元ネタ一覧/ギア/バラズシ

Last-modified: 2022-10-22 (土) 23:53:28

バラズシロゴ

バラズシギアの元ネタと思われるもの。
あくまで推測なので実際に元ネタとなっているのかは不明。

他のギアについては、元ネタ一覧/ギアを参照。
ブキ等に関する元ネタは元ネタ一覧を参照。情報提供等も元ネタ一覧のコメント欄へ。


ブランド解説

3で追加された新ブランドhttps://twitter.com/SplatoonJP/status/1522501948972408835
海綿の産地であるバンカラ地方西部発祥のブランドであり、気候の厳しい地域の生まれだけあって、「モンスターパーカー」をはじめ砂漠・寒冷地に適した高性能なギアを展開する。
公式では「ミリタリー」という言葉は使われていないが、ギアのモチーフからミリタリーブランドであると思われる。

主な元ネタはおそらく、アメリカのアウトドア&ミリタリーブランド「Wild Things」(ワイルドシングス)。
バラズシの代表作であるモンスターパーカーは、米軍の特殊作戦部隊向けの規格(PCU)がモデルであるが、ワイルドシングスはそれをサンプリングしたアイテムを出しているブランドの代表格の一つである。
また、ワイルドシングスは単にミリタリー「系」ファッションを得意とするだけではなく、米軍から前述したPCUの試作版である「PCU Block 0」や一般兵向けの規格である「ECWCS」の公式サプライヤーに指定されたことがあるなど、民生品・軍需品の両方で実績のあるメーカーである。
なおワイルドシングスは耐寒・耐風性能のテストをしやすいように、あえて気候の厳しいニューハンプシャー州ノースコンウェイで創業したという歴史があり、「気候の厳しい地域発祥」というバラズシの設定はここから来ていると思われる。

この他、民生品のミリタリー系ウェアと本物の軍需品の両方で有名なブランドとして、アメリカの「Alpha Industries」(アルファインダストリーズ)、「Patagonia」(パタゴニア)や、カナダの「Arc'teryx」(アークテリクス)などもブランドイメージの一部になっていると思われる。

バラズシのロゴの元ネタは、前記したアルファインダストリーズのロゴのうちオレンジ色のタイプのものであろう。
バラズシロゴ アルファインダストリーズロゴ

もっとも、「バラズシのロゴ=アルファインダストリーズのロゴ」説には大きな難点が一つあり、それはアルファインダストリーズの定番製品(MA-1やM-65など)をモチーフとしたミリタリーギアは、前作まではフォーリマから出ていたという点である。
しかし、今作はそれらのアイテムが(少なとも発売時のバージョンでは)一つも出ていないため、ミリタリー系のイメージをフォーリマからバラズシに完全移行する意図があるのだろうか?

名称のばらずしとは京都府丹後地方・岡山県備前地方に見られる郷土料理、または西日本におけるちらし寿司の別称。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B0%E3%82%89%E3%81%9A%E3%81%97_(%E4%B8%B9%E5%BE%8C%E5%9C%B0%E6%96%B9)
丹後は高級絹織物「丹後ちりめん」で有名であり、「海綿の産地」という設定と関係があるかもしれない。

アタマ

シェーディングキャップ スミ

「サンシールドキャップ」「サンシェードキャップ」とも呼ばれる。
登山などのアウトドアで使用されるキャップ。
登山中はつばと首周りのサンシールドで紫外線を防ぎつつ、登山中でないときはサンシールドを外して普通のキャップとしても使用できる2-way仕様になっているのが特徴。

ゲーム中のキャップの外観は、

辺りが近いが、名称まで込みで考えると後者のワイルドシングスのキャップの方が主な元ネタと思われる。
シェーディングキャップ スミ/Ink-Black Flap Cap/Wild Things "2020SS Shading Cap"

バイカーシェード

アメリカのアイウェアブランドGatorz Eyewear(ゲイターズ・アイウェア)の「WRAPTOR ANSIz87+ MILSPEC BALLISTIC」
https://gatorzjapan.com/collections/milspec-wraptor/products/wraptor-milspec-ballastic
バイカーシェード/Moto Shades/Gatorz Eyewear "WRAPTOR ANSIz87+ MILSPEC BALLISTIC"

米セーフティグラス民間規格ANSIz87.1と米軍事規格MIL-PRF-32432Aバリスティックテスト要件に適合したサングラス。
ゲイターズ・アイウェアのサングラスはNavy SEALsなどの米海軍特殊部隊に愛用者が多く、アメリカの映画やドラマにもよく登場する。

フク

バラズシ ノリマキ

首に掛けているのは「シュマグ」、地域によっては「クーフィーヤ」や「ハッタ」、日本では俗に「アフガンストール」とも呼ばれるアラビア半島由来の巻き物。
2001年のアフガニスタン紛争以降、ミリタリーファッションの定番アイテムとして様々なブランドから販売されている。

ゲーム中のものは、色合いと模様からして、米軍にかばんなどの納入実績があるアウトドアブランドCondor Outdoor Products(コンドル・アウトドア・プロダクツ)の「201-001 SHEMAGH 100% COTTON OLIVE DRAB / BLACK」が元ネタと思われる。
https://condoroutdoor.com/products/condor-shemagh https://store.shopping.yahoo.co.jp/revolutjp/co201001.html
バラズシ ノリマキ/Barazushi Wrap/Condor Outdoor Products "201-001 SHEMAGH 100% COTTON OLIVE DRAB / BLACK"

本来の用途は日常用の頭巾で、色も純白の無地や赤と白のパターンなどが多いが、アフガニスタン紛争などでイスラム聖戦士が戦闘用の覆面として使用していたものが、米軍兵士経由で欧米に伝わった。
そのため、非イスラム圏では「アフガン巻き」と称してゲーム中のように首に巻くことが多く、色もオリーブやカーキなどの、いかにもミリタリー系風なものが多い。
特にTシャツ+シュマグはPMC(民間軍事会社)のコントラクターっぽい雰囲気を出すための定番ファッションである。

バラズシヤッケ

「ヤッケ」(Jacke)とはドイツ語で単に「ジャケット」を意味するが、日本語では特にフード付きウィンドブレーカーの中で特に防風・防寒に優れたタイプをこう呼ぶことが多い。
英語ではanorak(アノラック)もしくはparka(パルカ、パーカ)と言うため、日本語では両方を繋げて「アノラックパーカー」とも呼ばれる。

一説によると、ゲーム中のヤッケは、1950年代ブルガリア軍のビンテージアノラックパーカーを、現代風にリデザインしたものではないかと言われている。
参考情報元:https://twitter.com/TatakiKatsuwono/status/1569136554114940928

ブルガリア軍のビンテージアノラックパーカーの特徴としては

  • 正面に非常に大きなポケットがある。
  • 前立てがレースアップ仕様になっている。
  • 腰の脇部分にもポケットがある。

と言った点が挙げられ(https://store.markandcollars.com/items/51679433 http://radical-vintage.com/?pid=115940078)、ゲーム中のヤッケも同じ特徴を持っている。
バラズシヤッケ/Barazushi Anorak/1950s vintage Bulgarian military anorak

モンスターPCU56

元ネタは、2006年から2010年代にかけて製造されていた、米軍特殊作戦部隊の制式保護戦闘服「PCU Block 1 Level 7 Type 2 Jacket」。
日本では「モンスターパーカー」の通称で知られており、たまにデッドストックが出回っている他、2020年ごろより様々なファッションブランドからオマージュアイテムが出ている。

なお、米軍のオリジナルを作っていた会社はアメリカのビヨンドクロージング(Beyond Clothing)社やSEKRI社などである。
以下の画像はビヨンドクロージング社製のもので、「Alpha Green」という灰色がかった緑系の色味(https://baacostume.thebase.in/items/24326063)。
この他に「Coyote」というブラウン系の色もある。
モンスターPCU56/Arctic Monster Parka/Beyond Clothing "PCU Block 1 Level 7 Type 2 Jacket" Alpha Green

PCUとは、"Protective Combat Uniform"「保護戦闘服」の略で、アフガニスタン紛争中の2002年から米軍のSOF(特殊作戦部隊)向けに作られている被服システムである。
その成果は一般兵向けの被服システムであるECWCSの第3世代にもフィードバックされている。

試作品である「Block 0」を経て2006年に完成したPCUの第1世代「Block 1」は7つの層に分かれており、たとえば一番内側に着る肌着が「Level 1」である。
そして寒冷地での待機時に一番外側に着る衣服が「Level 7」なのだが、Level 7のジャケットには2種類あり、丈が短い「Type 1」に対して丈が長い方が「Type 2」と呼ばれている。

PCU Block 1(第1世代)の解説(英語):https://www.itstactical.com/gearcom/apparel/comprehensive-guide-protective-combat-uniform/ http://www.ontariogeardo.com/2011/12/protective-combat-uniform-pcu-history.html
PCU Block 2(第2世代)の解説(英語):https://punisher.com.ua/en/pcu-block-2-ii.-novyy-kontsept-odezhdy-ussocom./
日本でのファッション史的な解説:https://www.houyhnhnm.jp/feature/212173/

全くの余談だが、日本でモンスターパーカーと呼ばれている理由は、ビヨンドクロージング社製のType 2 Jacketの一部に付けられたタグに端を発するようだ。
このタグには"L7 - VEST, PANT AND MONSTER PARKA"つまり「Level 7はベストとパンツと巨大なアノラックパーカー(で構成されている)」と書かれているのだが(参考)、
期間指定検索した限りでは、2015年ごろからこの「巨大なアノラックパーカー」(monster parka)という言葉が固有名詞と見なされて「モンスターパーカー」と呼ばれるようになったと思われる。

クツ

ザベースシリーズ

主な元ネタは連邦軍(西ドイツと1990年に統一後のドイツの軍隊)が1970年代から1990年代初頭まで屋内用トレーニングシューズとして制式採用していた「Bundeswehr Sportschuhe」(ブンデスヴェーア・シュポルトシューエ、連邦軍運動靴)、通称「ジャーマントレーナー」。
これに、ジャーマントレーナーを2000年前後にサンプルしファッションアイテムの地位に押し上げたパリのモード系ブランド、メゾン・マルジェラの名作スニーカー「Replica」(レプリカ)の要素を加えたものと思われる。https://www.maisonmargiela.com/ja-jp/%E3%80%8C%E3%83%AC%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%80%8D-%E3%82%B9%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC-S57WS0236P1895.html
以下はマルジェラの「Replica」(左)と、西ドイツ軍の制式採用モデル(右)の比較画像。https://www.complex.com/sneakers/2015/05/maison-margiela-germany-army-trainer-versus-vintage-german-army-trainer/margiela-gat-10
ザベース ルーキー/Suede Basics/Maison Margiela "Replica" Dirty Wash (left) and BW Sport German Army Trainer (right)

一目見てわかるように、スエード部分がReplicaでは大幅に増えている(サイド、シューレース周り、かかと部分など)。
ゲーム中ではこのうちサイド部分のみReplicaを踏襲している。
また、Replicaはシュータン(ベロ)がパッド入りで厚みがあるが、この部分もゲーム中ではReplicaに寄せてあるようにも見える。

余談だが、オリジナルはドイツのスポーツウェアブランドPumaもしくはadidasが納入していた。
政府の公文書上はPumaが試作品を受注していたことで確定しているのだが、何故かそのPuma自身は自社に当時の生産記録がないと否定していて、かわりに創業者同士が兄弟かつライバルであったadidasが積極的に本家であることを宣伝しているという奇妙な事態になっている。https://www.grailed.com/drycleanonly/history-of-the-gat-sneaker
現在でもPumaからは「Army Trainer」(https://www.atmos-tokyo.com/lp/puma-army-trainer-og)、adidasからは「BW Army」(https://shop.adidas.jp/item/?collection=bwarmy)というモデルが出ている。

名前の「ザベース」は"the base"(基礎、基点)で、マルジェラの「レプリカ」に対して、原典の方のスニーカーであることを主張したものか?

「ルーキー」(新人)、「ボス」(上司)の方は、2022年現在、日本語のファッションサイトで白=一般兵用、黒=上官用という都市伝説(?)が広まっていることに由来すると思われる。
黒いバージョン=上官用とする説の現存最古は、おそらく2018年のとある古着屋のブログ(https://digupper.exblog.jp/30151115/)とその商品説明(https://digupper.net/items/5bdc09095f786662ca00202d)だと思われる。
ザベース ボス/Suede Bosses/1970s vintage black German military sneaker

この黒いスニーカーは、かかとの形状もソールの底面のパターンもいわゆるジャーマントレーナーとは違うが、わざわざ上官用のためだけに一から作り直すとは考えにくい。
これと同型の靴は、ドイツのミリタリー&アウトドアショップRäerのサイトでは「1970年代までドイツ軍に調達されていた」と書かれており(https://www.raeer.com/shopexd.asp?id=13538)、2016年の別の日本語のブログでも「1970年代のもの」とされているので(https://ameblo.jp/anne-tre/entry-12143548606.html)、実際は上官用というよりは旧モデルなのではないだろうか?

ダックブーツ スノウ

adidas x KANYE WEST(カニェ・ウェスト)の幻のダックブーツ「YEEZY 1050 "Song of Ash"」。https://hypebeast.com/2016/3/yeezy-season-3-showroom
ダックブーツ スノウ/Arctic Duck Boots/adidas x KANYE WEST "YEEZY 1050 'Song of Ash'" ダックブーツ スノウ/Arctic Duck Boots/adidas x KANYE WEST "YEEZY 1050 'Song of Ash'"

ダックブーツとは、1911年にアメリカのL.L.ビーン社によって発明されたブーツの一種で、防寒性の高いレザーのアッパーと防水性の高いゴム製のボトムを合わせた靴のことである。
この本家本元のダックブーツ、通称「ビーンブーツ」は、スプラトゥーンではジモンの「ハンティングブーツ」のモチーフとして使われている。

「YEEZY 1050 "Song of Ash"」はダックブーツを現代風にアレンジしたもので、
アッパーにゴアテックスを採用して機能性を高めた他、かかとから突き出したアウトソールが際立って特徴的である。https://streetsense.co.in/first-look-yeezy-1050-song-of-ash-boots/
全面にホワイトカラーを採用したのも、クラシカルなイメージのあるダックブーツというアイテムでは比較的珍しい。

しかし、2016年3月に初めて試作品が公開されて以降、何度か続報はあったものの、6年以上経ったスプラトゥーン3発売日時点でもこのブーツは発売されておらず、現状、幻の靴となっている。

チャッカブーツ サンド

イギリスの老舗フットウェアブランド、Clarks(クラークス)を代表する名作「Desert Boots」(デザートブーツ)であろう。
https://www.clarks.co.jp/commodity/SCKS0472G/CL915BM14159/
チャッカブーツ サンド/Desert Chukkas/Clarks "Desert Boot" Sand Suede

デザートブーツの特徴の一つは、クレープソールと呼ばれる天然ゴム由来の平らなソールであるが、ゲーム中のクツも靴底を見るとちゃんとクレープソールになっている。

デザートブーツの原型は、第二次世界大戦中にイギリス第8軍のとある兵士が履いていた、エジプト・カイロ製の軍用靴である。https://www.esquire.com/style/mens-fashion/a34509215/clarks-desert-boots-history-origin-story/
これをクラークス4代目のネイサン・クラークが目につけてスケッチに描き留め、戦後に改良して欧米の一般人向けに商品化したものが現在のデザートブーツである。
そのため、(厳密にはミリタリーブーツではないものの)他のバラズシ製品と同じくミリタリー関連のウェアと言える。