを確認して歩くとか、ダッシュ後に下強などの全体フレームが少ない技を振るとか、もっと効率のいいやり方があると思います。 -- 2024-07-15 (月) 12:06:04
- 「話が少し逸れたが、例えばルキナのダッシュ攻撃は見えないので立っているルキナの攻撃範囲として判断し、最速ダッシュ攻撃の届かない程度の位置を意識する。」とありますが、攻撃範囲は移動を含めても成立するので、実際にはルキナの攻撃範囲はもう少し広いです。最速ダッシュ攻撃のリーチを基準にしていると見えずに普通に攻撃を食らってしまうことになります。 -- 2024-07-15 (月) 12:16:02
- >引きにリスクを付ける方法
引きにリスクを付ける方法としてダッシュ様子見が実践的ではないというのはそうなんですが、あくまで引き行動の弱点の説明のために説明を簡略化する形で「前進から何もしない」を紹介しています。ここは様子見歩きでもいいんですが「前に出ると引き行動にやられちゃう!引き行動最強!」という初心者あるあるに陥っている層がをそれを解消するのにいきなり歩きを取り入れるのは操作的に難しいと思われることと、事前の説明ではダッシュからの攻めを潰されているので引き行動にやられないようにするダッシュ行動を説明しています。まずラインを上げることの意識付けをしなければ話が始まらないので、効率のいい引き行動潰しは後の方の項目に回している感じです。
もうちょい効率のいい引き行動潰しが書ければいいんですが、なるべくファイター全体に当てはまるものを紹介したいのでなかなか難しいですね……。「迎撃に向いたワザの特徴」を簡易的に説明する、とかはしてもいいかもしれません。 -- 2024-07-15 (月) 18:22:18 - >ルキナの攻撃範囲
移動などについて補足しました。 -- 2024-07-15 (月) 18:35:09