スピリット一覧/預言の者

その正体は、混沌の神「エーシル」が自身の力を分けた際にできた半身「ロプト」。

エーシルは様々な要素が入り混じった混沌界の神で、光と闇の側面の両方から世界を観測する「世界の目」、その「目」の力を利用して世界の行く末をコントロールする「采配の力」、そして世界が制御しきれなくなった場合に備えて「世界の全てを無に帰す力」の3つの能力を持ち、霊峰フィンブルヴェトルの神殿から世界を見守り続けていた。

混沌界では時代が進むにつれ、人間という種族が繁栄するようになったが、まだ自我が未発達で、自然や環境のなすがままになるだけの脆弱な存在。そんな人間を哀れに、また愛おしく思ったエーシルは、文明や技術を与えたり、暮らしやすいように環境を変えたり、いざという時のために方舟を作ったり、最後にエーシル自身を2つに割き、自らの持つ「世界の目」を人間に譲った。
エーシルの両目はそれぞれ「光の右目」と「闇の左目」として人間の中でも強い力を持つ部族に与えられ、後に賢者と魔女として世界を支える事となる。
一方で2つに分かれたエーシルは、その力の大半を残した身体が「ロキ」、残りの身体が「ロプト」となった。
繁栄を極めた人間はロキを称え、信仰のないロプトは神の力を失い忘れ去られていった。

しかし、時代が進むにつれて人間は知恵をつけたが、同時に邪悪な心が徐々に強くなり、人間同士でも醜い争いをするようになった。
そうした人間の悪意を糧として、神の片割れであるロプトは邪神としての力をつける。
そして神としての力を取り戻した時、再び世界を牛耳る力を奪い取るため、ロキと人間たちに対して壮大な計略を仕掛けた。
それは「世界の目」と「采配の力」を用いて主神ジュベレウスを復活させ、世界を自分好みに再構築するというものだった。

賢者と魔女の争いも、元はロプトが噂を流布して回ったのが最初の原因であり、『ベヨネッタ』シリーズに於ける全ての元凶にして黒幕といえる存在。
本編開始の500年前に暗躍を進めるが、闇の左目を持つベヨネッタはジャンヌにより封印、光の右目を持つバルドルは未来のロプトにタイムトラベルで連れ去られたために手に入らず、せめて采配の力だけでもとロキを狙うも、ロキは転生術を使って未来に逃げてしまう。流石に手の打ちようがなくなってしまったので、この時はロキの転生を待ちつつ力をつけるため、フィンブルヴェトルへと帰って眠りについた。

『ベヨネッタ2』の時代にてロキを発見するが、プロローグにてバルドルが消滅したことによりルーメンの賢者が絶滅、同時に光の右目も永遠に失われる。その為にロプトは、光の右目が健在である過去のバルドルを連れてきたのである。

最終的に「采配の力」を吸収し「世界の目」も奪い嘗ての混沌の神「エーシル」だった頃の姿を取り戻し、ラスボスとして立ちはだかるが、ベヨネッタとバルドル、ロキ、ジャンヌの奮闘の末に敗北。それでも完全には滅んでおらず、霊体だけになりながらも「やり直す」ために過去へ逃亡を図るも、バルドルによって捕獲、体内に封印された。

しかし、これが原因でバルドルは悪に染まってしまう。ロプトが手放していなかった采配の力と、バルドルが持つ光の右目が手元にある状態となり、野望成就のために闇の左目(ベヨネッタ)を狙う事になる。つまり、初代『ベヨネッタ』でのバルドルの野望は、ロプトの野望でもあったのだ。

最期は『初代』直後の『2』プロローグにて、正気を取り戻したバルドルの消滅と同時に、体内に封印されていたロプトも同じ運命を辿り、今度こそ完全に滅びたのであった。