VIPに行けない10の理由

Last-modified: 2024-01-06 (土) 16:38:11

VIPに入ることができていない多数のプレイヤーとの対戦や観戦を重ねてきた経験則として、未VIPプレイヤーが抱える問題点というのはある程度共通していることが多い。
本稿では、VIPキャラを複数持つプレイヤーの目線でこれら”未VIPに多い問題点”を紹介したい。
大まかに上に書いている項目ほど低戦闘力プレイヤーに多く見られるが、各プレイヤーが抱える問題点はそれぞれ異なり、以下の全てが未VIPに当てはまるとは限らない。
自分に当てはまる項目・思い当たる節がないか目を通してみよう。
筆者の体感として、各項目10点としてだいたいの項目はクリアしているが1~2項目だけがクリアできていない80~90点のプレーヤーは概ねVIPまであと10勝以内の惜しいところで停滞していることが多い。
全て完璧に100点でクリアできていれば少なくともVIPボーダー付近までは行ける程度に信ぴょう性はあると考えている。

このページにキャラのコンボや空ダ、反転空後をマスターしようといったファイター固有の技術的な内容は記載されていないが、
そういった技術を使えずとも本稿の内容がしっかり身についているプレイヤーは一定のいわゆるスマブラ力が備わっているため、
新しく触ったファイターだったとしても(特殊であったり極端に高難度なファイターでなければ)少し練習しただけでVIPに行けるだろう。
本稿の内容は、そういったスマブラの基礎力に焦点を当てたものである。

なお、ここでは便宜的に「上級者=VIPプレイヤー」として記載する。


①何も考えずに戦っていないか

上級者目線で未VIPを見ると「もうちょっと考えてワザを振った方が良い」という場面が少なくない。
考えるというのは具体的に言うと「その行動が抱えるリスクとリターン、その行動のあと自分と相手がどういう状況になるか」を考えようということである。

全くの初心者がガノンドロフを使ったときやりがちなのは、
1,DAやその他突進ワザで相手の位置に攻撃を仕掛ける
2,スマッシュなどのとても威力の高いワザを適当に引っ掛けるor当てに行く
3,復帰では復帰阻止されても死なないように高さに余裕を持たせる
etc.

まず、これらのリスクについて考えてみよう。ここでリスクが高いとは、ワザを出したときにどれだけ反撃されやすいかということである。

1の突進ワザをしたときのリスクについては、
第一にガードされる可能性がある。大抵のワザは大なり小なり後隙があり、ガードされたら反撃されると思っておこう。(ちなみに上B・上スマ・ジャンプ(からの各種攻撃)はガードの後隙の一部を無視できるため、ガードを張った状態から素早く出される)
第ニに回避される可能性がある。相手のワザをガードしたとき硬直が発生するため、ガードを張った側が動けるタイミングは少し遅くなる。つまり、ワザをガードされずに近くで空振った場合、ガード硬直がないためガードされる場合よりもリスクが高い
第三に攻撃判定がなくなる位置まで引かれる可能性がある。走ったりステップで引くことが多い。これも同様にガード硬直が無いため大きな反撃をくらう。
第四に判定勝ちされる可能性がある。キャラにもよるが、武器判定のワザ(攻撃判定はあるが被ダメージ判定のない一部無敵ワザのこと)や飛び道具などで噛み合わせられることがある。

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2のスマッシュについては、
大抵は1と同じだが、前隙・後隙または両方のスキが大きいため、反撃されやすい
例外としてガノンドロフの様なリーチがあって比較的後隙の少ないワザは、先端を当てたときに大きな反撃をされにくいことがある。

総じて、何も考えずに振る立ち回りのワザは後隙が少ないかリーチの長いワザに絞られるということである。

3の復帰については、
ふっ飛ばされたとき、どうせ復帰阻止されるのだから最初に空中ジャンプを使って体勢を立て直し、より高く復帰すれは良いと考えている人が多い。

それは間違いだ。

大前提として、復帰には移動系の上B・横B、空中ジャンプ、移動回避がある。
敵がいないときは、これらのワザを使ってより長く復帰すれば良い。
しかし、基本的に相手が復帰を許すことはない
当然、何かしらワザを当てて復帰阻止をしにくるだろう。自分はそれをかいくぐって復帰しなければならないことが多い。
このとき、復帰する側は何をすれば良いのだろうか。ここで復帰の観点から整理してみよう。ガノンドロフの場合だと、

上B
・復帰距離はそこそこ
・使うと何もできないしりもち落下となる
つかんで攻撃するともう一度使える
しりもち落下のとき攻撃を食らうともう一度使える
・後隙あり
・攻撃範囲があるためガケをつかみやすい

横B
・復帰距離はそこそこ
・使うと何もできないしりもち落下となる
つかんで攻撃すると地面に着くまで落下する(自滅しやすい)
しりもち落下のとき攻撃を食らうともう一度使える
・後隙あり
・攻撃判定があるが範囲が狭く、当てたとき自滅するためガケをつかみにくい

空中ジャンプ
・復帰距離はそこそこ
使ってもしりもち落下にならない
一度使うとガケをつかむか地面に着地しなければ再び使えない
後隙ほぼなし
・無敵がないためガケをつかみにくい

移動回避
・復帰距離は短め
使ってもしりもち落下にならない
ふっ飛ばされたときの慣性を消せる
攻撃を食らうともう一度使える
・後隙あり
・無敵があるためガケをつかみやすい

という特徴がある。
適当に羅列し、特徴的なものは太字にしたが、ここで見るべきポイントは攻撃を食らったとき、もう一度使えるかどうかである。ここでは復帰中に攻撃されたとき、上B・横B・移動回避は再び使えるようになるが、空中ジャンプは使えないということである。
つまり、空中ジャンプは後隙が無いため当然強いが、貴重でもあるため、慎重に使わなければならないということである

大きくふっとばされたとき推奨されるガノンドロフの復帰の優先順位は、
''移動回避>上B>空中ジャンプ
横Bは状況による''
ということになる。
他のキャラでも、特性に合わせて順序を組み立てよう。

復帰における空中ジャンプの使い方はこのページで分かりやすく解説されているので参考にしよう。

②コンボ始動ワザを振れているか、コンボは完璧か

初心者にありがちなことだが、コンボ始動ワザを振れていない、及び出来ていてもコンボが出来ていないという人が多い
理由としては初心者からするとコンボは非常に難しく狙いにくい、そして脆いものであるという固定観念があるからだろう。
上級者目線からすると、これは非常にもったいないことである。
ここで問いたい。
上手い人ほどコンボが出来るのは何故か考えたことはあるだろうか
答えは、簡単だからである。
具体的には、
・コンボ始動ワザが当てやすい、リスクが低い
・火力が簡単に稼げる
・撃墜しやすくなる
という非常に大きなメリットがある。

初心者はコンボは難しいものと勘違いする理由は簡単である。
練習していないからである。キャラのコントロールを正確に出来るようにし、トレーニングモードで反復練習しよう。
コンボは練習すれば誰にでも出来る
才能ではない

また、コンボ始動ワザは狙いにくいと勘違いする理由も簡単である。
当て方がおかしいからである。
基本的にコンボ始動ワザとは、攻撃が当たれば次のワザが確定するワザである。つまり、その間に隙はないため、非常にローリスクであると言える。
あなたが失敗しているのはおそらく空中攻撃派生のコンボだろう。コンボの原理としては、空中攻撃を当てたあと途中でキャンセルすることによって通常よりも早く動けるからである。
つまり、空中攻撃始動コンボのコツは簡単だ。
着地際でコンボ始動ワザを振れば良い

最後に脆いと勘違いする理由も簡単だ。
おそらく、胡散臭いコンボと言われる非確定のコンボ連携をしているからと考えられる
コンボは失敗しなければ確定ではいるものに対して、胡散臭いコンボは、相手の出方による
つまり、胡散臭いコンボはなるべくやらないほうがいいということである
確定コンボかどうかはネットでしっかり調べよう。
また、普通の確定コンボでも失敗するようなら多少妥協しても良い。死ぬよりはマシである。

③操作ミスが多くないか

「強攻撃やダッシュ攻撃を出そうとしたらスマッシュに化けてしまった」「復帰ワザが思った通りの方向に出なかった」「コンボの成功率が低い」など、操作精度不足によるミスは枚挙にいとまがない。
加えて、復帰の場面で「空中ジャンプをもう使ってしまったのに気づかず、復帰ワザも出さずに落下してしまった」といったミスも練度の低さに起因している。
相手との実力差以前に、勝てる流れに持ち込めた試合までこのような凡ミスで落としてしまうのは非常に勿体ない。

この手のミスは、とにかく時間をかけ、数をこなせば確実に減らせる
「〇〇をちゃんと出せてたら勝てたのに」ということがなくなるまで練習しよう。
また、操作ミスを減らすだけなので対人戦である必要はなく、CP戦やトレーニングモードといった1人用のモードでも何ら問題ない。
初心者にアドバイスを送るプレイヤー達が口を揃えて「トレモは重要」というのはこのことであり、「必要な場面がきたら無意識に(指が勝手に動いて)出せる」という理想の状態を目指して反復練習をこなしてみよう。
始めの内は非常に苦しく退屈なものに感じるかもしれないが、上達するために必要な事・やればやるほど勝率に直結する行為だと実感できればこのトレーニングが次第に楽しくなってくるはずである。

また、出しにくい攻撃があると感じたら、ボタン配置を見直してみよう。
使用するコントローラや使用するファイター、さらには各プレイヤーの好みによっても最適なボタン配置は異なるため正解は存在しないが、
だからこそ「今のボタン配置が本当に最適なのか」は早いうちに見直しておいた方が良いだろう。
ボタン配置はスマブラを長くプレイしていればしているほど体に染みついて変え難くなってしまうので、ボタン配置のチェックは手遅れになる前にしておこう

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スマブラは使うボタンが比較的少ないため、ボタンは余りやすい。逆に言えば余ったボタンに何を配置するかの自由度が高く、特に3~4つの操作を配置できるLRボタンは重要。
一方、1つしかない右スティックに強攻撃を入れるかスマッシュを入れるかは替えが利かず悩みどころになる。
はじき入力のやりやすさなどの補助機能もチェックしよう。

その他、最初はミスが少なかったのにミスが増えてきたなと感じたら、一度コントローラーを持ち直したり、椅子に座りなおしたりするというのも地味に重要。
長時間プレイしていると姿勢が悪くなったりコントローラーの持ち方がゆがんだりすることも少なくなく、このせいで微妙なズレが発生して致命的なミスを起こすことにつながることも珍しくない。
集中力が途切れているという可能性も大いにあるが、そもそも物理的にミスが増えるような恰好になっている場合もある。

④ガケのぼりに癖がないか

未VIPプレイヤーがVIP以上のプレイヤーと対戦して、たいてい真っ先に(場合によっては、たった1試合しただけで)指摘されるのが「ガケのぼりがワンパターン」という点である。
他の多くのサイト・動画でもガケのぼり択を散らす重要性は紹介されているが、なぜこんなにも言われるかというと「ガケのぼりはファイターによる差がない*1のでプレイヤーの腕が露骨に現れる部分であり、しかも癖がつくと矯正が難しいから」である。

また、「ワンパターンだから散らす」というのも厳密には正しくない。
上級者のガケのぼりは「さっきジャンプ上がりとその場のぼりをしたから、次はのぼり回避にしよう」といったランダムな散らし方に終始するわけではなく、状況を見て「考えうる限り最善の(相手が最も対処しにくい)ガケのぼり」を選ぶのがセオリーの軸である。
しかし、最適なガケのぼりを選ぶと言われてもどうしたらいいか分からないというプレーヤーもいるだろう。
そこでお勧めしたいのが「ガケのぼりの逆引き」である。
つまり、最適なガケのぼりを相手の行動から逆算するのである。
言ってみれば当たり前のことだが、「自分のガケのぼりがワンパターンだから別のガケのぼりをしなきゃ」という考え方は自分の動きしか見ていないということであり、それよりも重要なのは「相手がどう動いているか」である。

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何上がりを選択するのが正解だろうか?

このページを参考にして相手のガケ攻めをよく観察する癖をつければ、択を散らそうとするまでもなく勝手に択は散っていくはずだ。

⑤撃墜までのプランを立てているか

特に「バ難になって、いつも寿命になるまで%を稼いでしまう」というプレイヤーに意識して欲しい項目。
①の項目とも少し重複するが、相手の蓄積ダメージが低いうちから大ワザを振り回したり、逆に相手の蓄積ダメージが真っ赤なのに空NやDAなど飛ばない小ワザばかり使っていつまでたっても撃墜できないという場合は、対戦のプランを考えていない可能性が高い。
一例としてインクリングの対戦計画を記すと

0~30%:下必殺ワザのボムによる牽制を交えつつ、下り空後、下り空前、下り空N、ステップなどから弱(百裂)を当ててダメージを稼ぐ。低%では前述の空中攻撃から弱が確定する。
30~40%:下投げからの空N運びで大ダメージ、場合によっては撃墜まで取れることがあるため、つかみを最優先で狙う。相手のつかみ拒否が徹底している場合はボム、各空中攻撃、ステップ弱を使った差し合いに戻る。
50~100%:まだローラー撃墜には少し早いので、ボム、空中攻撃、ステップ弱の差し合いをしつつ、相手をガケ外に追い出すためにラインを押すことを意識する。復帰が弱ければ復帰阻止で撃墜もしくはダメージを稼ぎ、復帰が強い相手にもガケボムを利用したセットアップで大きなリターンが取れる。
80~120%:空中攻撃の当て方によってはダウン・受け身展開を取れるため、ここからダウン連やローラーによる撃墜が見えてくる。なので、相手によってはあえてラインを上げずステージ中央付近で戦い、低空の空中攻撃を増やしていく。同時にダメージが増えれば復帰弱者への復帰阻止による撃墜もしやすくなっていくので、相手によっては引き続きラインを上げてガケ外を目指す。
115%前後:相手の体重によっては上投げ→空上のコンボで撃墜できるので、時には対空できる状況を捨ててでもつかみを狙っていく。
130%以上:上投げ→空上が決まるファイターが少なくなり、空中攻撃によるダウン展開も狙いにくくなっていくため、後ろ投げやローラー、ガーキャン上スマを常に狙いつつ、開き直って空前で撃墜できるまでダメージ稼ぎに専念することも視野に入れる。

といった具合。
これは筆者が想定する一例なので、これがインクリング最善の立ち回りとは限らないことに注意。
他のファイターも同様に、プレイヤーによって強いと思う行動・ワザ・立ち回りに多少の個人差はあるが、しかし少なくともコンボの確定帯、撃墜ワザの撃墜%は誰が使っても変化することはない。

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80%。ピカチュウの上投げかみなりが決まるダメージである。ベクトル変更されると確定しないが、重要な早期撃墜コンボなので狙わないのは勿体ない。

自ずと各ファイターにとって有効な行動というのは相手のダメージによって絞り込まれるため、これを予め文章化してまとめておく*2ことで自分が振るべき攻撃が明確になっていく
そうすれば、低%でスマッシュを振ったり、高%になっても空Nで試合を長引かせたりということも自ずと減っていくだろう。

⑥攻めすぎていないか

特に飛び道具など遠距離で使える牽制ワザに乏しいファイターを使っている場合や、ガン待ちスタイルの相手と対戦した場合に露呈しやすい問題点。
DAや空前で深々と突っ込んでいってはつかみで反撃されたり、飛び道具や対空で迎撃されたりしてしまう。
また、あまり行儀の良い話ではないが、「負けが続いてイライラしてきた」「煽られてムカついた」というプレイヤーもこの状態に陥りやすい

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飛び道具を持たないからといって、自分から攻めないといけないとは限らない。もちろんある程度は飛び道具やリーチやスピードを持つ相手が主導権を握っているが、「相手に攻めさせる」方法は全く存在しないのだろうか?

スマブラSPは、基本的に攻めに回った方が不利になるゲームである
スマブラの攻略において「差し返し」という言葉は頻出しがちだが、それはつまり「攻めてきた相手のスキを叩く」という戦法がそれだけ有効だということである。
自分から攻めるということは、相手にその差し返しのチャンスを与えてしまうことに繋がるのだ。

かといって、相手の攻めをひたすら待って守りに徹していればいいのか?
それは次項(⑦)にて。

⑦ガン待ち・ガン逃げに頼りすぎていないか

前項(⑥)で紹介した通り、スマブラSPは相手に攻めさせる状況を作って迎撃をする戦法が強いゲームである。
しかし、接近戦を一切仕掛けず飛び道具のみで戦ったり、飛び道具を持たないファイターを使っている場合でも相手がDAなどスキの大きいワザをパナしてくるまでひたすら待って
確定反撃でダメージを与えていくというのはローリスクかつ効果的だが、その戦法(ガン待ち)が通用するのは前項(⑥)で紹介したような、リスクを顧みず攻撃してくるレベルまで
ある程度レベルが上がってくると、簡単に反撃を取られるような無茶な攻め方はしてこなくなる。
何よりこの戦法に頼り切りだと、フォックスのような飛び道具を反射できる相手と当たった途端に何もできなくなったり、最悪同じことを考えているプレイヤーと対戦した時にお互い距離を取って様子見するばかりで試合が動かないということすら起こりうる。

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リスクを恐れるあまり、お互い攻めようとしない。お互いノーリスクノーリターンのまま時間が過ぎていく。

上手な差し合いというのは、リスクを一切抱えることなく(「ノーリスク」で)リターンを得ようとすることではなく、
「ローリスク」を釣り餌にして相手の行動を誘い、その行動を狩ることを指している
例えば…

こちらが相手とやや距離を取って、スキの少ない小ジャンプ空Nを連打する
↓
相手は正面からの攻撃は難しいと判断して、大ジャンプして上から空前を狙って来る
↓
相手の大ジャンプ空前を釣り出すことに成功したので小ジャンプ空Nをやめ、空前を引きステップでかわして着地隙にダッシュつかみを通す
飛び道具を撃つ相手に対してジャンプやシールドを使って「跳び込みが通る距離まで」接近し、シールドや小ジャンプで様子見する(ここで安易に跳び込まない)
↓
相手としてはこの距離で安易に飛び道具を撃つと跳びを通されてしまうので、ジャンプで飛び越すかDAなどを当てて距離を取ろうとしてくる
↓
相手を前に動かすことに成功したので、空Nなどを置いて相手の行動を潰したり、相手の攻撃にシールドキャンセルで反撃する

このように、「相手が何かしてくれるのを待つ」のではなく、「相手に何らかの行動を”させて”、それを狩る」のが上手な差し合いである

前項(⑥)で記載した「ガン待ち・ガン逃げに勝てない」というプレイヤーも同様に、ローリスクな行動で相手を動かすということが上手くできていない可能性が高い。

このようなローリスクな立ち回りを可能にするためには、自分が使うファイターのローリスクなワザの振り方や動きがどのようなものであるかを知っておく必要がある。
その一助として、本サイトの各データや解説が少なからず役に立つだろう。
だいたいのファイターにおいて「牽制や差し合いに役立つ」などと記載されたワザが見つかるはずだ。
または、上級プレイヤーの動画を観察してみるのも良いだろう。
差し合いで頻繁に振っているワザがあれば、それは差し合いの要になっている可能性が高い。

⑧ガケ攻めのやり方を理解しているか

ガケ狩りの理想形はガケのぼりのスキに攻撃を当てることだが、ガケ狩りをするもう1つの大きな目的は「相手をステージ中央に返さないこと」にある。
「相手のガケのぼりを狩れない、ガケ攻めのやり方が分からない」という場合、「ガケのぼりに攻撃を当てる」のではなく、「相手をステージ中央に行かせない」ことを意識すると少しガケ攻めっぽい雰囲気になることがある
というのも、まずステージ中央に行かせたくないならのぼり回避で裏に回られてはいけないのでガケに近寄りすぎることは無くなるし、かといってガケから離れすぎてもその場のぼりから前ダッシュでステージ中央に戻られてしまうのでそれも良くない。
結果として、相手をガケっぷちに閉じ込めようとすると必然的にのぼり回避やのぼり攻撃がしづらい、ガケから遠すぎず近すぎずの距離感になりやすいのだ。

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ガケをつかんだマルスを攻めるクラウド。しかし、この距離では近すぎるため、のぼり回避でステージ中央に回り込まれてしまう。のぼり回避で回り込まれないように離れたはいいが、今度は遠すぎる。その場のぼりをしたマルスが前ステップで踏み込むだけの猶予を与えてしまった。この距離であれば、マルスは前に出ることができない。そして後ろはガケなので、下がることもできない。おまけに撃墜ラインが近いのでスマッシュや復帰阻止で撃墜もしやすく、マルスにとって非常に不利な状況を作ることができた。

尤も、これはあくまでガケのぼりを狩れないというプレイヤーに向けた「少なくとも自分の有利状況を終わらせないための方法」に過ぎず、ガケのぼりにはしっかり攻撃を当ててリターンを得られるに越したことは無い。
ガケ攻めについてはこちらのページで、その基礎を紹介しているので、参考にされたい。

⑨反撃ワザで妥協していないか

相手のDAなどスキが大きいワザをシールドしたあと、シールドキャンセルから上スマッシュを出せば撃墜勝利できるのに、つかみや空N、横強など安い反撃で妥協してしまう。
こうした「もったいない反撃」が多い場合、シールドからの反撃に特定のワザばかり使ってしまう癖がついている可能性がある。

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お互い撃墜寸前のギリギリの攻防でクッパのDAをシールド。シールドキャンセルで上スマッシュか後ろ投げを出せば勝利という絶好のチャンスだが…ローリスクローリターンな空Nをペチリ。せっかくつかんだチャンスを取り逃してしまえば、そのぶんだけ勝利は遠のいてしまうだろう。

シールドキャンセルだけでなく差し返しに関しても同様で、DAやダッシュつかみなど当てやすいワザは差し返しに適しているが、
「当てる」ことはできても、それ自体は「撃墜」には繋がらない*3
当たり前だが、ワザが確実に当たるチャンスが到来したのであれば、より強いワザを当てるに越したことはない。

スマートとは言い難いが、特にバ難に悩みがちなプレーヤーは「確実に当たる小ワザ」よりも「当たらないかもしれない大ワザ」による反撃を増やした方が良い場合もある。
当たるかどうかは、振ってみなければ分からない。間に合ってなくても相手がミスして食らってくれれば勝ちは勝ちである。
始めはスマッシュが間に合わず反撃を食らってしまうこともあるかもしれないが、
様々な有利状況でスマッシュによる反撃を試していれば、だんだんと「これくらいのスキなら、横スマッシュは間に合わないが下スマッシュなら間に合うかも」といった感覚が身についていくだろう。

ここでも意識したいのは、⑤対戦プランである。
今どんなワザを当てたいのか、を自分の中でしっかりと決めていればシールドや対空、差し返しにおいての妥協は自ずと減るはずだ。
話を分かりやすくするためにここまで「スマッシュで反撃しよう」と書いたが、低%ではスマッシュよりもつかみからコンボを狙った方が良いファイターも少なくない。
場面場面に応じた「最大リターン」を⑤の対戦プランでおさらいしておこう。

⑩相手ファイターに関する知識は足りているか。キャラ対策ができているか

「クッパやカズヤは弱いノックバックを無効化できるので百裂を振ってはいけない」
「ゼルダやパルテナは復帰ワザでワープできるため、生半可な復帰阻止は逆効果」
「ガノンドロフやドンキーコングなどパワーファイターの横スマッシュはシールド硬直が長いので、シールドしても間に合う確定反撃が意外と少ない」
「リザードンやガオガエンの上必殺ワザにはアーマーがあるため、復帰阻止に注意を要する」
など、80以上ものファイターがいる本作においては未VIPであっても広く知られている基礎的なものから上級者であってもあまり知らないものまで、気を付けるべき項目は枚挙にいとまがない。
これら全てを完全に把握し、全てのファイターに対して自分のファイターがどのように立ち回ると良いのかを1人1人対策しよう…と言いたいが、キャラ数が膨大な本作では非常に困難で現実的ではない。
しかし最低限、「ドンキーコングにつかまれると危険。空後は上りと下りで2回振れる」だとか「パルテナに浮かされたら空上、遠距離では爆炎をそれぞれ警戒」など、ごく基本的な対策を意識するだけでも無策で挑むより遥かに効果的である。
もしくは、どうしてもこのキャラが苦手で勝てないという場合に集中して対策するのも良いだろう。
もちろん、自分が使うファイターを含め、あらゆるファイターの性能・仕様の知識は有れば有るほど良い。
例えば「剣術Miiの空下はガケ外で食らっても絶対に横や斜め上にはふっとばないためガケ受け身入力をする必要がない」など、知っているだけでストックを落とさずにすむ可能性がある知識というものもある。
これを「そんな仕様だったなんて知らなかった!」で落としてしまうのは勿体ない。

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復帰阻止が完全に決まったのにスネークがふっとばない!
「どうして?」と思った人はキャラ対策・知識不足。
日ごろから自分以外のファイターの情報もチェックしておこう。

キャラ対策の全てを網羅するのは難しくとも、少なくとも最低限の、可能であれば可能な限りの対策と知識と経験があれば、それは必ず勝率に反映されるはずである

コメント


*1 厳密にはのぼり攻撃の性能やのぼり回避の移動距離や姿勢、ガケ離し後の行動の強弱などはあるが、行動の選択肢が概ね全ファイター共通であることに変わりはない。
*2 この項目の達成が不十分なプレーヤーは、ノートでもPCでもスマホでもいいので、形として残すことをお勧めする。ただ頭の中で思い描くだけでは、あやふやなままなので効果を実感しにくい。また、改善点や注意点を後から書き加えていくこともできる。
*3 着地狩りや復帰阻止などで撃墜するまでを織り込んでのワザ選択であれば別。